説明

流体処理装置

【課題】付加的な外部の支持部無しに、容易に、装置内で圧力を加えられた流体が発生するすべての力に耐えることができる装置を提供する。
【解決手段】流体処理装置は、第1のエンドピース11及び第2のエンドピース12と、第1のエンドピース11と前記第2のエンドピース12との間に配置される少なくとも1つの流体処理ユニット13と、前記第1のエンドピース11と前記第2のエンドピース12との間に延びて、流体処理ユニット13と、前記第1のエンドピース11及び前記第2のエンドピース12とを共に押し付けるように配置されたリテーナー26と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
[0001]本発明は、使い捨て用途又は繰り返し用途において種々の方法のいずれかによって幅広い種類の流体を処理するために用いられる流体処理装置に関する。
【0002】
[0002]本発明を具体化した流体処理装置は、対向するエンドピース同士の間で押圧される1以上の流体処理ユニットを含む。各流体処理ユニットは透過性流体処理メディアを含み、透過性流体処理メディアは供給面と、反対側の透過面とを有する。処理される流体は処理流体又は供給流体として知られ、流体処理装置は供給流体入口と、供給流体入口から透過性メディアの供給面に延びる供給流体通路とを含む。供給面から透過性流体処理メディアを通って透過面に流れる流体はろ過流体又は透過流体として知られ、流体処理装置はさらに、透過流体出口と、透過性メディアの透過面から透過流体出口に延びる透過流体通路とを含む。
【0003】
[0003]本発明を具体化した流体処理装置は、ダイレクトフローモード若しくはデッドエンドフローモードの動作、又はタンジェンシャルフローモード若しくはクロスフローモードの動作で流体を処理するように配置され得る。ダイレクトフローモードの動作用に配置された流体処理装置において、供給流体通路は透過性メディアの供給面で終端する。供給流体は、圧力下で供給流体入口に供給され、供給流体入口において供給流体が流体圧力によって供給流体通路を通って透過性メディアの供給面に流れる。そして、この流体圧力によって、すべての供給流体が透過流体として透過性メディアを通って透過面に流れ、その後透過流体通路を通って透過流体出口に流れる。
【0004】
[0004]タンジェンシャルフローモードの動作用に配置された流体処理装置はさらに、保持液(retentate)出口と、透過性メディアの供給面から保持液出口に延びる保持液通路とを含む。この場合も、供給流体は圧力下で供給流体入口に供給され、供給流体は圧力によって供給流体通路を通ってその接線方向に向かい、透過性メディアの供給面に沿って流れる。流体圧力によって、供給流体の一部のみが透過流体として透過性メディアを通って透過面に流れ、その後透過流体通路を通って透過流体出口に流れる。透過性メディアを通らなかった供給流体の残りは、濃縮物又は保持液として知られ、流体圧力によって透過性メディアの供給面から保持液通路を通って保持液出口に流れる。
【0005】
[0005]ダイレクトフローモード及びタンジェンシャルフローモードのいずれの動作用に配置されている場合でも、本発明を具体化した流体処理装置はさらに1以上のマニホールドと、リテーナーとを含む。各マニホールドは供給流体入口、透過流体出口、及び保持液出口のうち1つ以上を含む。マニホールドは、マニホールド内の流体通路が流体処理ユニット内の適切な流体通路と流体的に連通するようにエンドピース同士の間に配置される。リテーナーは第1のエンドピースと第2のエンドピースとの間に延びて、第1のエンドピース及び第2のエンドピースと、流体処理ユニットと、マニホールドとを互いに対して押し付け、流体処理装置内の流体圧力と関連付けられるすべての力に抗して流体処理装置を一体に保持する。
【発明の概要】
【0006】
[0006]本発明の一態様によれば、流体処理装置は、少なくとも1つの流体処理ユニットと、供給流体入口及び供給流体通路と、透過流体出口及び透過流体通路と、第1のエンドピース及び第2のエンドピースと、リテーナーとを備える。流体処理ユニットは、第1のエンドピースと第2のエンドピースとの間に配置され、供給面と透過面とを有する透過性流体処理メディアを含む。供給流体通路は、供給流体入口から流体処理ユニットを通って透過性メディアの供給面に延びる。透過流体通路は、透過性メディアの透過面から流体処理ユニットを通って透過流体出口に延びる。少なくとも一方のエンドピースが非金属材料から形成され、かつ少なくとも約8×10psiの曲げ弾性率を有する。リテーナーは、第1のエンドピースと第2のエンドピースとの間に延びて、流体処理ユニット及び第1のエンドピースと第2のエンドピースとを互いに対して押し付けるように配置されている。
【0007】
