説明

流体制御機器の交換部品の供給方法、流体制御機器の交換部品セット

【課題】 1つの流体制御機器に関する交換部品一式を簡便で迅速に流通させることのできる流体制御機器の交換部品の供給方法、流体制御機器の交換部品セットを提供することを目的とする。
【解決手段】 交換部品セット100は、1つの空気圧アクチュエータに関する交換部品一式が、当該空気圧アクチュエータの構成領域単位毎にグループ化されかつパッケージ化されている。台紙110の表面に、交換部品#1〜#10の交換部品一式とOリングサイズ確認図面120とが所定の位置に配置され、また、台紙110の表面の下方には、空気圧アクチュエータの型式やサイズなどの型式情報130が印刷されている。一方、台紙110の裏面に、空気圧アクチュエータに関する交換部品一式に関わる交換部品の使用部位を示す情報が印刷されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気圧アクチュエータ、ボールバルブなどの流体制御機器の交換部品の供給方法、流体制御機器の交換部品セットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
流体制御機器の一つである空気圧アクチュエータは、直線運動(往復運動)を回転運動に変換するための運動変換機構を備え、この運動変換機構によって変換された出力軸の回転力を、この出力軸と連結したシステムに伝達して、ボールバルブなどの回転弁の弁体を開閉駆動する構造を採用している。
【0003】
このような空気圧アクチュエータにおいては、空気をシールするOリング、ベアリングなどの消耗部品を定期的に交換することにより、当該製品の寿命を延ばすことができる。
【0004】
たとえば、空気圧アクチュエータ1台分の消耗部品を列挙すると、Oリング8本、シールワッシャ(エンドカバー用2個、検査穴用1個)3個、スラストベアリング1個、ピストンベアリング2個、バックアップリング2本がある。すなわち、消耗部品は16部品(パーツ)となる。なお、Oリングの内訳は、ピストン用2本、シャフト上用1本、シャフト下用1本、ピストン中央用2本、エンドカバー用2本の合計8本である。
【0005】
これらの消耗部品は、空気圧アクチュエータの型式(種類)やサイズによっても異なったものとなる。たとえば、同一の型式の空気圧アクチュエータであっても、そのサイズが6種類存在する場合には、たとえばピストン用のOリングは、空気圧アクチュエータの種類(サイズ)に対応して6種類(サイズ)のものが必要となる。このことは、他の部位に使用されるOリングについても言えることであり、また、シールワッシャなど他の消耗部品についても言える。
【0006】
このような消耗部品の交換は、交換作業の頻度を抑制するために、原則として全ての消耗部品を対象にして行うようにしている。そのため、ユーザは、アクチュエータ1台に関し、必要な消耗部品(例えば十数種類の部品)の種類と個数を全て注文伝票に記入して、部品の注文をするようにしている。
【0007】
なお、交換を要する消耗部品の注文システムについては、例えば特開2003−122974号公報に記載がある。
【特許文献1】特開2003−122974号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、従来においては、消耗部品の交換作業の頻度を抑制するという観点から、アクチュエータ1台に対し必要な消耗部品(十数種類の部品)の種類と個数を全て注文伝票に記入して、部品の注文を行う必要があった。そのため、アクチュエータ1台分に用いられる消耗部品の種類が多い場合には、個別に部品を入手するのは手間のかかる作業であった。
【0009】
また、部品によって納期が異なり、全ての部品が揃うまで、現在納品されている部品の管理や、その保管場所を必要とする。
【0010】
さらに、設計変更が実施されている製品(アクチュエータ)については、消耗部品の寸法が新旧の部品で異なるものがあり、部品の手配前に確認する必要があった。
【0011】
そこで、アクチュエータ1台分の交換部品を1セットに袋詰めして供給する方法が考えられる。しかし、この場合は、次の(1)〜(3)の問題点を有している。
(1)交換に必要な部品が全て収納されているかの確認や、各部品をアクチュエータのどの部位に用いればよいかの確認に手間がかかる虞がある。
(2)袋詰めした部品は、平積みにより保管することになるので、保管のための平面スペースを多く必要とする。
(3)袋詰めした部品を平積みにして保管する場合は、部品形状を保護するものがないので、重量物が上積みされると部品が変形してしまう虞がある。これは、部品の品質維持の観点から好ましくない。
【0012】
そこで、本発明は、1つの流体制御機器に関する交換部品一式を簡便で迅速に流通させることのできる流体制御機器の交換部品の供給方法、流体制御機器の交換部品セットを提供することを目的とする。
【0013】
また、本発明は、1つの流体制御機器に関する交換部品一式の容易な部品管理に寄与することのできる流体制御機器の交換部品の供給方法、流体制御機器の交換部品セットを提供することを目的とする。
【0014】
さらに、本発明は、1つの流体制御機器に関する交換部品一式の部品交換作業の迅速化に寄与することのできる流体制御機器の交換部品の供給方法、流体制御機器の交換部品セットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため、本発明の流体制御機器の交換部品の提供方法は、1つの流体制御機器に関する交換部品一式をパッケージ化し、このパッケージ化された交換部品一式を前記流体制御機器に関する交換部品として提供することを特徴とする。
【0016】
これにより、交換部品一式をパッケージ単位で流通させればよいので、1つの流体制御機器に関する交換部品一式を簡便で迅速に流通させることができる。また、交換部品一式をパッケージ単位で部品管理することが可能となるので、1つの流体制御機器に関する交換部品一式の容易な部品管理に寄与することができる。
【0017】
本発明の好ましい形態において、前記交換部品一式は、所定の基準に基づいてグループ化されかつパッケージ化されていることを特徴とする。
【0018】
これにより、所定の基準に基づいてグループ化された交換部品一式をグループ単位で部品交換すればよいことになり、1つの流体制御機器に関する交換部品一式の部品交換作業の迅速化に寄与することができる。
【0019】
