説明

流体ディスペンサ

液状または粉末状の流体を投与するための流体ディスペンサであって、
前記流体ディスペンサは、容積が可変の流体貯蔵器(30)を有し、前記貯蔵器には、移動させることで貯蔵器の容積を変化させることのできる可動壁(31,32)が少なくとも1つ形作られており、また、前記ディスペンサはさらに、貯蔵器と連絡する投与開口部(311)を有し、これによって、貯蔵器の容積が小さくなると、貯蔵器からの流体は当該投与開口部を介して送り出されることになり、特徴となるのは、さらに駆動手段(1,2)を有し、当該駆動手段は、第1段階では貯蔵器に空気を吸い込ませることによって貯蔵器の容積を大きくし、その後の第2段階では、投与開口部を介して空気および流体を送り出すことによって貯蔵器の容積を小さくする、という動作を可能にすることである、という前記流体ディスペンサ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状または粉末状の流体を投与するための流体ディスペンサに関する。
【背景技術】
【0002】
流体ディスペンサは容積が可変の流体貯蔵器と投与開口部とを有する。当該投与開口部は貯蔵器と連絡しており、そのため、貯蔵器の容積が小さくなると、貯蔵器から出た流体が投与開口部を通って送り出されることになる。望ましい構成として、貯蔵器は変形または移動が可能な壁を少なくとも1枚有し、この壁の変形または移動によって貯蔵器の内部容積が変化する、という形になっている。よって、前記の壁に力を加えることで貯蔵器容積を小さくし、それによって投与開口部から流体を送り出すことができる。このようなディスペンサは、例えば、香水や化粧品、さらに医薬の分野において用いることができる。
【0003】
例えば、特許公報:FR 2 791 645号に記述されているディスペンサは、2枚の変形可能なシートから作られ、これらシートを周縁部に沿ってシール処理することで、流体貯蔵器となる内部空間が形作られている。効果的な構成として、投与部品は、シール処理によって2枚のシートの間に固定されている。また、効果的な構成として、投与開口部が投与部品に形作られていると共に、当該部品はさらに、多孔質素材で作られた部材(液状または粉末状の流体を含浸させたり含ませたりするのに適したもの)を支持する支持部品として働く。加えて、2枚の可撓性シートで作られた当該貯蔵器の中にはバネが収められ、当該バネによって2枚のシートの形状を、貯蔵器の容積が最大となる形に戻すことができる。すなわち、当該バネは戻しバネとして働くものであり、ディスペンサの駆動が完了するたびに、貯蔵器の状態をその容積が最大となる初期休止状態に戻すことを可能にする。流体貯蔵器には、少量の流体と大量の気体(例えば、空気)とが入っている。したがって、ディスペンサが駆動されるたびに、空気と流体との混合物が投与開口部を通って送り出されるが、効果的なのは、混合物が、流体を含ませたり含浸させたりした多孔質体の部材を通って送り出される、という点である。その文書の発明においては、さらに、貯蔵器が実質的に流体だけを含んでいる状態、および、バネがその最大圧縮状態に近い状態まで圧縮されている状態で、投与開口部を取り外し可能な密封部材で閉じる、という構成が設けられている。したがって、取り外し可能な密封部材が所定位置にある限り、貯蔵器は容積が最小限の状態に維持され、その中にある流体は実質的に空気と接触しないことになる。そして、取り外し可能な密封部材が取り外された時にだけバネがゆるみ、投与開口部から吸入される空気によって貯蔵器の容積は大きくなる。その状態から、変形可能な駆動壁が作られた可撓性シートに圧力を加えれば、ディスペンサは駆動される。シートに対して圧力を加えるのを止めると、貯蔵器の中にあるバネの力で、前記貯蔵器はその初期最大容積状態に戻る。
【0004】
こうした従来技術のディスペンサに関する問題は、取り外し可能な密封部材が所定位置にある状態でも、貯蔵器の中に置かれたバネが駆動壁(すなわち、可撓性の壁)に対して作用する、という点にある。これは、可撓性シートが局所的に変形してしまうという結果を招き、見た目の良いものではない。加えて、バネが金属製である場合、貯蔵器の内部が大量の金属で占められることになるが、それは流体の種類によっては有害である。さらに、バネをプラスチック素材で作ったとしても、プラスチックは時間の経過と共にクリープする傾向があるため、バネが剛性を失ってしまうことが多い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、新しい型のディスペンサを既定することによって、上に述べた従来技術の問題を解消することであり、その本発明のディスペンサとは、流体貯蔵器をその容積が最大となる休止状態に戻すための常設バネを必要としない、というものである。これにより、投与前の段階でのディスペンサは、貯蔵器の容積が最大容積よりも相当に小さくなった形で、休止状態を保つことができる。
【0006】
また、本発明はさらに、投与の直前に貯蔵器の容積を大きくすることが可能なディスペンサを規定すること、を目的とする。
また、本発明はさらに、可動壁を直接に手で搾らなくても貯蔵器の容積を小さくできるようにすること、を目的とする。
