説明

流体充填装置

【課題】充填量のばらつきが大きい充填経路を特定可能な流体充填装置を提供する。
【解決手段】充填バルブ2の開放を指示してからの流量計17の検出信号を計数し、計数値が設定値に達すると充填バルブ2に閉鎖を指示するバルブ制御部20を備えた充填装置1において、バルブ制御部20が充填バルブ2の開放を指示してから閉鎖を指示するまでの時間を充填時間として充填経路毎に検出する充填時間検出部21と、複数の充填機会における充填時間の検出値の標準偏差を充填経路毎に算出する標準偏差演算部22と、標準偏差演算部22が算出した標準偏差が基準値を超えているか否かを充填経路毎に判別するバルブ評価部23とを設ける。標準偏差が基準値を超える充填経路に関して、充填不良の発生及び該不良が発生した充填経路を特定するための情報をモニタ部24に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料等の流体を容器に充填する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ビール等の飲料(流体)を容器に充填する装置として、複数の充填経路のそれぞれに充填バルブとその充填バルブを通過する飲料の流量に応じたパルス信号を出力する流量計とが設けられ、各充填バルブに開放を指示してからの流量計のパルス信号を計数し、その計数値が所定の設定値に達すると充填バルブに閉鎖を指示することにより、目標充填量の飲料が充填されるように各充填バルブの開閉を制御する飲料充填装置が知られている(例えば特許文献1〜3参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−335382号公報
【特許文献2】特開2001−213498号公報
【特許文献3】特開2001−348002号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の充填装置では、充填経路に設けられた充填バルブ、流量計といった構成部品の径時的な摩耗、破損等に起因して充填量がばらつくことがある。充填量を適正に管理するためには、充填量のばらつきが大きい充填経路を特定し、その経路の充填バルブ等をメンテナンスする必要がある。しかしながら、従来の充填装置では、飲料缶が装置から搬出された後に充填量を検査しているため、充填量の不足が検出されたとしても、その不足が生じた容器と充填経路との対応関係を判別することが困難であった。
【0005】
そこで、本発明は、充填量のばらつきが大きい充填経路を特定することが可能な流体充填装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数の容器(4)に対応付けられた複数の充填経路のそれぞれを開閉する複数の充填バルブ(2)と、前記複数の充填経路のそれぞれに設けられ、各充填経路を単位流量の流体が流れる毎に所定の検出信号を出力する複数の流量計(17)と、前記充填バルブの開放を指示してからの前記流量計の検出信号を計数し、該検出信号の計数値が目標充填量に対応する設定値に達すると前記充填バルブに閉鎖を指示することにより、前記目標充填量の流体が前記容器に充填されるように各充填バルブの開閉を制御するバルブ制御手段(20)とを備えた流体充填装置(1)において、前記バルブ制御手段が各充填バルブの開放を指示してから閉鎖を指示するまでの時間を充填時間として充填経路毎に検出する充填時間検出手段(21)と、複数の充填機会における前記充填時間の検出値の統計的ばらつきを示す値を充填経路毎に算出するばらつき算出手段(22)と、前記ばらつき算出手段が算出した値に基づいて、前記充填経路を介した充填量のばらつきが許容範囲を超えているか否かを充填経路毎に判別するばらつき判別手段(23)と、前記ばらつき判別手段にて前記ばらつきが前記許容範囲を超えていると判別された充填経路に関して、充填不良の発生及び該不良が発生した充填経路を特定するための情報を所定の出力先に通知する不良通知手段(23)とを備えることにより、上述した課題を解決する。
