説明

流体を移送する器具および方法

器具は、流体路と、継手と、ノズルとを含む。流体路は、1つ以上の微粒子を含む流体を運搬するためのものである。継手は、流体路内に配置される。ノズルは、継手近傍に位置する停滞領域を通過して流体を移動させるために、流体路内に配置される。継手近傍の流体路は、実質的に力の場(例えば、重力場)と整合される。癌治療などの治療のために、器具を使用する方法が開示される。方法は、高い比活性を有する高密度微粒子を、哺乳類に送達するステップを包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本特許出願は、米国特許出願第11/497,274号(2006年6月30日出願)に対する優先権を主張し、該特許出願は、本明細書において参考として援用される。
【0002】
(技術分野)
本発明は、流体を移送することに関し、より具体的には、微粒子を含む流体を移送することに関する。
【背景技術】
【0003】
疾病治療に用いられる治療システムのような一部のシステムにおいて、継手を含む導管を通じて、癌性腫瘍のような標的に流体を移送または送達する。放射性微粒子または放射性微小球のような微粒子を含む流体の場合には、微粒子が継手でトラップされ得る。
【0004】
一部の微粒子は、継手内の機械的なミスマッチを有するコンポーネントに起因する隙間にトラップされる。他の微粒子は、流体速度が躍動速度よりも小さい領域のような、流体流れの停滞領域にトラップされる。継手内の角部と不連続部とは、流体速度が躍動速度よりも小さくなる流体膨張領域を生成し得る。重力のような力の場がまた、微粒子のトラップの一因となり得る。一部のシステムでは、流れの中の微粒子の50パーセント超がトラップされる。トラップされた微粒子は標的に送達されない。高圧力で流体を移送することによって、この問題を解決しようと試みるシステムに関しては、システム漏洩のリスクが増加する。
【0005】
治療システムでは、効果的な治療を実現するために、システムに導入される実質的にすべての微粒子が、標的に送達されなければならない。実質的にすべての微粒子が標的に送達されないと、治療の効果が減少する。同様に、診断システムでは、正確な診断を実現するために、システムに導入される実質的にすべての微粒子が、標的に送達されなければならない。さらに、医療装置を構成する微粒子に関しては、目的とする標的への微粒子の送達不足は、監督機関に報告されるべき事件である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
器具は、流体路と、継手と、ノズルとを含む。流体路は、1つ以上の微粒子を含む流体を運ぶためのものである。継手は、流体路内に配置される。ノズルは、継手近傍に位置する停滞領域を通過して流体を移動させるために、流体路内に配置される。
【0007】
器具は、流体路と継手とを含む。流体路は、1つ以上の微粒子を含む流体を運ぶためのものである。継手は、流体路に沿って配置される。流体路は、力の場と実質的に整合される。
【0008】
方法は、1つ以上の微粒子を含む流体を、継手を含む流体路に導入するステップと、継手近傍の流体路を、力の場と整合させるステップと、を含む。
【0009】
器具は、近位端および遠位端を含む継手と、継手を含む低流速の流体路とを含み、継手の近位端から継手の遠位端へと、高密度微粒子源の少なくとも約90%を送達する。
【0010】
方法は、高い比活性(specific activity)を有する高密度微粒子源を哺乳類に連結するステップと、高い比活性を有する高密度微粒子を、源で約5psigと約30psigとの間の圧力で、哺乳類に送達するステップと、を含む。
【0011】
方法は、1つ以上の微粒子を対象に送達するステップと、画像データを形成するために1つ以上の微粒子を撮像するステップと、を含む。
【0012】
方法は、1つ以上の略球状微粒子を対象に移送するステップと、画像データを形成するために1つ以上の略球状微粒子を撮像するステップと、異常状態を識別するために画像データを分析するステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1A】図1Aは、一部の実施形態に従った、流体を移送するための器具の斜視図である。
【図1B】図1Bは、一部の実施形態に従った、図1Aに示された器具の線x−xの断面図の図解であり、流体路と、流体路内に配置され実質的に力の場の力線に沿って整合された継手とを含む。
【図1C】図1Cは、一部の実施形態に従った、図1Aに示された器具を含み、癌治療法のような治療に関連した使用のために、放射性微粒子源と患者とに連結される器具のブロック図である。
