説明

流体サンプルの凝固を分析するシステム、方法およびコンピュータ実施プロセス

【課題】センサに対する物質蓄積を防止しつつデータを収集する。
【解決手段】サンプル保持領域内にある1以上のセンサを含む。センサはサンプル検出位置を規定する1以上のエッジをもつ。サンプル検出位置でサンプルの有無が検出される。サンプル保持領域へ導入したサンプルを試薬と混合することでサンプルデータを分析し、試薬生成物の形成を始める。混合後、サンプル検出位置でサンプル無しを検出する際に、サンプルのエッジがセンサのエッジを通り過ぎてサンプル検出位置へ移動する。サンプル検出位置でサンプル有りを検出する際に、サンプルのエッジがセンサのエッジを通り過ぎてサンプル検出位置の外側へ移動する。振動の間に他のセンサによってデータ収集できる。これらステップを繰り返すことで、センサの物質蓄積が防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いろいろな分析を行うためのシステム、方法およびコンピュータ実施プロセスに関するものである。より詳細には、本発明は、流体サンプルを分析する際に使用するためのシステム、方法およびコンピュータ実施プロセスに関するものである。さらにより詳細には、本発明は、データ収集時にセンサの上にサンプルを移動させることによって、サンプルの変化時間あるいはいろいろなサンプル情報を計算あるいは収集し、試薬を溶解し、センサ表面上あるいはセンサ表面の周りに不要な物質が蓄積することを防止することに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、血液および他の体液を分析し、試験する多数の手順および技術が存在する。例えば、凝析技術は、血液のサンプルからのいろいろな情報を収集するために使用される。これらの手順の中には比較的簡単なものもあるが、非常に複雑なものも多く、それらは多数の分析工程あるいは準備工程を必要とする。例えば、血液サンプルを必要とする手順の多くは、クロットの形成の為に試薬の付加を必要とする上、データ収集のためのサンプルを準備して、血液の固有特性を明らかにする必要がある。
【0003】
例えば、「鬱血」と称される血液を流体状態に保持するためには、凝血促進剤あるいは抗凝血剤の微妙なバランスを必要とする。人間の体においては、凝血促進剤は、損傷を受けた血管からの血液の流出を阻止することによって過剰な出血を防止するのに対して、抗凝血剤は、血管を塞ぎ、心筋梗塞症あるいは脳卒中をもたらし得るクロットが循環系に形成されることを防止する。
【0004】
血液クロットをもたらす生化学シーケンスは凝固カスケードと称される。このメカニズムは、可溶性の血漿タンパク質であるフィブリノゲンの不溶性フィブリンへの触媒反応変換に基づいている。この反応を触発する酵素は、活性体として血液に永久に循環せず、プロトロンビンすなわちトロンビンの不活性前駆体として存在するトロンビンである。トロンビンへの変換は、カルシウムイオンおよび組織トロンボプラスチンの存在で生じる。このメカニズムは外因系として知られている。第2に、より複雑な内因系は、血小板に関連する凝固因子によって活性化される。
【0005】
血友病のように、12の血液凝固因子の1つあるいはそれ以上が欠陥であり得る出血状態の診断は、いろいろな凝固試験によって行うことができる。さらに、いくつかの試験は、血栓溶解治療の経過を監視するために開発された。また血栓溶解以前状態または超凝固可能な状態の信号を出すか、あるいは心肺バイパス手術中患者へプロタミンを投与する効果を監視するために開発された検査もある。しかしながら、凝固試験の主たる価値は、経口および静脈内の抗凝血剤治療を監視する時にある。主な診断試験の3つは、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)、プロトロンビン時間(PT)、および活性化凝固時間(ACT)である。
【0006】
APTT試験は、凝固の内因系および一般的な凝固経路を評価する。この理由で、APTTは、しばしば静脈内のヘパリン抗凝血剤治療を監視するために使用される。特に、APTT試験は、活性化剤、カルシウムおよびリン脂質がクエン酸塩血液サンプルに加えられた後に、フィブリンクロットが形成される時間を測定する。ヘパリン処理はクロット形成を抑制する効果を有する。
【0007】
PT試験は、凝固の外因系および一般的な凝固経路を評価し、したがって経口抗凝血剤治療を監視するために使用される。経口抗凝血剤クマディンは、プロトロンビンの形成を抑制する。したがって、この試験は、血液サンプルへのカルシウムおよび組織トロンボプラスチンの付加に基づいている。
【0008】
ACT試験は、凝固の内因系および一般的な凝固経路を評価する。ACT試験は、ヘパリン治療による抗凝血剤を監視するためにしばしば使用される。ACT試験は、外因性の抗凝血剤が全然加えられない全血液を新しくする内因系への活性剤の付加に基づいている。
【0009】
凝固試験のための標準研究所技術においては、一般的には濁度計の方法を使用する。分析のために、全血液サンプルは、クエン酸塩バキュテナに収集され、次に遠心分離機で分離される。この分析は、クエン酸塩の効果を中和するために十分過度のカルシウムが付加された血漿で実行される。PT試験の場合、組織トロンボプラスチンは、使用前に再構成された乾燥試薬として提供される。この試薬は、感熱性であり、4℃に保持される。サンプルおよび試薬のアリコートは、37℃に加熱されるキュベットに移動され、この測定は光学密度の変化に基づいて行われる。
【0010】
濁度計の方法の代替として、ベッカーらは、色原体PT試薬(凝固定量分析)を導入した(非特許文献1参照)。
【0011】
【非特許文献1】「Haemostasis」(1982)12:73
【0012】
この分析は、トロンビンによって変更ペプチド、Tos−Gly−Pro−Arg−pNAからのpニトロアニリンの加水分解に基づいており、分光測光計によって監視される。
【0013】
凝固監視器は、全血液を分析するものとして公知である。例えば、少量の血液が導入される前に乾燥試薬が、37℃に加熱された分析器に入れられるユニット型カートリッジがある(特許文献1参照)。このサンプルは、毛細管の吸い込みによって試薬と混合される。検出機構は、サンプルを通過するレーザ光に基づいている。流路に沿って移動する血液細胞は、未凝固血液に固有なまだらのあるパターンを生じる。血液が凝固すると、移動しても凝固血液に固有なパターンを発生することはなくなる。
【0014】
【特許文献1】米国特許第4,756,884号
【0015】
また、心肺バイパス中血液サンプルの活性化凝固時間(ACT)を患者から測定する自動凝固タイマが示されている。サンプルは、クロットを形成するための撹拌装置を組み込んだカートリッジに加えられる。撹拌装置の運動は、光検出器によって制御される(非特許文献2参照)。
【0016】
【非特許文献2】Keethら著「Proceedings Am.Acad.Cardiovascular Perfusion」(1988)9:22
【0017】
また、酵素トロンビンとの反応の電気活性生成物を生成する基質の使用が開示されている(特許文献2参照)。センサは電気活性生成物を検出するために使用される。ここには、単体型カートリッジは含まれず、サンプルの位置を監視するために第2のセンサの使用は開示されていない。
【0018】
【特許文献2】米国特許第4,304,853号明細書
【0019】
また、凝固を分析するための濁度計方法が開示されている(特許文献3参照)。過度のクエン酸塩を含む血漿が試験中に使用される。凝固を誘起する試薬が付加され、サンプルが濁度計に入れられ、凝固はサンプルの混濁度の増加によって示される。
【0020】
【特許文献3】米国特許第4,497,744号明細書
【0021】
さらに、カリウムおよびグルコース血液レベルのような血液化学試験のためのカートリッジおよび分析器の一般的な使用形態、またサンプル流体をセンサ領域に単一方向に移動させるポンプの一般的な使用形態が開示されている(特許文献4を参照)。
【0022】
【特許文献4】米国特許第5,096,669号明細書
【0023】
また、検体の分析のためのセンサ装置のマイクロ素子の製造に関する有効な方法が開示されている(特許文献5を参照)。
【0024】
【特許文献5】米国特許第5,200,051号明細書
【0025】
また、血液が強いて毛細管導管を横切るようにされる血液凝固試験装置が開示されている(特許文献6を参照)。横断のための時間が所定のパーセンテージだけ前の時間を超える場合、凝固が生じたとみなされる。この装置は、2つの導管、すなわち分析対象サンプルを受け取る第1の導管と、オーバーフローサンプルを受け取る第2の導管とに接続された閉じられていない入口ポートを備える。
【0026】
【特許文献6】米国特許第5,302,348号明細書
【0027】
また、凝固分析で使用される単体型カートリッジおよび読み取り器が開示されている(特許文献7及び8を参照)。サンプルの状態は、例えば、導電率センサによって検出されるようなその流れ特性によって測定される。
【0028】
【特許文献7】米国特許第5,447,440号明細書
【特許文献8】米国特許第5,628,961号明細書
【0029】
また、血液のサンプルの凝固特性、血液の比率、あるいはそのコントロールを計算する方法が開示されている(特許文献9を参照)。この方法は、凝固特性が測定される多数の記憶された包絡線値の各々で包絡線の傾斜を測定するために後方を調べる方式を使用する。しかしながら、この方法は、その包絡線の値を得るために固定あるいは所定のサンプリング時間を使用し、記憶されたサンプル値を修正する。さらに、この方法は、包絡線値ならびにサンプル信号値を記憶することを必要とする。
【0030】
【特許文献9】米国特許第5,526,111号明細書
【0031】
また、体液を含む流体のイオン活動を測定するためにイオン専用電極を使用する装置が開示されている(特許文献10及び11を参照)。この流体は、この装置の遠心分離および加圧によってこの装置内で計量され、移動される。
【0032】
【特許文献10】米国特許第5,916,522号明細書
【特許文献11】米国特許第5,919,711号明細書
【0033】
上述のことから明らかであるように、大部分の血液試験は、データ収集を開始する前に、ある種の試薬の付加およびサンプルへのある種の試薬の溶解を必要とする。したがって、効率的かつ効果的に試薬を導入してサンプルに溶解するために使用できるシステム、方法およびコンピュータ実施プロセスに対する要求が存在する。さらに、他の種類の医学手順に対しても一般的に当てはまるように、試験を完了するまでに必要とされる速度および時間は最も重要となる。したがって、比較的短い時間で試薬を血液サンプルに溶解あるいは配分するシステムおよび方法に対する要求も存在する。
