説明

流体吐出装置、流体の輸送方法

【課題】プリンタの電源オフ後、ヘッド内においてインクを適切に流動させる。
【解決手段】インクを吐出するためのヘッド41と、ヘッド41よりも低所に位置し、インクを収容するためのメインタンク31と、メインタンク31よりも高所に位置し、インクを収容するためのサブタンク32と、メインタンク31からヘッド41を経由してサブタンク32へインクを汲み上げるための加圧ポンプ33と、加圧ポンプ33にインクをメインタンク31からサブタンク32へ汲み上げさせるための第一制御モードと、インクをサブタンク32からヘッド41を経由してメインタンク31へ落下させるための第二制御モードと、を繰り返して実行するコントローラと、を有するプリンタであって、コントローラは、電源オフ指令を受けた場合には該コントローラが実行するモードを前記第二制御モードにした後にプリンタの電源をオフにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体吐出装置、及び、当該流体吐出装置における流体の輸送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
流体を吐出するためのヘッドと、該ヘッドよりも低所に位置し、前記流体を収容するための第一流体収容部と、該第一流体収容部よりも高所に位置し、前記流体を収容するための第二流体収容部と、前記第一流体収容部から前記ヘッドを経由して前記第二流体収容部へ前記流体を汲み上げるための汲み上げ機構と、を有する流体吐出装置は既に知られている。このような流体吐出装置の中には、前記汲み上げ機構に前記流体を前記第一収容部から前記第二収容部へ汲み上げさせるための第一制御モードと、前記流体を前記第二収容部から前記ヘッドを経由して前記第一収容部へ落下させるための第二制御モードと、を繰り返して実行するコントローラを有するものも存在する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
かかる流体吐出装置では、前記コントローラが第一制御モードと第二制御モードとを繰り返し実行することにより、流体がヘッドを経由して第一流体収容部と第二流体収容部との間を往復移動することになる。これにより、前記流体がヘッド内で沈滞することなく、該ヘッド内において流動し続けることとなる。
【特許文献1】特開平9−234886号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ヘッドを経由して第一流体収容部と第二流体収容部との間で前記流体を往復移動させることは、流体吐出装置の電源がオンになっている間に実行されるが、ヘッド内における前記流体の沈滞を抑制する観点では、電源オフ後にも該ヘッドを経由して前記第一流体収容部と前記第二流体収容部との間において前記流体を移動させることが望ましい。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、流体吐出装置の電源オフ後、ヘッド内において流体を流動させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、主たる本発明は、流体を吐出するためのヘッドと、前記ヘッドよりも低所に位置し、前記流体を収容するための第一流体収容部と、前記第一流体収容部よりも高所に位置し、前記流体を収容するための第二流体収容部と、前記第一流体収容部から前記ヘッドを経由して前記第二流体収容部へ前記流体を汲み上げるための汲み上げ機構と、前記汲み上げ機構に前記流体を前記第一流体収容部から前記第二流体収容部へ汲み上げさせるための第一制御モードと、前記流体を前記第二流体収容部から前記ヘッドを経由して前記第一流体収容部へ落下させるための第二制御モードと、を繰り返して実行するコントローラと、を有する流体吐出装置であって、前記コントローラは、電源オフ指令を受けた場合には該コントローラが実行するモードを前記第二制御モードにした後に前記流体吐出装置の電源をオフにすることを特徴とする流体吐出装置である。
【0007】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本明細書及び添付図面の記載により少なくとも次のことが明らかにされる。
【0009】
先ず、流体を吐出するためのヘッドと、前記ヘッドよりも低所に位置し、前記流体を収容するための第一流体収容部と、前記第一流体収容部よりも高所に位置し、前記流体を収容するための第二流体収容部と、前記第一流体収容部から前記ヘッドを経由して前記第二流体収容部へ前記流体を汲み上げるための汲み上げ機構と、前記汲み上げ機構に前記流体を前記第一流体収容部から前記第二流体収容部へ汲み上げさせるための第一制御モードと、前記流体を前記第二流体収容部から前記ヘッドを経由して前記第一流体収容部へ落下させるための第二制御モードと、を繰り返して実行するコントローラと、を有する流体吐出装置であって、前記コントローラは、電源オフ指令を受けた場合には該コントローラが実行するモードを前記第二制御モードにした後に前記流体吐出装置の電源をオフにする流体吐出装置。
【0010】
かかる流体吐出装置では、電源オフ後に第二収容部内に収容された流体がヘッドを経由して第一流体収容部へ落下する。これにより、電源オフ後にもヘッド内において流体を流動させることが可能になる。
【0011】
また、上記の流体吐出装置において、前記第二制御モードには、前記流体を前記第二流体収容部から前記第一流体収容部へより早く落下させるための高速落下モードと、より遅く落下させるための低速落下モードと、があり、前記コントローラは、前記電源オフ指令を受けた場合には前記モードを前記低速落下モードにした後に前記電源をオフにすることとしてもよい。かかる構成であれば、電源オフ後においてヘッド内での流体の流動状態をより長く持続させることが可能になる。
【0012】
また、上記の流体吐出装置において、前記高速落下モードでは、前記低速落下モードにおいて前記流体を流す流路よりも流路抵抗が低い流路に該流体を流し、前記第一制御モードでは、前記汲み上げ機構が、前記高速落下モードにおいて前記流体を流す流路と、前記低速落下モードにおいて前記流体を流す流路のうち、前記高速落下モードにおいて前記流体を流す流路を通じて、該流体を汲み上げることとしてもよい。かかる構成であれば、第一制御モードの実行時間、すなわち、流体の汲み上げに要する時間を短くすることが可能になる。
【0013】
また、上記の流体吐出装置において、前記コントローラは、前記前記コントローラは、前記電源がオンになってから前記電源オフ指令を受けるまでの間に前記第二制御モードを実行する場合には前記高速落下モードを実行することとしてもよい。
【0014】
また、上記の流体吐出装置において、前記コントローラは、前記第一制御モードの実行中に電源オフ指令を受けた場合には前記モードを前記第一制御モードから前記第二制御モードに切替えた後に前記電源をオフにすることとしてもよい。かかる構成であれば、第二流体収容部へ流体を汲み上げた上で、前記モードが第一制御モードから第二制御モードに切り替わった後に前記電源がオフになる。これにより、電源オフ後、ヘッド内において流体を適切に流動させることが可能になる。
【0015】
また、上記の流体吐出装置において、前記第一制御モードの実行中に前記電源オフ指令を受けた場合には該第一制御モードを継続して実行してから、前記モードを該第一制御モードから前記第二制御モードに切替えた後に前記電源をオフにすることとしてもよい。かかる構成であれば、コントローラが電源オフ指令を受けて直ちに第一制御モードから第二制御モードに切替える構成と比較して、電源オフ後においてヘッド内での流体の流動状態をより長く持続させることが可能になる。
【0016】