【図1D】図1Dは、1つ以上の微粒子を含む流体を、継手を含む流体路に導入するステップと、継手近傍の流体路を力の場と実質的に整合させるステップと、を含む方法の流れ図である。
【図2A】図2Aは、一部の実施形態に従った、図1Aに示された流体路と、図1Aに示され、図1Aに示された流体路内に配置された継手と、継手近傍に位置する停滞領域を通過して流体を移動させるために、流体路内に配置されたノズルと、を含む器具の断面図の図解である。
【図2B】図2Bは、一部の実施形態に従った、図2Aに示された継手と、図2Aに示されたノズルと、平面シールと、ゴム状シールと、を含む器具の詳細な図解である。
【図3】図3は、一部の実施形態に従った、継手を含む低流速の流体路を含む器具の図解である。
【図4】図4は、一部の実施形態に従った、高い比活性を有する高密度微粒子源を哺乳類に連結するステップと、高い比活性を有する高密度微粒子を、源で約5psigと約30psigとの間の圧力で、哺乳類に送達するステップと、を含む方法の流れ図である。
【図5】図5は、一部の実施形態に従った、微粒子源としての使用に好適な微粒子に対する、カテーテルサイズ、圧力範囲、等価流速、およびフラッシング体積を示す要約表である。
【図6】図6は、一部の実施形態に従った、診断方法の流れ図である。
【図7】図7は、一部の実施形態に従った、分析を含む診断方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1Aは、一部の実施形態に従った、流体を移送するための器具100の斜視図である。器具100は、流体を移送または送達するシステムおよび装置に関連した使用に適している。流体は、連続した非晶質物質であり、それは容易に形状を変え、その容器の形状に従う傾向を有する。器具100は、特定の流体、あるいは特定の用途または産業に関連した使用に限定されない。器具100に関連した使用に好適な例示的な流体は、液体および気体を含む。器具100のさらなる実施形態が、図1B、図1C、図2A、および図2Bに示され、以下に記載される。
【0015】
図1Bは、一部の実施形態に従った、図1Aに示された器具100の線x−xの断面図の図解であり、流体路102と、流体路102内に配置され、実質的に力の場の力線106に沿って整合された継手104とを含む。流体路102は、近位端108と遠位端110とを含み、近位端108から遠位端110に向けて流体を移送または送達するための、通路または導管を提供する。疾病治療法での治療的使用のための、静脈への流体送達は、器具100の例示的な一用途である。説明的な一実施形態では、器具100は、1つ以上の放射性微粒子を含む流体のような流体の送達を、癌治療法のためにヒト血管系に提供する。肝臓癌は、器具100の使用で利益を得られる治療法が開発された、例示的な疾病である。微粒子注入を用いて、癌およびその他の症状が診断され得る。癌病巣またはその他の病気の微小血管床、および周囲の健常組織の特徴が明らかにされ得、次の治療での治療用微小球の数、および治療用微小球の比活性を含む、しかしこれらに制限されない、治療計画を可能にする。微小血管床の知見から、他の治療法が計画され得る。
【0016】
一部の実施形態では、流体路102は、チューブまたはマイクロチューブのような導管から形成される。チューブは、数千ミクロンよりも大きい内径を有する導管である。マイクロチューブは、およそ1ミクロンの数分の1と数千ミクロンとの間の内径を有するチューブである。導管の内径は特定の値に限定されない。1つ以上の微粒子または微小球を含む流体の、流体路102に沿った輸送に関して、流体路102は、微粒子が近位端108から遠位端110までスムーズに流動することを可能にするように、十分な直径を有する導管から形成される。例えば、5マイクロメートルの直径の微粒子を含む流体を輸送するために、一部の実施形態では、流体路102を形成する導管の内径は、約25マイクロメートルと約50マイクロメートルとの間である。導管は、可撓性または非可撓性であり得る。流体路102を形成する導管の製造に関連した使用に好適な、例示的な材料は、ポリスチレン、プラスチック、およびステンレス鋼のような金属を含む。
【0017】
流体路102に含まれる継手104は、導管112および114の2つ以上の部品のような2つ以上の物体の間、または導管とカテーテルとの間の、機械的接続または結合を提供する。継手は接続される物体と別個に形成され得るか、または、継手は物体と一体化され得る。継手104は、特定の種類の継手に限定されない。様々な継手、コネクタ、およびフィッティングが、器具100の流体路102の継手104の形成における使用に好適である。
【0018】