【0034】
さらに、今日の試験装置がコンパクトで物理的に小さいサイズであることが、サンプリング装置に記憶される試薬の量を直接制限してしまうようになった。したがって、サンプルされる血液の量に制限を加えないで限られた量の試薬を使用できるシステム、方法およびコンピュータ実施プロセスに対する要求が存在する。このように、比較的少量の試薬がある程度の体積のサンプルと併用され得るかもしれない。それに関連して、限られた量の試薬が比較的大量のサンプルに溶解される場合に、最高量の試薬を含むサンプルの一部だけからデータを収集できるシステム、方法およびコンピュータ実施プロセスに対する要求も存在する。
【0035】
さらに、データ収集は、血液に含まれる望ましくない物質の蓄積によって悪影響を及ぼされ得るのは、生物学的な流体の電気測定値および電気化学的測定値を収集する当業者によく知られている問題である。すなわち分析装置のデータ収集領域におけるこのような蓄積を防止できる方法、システムおよびコンピュータ実施プロセスに対する要求も存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0036】
したがって、従来技術に対するこれらの要求および他の要求に答えるために、本発明の目的は、例えば、サンプル変化時間を計算するために、センサの上でサンプルを往復運動させ、繰り返して移動させることによって流体サンプルを分析する際に使用される新規のシステム、方法およびコンピュータ実施プロセスを提供することにある。
【0037】
本発明の目的はまた、効率的かつ効果的に試薬を混合し、サンプルに溶解するために用いられる技術を提供することにある。
【0038】
本発明の他の目的は、比較的短い時間量で試薬を流体サンプルに溶解あるいは配分できる技術を提供することにある。
【0039】
本発明のもう一つの目的は、サンプルされる流体量に制限を加えないで限られた量の試薬を使用できる技術を提供することにある。
【0040】
本発明のもう一つの目的は、最高量の試薬を含有するサンプルの一部分だけから、データを収集できる技術を提供することにある。
【0041】
本発明のもう一つの目的は、分析装置のデータ収集領域における不要な物質の蓄積を防止できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0042】
これらの目的および他の目的を達成するために、本発明は、サンプルを保持するサンプル保持領域を有するサンプル分析装置および少なくとも部分的にサンプル保持領域内に置かれた少なくとも1つのセンサを使用するための命令を記憶する方法、システムおよびコンピュータ可読媒体を提供することを意図する。本実施態様では、少なくとも1つのセンサは、サンプル検出位置を規定し、サンプル検出位置のサンプルの有無を検出できる少なくとも1つのエッジを有する。本発明は、さらに(a)サンプルをサンプル保持領域に導入し、(b)試薬をサンプルと混合し、試薬生成物の形成を始め、(c)少なくとも1つのセンサによってサンプル検出位置にサンプルがないことを検出した際に、サンプルの少なくともかなりの部分がその中に置かれるようにサンプルのエッジを少なくとも1つのセンサのエッジを通り過ぎてサンプル検出位置に移動させ、(d)少なくとも1つのセンサによってサンプル検出位置にサンプルがあることを検出した際に、サンプルの少なくともかなりの部分よりも少ない部分がその中に置かれるようにサンプルのエッジを少なくとも1つのセンサのエッジを通り過ぎてサンプル検出位置の外へ移動させ、および(e)所定の期間の通過までステップ(c)〜(d)を繰り返すことによって少なくとも1つのセンサ上あるいは少なくとも1つのセンサの周りに物質の蓄積を防止することを含む。
【0043】
他の実施態様では、本発明は、サンプルを保持するサンプル保持領域を有するサンプル分析装置および少なくとも部分的にサンプル保持領域内に置かれた少なくとも1つのセンサを使用するための命令を記憶するシステム、方法およびコンピュータ可読媒体を提供することを意図する。本実施態様では、少なくとも1つのセンサは、サンプルが検出表面と接触している場合にサンプルがあることを検出でき、サンプルがこの表面と接触していない場合にサンプルがないことを検出できる。本実施態様は、さらに(a)サンプルをサンプル保持領域に導入し、およびステップ(b)および(c)の少なくとも1つ、(b)試薬がサンプルの試薬の濃い部分を形成するためにサンプルの空気液体境界の近くで少なくともほぼ溶解されるまでサンプル保持領域の試薬混合領域を通ってサンプルの空気液体境界を移動させることによって試薬を混合し、および(c)サンプル解析の完了まで検出表面の上にサンプルの空気液体境界を移動させることによって検出装置上の物質の蓄積を防止することを含み、かつ往復運動での移動は、センサがサンプルがあることを検出するまでサンプルを検出表面の方へ移動させ、センサがサンプルのないことを検出するまでサンプルを検出表面から離れたところに移動させることを含む。
【0044】
もう一つの実施態様では、本発明は、サンプル保持領域を含む装置およびデータ収集領域を形成する少なくとも部分的にサンプル保持領域内に置かれたセンサを使用することによってサンプル変化時間を計算する命令を記憶するシステム、方法およびコンピュータ可読媒体を提供することを意図する。本実施態様では、サンプルがデータ収集領域の中に移動された時、データがサンプルから収集される。本実施態様は、さらに(a)サンプルをこの装置に導入し、(b)試薬をサンプルと混合し、試薬生成物の形成およびサンプルの変化を始め、(c)サンプルをデータ収集領域の中へ移動させ、(d)サンプルがデータ収集領域の中へ移動された時データをセンサによって収集し、(e)サンプルをデータ収集領域の外側へ移動させ、(f)十分な所定の変化がステップ(d)で収集されたデータから検出されるまでステップ(c)〜(e)を繰り返し、(g)試薬生成物情報を収集ステップ(d)で収集されるデータから試薬生成物情報を抽出し、(h)抽出ステップ(g)で収集された収集生成物情報を利用することによって変化時間を計算することとを含み、移動ステップ(c)および(e)は、センサの上あるいはセンサの周りに物質の蓄積を防止する。
【0045】
ここまで、本発明のより重要な特徴について概略的に説明した。それは後述する詳細な説明がより理解しやすくなるようにするため、またこの技術に対する本発明の貢献するところがより正しく認識されるようにするためである。また、以下に説明される本発明の更なる特徴が、請求の範囲を主題を形成するものとなることはもちろんである。
【0046】
この点で、本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明が、下記に詳述され、図面に示される構造の細部および構成要素の配置のその応用に限定されないことを理解すべきである。本発明は、他の実施形態が可能であり、いろいろな方法で実施し、実行できる。さらに、ここに使用された専門用語および術語は、説明する目的のためであり、限定するものとしてみなすべきでないことを理解すべきである。
【0047】
当該技術分野の知識を持つ者であれば、本発明のいくつかの目的を実行する他の構造、方法およびシステムの設計のための根拠として、この開示に基づく概念が容易に利用できることが分かるであろう。したがって、本発明の精神および範囲から逸脱しない限り特許請求の範囲がそのような等しい構成を含むものとみなすべきであることが重要である。
【0048】
さらに、前述した概略説明の目的は、米国特許商標庁および一般大衆、特に科学者、技術者、特許用語あるいは法律用語あるいは表現法に精通していない技術の専門家が、本出願の技術開示の特徴および本質を通り一遍の精査から迅速に確かめられることにある。この概説は、請求項によって判断される本出願の発明を規定することを意図するものでなく、本発明の範囲を限定することを意図するものでもない。
【0049】
本発明を特徴付ける新規性のいろいろな特色と共に本発明の他の目的は、本開示の一部に付加され、本開示の一部を形成する請求項の詳細な事項をもって示される。本発明と、それを実施する上での長所およびそれを用いることによって得られる特定の目的を十分理解するために、本発明の好ましい実施形態が例証されている説明事項および添付図面と共に参考文献が用いられるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の技術を実施し、利用することができるシステムの一例の断面平面図を示している。
【図2】図1のシステムのサンプルエントリポートの断面を示している。
【図3】図1のシステムのサンプル保持領域の断面を示している。
【図4】図1のシステムのオーバーフロー室の透視図を示している。
【図5】図1のシステムの導電度測定・電流測定センサを示している。
【図6】図1のシステムの分析位置のサンプルの振動運動を示している。
【図7】図1のシステムによって実行できる凝固手順の概要の例を示している。
【図8】図7の手順のデータ収集ステップを示している。
【図9】図7の手順の情報抽出ステップを示している。
【図10】本発明の技術を実施し、利用できるシステムのもう一つの例を示している。
【図11】図10のシステムの主要部品のブロック図を示している。
【図12】本発明の原理による図10のコンピューティングシステムによって読み取り可能なメモリ媒体の例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本発明の他の目的は、特に好ましい実施形態の下記の詳細な説明の考察で当業者に明らかである。
【0052】
(記号および用語)
下記に続く詳細な説明は、例えば、コンピュータあるいはコンピュータのネットワークのようなコンピューティングあるいは処理システムで実行されるプログラム手順によって示されてもよい。これらの手順の説明および表示は、他の当業者に当業者の研究の中身を最も効果的に伝えるために当業者によって使用される手段である。
【0053】
ここで手順とは、所望の結果をもたらすまでの首尾一貫した工程のシーケンスであると通常考えられる。これらの工程は、物理的数量の物理的操作を必要とする工程である。必ずではないが通常、これらの数量は、記憶され、移動され、結合され、比較され、または操作されることができるように電気信号あるいは磁気信号の形をとる。ビット、値、要素、シンボル、文字、用語、数字等としてこれらの信号を参照することは、主に一般的な用法から時に便利である。しかしながら、これらの用語およびこれらに類する用語は、適切な物理量に関連してとらえられるべきであり、これらの数量に与えられた単なる便宜的なラベル的なものであることに注目するべきである。