また、上記の流体吐出装置において、前記コントローラは、前記第二制御モードの実行中に前記電源オフ指令を受けた場合には前記モードを前記第二制御モードから前記第一制御モードに切替え、該第一制御モードを実行してから前記モードを該第一制御モードから前記第二制御モードに切替えた後に前記電源をオフにすることとしてもよい。かかる構成であれば、第二流体収容部へ流体を汲み上げた上で、前記モードが第一制御モードから第二制御モードに切り替わった後に前記電源がオフになる。これにより、電源オフ後、ヘッド内において流体を適切に流動させることが可能になる。
【0017】
また、上記の流体吐出装置において、前記ヘッドは、前記流体を吐出するためのノズルと、前記ノズルから前記流体を吐出させるための動作を行う素子と、前記ノズルに隣接し、前記素子の動作によって生じる室内圧力の変動により前記流体を前記ノズルから吐出させるための圧力室と、前記圧力室を介して互いに連通した、前記流体を貯留するための2つの貯留部と、前記2つの貯留部のうちの一方の貯留部と前記第一流体収容部との間で前記流体を出入りさせるための第一出入路と、他方の貯留部と前記第二流体収容部との間で前記流体を出入りさせるための第二出入路と、を有することしてもよい。かかる構成であれば、ヘッド内にて流体をより効率的に流動させることが可能になる。
【0018】
また、上記の流体吐出装置において、前記第一流体収容部又は前記第二流体収容部内における前記流体の水位に応じた信号、を出力する信号出力部が更に備えられ、前記コントローラは、前記電源がオンになってから前記電源オフ指令を受けるまでの間、前記信号に基づいて前記第一制御モードと前記第二制御モードとを切替えることとしてもよい。かかる構成であれば、前記電源がオンになってから前記電源オフ指令を受けるまでの間、コントローラは、前記信号出力部からの信号に基づいて第一制御モードと第二制御モードとを適切に切替えることが可能になる。なお、流体の水位とは、第一流体収容部又は第二流体収容部内に収容された流体の相の高さ(すなわち、流体の相の界面位置)を示すものである。
【0019】
さらに、流体を第一流体収容部から、該第一流体収容部よりも高所に位置した前記流体を吐出するためのヘッドを経由して、前記第一流体収容部よりも高所に位置した第二流体収容部へ汲み上げ機構に汲み上げさせるための第一制御モードと、前記流体を前記第二流体収容部から前記ヘッドを経由して前記第一流体収容部へ落下させるための第二制御モードと、を流体吐出装置の電源がオンになってから電源オフ指令を受けるまでの間に繰り返して実行するステップと、前記電源オフ指令を受けると、実行するモードを前記第二制御モードにした後に前記電源をオフにするステップと、を有することを特徴とする流体の輸送方法、も実現可能である。かかる流体の輸送方法によれば、流体吐出装置の電源オフ後、ヘッド内において流体を流動させることが可能になる。
【0020】
===本実施形態の流体吐出装置の構成例===
以下、流体吐出装置の一例として、インクジェットプリンタ(以下、プリンタ1と言う)を例に挙げ、その構成について図1乃至図3を用いて説明する。図1は、本実施形態のプリンタ1のブロック図である。図2は、インク供給ユニット30及びヘッドユニット40の構成を示す概念図である。図2中には、矢印にてプリンタ1の上下方向が示されている。図3は、ヘッド41の下面におけるノズルの配列を示した模式図である。図3中には、矢印にてヘッド41の長手方向と短手方向とが示されている。
【0021】
本実施形態のプリンタ1は、ラインヘッド方式のプリンタであり、外部装置であるコンピュータ70から印刷データを受信すると、該印刷データに基づき、流体の一例としてのインクを用紙に吐出して該用紙に画像を印刷する装置である。また、図1に示すように、プリンタ1は、コントローラ10と、用紙搬送ユニット20と、インク供給ユニット30と、ヘッドユニット40と、電力供給ユニット50と、を備えている。
【0022】
コントローラ10は、プリンタ各部(すなわち、用紙搬送ユニット20、インク供給ユニット30、ヘッドユニット40、及び、電力供給ユニット50)を制御するためのものである。このコントローラ10は、コンピュータ70とプリンタ1との間でデータの送受信を行うためのインターフェース11(図1中、I/Fと表記)と、CPU12と、メモリ13と、ユニット制御回路14とを有している。CPU12は、プリンタ全体の制御を行うための演算処理装置であり、メモリ13に格納されているプログラムに従って、ユニット制御回路14を介してプリンタ各部を制御する。
【0023】
用紙搬送ユニット20は、不図示の搬送ローラを有し、当該搬送ローラの回転によって用紙を印刷可能な位置に送り込み、当該用紙を所定の搬送方向に一定の搬送量にて搬送するためのものである。
【0024】
インク供給ユニット30は、後述のヘッドユニット40が有するヘッド41に対してインクを供給するためのものである。このインク供給ユニット30は、複数のインク色(本実施形態では、イエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックKの4色)の各々について備えられている。なお、図2には、説明の便宜上、1色分のインク供給ユニット30のみ図示されている。各色のインク供給ユニット30には、図2に示すように、第一流体収容部としてのメインタンク31と、第二流体収容部としてのサブタンク32と、が備えられている。メインタンク31及びサブタンク32にはそれぞれインクが収容されており、各タンク内に収容されたインクは、該インクの流路(正確には、後述の第一流路301及び第二流路302)を介して前記各タンクと接続しているヘッド41へ供給される。換言すると、メインタンク31とサブタンク32とは、インクの流路とヘッド41とを介して互いに連通している。このため、本実施形態では、ヘッド41へインクを供給させつつ、該ヘッド41を経由してメインタンク31とサブタンク32との間にて前記インクを往復移動させることが可能である。なお、インク供給ユニット30の詳細については後述する。
【0025】
ヘッドユニット40は、用紙に画像を印刷するために、該用紙にインク供給ユニット30から供給されたインクを吐出してドットを形成するためのものである。本実施形態に係るヘッドユニット40は用紙の紙幅分のドットを一度に形成することが可能である。ヘッドユニット40は所定方向に長いヘッド41を有しており、該ヘッド41は、その長手方向がプリンタ1内にて搬送される用紙の紙幅方向に、その短手方向が該用紙の搬送方向にそれぞれ沿った状態で固定されている。また、ヘッド41の下面に備えられたノズルプレート410には、図3に示すように4つのノズル列、すなわち、ブラックインクノズル列(ノズル列K)、シアンインクノズル列(ノズル列C)、マゼンタインクノズル列(ノズル列M)及びイエローインクノズル列(ノズル列Y)が形成されている。ノズル列は、前記紙幅方向(すなわち、ヘッド41の長手方向)に沿って一定の間隔dで列状に並んでいるノズルを複数個備えている。そして、各ノズル列を構成するノズルNzからは対応する色のインクが吐出される。なお、ヘッド41の、ノズルNz周辺の構成については後述する。
【0026】
電力供給ユニット50は、プリンタ各部へ電力を供給するためのものである。プリンタ1の保有者(ユーザ)がプリンタ1の電源スイッチ(不図示)を入れる等の電源オン操作を行うと、コントローラ10は、前記電源オン動作に基づく電源オン指令を受け付ける。そして、該コントローラ10は、前記電源オン指令に基づいて電力供給ユニット50を制御し、該電力供給ユニット50にプリンタ各部への電力供給を実行させる。一方、ユーザが前記電源スイッチを切る等の電源オフ操作を行うと、コントローラ10が当該電源オフ操作に基づく電源オフ指令を受け付ける。そして、該コントローラ10は、前記電源オフ指令に基づいて前記電力供給ユニット50を制御し、プリンタ各部への電力供給を終了させる。なお、以下の説明において、「コントローラ10が電源をオフにする」とは、コントローラ10が電源オフ指令に基づいて電力供給ユニット50にプリンタ各部への電力供給を終了させることを意味する。