ルアーコネクタは、血管への流体送達システムの相互接続コンポーネントとして使用される、継手の一種である。ルアーコネクタは、テーパ円筒部と、シールなしで円筒部に嵌合する円錐形オス部とを含む。一部の実施形態では、テーパは約6パーセントである。血管への流体送達システムでの使用に関して、一部の実施形態では、器具100は、流体路102の継手104のためのルアーコネクタを含む。継手の材料は、温度および圧力のような、流体路102の環境および操作条件に適合するように選択される。
【0019】
操作において、器具100は、1つ以上の微粒子を含む流体のような流体を、流体路102に沿って移送する。微粒子は、球状であり得るが、球状である必要はない。中実または中空の、ガラスあるいはガラス複合材のビーズが、器具100に関連した使用に好適な微粒子を形成し得る。一部の実施形態では、1つ以上の微粒子のそれぞれは、約1.5超の比重を有する。
【0020】
微粒子という用語は、ナノ粒子、微粒子、および微小球を含む。ナノ粒子は、約50ナノメートルから約1000ナノメートルまでの直径を有する粒子およびナノスフェアを含む。微粒子は、約1μmから1000μmまでの間の直径を有する粒子を含む。微小球は、約1μmから1000μmまでの間の直径を有する略球状要素を含む。微粒子の形成での使用に好適な、例示的な材料は、無機、有機、高分子、放射性、および磁性材料を含む。無機材料は、金属、シリカ、アルミナ、チタニア、ガラス、およびセラミックを含む。有機材料は、ポリスチレン、メラニン、およびポリラクチドを含む。高分子材料は、ポリウレタン、リグニン、ポリアミド、シリコーン、共重合体、および三量体を含む。放射性材料は、原子核崩壊中に、粒子流または電磁波の自然放出を示す。流れは、正または負に帯電し得る、原子の粒子または亜原子粒子を含み得る。アルファ粒子および陽電子は、例示的な正荷電粒子である。ベータ粒子は、例示的な負荷電粒子である。放射性材料は、放射性酸化物および放射性重合体を含む。磁性材料は、磁場に反応する。磁性材料は、鉄、強磁性体、および常磁性体材料のような、一部の金属を含む。微粒子表面は、特定の材料から形成されることに制限されない。
【0021】
また、操作において、継手104近傍の流体路102は、実質的に力の場106と整合される。流体路102内の微粒子の移動方向と力の場106の方向との間の角度が、約35度と約45度との間にあるときには、流体路102は、実質的に力の場106と整合される。流体路102内の微粒子の移動方向と力の場の方向との間の角度が、約35度未満であるときには、流体路102は、極めて実質的に力の場106と整合される。流体路102が、極めて実質的に力の場106と整合されるときには、流体路102が、実質的に力の場106と整合されるときよりも、流体路102内のトラップされる粒子は、より少なくなる。力の場106は、特定の種類の力の場に限定されない。器具100に関連した使用に好適な、例示的な力の場は、重力場、磁力場、遠心力場、および電気的な力の場を含む。力の場106は、静的または動的であり得る。静的な力の場は時間とともに変化しない。動的な力の場は時間とともに変化する。
【0022】
継手104近傍の流体路102の、実質的な力の場106との整合は、継手104のミスマッチを有するフィッティング内に生成される隙間116に、微粒子がトラップされる可能性を減少させる。さらに、流体路102が、実質的に力の場106と整合されるときには、凹角部120で、流体停滞領域118に入る微粒子はより少なくなる。最後に、流体停滞領域118に入る微粒子は、力の場106の方向に乱流領域122へと移動し、それらは、流体路102の流体流れに再び乗せられるか、あるいは引き込まれる。
【0023】
図1Cは、一部の実施形態に従った、癌治療法のような治療と関連した使用のために、放射性微粒子源132と患者134とに連結される、図1Bに示される器具100を含む、器具130のブロック図である。放射性微粒子源132は、放射性微粒子を含む流体を保持するための、バイアルのような容器を含む。容器は、放射性微粒子132によって放出される放射線からの保護を提供するために、遮蔽されるか、または遮蔽ケース内に維持される。カテーテル136は、器具100の流体路102から患者134への連結を提供し得る。カテーテル136は、流体の通過を可能にするための、体腔、導管、または血管への挿入のための中空可撓性チューブである。一部の実施形態では、器具100は、カテーテル136に含まれる。
【0024】