本発明のさらに好ましい形態において、前記交換部品一式は、前記流体制御機器の構成領域単位毎にグループ化されかつパッケージ化されていることを特徴とする。
【0020】
これにより、流体制御機器の構成領域単位毎にグループ化された交換部品は、該当する構成領域に設けられている交換対象の部品と部品交換すればよいことになり、1つの流体制御機器に関する交換部品一式の部品交換作業の迅速化に寄与することができる。
【0021】
上記課題を解決するため、本発明の流体制御機器の交換部品セットは、1つの流体制御機器に関する交換部品一式をパッケージ化したことを特徴とする。
【0022】
これにより、交換部品一式をパッケージ単位で流通させればよいので、1つの流体制御機器に関する交換部品一式を簡便で迅速に流通させることができる。また、交換部品一式をパッケージ単位で部品管理することが可能となるので、1つの流体制御機器に関する交換部品一式の容易な部品管理に寄与することができる。
【0023】
本発明の好ましい形態において、前記交換部品一式を所定の基準に基づいてグループ化しかつパッケージ化したことを特徴とする。
【0024】
これにより、所定の基準に基づいてグループ化された交換部品一式をグループ単位で部品交換すればよいことになり、1つの流体制御機器に関する交換部品一式の部品交換作業の迅速化に寄与することができる。
【0025】
本発明のさらに好ましい形態において、前記交換部品一式を前記流体制御機器の構成領域単位毎にグループ化しかつパッケージ化したことを特徴とする。
【0026】
これにより、流体制御機器の構成領域単位毎にグループ化された交換部品は、該当する構成領域に設けられている交換対象の部品と部品交換すればよいことになり、1つの流体制御機器に関する交換部品一式の部品交換作業の迅速化に寄与することができる。
【0027】
本発明のさらに好ましい形態において、前記グループ化された交換部品一式を、当該交換部品を配置するための配置手段に固定して配置したことを特徴とする。
【0028】
これにより、交換部品一式は配置手段に固定して配置されるので、交換部品同士が衝突することに起因して発生する当該交換部品の変形やキズを防止することができる。また、交換部品一式がグループ化されて配置手段に固定して配置される場合は、グループ化された交換部品が他のグループに移動することはないので、グループ化された交換部品の部品交換作業の迅速化を図ることが可能となる。
【0029】
本発明のさらに好ましい形態において、前記交換部品一式の各交換部品それぞれの実寸法に基づく図形と、当該複数の交換部品に関する情報とが記載された書類が添付されていることを特徴とする。
【0030】
これにより、パッケージされている交換部品一式の各交換部品のサイズを、実寸法に基づく図形と例えば規格番号などの交換部品に関する情報とを基に確認することができるので、1つの流体制御機器に関する交換部品一式の部品交換作業の迅速化に寄与することができる。また、実寸法に基づく図形と複数の交換部品に関する情報とが記載された書類が配置手段に添付される場合は、同一の型式でサイズの異なる複数種類の流体制御機器それぞれに関する交換部品一式を配置するための共通の配置手段を使用しつつ、各交換部品のサイズを、実寸法に基づく図形と例えば規格番号などの交換部品に関する情報とを基に確認することができるので、1つの流体制御機器に関する交換部品一式の部品交換作業の迅速化に寄与することができる。
【0031】
本発明のさらに好ましい形態において、前記書類は、Oリングに関するものであり、当該Oリングに対応する図形が前記流体制御機器の構成領域単位毎に同心円状に描画されていることを特徴とする。
【0032】
これにより、Oリングの実寸法に基づく図形と例えば規格番号などの交換部品に関する情報とが流体制御機器の構成領域単位に対応して描画されているので、実寸法に基づく図形および交換部品に関する情報を基に実際のOリングのサイズを確認することができるとともに、流体制御機器の構成領域を基に当該実際のOリングの使用部位を確認することができ、よって1つの流体制御機器に関する交換部品一式の部品交換作業の迅速化に寄与することができる。また、複数のOリングそれぞれの実寸法に基づく図形が同心円状に描画されているので、当該図形を描画するための領域つまり書類の大きさを最小限のものとすることができる。
【0033】
本発明のさらに好ましい形態において、前記交換部品一式の各交換部品それぞれの実寸法に基づく図形と、当該複数の交換部品に関する情報とが前記配置手段に記載されていることを特徴とする。
【0034】
これにより、パッケージされている交換部品一式の各交換部品のサイズを、実寸法に基づく図形と例えば規格番号などの交換部品に関する情報とを基に確認することができ、1つの流体制御機器に関する交換部品一式の部品交換作業の迅速化に寄与することができる。
【0035】
本発明のさらに好ましい形態において、前記配置手段に記載されている内容は、Oリングに関するものであり、当該Oリングに対応する図形が前記流体制御機器の構成領域単位毎に同心円状に描画されていることを特徴とする。
【0036】
これにより、Oリングの実寸法に基づく図形と例えば規格番号などの交換部品に関する情報とが流体制御機器の構成領域単位に対応して描画されているので、実寸法に基づく図形および交換部品に関する情報を基に実際のOリングのサイズを確認することができるとともに、流体制御機器の構成領域を基に当該実際のOリングの使用部位を確認することができ、よって1つの流体制御機器に関する交換部品一式の部品交換作業の迅速化に寄与することができる。また、複数のOリングそれぞれの実寸法に基づく図形が同心円状に描画されているので、当該図形を描画するための領域を最小限のものとすることができる。
【0037】
本発明のさらに好ましい形態において、前記交換部品一式に関わる交換部品の使用部位を示す情報が記載された書類が添付されていることを特徴とする。
【0038】
これにより、交換部品一式に関わる交換部品の使用部位を示す情報が記載された書類を基に、パッケージされた実際の交換部品一式の各交換部品の使用部位を確認することができることになり、1つの流体制御機器に関する交換部品一式の部品交換作業の迅速化に寄与することができる。
【0039】
本発明のさらに好ましい形態において、前記交換部品一式に関わる交換部品の使用部位を示す情報が前記配置手段に記載されていることを特徴とする。
【0040】