【0027】
検出器群60は、プリンタ1の状況を監視する複数の検出器を有する。そして、検出器群60による検出結果はコントローラ10に出力され、該コントローラ10は当該検出結果に基づいてユニット制御回路14を介してプリンタ1の各部を制御する。なお、検出器群60の中には、サブタンク32内に取り付けられた信号出力部の一例としてのレベルスイッチ61a、61b(図2参照)が含まれている。このレベルスイッチ61a、61bは、サブタンク32内におけるインクの水位が規定水位に到達すると、該水位に応じた信号をコントローラ10に出力する。
【0028】
<<ノズル周辺の構成について>>
次に、ヘッド41のノズルNz周辺の構成について、図4及び図5を参照しながら説明する。図4は、ノズルNz周辺の構成についての概略図であり、ノズルプレート410に形成されたノズルNzについて、その法線方向がヘッド41の長手方向に沿った断面の模式図である。図4中には、矢印にてプリンタ1の上下方向とヘッド41の短手方向が示されている。図5は、図4中のA−A断面の模式図であり、矢印にてヘッド41の長手方向及び短手方向が示されている。
【0029】
ヘッド41の下面には、該ヘッド41の長手方向に沿った複数のノズル列(本実施形態では、4つのノズル列)が形成されている。そして、ヘッド41内には、図4及び図5に示すように、ノズル列を形成するノズルNzの各々に対して、ノズルNzからインクを吐出させるための動作を行う素子(駆動素子)の一例としてのピエゾ素子411と、圧力室412とが備えられている。また、貯留部としてのリザーバ413a、413bと、第一出入路414aと、第二出入路414bと、が備えられ、あるノズル列を構成するノズルNzに対して共通のインク室を形成している。さらに、圧力室412とピエゾ素子411が収容された素子収容室416とを仕切り、ピエゾ素子411の動作に伴って変形する弾性板415と、が備えられている。
【0030】
ピエゾ素子411は素子収容室416に収容されており、図4に示すように、該ピエゾ素子411の下端は後述の弾性板415に接着されている。このピエゾ素子411は、ユニット制御回路14から出力される駆動信号に含まれる駆動パルスに基づいて伸縮動作を行う。
【0031】
弾性板415は、圧力室412及びリザーバ413a、413bの開口上面と、前記素子収容室416の開口下面を封止している。また、弾性板415の、ピエゾ素子411の下端が接触している部分(以下、ダイヤフラム部)は、該ピエゾ素子411の伸縮動作に伴って上下方向に歪む。
【0032】
圧力室412は、弾性板415を介して、前記素子収容室416の反対側に位置する空間である。この圧力室412は、図4及び図5に示すように、堰部417により区画された偏平な偏平部412aと、ノズルNzに隣接し前記偏平部412a内のインクをノズルNzへ導入させる円孔状の導入部412bと、を有している。偏平部412aへ流入してきたインクは、導入部412bを通じてノズルNzへ供給されるようになる。なお、図5に示すように、ヘッド41の短手方向において、偏平部412aの両端部は中央部よりも幅狭になっている。
【0033】
リザーバ413a、413bは、インクを貯留するためのものである。本実施形態では、図4及び図5に示すように、2つのリザーバ413a、413bが、各々、ヘッド41の短手方向において圧力室412の側端部に隣接している。そして、2つのリザーバ413a、413bは前記圧力室412を介して連通している。したがって、リザーバ413a、413bに貯留されたインクはリザーバ間を移動することが可能である。
【0034】
第一出入路414aと第二出入路414bとは、図4に示すように、ともに、素子収容室416の側壁を上下方向に貫通して形成された通路である。第一出入路414a及び第二出入路414bの下側先端部は、弾性板415を貫通しリザーバ413a、413bに接続している。そして、図4及び図5に示すように、第一出入路414aはヘッド41の長手方向一端側にて2つのリザーバのうちの一方のリザーバ413aに接続し、第二出入路414bは長手方向他端側にて他方のリザーバ413bに接続している。また、第一出入路414aは前記一方のリザーバ413aから、後述の第一流路301と接続するための第一接続口41aまで通じている。一方、第二出入路414bは前記他方のリザーバ413bから、後述の第二流路302と接続するための第二接続口41bまで通じている。このため、インクは、第一出入路414aを通じて前記一方のリザーバ413aとメインタンク31との間を出入りすることが可能であり、第二出入路414bを通じて前記他方のリザーバ413bとサブタンク32との間を出入することが可能である。
【0035】
以上の構成により、メインタンク31又はサブタンク32からヘッド41内に流入してきたインクは、第一出入路414a又は第二出入路414bを通じてリザーバ413a、413bへ流入する。そして、インクは、リザーバ413a、413bに貯留された後、圧力室412へ流入し、最終的に該圧力室412の導入部412bを通じて各ノズルNzへ供給される。このように、ヘッド41内には、第一出入路414aと第二出入路414bとリザーバ413a、413bと圧力室412とにより、インクの流路(以下、インク流路とも言う)が形成されている。より具体的には、第一出入路414a、第二出入路414b、及び、リザーバ413a、413bは各ノズルNzへ供給されるインクが共通に流れる共通流路を形成し、圧力室412は各ノズルNzへの個別流路を形成している。
【0036】
そして、圧力室412にインクが充填された状態でピエゾ素子411が伸縮すると、前記弾性板415のダイヤフラム部が該ピエゾ素子411の伸縮動作に伴って歪み、さらに、これに伴って圧力室412の容積が変化する。このように圧力室412の容積が変化する結果、該圧力室412の室内圧力(より正確には、圧力室412内に充填されたインクの圧力)が変動する。そして、当該室内圧力の変動を利用してノズルNzからインクが吐出されることとなる。なお、ノズルNz内のインクは、メニスカスを形成した状態で該ノズルNz内に保持される(図6参照)。
【0037】
<<本実施形態のインク供給ユニットについて>>
次に、前述したインク供給ユニット30について、既出の図2を参照しながら詳細に説明する。
インク供給ユニット30は、図2に示すように、前述したメインタンク31及びサブタンク32と、第一流路301及び第二流路302と、汲み上げ機構としての加圧ポンプ33と、大気開放弁34とを有している。
【0038】
メインタンク31は、図2に示すように、プリンタ1内でヘッド41より低所に位置しており、プリンタ本体に対して着脱可能に固定されている。ここで、プリンタ本体とは、プリンタ1のうち、メインタンク31を除いた部分のことである。メインタンク31内は密閉されており、その天井部には、該メインタンク31の気相領域を加圧するための加圧ライン33aが接続されている。
【0039】
サブタンク32は、図2に示すように、プリンタ本体に対して一体的に設けられており、プリンタ1内でヘッド41より高所に位置している(換言すると、サブタンク32は、メインタンク31よりも高所に位置している)。サブタンク32の容積はメインタンク31の容積より十分に小さく、該サブタンク32内は密閉されている。また、サブタンク32に収容されたインクの水位(つまり、サブタンク32内のインクの液面の高さ)は前述したレベルスイッチ61a、61bにより監視されている。具体的に説明すると、サブタンク32内において、より上方の位置に取り付けられたレベルスイッチ61a(図2中、記号Hが付記されたレベルスイッチであり、以下、上方のレベルスイッチ61a)は、前記サブタンク32の水位が上限水位に到達すると、第一液面信号をコントローラ10に出力する。ここで、第一液面信号とは、サブタンク32の水位が上方に推移して上限水位に到達した際に上方のレベルスイッチ61aが生成し出力する信号である。一方、より下方の位置に取り付けられたレベルスイッチ61b(図2中、記号Lが付記されたレベルスイッチであり、以下、下方のレベルスイッチ61b)は、前記水位が下限水位に到達すると、第二液面信号をコントローラ10に出力する。ここで、第二液面信号とは、前記水位が下方に推移して下限水位に到達した際に下方のレベルスイッチ61bが生成し出力する信号である。