そして、本発明はさらにもう1つ、単一の連続した動作によって全投与サイクルが実行されるようにすること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これらの目的を達成するために、本発明が提供するディスペンサは、さらに駆動手段を有し、当該駆動手段は、第1段階では貯蔵器に空気を吸い込ませることによって貯蔵器の容積を大きくし、その後の第2段階では、投与開口部を介して空気および流体を送り出すことによって貯蔵器の容積を小さくする、という動作を可能にする。また、効果的な構成として、駆動手段は押下領域と支持地域とを有し、押下領域を支持領域の方向に移動させることで、貯蔵器の容積はいったん増加した後に減少すること、とする。
【発明の効果】
【0008】
こうした構成であるため、例えば、親指を同じ手の他の指と反応させる形で用いて、支持領域に押下領域を接近させれば、ディスペンサはユーザには見えないサイクルを経ることになり、そのサイクルとは、先ず貯蔵器の容積を大きくして貯蔵器内に空気を吸引し、その後、空気と流体との混合物を送り出して、流体を投与する(スプレーの形とするのが効果的)、というものである。
【0009】
また、1つの実施の形態においては、駆動手段は、可撓性のフロントプレートと可撓性のバックプレートとを有し、両プレートの間には貯蔵器が置かれており、フロントプレートは、対向位置にあるエッジの各々においてバックプレートに取り付けられており、その様態は、前記第1段階において、前記フロントプレートを撓ませることで当該フロントプレートの対向エッジ同士を接近させても、バックプレートの対向エッジは互いに対して静止した状態を保ち、さらに、バックプレートは圧力を受けない状態を保つが、その後の前記第2段階では、バックプレートが湾曲する形で撓むことによって、前記バックプレートの対向エッジも接近させられ、その湾曲の方向はフロントプレートの湾曲と同じ方向であるため、2枚のプレートは両者の間で貯蔵器をしぼる結果となる。プレートの有する可撓性が戻しバネ手段として働くので、ディスペンサを初期休止状態に戻すことができる。2枚のプレートが、非同期的にタイミングをずらした形で可撓性変形することにより、第1段階で貯蔵器の容積を大きくし、その後、第2段階において容積を小さくすることができる。第2段階では、両方のプレートが同じ向きに曲がり、それによって、バックプレートがフロントプレートに接近するため、両プレートの間の空間は小さくなり、それに伴って、プレート間に位置する貯蔵器の容積も小さくなる。この実施の形態においては、フロントプレートに、押下領域と支持領域とが形作られている。
【0010】
また、実際的な側面として、フロントプレートの少なくとも1つのエッジには、溝の形作られたフラップが設けられており、当該溝の中には、バックプレート側の対応するエッジがゆるく嵌められる。また、効果的な構成として、溝には受け接触用端壁が形成され、当該端壁は休止時にはバックプレートのエッジから離れており、そのため、バックプレートのエッジが溝の受け接触用端壁に対して接触状態に入るのは、フロントプレートのエッジ同士が、ある程度まで接近した後となる。フロントプレートとバックプレートとが一体的に作られている場合、溝は一方だけで足りる。ただし、2枚のプレートが分かれている場合、溝はフロントプレートの対向する2つのエッジの各々に設けなければならない。
【0011】
また、別の側面として、フロントプレートは休止状態でも湾曲しており、当該湾曲は、押下領域が支持領域に向かって進むにつれて大きくなる、という傾向を有する。同じことをバックプレートにも当てはめて、休止状態でより目立たない湾曲を有する形にしてもよい。そうすれば、2枚のプレートは、それらが曲がる際、同方向に向かって湾曲する形となることが保証される。
【0012】
また、本発明に関する別の特徴として、フロントプレートは開口部を備え、貯蔵器の投与開口部は当該開口部の位置に置かれている。また、貯蔵器と、可動壁と、そして投与開口部とが形作られたポーチが、フロントプレートとバックプレートとの間に固定様態で、投与開口部が開口部の位置に来るように配置されている、とすれば効果的である。また、変形例として、フロントプレートとバックプレートとが貯蔵器を形成する、というものがある。
【0013】
また、別の実施の形態では、貯蔵器の中には、流体を含浸させるのに適した多孔質素材の部材が格納されており、前記部材は投与開口部と接触する状態で置かれている。
また、別の側面では、初期状態では、取り外し可能な密封部材が投与開口部の上に配置されており、それによって、貯蔵器は、実質的に流体だけが格納された形となる最小容積状態に維持されて、そうして、バックプレートがフロントプレートに対して押し付けられる。
【0014】
また、同じ発明思想において、本発明はさらに、液状または粉末状の流体を投与するための流体ディスペンサであって、前記流体ディスペンサは、容積が可変の流体貯蔵器を有し、前記貯蔵器には、第1の軸に沿って移動させることで貯蔵器の容積を変化させることのできる可動壁が少なくとも1つ形作られており、また、前記ディスペンサはさらに、貯蔵器と連絡する投与開口部を有し、これによって、貯蔵器の容積が小さくなると、貯蔵器からの流体は当該投与開口部を介して送り出されることになり、特徴となるのは、押下領域と支持領域とが形作られた駆動手段をさらに有し、押下領域を、前記第1の軸に対して垂直な第2の軸に沿って、支持領域の方向に移動させることが可能な点である、という前記流体ディスペンサを提供する。また、効果的な構成として、押下領域を支持領域の方向に移動させると、貯蔵器の容積が大きくなる。その場合、駆動手段は、可撓性のフロントプレートおよび可撓性のバックプレートを有し、両プレートの間には貯蔵器が位置しており、フロントプレートは、対向位置にあるエッジの各々においてバックプレートに取り付けられており、その様態は、前記フロントプレートを撓ませることで当該フロントプレートの対向エッジを接近させても、バックプレートの対向エッジは互いに対して静止した状態を保ち、さらに、バックプレートは圧力を受けない状態を保つ、というものである。