【0054】
さらに、実行される操作はしばしば、「付加する」あるいは「比較する」というような用語で言及される。それらの用語は、一般的に人間操作者によって実行される知的な操作を連想させる。しかし、人間操作者のこのような能力は、本発明の一部を形成するここに示された操作の大部分の場合において、全く必要でない、もしくは求められていない。この操作は機械による操作である。本発明の動作を実行する有用な機械は汎用ディジタルコンピュータあるいは類似装置を含んでいる。
【0055】
本発明の原理によれば、サンプル分析装置を使用する方法、システムおよびコンピュータ可読媒体が開示される。より詳細には、本発明は、その中に形成されるサンプル保持領域を有するサンプル分析装置および少なくとも部分的にサンプル保持領域内に置かれている少なくとも1つのセンサを使用することを含む。センサは、センサエッジによって規定されるサンプル検出位置内のサンプルの有無を順に検出できる。有利なことには、本発明は、サンプル保持領域の試薬混合領域を通過してサンプルの空気液体境界あるいはエッジを移動させて、空気液体境界の付近内で試薬を分解することによって試薬を混合することを含む。さらに、本発明は、サンプル検出位置にサンプルがないことを検出した上で、サンプルのエッジを、センサのエッジを通り過ぎてサンプル検出位置に移動させることによって、センサ上あるいはセンサの周りに物質が蓄積することを防止することも含む。同様に、サンプル検出位置にサンプルがあることを検出した上で、本発明は、サンプルのエッジを、センサのエッジを通過して後方へおよびサンプル検出位置の外へ移動させることを含む。したがって、前述した方法によって、いろいろな試験、例えば血液凝固試験あるいは免疫測定が、効率的かつ効果的に実行される。
【0056】
本発明の原理に則って、本発明を実施し利用できるシステムの一実施例を、図1に示す。さらに本発明の技術は図1に示す実施例にとどまらず、多数の他の装置で実行し、利用できる程に十分汎用性がある。例えば、先に参考文献として挙げた米国特許第5,628,961号、米国特許第5,447,440号、米国特許仮出願第60/164,935号には、流体サンプルの粘度変化を分析し、実時間試験を実行するいろいろな装置が示されており、本発明の技術を実施し、利用できるまた別の例として役立つ。
【0057】
図1は、本発明によるカートリッジあるいはハウジング10の断面図を示している。サンプル入口ポート12は、ハウジング10へのサンプルの導入を可能にし、周辺の過剰サンプルウェル14によって囲まれる。スナップカバー38は、サンプル入口ポート12を気密シール構造で囲む。サンプル保持室あるいはサンプル保持領域20の一端は、サンプル入口ポート12に流体で接続されている。サンプル保持領域20の他方の端部に位置しているのは、毛管ストッパ22である。
【0058】
プレセンサ室24は、毛管ストッパ22から分析位置31へと導く。さらに、疎水性層26は、プレセンサ室24と分析位置31との間に置かれる。試薬および/または基質30は、分析位置31のシステムに付着あるいは導入されてもよい。試薬30は導電度センサ28および電流測定センサ29の下方にあるように示されているけれども、サンプルがセンサに到達する前に試薬30を通過するように導電度センサ28および電流測定センサ29の上方に試薬30を配置することもできる。さらに、分析位置31とつながっているのは、1つあるいはそれ以上の導電度センサ28、1つあるいはそれ以上の電流測定センサ29、および1つあるいはそれ以上の基準センサ32である。さらに、分析位置31とつながっているのは排水管34である。
【0059】
サンプルは、可撓性ダイヤフラムポンプ36の使用によりシステム内を移動できる。可撓性ダイヤフラムポンプ36は空気をポンピングすることによって、サンプルが空気管18、オーバーフロー室16を通って、最後にサンプル保持領域20の中へ移動することを容易にする。さらに、図1においてポンプは可撓性ダイヤフラムポンプとして示されているけれども、ピストンおよびシリンダ、電気力学的なもの、音響的なもの等が使用されてもよい。
【0060】
図2は、本発明によるカートリッジあるいはハウジング10のサンプル入口ポート領域の断面図を示している。より詳細には、壁あるいはテープあるいは膜42は、カートリッジの上部ハウジング40と下部ハウジング44との間にはさまれて示されている。この点では、テープ42は、各側面に粘着性層を有し、カートリッジの上部ハウジング40および下部ハウジング44に付着する。この特定
の図では、サンプル入口ポート12ならびにサンプル保持領域20および周辺ウェル14は、サンプル46で充填されて示されている。
【0061】
図3は、サンプル保持領域20、プレセンサ室24、および毛管ストッパ22の結合の断面図を示している。図3に示されるように、サンプル保持領域20およびプレセンサ室24は、下部ハウジング44および上部ハウジング40にそれぞれ形成あるいはモールドされる。テープ42は、順にサンプル保持領域20の上部壁およびプレセンサ室24の底部壁を形成する。テープ42は、毛管穴あるいは貫通穴22を形成するように穴をあけられ、サンプル保持領域20とプレセンサ室24との間の流れを制限することによって毛管ストッパとしての機能を果たす。図3の毛管ストッパ22は円形穴あるいは貫通穴であるけれども、矩形形状およびいろいろな不均整な形状を有する他の形状のものでもよい。形状が矩形である場合、1つの例は約100ミクロンから約400ミクロンの最小寸法を有する。このような例では、毛管ストッパの最大寸法は約100ミクロンから約1000ミクロンである。
【0062】
図4は、オーバーフロー室16の透視図を示している。特に、オーバーフロー室16は、サンプル保持領域20の真上にあり、テープ42によって形成される底部壁を有する。テープ42のオリフィス48は、オーバーフロー室16をサンプル保持領域20に流体で接続する。このオリフィスは、円形形状、矩形形状、あるいは不均整な形状のいずれかであってもよい。オーバーフロー室は、比較的低い壁でボックスの形で構成される。空気管18は、空気を可撓性ダイヤフラムポンプ36からオーバーフロー室16に供給する。オーバーフロー室の容積は0.2マイクロリットルから1ミリリットルの範囲である。オーバーフロー室の好ましい容積は1マイクロリットルから10マイクロリットルの範囲である。円形オリフィスの直径は、約100ミクロンから約1000ミクロンまでの範囲である。
【0063】
毛管ストッパ22は、プレセンサ室24への毛管吸い込みを停止するのに十分な抵抗を有するが、カートリッジ閉鎖が突然閉じられるときに生じる突然の圧力変化に抵抗するのには十分でないように設計される。この点の毛管開口の力を減らすために、2つの「オーバーフロー」機能がカートリッジ内に組み込まれる。第1のものは、図1および図2の過剰サンプルウェル14である。スナップカバー38が閉じられると、過剰のサンプルの一部は、カートリッジに押し込まれず、ウェルに押し込まれる。オーバーフローを処理するために使用される第2のものは、図4に示されたオリフィス48あるいは圧力ベントである。過剰サンプルはそれを通ってオーバーフロー室16に流れ込むことができる、前述したように、オーバーフロー室16は、カートリッジ上側に形成され、テープ42壁によってオーバーフロー室から分離されるサンプル保持領域20の上にある低容積室である。テープ42のオリフィス48は、オーバーフロー室への過剰サンプルの流れを可能にし、毛管ストッパの開口よりも大きい面積を有する。結果として、オリフィス48は、上述された毛管ストッパよりも小さい流れ抵抗を有する。
【0064】
テープ開口あるいはオリフィス48の上のオーバーフロー室16は、比較的低い壁を有するので、一旦サンプルがこの穴を押しのけて送られると、サンプルはコロナ処理プラスティックに接触し、このオーバーフロー室に引き込まれる。したがってカートリッジが閉じられるときに移動させられたサンプルは、このオーバーフロー室内に閉じ込められる。空気袋が圧縮されると、空気は、強制的に空気管18を通ってオーバーフロー室16の中に入れられる。この領域の高表面積対体積比はサンプル分断を促進するので、空気はオーバーフロー室の壁についた過剰サンプルを残して、過剰サンプルを経路に押し出して通す。
【0065】
図5は、センサチップ上にある導電度センサ28および電流測定センサ29を示している。このセンサチップは、順に少なくとも部分的にサンプル保持領域20内に置かれる。より詳細には、導電度センサ28は、一緒にセンサ表面を構成する2つの平行バーあるいは電極を含む。この電極は、サンプル保持領域20あるいはセンサチャネルの長さに垂直に配置される。さらに、センサ表面のエッジは、2つの電極間の導電率(あるいはその代わりに電気抵抗)を測定することによってサンプルの有無を検出できる。そのようにすることによって、導電度センサ28は、流体活動の相対位置を監視できる。先端で、開放回路読み取りは、流体が押されてセンサを離れる(すなわち、サンプルは隣接して電極を覆わない)ことを示し、一方、閉鎖回路読み取りは、センサが流体で覆われる(すなわち、サンプルは隣接して電極を覆う)ことを示している。下記により詳細に後述されるように、前方および後方への特定の速度でのサンプルの移動は、導電度センサ28の使用によって制御できる。
【0066】
導電度センサ28を含むことに加えて、本発明は、任意で電流測定あるいは電位差計センサ29を含んでもよい。本例では、電流測定センサ29は、そのアンテナ状電極33の使用によって電位を印加し、電流を測定してもよい。さらに、ここではセンサは電流測定センサおよび導電度センサであるとしたけれども、他のセンサ、例えば、いかなる種類の電気化学あるいは電位差計センサ等が使用されてもよい。例えば、Na+およびK+のようなイオン化学種を検出できるセンサが使用されてもよい。さらに、本例のセンサは、サンプル保持領域20の下方へ配置されるものとして示されているけれども、導電度センサ28および電流測定29の両方は、流体導管内のどこへでも置かれてもよい。
【0067】
図5に示された例では、電位は、電気化学信号の生成より電流測定センサに印加されてもよく、この信号は流体サンプルの生成物の濃度に比例する。電流測定センサは、約+0.4Vの印加電位対銀−塩化銀電極を有し、他の好ましい実施形態では、電流測定センサは、約+0.1の印加電位対銀−塩化銀電極を有する。約+0.1Vで酵素反応生成物で発生される信号は約+0.4Vで無反応基質によって発生される信号と区別できる。
