説明

流体エネルギ回収装置

【課題】流体エネルギの伝達効率を向上することができる流体エネルギ回収装置を提供する。
【解決手段】第1の中心点Xを中心として回動自在に形成された上部板体1と、上部板体1と平行にかつ第1の中心点Xと第2の中心点Yが対向位置となるように配設され第2の中心点Yを中心として回動自在に形成された下部板体2と、上部板体1に上端3aが下部板体2に下端3bがそれぞれ固着された羽根部3を上部板体1および下部板体2の周方向に等間隔にて複数個有し、上部板体1の上面に配設され、流体エネルギを羽根部3で受けることにより得られた上部板体1の回転エネルギを回収する回収部4とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、流体エネルギの伝達効率を向上することができる流体エネルギ回収装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の流体エネルギ回収装置は、軸部材に複数の羽部材が取り付けられ、羽部材で受けた流体エネルギを軸部材の回転トルクとして出力するものである(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−371946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の流体エネルギ回収装置は、羽部材の中央部に存在する軸部材にて流体エネルギを回収しているため、軸部材が流体の流れの障害となり流体エネルギの伝達効率が低減するという問題点があった。
【0005】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、流体エネルギの伝達効率を向上することができる流体エネルギ回収装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、第1の中心点を中心として回動自在に形成された上部板体と、
上部板体と平行にかつ第1の中心点と第2の中心点が対向位置となるように配設され第2の中心点を中心として回動自在に形成された下部板体と、
上部板体に上端が下部板体に下端がそれぞれ固着された羽根部を上部板体および下部板体の周方向に複数個有し、
上部板体の上面に配設され、流体エネルギを羽根部で受けることにより得られた上部板体の回転エネルギを回収する回収部とを備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明の流体エネルギ回収装置は、第1の中心点を中心として回動自在に形成された上部板体と、
上部板体と平行にかつ第1の中心点と第2の中心点が対向位置となるように配設され第2の中心点を中心として回動自在に形成された下部板体と、
上部板体に上端が下部板体に下端がそれぞれ固着された羽根部を上部板体および下部板体の周方向に複数個有し、
上部板体の上面に配設され、流体エネルギを羽根部で受けることにより得られた上部板体の回転エネルギを回収する回収部とを備えたので、流体エネルギの伝達効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1の流体エネルギ回収装置の構成を示す図である。
【図2】図1に示した流体エネルギ回収装置と従来の流体エネルギ回収装置との流体の流れの差を説明するための図である。
【図3】図1に示した流体エネルギ回収装置と従来の流体エネルギ回収装置との流体の有効落差を説明するための図である。
【図4】この発明の実施の形態1の他の流体エネルギ回収装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1はこの発明の実施の形態1における流体エネルギ回収装置の構成を示す図、図2は図1に示した流体エネルギ回収装置と従来の流体エネルギ回収装置との流体の流れの差を説明するための図、図3は図1に示した流体エネルギ回収装置と従来の流体エネルギ回収装置との流体の有効落差を説明するための図、図4はこの発明の実施の形態1における他の流体エネルギ回収装置の構成である。尚、各図における羽根部の個数は、各図において理解しやすいように示しているものであり、流体エネルギ回収装置を設置する箇所などにより適宜形成個数は設定することができるものである。
【0010】
図において、第1の中心点Xを中心として回動自在に形成され円板にて形成されている上部板体1と、上部板体1と平行にかつ第1の中心点Xと第2の中心点Yが対向位置となるように配設され第2の中心点Yを中心として回動自在に形成され、円板の中央部に開口部2aを有する下部板体2と、上部板体1に上端3aが下部板体2に下端3bがそれぞれ固着された羽根部3を上部板体1および下部板体2の周方向に等間隔にて複数個有している。羽根部3は流体を受けやすいように、横断面が半円形状にて形成されている。そして、各羽根部3はこの半円形状の凹部方向が周方向において同一方向となるように配設されている。尚、この形状はこれに限られることはなく、他の形状でも流体を受けることが可能である形状であればよく、本流体エネルギ回主装置が使用される流体の流れに応じて強度などで適宜決定されるものである。そして、上部板体1の上面に配設され、流体エネルギを羽根部3で受けることにより得られた上部板体1の回転エネルギを回収する回収部4とにて構成される。
【0011】
上記のように構成された実施の形態1の流体エネルギ回収装置は、羽根部3が河川などに浸漬される。そして、流体としての水の流れを羽根部3が受けて回転する。これに伴い、上部板体1および下部板体2は第1および第2の中心点X、Yを中心に回転する。そして、この上部板体1の回転エネルギを回収部4にて回収して、発電等を行う。
【0012】
この際、本発明は上部板体1と下部板体2との間に軸が存在しないため、羽根部3間の流体の流れが軸にて遮られることがなく流体の流れを有効的に利用することができる。このことについて図2を用いて説明する。図2(a)は従来の流体エネルギ回収装置の横断面図を、図2(b)には図1に示した本発明の流体エネルギ回収装置の横断面図をそれぞれ示す。図2(a)は、下部板体20に羽根部30が本発明と同様に周方向に等間隔にて形成されている。そして、下部板体20と上部板体(図示せず)との間には主軸50が配設されている。この図2(a)ような従来の流体エネルギ回収装置の構成の場合には、例えば、流体がA1点方向からB1点の羽根部30に衝突すると、C1点に至る。しかしながら、C1点には主軸50が存在するため、この主軸50に流体が衝突して方向を変更され、B1点に近いD1点の羽根部30に衝突して羽根部30の回転に寄与する。
【0013】