これにより、配置手段に記載されている交換部品一式に関わる交換部品の使用部位を示す情報を基に、パッケージされた実際の交換部品一式の各交換部品の使用部位を確認することができることになり、1つの流体制御機器に関する交換部品一式の部品交換作業の迅速化に寄与することができる。
【0041】
本発明のさらに好ましい形態において、前記グループ化された交換部品一式を、当該交換部品を視認可能なフィルムで固定したことを特徴とする。
【0042】
これにより、交換部品一式は視認可能なフィルムで固定されているので、交換部品の収納状況を確認することができる。
【0043】
本発明のさらに好ましい形態において、前記配置手段は台紙であることを特徴とする。
【0044】
これにより、安価な台紙を用いて交換部品一式をパッケージすることができる。
【0045】
本発明のさらに好ましい形態において、前記流体制御機器は、流体圧アクチュエータであることを特徴とする。
【0046】
これにより、流体圧アクチュエータに関する交換部品一式をグループ化しかつパッケージ化することができることになり、1つの流体圧アクチュエータに関する交換部品一式を簡便で迅速に流通させることができるとともに、その交換部品一式の部品交換作業の迅速化および容易な部品管理に寄与することができる。
【0047】
本発明のさらに好ましい形態において、前記流体制御機器は、ボールバルブであることを特徴とする。
【0048】
これにより、ボールバルブに関する交換部品一式をグループ化しかつパッケージ化することができることになり、1つのボールバルブに関する交換部品一式を簡便で迅速に流通させることができるとともに、その交換部品一式の部品交換作業の迅速化および容易な部品管理に寄与することができる。
【発明の効果】
【0049】
本発明によれば以下の効果を奏することができる。
【0050】
すなわち、本発明によれば、交換部品一式をパッケージ単位で流通させればよいので、1つの流体制御機器に関する交換部品一式を簡便で迅速に流通させることが可能になり、また、交換部品一式をパッケージ単位で部品管理することが可能となるので、1つの流体制御機器に関する交換部品一式の容易な部品管理に寄与することが可能になる。
【0051】
また、本発明によれば、所定の基準に基づいてグループ化された交換部品一式をグループ単位で部品交換すればよいことになり、1つの流体制御機器に関する交換部品一式の部品交換作業の迅速化に寄与することが可能になる。
【0052】
さらに、本発明によれば、流体制御機器の構成領域単位毎にグループ化された交換部品は、該当する構成領域に設けられている交換対象の部品と部品交換すればよいことになり、1つの流体制御機器に関する交換部品一式の部品交換作業の迅速化に寄与することが可能になる。
【0053】
さらに、本発明によれば、交換部品一式は配置手段に固定して配置されるので、交換部品同士が衝突することに起因して発生する当該交換部品の変形やキズを防止することが可能になり、また、交換部品一式がグループ化されて配置手段に固定して配置される場合は、グループ化された交換部品が他のグループに移動することはないので、1つの流体制御機器に関する交換部品一式の交換部品の部品交換作業の迅速化に寄与することが可能になる。
【0054】
さらに、本発明によれば、パッケージされている交換部品一式の各交換部品のサイズを、実寸法に基づく図形と例えば規格番号などの交換部品に関する情報とを基に確認することができるので、1つの流体制御機器に関する交換部品一式の交換部品の部品交換作業の迅速化に寄与することが可能になり、また、実寸法に基づく図形と複数の交換部品に関する情報とが記載された書類が配置手段に添付される場合は、同一の型式でサイズの異なる複数種類の流体制御機器それぞれに関する交換部品一式を配置するための共通の配置手段を使用しつつ、各交換部品のサイズを、実寸法に基づく図形と例えば規格番号などの交換部品に関する情報とを基に確認することができるので、1つの流体制御機器に関する交換部品一式の部品交換作業の迅速化に寄与することが可能になる。
【0055】
さらに、本発明によれば、Oリングの実寸法に基づく図形と例えば規格番号などの交換部品に関する情報とが流体制御機器の構成領域単位に対応して描画されているので、実寸法に基づく図形および交換部品に関する情報を基に実際のOリングのサイズを確認することができるとともに、流体制御機器の構成領域を基に当該実際のOリングの使用部位を確認することができ、よって1つの流体制御機器に関する交換部品一式の部品交換作業の迅速化に寄与することが可能になる。
【0056】
さらに、本発明によれば、交換部品一式に関わる交換部品の使用部位を示す情報を基に、パッケージされた実際の交換部品一式の各交換部品の使用部位を確認することができることになり、1つの流体制御機器に関する交換部品一式の部品交換作業の迅速化に寄与することが可能になる。
【0057】
さらに、本発明によれば、流体圧アクチュエータやボールバルブに関する交換部品一式をグループ化しかつパッケージ化することができることになり、1つの流体圧アクチュエータやボールバルブに関する交換部品一式を簡便で迅速に流通させることができるとともに、その交換部品一式の部品交換作業の迅速化および容易な部品管理に寄与すること可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0058】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しつつさらに具体的に説明する。ここで、添付図面において同一の部材には同一の符号を付しており、また、重複した説明は省略されている。なお、ここでの説明は本発明が実施される最良の形態であることから、本発明は当該形態に限定されるものではない。
【0059】
(実施の形態1)
【0060】
図1は本発明の実施の形態1における流体制御機器の交換部品セットが使用される空気圧アクチュエータの斜視図であり、図2は図1に示した空気圧アクチュエータの断面図である。
【0061】
空気圧アクチュエータ(流体制御機器)1は、図1および図2に示すように、アルミダイカスト製であり、単一部品であるシリンダ2と、シリンダ2の両端をOリング15a,15aでシールしながらそれぞれ被蓋するエンドカバー3,3と、ピニオン4を一体または別体に設けた出力軸5と、出力軸5をはさんだ対向位置に設けた一対のアルミダイカスト製のピストン6,6と、該一対のピストン6,6を両端に設けるとともに、ピニオン4と噛合するラック歯7を形成したアルミダイカスト製のピストンロッド8と、ピストン6の外方向側面6aを内壁とする圧力給排室9,10と連通孔9a,10aを介してそれぞれ連通した圧力給排口11,12と、シリンダ2の内周面2aと前記一対のピストン6,6の内方向側面6b,6bにより、囲繞された圧力検査室13と、圧力検査室13と外部とを連通する圧力検出孔14とから構成されている。