図1Dは、1つ以上の微粒子を含む流体を、継手を含む流体路に導入するステップ(ブロック142)と、継手近傍の流体路を、実質的に力の場と整合させるステップ(ブロック144)と、を含む方法140の流れ図である。一部の実施形態では、継手近傍の流体路を、力の場と整合させるステップは、継手近傍の流体路を、重力場と整合させるステップを含む。一部の実施形態では、方法140は、癌患者を流体路に導入するステップをさらに含む。また、さらに他の実施形態では、1つ以上の微粒子を含む流体を、継手を含む流体路に導入するステップは、圧力下で放射性微粒子のスラリーを流体路に導入するステップを含む。一部の実施形態では、方法は、約20ミリリットルと約80ミリリットルとの間の体積を有するフラッシング流体を、約30ポンド毎平方インチ毎平方インチのゲージ動作圧力で、流体路に導入するステップをさらに含む。
【0025】
図2Aは、図1Bに示された導管114と、図1Aに示された流体路102と、流体路102内に配置された、図1Aに示された継手104と、継手104の近傍に位置する停滞領域204を通過して流体を移動させるために、流体路102内に配置されたノズル202と、を含む器具200の断面図の図解である。ノズル202は、入力ポート206と出力ポート208とを含む。一部の実施形態では、ノズル202は、サイドポート210を含む。ノズル202は、特定の数のサイドポートに限定されない。一部の実施形態では、ノズル202は、サイドポート210と、サイドポート211のような1つ以上の追加のサイドポートとを含む。
【0026】
流体路102は、図1Bに示された近位端108と、図1Bに示された遠位端110とを含み、近位端108から遠位端110へと流体を移送または送達するための、通路または導管を提供する。疾病治療法での治療的使用のための静脈への流体送達は、器具200の例示的な一用途である。説明的な一実施形態では、器具200は、1つ以上の放射性微粒子を含む流体のような流体の送達を、癌治療法のためにヒト血管系に提供する。肝臓癌は、器具200の使用で利益を得られる治療法が開発された、例示的な疾病である。
【0027】
操作において、器具200の近位端108で流体路102に入るすべての微粒子は、入力ポート206でノズル202に入るものとし、遠位端110で器具200から出るものとする。停滞領域204は、ノズル202の入力ポート206で継手104に入る微粒子がトラップされる、継手104の内部領域である。微粒子が停滞領域204にトラップされたときには、微粒子は、遠位端110に向かって継手104を通過しない。治療システムのような一部のシステムでは、トラップされる微粒子の数を低く保つことが望ましい。
【0028】
ノズル202の流体路102への導入は、継手104内の流体流れの動力学を変化させる。一部の実施形態では、ノズル202の入力ポート206は、入力ポート断面積を有し、出力ポート208は、出力ポート断面積を有する。入力ポート206の断面積を出力ポート208の断面積よりも大きくすることが、流体路102に沿って移動する微粒子が停滞領域204内にトラップされる可能性を減少させる。一部の実施形態では、出力ポート208は、約0.2ミリメートルと約1ミリメートルとの間の直径を有する。一部の実施形態では、出力ポート208の断面積は、入力ポート206の断面積の約40パーセントである。一部の実施形態では、出力ポート208の直径は、粒子約5個分の直径と粒子約10個分の直径との間に等しい。さらに、入力ポートの断面積を出力ポートの断面積よりも大きくすることは、強制的に流体流れを、サイドポート210を通過させ、停滞領域204を通過する微粒子の移動を促進する。
【0029】
ノズル202の出力ポート208での流体速度は、低圧力領域を生成し、停滞領域204から流体および微粒子を流体路102に引き込む。さらに、ノズル202は、継手104内である体積を占め、それは、流速を増加させ、ノズル202近傍の流体路102への微粒子の巻き込みを増加させる。さらに、ノズル202の出力ポート208を、停滞領域204を越えて配置することによって、流体内の実質的にすべての微粒子が、継手104内の停滞領域204を越えた位置に送達される。
【0030】
ノズル202は、入力ポート206と出力ポート208との間に位置する、ノズル流体路212を含む。一部の実施形態では、ノズル流体路212は、テーパ214を有する。一部の実施形態では、テーパ214の傾斜は約45度未満である。テーパ214の傾斜は、入力ポート206と出力ポート208との間のノズル流体路212の曲線の最大傾斜である。約45度未満の傾斜を有するテーパ214に関して、ノズル流体路212に沿った微粒子ブリッジの可能性が減少する。微粒子ブリッジは、微粒子群がノズル流体路212を遮断するか、または部分的に遮断するときに生じる。
【0031】