【0068】
サンプルについて説明する。凝固分析は、一般的に本発明の使用、例えば、血液のサンプルあるいは添加剤あるいは希釈剤を含む血液、血漿、血清、あるいは添加剤あるいは希釈剤を含む血漿あるいは血清のような血液誘導体のサンプルで実行される。
【0069】
サンプル導入について説明する。このサンプル46は、図1および図2に示されたサンプル入口ポート12を通ってシステムの中に付着される。入口ポート12は、毛管力によって、サンプル46の一滴がシステムのポートを通りサンプル保持領域20の方へ引き出されるよう設計されている。特に、この引き出し動作は、このシステムのプラスティック導管の幾何学的形状および高表面エネルギーによって引き起こされる。高表面エネルギーは、組み立て前イオンプラズマ処理のようなコロナ処理あるいは同等な処理で得られる。一旦サンプル46がサンプル保持領域20に到達すると、導管の幾何学的形状およびコロナ処理表面によって、サンプル46は、その導管に沿って毛管ストッパ22まで流れる。一例として、サンプル保持領域20の断面積の上限は、システムが満たされている時に万一垂直に保持された場合に毛管引き出しを防止できる断面積に設定される。さらに本例における、サンプル保持領域20の断面積の下限は、試験に対して必要とされるサンプル量およびこの量に必要とされる再現性に設定される。一例として、0.0075cm2の断面積を有するサンプル保持領域20は、19マイクロリットル入れられる。他の実施形態では、計量された流体サンプル量は、1マイクロリットルから1ミリリットルの範囲にある。計量された流体サンプルの好ましい量は、15マイクロリットルから50マイクロリットルの範囲にある。
【0070】
流体サンプルの計量について説明する。混合のためにセンサチャネルに移動されるサンプル量の再現性は、血液の分解試薬の最終濃度の再現性に影響を及ぼし得る。一実施形態では、サンプル46、例えば血液は、最初に分析位置31に移動される。次に、サンプル46は、ポンプ36で発生し空気管18を介した空気により前方へ移動される。計量された流体サンプル量は、サンプル保持領域20の壁のオリフィス48と毛管ストッパ22との間のサンプル保持領域20のおよそ容積である。移動される血液量は、一時的にはオリフィスの前にある血液量、二次的にはサンプル保持領域20の表面積対容積比によって決まる。他の要因は、サンプルヘマトクリット(赤血球で構成される血液量のパーセント)および流体速度を含む。これらの後者の3つのパラメータは、サンプル量がこの保持室が空にされたときに、サンプル保持領域20の壁に残るサンプル量を決定する。流体は、低表面積対容積比を有するチャンバから低速度で移動するとき、最も正確に計量される。サンプル保持領域20の断面積の下限は、必要な流体速度での剪断に対する容積損失の許容変動によって決定される。
【0071】
サンプル保持領域20を充填するにあたり、適切なサンプル量を供給するために毛管引き出しが十分に利用される。さらに、停止機能はサンプル46がプレセンサ室24にオーバーフローすることを防止するために設けられている。前述のように、毛管ストッパ22は、サンプル保持領域20およびプレセンサ室24の重なり部分間のテープ42の小さい穴あるいは貫通穴によって形成される。形成される毛管ストッパ22は、比較的小さくて、例えばテープ42の厚さに等しい厚さを有する。これは、毛管の抵抗を減少させ、それによって流体を停止する際のその効率を減少させ得るけれども、それを通してサンプル46がプレセンサ室24に入る前に必ず通る高剪断ゾーンも最小にする。低容積の高剪断ゾーンは、毛管の壁に対するサンプルの損失を最小にし、移動流体の後方端部が毛管領域に存在するときに、空気セグメントを一緒に取り込んでしまう可能性を減少させる。
【0072】
サンプルの移動について説明する。サンプル46を移動させるために、ポンプ36は、空気を強制的に空気管18を通過させてオーバーフロー室16に入れ、サンプル保持領域20のサンプル46の計量されたサンプル量を強制的にプレセンサ室24を通して分析位置31に入れるように作動される。さらに、一様の流れは、導管の表面エネルギーがその側面の全てで等しいことを保証し(すなわち、等しい表面エネルギーを有する物質を使用するかあるいは均一性を保証するように表面を処理し)、それによってサンプル内の気泡の形成を防止する。
【0073】
試薬について説明する。実行する試験あるいは分析に応じて、いろいろな成分が試薬に含まれてもよい。その試薬のいくつかは流体サンプルによる試薬の急速な再溶解の一因となり得る。これらは、水溶性ポリマー、ゼラチン、アガロース、多糖、ポリエチレングリコール、ポリグリシン、サッカリド、サッカロース、アミノ酸、グリシン、緩衝塩、リン酸ナトリウム、HEPESバッファ、あるいは染料分子を含む。さらに、シーライト、カオリン、珪藻土、粘土、二酸化シリコン、エラグ酸、天然トロンボプラスチン、組み換えトロンボプラスチン、リン脂質、およびその混合物を含む外因系による凝固を誘起するのに適している物質が使用されてもよい。さらに、液体試薬ならびに固体試薬が使用されてもよい。最後に、試薬は、最初から試薬領域に置かれてもよいしあるいは試験中任意の便宜的時間および任意の所望の位置に導入されてもよい。
【0074】
トロンビン基質反応ついて説明する。一例では、電気発生分析で使用される基質は、フィブリノゲンのトロンビン付着アミド結合によく似ているアミド結合を有する。特に、この基質は、N−フェニル−p−フェニレンジアミンあるいはN−[p−メトオキシフェニル−]−p−フェニレンジアミン部分に付着されたトシル−グリシル基−プロライニル−アルジニル−、H−D−フェニルアラニル−パイプコニル−あるいはベンジル−フェニルアラニル−バリル−アルジニル−部分であってもよい。トロンビンは、その結合が構造的にフィブリノゲンのトロンビン付着アミド結合に類似しているためにアルギニン残留物あるいはパイプコニル残留物のカルボキシ基境界でアミド結合に付着する。トロンビン基質反応の生成物は、電気化学的に不活性のトシル−グリシル基−プロライニル−アルジニル−、H−D−フェニルアラニル−パイプコニル−あるいはベンジル−フェニルアラニル−バリル−アルジニル−および電気活性化合物のN−フェニル−p−フェニレンジアミンあるいはN−[p−メトオキシフェニル−]−p−フェニレンジアミンである。トリペプチドシーケンスは、事実上トロンビン以外の血液プロテアーゼと無反応にするために使用され、分子のアルギニンアミド結合とのトロンビンの反応性は、フィブリノゲンのターゲットアミド結合とのその反応性に非常に類似している。基質が血液あるいは血液誘導体サンプルにある場合、生成されるトロンビンは、同時に血液およびフィブリノゲンをその分裂生成物に変換する。電気化学種反応生成物は、例えば電気化学センサによって検出されてもよい。
【0075】
本システムの電流測定センサを使用して分析されるに適した、可逆あるいは準可逆電気化学反応を示す電気発生物質が多種存在する。例えば、フェロセン、フェロシアン化物、および他の有機金属化学種が検出できる。他のものはフェナジン誘導体を含む。ある適当な電気発生物質は、酵素を分析する際に使用するための適当な基質と結合されてもよい。例えば、ある適当な電気発生物質は、トロンビンがあることを判定する際に使用するためのアルギニン残留物を有する適当なトリペプチドと結合されてもよい。
【0076】
酵素反応の基質あるいは電気発生生成物に対する検出電位とは異なる電位で検出される指示薬電気発生物質が試薬に含まれてもよい。このような第2の電気発生物質は、電流測定センサを標準化するのに役立つ。この目的のために適した電気発生物質は、フェロセン、フェロシアン化物、および他の有機金属化学種、フェナジン誘導体、N−フェニル−p−フェニレンジアミンおよびN−[p−メトオキシフェニル−]−p−フェニレンジアミンを含む。
【0077】
電気化学的に検出できる化学種は比率測定あるいは試験終点の決定を可能にする目的で発生されるために、この試験は「電気発生」と称される。これは、サンプルの光吸収特性あるいは光放出特性の変化が比率測定あるいは終点を示す「色原体」終点試験あるいは「蛍光発生」終点試験と同様である。色原体試験では、例えば、基質分子の付着部は、トリペプチドに付加される場合に無色であり、トロンビンの活動によって遊離される場合に明るい色にされる。自由化学種が光を吸収する波長を監視することによって活性トロンビンが生成される時間を決定できる。色原体APTT試験およびPT試験は、従来のAPTT血漿試験およびPT血漿試験に対する良い相関を有することが示されている。
【0078】
試薬混合ついて説明する。本発明の原理によれば、システムの試薬は、速くおよび効率的に混合することができる。特に、システムは、サンプル46のエッジあるいは空気−液体界面を試薬の上に繰り返して移動させ、有利なことには試薬分解を促進する。より詳細には、センサが、サンプルがサンプル検出位置にないと判断すると、サンプルおよびそのエッジは、センサ表面の方へおよび(センサのエッジによって規定される)サンプル検出位置に移動される。同様に、サンプルがサンプル検出位置にあると判断すると、サンプルおよびそのエッジは、センサ表面から離れて、サンプル検出位置の外側へ移動される。この手順は、試薬が十分に溶解されるまで往復移動になるように繰り返される。
【0079】
図6A〜図6Cを参照してさらに詳しく説明する。本例では、ある長さの導管は、試薬30で被覆される。サンプルのセグメントを試薬の上に往復させることにより、対流を誘起し、それによって試薬を急速に溶解する。この運動は、血液セグメントの後縁が試薬コーティングを横切って連続的に前後に移動するように制御される。さらに、移動の時間量はいかなるものでもよいが、好ましくは試薬の少なくともかなりの部分を分解するのに十分な長さのものであるとよい。さらに、この移動は、サンプルの有無の検出後直ぐにあるいは検出後の短い時間量後に生じ得る。
【0080】
図6A〜図6Cは、プレセンサ室24および排水管34を含む流体路の他の部分とともに分析位置31を示している。前述したように、試薬30は、分析位置31に付着されてもよいし、あるいは手順が開始した後の任意の時間に導入してもよい。図6Bは、そのエッジが試薬付着を通り過ぎて移動した後のサンプル46を示している。同様に、図6Cは、そのエッジが後方へバックして試薬付着の上に移動した後のサンプル46を示す。図6Aの分析位置31に付着される試薬30が示されているけれども、全流体路に沿って試薬を任意の位置に配置できる。
【0081】