【0062】
上記一対のピストン6には装着溝6c、6dが形成されており、装着溝6cにOリング15bを装着し、一方、装着溝6dにピストンベアリング16を装着している。これらOリング15bおよびピストンベアリング16はシリンダ2の内周面2aに摺動可能に設けている。
【0063】
上記一対のピストン6は、ボルト19によりOリング15cを介してピストンロッド8に固定しており、この固定面は、図2においてボルト19の中心軸を中心に上下対称としているので、ピストン6に偏荷重がかかることなく、摺動時のピストン6の傾き現象を防止することができる。
【0064】
ピストンロッド8には、ラック歯7を形成して設けており、ラック歯7と出力軸5に一体または別体に設けたピニオン4とを噛合させている。
【0065】
このとき、図2に示すように、シリンダ2の内径をDとし、ピストン6の中心線6fとピニオン4の中心線4aとの離間距離をeとした場合、0.2D<e<0.35Dの関係が成立するようにすることにより、ピストン6の中心線6fとラック歯7のピッチ線7aとを一致させた状態で、ラック歯7とピニオン4とを噛合させている。
【0066】
シリンダ2の内周面2aと、一対のピストン6のそれぞれの外方向側面6aと、エンドカバー3とで囲繞された圧力給排室9,10を設けている。圧力給排室9,10は、上下に平行配置された連通孔9a,10aを介して圧力給排口11,12とそれぞれ連通している。圧力給排口11,12の内面には螺子部11a,12aを形成している。
【0067】
エンドカバー3は、ボルト孔縁部位を座面状3aに形成しており、この座面状3aを介して六角ボルト17を用いてシリンダ2に固定している。エンドカバー3の中にはストッパボルト18を設け、このストッパボルト18を、ピストン6とピストンロッド8とを固定する固定ボルト19に当接して、作動端の開度の微調整を行う。
【0068】
この実施の形態では、電磁弁の出力ポート(図示せず)は、圧力給排口11,12に図示しないOリングを介して直接取付け、取付けネジ(図示せず)でシリンダ2の突設部(ポート部)2bに形成したネジ部2cに螺合して、電磁弁(図示せず9をシリンダ2に直接固定する構造となっている。
【0069】
シリンダ2内には、該シリンダ2の内周面2aと一対のピストン6,6の内方向側面6b,6bにより、囲繞された圧力検査室13を設けている。圧力検査室13は、圧力検査孔14を介して圧力検出口20と連通し、この圧力検出口20はシリンダ2の突設部2bに直接取り付ける上記電磁弁(図示せず)との干渉を避けるため、突設部2bよりも下方位置に設けている。
【0070】
圧力検出孔14に圧力センサ(図示せず)を取り付けて、シリンダ2内の内圧を常時管理し、圧力漏洩を検知した際には、異常を知らせる信号を発信させるようにすることができる。
【0071】
上述した空気圧アクチュエータ1の分解斜視図を図3に示す。なお、図3において、#1〜#10は、空気圧アクチュエータ1の交換部品(消耗部品)を指し示している。
【0072】
次に、空気圧アクチュエータ1の交換部品(消耗部品)に着目し、この交換部品の提供方法について説明する。
【0073】
#1〜#5はOリングであり、#6はスラストベアリングであり、#7はピストンベアリングであり、#8はバックアップベアリングであり、#9および#10はシールワッシャである。なお、Oリング#1〜#5はそれぞれサイズが異なっており、またシールワッシャ#9、#10もそれぞれサイズが異なっている。
【0074】
これ以降の説明においては、Oリング15aをOリング#5とし、Oリング15bをOリング#1とし、Oリング15cをOリング#4とし、ピストンベアリング16をピストンベアリング#7とする。
【0075】
図4は空気圧アクチュエータの交換部品セットを示したものである。この交換部品セット100は、1つの流体制御機器たとえば空気圧アクチュエータに関する交換部品一式が、所定の基準に基づいてグループ化されかつパッケージ化されたものである。ここでは、交換部品セット100は、空気圧アクチュエータの構成領域単位毎にグループ化されかつパッケージ化されている。なお、交換対象となる部品(交換部品群)は、シール部分や摺動部分に用いられる部品であって、比較的磨耗し易い樹脂製やゴム製の材質の部品である。
【0076】
交換部品セット100は、台紙(配置手段)110の表面(一方面)に、上述した交換部品#1〜#10の交換部品群(交換部品一式)と、Oリングサイズ確認図面(書類)120とが、所定の位置に配置され、また、台紙110の表面の下方には、空気圧アクチュエータの型式やサイズなどの型式情報130が印刷されている。一方、台紙110の裏面(他方面)に、詳細は後述するように、空気圧アクチュエータに関する交換部品一式に関わる交換部品の使用部位を示す情報が印刷されている。
【0077】
また、この実施の形態1では、交換部品群(交換部品一式)およびOリングサイズ確認図面120は視認可能なフィルム(たとえば透明あるいは半透明のフィルム)で固定されるようになっている。たとえば、透明あるいは半透明のフィルムによるシュリンクパックにより、交換部品群とOリングサイズ確認図面120とを台紙110の表面に固定して配置するようにしている。
【0078】
このフィルムによるシュリンクパックを実施するときに、台紙110の表面に交換部品群とOリングサイズ確認図面120とが所定の位置に配置された状態で、これらを覆うように、かつこれらとフィルムとの間に多少の隙間を設ける(通気性を持たせる)ことにより、台紙110とフィルムとの間の空気を排出して、フィルムの密着性を良くすることができる。
【0079】
台紙110の材質は、シュリンクパックの強度にも耐え得るものであり、交換部品群を固定しつつ、側面100aを接地した状態で交換部品セット100を保管可能としている。これにより、交換部品の平積みによる保管によって部品が変形してしまうのを防ぐことができることに加え、交換部品セット100の保管に必要な平面積を減らすことができ、交換部品保管場所の省スペース化を図ることができる。なお、台紙100の具体的な材質として、厚紙、段ボール紙やこれらの補強、防水のために表面処理を施したもの、あるいはプラスチック等であってもよい。