【0015】
発明の第1の側面として、フロントプレートは、その対向する2つのエッジに押下領域、支持領域を形作っている。
前出の側面と組合せ可能な別の側面として、押下領域を支持領域の方向に移動させると、貯蔵器の容積が小さくなる。そして、その場合、駆動手段は、可撓性のフロントプレートおよび可撓性のバックプレートを有し、両プレートの間には貯蔵器が位置しており、フロントプレートは、対向位置にあるエッジの各々においてバックプレートに取り付けられており、その様態は、前記フロントプレートを撓ませることで当該フロントプレートの対向エッジを接近させると、前記バックプレートが湾曲する形で撓むことによって、バックプレートの対向エッジも互いに接近することになり、その湾曲の方向はフロントプレートの湾曲と同じ方向であるため、2枚のプレートは両者の間で貯蔵器をしぼる結果となる、という様態である。
【0016】
本発明の発明的概念の本質は、貯蔵器の可動壁を一方向、および/または、その反対方向(すなわち、貯蔵器の容積を増加および/または減少させる方向)に動かすという目的が、当該可動壁に直接的に力を加えなくとも実現できる、という点に存する。また、当然のことながら、最も効果的な課題解決法の本質は、貯蔵器の容積をいったん増やした後に続いてこれを減少させる、という点に存する。こうした発明的概念により、第1に、駆動にあたって、貯蔵器の容積をいったん増加させた後に続いて減少させることが可能となり、第2に、駆動にあたって圧縮力成分は、押下領域と支持領域との間で、貯蔵器の可動壁の移動軸に対して垂直な軸に沿って加えられることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明については、これ以降の部分で、本発明の実施の形態を非限定的な例として示す添付図面を参照しながら、さらに詳しく説明する。
図面に示し、本発明の説明に用いる実施の形態は、組み合わせることも個別に実現することも可能な複数の駆動原理を実体化したものであり、それら原理は共通の基本的概念によって相互に結び付いている。その基本的概念の本質は、流体貯蔵器の壁を動かすのに必要な圧迫力は前記の壁に加えられるのではない、という点に存する。言い換えると、ユーザは貯蔵器の壁を動かす際にも、この壁に直接的に力を加えるわけではなく、その可動壁から外れた位置にある押下領域と支持領域との間に力を加え、それによって、貯蔵器容積の増加または貯蔵器容積の減少のいずれも実現でき、さらには、増加させた後に減少、または減少させた後に増加、という形で増加と減少とを組合せで連続的に実現することもできる。こうした駆動原理が特に当てはまる貯蔵器は、可動壁が形成されたものや、これを含むものであるが、それに限定されるわけではない(可動壁とは、例えば貯蔵器本体の中で移動することのできる壁、あるいは、貯蔵器の他の部分に対して変形可能な壁のことである)。可動壁については、たとえば、ドラム形状の貯蔵器の中を耐漏洩様態でスライド移動するように設置された、従動ピストンまたはスクレーパピストンの形とすることができる。また、変形可能な壁については、たとえば、図面に示す実施の形態にあるのと同じく、ポーチの可撓壁とすることができる。
【0018】
先ず、図1および図2(a)、図2(b)、図2(c)を参照して、本発明に関する第1の実施の形態について説明する。この流体ディスペンサは、流体(液状であっても粉末状であってもよい)を投与するためのディスペンサであって、全体が参照番号3で示される流体ポーチと、手に持ち駆動するための手段とを有し、後者は、本例では2枚のプレート(すなわち、フロントプレート1およびバックプレート2)によって形成されている。また、本例における駆動手段はさらに、流体ポーチ3の対して、カバー手段および弾性戻し手段の役割を果たす。
【0019】
流体ポーチ3は2枚のシート31、32から作られており、これらについては、容易に変形可能な素材で製造するのが効果的である。当然のことながら、2枚のシート31、32を一方のエッジに沿って接合して1枚のシートが折り畳まれた形とすることも考えられる。各シートには、周縁マージン領域310、320が規定されている。これらの周縁領域310、320は、例えば熱シール技術によって、耐漏洩様態で一体に接合されるように設計されている。これにより、2枚のシート31、32の間には空間が規定され、その空間は、図2(a)、2(b)、2(c)に見られるように、流体貯蔵器30として用いられる。シートの一方(すなわち、ここに示す例ではシート31)には、投与ホール311が設けられている。こうした構成により、ポーチ3の貯蔵器30に格納された流体は、投与開口部311を通って貯蔵器から出ることができる。シート31、32は容易に変形可能な素材で作られているため、それらの各々に変形可能または可動の駆動壁が形成される。駆動壁に力を加えることで、貯蔵器30の内部容積を変化させることができる。両者を遠ざければ貯蔵器容積は大きくなり(図2(b)参照)、両者を接近させれば貯蔵器容積は小さくなる(図2(a)、2(c)参照)。シート31が固定様態で保持されている場合には、シート32がポーチ3の駆動壁になると考えられる。そして、その逆の場合もある。