データ収集およびセンサ上の不要な物質の蓄積の防止ついて説明する。本発明の原理によれば、データは、例えば、電流測定センサ29の使用によって収集される。センサ上あるいはセンサの周りの不要な物質の蓄積を防止するために、サンプル46のエッジは、往復運動してセンサ表面上に繰り返して移動される。不要な物質の例は、プラズマ、血清、細胞、タンパク質、他の分子、塩等のような乾燥血液、あるいは血液成分のような生物学的薬剤物質および/または血液成分の物理的吸収物、例えばタンパク質、小さい分子、チオール基を含む分子、あるいは電極表面をブロックしその電気活動を変えてしまう電極上に置かれたその他何でもを含む。
【0082】
一実施形態では、振動あるいは往復運動は、1から100秒の範囲の期間に0.2から10ヘルツの範囲の周波数にあってもよい。他の実施形態では、振動は、約20秒の期間に約1.5ヘルツの範囲の周波数にある。さらにもう一つの実施形態では、この振動は、約0.3ヘルツの周波数にある。データを収集あるいは抽出するために、電流測定センサ29、すなわち第2のセンサは、各振動の信号を発生する。本実施形態では、電流測定センサ29は、サンプル46が電流測定センサ29を通り過ぎて振動される度に生成物の濃度を測定する。
【0083】
本実施形態では、第1の電流測定センサ信号は、システムによって記憶され、電流測定センサ29からの次の信号は、電流測定センサ信号の変化の最大比率を決定するために記憶され、第1および他の記憶信号と比較される。これらのデータは、電流測定センサ信号の変化の最大比率の固定部分を決定するために分析され、例えば、当該の凝固パラメータを測定するために使用される。
【0084】
N−フェニル−p−フェニレンジアミンあるいはN−[p−メトオキシフェニル−]−p−フェニレンジアミン部分に付着された基質トシル−グリシル基−プロライニル−アルジニル−、H−D−フェニルアラニル−パイプコニル−あるいはベンジル−フェニルアラニル−バリル−アルジニル−部分を使用する本発明の実施形態では、完全な基質は、約+0.4Vの電圧で検出される。電気発生反応生成物のN−フェニル−p−フェニレンジアミンあるいはN−[p−メトオキシフェニル−]−p−フェニレンジアミンは、約+0.1Vの電圧で検出される。したがって、これらの実施形態では、システムは、流体サンプルにおける基質の濃度に比例する電気化学信号の発生により電流測定センサに電位を印加する。さらにシステムは、流体サンプルにおける基質の濃度に比例する電気化学信号の発生により電流測定センサに電位を印加する。トロンビンによる基質の加水分解後、基質によって発生される信号から識別可能な信号の発生により電流測定センサで反応する生成物が形成される。
【0085】
基質を電流測定で検出するために使用される正確な電圧および生成物は基質および生成物の化学構造に応じて変わることに注目すべきである。基質および生成物を検出するために使用される電圧の差が、読み間の干渉を防止するのに十分大きくあるべきことが重要である。いくつかの基質の場合、基質を電気化学的に検出するのに必要とされる電圧は高く、実際の測定値以上になる程である。これらの場合、必要なことは、生成物が電流測定で検出可能であることだけである。
【0086】
センサは、好ましくは任意の適当な導電性材料で小形製造され、好ましくは金、白金、銀あるいはイリジウムで作られる。自己組織化チオール膜のような血液成分によるセンサ表面の有毒物の汚染を防止する薄い有機層でセンサを被覆することも望ましい。メルカプトアルカノールは自己組織化チオール膜を形成し、いくつかの例は、メルカプトエタノール、メルカプトプロパノール、メルカプトブタノール、およびその混合物を含む。
【0087】
したがって、サンプル46を往復運動するように移動させ、センサと接触し、それからセンサと非接触にすることによって、センサ上の不要な物質の蓄積が防止でき、それによって従来技術によって利用できるものよりもより正確な測定値が得られる。
【0088】
サンプル46に試薬の濃い部分を形成する方法を説明する。本発明の原理によれば、サンプル46の一部だけを試薬混合領域を通って往復運動するように移動させることによって、サンプル46に試薬の濃い部分を形成することができる。このように、試薬は全サンプルに溶解される必要がないために、比較的少量の試薬は、実行手順の質と妥協しないで使用できる。より詳細には、サンプル46の最初の部分だけが試薬混合領域(すなわち、試薬が導入あるいは付着される領域)を通って移動され、それによってサンプル46の残りの運動は試薬混合領域の外側の流体導管に生じる。結果として、混合後、サンプル46の最初の部分は、サンプル46の残りの濃度よりも高い試薬濃度を有する。有利なことには、例えば電流測定センサ29によってこの試薬の濃い最初の部分から収集されたデータは、従来技術の方法から収集された結果よりもより正確な結果をもたらす。
【0089】
流体位置の保持について説明する。本発明の原理によれば、流体位置は試験の進行中ずっとサンプル46内で静止状態が保持される。これは、混合を監視し、データ収集を容易にするために使用される流体位置センサからのフィードバックを利用した活動位置制御によって行われる。短時間の試験の間は、センサのバー間の抵抗(あるいは導電率)は、データポイントがシステムあるいはセンサによって記録されるまで、所定の最小値および所定の最大値の領域、すなわち換言すると閉回路読み以上の設定されたオーム数内に保持される。したがって、サンプル46の空気−液体界面は2つのバー間に保持される。サンプル46がサンプル保持領域20の方へ後方へ漂流する場合、抵抗は、予めセットされた制限がトリガされるまで減少し、制御抵抗が再び得られるまでシステムにサンプルを前方へ押させる。サンプル46が排水管の方へ漂流する場合、抵抗は増加し、システムにサンプル46を後方へ引っ張らせる。本発明の場合、流体活動は、100ミクロンの公称位置内に保持できる。さらに、この動きは、サンプル46内の対流を起こさない程度に十分低い振幅および速度の動きである。
【0090】
本発明の位置制御機能は、有利なことには、例外的な結果をもたらすために蓄積防止機能とともに使用されてもよい。例えば、終了までに15分間といった長い時間量を必要とする凝固試験の場合、赤血球あるいは他の不要な物質は沈殿するかもしれず、あるいは血液成分はセンサ表面上またはセンサ表面の周りで乾燥するかもしれない。これらの状態によって、所定の流体位置に対する抵抗は、増加し、位置コントローラを妨害する。沈殿の場合、抵抗は徐々に増加し、コントローラにあたかも流体が前方へ漂流し不正確な結果を生じているかのような対応をさせる。
【0091】
これらの問題を回避するために、流体は、閉回路抵抗が測定される全閉回路位置まで周期的に移動させられる。次に、流体は、新しい閉回路読みに対する抵抗値オフセットに再配置される。この振動は、連続的にチップを湿らせ、オフセット抵抗は、沈殿サンプルのための閉回路読みに対してセットされる。
【0092】
凝固試験を説明する。本発明の原理によれば、前述のように、本技術および手順は、多数の流体試験および血液試験を実行するために利用されてもよい。一例として、本発明は、血液サンプルが凝固するまでに必要とされる、または化学的、物理的変化を経るまでに必要とされる時間量を測定するために使用されてもよい。血液が分析されるサンプルとして使用される場合、当該の変化は、一般的には血液クロットの形成であり、試薬生成物情報は一般にクロット曲線である。実際の手順に関して、図7を参照すると、サンプル46が、例えば上記の手順によりサンプル保持領域20に導入された後、このサンプル46は、試薬と混合され、試薬生成物の形成を始める(710)。
【0093】
前述したように、この混合は、試薬がサンプル46の空気液体境界の近くで少なくともほぼ溶解されるまで、サンプル46の空気液体境界をサンプル保持領域20の試薬混合領域を通過して移動させることを含む。特に、往復運動移動は、センサがサンプル46があることを検出するまでサンプル46をセンサの検出表面の方へ移動させ、次にセンサがサンプル46がないことを検出するまでサンプルをセンサの検出表面から離れたところに移動させることを含む。したがって、センサによってサンプルがないことをサンプル検出位置から検出した時に、システムは、サンプル46のエッジをセンサのエッジを通り過ぎてサンプル検出位置に移動するので、サンプルの少なくともかなりの部分がその中にある。同様に、センサによってサンプル検出位置にサンプルがあることを検出する際に、システムは、サンプル46のエッジをセンサのエッジを通り過ぎてサンプル検出位置の外側へ移動するので、サンプルのかなりの部分よりも少ない部分がその中にある。さらに、本実施形態において、移動はサンプル46の有無の検出の際に直ちに生じるけれども、代替実施形態では、本移動は、検出後の所定の時間量に生じるように遅延されてもよい。
【0094】
さらに、本移動は、サンプル46に試薬30の濃い部分を形成するために使用されてもよい。より詳細には、混合移動はサンプル保持領域20に形成される試薬混合領域で生じる。本実施形態では、この混合は、サンプル46の最初の部分だけによって試薬混合領域を通って繰り返される往復運動移動を含む。結果として、サンプル46の残りの移動は、試薬混合領域の外側のサンプル46保持領域で生じる。このように、最初の部分は、残りの試薬濃度よりも高い試薬濃度を有する。したがって、従来の装置を使用して得られるよりもさらに正確な結果を得るために、データはサンプル46のこの最初の部分だけからセンサによって収集されてもよい。
【0095】
例えば試薬を溶解するのに十分長い所定の時間、この移動を繰り返すことによって、試薬の濃い部分がサンプル46で形成される。サンプル46の分析の完了まで検出表面の上にサンプル46の空気液体境界を同様に繰り返し移動させることによって、センサ上あるいはセンサの周りにおける物質の蓄積も、データ収集ステップ720中に防止することができる。
【0096】
データ収集ステップ720後、後述されるように、この手順は試薬生成物情報、すなわちこの場合、クロット曲線データを抽出するステップ730を続け、次にステップ740におけるサンプルクロット時間の実際の計算で完了する。
【0097】
本発明の原理によれば、例えば電流測定センサ29によるデータ収集は、実時間クロット検出およびサンプル位置制御とを同時に生じる。特に、データ収集は、サンプル検出位置(すなわち、電流測定センサの近くの領域)へのサンプル46の各移動に対して生じる。サンプル46の十分な所定の変化が検出されるまでこれらの移動が続く。この変化は、任意の種類の化学的あるいは物理的変化であってもよく、本実施形態では、少なくともサンプル46における血液クロットの部分形成である。
【0098】