[0007]本発明の別の態様によれば、流体処理装置は、第1のエンドピース及び第2のエンドピースと、1以上のマニホールドと、1以上の流体処理ユニットとを備える。各エンドピースは、非金属材料から形成され、かつ少なくとも約8×10psiの曲げ弾性率を有する。1以上のマニホールドはエンドピース同士の間に配置される。各マニホールドは、供給流体入口、透過流体出口、及び保持液出口のうち少なくとも1つを有する。1以上の流体処理ユニットもまた、エンドピース同士の間に配置される。各流体処理ユニットが、供給面と、その反対側の透過面とを含む透過性流体処理メディアを有する。流体処理装置はまた、供給流体通路と、透過流体通路と、保持液通路と、リテーナーとを備える。供給流体通路は、供給流体入口から少なくとも1つのマニホールドと少なくとも1つの流体処理ユニットとを通って透過性メディアの供給面に延びる。透過流体通路は、透過性メディアの透過面から少なくとも1つの流体処理ユニットと少なくとも1つのマニホールドとを通って透過流体出口に延びる。保持液通路は、透過性メディアの供給面から少なくとも1つの流体処理ユニットと少なくとも1つのマニホールドとを通って保持液出口に延びる。リテーナーは、第1のエンドピースと第2のエンドピースとの間に延びて、1以上のマニホールド、1以上の流体処理ユニット、及び両方のエンドピースを互いに対して押し付けるように配置されている。
【0008】
[0008]本発明の実施形態は、多くの利点を有している。例えば、非金属材料から形成され、約8×10psiの曲げ弾性率を有する1以上のエンドピースを設けることによって、本発明を具体化した流体処理装置は、付加的な外部の支持部無しに、容易に、装置内で圧力を加えられた流体が発生するすべての力に耐えることができる。リテーナーによって互いに連結された非金属エンドピースは、機械プレスや液圧プレス等のいかなる外部のホルダーも無しに流体処理ユニット、マニホールド、及びエンドピース同士の間のいかなる他の構成要素もしっかりと押圧してシールする。したがって、本発明を具体化した流体処理装置は自己完結型であり、製造業者によって予め組み立てられ、シールされ、衛生的な状態にされて、流体処理装置の供給流体入口、透過流体出口及び保持液出口を流体システムにおける対応する取付具に単に接続することによって利用者の流体システム内に素早く簡単に組み込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】流体処理装置の代表的な図である。
【図2】図1の流体処理装置のエンドピースの平面図である。
【発明を実施形態の詳細な説明】
【0010】
[0011]本発明の1以上の態様を具体化した流体処理装置は、種々の形に構成されることができる。本発明を具体化した流体処理装置10の様々な例の1つを図1に示す。概して述べるならば、流体処理装置10は、対向するエンドピース11、12と、1以上の流体処理ユニット13と、エンドピース11、12同士の間に配置される1以上のマニホールド14と、を含む多層構造を備える。各流体処理ユニット13は透過性流体処理メディア15を含み、透過性流体処理メディア15には供給面16及びその反対の透過面17がある。また、流体処理装置10は、少なくとも1つの供給流体入口20と、供給流体を供給流体入口20から少なくとも1つの流体処理ユニット13(例えばすべての流体処理ユニット)の透過性メディア15の供給面16に導く供給流体通路21と、少なくとも1つの透過流体出口22と、透過流体を少なくとも1つの流体処理ユニット13(例えばすべての流体処理ユニット13)の透過性メディア15の透過面17から透過流体出口22に導く透過流体通路23とを含む。図1に示す流体処理装置10はクロスフローモードの動作用に配置されており、保持液出口24と、保持液を透過性メディア15の供給面16から少なくとも1つの流体処理ユニット13(例えばすべての流体処理ユニット13)の保持液出口24に導く保持液通路25とをさらに含む。さらに、流体処理装置10は、エンドピース11、12同士の間に延び、エンドピース11、12と、流体処理ユニット13と、マニホールド14とを互いに対して押し付けて流体処理装置10を一体に保持するリテーナー26を含む。
【0011】
[0012]各流体処理ユニット13は種々の形のいずれかに構成されることができ、各流体処理ユニット13の形状及びサイズは流体処理装置によって異なってもよい。例えば、各流体処理ユニットは、1以上の透過性流体処理メディアの層を備え、透過性メディアの供給面と透過面とを画定するケース内にシールされてもよい。1以上の供給流体チャネル、透過流体チャネル、及び/又は保持液チャネルはケース内で延び、供給流体を透過性メディアの供給面に供給し、透過性メディアの透過面からの透過流体を受け、透過性メディアの供給面からの保持液を受ける。供給流体チャネルが供給流体通路21の一部を構成し、透過流体チャネルが透過流体通路23の一部を構成し、保持液チャネルが保持液通路25の一部を構成する。
【0012】