効果的な構成として、貯蔵器30の内部には多孔質素材の部材33が入っており、これについては、投与開口部311の位置でシート31に固定するのが効果的である。部材33については、開口部311に直に接触させても効果的である。部材33の機能は、ポーチ3の貯蔵器30に格納された流体(液状または粉末状)をしみ込ませたり、これを吸収したりすることである。貯蔵器30は流体だけを格納することにしてもよいが、流体と気体(例:空気)との両方を格納するのが好ましい。このようにすれば、特にポーチの中に多孔質素材の部材33が入っている場合、貯蔵器の容積が小さくなる際に、貯蔵器30の中の空気を、流体で満たされた多孔質素材の部品33を通過させる形で押し出すことができる。その結果、流体と空気との混合物が投与開口部311を通って外に噴霧されることになる。シート32をシート31から引き離して貯蔵器の容積を最大の状態とする、という目的のためにバネを設ければ、ポーチ3を独立した流体ディスペンサとして使用することが可能となる。これは例えば、上で述べたFR 2 791 645号の従来技術にも当てはまる。しかしながら、本発明の場合、ポーチ3のバネ手段については、ポーチ内部や、ポーチに特有の形で持たせる、という形は避けた方がよい。言い換えると、シート31、32については自由に変形可能なシートとし、ポーチの有するバネ手段(シート31、32にバネ機能が組み込まれている場合や、バネ特性を備える場合も含む)によって両シートが遠ざけられたり接近させられたりすることはない、とするのが好ましい。例えば、2枚のシートの一方または両方に形状記憶を持たせる、ということは不要である。ただし、それを排除するわけでもない。
【0020】
当然のことながら、ポーチ3に関して別の実施の形態を考えることもできる。重要なポイントは、ポーチ3が形作る貯蔵器が少なくとも1つの可動または変形可能な駆動壁を有し、それによって貯蔵器の内部容積を変化させることで、その内部にある流体を投与開口部経由で(任意に、気体との混合物の形で)送り出すことができる、という事実に存する。たとえば、投与開口部は、シート上または2枚のシートの間に設置される別個の部品に形成することにしてもよい。また、他の要素を用いて貯蔵器用のケースを形成することも考えられる。たとえば、変形可能または可動性の膜が耐漏洩様態で固定されたサポートプレート、というものを考えることができる。
【0021】
駆動手段は、ここに示す例では2枚のプレート1、2の形を取り、第1に、一方のシートがもう一方のシートに対して移動または変形させられた際に、貯蔵器30の内部容積を変化させる働きをする。駆動手段はまた、増加および/または減少させる形で貯蔵器の容積に作用することができる。駆動手段は押下領域および支持領域を有し、ユーザはこれらの領域でディスペンサを手に持つことができる(例えば、一方の手の親指を支持領域に置き、同じ手の他の指を1本または複数本、押下領域に置く。あるいは、その反対)。このように手を使って押下領域を押さえ、押下領域を支持領域の方に移動させることで、貯蔵器容積を変化させることができる。容積の変化は、増加または減少のいずれかの形とすることも、あるいは、「いったん増加した後に減少」または「いったん減少した後に増加」という連続的な変化の組合せの形とすることもできる。
【0022】
図面(特に、図1、図2(a)、図2(b)および図2(c))に示す実施の形態では、以下に説明するように、フロントプレート1に押下領域および支持領域が形成されている。フロントプレート1はフロントパネル10を有し、そこには、対向する位置にある2つの側面エッジ13、頂上エッジ11、そして、頂上エッジと対向する位置にある底面エッジ12が規定されている。パネル10には貫通開口部14がさらに設けられており、本例での開口部は、ほぼ中央に配置されている。また、本例では、頂上エッジ11を形成しているのは、パネル10の平面にほぼ垂直に延びる長手方向エッジである。頂上エッジはそこから更に延び、延びた先は、パネル10の平面と平行な方向に延びるフラップ111となっている。底面エッジ12も同様の形となっており、フラップ121を備えたエッジによって形成されている。2つのフラップ111、121は、互いに相手の方を向いている。これにより、2つの溝112、122が、互いに向かって開いた形で形成されることになる。溝112はフラップ111とパネル10との間に形成され、その端壁は、プレート1の頂上エッジを形成するエッジ11によって形成されている。それと対称的な様態で、溝122はフラップ121とパネル10との間に形成されており、その端壁は、プレート1の底面エッジを形作るエッジによって形成されている。本例におけるフラップ111、121は、プレートの幅全体にわたって延びている。しかし、溝がプレート1の幅の一部分だけに延びており、頂上エッジ11および底面エッジ12は、パネル10をフラップ111、121に接続するエッジの一部分だけを占める、という実施の形態を考えることも可能である。その場合、頂上エッジ11および底面エッジ12のその他の部分は、側面エッジ13と同じ形状を有することとできる。
【0023】