次に、データ収集ステップ720について、図8を参照してより詳細に述べる。最初に、センサ上の電圧は、およそ約2.5から2.6秒間およそ約−45から−55mVに保持される(810)。次に、センサ上の電圧は、およそ約0.5から0.6秒間およそ約95から105mVに保持される(815)。次に、センサは、所定のサンプリング期間、例えば約0.01から約0.07秒間サンプリングされ、単一時期にこのサンプル46のデータを収集する(820)。これは、次に例えばシステムメモリ内に記憶されたデータポイントを形成するために使用される。
【0099】
データ収集の各段階でのセンサの電極電位を変えることによって、センサの電気化学汚染が防止される。さらに、他の実施形態では、最初のデータサンプリング前に、センサの電極電位は、サンプル46の電気化学活動を所定の最大値のままにさせるレベルに設定されてもよい。さらに、収集データの誘導電流成分は、データを収集する前に時間遅延を負わせることによって最大にされる。
【0100】
各データポイントの収集後、試薬生成物情報(すなわち、クロット曲線情報)は、血液クロットの実時間形成のために抽出され、分析される(825)。図9を参照して後述されるように、血液クロットの形成は、基本的に電流測定センサ電流の上昇、次のレベルオフに対してデータを分析することによって測定される。このような状態が検出されない場合、処理は前述のサンプリング手順で再開する。しかしながら、このような状態が検出された場合、変化時間は、抽出試薬生成物情報を利用することによって計算される。
【0101】
サンプル位置を保持する手順は、データ収集と同時に生じる(850)。データ収集とサンプル46の移動の同期を容易にすることによって、センサ上の運動の影響は除去できる。この同期移動に関して、センサで測定された導電率が所定の最小値よりも小さい場合、サンプル46は前方へ移動される。同様に、センサで測定された導電率が所定の最大値よりも大きい場合、サンプル46は後方へ移動される。センサデータポイントがセンサによって記録されるまで、この処理が繰り返され(855)。
【0102】
センサデータポイントの指示の上で、サンプル46は、センサ表面を完全に覆うように後方へ移動される。この移動は、サンプル46のエッジが移動してセンサのエッジを通り過ぎるまで続く(865)。この時に、移動はサンプル46の位置を保持することで停止する。次に、サンプルエッジがセンサのエッジを通過するまで、サンプル46は前方へ移動される(875)。そこから、処理は、他のデータポイントの収集のためのサンプル位置を保持するステップ850に戻る。
【0103】
次に、図9A〜図9Cを参照して、変化時間を決定するデータから試薬生成物情報を抽出する処理について述べる。この特定の例では、この処理は、クロット曲線の時間、傾斜および振幅、すなわち換言すると試薬生成物情報を利用することによって変化時間を基本的に計算する。特に、この処理は、曲線上昇時間、最大傾斜、および電流上昇前に生じる電流測定波形の一部を通って引かれるトレンドラインおよびクロット曲線の傾斜が所定のレベルに低下する場合に生じる点としてそれぞれ規定されるベースラインと上部肩部との間の電流の変化を利用する。さらに、曲線上昇時間は、電流がベースラインと上部肩部との間の中間点に上昇する時間として規定される。さらにより詳細には、肩部を規定する所定のレベルは、最大傾斜のおよそ約40%から約60%であってもよい。
【0104】
最初に、システムは、例えばシステムメモリから前述の手順で収集されたデータにアクセスする(910)。次に、最大電流が測定される(912)。この情報を使用して、最大電流と電流の予想範囲との間で比較が行われる(914)。この比較に基づいて、エラー結果が報告され、最大電流がその予想範囲内にない場合、分析が終了される(916)。しかしながら、最大電流が予想範囲内にある場合、処理は、最小電流の測定を続ける(918)。
【0105】
次に、最小電流と電流の予想範囲との間で比較が行われる(920)。最小電流がその予想範囲内にない場合、エラー結果が報告され、この処理が終了される(922)。一方、最小電流が予想範囲内にある場合、処理は、前述のようにベースラインの測定を続ける。
【0106】
最大電流および最小電流がその予想範囲内にあることを確かめることによって、前述したように電流上昇前に生じる電流測定波形の一部を通って引かれたトレンドラインであるベースラインが測定される(924)。一例として、このベースラインは、最小電流を通って引かれた平たいラインであってもよい。次に、このベースラインは、その予想範囲と比較される(926)。この比較に基づいて、エラー結果は、報告され、この分析は、ベースラインが予想範囲内にない場合、終了される(928)。それに反して、ベースラインがその予想範囲内にある場合、処理は、最大電流および最小電流の発生の時間間の比較を続ける(930)。
【0107】
最大電流が最小電流よりも時間が早く得られる場合、クロット形成がないことが報告される(932)。しかしながら、最大電流が最小電流よりも時間が遅く得られる場合、この処理は、最大傾斜の振幅および時間の測定を続ける。そこから、最大傾斜の振幅および時間の両方がその予想範囲と比較される(936)。最大傾斜の振幅および時間が予想範囲内にない場合、エラー結果が報告され、処理が終了される(938)。
【0108】
振幅および最大傾斜の検査の次に、本発明のシステムは、もしあれば、前述されるようにクロット曲線の傾斜が最大クロット曲線の50%に減衰する点である肩部の発生の時間を計算する。このような発生が識別される場合、このような発生の時間ならびにこの時の実際の電流が、例えば、システムメモリに記録される(940)。この決定によれば、肩部が得られない場合(942)、クロット形成がないことが示され、処理が終了される(944)。
【0109】
一方、肩部が検出される場合、電流変化、すなわちアイデルタが、ベース電流を肩部電流から減算されることによって測定される。次に、このアイデルタは、その予想範囲と比較される。次に、アイデルタがその予想範囲内になく、クロット検出範囲以下でない場合、エラー結果が示され、本処理は終了される(952)。アイデルタが予想範囲内になく、それにもかかわらずクロット検出範囲以下にある場合、クロット形成がないことが報告され、この処理は終了される(954)。
【0110】
アイデルタとその予想範囲との比較に戻る(948)と、アイデルタがその予想範囲内にある場合、上昇時間が測定される(956)。前述のように、この上昇時間は、電流がベースラインと上部肩部との間の中間点に上昇する時間である。次に、この上昇時間は、その予想結果と比較される(958)。上昇時間が予想範囲内にない場合、エラーが報告される。さもなければ、上昇時間が、クロット形成時間として報告され、この最終決定で、本実施形態のデータ抽出は、システムメモリに記憶されている全関連データに対して終了する。
【0111】
さらに、いくつかの他の機能を注目すべきである。より詳細には、本発明の方法で使用される試薬は、凝固カスケードの酵素のための基質であってもよい。この場合、試薬生成物は、電気活性化学種であり、蓄積することを防止される物質は、センサの表面上に吸着できるサンプル46の成分(したがって、可能性としてセンサを汚す)および/またはサンプル46の乾燥形式の成分のいずれかを含む。本発明の他の実施形態では、センサは、サンプル46のリガンドと結合できる受容体をセンサ上で動かなくしてもよい。
【0112】
さらに、本発明のシステムは、凝固酵素の分析のみに限定されない。グルコーゼ酸化酵素、乳酸塩酸化酵素、および他の酸素還元酵素、脱水素酵素基酵素、およびアルカリフォスファターゼおよび他のフォスファターゼ、およびセリンプロテアーゼのようないろいろな酵素に対する分析を考案できる。臨床の化学手順で分析される当該技術分野で公知の他の酵素は、本発明で分析できる。
【0113】
本発明の技術が前述のシステムで実施されているものとして示されているけれども、他のシステムは同様に上記の機能を実行できることを分かるべきである。例えば、たとえ上記のシステムが携帯ポイントオフケア装置として使用可能であることを意図されているとしても、本発明は図10に示されているコンピューティング装置のようなコンピューティング装置で実施されてもよいことも考えられる。この点では、図10は、本発明のコンピュータ実施の実施形態によるコンピュータ処理のいくつかあるいは全ても実行できる主処理装置の図である。ここに示されている手順は、例えばコンピュータあるいはコンピュータのネットワークで実行されるプログラムによって示される。
【0114】
図10で、外側から見ると、参照番号218によって示されるコンピュータシステムは、ディスクドライブ236および238を有するコンピュータ234を有する。ディスクドライブ236および238は、コンピュータシステム218に多数備えられるディスクドライブの単なる指示符号である。一般的には、これらは、フレキシブルディスクドライブ236と、ハードディスクドライブ(外側に図示せず)と、スロット238によって示されるCD ROMとを含む。ドライブの数および形式は、一般的には異なるコンピュータ構成とともに変わる。ディスクドライブ236および238は、実際にはオプションであり、空間を考慮した場合、ここに示された製造方法/装置とともに使用されるコンピュータシステム218から容易に省略される。
【0115】
コンピュータシステム218は、情報を表示するオプションのディスプレイ240も有する。いくつかの場合、キーボード242およびマウス244は、コンピュータ234とのインタフェースの入力装置として設けられている。次にさらに、より携帯性を高めるために、キーボード242は、限られた機能のキーボードであるか、あるいはそっくりそのまま省略されるかされてもよい。さらに、マウス244は、タッチパッド制御装置あるいはトラックボール装置でもよく、もしくは同様にそっくりそのまま省略されてもよい。さらに、コンピュータシステム218は任意に、後述されるような赤外線信号を送信および/または受信のいずれかを行うための少なくとも1つの赤外線送信機および/または赤外線受信機を備える。
【0116】
図11は、図10のコンピュータシステム218の内部ハードウェアのブロック図を示している。バス248は、コンピュータシステム218の他の構成要素を相互接続する主情報ハイウェイとして役立つ。CPU250は、プログラムを実行するのに必要とされる計算および論理演算を実行するシステムの中央処理装置である。読み取り専用メモリ(ROM)252およびランダムアクセスメモリ(RAM)254は、コンピュータの主メモリを構成する。ディスクコントローラ256は、1つあるいはそれ以上のディスクドライブをバス248にインタフェースする。これらのディスクドライブは、例えば262のようなフレキシブルディスクドライブ、あるいは258のようなCD ROMあるいはDVD(ディジタルビデオディスク)ドライブ、もしくは内部あるいは外部ハードディスクドライブ260である。前述したように、これらのいろいろなディスクドライブおよびディスクコントローラはオプションの装置である。