[0013]あるいは、流体処理ユニットは少なくとも1つの供給層と、少なくとも1つの透過層と、少なくとも1つの透過性流体処理メディア層とを備えてもよい。供給層及び透過層はそれぞれ多孔質シート(例えば、織布や不織布のシート又は金属製やポリマーメッシュのシート)を備え、透過性メディア層は供給層と透過層との間に配置される。供給層と、メディア層と、透過層との配列は完全に囲まれ(例えば、熱可塑性ポリマー又は熱硬化性ポリマーによって密閉され)、供給流体開口と、透過流体開口と、保持液開口とが、例えば貫通孔として設けられる。供給流体開口は多孔質供給層と流体的に連通し、供給流体通路21の一部を構成する。保持液開口も多孔質供給層と流体的に連通し、保持液通路25の一部を構成する。透過流体開口は多孔質透過層と流体的に連通し、透過流体通路23の一部を構成する。流体処理ユニットの例は、例えば、2011年4月19日に出願され、“Fluid Treatment Arrangements and Methods of Making Fluid Treatment Arrangements”という表題の米国仮特許出願第61/476,874号明細書に開示されている。
【0013】
[0014]流体処理メディアは透過性、すなわち多孔質、透過性、半透過性、又は選択透過性であり、例えば天然ポリマーや合成ポリマーを含む種々の材料のいずれかから形成されることができる。流体処理メディアは、例えば、織布シートや不織布シート等の繊維構造やフィラメント構造、又は支持膜や非支持膜等の膜を含む多種多様な構造のいずれかとして形成することができる。さらに、流体処理メディアは無数の流体処理特性のいずれかを有してもよいし、有するように変更されてもよい。例えば、流体処理メディアは、正電荷、負電荷、又は中立電荷を有してもよく、液体親和性があってもなくてもよく、疎水性、親水性のもの、油に対する親和性のないもの、油に対する親和性のあるものが含まれ、及び/又は流体内の物質に化学結合することができるリガンドその他の反応性部分等の官能基が付加されてもよい。流体処理メディアは、流体を種々の方法のいずれかでさらに処理するように機能する種々の物質から形成されてもよいし、そのような物質を含浸していてもよいし、あるいはそのような物質を含んでもよい。これらの機能材料には、例えば吸着剤、イオン交換樹脂、クロマトグラフィーメディア、酵素、反応物質、又は流体内の物質又は流体そのものと化学結合し、及び/又は物理結合し、反応し、触媒作用を及ぼし、運び、あるいはその他の方法で流体内の物質又は流体そのものに影響するすべての種類の触媒が含まれる。さらに、流体処理メディアは、広範な分子量カットオフすなわちろ過精度(removal rating)のうち任意の値を有することができ、例えば、超多孔質、ナノ多孔質、又はより微細な多孔質から、マイクロ多孔質、又ははより粗い多孔質まで含まれる。したがって、流体処理メディアは、ろ過メディア等の捕捉メディアすなわち分離メディアを含む任意の種類の処理メディアとして機能する。
【0014】
[0015]マニホールドも種々に構成される。例えば、マニホールドは、少なくとも1つの流体通路と、流体システム(不図示)からの流体を受けるための流体入口、又は流体通路に連結された流体システムに流体を排出するための流体出口とを含んでもよい。供給流体入口と、透過流体出口と、保持液出口とはそれぞれ別々のマニホールドに配置されてもよいし、1つのマニホールドが供給流体入口、透過流体出口、及び透過流体出口のいずれか2つ以上を有してもよい。図1に示す実施形態では、1つのマニホールド14が供給流体入口20、透過流体出口22、及び保持液出口24の3つすべてを有している。マニホールド14は、マニホールド14の一方の側面、又は互いに反対側に位置する両側面に、流体処理ユニット13に面する設置面31を有する本体部30を備える。マニホールド14の本体部30の(例えば設置面31の)供給流体開口32、透過流体開口33、及び保持液開口34によって、供給流体通路21、透過流体通路23、及び保持液通路25の1つ以上は流体処理ユニット13からマニホールド14を通ってマニホールド14の本体部30上の供給流体入口20、透過流体出口22、及び/又は保持液出口24に延びることができる。各入口及び/又は出口は、入口及び/又は出口を流体システムに接続するための取付具として構成され、入口/出口を開閉する機構を有してもよい。流体システムは供給流体を流体処理装置10に供給し、及び/又は透過流体若しくは保持液を流体処理装置10から受ける。供給流体通路21は供給流体入口20からマニホールド14の本体部30を通って流体処理ユニット13まで延び、及び/又は透過流体通路23は流体処理ユニット13からマニホールド14の本体部30を通って透過流体出口22まで延びる。保持液通路25は、流体処理ユニット13からマニホールド14の本体部30を通って保持液出口24まで延びる。図示された実施形態では、供給流体入口、透過流体出口、及び保持液出口はすべて1つのマニホールドに設けられている。