本発明におけるシート1は、ある程度の堅さを有する一方で、ある程度の弾性変形可能性も有している。よって、頂上エッジ11と底面エッジ12との間に圧力を加えることで、シートを弾性的に折ったり曲げたりすることができる。従って、パネル10を曲げる形で弾性変形させることにより、エッジ11をエッジ12の方向に移動させることができる。プレート1をこれ以外の方向に変形させることはほとんど不可能であり、特に、フラップ111がプレート1の幅全体にわたって延びている場合はそうである。フラップ111、122は、プレート1の堅さをエッジ11、12の位置で強めている。これに対し、側面エッジ13は補強されていないので、これらについては、撓めたり湾曲させたりという形で変形させることが可能である。また、プレート1に弾性形状記憶を持たせて、常にその休止状態に戻るようにするのが効果的である。図1では、パネル10は厳密に平らな形として示してある。ただし、図2(a)に示すように、パネル10には初期状態から丸みや湾曲を付けておくのが好ましい。最初から湾曲を付けておけば、パネル10が常に同じ向き(すなわち、図2(a)における左向き)に変形することが確実になる。
【0024】
プレート1はどんな素材から作ってもよく、例としては、プラスチック、金属、またはカード、あるいは、金属、プラスチックおよび/またはカードの積層体、などが挙げられる。
バックプレート2はフロントプレート1と同じ素材で作ってもよい。さらに、堅さおよび変形性の特性についても、フロントプレート1と同じにしてよい。バックプレート2は、実質的に平面または少し曲がったパネル20の形となっている。バックパネル20は、2つの側面エッジ23、頂上エッジ21、そして、これに対向する底面エッジ22を有する。パネル20をわずかに湾曲した形に作る場合、前記湾曲はパネル20の高さ方向にわたって延びる形にする。その結果、側面エッジ23が曲がった形になる一方で、エッジ21、22はまっすぐな形を保つ。パネル20の湾曲の方向については、プレート1の前面パネル10の初期状態における湾曲と同じ方向にするのが効果的である。また、本例でのバックパネル20は切れ目のない形になっているが、必要であれば、局所的にカットアウトを施してもよい。パネル10と同様、本例のパネル20は全体が滑らかになっているが、機能上の理由や外観上の理由から、パネルに部分的に形を付けることも考えられる。
【0025】
バックプレート2は、底面エッジ22を底面側の溝122に、頂上エッジ21を頂上側の溝112にそれぞれ挿入する形で、フロントプレート1に取り付けられる。側面エッジ23の高さとして規定されるバックプレート2の高さは、底面側の溝122の端壁とフラップ111の自由な底面エッジとの間の距離よりも大きくするのが効果的である。そうすれば、フロントプレート1に固定されたバックプレート2が溝112、122から外れてしまうことはありえない。図2(a)を見て分かるように、休止状態においてすら、プレート2の頂上エッジ21がフラップ111の底面の自由端より上まで延びる形になるからである。プレート2をプレート1に嵌め込む場合は、例えば、側面方向にスライドさせればよい。プレート2を溝に嵌め込んでプレート1の背面側に配置した時点で、1つの副組立物が出来あがるが、にもかかわらず、縦方向にクリアランスが存在するため、その中にあるバックプレート2は、軸方向のスライドの形で移動させることができる。効果的なのは、プレート2の頂上エッジ21が溝112の端壁に対して接触状態にならず、休止状態においてプレート1の背面側に隙間が残り、それがプレート2のための縦方向クリアランスとなる、という点である。プレート2の底面エッジ22については、底面側の溝122に固定してもよいくらいである。そうした場合、プレート2はもはや、プレート1の背面側でスライド移動することはできないが、プレート2の頂上エッジ21は自由なままであり、クリアランスは、その全体が、エッジ21と溝112の端壁との間に形作られる。
【0026】
フロントプレート1およびバックプレート2は、ある程度まで弾性変形可能であるため、図2(b)に見られるように、頂上エッジ11によって規定される押下領域と底面エッジ12によって規定される支持領域との間でフロントプレート1を保持し、これを変形させることができる。先ず、エッジ11をエッジ12に近づけることで、プレート1の前面パネル10が変形し、その湾曲の程度が強まる。しかし、この間もバックプレート2はストレスを受けない状態のままである。そこからフロントプレート1がさらに曲がっていくと、図2(b)に示すように、バックプレート2の頂上エッジ21が溝112の端壁に接触する状態となり、バックプレートがストレスを受けない状態はここで終わる。バックプレートが静止状態にあった一方で、フロントプレートの湾曲の程度は大きくなっているので、フロントプレート1は開口部14の位置でバックプレート2から遠ざかっている。さらに、2枚のプレートの間に規定される空間も、図2(a)と図2(b)との間に大きくなっていることが見て取れる。
【0027】
領域12に対して反応する状態で領域11を押し続けると、バックプレート2は、図2(b)に示す位置から曲がり始めるが、その方向がフロントプレート1と同じになる点が効果的である。これは、図2(c)において見ることができる。2枚のプレートがこうして同時に変形することで、バックプレート2は、開口部14の位置でフロントプレート1に接近することになる。さらに、2枚のプレートの間に規定される空間が、図2(b)の状態から図2(c)の状態になる間に小さくなることも見て取れる。
【0028】