【0007】
本発明が適用されるタイプの流体充填装置においては、バルブ制御手段が充填バルブの開放を指示してから閉鎖を指示するまでの充填時間のばらつきと充填量のばらつきとの間に相関関係が存在する。従って、充填時間検出手段にて充填経路毎に充填時間を検出し、ばらつき算出手段にて充填時間の検出値の統計的ばらつきを示す値を充填経路毎に算出すれば、充填経路毎に充填量のばらつきが許容範囲を超えているか否かを判別することが可能である。そして、ばらつき判別手段にて許容範囲を超えていると判別された充填経路に関して、充填不良の発生及びその不良が発生した充填経路を特定するための情報を所定の出力先に通知することにより、充填量のばらつきが大きい充填経路を特定して適切な対策を講じることができる。例えば、不良が生じている経路の充填バルブ、流量計といった構成要素のメンテナンスを実施して充填機能を正常に回復させることができる。あるいは、充填不良が生じている充填経路の充填バルブに関して、目標充填量に対応する設定値を変更して充填量のばらつきにより生じる充填量不足の解消を図るといった対策を講じることができる。
【0008】
本発明の一形態においては、前記出力先として、前記充填不良の発生を該不良が発生した充填経路を特定するための情報と対応付けて表示する表示手段(24)が設けられてもよい。この場合には、表示手段に表示されている情報を手掛かりとして充填装置のオペレータが充填不良の発生している充填経路を容易に特定することができる。
【0009】
本発明の一形態においては、前記充填バルブ毎に前記設定値を設定可能な設定手段(25)を有し、前記不良通知手段は前記出力先として前記設定手段に前記充填不良の発生及び該不良が発生した充填経路を特定するための情報を通知し、前記設定手段は、前記不良通知手段からの通知に応答して、前記不良が発生した充填経路の充填バルブに関する前記目標充填量に対応する設定値を増加させてもよい。この場合には、不良が発生している充填経路に関して充填バルブの設定値を増加させることにより、次回以降の充填機会における充填量を増加させて、充填量のばらつきにより生じる充填量不足の解消を図ることができる。
【0010】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0011】
以上に説明したように、本発明によれば、バルブ制御手段が充填バルブの開放を指示してから閉鎖を指示するまでの充填時間のばらつきと充填量のばらつきとの間の相関関係を利用して充填量のばらつきが許容範囲を超えているか否かを充填経路毎に判別し、許容範囲を超えていると判別された充填経路に関して、充填不良の発生及びその不良が発生した充填経路を特定するための情報を所定の出力先に通知するものとしたため、充填量がばらつくことにより生じる、充填量が不足する充填経路を特定して適切な対策を講じることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は本発明の一形態に係る飲料充填装置の要部を示している。飲料充填装置1は、多数(図ではその1つを示す。)の充填バルブ2と、それらの充填バルブ2に飲料を供給する飲料供給源としてのフィラーボール3とを備えている。フィラーボール3には不図示の飲料配管及びガス配管が接続されている。それらの飲料配管及びガス配管を介してフィラーボール3に飲料及び炭酸ガスが適宜に補充され、又はフィラーボール3から飲料及び炭酸ガスが排出される。充填バルブ2は、所定の回転軸線を中心として水平に旋回可能な充填ヘッド(不図示)の外周に、周方向へ一定ピッチでかつ上下動自在に取り付けられている。充填ヘッドの下方には、不図示の容器搬送機構によって飲料缶(容器)4が充填バルブ2と上下方向に位置を揃えるようにして順次送り込まれる。充填バルブ2は充填ヘッドによって搬送されつつ飲料缶4に向けて下方に駆動される。充填バルブ2の下端部が飲料缶4の口部に密着すると充填バルブ2が開かれてフィラーボール3の飲料が充填バルブ2を経て飲料缶4に充填される。所定量の飲料が充填されると充填バルブ2が閉じられて上方に駆動される。飲料充填後の飲料缶4は、容器搬送機構によって次工程に搬送される。次工程では、飲料缶4に対する缶蓋の取り付け、巻締等が行われる。