別の実施形態では、供給流体入口、透過流体出口、又は保持液出口は流体処理装置の別のマニホールドに関連付けられてもよい。マニホールドの例は、例えば、“Filtration Assemblies, Filtration Manifolds, Filtration Units, and Methods for Channeling Permeate”という表題の米国特許出願公開第2008/0132200号明細書、及び010年11月24日に出願され、“Manifold Plates and Fluid Treatment Arrangements Including Manifold Plates”という表題の米国特許出願第12/954,118号明細書に開示されている。
【0015】
[0016]流体処理ユニット13及びマニホールド14は、種々の形のいずれかでエンドピース11、12同士の間に設けられる。例えば、マニホールド14は、1以上の流体処理ユニット13の第1セットが一方のエンドピース11とマニホールド14の一方の側面との間にあり、1以上の流体処理ユニット13の第2セットが他方のエンドピース12とマニホールド14の他方の側面との間に配置されるように、エンドピース11、12同士の間に配置される。あるいは、マニホールドは、エンドピースの一方に隣接するようにエンドピース同士の間に配置されて、1以上の流体処理ユニットの1セットがマニホールドと他方のエンドピースとの間に配置されてもよい。別の変形例として、マニホールドが各エンドピースに隣接して配置され、1以上の流体処理ユニットのセットがマニホールド同士の間に配置されてもよい。各セットの流体処理ユニット13は、種々の形で(例えば、直列に、平行に、又は直列と並列の組み合わせで)、供給流体通路21、透過流体通路23、及び保持液通路25を介して互いに、かつ、マニホールド14と流体的に連通するように配置される。米国特許仮出願番号61/476、874号明細書に開示されているように、複数の流体処理ユニット13は、例えば、互いに対して、並びにマニホールド14、及び/又はエンドピース11、12と結合されていてもよい。あるいは、又はさらに、複数の流体処理ユニット13は、互いに対してマニホールド14と共に、エンドピース11、12及びリテーナー26によって押圧されてもよい。
【0016】
[0017]各エンドピース11、12は種々の形に構成されることができる。例えば、エンドピースは略多角形(例えば、六角形や長方形)の板を備えてもよい。多くの実施形態では、各エンドピース11、12は、平坦で、剛体で、略長方形の板であり、第1反対側表面35と第2反対側表面36とを有する。流体処理ユニット13又はマニホールド14に面する表面36は、流体処理ユニット13又はマニホールド14と同等の形状及びサイズの設置領域37を含んでもよい。多くの実施形態では、隣接する流体処理ユニット若しくはマニホールドは設置領域に直接接しているか、又は設置領域と流体処理ユニット若しくはマニホールドとの間にガスケットが配置されている。さらに、エンドピースは、流体通路を有さない閉じた(blind)エンドピースであり、隣接する流体処理ユニット又はマニホールド内の流体通路を閉鎖する。
【0017】
[0018]1つの、又はほとんどの実施形態では、両方のエンドピース11、12は、曲げ弾性率が高く、クリープが小さい非金属材料から形成される。この非金属材料はまた、通常保存状態、動作温度、及び動作圧力にさらされた際、かつ水分や湿気にさらされた際に寸法安定性を示す。さらに、この非金属材料の曲げ弾性率は、約8×10psiよりも大きい。例えば、曲げ弾性率は約1×10psiより大きくてもよいし、約1.5×10psiより大きくてもよいし、又は約2×10psiより大きくてもよい。この非金属材料は、2以上の非金属材料の複合を含んでもよいし、炭素繊維やガラス繊維等の埋込み繊維、又はガラスウェブのような織布ウェブや不織布ウェブ等の埋込繊維ウェブ等の強化材を含んでもよいし、層構造を有してもよい。この非金属材料は、所望の曲げ弾性率を有するポリマー材料(熱可塑性物質や、熱硬化性物質を含む)であってもよい。典型的な熱硬化性物質には、シリコーン、メラミン、エポキシ、及び/又はフェノールが含まれる。多くの実施形態では、この非金属材料は、G−10フェノール材料のようなG系のガラス強化物質を含むフェノール積層板を含む。
【0018】
[0019]各エンドピース11、12のサイズは、例えば、流体処理ユニット及び/又はマニホールドのサイズ、並びに流体処理装置内の流体の通常動作圧力及び通常動作温度によって変動する。各エンドピースは、所望の動作圧力及び動作温度における過度の曲げに対抗するのに十分な厚さを有する。多くの実施形態では、この厚さは約0.25インチ(6mm)以上の値以下、約0.50インチ(12mm)以上の値以下、又は約1.0インチ(25mm)以上の値以下である。各エンドピース11、12の長さと幅は、隣接する流体処理ユニット13又はマニホールド14の長さと幅よりも大きく、かつ各エンドピース11、12には、例えば、各エンドピース11、12の縁部又はその近傍に、リテーナー26を収容するための貫通孔38又は切欠きが設けられている。