【0040】
第一流路301及び第二流路302は、ともに、フッ素樹脂等の樹脂材料からなるチューブや継手等により形成されたインク輸送用の流路である。第一流路301は、メインタンク31とヘッド41(正確には、ヘッド41の第一接続口41a)との間を接続している流路である。第二流路302は、サブタンク32とヘッド41(正確には、ヘッド41の第二接続口41b)との間を接続している流路である。
【0041】
また、第二流路302は、図2に示すように、途中で2系統に分岐した後、再度合流している。2系統に分岐した各流路には、ともに、弁(図2中、記号v0、v1、v2にて示す)が設けられている。そして、2系統の流路のうち、一方の流路には他方の流路より多くの弁が設けられている。また、一方の流路に設けられた弁(例えば、記号v1の弁)の開度は、他方の流路に設けられた弁(記号v0の弁)の開度より小さくなっている。このため、前記一方の流路における流路抵抗は、他方の流路における流路抵抗よりも高くなっている。以下、前記2系統の流路のうち、より流路抵抗が低い流路を低抵抗流路311と、より流路抵抗が高い流路を高抵抗流路312と呼ぶ。
【0042】
さらに、低抵抗流路311と高抵抗流路312とが集合する2つの集合位置(換言すると、第二流路302の分岐点及び再合流点となる位置)のうち、サブタンク32に近い側の集合位置には、図2に図示した流路切替弁313が設けられている。この流路切替弁313は、前記低抵抗流路311と前記高抵抗流路312とのうちのいずれか一方の流路に選択的にインクを流すために、該低抵抗流路311と該高抵抗流路312とを切替えるための部材である。具体的に説明すると、流路切替弁313が図2において実線にて示す状態にあるとき、低抵抗流路311のみが開通し、高抵抗流路312が閉塞する。他方、図2において破線にて示す状態にあるとき、高抵抗流路312のみが開通し、低抵抗流路311が閉塞する。なお、低抵抗流路311と高抵抗流路312との切替えは、コントローラ10が流路切替弁313を制御することにより実行される。
【0043】
加圧ポンプ33は、前述した加圧ライン33aを通じてメインタンク31内に加圧空気を送気して、該メインタンク31内の気相領域を加圧させるためのものである。より具体的に説明すると、後述の大気開放弁34が閉じた状態で加圧ポンプ33が起動すると、メインタンク31内の気圧が上昇する。これにより、メインタンク31内の液相領域、すなわち、該メインタンク31内に収容されたインクは前記メインタンク31から押し出される。押し出されたインクは、図2中、黒塗りの矢印にて示した方向に流れ、第一流路301を通じてヘッド41へ汲み上げられ、最終的には第二流路302を通じてサブタンク32まで汲み上げられる。
【0044】
大気開放弁34は、加圧ポンプ33の運転により上昇したメインタンク31内の気圧を大気に開放して大気圧に復帰させるための弁である。そして、加圧ポンプ33によりサブタンク32にインクを汲み上げた後、該サブタンク32内にインクが収容された状態で加圧ポンプ33を停止して大気開放弁34を開くと、サブタンク32とメインタンク31との間の水頭差により、インクが図2中、白抜きの矢印に示した方向に流れる。すなわち、サブタンク32内のインクが前記ヘッド41を経由してメインタンク31まで自然落下するようになる。なお、加圧ポンプ33の駆動と大気開放弁34の開閉は、コントローラ10により制御される。
【0045】
以上のような構成のインク供給ユニット30により、インクは、ヘッド41(より正確には、ヘッド41内に形成されたインク流路)を経由してメインタンク31とサブタンクとの間を往復移動する。つまり、本実施形態では、大気開放弁34を閉じた状態で加圧ポンプ33を運転させてメインタンク31からサブタンク32にインクを汲み上げる動作と、加圧ポンプ33を停止し大気開放弁34を開いてサブタンク32からメインタンク31にインクを自然落下させる動作とが繰り返し実行される。そして、メインタンク31とサブタンクとの間を往復移動しているインクがヘッド41を経由する際に、該ヘッド41に前記インクが供給されることとなる。すなわち、ヘッド41、第一流路301、及び、第二流路302にはインクが充填され続け、ノズルNzからインクが吐出してヘッド41内のインクが消費された場合には、消費された分のインクが直ちにヘッド41へ補給されることとなる。なお、前述したように、メインタンク31は着脱可能であるが、本実施形態では、メインタンク31からサブタンク32へインクを汲み上げた際に該サブタンク32の水位が上限水位まで到達することができなくなる程度にインクが消費された時点で、インクが充填された新たなメインタンク31に交換される。
【0046】
<<インクの往復移動について>>
次に、上述したインクの往復移動について、より具体的に説明する。
メインタンク31とサブタンク32との間においてインクを往復移動させることにより、前記メインタンク31と前記サブタンク32との間に介在するヘッド41内(より正確には、ヘッド41内に形成されたインク流路)においてインクを流動させ続けることが可能になる。このため、図6に示すように、ヘッド41の圧力室412においてもインクが流動することになる。図6は、タンク間を往復移動しているインクについて圧力室412内での流動状態を示す図であり、ノズルNz付近の拡大図である。
そして、圧力室412内にてインクを流動させ続けることにより、該圧力室412内のインクをノズルNzから吐出させるのに適切な状態に維持させ続けることが可能になる。
【0047】
具体的に説明すると、例えば後発的にインク内に気泡が混入し、該気泡が圧力室412内に持ち込まれてノズルNz付近にて停滞すると、該ノズルNzから適切にインクが吐出されなくなる虞がある。これに対し、圧力室412内でインクを流動させ続けることにより、ノズルNz付近から気泡を除去することが可能になる。さらに、インクは圧力室412から流出した後、リザーバ413a、413b、第一出入路414a及び第二出入路414bを経て、最終的にメインタンク31又はサブタンク32まで移動するため、ノズルNz付近から除去された前記気泡もインクとともに上記のタンクへ運び去られることとなる。このようにインクをタンク間で往復移動させるにより、インク内に混入した気泡を適切に除去することが可能になる。
【0048】
また、インクがノズルNzから吐出されず該ノズルNz内にて保持され続ける場合、ノズル開口にてインクが大気と接触し続ける結果、該インク中の水分(溶媒)が蒸発する。そして、水分が蒸発し続けると、ノズルNz付近にて局所的なインクの粘度の上昇(以下、増粘)が生じてしまう。そして、インクの増粘はノズルNz内から圧力室412の偏平部412a(特に、偏平部412aのうち、導入部412bに隣接した部分)に至る範囲まで進行する。この結果、圧力室412内においてインクの粘度が不均一になり、該インクがノズルNzから適切に吐出されなくなる虞が生じる。また、増粘が顕著になると、ノズルNzにてインクが固着する結果、ノズルNzにて目詰まりが発生する虞もある。このようなインクの粘度の不均一化によって生じる不具合を解消するため、長時間インクを吐出させていないノズルNzに対して、該ノズルNz内及び該ノズルNzに対応する圧力室412内にあるインクを前記ノズルNzから吐出させて強制的に排出する処理(所謂、フラッシング処理)が実施されることもある。一方、インクをヘッド41内で流動させれば、前記圧力室412を含む該ヘッド41内において、インクの粘度を略均一に保つことが可能になる。さらに、インクの粘度が均一に保たれると、フラッシング処理に伴って消費されるインク量も抑えることが可能になる。