【0013】
充填バルブ2は、バルブ本体5と、そのバルブ本体5の内部に配置された弁体6と、その弁体6を上下方向の軸線に沿って駆動するシリンダ装置7とを備えている。バルブ本体5の内部流路5aは飲料供給管8を介してフィラーボール3と接続されている。弁体6が図示の開位置にあるときはバルブ本体5の下端部の弁座5bと弁体6との間に隙間が生じ、飲料供給管8から内部流路5aを経て飲料缶4に飲料が供給される。弁体6が開位置よりも下方に駆動されると、弁体6が弁座5bに密着して内部流路5aが閉鎖され、飲料缶4に対する飲料の供給が阻止される。この形態では、フィラーボール3から飲料供給管8を経て充填バルブ2の内部流路5aの終端までが充填経路に相当する。
【0014】
なお、弁体6の中心線上にはガス流路6aが設けられ、そのガス流路6aはガス流通管9を介してフィラーボール3のヘッドスペース3aと接続されている。ガス流通管9上のバルブ10を開くことにより、フィラーボール3内の炭酸ガスをガス流路6aから飲料缶4内に送り込み、あるいは余剰の炭酸ガスをフィラーボール3へと戻すことができる。また、バルブ本体5の下端部には気体抜き路11がバルブ本体5を一周するように設けられている。その気体抜き路11は一対のガス配管12、13を介して回収管14と接続されている。ガス配管12、13のそれぞれに設けられたバルブ15、16を開くことにより、飲料缶4の内部の気体(空気又は炭酸ガス)を回収管14へと排出することができる。
【0015】
充填バルブ2による飲料の充填量を計測するため、飲料供給管8には充填バルブ2と対をなすようにして流量計17が設けられている。流量計17は、飲料供給管8を通過する流体によって回転するタービン17aを有し、そのタービン17aが所定角度回転する毎に、検出信号としてのパルス信号を出力する。すなわち、流量計17は、飲料供給管8を通過する流体の流量をタービン17aの単位時間当たりの回転量に置き換えて検出する。この種の流量計はタービンメータと呼ばれることがある。飲料充填装置1には、流量計17の出力信号を参照して充填バルブ2の開閉動作を制御するためにバルブ制御部20と、バルブ番号検出センサ21とが設けられている。
【0016】
バルブ制御部20は、一例としてマイクロプロセッサを有するコンピュータユニットとして構成されている。バルブ番号検出センサ21は、充填バルブ2のそれぞれにユニークに付されたバルブ番号を特定するためのセンサである。すなわち、充填バルブ2には、1番からN番(但し、Nは充填バルブ2の個数)までのバルブ番号が充填ヘッドの回転方向に沿って付されている。バルブ番号検出センサ21は、充填ヘッドの旋回経路に近接して設けられ、基準となるバルブ番号(例えば1番の充填バルブ2)が所定の検出位置に達すると、検出信号を出力する。バルブ制御部20は、バルブ番号検出センサ21の検出信号と、充填ヘッドの回転速度とに基づいて充填開始位置に達したバルブ番号を判別し、その判別したバルブ番号の充填バルブ2に対して開信号を出力する。その後、バルブ制御部20は、開信号後の流量計17からの出力パルス数を計数し、そのパルス数の計数値が設定パルス数に達した充填バルブ2に対して閉信号を出力することにより、各充填バルブ2から飲料缶4への飲料の充填量を制御する。本形態では、バルブ制御部20が判別するバルブ番号が、充填不良が発生した充填経路を特定するための情報として利用される。なお、バルブ番号の判別に関しては、公知の様々な手法を利用してよい。
【0017】