【0019】
[0020]リテーナー26は、流体処理ユニット13、マニホールド14、及びエンドピース11、12を互いに対して押し付けて流体処理装置10を一体に保持するように、種々の形のいずれかで構成される。ある実施形態では、リテーナー26は、流体処理ユニット13及びマニホールド14に沿って、又はこれらを通ってエンドピース11、12同士の間に延びる複数の圧縮ロッド装置40を備える。各圧縮ロッド装置40は、細長い圧縮ロッド41と、圧縮ロッド41に設けることが可能でエンドピース11、12同士の間の圧縮ロッド41に張力をかける固定具42とを備える。例えば、圧縮ロッド41は一端に拡径ヘッドを、他端にねじ山形成領域を有し、固定具42は圧縮ロッド41のねじ山形成端部に螺合可能なナットを備える。あるいは、例えば、“Filtration Assemblies and Methods of Maintaining Compression of Filtration Units in Filtration Assemblies”という表題の米国特許出願公開第2008/0135499号明細書に記載された、ねじ山のない圧縮ロッド及び固定具を用いることもできる。リテーナー、例えば、圧縮ロッドと固定具とを含む圧縮ロッド装置は、ステンレス鋼等の金属材料から形成されてもよい。他の実施形態では、リテーナーは引張強度が高く、クリープが小さい非金属材料から形成されてもよい。例えば、圧縮ロッドと固定具とを含む圧縮ロッド装置は、エンドピースと、流体処理ユニットと、マニホールドとを一体に保持するために十分な引張強度を有する熱可塑性複合材料、熱硬化性複合材料、又はポリマー複合材料等のポリマー材料から形成されてもよい。多くの実施形態では、非金属圧縮ロッド装置は、約800ポンド以上、約2,500ポンド以上、約5,000ポンド以上、又は約15,000ポンド以上までの引張荷重に耐えられるように配置され、エンドピースの非金属材料として開示されたような熱可塑性物質や、熱硬化性物質を含むポリマー材料から機械加工により、又は成形により形成される。
【0020】
[0021]流体処理装置は1以上の、さらなる構成要素を含んでもよい。例えば、隣接する流体処理ユニット、マニホールド及び/又はエンドピースを互いに対してシールするために、これらの構成要素の間にガスケットを含むシールが設けられてもよい。流体処理装置はさらに、流体処理ユニット、マニホールド、及び/又はエンドピースがそれらの流体通路及び互いに対して適切に連通する開口と正確に整列するように維持するための1以上のアラインメントロッドを含んでもよい。アラインメントロッドの例は、例えば、“Filtration Assemblies and Methods of Installing Filtration Units in Filtration Assemblies”という表題の米国特許出願公開第2008/0135468号明細書に記載されている。
【0021】
[0022]流体処理装置10を組み立てるために、流体処理ユニット13及びマニホールド14内の適切な流体通路が整列し、互いに対して流体的に連通するように、流体処理ユニット13とマニホールド14とが任意のガスケットその他のシールと共にエンドピース11、12の設置領域37同士の間で積層される。流体処理ユニット13、マニホールド14、及びエンドピース11、12は、互いに対して直接的に又は間接的に結合されてもよいし、結合されなくてもよい。そして、リテーナー26はエンドピース11、12に設けられてもよい。例えば、圧縮ロッド41は、エンドピース11、12の一方の貫通孔を通って軸方向に挿通され、流体処理ユニット13とマニホールド14のそれぞれの外面に沿って、又は流体処理ユニット13とマニホールド14の各々の貫通孔若しくは切欠きを通って、軸方向に動き、その後反対側のエンドピース11、12における対応する貫通孔38を通って軸方向に挿通される。その後、固定具42が圧縮ロッド41に嵌合され、圧縮ロッド41に張力をかけ、流体処理ユニット、マニホールド、及びエンドピースを互いに対して押し付けてシールする。例えば、圧縮ロッド41のヘッドは、一方のエンドピース11、12の外側の表面35、すなわちエンドピース11、12の設置領域37と反対側の表面に対して押し付け、ナットが他方のエンドピース11、12の外側の表面35に対して圧縮ロッド41のねじ山形成部に締め付けられ、任意のガスケットと共に、積層されたエンドピース11、12、流体処理ユニット13及びマニホールド14を圧縮する。固定具42は、任意のガスケットやその他のシールを付勢し、流体処理装置10を確実に一体に保持し、かつ非金属エンドピース11、12を曲げたり、非金属エンドピース11、12のいずれかと隣接する流体処理ユニット13又はマニホールド14との間のシールを弱めたりするほど過度でない程度に十分に堅く、圧縮ロッド41に嵌合される。