【0117】
ディスプレイインタフェース264は、ディスプレイ240をインタフェースし、ディスプレイ240に表示されるバス248からの情報を可能にする。さらに、前述したように、ディスプレイ240もオプションの装置である。例えば、ディスプレイ240は、交換あるいは省略できる。外部装置との通信、例えば、ここに示されたシステムの他の構成要素は、通信ポート266を使用することによって生じる。例えば、光ファイバおよび/または電気ケーブルおよび/または導体および/または光通信(例えば、赤外線等)および/または無線通信(例えば、無線周波数(RF)等)は、外部装置と通信ポート266との間のトランスポート媒体として使用できる。周辺インタフェース246は、キーボード242およびマウス244にインタフェースし、入力データがバス248に伝送されることを可能にする。コンピュータの標準構成要素に加えて、コンピュータは、任意に赤外線送信機および/または赤外線受信機も含む。コンピュータシステムがデータを赤外線信号伝送を介して送信/受信する1つあるいはそれ以上の処理構成要素/ステーションとともに使用される場合、任意に赤外線送信機が利用される。赤外線送信機あるいは赤外線受信機の代わりに、コンピュータシステムは、任意に、低電力無線送信機および/または低電力無線受信機を使用する。この低電力無線送信機は、製造工程の部品によって受信するための信号を送信し、低電力無線受信機を介して部品から信号を受信する。低電力無線送信機および/または受信機は、産業界における標準装置である。
【0118】
図12は、図10および図11に示されたディスクドライブと併用できる典型的なメモリ媒体268の図である。一般的には、フレキシブルディスク、あるいはCD ROM、あるいはディジタルビデオディスクのようなメモリ媒体268は、例えば、コンピュータがここに示された機能を実行できるようにコンピュータを制御する単一バイト言語およびプログラム情報のための多バイト現場を含む。一方、図11に示されたROM252およびRAM254は、中央処理装置250を命令し、製造工程に関連した動作を実行するために使用されるプログラム情報を記憶するためにも使用できる。
【0119】
単一プロセッサ、単一ハードディスクドライブおよび単一ローカルメモリを有するコンピュータシステム218が示されているけれども、システム218には、任意の複数のプロセッサあるいは記憶装置の組み合わせが適切に装備されている。コンピュータシステム218は、実際に、高性能計算器、携帯用コンピュータ、ラップトップ/ノートブックコンピュータ、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータおよびスーパーコンピュータならびに同上の処理システムネットワーク組み合わせを含む、本発明の原理により作動する任意の適切な処理システムと交換できるかあるいはこの処理システムと結合できる。
【0120】
従来の処理システムアーキテクチャは、ウィリアム・スターリング著の「コンピュータ構成およびアーキテクチャ」(マクミラン出版社)(第3版、1993年)により十分に述べられている;従来の処理システムネットワーク設計は、ダレン・エル・スポーン著の「データネットワーク設計」(マグロヒル社)(1993年)により十分に述べられている、および従来のデータ通信は、R・D・ギットリン、J・F・ヘイズおよびS・B・ウェインスタイン著の「データ通信原理」(プレナム出版)(1992年)およびジェームス・ハリー・グレーン著の「電気通信のアイルウィンハンドブック」(アイルウィンプロフェショナル出版)(第2版、1992年)により十分に述べられている。前述の刊行物は参照してここに組み込まれる。一方、ハードウェア構成は、例えば、付加計算効率のための多重命令多重データ(MIMD)マルチプロセッサフォーマットにより配置されている。この形式のコンピュータアーキテクチャの詳細は、例えば、その全てが参照してここに組み込まれる米国特許第5,163,131号;Boxer,A.,Where Buses Cannot Go,IEEE Spectrum,1995年2月,pp41〜45頁;およびBarroso,L.Aら、RPM:A Rapid Prototyping Engine for Multiprocessor Systems,IEEE Computer 1995年2月 26〜34頁により詳細に開示されている。
【0121】
他の好ましい実施形態では、上記に示されたプロセッサ、特にCPU250は、PAL(プログラマブルアレイロジック)およびPLA(プログラマブルロジックアレイ)、DSP(ディジタル信号プロセッサ)、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、ASIC(専用集積回路)、VLSI(超大規模集積回路)等を含むいかなる適切な処理回路と交換されてもよいし、あるいはこの適切な処理回路と結合されてもよい。
【0122】
本発明の多数の特徴および長所は、詳細な明細書から明らかであり、本発明の真の精神および範囲内にある本発明の全てのこのような特徴および長所を保護することが添付された特許請求の範囲によって意図されている。さらに、多数の修正および変形は、当業者には容易に思い浮かぶので、図示され、説明された正確な構成および動作に本発明を限定することを望ましくなく、全ての変形物および同等物は、本発明の範囲内にあると訴えることができる。
【符号の説明】
【0123】
10 カートリッジあるいはハウジング
12 サンプル入口ポート
14 過剰サンプルウェル
16 オーバーフロー室
18 空気管
20 サンプル保持室あるいはサンプル保持領域
22 毛管ストッパ
24 プレセンサ室
26 疎水性層
28 導電度センサ
29 電流測定センサあるいは電位センサ
30 試薬あるいは基質
31 分析位置
32 基準センサ
33 アンテナ状電極
34 排水管
36 可撓性ダイヤフラムポンプ
38 スナップカバー
40 上部ハウジング
42 壁あるいはテープあるいは膜
44 下部ハウジング
46 サンプル
48 オリフィス
218 コンピュータシステム
234 コンピュータ
236,238 ディスクドライブ
240 ディスプレイ
242 キーボード
244 マウス
268 メモリ媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルを保持するサンプル保持領域及び該サンプル保持領域内に少なくとも部分的に配設された少なくとも1つのセンサを有し、当該センサが、サンプル検出位置を画定し、電極間の導電率又は電気抵抗を測定する少なくとも1つのエッジをもち且つ前記サンプル検出位置のサンプル有無を検出可能であるサンプル分析装置を使用するサンプル分析方法であって、
(a)サンプルを前記サンプル保持領域に導入するステップと、
(b)該サンプルと試薬を混合し、試薬生成物の形成を開始するステップと、
(c)前記少なくとも1つのセンサによって、前記サンプル検出位置から前記サンプルの無いことが検出された際に、前記サンプルが前記サンプル検出位置に位置するように、前記サンプルのエッジを、前記少なくとも1つのセンサのエッジを通り過ぎて前記サンプル検出位置に移動させるステップと、
(d)前記少なくとも1つのセンサによって、前記サンプル検出位置から前記サンプルの有ることが検出された際に、前記サンプルが前記サンプル検出位置に位置しないように、前記サンプルのエッジを、前記少なくとも1つのセンサのエッジを通り過ぎて前記サンプル検出位置の外側に移動させるステップと、
(e)予め決められた時間が経過するまで前記ステップ(c)〜(d)を繰り返し、前記センサに接触してから非接触となる往復運動を前記サンプルにさせることによって、前記少なくとも1つのセンサ上あるいは周りに物質が蓄積することを防止するステップと、
を含むと共に、
前記サンプル分析装置に、データをサンプルから収集する他のセンサをさらに備え、
前記サンプルが前記サンプル検出位置に移動された時に前記他のセンサによりデータを収集するステップと、
前記サンプルの十分な所定の変化が前記収集データから検出されるまで前記ステップ(c)〜(d)を繰り返すステップと、
試薬生成物情報を前記収集データから抽出するステップと、
該抽出された試薬生成物情報を利用することによって変化時間を計算するステップと、
をさらに含み、そして、
前記他のセンサとして、電位を印加して電流を測定できる電流測定センサを含み、
前記サンプルが血液からなり、前記変化が血液クロットの形成であって、前記試薬生成物情報がクロット曲線を含み、
前記試薬生成物情報を前記収集データから抽出するステップは、
最大電流を測定するステップと、
前記最大電流を予想範囲と比較し、そして前記最大電流が前記予想範囲内にない場合、エラー結果を報告して当該サンプル分析方法を終了させるステップと、
最小電流を測定するステップと、
前記最小電流を予想範囲と比較し、そして前記最小電流が前記予想範囲内にない場合、エラー結果を報告して当該サンプル分析方法を終了させるステップと、
電流上昇前に生じる電流測定波形の一部を通して得られるトレンドラインとして規定されるベースラインを測定するステップと、
前記ベースラインを予想範囲と比較し、そして前記ベースラインが前記予想範囲内にない場合、エラー結果を報告して当該サンプル分析方法を終了させるステップと、
前記最大電流を前記最小電流と比較し、前記最大電流が前記最小電流よりも時間的に早く検知される場合にはクロット形成の無いことを報告するステップと、
最大傾斜の振幅および時間を測定するステップと、
前記最大傾斜の前記振幅および前記時間を予想範囲と比較し、そして前記最大傾斜の前記振幅および前記時間が前記予想範囲内にない場合、エラー結果を報告して当該サンプル分析方法を終了させるステップと、
クロット曲線の傾斜が最大クロット曲線傾斜の50%に減衰する場合があれば、肩部の発生を示す時間を測定し、そして前記時間の電流および前記時間自体を報告するステップと、
肩部が検知されない場合、当該サンプル分析方法を終了させると共にクロット情報の無しを報告するステップと、
ベースライン電流を肩部電流から減算することによってアイデルタを測定するステップと、