これに対して、本発明の流体エネルギ回収装置は、例えば、流体がA2点方向からB2点の羽根部3に衝突すると、C2点に至る。そして、C2点には主軸50が存在しないため、流体の流れる方向は変更されること無く直線的に進み、B2点と対象位置となるD2点の羽根部3に衝突して羽根部3の回転に寄与する。このように、従来のように始めに衝突したB1点から近い点のD1点であるため、D1点における回転力の寄与は、本発明の始めに衝突したB2点から対角線上にあたるD2点の回転力の寄与に比較すると低減する。尚、ここで示した流体の衝突するA1点およびA2点は、羽根部30、3を回転される際に、回転力に一番寄与する点である。よって、従来の流体エネルギ回収装置は、主軸に流体が衝突するため流れの流速が低下するとともに、主軸が流体の流れの障害となり、始めに衝突した流体エネルギ伝達効率を低下する。これに対し、本発明の流体エネルギ回収装置は、主軸が存在しないため、主軸による流体の流速が低下することはなく、また、主軸より流体の流れが阻害されることはなく、流体エネルギ伝達効率が向上する。
【0014】
また、図1にように形成された本発明の流体エネルギ回収装置は、主軸が存在しないため下部板体の下面に主軸を支える支持部を形成する必要がない。よって、下部板体2を河川床面の近傍位置に配設することができ、羽根部3の高さ方向を流体の流れに対して有効的に利用することができる。このことについて図3を用いて説明する。図3(a)は従来の流体エネルギ回収装置の縦断面図を、図3(b)には図1に示した本発明の流体エネルギ回収装置の縦断面図をそれぞれ示す。それぞれの流体エネルギ回収装置の全長の高さは、同一の高さのものにて比較を行う。図3(a)は、図2(a)に示した部分と同様の部分は同一符号を付して説明を省略する。上部板体10と、下部板体20の下面に、主軸50を下部板体20を介して支えるため支持部60が形成されている。この図3(a)のような従来の流体エネルギ回収装置の構成の場合には、例えば、河川床面に対して支持部60の高さ分隔てた位置に下部板体20を配設する必要があるため、水面からの羽根部30に受ける有効落差H1となる。よって、羽根部30の有効落差H1は支持部60の高さ分短くなる。
【0015】
これに対して、本発明の流体エネルギ回収装置は、例えば、河川床面に対して支持部が存在しないため(必要ないため)、下面板部20を河川床面の近傍位置に配設でき、水面からの羽根部3に受ける有効落差H2となる。よって、従来の場合と比較すると有効落差の差H3が存在する。このように、従来の流体エネルギ回収装置は、主軸が存在するための下部板体の下面に支持体が必要となり、その高さ分有効落差が低減する。これに対し、本発明の流体エネルギ回収装置は、主軸が存在しないため、下部板体の下面に支持体を備える必要が無く、羽根部を有効的に使用することができ、流体エネルギの回収率を向上することができる。
【0016】
上記実施の形態1によれば、第1の中心点を中心として回動自在に形成された上部板体と、上部板体と平行にかつ第1の中心点と第2の中心点が対向位置となるように配設され第2の中心点を中心として回動自在に形成された下部板体と、上部板体に上端が下部板体に下端がそれぞれ固着された羽根部を上部板体および下部板体の周方向に複数個有し、上部板体の上面に配設され、流体エネルギを羽根部で受けることにより得られた上部板体の回転エネルギを回収する回収部とを備えたので、上部板体と下部板体との間に主軸を有しないため、主軸による流体の流れの阻害がなく、流体エネルギ伝達効率が向上する。
【0017】
また、上部板体は、円板にて形成されているので、第1の中心点を中心として上部板体の回転を容易に行うことができ、流体エネルギの回収を効率よく行うことができる。
【0018】
また、下部板体は、中心に開口部を有する円板にて形成されているので、下部板体の重量を軽減することができかつ流体の流れを遮ることが低減できるため、下部板体が小さな流体エネルギで回転することが可能となり、流体エネルギの回収を効率よく行うことができる。
【0019】
尚、上記実施の形態1では、下部板体を中央に開口部を有する円板にて形成する例を示したが、これに限られることはなく、例えば図4に示すように、下部板体200が、円板にて形成され、下部板体200の下面に下部板体200の回転を支持する支持体6を備えて場合も考えられる。この場合、有効落差は低減するものの、下部板体の強度を向上させることができ、流体の流れが強い箇所などに利用することが可能となる。
【符号の説明】
【0020】
1 上部板体、2,200 下部板体、2a 開口部、3 羽根部、3a 上端、
3b 下端、4 回収部、6 支持体、X 第1の中心点、Y 第2の中心点。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の中心点を中心として回動自在に形成された上部板体と、
上記上部板体と平行にかつ上記第1の中心点と第2の中心点が対向位置となるように配設され上記第2の中心点を中心として回動自在に形成された下部板体と、
上記上部板体に上端が上記下部板体に下端がそれぞれ固着された羽根部を上記上部板体および上記下部板体の周方向に複数個有し、
上記上部板体の上面に配設され、流体エネルギを上記羽根部で受けることにより得られた上記上部板体の回転エネルギを回収する回収部とを備えたことを特徴とする流体エネルギ回収装置。
【請求項2】
上記上部板体は、円板にて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の流体エネルギ回収装置。
【請求項3】
上記下部板体は、中心に開口部を有する円板にて形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の流体エネルギ回収装置。
【請求項4】
上記下部板体は、円板にて形成され、
上記下部板体の下面に上記下部板体の回転を支持する支持体を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の流体エネルギ回収装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−94486(P2011−94486A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−246265(P2009−246265)
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【出願人】(599041606)三菱電機プラントエンジニアリング株式会社 (21)
【Fターム(参考)】