各非金属エンドピース11、12の縁部又はその近傍に働く曲げ力を減少させるために、圧縮ロッド41が、隣接する流体処理ユニット13又はマニホールド14内に、又は隣接する流体処理ユニット13又はマニホールド14の外面にごく接近して配置されるような方法で、エンドピース11、12の貫通孔38又は切欠きは配置される。例えば、隣接する流体処理ユニット13又はマニホールド14の外面と、圧縮ロッド41の外面との間の距離は、約1インチ(25mm)以下、約0.5インチ(12mm)以下、約0.25インチ(6mm)以下、又は約0.125インチ(3mm)以下である。
【0022】
[0023]組み立てられた流体処理装置10は、単に、流体システムが供給流体を流体処理装置10の供給流体入口20に供給し、流体処理装置10の透過流体出口22からの透過流体を受け、流体処理装置10の保持液出口24からの保持液を受けることを許容するための適切な流体接続を形成することによって、流体システムに連結される。供給流体は、圧力下でマニホールド14上の供給流体入口20に流入し、供給流体通路21を通って1以上の流体処理ユニット13(例えばすべての流体処理ユニット13)の透過性流体処理メディア15の供給面16まで流れる。供給圧力は、流体システム及び流体処理装置によって異なる。ある実施形態では、供給圧力は約20psi以下から約80psi以上の範囲、例えば約40psi〜約70psiの範囲にある。供給流体は、供給流体入口20から、供給流体通路21に沿ってマニホールド14を通りマニホールド14の各設置面31の供給流体開口32を通って流体処理ユニット13に流入する。その後、供給流体は、流体処理ユニット13の供給流体通路21を通ってその接線方向に向かい、各透過性メディア15の供給面16に沿って流れる。ダイレクトフローモード又はデッドエンドフローモードの動作用に配置された実施形態では、供給流体通路は透過性メディアの供給面で終端し、供給流体のすべてが透過性メディアを通って透過流体として透過面に流れる。タンジェンシャルフローモード又はクロスフローモードの動作用に配置された実施形態では、透過性メディア15の供給面16における供給流体の一部が透過性メディア15を通って透過流体として透過面17に流れる。透過流体は、圧力下で1以上の流体処理ユニット13(例えばすべての流体処理ユニット13)の透過性メディア15の透過面17から透過流体通路23を通って透過流体出口22に流れる。例えば、透過流体は各流体処理ユニット13内の透過流体通路23を通ってマニホールド14の各設置面31の透過流体開口33に流れ、又マニホールド14の透過流体通路23を通って透過流体出口22に流れ、透過流体出口22において透過流体は流体システムに受けられる。供給面16から透過性メディア15を通らなかった残りの流体は、圧力下で保持液として1以上の流体処理ユニット13(例えばすべての流体処理ユニット13)の透過性メディア15の供給面16から保持液通路25を通って保持液出口24に流れる。例えば、保持液は各流体処理ユニット13内の保持液通路25を通ってマニホールドの設置面31の保持液開口34に流れ、又マニホールド14の保持液通路25を通って保持液出口24に流れ、保持液出口24において保持液は流体システムに受けられる。
【0023】
[0024]本発明によって多くの利点が得られ、本発明の実施形態によって優れた性能が得られる。例えば、曲げ弾性率が約8×10psi以上の非金属材料から形成される1以上のエンドピースを設けることによって、本発明を具体化した流体処理装置は、外部の支持部無しに、容易に、装置内で圧力を加えられた流体が発生するすべての力に耐える。リテーナーによって連結された非金属エンドピースは頑丈な圧力容器を形成し、機械プレスや液圧プレス等のいかなる外部のホルダーも無しに、流体処理ユニット、マニホールド、及び任意のガスケットその他のシールを互いに対して及びエンドピースに対してしっかりとシールする。非金属エンドピースの曲げ弾性率は少なくとも約8×10psiであるので、流体処理装置の構成要素間のシールを弱め得るエンドピースの過度の曲げが生じない。したがって、本発明を具体化した流体処理装置は自己完結型となることができ、製造業者によって予め組み立てられ、シールされ、洗浄され、及び/又は衛生的な状態にされて、単に適切な流体接続を形成することによって利用者の流体システム内に素早く簡単に組み込まれ、すぐに供給流体を処理することができる。
【0024】