一部の実施形態では、ノズル202は、サイドポート210を含む。サイドポート210は、ノズル202の側面に位置する開口部である。サイドポート210のノズル202への導入は、継手104内の流体流れの動力学を変化させる。サイドポート210は、入力ポート206でノズル202に入る流体に対して、停滞領域204を通過する流体路を提供する。サイドポート210は、ノズル202の入力ポート206近傍に位置する。さらに、上述の通り、入力ポート206の断面積を出力ポート208の断面積よりも大きくすることは、背圧を生成し、強制的に流体流れを、サイドポート210を通過させる。サイドポート210での流体流れは、ノズル202近傍の乱流を誘起し、それは、ノズル202近傍の停滞領域204から微粒子を流体路102に運び去る。サイドポート210によって停滞領域204に提供される流体流れは、実質的にすべての微粒子を停滞領域204から除去する。
【0032】
サイドポート210は、特定の形状に限定されない。一部の実施形態では、サイドポート210は、少なくとも最大微粒子と同じ大きさの直径を有する、略円筒形通路である。しかしながら、ブリッジによる遮断の可能性を減少させるために、サイドポートの直径は、少なくとも微粒子2個分以上の直径でなければならない。一部の実施形態では、サイドポートの直径は、約0.25ミリメートルである。
【0033】
ノズル202は、特定の数のサイドポートに限定されない。サイドポート210は、ノズル202の周囲に沿って複製され得る。サイドポート210の複製は、特定の構成に限定されない。一部の実施形態では、サイドポート210は、ノズル202の周囲に沿って互いから略等距離の間隔で配置された、2つ以上のサイドポートを含む。一部の実施形態では、サイドポート210は4つのサイドポートを含み、4つのサイドポートのそれぞれは、ノズル202の周囲に沿って互いから略等距離の間隔で配置される。
【0034】
一部の実施形態では、ノズル202は、ノズルフランジ216を含む。ノズルフランジ216は、ノズルフランジ216の前縁部でシールを形成するようにサイズ設定され、継手104の中心に配置される。ノズルフランジ216と継手104との間のシールの目的は、隙間116の形成を実質的に防止することである。隙間116の形成の防止は、継手104内で微粒子をトラップし得る潜在的部分の数を減少させる。
【0035】
操作において、流体は、近位端108で器具200に入り、継手104とノズル202とを通過して流体路102に沿って流動し、遠位端110で継手104から出る。1つ以上の微粒子を含む流体に関して、継手104およびノズル202は、停滞領域204のような継手104の領域内でトラップされる微粒子の数を、低く保持する流体流れを提供する。
【0036】
図2Bは、一部の実施形態に従った、図2Aに示された継手104と、図2Aに示されたノズル202と、平面シール222と、ゴム状シール224と、を含む器具220の詳細な図解である。一部の実施形態では、ノズル202は、ノズルフランジ216を含む。平面シール222は、継手104とノズルフランジ216との間に形成される。平面シールは、2つのコンポーネントの間の表面と表面とのシールを含む。一部の実施形態では、継手104は、ゴム状シール224を含む。ゴム状シール224は、継手104の2つのコンポーネントの間で圧縮される、ゴム状材料のリングによって形成される。
【0037】
図2Aに示された器具200、および図2Bに示された器具220は、患者に連結される流体送達システム内に含まれ得る。そのような実施形態では、器具200および220のそれぞれは、低い注入圧力および流速で、高密度、高力価微粒子の効果的な注入を可能にする。低い注入圧力は、漏洩の可能性を減少させる。低流速は、逆流(患者の血管系への逆流)の可能性を減少させ、それは、微粒子が標的に送達される可能性を増加させる。
【0038】
図3は、一部の実施形態に従った、継手304を含む低流速の流体路302を含む、器具300の図解である。継手304は、近位端306と遠位端308とを有する。操作において、継手304を含む低流速の流体路302は、継手304の近位端306から遠位端308に向けて、高密度微粒子源の少なくとも約90%を送達する。例えば、高密度微粒子源が1,000万個の粒子を含む場合には、操作において、器具300は、源から継手304の遠位端308に、少なくとも約900万個の高密度微粒子を送達する。カテーテルは、器具300に関連した使用に好適な、例示的な継手である。一部の実施形態では、操作において、低流速の流体路302は、約0.05ミリリットル毎秒と約0.93ミリリットル毎秒との間の流速を有する。高密度微粒子は、約1.5超の比重を有する。高い比活性の放射性微粒子は、約0.5Ci/g超の比放射能を有する。非放射性粒子に関して、高い比活性は、有効成分、例えば、酸化剤のような治療薬または向上薬の濃度を意味する。器具300は、標的への微粒子送達を改善し、微粒子をトラップするために利用される継手304内の体積が、標的への送達を意図された微粒子の体積の約5%を超えるときには、特に有用である。