【0080】
台紙110の表面(一方面)には、図5に示すように、空気圧アクチュエータの構成領域に対応する領域、すなわち左シリンダ領域(ピストンを含む)141、右シリンダ領域(ピストンを含む)142、シャフト(出力軸)領域143が設けられている。そして、これらの領域に、該当する交換部品が配置されることになる。
【0081】
すなわち、上述した交換部品群は、空気圧アクチュエータの構成領域単位毎(分解領域単位毎)にグループ化され、かつパッケージ化されることになる。ちなみに、左シリンダ領域141および右シリンダ領域142にはそれぞれ、Oリング#1、#4、#5、ピストンベアリング#7、バックアップベアリング#8、シールワッシャ#9が配置され、また、シャフト領域143にはOリング#2、#3、スラストベアリング#6、シールワッシャ#10が配置される(図4参照)。
【0082】
また、図4に示すようにグループ化される交換部品群は、型式情報(型式やサイズなどの情報)130で示される型式の空気圧アクチュエータに関する交換部品一式である。そのため、この交換部品セット100を用意することで、新品の各交換部品と当該空気圧アクチュエータに取付けられている各交換部品(消耗部品)とを、全て部品交換することができる。
【0083】
Oリングサイズ確認図面120は、図6に示すように、交換部品一式を含む複数の交換部品のそれぞれの実寸法に基づく図形(詳細は後述する)と、当該複数の交換部品に関する情報(詳細は後述する)とが記載された書類になっている。そして、この書類(Oリングサイズ確認図面120)が折り畳まれた状態で、台紙110の領域144(図5参照)に配置されるようになっている。
【0084】
Oリングサイズ確認図面120は、Oリングに関するものであり、このOリングに対応する図形が空気圧アクチュエータの構成単位領域毎に同心円状に描画されている。
【0085】
たとえば、Oリングに対応する図形は、図7に示すように、シリンダ領域に対応するシリンダ用Oリングが描画されている描画領域151と、ピストン領域に対応するピストン用Oリングが描画されている描画領域152a、152bと、シャフト領域に対応するシャフト周りOリングが描画されている描画領域153a、153b、153cとから構成されている。
【0086】
これらの空気圧アクチュエータの構成単位領域に対応する描画領域には、該当するOリングの実寸法に基づく図形が同心円状の描画されている。
【0087】
図6において、たとえば、描画領域152a(図7参照)に描画されているOリングの図形に付されている例えばP155、P100、また、描画領域151(図7参照)に描画されているOリングの図形に付されている例えばS235、S175、さらに、描画領域153a(図7参照)に描画されているOリングの図形に付されている例えばP24は、それぞれ複数の交換部品に関する情報であり、Oリングの規格番号である。
【0088】
このOリングの規格番号に対応して当該Oリングの内径dおよび太さwが決定されているので、この規格番号を参照することで当該Oリングのサイズを知ることができる。
【0089】
また、図6に示すOリングサイズ確認図面120には、図面の左上に所定の形式のアクチュエータに関する情報例えば「F型アクチュエータ スペアパーツキット」、所定の交換部品に関する情報(部品名称)例えば「Oリング」が記載され、また描画領域153a〜153c近傍に所定の形式のアクチュエータのサイズに関する情報例えば「F−1」、「F−2」、・・・、「F−6」が記載されている。これらの情報はそれぞれ複数の交換部品に関する情報である。
【0090】
上述したように複数の交換部品に関する情報には、上述したOリングの規格番号、部品名称、アクチュエータの型式名称、およびアクチュエータのサイズの各情報が含まれていることは勿論のこと、部品番号も含まれている。
【0091】
上述したように、この実施の形態1では、Oリングサイズ確認図面120を台紙110に添付するようにしているので、同一の型式でサイズの異なる複数種類の空気圧アクチュエータそれぞれに関する交換部品一式をパッケージ化する場合であっても共通の台紙110を使用することができる。つまり、台紙110を、複数種類の空気圧アクチュエータそれぞれに関する交換部品一式に対応して共通化することができる。これは、台紙110のロット数を多くすることができ、台紙110の低価格化を図ることが可能となる。
【0092】
また、パッケージされている交換部品一式の各交換部品(Oリング)のサイズを、Oリングサイズ確認図面120を基に確認することができるので、ユーザは、1つの空気圧アクチュエータに関する交換部品一式の部品交換作業の迅速化を図ることが可能となる。
【0093】
さらに、Oリングサイズ確認図面120には、Oリングの実寸法に基づく図形と例えば規格番号などの交換部品に関する情報とが流体制御機器(空気圧アクチュエータ)の構成領域単位に対応して描画されているので、実寸法に基づく図形および交換部品に関する情報を基に実際のOリングのサイズを確認することができるとともに、空気圧アクチュエータの構成領域を基に当該実際のOリングの使用部位を確認することができる。これにより、ユーザは、1つの空気圧アクチュエータに関する交換部品一式の部品交換作業の迅速化を図ることが可能となる。
【0094】
しかも、Oリングサイズ確認図面120を台紙110に添付するようにしているので、同一の型式でサイズの異なる複数種類の空気圧アクチュエータそれぞれに関する交換部品一式を共通の台紙110を使用しつつ、各交換部品のサイズを、Oリングサイズ確認図面120つまり実寸法に基づく図形と例えば規格番号などの交換部品に関する情報とを基に確認することができる。これにより、ユーザは、1つの空気圧アクチュエータに関する交換部品一式の部品交換作業の迅速化を図ることが可能となる。
【0095】
さらに、複数のOリングそれぞれの実寸法に基づく図形が同心円状に描画されているので、当該図形を描画するための領域つまり書類の大きさを最小限のものとすることができる。
【0096】
ところで、台紙110の裏面(他方面)には、図8に示すように、空気圧アクチュエータに関する交換部品一式に関わる交換部品の使用部位を示す情報(以下、「パーツリスト情報」という。)160が印刷されている。
【0097】