[0025]本発明の種々の態様について述べ、及び/又はいくつかの実施形態について説明してきたが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。例えば、本発明の範囲から逸脱することなく、ある実施形態の1以上の特徴を取り除いたり変更したりすることもできるし、1以上の特徴を他の実施形態の1以上の特徴と組み合わせることもできる。大きく異なる特徴を有する実施形態さえも本発明の範囲に含まれる。例えば、非金属エンドピースの一方又は両方は、供給流体入口及び供給流体通路と、透過流体出口及び透過流体通路と、保持液出口及び保持液通路とのうちの1つ以上を含むマニホールドとして構成されてもよい。エンドピースマニホールドは、供給流体を供給流体入口から供給流体通路を通って流体処理ユニットに導き、透過流体を流体処理ユニットから透過流体出口へと導き、及び/又は保持液を流体処理ユニットから保持液出口へと導く。さらに、非金属エンドピースマニホールドの曲げ弾性率は少なくとも8×10psiである。エンドピースマニホールドは、外部のホルダーその他の外部の支持部無しに、対向する非金属エンドピース及びリテーナーと共に、流体処理装置をしっかりとシールして一体に保持する。
【0025】
[0026]本発明の別の実施形態は、金属成分を含まない非金属流体処理装置を備える。例えば、流体処理装置は、上述したように、非金属エンドピースと、非金属リテーナーと、1以上の非金属流体処理ユニットと、1以上の非金属マニホールドと、非金属ガスケット又はその他のシールを備える。本発明の他の実施形態のように、非金属流体処理装置は、外部のホルダー等の外部の支持部無しに機能する。さらに、非金属流体処理装置は非常に環境に優しい。例えば、容易にリサイクル可能である。
【0026】
[0027]上述の説明及び図面を検討することにより、さらなる修正及び変形が当業者には明らかとなるであろう。したがって、以下の請求項に記載された主題のあらゆる変形、修正、及び等価物が本発明に含まれる。
【0027】
[0028]本明細書において引用される刊行物、特許出願、及び特許を含むすべての参考文献は参照により、各参考文献が個別に、かつ具体的に参照により本明細書に組み込まれるように示された場合、また、その全体が本明細書において述べられた場合と同程度に本明細書に組み込まれる。
【0028】
[0029]本発明の記載の文脈における(特に以下の請求項における)用語「a」、「an」、「the」、及び同様の指示詞の使用は、本明細書において特に指定がなく、かつ文脈と明確に矛盾しない限り、単数と複数の両方を含むものと解釈されるものとする。「備える」「有する」「含む」「包含する」の用語は、特に記されない限り、オープンエンドの用語である(すなわち、含んでいるがそれに限定されない)と解釈されるものとする。本明細書における値の範囲に関する記述は、本明細書において特に指定されない限り、その範囲内の各別個の値を個々に参照する便宜的方法としての役割を果たすことを単に意図するものであって、各別個の値は、本明細書で個々に記述されたかのように本明細書に組み込まれる。本明細書において記載されたすべての方法は、本明細書において特に指定がなく、かつ文脈と明確に矛盾しない限り、任意の適切な順番で実行可能である。本明細書において使用されるあらゆる例又は例示的な言い回し(例えば「等」)は、特に主張されない限り、単に本発明をよりよく説明することを意図し、本発明の範囲を制限するものではない。本明細書におけるいかなる言い回しも、本発明の実施に不可欠であり、請求項に記載されていない要素を示すものとは解釈されないものとする。
【符号の説明】
【0029】
10…流体処理装置、11…エンドピース、12…エンドピース、13…流体処理ユニット、14…マニホールド、15…透過流体処理メディア、16…供給面、17…透過面、20…供給流体入口、21…供給流体通路、22…透過流体出口、23…透過流体通路、24…保持液出口、25…保持液通路、26…リテーナー、30…本体部、31…設置面、32…供給流体開口、33…透過流体開口、34…保持液開口、35…第1反対側表面、36…第2反対側表面、37…設置領域、38…貫通孔、40…圧縮ロッド装置、41…圧縮ロッド、42…固定具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給面と透過面とを有する透過性流体処理メディアを含む少なくとも1つの流体処理ユニットと、
供給流体入口、及び、前記供給流体入口から前記流体処理ユニットを通って前記透過性流体処理メディアの前記供給面に延びる供給流体通路と、
透過流体出口、及び、前記透過性流体処理メディアの前記透過面から前記透過流体出口に延びる透過流体通路と、
第1のエンドピース及び第2のエンドピースと、
前記第1のエンドピースと前記第2のエンドピースとの間に延びるリテーナーであって、前記少なくとも1つの流体処理ユニットと前記第1のエンドピース及び前記第2のエンドピースとを互いに対して押し付けるように配置されたリテーナーと
を備え、
前記流体処理ユニットの各々が前記第1のエンドピースと前記第2のエンドピースとの間に配置され、前記第1のエンドピース及び前記第2のエンドピースの少なくとも一方が非金属材料から形成され、かつ少なくとも約8×10psiの曲げ弾性率を有する、流体処理装置。