【0039】
図4は、高い比活性を有する高密度微粒子源を哺乳類に連結するステップ(ブロック402)と、高い比活性を有する高密度微粒子を、源で約5psigから約30psigの圧力で、哺乳類に送達するステップ(ブロック404)と、を含む方法400の流れ図である。一部の実施形態では、高い比活性を有する高密度微粒子源を哺乳類に連結するステップは、源と哺乳類との間にカテーテルを接続するステップを含む。一部の実施形態では、高い比活性を有する高密度微粒子を、源で約5psigから約30psigの圧力で、哺乳類に送達するステップは、源で利用可能な高密度微粒子の約90%超を哺乳類に送達するステップを含む。
【0040】
図5は、一部の実施形態に従った、微粒子源としての使用に好適な微粒子に対する、カテーテルサイズ、圧力範囲、等価流速、およびフラッシング体積を示す要約表である。要約表に見られるように、3フレンチのカテーテルサイズに対して、図4に示された流体路302内の圧力範囲は、約5psigと約30psigとの間である。等価流量は、0.49±0.44mL/sであり、フラッシング体積は、約60ml未満である。5フレンチのカテーテルサイズに対して、図4に示された流体路302内の圧力範囲は、約5psigと約30psigとの間である。等価流量は、2.1±0.9であり、フラッシング体積は、約60ml未満である。流速の変動範囲は、標準偏差の3倍に基づく。4フレンチのカテーテルに対する流速値は、3フレンチの値と5フレンチの値との間に入る。要約表に示された流体路に対する圧力および流速において、高密度微粒子源は、高い方の圧力の流体路よりも、低い方の圧力を定格とするシールを含み得る。
【0041】
図6は、一部の実施形態に従った、診断方法600の流れ図である。方法600は、1つ以上の微粒子を対象に送達するステップ(ブロック602)と、画像データを形成するために、1つ以上の微粒子を撮像するステップ(ブロック604)とを含む。画像データは、診断を生成するために、医師、臨床医、またはコンピュータシステムによって分析され得る。画像データは、特定の種類のデータに限定されない。例示的な種類のデータは、コンピュータシステムに記憶されるデジタルデータのようなデジタル、写真または他の表示可能な画像のようなアナログ、およびデジタルとアナログの複合を含む。一部の実施形態では、1つ以上の微粒子を対象に送達するステップは、1つ以上の微粒子を微小血管床に送達するステップを含む。微小血管床は、ヒト肝臓のような、器官内の小血管構造を含む。これらの小血管構造は、略球状微粒子をトラップし得る。一部の実施形態では、1つ以上の微粒子を対象に送達するステップは、1つ以上の放射性微粒子を対象に送達するステップを含む。一部の実施形態では、1つ以上の微粒子を微小血管床に送達するステップは、1つ以上の微粒子を、ヒト肝臓または他のヒト器官内の微小血管床に送達するステップを含む。一部の実施形態では、1つ以上の微粒子を微小血管床に送達するステップは、1つ以上の放射性微粒子を、ヒト肝臓、胸部、脳、または他のヒト器官内の微小血管床に送達するステップを含む。微粒子を撮像するステップは、特定の方法に限定されない。微粒子または微粒子集団を検出することが可能な、任意の撮像方法が、方法600に関連した使用に好適である。例示的な撮像方法は、超音波、磁気共鳴画像診断、およびコンピュータ断層撮影を含む。
【0042】
図7は、一部の実施形態に従った、分析を含む診断方法700の流れ図である。方法700は、1つ以上の略球状微粒子を対象に移送するステップ(ブロック702)と、画像データを形成するために、1つ以上の略球状微粒子を撮像するステップ(ブロック704)と、異常状態を識別するために、画像データを分析するステップ(ブロック706)とを含む。癌は、方法700を用いて検出および分析することができる、異常状態の一例である。方法700はまた、少数の放射性微粒子を動物のような対象に送達するステップと、対象内の微粒子の位置および分布を分析するステップと、分析から治療計画を生成するステップとを含む。治療計画は、より多数の略球状微粒子を対象に送達するステップを含み得る。一部の実施形態では、1つ以上の略球状微粒子を対象に移送するステップは、1つ以上の放射性微粒子を対象に移送するステップを含む。一部の実施形態では、異常状態を識別するために画像データを分析するステップは、動物の病状を識別するために、画像データを既知の疾病を識別するデータと比較するステップを含む。一部の実施形態では、画像データを形成するために、1つ以上の略球状微粒子を撮像するステップは、磁気共鳴画像診断装置を用いて撮像するステップを含む。しかしながら、撮像方法は、特定の方法に限定されない。微粒子を検出することが可能な、任意の撮像方法が、記載された診断方法に関連して使用され得る。例示的な撮像システムは、電磁波または音波のような、波動を用いて撮像するシステムを含む。電磁波を使用する例示的な撮像システムは、磁気共鳴画像診断およびコンピュータ断層撮影を含む。音波を使用する例示的な撮像システムは、超音波撮像システムを含む。