【0049】
なお、本実施形態のヘッド41内において、圧力室412を経由して2つのリザーバ413a、413bの一方から他方に至るまでの間のインク流路の流路抵抗は、リザーバ413a、413bから圧力室412を経てノズルNzに至るまでの間のインク流路の流路抵抗より小さくなっている。すなわち、往復移動中のインクは、図6中、破線にて示した方向に流れることはなく、専ら実線にて示した方向へ流れることとなる。この結果、インクを往復移動させている間、ピエゾ素子411が伸張して圧力室412の容積が収縮しない限り、ノズルNzからインクが吐出することはなく、該ノズルNzに形成されたメニスカスも壊れない。
【0050】
<インクを往復移動させるための制御について>
上記したインクの往復移動は、コントローラ10が、メインタンク31からサブタンク32へインクを汲み上げるための第一制御モードと、サブタンク32からメインタンク31へインクを落下させるための第二制御モードと、を繰り返し実行することにより実現される。ここで、第一制御モードとは、コントローラ10が大気開放弁34を閉じた状態で加圧ポンプ33を運転させるモードである。一方、第二制御モードとは、前記コントローラ10が加圧ポンプ33を停止して大気開放弁34を開くモードである。
【0051】
また、第二制御モードには、インクをサブタンク32からメインタンク31へより早く落下させるための高速落下モードと、より遅く落下させるための低速落下モードと、がある。高速落下モードと低速落下モードとの切替えは、コントローラ10が流路切替弁313を制御することによって行われる。具体的に説明すると、高速落下モードは、前記コントローラ10が流路切替弁313を制御して低抵抗流路311のみを開通させ、該低抵抗流路311を通じてサブタンク32からメインタンク31にインクを落下させるモードである。他方、低速落下モードは、前記コントローラ10が高抵抗流路312のみを開通させ、該高抵抗流路312を通じてインクを落下させるモードである。なお、本実施形態では、サブタンク32の水位が上限水位に達している状態から低速落下モードを実行すると、前記水位は緩慢に下方へ推移し、所定時間をかけて下限水位に達するようになる。換言すると、高抵抗流路312の流路抵抗は、サブタンク32の水位が上限水位から下限水位まで推移するのに前記所定時間を要するように調整されている。
【0052】
なお、メインタンク31内のインクをサブタンク32に汲み上げる際の加圧ポンプ33の吐出圧は、サブタンク32からメインタンク31へインクを落下させる際の水頭圧(すなわち、サブタンク32とメインタンク31との間の水頭差)の最大値、に対して十分大きい。このため、第一制御モードにて所定量のインクをメインタンク31からサブタンク32へ汲み上げるのに要する時間は、第二制御モードにて前記所定量のインクをサブタンク32からメインタンク31に落下させるのに要する時間と比較して十分に短くなる。
【0053】
以下、インクを往復移動させるための制御の一例について図7A乃至図7Cを用いて説明する。図7A乃至図7Cは、インクを往復移動させるための制御のフローチャートである。
インクの往復移動させるための制御は、図7Aに示すように、ユーザによる電源オン操作に基づいてプリンタ1の電源がオンになり、プリンタ各部に電力が供給されるところから開始される(S2)。電源がオンになると、先ず、コントローラ10は、流路切替弁313を制御して、低抵抗流路311のみを開通させる(S4)。その後、前記コントローラ10は、大気開放弁34を閉じた状態で加圧ポンプ33を運転させる(S6)。すなわち、電源がオンになった直後、前記コントローラ10は第一制御モードを実行する。そして、コントローラ10は、第一制御モードの実行中に電源オフ指令を受けない限り(S8でNo)、該第一制御モードを継続して実行する。第一制御モードの進行に伴ってサブタンクの水位が上昇し、当該水位がサブタンク32の上限水位に到達するまで該第一制御モードは実行される(S10でNo)。
【0054】
なお、本実施形態では、インクを汲み上げる際の加圧ポンプ33の吐出圧が、インクを落下させる際の水頭圧の最大値に対して十分大きいため、第一制御モードと高速落下モードとでは、インクを流す流路が同一であるものの、所定量のインクを輸送するのに要する時間については、第一制御モードの方が高速落下モードよりも短くなる。換言すると、高速落下モードにおいて所定量のインクを落下させる際の所要時間は、第一制御モードにおいて所定量のインクを汲み上げる際の所要時間よりも長くなる。具体的に説明すると、本実施形態では、第一制御モードにおいて、サブタンク32の水位が下限水位から上限水位になるまでインクを汲み上げるのに要する時間は、約5〜10秒である。
【0055】
そして、前記水位が上限水位に到達した時点で、上方のレベルスイッチ61aが第一液面信号をコントローラ10に出力し(S10でYes)、該コントローラ10は当該第一液面信号に基づいて加圧ポンプ33を停止し、大気開放弁34を開く(S12)。つまり、コントローラ10は、前記第一液面信号を受信した時点で第一制御モードから第二制御モードに切替えて、該第二制御モードを実行するようになる。そして、第二流路302では低抵抗流路311のみ開通しているため、第二制御モードとして高速落下モードが実行される。そして、コントローラ10は、第二制御モード(すなわち、高速落下モード)の実行中に電源オフ指令を受けない限り(S14でNo)、前記第二制御モードを継続して実行する。第二制御モードの進行に伴ってサブタンクの水位が下降し、当該水位がサブタンク32の下限水位に到達するまで該第二制御モードは実行される(S16でNo)。
【0056】
前記水位が下限水位に到達すると、下方のレベルスイッチ61bが第二液面信号をコントローラ10に出力する(S16でYes)。そして、コントローラ10は当該第二液面信号に基づいて大気開放弁34を閉じて加圧ポンプ33を運転させ、再び第一制御モードを実行する。
【0057】
以上のような制御パターンは、プリンタ1の電源がオンになってからコントローラ10が電源オフ指令を受けるまでの間、繰り返される。また、プリンタ1の電源がオンになってから電源オフ指令を受けるまでの間に第二制御モードを実行する場合、前記コントローラ10は高速落下モードを実行する。
【0058】
一方、コントローラ10が第一制御モード実行している間にユーザが電源オフ操作を行うと、前記コントローラ10は前記電源オフ操作に基づく電源オフ指令を受け付ける(S8でYes)。そして、本実施形態において、前記コントローラ10は、電源オフ指令を受けた場合には直ちに前記電源をオフにせず、以下の動作を実行した後にオフにする。
【0059】
先ず、前記コントローラ10は前記電源オフ指令を受け付けると、図7Bに示すように、サブタンク32の水位が上限水位に到達するまで加圧ポンプ33を運転させ続け、第一制御モードを継続して実行する(S102、S104)。前記水位が上限水位に到達し、コントローラ10が上方のレベルスイッチ61aから第一液面信号を受信すると(S104でYes)、該コントローラ10は加圧ポンプを停止する(S106)。そして、前記コントローラ10は流路切替弁313を制御して高抵抗流路312のみを開通させる(S108)。その後、前記コントローラ10は大気開放弁34を開いてから(S110)、プリンタ1の電源をオフにする(S112)。このように、コントローラ10は、第一制御モード実行中に電源オフ指令を受けると、該第一制御モードから第二制御モードに切替えた後に電源をオフにする。また、コントローラ10が前記電源をオフにするにあたって第一制御モードから第二制御モードに切替えるとき、該第一制御モードから低速落下モードに切替えられる。
【0060】
また、第二制御モード(高速落下モード)の実行中にコントローラ10が電源オフ指令を受けた場合にも、上記と同様、該コントローラ10は直ちに前記電源をオフにせず、以下の動作を実行した後にオフにする。