このように、押下領域11を支持領域12に近づけていくと、図2(a)に示す休止状態から始まって、先ず、2枚のプレートの距離が開口部14の位置で大きくなって、図2(b)に示す状態になる。それから続けて、押下領域を支持領域の方に進めていくと、2枚のプレートの開口部14における距離は再び小さくなる。留意すべきは、2枚のプレートがいったん遠ざかり、その後、再び接近するという運動が、エッジ11とエッジ12とを接近させるという単一の動作によって実現される点である。さらに、もう一つ留意すべきこととして、領域11、12が接近する際、その動きの軸は、壁1、2の開口部14の位置での移動軸に対し、これを横切るか、これに直交する向きになっている。すなわち、1つの軸に沿って加えられた力が、横断軸または直行軸に沿った方向の運動を生じさせることになる。そして、この運動が、2枚のプレートの間の距離および容積に変化を生じさせる。
【0029】
当然のことながら、図3に示すような別の実施の形態を考えることもでき、当該実施の形態では、バックプレート2とフロントプレート1とが一体的に作られる。例えば、図3の底面エッジ22´をフラップ121´に一体的に接続した形とすることができる。
図1、図2(a)、(b)、(c)および図3に示す実施の形態において、液状または粉末状の流体を格納したポーチ3は、2枚のプレート1、2の間に配置されている。投与開口部311の設けられたフロントシート31については、例えば、開口部14の周辺で前面パネル1に固定すればよい。さらに、ポーチ3のバックシート32は、ほぼ投与開口部311の位置でバックプレート2に固定すればよい。ポーチ3のうち、これら以外の部分は、プレート1、2に接続しないのが好ましい。さらに、ディスペンサが取り外し可能な密封部材4を備え、当該部材4は開口部14に保持され、耐漏洩様態で投与開口部311を閉じる、とするのが効果的であろう。取り外し可能な密封部材4については、図2(a)および図3に示すように、使用に先立って取り外すことで、投与開口部を開くことができる。取り外し可能な密封部材4が取り外されるまで、貯蔵器30には流体しか入っていない、という構成にしてもよい。こうすれば、貯蔵器の容積は最小に保たれて、バックプレート2がフロントプレート1に押し付けられる状態となる。取り外し可能な密封部材4を取り外すと、投与開口部311および多孔質体の部材33を通って、空気が貯蔵器30の中に入ってくる。そうすると、貯蔵器30の容積はわずかに大きくなるが、これは、バックプレートが緩んで、図2(a)または図3に示す初期の休止状態に戻ることができるからである。ただし、取り外し可能な密封部材4が所定位置にある状態でも、ディスペンサが図2(a)および図3に示す形となる、という構成にすることも可能である。いずれの場合も、密封部材4が取り外された後のディスペンサの形は、図2(a)または図3に示す通りとなる。押下領域11および支持領域12を押さえると、先ず図2(b)に示すようにフロントプレート1が変形するが、その一方で、バックプレート2は圧力を受けない状態のままであるため、投与開口部311のある開口部14の位置における、フロントプレート1とバックプレート2との距離は大きくなる。さらに、フロントシート31はフロントプレート1に、バックシート32はバックプレート2にそれぞれつながっているため、フロントシート31もバックシート32から引き離されて、貯蔵器30の容積が大きくなる。この状態は図2(b)に見られる。さらに続けて圧力を加えると、バックパネル2も変形して、開口部14の位置におけるフロントパネル1との距離は小さくなる。これによってバックシート2がフロントシート31に接近し、その結果、貯蔵器30の内部容積は小さくなる。図2(a)から図2(b)までの段階では、空気が投与開口部311を通って貯蔵器30に吸入される。さらにその後、図2(b)から図2(c)までの段階では、前段階で吸引された空気が、初期状態で貯蔵器30に格納されていた流体の一部との混合物の形で、投与開口部311を介して送り出される。こうして、単一の駆動動作の中で、先ず貯蔵器が空気で満たされ、その後、この空気は流体との混合物の形で貯蔵器から放出される。そして、この動作を実行するのに、貯蔵器の駆動壁を直接押下する必要はない。それどころか、用いられるのは貯蔵器の駆動壁から遠く離れた押下領域および支持領域であり、それによって、単一の共通駆動動作の間に、貯蔵器の容積の増加または減少、あるいは、貯蔵器の容積の増加および減少の両方を実現することが可能となる。
【0030】
本発明の本質については、間接的に貯蔵器の駆動壁につながる押下領域および支持領域に働きかけることによって、貯蔵器の容積をいったん増加させた後に減少させる、という能力にのみ存する、と考えるべきではない。本発明の本質はさらに、貯蔵器の駆動壁の運動方向に対し、これを横切る、または、これに直行する軸に沿って、押下領域および支持領域に力を加えることで、貯蔵器の容積を大きくすることが可能である、という点にも見出すことができる。このことは、図2(a)から図2(b)までの初期段階にだけ対応する。
【0031】
さらに本発明の本質は、貯蔵器の駆動壁の運動方向に対し、これを横切る、または、これに直行する軸に沿って、押下領域および支持領域に力を加えることで、貯蔵器の容積を小さくすることが可能である、という点にも見出すことができる。このことは、図2(b)から図2(c)までの段階に対応する。
言うまでもなく、これらの段階を組合せて、貯蔵器の容積が大きくなる段階の後に、貯蔵器の容積が小さくなる段階が続く、という形にするのが好ましい。このようにした場合、2つの対立的および補完的な駆動段階を、単一の共通駆動によって実現することが可能となるからである。
【0032】