【0043】
記載された実施形態の多くの代替案および修正案が、当業者には上記の説明を読んだ後に、疑いなく明らかとなるが、例として示され記載されたいかなる特定の実施形態も、限定とみなされることは一切意図されていないことが、理解されるべきである。したがって、様々な実施形態の詳細を参照することは、特許請求の範囲を限定することを意図しない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の微粒子を含む流体を運ぶための流体路と、
該流体路に沿って配置される継手であって、該継手近傍の該流体路は、実質的に力の場と整合される、継手と、
を備える、器具。
【請求項2】
前記継手は、ルアーフィッティングを含む、請求項1に記載の器具。
【請求項3】
前記流体路は、放射性微粒子源を含む、請求項1に記載の器具。
【請求項4】
前記流体路は、カテーテルを含む、請求項3に記載の器具。
【請求項5】
前記器具は、癌治療法に含まれる、請求項1に記載の器具。
【請求項6】
前記1つ以上の微粒子は、約1.5超の比重を有する、請求項1に記載の器具。
【請求項7】
前記継手は、カテーテルに含まれる、請求項1に記載の器具。
【請求項8】
前記力の場は方向を有し、前記継手近傍の前記流体路は、前記力の場に対して約プラスマイナス35度に保持される、請求項7に記載の器具。
【請求項9】
前記力の場は方向を有し、前記継手近傍の前記流体路は、前記力の場に対して約プラスマイナス45度に保持される、請求項7に記載の器具。
【請求項10】
1つ以上の微粒子を含む流体を運ぶための流体路と、
該流体路内に配置される継手と、
該継手近傍に位置する停滞領域を通過して該流体を動かすために、該流体路内に配置されるノズルと、
を備える、器具。
【請求項11】
前記ノズルは、サイドポートを含む、請求項10に記載の器具。
【請求項12】
前記ノズルは、入力ポート断面積を有する入力ポートと、出力ポート断面積を有する出力ポートとを含み、該入力ポート断面積は、該出力ポート断面積よりも大きい、請求項11に記載の器具。
【請求項13】
前記ノズルは、前記入力ポートから前記出力ポートへの、テーパを有するノズル流体路を含む、請求項12に記載の器具。
【請求項14】
前記テーパは、約45度未満の傾斜を有する、請求項10に記載の器具。
【請求項15】
前記ノズルは、前記継手と実質的に中心を一致させ、かつ逆流を実質的に防止するためにシールを形成するようにサイズ設定された、フランジフィッティングを含む、請求項10に記載の器具。
【請求項16】
前記継手は、前記シールを含む、請求項15に記載の器具。
【請求項17】
前記シールは、ゴム状シールを含む、請求項15に記載の器具。
【請求項18】
前記シールは、平面シールを形成するフランジを含む、請求項15に記載の器具。
【請求項19】
前記継手は、テーパフィッティングを含む、請求項10に記載の器具。
【請求項20】
前記器具は、癌治療法に含まれる、請求項10に記載の器具。
【請求項21】
1つ以上の微粒子を含む流体を、継手を含む流体路に導入するステップと、
該継手の近傍の該流体路を、力の場と整合させるステップと、
を包含する、方法。
【請求項22】
前記継手の近傍の前記流体路を前記力の場と整合させるステップは、該継手の近傍の該流体路を重力場と整合させるステップを包含する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
癌患者を前記流体路に導入するステップをさらに包含する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
1つ以上の微粒子を含む前記流体を、前記継手を含む前記流体路に導入するステップは、放射性微粒子スラリーを圧力下で前記流体路に導入するステップを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