このパーツリスト情報160は、交換部品一式に関わる交換部品の使用部位を示す図形つまり空気圧アクチュエータの分解斜視図(以下、分解斜視図という)161と、空気圧アクチュエータに関わる交換部品一式の交換部品一覧表(以下、「交換部品一覧表」という。)162とから構成されている。
【0098】
なお、パーツリスト情報160の余白部分(たとえば領域163)には、当該パーツリストに関する問合せ先、例えばメーカや当該メーカの営業所、代理店などの名称、住所、電話番号、電子メールアドレスなどの情報を印刷するようにしてもよい。
【0099】
分解斜視図161は、図9に示すように、基本的には図3に示した分解斜視図の内容と同一であるものの、図3に示した構成において、図9の左側に記載されている「スプリングリターン型」に対応する図形(部品)が追加された内容になっている。この「スプリングリターン型」に対応する図形(部品)はオプションである。
【0100】
また、分解斜視図161には、たとえば「#4 Oリング」や「#7 ピストンベアリング」のように、交換部品(図形)に対応して部品番号(例えば#4)と部品名称(例えばOリング)とが記載されている。そのため、どの交換部品をどこに使用すればよいかを容易に把握することができる。
【0101】
交換部品一覧表162は、図10に示すように、アクチュエータの型式(タイプ)、例えば「F−1」、「F−2」、・・・「F−6」に対応して、交換部品群、例えばOリング#1〜#5、スラストベアリング#6、ピストンベアリング#7、バックアップリング#8、およびシールワッシャ#9、#10のそれぞれのサイズおよび数量が記載されている。
【0102】
なお、分解斜視図161に記載されている#1〜#10と、交換部品一覧表162に記載されている#1〜#10とは対応している。
【0103】
上述したように、この実施の形態1では、台紙110に印刷されているパーツリスト情報160(配置手段に記載されている交換部品一式に関わる交換部品の使用部位を示す情報)を基に、パッケージされた実際の交換部品一式の各交換部品の使用部位を確認することができる。これにより、ユーザは、1つの空気圧アクチュエータに関する交換部品一式の部品交換作業の迅速化を図ることが可能となる。
【0104】
以上は、台紙110の表面に交換部品群(交換部品一式)を空気圧アクチュエータの構成領域単位毎にグループ化して配置するとともに、台紙110の裏面にパーツリスト情報160を印刷し、さらにOリングサイズ確認図面120を添付つまり台紙110の表面に配置するようにした交換部品セット100についての説明である。
【0105】
次に、交換部品セットの他の例について図11を参照して説明する。
【0106】
図11に示す交換部品セット200は、1つの流体制御機器たとえば空気圧アクチュエータに関する交換部品群(交換部品一式)を、Oリングやベアリング、およびシールワッシャという所定の基準(部品材質単位)に基づいてグループ化し、かつパッケージ化したものである。この場合、交換対象となる部品(交換部品群)は、交換部品セット100の場合と同様に、シール部分や摺動部分に用いられる部品であって、比較的磨耗し易い樹脂製やゴム製の材質の部品である。
【0107】
交換部品セット200は、台紙(配置手段)210の表面(一方面)に、交換部品群(交換部品一式)220とOリングサイズ確認図面(書類)230とが所定の位置に配置され、また、台紙210の表面の上方に、空気圧アクチュエータの型式やサイズなどの型式情報240が印刷されている。一方、台紙210の裏面(他方面)には、上述したパーツリスト情報160が印刷されている。
【0108】
交換部品群(交換部品一式)220は、上述した交換部品#1〜#10と同様の交換部品であって、そのサイズが異なる交換部品である。このような交換部品一式220は、Oリングやベアリングのグループ221と、シールワッシャのグループ222とに大別されて、所定の位置に配置されている。
【0109】
交換部品群(交換部品一式)220およびをOリングサイズ確認図面230は、交換部品セット100の場合と同様に、視認可能なフィルムたとえば透明あるいは半透明のフィルム250によるシュリンクパックにより、台紙210の表面に固定されるようになっている。
【0110】
ところで、上述した交換部品セット100(図4参照)は、小さいサイズの空気圧アクチュエータに関する交換部品一式を提供する場合に当該交換部品一式をパッケージしたものであり、一方、交換部品セット200(図11参照)は、大きいサイズの空気圧アクチュエータに関する交換部品一式を提供する場合に当該交換部品一式をパッケージしたものである。
【0111】
そのため、この実施の形態1では、交換部品セット100は、図10に示す交換部品一覧表162において、小さいサイズの空気圧アクチュエータに対応する「アクチュエータの型式(タイプ)」が「F−1」、「F−2」および「F−3」のものに関する交換部品一式を提供する場合に適用され、一方、交換部品セット200は、図10に示す交換部品一覧表162において、大きいサイズの空気圧アクチュエータに対応する「アクチュエータの型式(タイプ)」が「F−4」、「F−5」および「F−6」のものに関する交換部品一式を提供する場合に適用される。
【0112】
なお、上述した実施の形態1では、交換部品セット100において、Oリングサイズ確認図面120を台紙110に添付し、パーツリスト情報160を台紙110の裏面(他方面)に印刷するようにしているが、本発明はこれに限定されることなく、次のようしても良い。勿論、同様のことが、交換部品セット200についても言える。
(1)Oリングサイズ確認図面120の内容を台紙110の裏面に印刷し、パーツリスト情報160を記載した書類を台紙110に添付するようにする。
(2)Oリングサイズ確認図面120およびパーツリスト160を台紙110に添付するようにする。
(3)台紙110のサイズを2倍にして2つ折りにし、山折りの面側の一方面に交換部品一式を配置する。また、山折りの面側の他方面、および谷折りの面側の2面または1面に、Oリングサイズ確認図面120の内容とパーツリスト情報160とを印刷する。この場合は、図面や書類の添付はないことになる。
【0113】
また、上述した実施の形態1では、台紙に交換部品一式を配置する構成としたが、本発明はこれに限定されることなく、次のようにしてもよい。
【0114】
すなわち、パーツリスト情報160が印刷可能なたとえばプラスチックなどの材質の材料(配置手段)に交換部品一式を配置するようにしてもよい。しかし、コストを抑制するという観点からは、材質が紙である台紙を用いるのが好ましい。