【0061】
先ず、前記コントローラ10は前記電源オフ指令を受け付けると(S14でYes)、図7Cに示すように、大気開放弁34を閉じて加圧ポンプ33を運転させる(S202)。すなわち、前記コントローラ10は第二制御モードの実行中に電源オフ指令を受けると、該第二制御モードから第一制御モードに切替えて、該第一制御モードを実行する。その後、前記コントローラ10はサブタンク32の水位が上限水位に到達するまで前記第一制御モードを継続して実行する(S204)。前記水位が上限水位に到達すると、前記コントローラ10が上方のレベルスイッチ61aから第一液面信号を受信し(S204でYes)、該コントローラ10は加圧ポンプを停止し(S206)、流路切替弁313を制御して高抵抗流路312のみを開通させる(S208)。そして、コントローラ10は大気開放弁34を開いてから(S210)、プリンタ1の電源をオフにする(S212)。このように、コントローラ10は、該第二制御モードの実行中に電源オフ指令を受けると、該第二制御モードから第一制御モードに切替えて該第一制御モードを実行し、再度、該第一制御モードから前記第二制御モードに切り替えた後に電源をオフにする。なお、上記の場合と同様、コントローラ10が前記電源をオフするにあたって第一制御モードから第二制御モードに切替えるとき、該第一制御モードから低速落下モードに切替えられる。
【0062】
以上のように、プリンタ1の電源がオンになってから電源オフ指令を受けるまでの間には該コントローラ10が第一制御モードと第二制御モードとを繰り返して実行する結果、インクがメインタンク31とサブタンク32との間を往復移動する。
【0063】
一方、コントローラ10が電源オフ指令を受けた後には、該コントローラ10は制御モードの切替えを行った後に前記電源をオフにする。そして、本実施形態では、前記電源がオフになる際、常に第二制御モードに切替えられる。これにより、前記電源がオフになった後にもサブタンク32からヘッド41を経由してメインタンク31まで落下させることが可能になる。すなわち、電源がオフになった後にも、ヘッド41内にてインクを流動させ続けることが可能になる。さらに、コントローラ10が前記電源をオフにする際に切替える第二制御モードは低速落下モードとなる。このため、前記電源がオフになった後には、サブタンク32内のインクをメインタンク31へより緩慢に落下させることになる。
【0064】
なお、本実施形態のプリンタ1は、主に業務用に使用されるものであり、該プリンタ1の電源は業務時間中にオンとなっており、業務時間外にはオフになっている。このことを想定し、電源オフとなる業務時間外の期間中、サブタンク32からメインタンク31へインクが落下し続けるように、単位時間当たりのインクの落下量が調整されている。単位時間当たりのインクの落下量は、高抵抗流路312の流路抵抗(例えば、弁v1の開度)に依存する。したがって、本実施形態では、弁v1の開度が、サブタンク32からメインタンク31へインクが落下し続ける時間(以下、インクの落下時間)が業務時間外の期間よりも長くなるように調整されている。
【0065】
具体的に説明すると、インクの落下時間は、弁v1の開度(つまり、弁v1の開口を相当円にて表した際の該相当円の半径)を調整することにより調製される。また、上記落下時間の概算値は、インク汲み上げの所要時間(例えば、5秒とする)に、前記相当円の半径に対する低抵抗流路311の内径の比、の4乗値、及び、水頭圧に対する加圧ポンプ33の吐出圧の比(例えば、吐出圧が水頭圧の10倍であるとする)を乗じて求められる。そして、本実施形態では、相当円の半径に対する低抵抗流路311の内径の比が10となるように弁v1の開度が調整されている。このため、インクの落下時間を5日以上(具体的には、500000秒)確保することが可能となり、業務時間外の期間中(例えば、金曜日の就業終了時から月曜日の就業開始時までの期間中)、インクを落下させ続けることが可能である。
【0066】
なお、弁v1の開度については、上記の場合に限定されるものではなく、例えば、相当円の半径に対する低抵抗流路311の内径の比が5.5となるように調整されていることとしてもよい。かかる場合、前記落下時間を約半日確保することが可能になり、業務時間外である平日の夜間帯中、インクを落下させ続けることが可能になる。
【0067】
===本実施形態のプリンタの有効性について===
本実施形態のプリンタ1は、インクを吐出するためのヘッド41と、ヘッド41よりも低所に位置し、インクを収容するためのメインタンク31と、該メインタンク31よりも高所に位置し、インクを収容するためのサブタンク32と、メインタンク31からヘッド41を経由してサブタンク32へインクを汲み上げるための加圧ポンプ33と、加圧ポンプ33にインクをメインタンク31からサブタンク32へ汲み上げさせるための第一制御モードと、インクをサブタンク32からヘッド41を経由してメインタンク31へ落下させるための第二制御モードと、を繰り返して実行するコントローラ10と、を有するプリンタである。そして、前記コントローラ10は、電源オフ指令を受けた場合には該コントローラ10が実行するモードを前記第二制御モードにした後にプリンタ1の電源をオフにする。これにより、プリンタ1の電源オフ後、ヘッド41内においてインクを流動させることが可能になる。
【0068】
すなわち、発明が解決しようとする課題の項で説明した通り、ヘッド41内におけるインクの沈滞を抑制する観点では、電源オフ後にも該ヘッド41を経由してメインタンク31からサブタンク32の間において前記インクを移動させることが望ましい。
【0069】
これに対し、本実施形態のプリンタ1では、コントローラ10が第一制御モードの実行中に電源オフ指令を受けた場合、該コントローラ10は、該第一制御モードから第二制御モードに切替えた後にプリンタ1の電源をオフにする。すなわち、前記電源がオフになった後には前記サブタンク32内に収容されたインクがメインタンク31へ落下することとなる。これにより、電源オフ後にも、サブタンク32からメインタンク31へインクを落下させて、ヘッド41内にて該インクを流動させ続けることが可能になる。
【0070】
また、前記コントローラ10が第二制御モードの実行中に電源オフ指令を受けた場合、該コントローラ10は、該第二制御モードから第一制御モードに切替え、該第一制御モードを実行してから該第一制御モードから前記第二制御モードに切替えた後に前記電源をオフにする。すなわち、上記の場合と同様、電源オフ後にサブタンク32からメインタンク31へインクを落下させ、ヘッド41内にて該インクを流動させ続けることが可能である。
【0071】
以上のように、本実施形態のプリンタ1では、電源オフ後においてもヘッド41内にてインクを流動させることが可能になる。これにより、電源オフ後におけるヘッド41内でのインクの沈滞が抑制され、圧力室412におけるインク粘度の不均一化等、当該インクの沈滞に伴う不具合の発生を抑制する効果が持続される。さらに、圧力室412におけるインク粘度の不均一化が抑制される結果、前述したフラッシング処理にて排出するインクの量を削減することが可能になり、当該フラッシング処理によるインク消費量を抑えることも可能になる。
【0072】
なお、本実施形態では、コントローラ10は、第一制御モードの実行中に電源オフ指令を受けた場合、第一制御モードから第二制御モードに切替えた後にプリンタ1の電源をオフにすることとした。これにより、電源オフの事前に前記サブタンク32へインクが汲み上げられる結果、電源オフ後にヘッド41内においてインクが流動し続ける時間(以下、流動時間)が適切に確保されることとなる。また、前記コントローラ10は、第二制御モードの実行中に電源オフ指令を受けた場合、該第二制御モードから第一制御モードに切替え、該第一制御モードを実行してから該第一制御モードから前記第二制御モードに切替えた後に前記電源をオフにする。すなわち、上記の場合と同様、電源オフの事前に前記サブタンク32へインクが汲み上げられるため、電源オフ後のヘッド41内におけるインクの流動時間を適切に確保することが可能である。