約20ミリリットルと約80ミリリットルとの間の体積を有するフラッシング流体を導入するステップをさらに包含する、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
近位端と遠位端とを含む継手と、
該継手の該近位端から該継手の該遠位端へと、高密度微粒子源の少なくとも約90%を送達するための、該継手を含む低流速の流体路と、
を備える、器具。
【請求項27】
前記継手は、カテーテルを備える、請求項26に記載の器具。
【請求項28】
前記低流速は、約0.05ミリリットル毎秒と約0.93ミリリットル毎秒との間である、請求項27に記載の器具。
【請求項29】
前記高密度微粒子源は、高い比活性を有する1つ以上の高密度微粒子を含む、請求項26に記載の器具。
【請求項30】
高い比活性を有する高密度微粒子源を哺乳類に連結するステップと、
高い比活性を有する該高密度微粒子を、該源で約5psigと約30psigとの間の圧力で、該哺乳類に送達するステップと、
を包含する、方法。
【請求項31】
高い比活性を有する前記高密度微粒子源を前記哺乳類に連結するステップは、該源と該哺乳類との間にカテーテルを接続するステップを包含する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
高い比活性を有する前記高密度微粒子を、前記源で約5psigと約30psigとの間の前記圧力で、前記哺乳類に送達するステップは、該源で利用可能な該高密度微粒子の約90%超を、該哺乳類に送達するステップを包含する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
1つ以上の微粒子を対象に送達するステップと、
画像データを形成するために、該1つ以上の微粒子を撮像するステップと、
を包含する、方法。
【請求項34】
前記1つ以上の微粒子を前記対象に送達するステップは、
該1つ以上の微粒子を微小血管床に送達するステップを包含する、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記1つ以上の微粒子を前記対象に送達するステップは、
1つ以上の放射性微粒子を該対象に送達するステップを包含する、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記1つ以上の微粒子を前記微小血管床に送達するステップは、
該1つ以上の微粒子をヒト肝臓内の該微小血管床に送達するステップを包含する、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記1つ以上の微粒子を前記微小血管床に送達するステップは、
1つ以上の放射性微粒子をヒト肝臓内の該微小血管床に送達するステップを包含する、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
1つ以上の略球状微粒子を対象に移送するステップと、
画像データを形成するために、該1つ以上の略球状微粒子を撮像するステップと、
異常状態を識別するために、該画像データを分析するステップと、
を包含する、方法。
【請求項39】
前記1つ以上の略球状微粒子を対象に移送するステップは、
1つ以上の放射性微粒子を該対象に移送するステップを包含する、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記異常状態を識別するために前記画像データを分析するステップは、
動物の病状を識別するために、該画像データを既知の疾病を識別するデータと比較するステップを包含する、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
画像データを形成するために前記1つ以上の略球状微粒子を撮像するステップは、
磁気共鳴画像診断装置を用いて撮像するステップを包含する、請求項38に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−542278(P2009−542278A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−517469(P2009−517469)
【出願日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際出願番号】PCT/IB2007/001780
【国際公開番号】WO2008/004060
【国際公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(509002567)エムディーエス (カナダ) インコーポレイテッド (2)
【出願人】(509002833)
【出願人】(509002844)
【Fターム(参考)】