前記アイデルタを予想範囲と比較し、そして前記アイデルタが前記予想範囲内にない場合、前記アイデルタをクロット検出範囲と比較し、そして、前記アイデルタが前記予想範囲内になく且つ前記クロット検出範囲以下にない場合、エラー結果を報告して当該サンプル分析方法を終了させ、前記アイデルタが前記予想範囲内になく且つ前記クロット検出範囲以下にある場合、クロット形成がないことを報告して当該サンプル分析方法を終了させるステップと、
前記電流が前記ベースラインと上部肩部との間の中間点まで上昇する時間として規定される上昇時間を測定するステップと、
前記上昇時間を予想範囲と比較し、そして前記上昇時間が前記予想範囲内にない場合、エラー結果を報告するステップと、
を含むことを特徴とするサンプル分析方法。
【請求項2】
サンプルを保持するサンプル保持領域及び該サンプル保持領域内に少なくとも部分的に配設された少なくとも1つのセンサを有し、該センサは、サンプル検出位置を画定し、電極間の導電率又は電気抵抗を測定する少なくとも1つのエッジを含むと共に前記サンプル検出位置のサンプル有無を検出可能であるサンプル分析装置を使用するための命令を記憶するコンピュータ可読媒体であって、
前記命令が、
コンピュータによって実行可能であり、
(a)サンプルを前記サンプル保持領域の中へ導入するステップと、
(b)試薬を前記サンプルと混合し、試薬生成物の形成を開始するステップと、
(c)前記少なくとも1つのセンサによって、前記サンプル検出位置から前記サンプルの無いことが検出された際に、前記サンプルが前記サンプル検出位置に位置するように、前記サンプルのエッジを、前記少なくとも1つのセンサのエッジを通り過ぎて前記サンプル検出位置へ移動させるステップと、
(d)前記少なくとも1つのセンサによって、前記サンプル検出位置から前記サンプルの有ることが検出された際に、前記サンプルが前記サンプル検出位置に位置しないように、前記サンプルのエッジを、前記少なくとも1つのセンサのエッジを通り過ぎて前記サンプル検出位置の外側へ移動させるステップと、
(e)予め決められた時間が経過するまで前記ステップ(c)〜(d)を繰り返し、前記センサに接触してから非接触となる往復運動を前記サンプルにさせることによって、前記少なくとも1つのセンサ上あるいは該センサの周りに物質が蓄積することを防止するステップと、
を含むと共に、
前記サンプル分析装置に、データをサンプルから収集する他のセンサをさらに備え、
前記命令が、
前記サンプルが前記サンプル検出位置に移動された時に前記他のセンサによりデータを収集するステップと、
前記サンプルの十分な所定の変化が前記収集データから検出されるまで前記ステップ(c)〜(d)を繰り返すステップと、
試薬生成物情報を前記収集データから抽出するステップと、
前記抽出された試薬生成物情報を利用することによって変化時間を計算するステップと、
をさらに含み、そして、
前記他のセンサとして、電位を印加して電流を測定できる電流測定センサを含み、
前記サンプルが血液からなり、前記変化が血液クロットの形成であって、前記試薬生成物情報がクロット曲線を含み、
前記試薬生成物情報を前記データから抽出するステップは、
最大電流を測定するステップと、
前記最大電流を予想範囲と比較し、そして前記最大電流が前記予想範囲内にない場合、エラー結果を報告して当該命令を終了させるステップと、
最小電流を測定するステップと、
前記最小電流を予想範囲と比較し、そして前記最小電流が前記予想範囲内にない場合、エラー結果を報告して当該命令を終了させるステップと、
電流上昇前に生じる電流測定波形の一部を通して得られるトレンドラインとして規定されるベースラインを測定するステップと、
前記ベースラインを予想範囲と比較し、そして前記ベースラインが前記予想範囲内にない場合、エラー結果を報告して当該命令を終了させるステップと、
前記最大電流を前記最小電流と比較し、前記最大電流が前記最小電流よりも時間的に早く検知される場合には、クロット形成の無いことを報告するステップと、
最大傾斜の振幅および時間を測定するステップと、
前記最大傾斜の前記振幅および前記時間を予想範囲と比較し、そして前記最大傾斜の前記振幅および前記時間が前記予想範囲内にない場合、エラー結果を報告して当該命令を終了させるステップと、
クロット曲線の傾斜が最大クロット曲線傾斜の50%に減衰する場合があれば、肩部の発生を示す時間を測定し、そして前記時間の電流および前記時間自体を報告するステップと、
肩部が検知されない場合、当該命令を終了させると共にクロット情報の無しを報告するステップと、
ベースライン電流を肩部電流から減算することによってアイデルタを測定するステップと、
前記アイデルタを予想範囲と比較し、そして前記アイデルタが前記予想範囲内にない場合、前記アイデルタをクロット検出範囲と比較し、そして、前記アイデルタが前記予想範囲内になく且つ前記クロット検出範囲以下にない場合、エラー結果を報告して当該命令を終了させ、前記アイデルタが前記予想範囲内になく且つ前記クロット検出範囲以下にある場合、クロット形成がないことを報告して当該命令を終了させるステップと、
前記電流が前記ベースラインと上部肩部との間の中間点まで上昇する時間として規定される上昇時間を測定するステップと、
前記上昇時間を予想範囲と比較し、そして前記上昇時間が前記予想範囲内にない場合、エラー結果を報告するステップと、
を含むことを特徴とするコンピュータ可読媒体。
【請求項3】
サンプルを分析し、かつコンピュータと併用可能であるシステムであって、
サンプルを保持するサンプル保持領域及び該サンプル保持領域内に少なくとも部分的に配設された少なくとも1つのセンサを有し、該センサが、サンプル検出位置を画定し、電極間の導電率又は電気抵抗を測定する少なくとも1つのエッジをもち且つ前記サンプル検出位置のサンプル有無を検出可能であるサンプル分析装置と、
前記コンピュータによって読み取り可能であってコンピュータ命令を記憶するメモリ媒体と、を備え、
前記命令が、
(a)サンプルを前記サンプル保持領域の中へ導入するステップと、
(b)試薬を前記サンプルと混合し、試薬生成物の形成を開始するステップと、
(c)前記少なくとも1つのセンサによって、前記サンプル検出位置から前記サンプルの無いことが検出された際に、前記サンプルが前記サンプル検出位置に位置するように、前記サンプルのエッジを、前記少なくとも1つのセンサのエッジを通り過ぎて前記サンプル検出位置に移動させるステップと、
(d)前記少なくとも1つのセンサによって、前記サンプル検出位置から前記サンプルの有ることが検出された際に、前記サンプルが前記サンプル検出位置に位置しないように、前記サンプルのエッジを、前記少なくとも1つのセンサのエッジを通り過ぎて前記サンプル検出位置の外側へ移動させるステップと、
(e)予め決められた時間が経過するまで前記ステップ(c)〜(d)を繰り返し、前記センサに接触してから非接触となる往復運動を前記サンプルにさせることによって、前記少なくとも1つのセンサ上あるいは該センサの周りに物質が蓄積することを防止するステップと、
を含むと共に、
前記サンプル分析装置に、データをサンプルから収集する他のセンサをさらに備え、
前記命令が、
前記サンプルが前記サンプル検出位置に移動された時に前記他のセンサによりデータを収集するステップと、
前記サンプルの十分な所定の変化が前記収集データから検出されるまで前記ステップ(c)〜(d)を繰り返すステップと、
試薬生成物情報を前記収集データから抽出するステップと、
前記抽出された試薬生成物情報を利用することによって変化時間を計算するステップと、
をさらに含み、そして、
前記他のセンサとして、電位を印加して電流を測定できる電流測定センサを含み、
前記サンプルが血液からなり、前記変化が血液クロットの形成であって、前記試薬生成物情報がクロット曲線を含み、
前記試薬生成物情報を前記データから抽出するステップは、
最大電流を測定するステップと、
前記最大電流を予想範囲と比較し、そして前記最大電流が前記予想範囲内にない場合、エラー結果を報告して当該命令を終了させるステップと、
最小電流を測定するステップと、
前記最小電流を予想範囲と比較し、そして前記最小電流が前記予想範囲内にない場合、エラー結果を報告して当該命令を終了させるステップと、
電流上昇前に生じる電流測定波形の一部を通して得られるトレンドラインとして規定されるベースラインを測定するステップと、
前記ベースラインを予想範囲と比較し、そして前記ベースラインが前記予想範囲内にない場合、エラー結果を報告して当該命令を終了させるステップと、
前記最大電流を前記最小電流と比較し、前記最大電流が前記最小電流よりも時間的に早く検知される場合には、クロット形成の無いことを報告するステップと、
最大傾斜の振幅および時間を測定するステップと、
前記最大傾斜の前記振幅および前記時間を予想範囲と比較し、そして前記最大傾斜の前記振幅および前記時間が前記予想範囲内にない場合、エラー結果を報告して当該命令を終了させるステップと、
クロット曲線の傾斜が最大クロット曲線傾斜の50%に減衰する場合があれば、肩部の発生を示す時間を測定し、そして前記時間の電流および前記時間自体を報告するステップと、
肩部が検知されない場合、当該命令を終了させると共にクロット情報の無しを報告するステップと、
ベースライン電流を肩部電流から減算することによってアイデルタを測定するステップと、
前記アイデルタを予想範囲と比較し、そして前記アイデルタが前記予想範囲内にない場合、前記アイデルタをクロット検出範囲と比較し、そして、前記アイデルタが前記予想範囲内になく且つ前記クロット検出範囲以下にない場合、エラー結果を報告して当該命令を終了させ、前記アイデルタが前記予想範囲内になく且つ前記クロット検出範囲以下にある場合、クロット形成がないことを報告して当該命令を終了させるステップと、
前記電流が前記ベースラインと上部肩部との間の中間点まで上昇する時間として規定される上昇時間を測定するステップと、
前記上昇時間を予想範囲と比較し、そして前記上昇時間が前記予想範囲内にない場合、エラー結果を報告するステップと、
を含むことを特徴とするシステム。

【図9】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−217190(P2010−217190A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−102719(P2010−102719)
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【分割の表示】特願2001−558709(P2001−558709)の分割
【原出願日】平成13年2月12日(2001.2.12)
【出願人】(508012840)アボット ポイント オブ ケア インコーポレイテッド (16)
【Fターム(参考)】