【0115】
以上説明したように、実施の形態1によれば、次の(1)〜(3)の作用効果を得ることができる。
(1)空気圧アクチュエータに関する交換部品一式を、当該空気圧アクチュエータの構成領域単位毎にグループ化しかつパッケージ化するようにしているので、交換部品一式をパッケージ単位で流通させればよいことになり、1つの空気圧アクチュエータに関する交換部品一式を簡便で迅速に流通させることが可能になる。
【0116】
これは、空気圧アクチュエータのメーカにおける資材管理部(交換部品の資材管理部など)と当該メーカの営業所または代理店との間で実施される空気圧アクチュエータに関する交換部品一式の流通、または営業所または代理店とユーザとの間で実施される空気圧アクチュエータに関する交換部品一式の流通を、簡便で迅速に行うことができることを意味する。
【0117】
すなわち、営業所を含むメーカや代理店にとっては、ユーザからの注文(手配)に対してスムーズに対応することができ、一方、ユーザにとっては、従来のように交換部品一式の各交換部品それぞれを個別に注文することなく、交換部品一式をパッケージ単位で簡便に迅速に手配することができる。
(2)空気圧アクチュエータの構成領域単位毎にグループ化された交換部品と該当する構成領域に設けられている交換対象の部品とを部品交換すればよいので、ユーザは、パッケージされた交換部品一式をどの使用部位に適用すべきかを容易に把握することが可能となる。
【0118】
しかも、ユーザは、台紙110(あるいは台紙210)に添付されているOリングサイズ確認図面120(あるいはOリングサイズ確認図面230)を基にパッケージされている交換部品一式の各交換部品(Oリング)のサイズを確認することができるとともに、台紙110に印刷されているパーツリスト情報160を基にパッケージされた実際の交換部品一式の各交換部品の使用部位を確認することができる。
【0119】
以上のようなことから、ユーザは、1つの空気圧アクチュエータに関する交換部品一式の部品交換作業の迅速化を図ることが可能となる。
(3)交換部品一式をパッケージ単位で部品管理することが可能であり、しかも、パッケージの台紙110(あるいは台紙210)に空気圧アクチュエータの型式やサイズなどの型式情報130(あるいは型式情報240)が明記(印刷)されているので、空気圧アクチュエータのメーカにおける資材管理部(交換部品の資材管理部など)、そのメーカの営業所あるいは代理店、およびユーザは、1つの空気圧アクチュエータに関する交換部品一式の部品管理(在庫管理)を容易に行うことができる。
【0120】
(実施の形態2)
【0121】
次に、本発明の実施の形態1における流体制御機器の交換部品セットが使用されるボールバルブについて説明する。
【0122】
図12は、流体制御機器としてのボールバルブの分解斜視図である。この図12に示すボールバルブ300は、フローティングボール式のボールバルブである。
【0123】
このようなボールバルブ300は、液体や気体などの流体が流れる配管において、当該流体の流れを制御するために使用されている。そして、バルブを自動制御する場合には、90度開閉型のボールバルブが操作性やコスト面から適している。
【0124】
図12において、ボディ310とボディキャップ320とで構成されるハウジングに、貫通孔330aを持つボール330を組み込み、ボール330の開閉をステム340で行っている。
【0125】
また、ボール330に凹溝330bを設けるとともにステム340に凸部340aを設け、凹溝330bと凸部340aとを嵌合させることによりボール330とステム340とが接合されることになり、ボール330を回転させて流路の開閉を行う。なお、ステム340の作動は、例えばレバーハンドル350による手動式、あるいはアクチュエータ(例えば図1に示した実施の形態1の空気圧アクチュエータ)が使用される。
【0126】
ボール330の両側には、その外周面に環状のボールシート331、332が設けられる。このボールシート331、332は、フッ素樹脂などの樹脂製、または合成ゴムなどのゴム製の材料で成形されているが、金属製であってもよい。また、ボールシート332とボディキャップ320との間にはガスケット333が設けられる。ステム340には、スラストワッシャ341、ステムベアリング342が設けられる。
【0127】
このようなボールバルブ300において、シール部分や摺動部分に用いられる部品は交換対象の部品(交換部品群)となるものであり、具体的には、ボールシート331、332、ガスケット333、スラストワッシャ341、ステムベアリング342が交換対象の部品(交換部品群)となる。
【0128】
そこで、この実施の形態2では、上述した交換部品群(交換部品一式)を、所定の基準に基づいてグループ化しかつパッケージ化するようにしている。ここでは、「弁座周り部品」という構成領域と「ステム周り部品」という構成領域とに使用される部品を基準にして、グループ化しかつパッケージ化するようにする。そして、このパッケージ化された交換部品一式を、当該ボールバルブの交換部品として提供する。
【0129】
この実施の形態2においても、上述した交換部品一式を、前述した実施の形態1の場合と同様に、台紙の一方面に、「弁座周り部品」たとえばボールシート331、332およびガスケット333と、「ステム周り部品」たとえばスラストワッシャ341およびステムベアリング342とに分けて配置するとともに、これらの交換部品の実寸法に基づく図形が描画された図面を折り畳んだ状態で配置する。
【0130】
なお、図面には、交換部品の実寸法に基づく図形、および「スラストワッシャ」や「ステムベアリング」などの交換部品の部品名が記載されている。
【0131】
そして、このような状態の下での前記交換部品一式および折り畳まれた状態の図面360を、視認可能なフィルムたとえば透明あるいは半透明のフィルムによるシュリンクパックにより、前記台紙の表面に固定させる。
【0132】
ところで、上記台紙の他方面には、ボールバルブに関する交換部品一式に関わる交換部品の使用部位を示す情報(以下、「パーツリスト情報と」いう。)が印刷されている。すなわち、交換部品一式の使用部位を示す情報、たとえば図12に示すようなボールバルブ300の斜視図、および当該交換部品一覧の交換部品一覧表(ボールバルブの各型式に対応した一覧表)が印刷されている。
【0133】
以上説明したように、実施の形態2によれば、実施の形態1の場合と同様の作用効果を期待することができる。