【0073】
===その他の実施例===
以上、上記の実施形態に基づき、主として、流体吐出装置及び該流体吐出装置内における流体の輸送方法について説明したが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0074】
また、上記の実施形態では、ヘッドユニット40は、図3に示した単一のヘッド41を有することとしたが、これに限定されるものではない。例えば、図8に示すように、複数のヘッド41が千鳥状に配置されたヘッドユニット40であることとしてもよい。図8は、ヘッドユニット40の他の実施形態を示した図である。ここで、図8に示す各ヘッド41のノズル数は、図3に示すヘッド41のノズル数(n個)よりも少ない。また、上記の実施形態では、いわゆるラインヘッド方式のプリンタを例に挙げて説明したが、ヘッドを取り付けたキャリッジを用紙の幅方向に移動させて印刷を行ういわゆるシリアル方式のプリンタであってもよい。
【0075】
また、上記の実施形態では、流体吐出装置の一例としてインクを吐出するプリンタについて説明したが、インクについては水性インクであってもよく、あるいは油性インクであってもよい。また、吐出される流体についてはインクに限られるものではなく、インク以外の他の液体(液体以外にも、機能材料の粒子が分散されている液状体、ジェルのような流状体を含む)や液体以外の流体(流体として流して吐出できる固体を含む)を吐出する流体吐出装置に本発明を具体化することも可能である。例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材などの材料が分散または溶解した状態で含まれた液状体を吐出する液状体吐出装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を吐出する液体吐出装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を吐出する液体吐出装置であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を吐出する液体吐出装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に吐出する液体吐出装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を吐出する液体吐出装置、ジェルを吐出する流状体吐出装置、トナーなどの粉体を例とする固体を吐出する粉体吐出式記録装置であってもよい。そして、これらのうちいずれか一種の流体吐出装置に本発明を適用することができる。
【0076】
また、上記の実施形態で説明したプリンタ1は、主に業務用に使用されることとしたが、これに限定されるものではなく、前記プリンタ1を個人ユーザ用のプリンタとして使用してもよい。かかる場合には、電源オフの期間がより長くなるため、高抵抗流路312の流路抵抗を調整して、低速落下モードによりサブタンク32の水位が上限水位から下限水位に達するまでの所要時間が数週間(例えば、2週間)程度になるように、単位時間当たりのインクの落下量を調整することが望ましい。
【0077】
また、上記の実施形態において、ノズルNzに保持されたインクからの水分の蒸発をより効果的に抑制するために、ヘッド41のノズルプレート410の下方に位置し、該ノズルプレート410に当接してノズルNzの開口を封止する封止部材(所謂、キャッピング部材)がプリンタ1内に設けられていることとしてもよい。
【0078】
また、上記の実施形態では、第二制御モードには、サブタンク32内のインクをより早く落下させるための高速落下モードと、より遅く落下させるための低速落下モードと、があることとした。そして、コントローラ10は、電源オフ指令を受けた場合には該コントローラ10が実行するモードを前記低速落下モードにした後に前記電源をオフにすることとした。しかし、これに限定されるものではなく、前記電源がオフになる際に選択されるモードが高速落下モードであることとしてもよい。但し、上記の構成であれば、サブタンク32からメインタンク31へインクをより緩慢に落下させるため、電源オフ後のヘッド41内におけるインクの流動状態をより長く持続させることが可能になる。かかる点において、上記実施形態の方が望ましい。
【0079】
なお、上記の実施形態では、高速落下モードと低速落下モードとを切替えるために、第二流路302を互いに流路抵抗が異なる2系統の流路に分岐させ、当該2系統の流路の一方のみを開通する流路切替弁313を備えることとしたが、これに限定されるものではない。サブタンク32からメインタンク31にインクを落下させるための所要時間に差異を設ける方法である限り、他の方法も利用可能である。また、前記2系統の流路の流路抵抗に差異を設けるために、当該2系統の流路の各々に設けられた弁の数や開度を調整することとしたが、これに限定されるものではない。例えば、オリフィス等の弁以外の部材を設置することにより、前記2系統の流路の流路抵抗に差異を設けることとしてもよい。
【0080】
また、上記の実施形態では、コントローラ10が、第一制御モードの実行中に電源オフ指令を受けた場合には該第一制御モードを継続して実行した後に該第一制御モードから前記第二制御モードに切替えることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、第一制御モードの実行中に電源オフ指令を受けた場合、前記コントローラ10は直ちに該第一制御モードから第二制御モードに切替えることとしてもよい。但し、上記の実施形態であれば、直ちに第一制御モードから第二制御モードに切替える場合と比較して、より多くのインクがサブタンク32に収容された状態で前記電源がオフになる。この結果、電源オフ後のヘッド41内におけるインクの流動状態をより長く持続させることが可能になる。かかる点において、上記の実施形態の方が望ましい。
【0081】
また、上記の実施形態では、ヘッド41には、圧力室412を介して互いに連通した、2つのリザーバ413a、413bと、一方のリザーバ413aとメインタンク31との間でインクを出入りさせるための第一出入路414aと、他方のリザーバ413bとサブタンク32との間でインクを出入りさせるための第二出入路414bと、が設けられていることとした。しかし、これに限定されるものではなく、前記一方のリザーバ413aに、前記第一出入路414aと、サブタンク32との間でインクを出入りさせるための出入路(第二出入路414bに相当する出入路)と、が接続されていてもよい。但し、上記の構成であれば、タンク間を移動するインクが、ヘッド41を経由する際に圧力室412を経由して前記2つのリザーバ413a、413bの間を移動し易くなる。つまり、該圧力室412内においてインクが流動し易くなる。これにより、圧力室412でのインク粘度の不均一化をより効率的に抑制することが可能になる。かかる点において、上記の実施形態の方が望ましい。
【0082】
また、上記の実施形態では、サブタンク32内にレベルスイッチ61a、61bが取り付けられており、コントローラ10は、プリンタ1の電源がオンになってから電源オフ指令を受けるまでの間、該レベルスイッチ61a、61bから出力される信号(すなわち、第一液面信号や第二液面信号)に基づいて第一制御モードと第二制御モードとを切替えることとした。しかし、これに限定されるものではなく、レベルスイッチ等の信号出力部が、サブタンク32ではなく、メインタンク31に取り付けられていてもよい。また、前記信号出力部が、メインタンク31及びサブタンク32のいずれにも取り付けられていなくてもよい。但し、信号出力部がメインタンク31又はサブタンク32に取り付けられている場合、コントローラ10は、前記信号出力部から出力される信号に基づいて、第一制御モードと第二制御モードとを適切に切替えることが可能になる。かかる点において、前記信号出力部が取り付けられている構成の方がより望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本実施形態のプリンタ1のブロック図である。