【請求項2】
前記第1のエンドピースと前記第2のエンドピースとの間に配置されたマニホールドをさらに備え、
前記マニホールドが、前記供給流体入口及び前記供給流体通路を含むか、又は前記透過流体出口及び前記透過流体通路を含む、請求項1に記載の流体処理装置。
【請求項3】
保持液出口と、前記透過性流体処理メディアの前記供給面から前記流体処理ユニットを通って前記保持液出口に延びる保持液通路とを備える、請求項1に記載の流体処理装置。
【請求項4】
前記第1のエンドピースと前記第2のエンドピースとの間に配置されたマニホールドをさらに備え、
前記マニホールドが、前記供給流体入口及び前記供給流体通路を含むか、前記透過流体出口及び前記透過流体通路を含むか、又は前記保持液出口及び前記保持液通路を含む、請求項3に記載の流体処理装置。
【請求項5】
前記リテーナーが圧縮ロッド装置を備え、
前記圧縮ロッド装置が、前記第1のエンドピースと前記第2のエンドピースとの間に延びる圧縮ロッドと、前記圧縮ロッドに取り付けられた固定具とを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の流体処理装置。
【請求項6】
前記リテーナーが、非金属材料から形成される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の流体処理装置。
【請求項7】
前記第1のエンドピース及び前記第2のエンドピースの各々が、非金属材料として熱硬化性樹脂を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の流体処理装置。
【請求項8】
前記第1のエンドピース及び前記第2のエンドピースの少なくとも一方が、流体通路のないエンドプレートを備える、請求項1〜7のいずれか1項に記載の流体処理装置。
【請求項9】
互いに対向する第1のエンドピース及び第2のエンドピースであって、各々が非金属材料から形成され、かつ少なくとも約8×10psiの曲げ弾性率を有する、第1のエンドピース及び第2のエンドピースと、
前記第1のエンドピースと前記第2のエンドピースとの間に配置され、各々が供給流体入口、透過流体出口及び保持液出口のうち少なくとも1つを有する少なくとも1つのマニホールドと、
前記第1のエンドピースと前記第2のエンドピースとの間に配置され、各々が供給面と透過面とを有する透過性流体処理メディアを含む少なくとも1つの流体処理ユニットと、
前記供給流体入口から、前記少なくとも1つのマニホールドと前記少なくとも1つの流体処理ユニットとを通って前記透過性流体処理メディアの前記供給面に延びる供給流体通路と、
各々の前記透過性流体処理メディアの前記透過面から前記少なくとも1つの流体処理ユニットを通って前記透過流体出口に延びる透過流体通路と、
前記透過性流体処理メディアの前記供給面から前記少なくとも1つの透過性流体処理メディアを通って前記保持液出口に延びる保持液通路と、
前記第1のエンドピースと前記第2のエンドピースとの間に延びるリテーナーであって、前記1以上のマニホールドと、前記1以上の流体処理ユニットと、前記第1のエンドピース及び前記第2のエンドピースとを互いに対して押し付けるように配置されたリテーナーと
を備える流体処理装置。
【請求項10】
前記供給流体入口、前記透過流体出口及び前記保持液出口のうち2つ以上が同一のマニホールド上に配置されている、請求項9に記載の流体処理装置。
【請求項11】
前記リテーナーが、圧縮ロッド装置を備え、
前記圧縮ロッド装置が、前記第1のエンドピースと前記第2のエンドピースとの間に延びる圧縮ロッドと、前記圧縮ロッドに取り付けられる固定具とを含む、請求項9又は10に記載の流体処理装置。
【請求項12】
前記リテーナーが、非金属材料から形成される、請求項9〜11のいずれか1項に記載の流体処理装置。
【請求項13】
前記第1のエンドピース及び前記第2のエンドピースの各々が、非金属材料として熱硬化性樹脂を含む請求項9〜12のいずれか1項に記載の流体処理装置。
【請求項14】
前記第1のエンドピース及び前記第2のエンドピースの各々が、流体通路のないエンドプレートを備える、請求項9〜13のいずれか1項に記載の流体処理装置。
【請求項15】
金属成分を有さない、請求項1〜14のいずれか1項に記載の流体処理装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−103222(P2013−103222A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−245647(P2012−245647)
【出願日】平成24年11月7日(2012.11.7)
【出願人】(596064112)ポール・コーポレーション (70)
【氏名又は名称原語表記】Pall Corporation
【Fターム(参考)】