【産業上の利用可能性】
【0134】
本発明は、1つの流体制御機器に関する交換部品一式をパッケージ化し、このパッケージ化された交換部品一式を当該流体制御機器に関する交換部品として提供するようにしたものであり、液体や気体などの流体の流れを制御する流体制御機器の全てに対して、流体制御機器の交換部品の提供方法、その交換部品セットを適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】本発明の実施の形態1における流体制御機器の交換部品セットが使用される空気圧アクチュエータの斜視図である。
【図2】図1に示した空気圧アクチュエータの断面図である。
【図3】図1に示した空気圧アクチュエータの分解斜視図である。
【図4】空気圧アクチュエータの交換部品セットを示す図である。
【図5】図4に示した交換部品セットを説明する図である。
【図6】Oリングサイズ確認図面を説明する図である。
【図7】Oリングに対応する図形を説明する図である。
【図8】空気圧アクチュエータに関する交換部品一式に関わる交換部品の使用部位を示す情報を説明する図である。
【図9】交換部品一式に関わる交換部品の使用部位を示す図形を説明する図である。
【図10】交換部品一覧表を説明する図である。
【図11】空気圧アクチュエータの交換部品セットの他の例を示す図である。
【図12】流体制御機器としてのボールバルブの分解斜視図である。
【符号の説明】
【0136】
1 空気圧アクチュエータ(流体制御機器)
100,200 交換部品セット
110,210 台紙
120,230 Oリングサイズ確認図面(書類)
130,240 空気圧アクチュエータの型式情報
141 左シリンダ領域
142 右シリンダ領域
143 シャフト領域
151a,152a,152b,153a,153b,153c 描画領域
160 パーツリスト情報
161 空気圧アクチュエータの分解斜視図
162 空気圧アクチュエータに関わる交換部品一式の交換部品一覧表
220 交換部品一式
300 ボールバルブ
310 ボディ
320 ボディキャップ
330 ボール
331,332 ボールシート
333 ガスケット
340 ステム
341 スラストワッシャ
342 ステムベアリング
#1〜#5 Oリング
#6 スラストベアリング
#7 ピストンベアリング
#8 バックアップリング
#9,#10 シールワッシャ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの流体制御機器に関する交換部品一式をパッケージ化し、このパッケージ化された交換部品一式を前記流体制御機器に関する交換部品として提供することを特徴とする流体制御機器の交換部品の提供方法。
【請求項2】
前記交換部品一式は、所定の基準に基づいてグループ化されかつパッケージ化されていることを特徴とする請求項1記載の流体制御機器の交換部品の提供方法。
【請求項3】
前記交換部品一式は、前記流体制御機器の構成領域単位毎にグループ化されかつパッケージ化されていることを特徴とする請求項1記載の流体制御機器の交換部品の提供方法。
【請求項4】
1つの流体制御機器に関する交換部品一式をパッケージ化したことを特徴とする流体制御機器の交換部品セット。
【請求項5】
前記交換部品一式を所定の基準に基づいてグループ化しかつパッケージ化したことを特徴とする請求項4記載の流体制御機器の交換部品セット。
【請求項6】
前記交換部品一式を前記流体制御機器の構成領域単位毎にグループ化しかつパッケージ化したことを特徴とする請求項4記載の流体制御機器の交換部品セット。
【請求項7】
前記グループ化された交換部品一式を、当該交換部品を配置するための配置手段に固定して配置したことを特徴とする請求項4〜6の何れか一項に記載の流体制御機器の交換部品セット。
【請求項8】
前記交換部品一式の各交換部品それぞれの実寸法に基づく図形と、当該複数の交換部品に関する情報とが記載された書類が添付されていることを特徴とする請求項4〜7の何れか一項に記載の流体制御機器の交換部品セット。
【請求項9】
前記書類は、Oリングに関するものであり、当該Oリングに対応する図形が前記流体制御機器の構成領域単位毎に同心円状に描画されていることを特徴とする請求項8記載の流体制御機器の交換部品セット。
【請求項10】
前記交換部品一式の各交換部品それぞれの実寸法に基づく図形と、当該複数の交換部品に関する情報とが前記配置手段に記載されていることを特徴とする請求項4〜7の何れか一項に記載の流体制御機器の交換部品セット。
【請求項11】
前記配置手段に記載されている内容は、Oリングに関するものであり、当該Oリングに対応する図形が前記流体制御機器の構成領域単位毎に同心円状に描画されていることを特徴とする請求項10記載の流体制御機器の交換部品セット。
【請求項12】
前記交換部品一式に関わる交換部品の使用部位を示す情報が記載された書類が添付されていることを特徴とする請求項4〜11の何れか一項に記載の流体制御機器の交換部品セット。
【請求項13】
前記交換部品一式に関わる交換部品の使用部位を示す情報が前記配置手段に記載されていることを特徴とする請求項4〜11の何れか一項に記載の流体制御機器の交換部品セット。
【請求項14】
前記グループ化された交換部品一式を、当該交換部品を視認可能なフィルムで固定したことを特徴とする請求項5〜13の何れか一項に記載の流体制御機器の交換部品セット。
【請求項15】
前記配置手段は台紙であることを特徴とする請求項7、10、11または13記載の流体制御機器の交換部品セット。
【請求項16】
前記流体制御機器は、流体圧アクチュエータであることを特徴とする請求項4〜15の何れか一項に記載の流体制御機器の交換部品セット。
【請求項17】
前記流体制御機器は、ボールバルブであることを特徴とする請求項4〜15の何れか一項に記載の流体制御機器の交換部品セット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−103788(P2006−103788A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−296110(P2004−296110)
【出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【出願人】(390002381)株式会社キッツ (223)
【Fターム(参考)】