図2は、充填バルブ2の開閉動作に関するタイミングチャートの一例である。充填バルブ2の飲料缶4への密着が完了すると、その後の時刻t1にバルブ制御部20から充填バルブ2のシリンダ装置7の駆動回路に対して開指令信号が出力される。その開指令信号を受けてシリンダ装置7が動作して時刻t2に充填バルブ2が開き始め、充填が開始される。これと同時に流量計17からのパルス信号の出力が開始される。流量計17から出力されるパルス数はバルブ制御部20にて計数される。パルス数が設定パルス数Pnsに達した時刻t3にてバルブ制御部20からシリンダ装置7に対して閉指令信号が出力される。閉指令信号(時刻t3)を受けて充填バルブ2が閉じられて時刻t4で飲料の充填が実際に停止され、同時に流量計17からのパルス信号の出力も停止される。設定パルス数Pnsは、設定部25をオペレータが操作することにより、バルブ番号毎に個別に設定可能である。
【0018】
飲料缶4に対する飲料の充填量にばらつきが発生することがある。流量計17の設定パルス数Pnsは、ばらつきが発生しても目標充填量以上の飲料が充填されるように適度の余裕が見込まれているが、ばらつきが相対的に大きな充填バルブ2に関しては充填量が目標充填量に満たないおそれがあり、そのような充填バルブ2は不良バルブとして適宜にメンテナンスする必要がある。しかし、飲料充填装置1から排出された後の飲料缶4の検査によって充填量不足が確認されたとしても、その飲料缶4と充填バルブ2との対応関係を特定することは困難である。充填量不足が生じている充填バルブ2を特定するためには、飲料充填装置1から取得可能な情報に基づいて不良バルブを特定することが望ましい。なお、ここでいう不良バルブとは、充填バルブ2に限らず、これと対をなす流量計17等も含んだ概念である。すなわち、不良バルブの用語は、充填時に飲料が通過する系であって、バルブ番号と1:1に対応付けられた系における構成要素の集合を示す意味で使用されることがある。
【0019】
飲料充填装置1においては、充填量に影響する可能性があるパラメータとして、充填パルス数Pnf、充填時間Tf、バルブ開遅延時間Ta、バルブ閉遅延時間Tbが存在する。充填パルス数Pnfは、流量計17がパルス信号の出力を開始する時刻t2から充填が終了する時刻t4までの流量計17の出力パルス数である。流量計17が正しく動作している限り、単一のパルス信号が出力されるときの流量(単位流量)に充填パルス数Pnfを乗算した値が飲料缶4への飲料の充填量となる。充填時間Tfは、充填バルブ2に対して開指令信号が出力される時刻t1から閉指令信号が出力される時刻t3までの時間長である。バルブ開遅延時間Taは、開指令信号が出力される時刻t1から実際に充填が開始される時刻t2までの時間長、バルブ閉遅延時間Tbは、閉指令信号が出力される時刻t3から、実際に充填が終了する時刻t4に所定の判定時間Tcを加えた時刻t5までの時間長である。判定時間Tcは、流量計17からのパルス信号の出力が停止したと判断するために要する時間であり、一例として10m秒程度に設定される。
【0020】
上述したパラメータPnf、Tf、Ta、Tbと充填量のばらつきとの関係を検査すると、充填時間Tfのばらつきと充填量のばらつきとの間には正の相関が認められるが、他のパラメータPnf、Ta、Tbと充填量のばらつきとの間には明瞭な相関関係が認められない。図3は、充填時間Tfの統計的ばらつきを示す指標値としての標準偏差σaと、充填量の統計的ばらつきを示す指標値としての標準偏差σbとの関係を測定した結果の一例を示す。図3において、例えば、充填量のばらつきの許容範囲が標準偏差σtg以内である場合、その標準偏差σtgに対応する充填時間の標準偏差σthよりも充填時間Tfの標準偏差σaが大きいものを、充填量のばらつきが許容範囲を超えている不良バルブとして特定することができる。
【0021】