【図2】インク供給ユニット30及びヘッドユニット40の構成図である。
【図3】ヘッド41の下面におけるノズルの配列を示した模式図である。
【図4】ノズルNz周辺の構成についての概略図である。
【図5】図4中のA−A断面図である。
【図6】タンク間を往復移動しているインクの圧力室412内での流動状態を示す。
【図7A】インクを往復移動させるための制御のフローチャートである。
【図7B】インクを往復移動させるための制御のフローチャートである。
【図7C】インクを往復移動させるための制御のフローチャートである。
【図8】ヘッドユニット40の他の実施形態を示した図である。
【符号の説明】
【0084】
1 プリンタ、10 コントローラ、11 インターフェース、
12 CPU、13 メモリ、14 ユニット制御回路、
20 用紙搬送ユニット、30 インク供給ユニット、
31 メインタンク、32 サブタンク、33 加圧ポンプ、
33a 加圧ライン、34 大気開放弁、
40 ヘッドユニット、41 ヘッド、
41a 第一接続口、41b 第二接続口、
50 電力供給ユニット、60 検出器群、
61a,61b レベルスイッチ、70 コンピュータ、
301 第一流路、302 第二流路、
311 低抵抗流路、312 高抵抗流路、313 流路切替弁、
410 ノズルプレート、411 ピエゾ素子、412 圧力室、
412a 偏平部、412b 導入部、413a,413b リザーバ、
414a 第一出入路、414b 第二出入路、415 弾性板、
416 素子収容室、417 堰部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を吐出するためのヘッドと、
前記ヘッドよりも低所に位置し、前記流体を収容するための第一流体収容部と、
前記第一流体収容部よりも高所に位置し、前記流体を収容するための第二流体収容部と、
前記第一流体収容部から前記ヘッドを経由して前記第二流体収容部へ前記流体を汲み上げるための汲み上げ機構と、
前記汲み上げ機構に前記流体を前記第一流体収容部から前記第二流体収容部へ汲み上げさせるための第一制御モードと、前記流体を前記第二流体収容部から前記ヘッドを経由して前記第一流体収容部へ落下させるための第二制御モードと、を繰り返して実行するコントローラと、
を有する流体吐出装置であって、
前記コントローラは、電源オフ指令を受けた場合には該コントローラが実行するモードを前記第二制御モードにした後に前記流体吐出装置の電源をオフにすることを特徴とする流体吐出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の流体吐出装置において、
前記第二制御モードには、前記流体を前記第二流体収容部から前記第一流体収容部へより早く落下させるための高速落下モードと、より遅く落下させるための低速落下モードと、があり、
前記コントローラは、前記電源オフ指令を受けた場合には前記モードを前記低速落下モードにした後に前記電源をオフにすることを特徴とする流体吐出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の流体吐出装置において、
前記高速落下モードでは、前記低速落下モードにおいて前記流体を流す流路よりも流路抵抗が低い流路に該流体を流し、
前記第一制御モードでは、前記汲み上げ機構が、前記高速落下モードにおいて前記流体を流す流路と、前記低速落下モードにおいて前記流体を流す流路のうち、前記高速落下モードにおいて前記流体を流す流路を通じて、該流体を汲み上げることを特徴とする流体吐出装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3のいずれかに記載の流体吐出装置において、
前記コントローラは、前記電源がオンになってから前記電源オフ指令を受けるまでの間に前記第二制御モードを実行する場合には前記高速落下モードを実行することを特徴とする流体吐出装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の流体吐出装置において、
前記コントローラは、前記第一制御モードの実行中に電源オフ指令を受けた場合には前記モードを前記第一制御モードから前記第二制御モードに切替えた後に前記電源をオフにすることを特徴とする流体吐出装置。
【請求項6】
請求項5に記載の流体吐出装置において、
前記コントローラは、前記第一制御モードの実行中に前記電源オフ指令を受けた場合には該第一制御モードを継続して実行してから、前記モードを該第一制御モードから前記第二制御モードに切替えた後に前記電源をオフにすることを特徴とする流体吐出装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の流体吐出装置において、
前記コントローラは、前記第二制御モードの実行中に前記電源オフ指令を受けた場合には前記モードを前記第二制御モードから前記第一制御モードに切替え、該第一制御モードを実行してから前記モードを該第一制御モードから前記第二制御モードに切替えた後に前記電源をオフにすることを特徴とする流体吐出装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の流体吐出装置において、
前記ヘッドは、
前記流体を吐出するためのノズルと、
前記ノズルから前記流体を吐出させるための動作を行う素子と、
前記ノズルに隣接し、前記素子の動作によって生じる室内圧力の変動により前記流体を前記ノズルから吐出させるための圧力室と、
前記圧力室を介して互いに連通した、前記流体を貯留するための2つの貯留部と、
前記2つの貯留部のうちの一方の貯留部と前記第一流体収容部との間で前記流体を出入りさせるための第一出入路と、
他方の貯留部と前記第二流体収容部との間で前記流体を出入りさせるための第二出入路と、
を有することを特徴とする流体吐出装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の流体吐出装置において、
前記第一流体収容部内又は前記第二流体収容部内における前記流体の水位に応じた信号、を出力する信号出力部を更に有し、
前記コントローラは、前記電源がオンになってから前記電源オフ指令を受けるまでの間、前記信号に基づいて前記第一制御モードと前記第二制御モードとを切替えることを特徴とする流体吐出装置。
【請求項10】
流体を第一流体収容部から、該第一流体収容部よりも高所に位置した前記流体を吐出するためのヘッドを経由して、前記第一流体収容部よりも高所に位置した第二流体収容部へ汲み上げ機構に汲み上げさせるための第一制御モードと、
前記流体を前記第二流体収容部から前記ヘッドを経由して前記第一流体収容部へ落下させるための第二制御モードと、
を流体吐出装置の電源がオンになってから電源オフ指令を受けるまでの間に繰り返して実行するステップと、
前記電源オフ指令を受けると、実行するモードを前記第二制御モードにした後に前記電源をオフにするステップと、
を有することを特徴とする流体の輸送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−29109(P2009−29109A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−107241(P2008−107241)
【出願日】平成20年4月16日(2008.4.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】