また、図4に示す別の実施の形態のように、流体格納用のポーチ3を省き、フロントプレート1´およびバックプレート2´を用いて直接的に流体貯蔵器30を形成することができる。バックプレート2´の頂上エッジ21´は、溝112´に間接的に固定してもよい。また、変形例として、可撓性の連結部を設けて、ディスペンサが、貯蔵器を大きくする初期段階(図2(a)から図2(b)までの段階)も実行できるようにする、という形が可能である。
【0033】
貯蔵器の容積が大きくなる形の実施の形態においては、必ず、バックプレート2、2´にある程度の堅さおよび/または弾性を持たせる必要があり、その堅さおよび/または弾性の程度とは、バックプレートを曲げることなくフロントプレートを曲げることができ、それによって貯蔵器の容積を大きくできる、というものである。
可撓性が大きすぎるバックプレートでは、フロントプレートに引きずられて曲がってしまうので、貯蔵器の容積は大きくならない。2枚のプレートの堅さおよび/または弾性には差をつけるには、例えば、フロントプレートの可撓性をバックプレートよりも大きくすればよい。
【0034】
貯蔵器の容積が最大になると直ちに、バックプレートはフロントプレートに従って曲がり始める、という形にすることができる。
本発明によれば、常設の戻しバネを持たず、駆動時には、いったん増加した後に減少、という形で貯蔵器の容積を連続的に変化させることが可能な流体ディスペンサ(好ましくは2相のもの)を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に関する第1の実施の形態の流体ディスペンサを示す分解図である。
【図2】(a)図1のディスペンサを組立済みの状態で示す縦断面図であり、休止状態において、取り外し可能な密封部材を取り外した形で示す図である。(b)上の(a)と同様の図であり、初期駆動段階における図である。(c)上の(a)、(b)と同様の図であり、最終駆動段階のディスペンサを示す図である。
【図3】別の実施の形態のディスペンサを示す縦断面図である。
【図4】図3と同様の図であり、さらに別の実施の形態を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状または粉末状の流体を投与するための流体ディスペンサであって、
前記流体ディスペンサは、容積が可変の流体貯蔵器(30)を有し、前記貯蔵器には、移動させることで貯蔵器の容積を変化させることのできる可動壁(31,32;1´,2´)が少なくとも1つ形作られており、また、
前記ディスペンサはさらに、貯蔵器と連絡する投与開口部(311;15´)を有し、これによって、貯蔵器の容積が小さくなると、貯蔵器からの流体は当該投与開口部を介して送り出されることになり、
特徴となるのは、
さらに駆動手段(1,2;1´,2´)を有し、当該駆動手段は、第1段階では貯蔵器に空気を吸い込ませることによって貯蔵器の容積を大きくし、その後の第2段階では、投与開口部を介して空気および流体を送り出すことによって貯蔵器の容積を小さくする、という動作を可能にすることである、
という前記流体ディスペンサ。
【請求項2】
駆動手段は押下領域(11)と支持地域(12)とを有し、押下領域を支持領域の方向に移動させることで、貯蔵器の容積はいったん増加した後に減少すること、
を特徴とする請求項1に記載のディスペンサ。
【請求項3】
駆動手段は、可撓性のフロントプレート(1;1´)と可撓性のバックプレート(2,2´)とを有し、両プレートの間には貯蔵器が置かれており、
フロントプレートは、対向位置にあるエッジ(11,12)の各々においてバックプレートに取り付けられており、その様態は、前記第1段階において、前記フロントプレートを撓ませることで当該フロントプレート(1)の対向エッジ(11,12)同士を接近させても、バックプレート(2)の対向エッジ(21,22)は互いに対して静止した状態を保ち、さらに、バックプレート(2)は圧力を受けない状態を保つが、その後の前記第2段階では、バックプレートが湾曲する形で撓むことによって、前記バックプレートの対向エッジ(21,22)も接近させられ、その湾曲の方向はフロントプレートの湾曲と同じ方向であるため、2枚のプレートは両者の間で貯蔵器をしぼる結果となる、というものであること、
を特徴とする請求項1または2に記載のディスペンサ。
【請求項4】
フロントプレート(1)に、押下領域(11)と支持領域(12)とが形作られていること、
を特徴とする請求項3に記載のディスペンサ。
【請求項5】
フロントプレート(1)の少なくとも1つのエッジ(11)には、溝(112)の形作られたフラップ(111)が設けられており、当該溝の中には、バックプレート(2)側の対応するエッジ(21)がゆるく嵌められること、
を特徴とする請求項3または4に記載のディスペンサ。
【請求項6】
溝(111)には受け接触用端壁(11)が形成され、当該端壁は休止時にはバックプレート(2)のエッジ(21)から離れており、そのため、バックプレート(2)のエッジ(21)が溝(111)の受け接触用端壁(11)に対して接触状態に入るのは、フロントプレート(1)のエッジ(11,12)同士が、ある程度まで接近した後であること、
を特徴とする請求項5に記載のディスペンサ。
【請求項7】
フロントプレート(1)は休止状態でも湾曲しており、当該湾曲は、押下領域(11)が支持領域(12)に向かって進むにつれて大きくなる、という傾向を有すること、
を特徴とする請求項3乃至6のいずれかに記載のディスペンサ。
【請求項8】
フロントプレート(1)は開口部(14)を備え、貯蔵器(311)の投与開口部は当該開口部(14)の位置に置かれていること、