充填時間Tfのばらつきに着目して不良バルブを特定するため、図1に示すように、飲料充填装置1には、充填時間検出部21、標準偏差演算部22、バルブ評価部23が設けられている。各部の機能は次の通りである。充填時間検出部21は、バルブ制御部20から、開指令信号及び閉指令信号をバルブ番号と対応付けて取得する。そして、開指令信号から閉指令信号までの所要時間、すなわち充填時間Tfを検出し、その検出した充填時間Tfをバルブ番号と対応付けて出力する。標準偏差演算部22は、充填時間Tfとバルブ番号とを対応付けたデータを保持している。図4は標準偏差演算部22が保持するデータの一例である。図4のデータでは、所定のサンプル数Nの充填時間Tfi1〜TfiN(i=1〜M)とそれらの標準偏差σaiとがバルブ番号1〜Mに対応付けて格納されている。充填時間検出部21にて充填時間Tfが新たに検出されると、標準偏差演算部22はその検出された充填時間Tfをバルブ番号と対応付けて取得し、対応するバルブ番号iの充填時間Tfi1〜TfiNのうち、最も古い時期に検出された充填時間Tfを新たな充填時間Tfに更新する。さらに、標準偏差演算部22は、更新後の充填時間Tfi1〜TfiNを利用して標準偏差σaiを下式(1)により演算し、その演算結果に従って標準偏差σaiを更新する。但し、式(1)において、jはサンプル番号1〜Nを示す変数である。
【0022】
【数1】

【0023】
標準偏差σaiが演算されると、その演算結果が標準偏差演算部22からバルブ評価部23に出力される。バルブ評価部23は、演算された標準偏差σaiが、所定の評価基準値σth(図3参照)以下か否かを判別する。標準偏差σaiが評価基準値σthを超えていた場合、バルブ評価部23は、その標準偏差σaiに対応するバルブ番号にて不良バルブが検出されたものと認識し、不良バルブの検出信号をバルブ番号と対応付けてモニタ部24及び設定部25に出力する。モニタ部24では、不良バルブが検出されたことを示す情報(例えば、不良バルブ検出を示すメッセージ等)がバルブ番号と対応付けて飲料充填装置1のオペレータに表示される。なお、モニタ部24には、充填時間検出部21が検出した充填時間Tf、標準偏差演算部22が演算した標準偏差σaもバルブ番号と対応付けて表示される。
【0024】
モニタ部24に不良バルブの検出がバルブ番号とともに示されることにより、飲料充填装置1のオペレータは、不良が生じているバルブ番号を把握し、適切な対応を取ることが可能となる。例えば、設定部25を利用して、不良が検出されたバルブ番号に関する設定パルス数Pnsをより大きな値に変更することにより、飲料充填量の目標充填量に対する不足の発生を抑えることができる。あるいは、不良が検出されたバルブ番号に関して、充填バルブ2、あるいは流量計17をメンテナンスしてもよい。
【0025】
以上の形態では、バルブ制御部20がバルブ制御手段に、充填時間検出部21が充填時間検出手段に、標準偏差演算部22がばらつき算出手段に、バルブ評価部23がばらつき判別手段及び不良通知手段にそれぞれ相当する。また、モニタ部24が、充填不良発生等の出力先としての表示手段に相当する。
【0026】
本発明は以上の形態に限定されることなく、種々の形態にて実施することができる。例えば、図4に示したように、バルブ評価部23における不良バルブの検出信号をバルブ番号と対応付けて設定部25に入力させ、設定部25にて、不良バルブの検出に対応した処理として、不良が検出されたバルブ番号に関する設定パルス数Pnsを自動的に増加させるようにしてもよい。この場合、設定部25が出力先としての設定手段に相当する。さらに、設定パルス数Pnsに上限値を設定し、その上限値に達したバルブ番号に関して、オペレータにメンテナンスを促すような処理をさらに追加してもよい。
【0027】
上記の形態では、充填経路を特定するための情報としてバルブ番号を利用しているが、バルブ番号とは異なる形態で充填経路が特定されてもよい。充填時間の統計的ばらつきを示す値としては、標準偏差に限らず、各種の指標値を利用可能である。流量計は、タービンメータに限らず、充填経路を単位流量の流体が流れる毎に所定の検出信号を出力する限りにおいて各種の構成の流量計が利用可能である。本発明は飲料缶に飲料を充填する装置に限らず、容器及びこれに充填されるべき流体は適宜に変更されてよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一形態に係る飲料充填装置の要部を示す図。
【図2】充填バルブの開閉動作に関するタイミングチャート。
【図3】充填時間の統計的ばらつきを示す指標値としての標準偏差と、充填量の統計的ばらつきを示す指標値としての標準偏差との関係を測定した結果の一例を示す図。
【図4】標準偏差演算部が保持するデータの一例を示す図。
【図5】本発明の他の形態に係る飲料充填装置の要部を示す図。
【符号の説明】
【0029】
1 飲料充填装置(流体充填装置)
2 充填バルブ
3 フィラーボール
4 飲料缶(容器)
8 飲料供給管
17 流量計
17a タービン
20 バルブ制御部(バルブ制御手段)
21 バルブ番号検出センサ
21 充填時間検出部(充填時間検出手段)
22 標準偏差演算部(ばらつき算出手段)
23 バルブ評価部(ばらつき判別手段、不良通知手段)
24 モニタ部(表示手段)
25 設定部(設定手段)
Tf 充填時間
σa 充填時間の標準偏差
σb 充填量の標準偏差
σth 充填時間の標準偏差の基準値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の容器に対応付けられた複数の充填経路のそれぞれを開閉する複数の充填バルブと、
前記複数の充填経路のそれぞれに設けられ、各充填経路を単位流量の流体が流れる毎に所定の検出信号を出力する複数の流量計と、
前記充填バルブの開放を指示してからの前記流量計の検出信号を計数し、該検出信号の計数値が目標充填量に対応する設定値に達すると前記充填バルブに閉鎖を指示することにより、前記目標充填量の流体が前記容器に充填されるように各充填バルブの開閉を制御するバルブ制御手段とを備えた流体充填装置において、
前記バルブ制御手段が各充填バルブの開放を指示してから閉鎖を指示するまでの時間を充填時間として充填経路毎に検出する充填時間検出手段と、
複数の充填機会における前記充填時間の検出値の統計的ばらつきを示す値を充填経路毎に算出するばらつき算出手段と、
前記ばらつき算出手段が算出した値に基づいて、前記充填経路を介した充填量のばらつきが許容範囲を超えているか否かを充填経路毎に判別するばらつき判別手段と、
前記ばらつき判別手段にて前記ばらつきが前記許容範囲を超えていると判別された充填経路に関して、充填不良の発生及び該不良が発生した充填経路を特定するための情報を所定の出力先に通知する不良通知手段と、
を備えたことを特徴とする流体充填装置。
【請求項2】
前記出力先として、前記充填不良の発生を該不良が発生した充填経路を特定するための情報と対応付けて表示する表示手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の流体充填装置。
【請求項3】
前記充填バルブ毎に前記設定値を設定可能な設定手段を有し、前記不良通知手段は前記出力先として前記設定手段に前記充填不良の発生及び該不良が発生した充填経路を特定するための情報を通知し、前記設定手段は、前記不良通知手段からの通知に応答して、前記不良が発生した充填経路の充填バルブに関する前記目標充填量に対応する設定値を増加させることを特徴とする請求項1又は2に記載の流体充填装置。
【請求項4】
前記ばらつき算出手段は、前記充填時間の検出値の統計的ばらつきを示す値として、前記検出値の標準偏差を算出し、前記ばらつき判別手段は、前記標準偏差が予め定められた基準値を超えている場合に、前記充填量のばらつきが許容範囲を超えていると判別することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の流体充填装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−23879(P2010−23879A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−187518(P2008−187518)
【出願日】平成20年7月18日(2008.7.18)
【出願人】(307027577)麒麟麦酒株式会社 (350)
【Fターム(参考)】