を特徴とする請求項3乃至7のいずれかに記載のディスペンサ。
【請求項9】
貯蔵器(30)と、可動壁(31,32)と、そして投与開口部(311)とが形作られたポーチ(3)が、フロントプレート(1)とバックプレート(2)との間に固定様態で、投与開口部(311)が開口部(14)の位置に来るように配置されていること、
を特徴とする請求項8に記載のディスペンサ。
【請求項10】
フロントプレート(1´)とバックプレート(2´)とが貯蔵器(30)を形成していること、
を特徴とする請求項3乃至8のいずれかに記載のディスペンサ。
【請求項11】
貯蔵器(30)の中には、流体を含浸させるのに適した多孔質素材の部材(33)が格納されており、前記部材(33)は投与開口部(311;15´)と接触する状態で置かれていること、
を特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のディスペンサ。
【請求項12】
フロントプレート(1)とバックプレート(2)とは、接合されて一体化していること、
を特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のディスペンサ。
【請求項13】
初期状態では、取り外し可能な密封部材(4)が投与開口部(311;15´)の上に配置されており、それによって、貯蔵器は、実質的に流体だけが格納された形となる最小容積状態に維持されて、そうして、バックプレートがフロントプレートに対して押し付けられること、
を特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載のディスペンサ。
【請求項14】
液状または粉末状の流体を投与するための流体ディスペンサであって、
前記流体ディスペンサは、容積が可変の流体貯蔵器(30)を有し、前記貯蔵器には、第1の軸に沿って移動させることで貯蔵器の容積を変化させることのできる可動壁(31,32;1´,2´)が少なくとも1つ形作られており、また、
前記ディスペンサはさらに、貯蔵器と連絡する投与開口部(311;15´)を有し、これによって、貯蔵器の容積が小さくなると、貯蔵器からの流体は当該投与開口部を介して送り出されることになり、
特徴となるのは、
押下領域(11)と支持領域(12)とが形作られた駆動手段(1,2;1´,2´)をさらに有し、押下領域(11)を、前記第1の軸に対して垂直な第2の軸に沿って、支持領域(12)の方向に移動させることが可能な点である、
という前記流体ディスペンサ。
【請求項15】
押下領域(11)を支持領域(12)の方向に移動させると、貯蔵器の容積が大きくなること、
を特徴とする請求項14に記載のディスペンサ。
【請求項16】
駆動手段は、可撓性のフロントプレート(1;1´)および可撓性のバックプレート(2,2´)を有し、両プレートの間には貯蔵器が位置しており、
フロントプレートは、対向位置にあるエッジ(11,12)の各々においてバックプレートに取り付けられており、その様態は、前記フロントプレートを撓ませることで当該フロントプレート(1)の対向エッジ(11,12)を接近させても、バックプレート(2)の対向エッジ(21,22)は互いに対して静止した状態を保ち、さらに、バックプレート(2)は圧力を受けない状態を保つ、というものであること、
を特徴とする請求項14に記載のディスペンサ。
【請求項17】
押下領域(11)を支持領域(12)の方向に移動させると、貯蔵器の容積が小さくなること、
を特徴とする請求項14に記載のディスペンサ。
【請求項18】
駆動手段は、可撓性のフロントプレート(1;1´)および可撓性のバックプレート(2,2´)を有し、両プレートの間には貯蔵器が位置しており、
フロントプレートは、対向位置にあるエッジ(11,12)の各々においてバックプレートに取り付けられており、その様態は、前記フロントプレートを撓ませることで当該フロントプレート(1)の対向エッジ(11,12)を接近させると、前記バックプレートが湾曲する形で撓むことによって、バックプレート(2)の対向エッジ(21,22)も互いに接近することになり、その湾曲の方向はフロントプレートの湾曲と同じ方向であるため、2枚のプレートは両者の間で貯蔵器をしぼる結果となる、という様態であること、
を特徴とする請求項17に記載のディスペンサ。
【請求項19】
フロントプレート(1)には、それが対向する位置に有するエッジに、押下領域(11)、支持領域(12)が形作られていること、
を特徴とする請求項16乃至18のいずれかに記載のディスペンサ。
【請求項20】
バックプレートの堅さは、バックプレートを曲げることなくフロントプレートのみを曲げ、それによって貯蔵器の容積を大きくする、ということを可能にするのに充分な程度であること、
を特徴とする請求項1乃至19のいずれかに記載のディスペンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−503768(P2006−503768A)
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−547696(P2004−547696)
【出願日】平成15年10月20日(2003.10.20)
【国際出願番号】PCT/FR2003/003093
【国際公開番号】WO2004/039693
【国際公開日】平成16年5月13日(2004.5.13)
【出願人】(502343252)バルワー エス.アー.エス. (144)
【Fターム(参考)】