説明

流体圧シリンダ

【課題】クッション圧力の高圧化に伴ってシリンダヘッドが大型化することを抑えられる流体圧シリンダを提供する。
【解決手段】ストローク端付近でロッド側油圧室2からロッド側給排口43へと流出する作動油の流れを絞る絞り流路と、ロッド側油圧室2の作動油を絞り流路を迂回してロッド側給排口43へと導くバイパス通路7と、ロッド側油圧室2に生じるクッション圧力が所定値以上に上昇するのに伴ってバイパス通路7を開通させるリリーフバルブ70とを備える油圧シリンダ1であって、バイパス通路7をシリンダチューブ10とシリンダヘッド40とに渡って形成する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストローク端付近でが生じるクッション圧力が異常に高まらないようにリリーフバルブが開弁作動する流体圧シリンダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、油圧ショベル等に設けられる流体圧シリンダにあっては、そのストローク端付近でクッション圧力が生じるように構成され、流体圧シリンダが伸びきって停止する際に生じる衝撃が緩和される。
【0003】
特許文献1、2にそれぞれ開示された流体圧シリンダは、シリンダチューブの開口端にシリンダヘッドが連結され、このシリンダヘッドにクッション圧力を逃がすバイパス通路が形成されるとともに、このバイパス通路を開閉するリリーフバルブが設けられる。リリーフバルブは、クッション圧力が所定値以上に上昇するのに伴ってバイパス通路を開通させ、クッション圧力が異常に高まらないようにする。
【0004】
上記のリリーフバルブは、シリンダヘッドに介装されており、同じくシリンダヘッドに形成されるバイパス通路ととともにシリンダチューブの径方向に延びるように配置されている。
【特許文献1】特開2004−11781号公報
【特許文献2】実開昭47−29087号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、流体圧シリンダにあっては、高圧化、伸縮速度の高速化のために、クッション圧力が従来より高くなり、リリーフバルブ等を大型化する傾向がある。
【0006】
しかしながら、従来は、バイパス通路とリリーフバルブがシリンダヘッドに内蔵される構造のため、シリンダヘッドの限られたスペースにバイパス通路とリリーフバルブを設けることが難しく、シリンダヘッドの大型化を招くという問題点があった。
【0007】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、クッション圧力の高圧化に伴ってシリンダヘッドが大型化することを抑えられる流体圧シリンダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、外部の作動流体圧源から導かれる作動流体圧によって伸縮作動する流体圧シリンダであって、筒状をしたシリンダチューブと、このシリンダチューブ内に流体圧室を画成するピストンと、このピストンに連結されるピストンロッドと、シリンダチューブの開口端に連結されピストンロッドを摺動可能に挿通させるシリンダヘッドと、このシリンダヘッドに開口し作動流体圧源に連通する給排口と、ストローク端付近で流体圧室から給排口へと流出する作動流体の流れを絞る絞り流路と、流体圧室の作動流体を絞り流路を迂回して給排口へと導くバイパス通路と、流体圧室に生じるクッション圧力が所定値以上に上昇するのに伴ってバイパス通路を開通させるリリーフバルブとを備え、バイパス通路をシリンダチューブとシリンダヘッドとに渡って形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、バイパス通路をシリンダヘッドのみに形成する従来構造に比べて、バイパス通路の配置自由度が高められる。これにより、リリーフバルブをシリンダチューブの中心軸方向に延びるように配置することが可能となり、リリーフバルブがシリンダチューブの径方向に突出してシリンダヘッドが大型化することを抑えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0011】
図1の(a)〜(d)は流体圧シリンダとして設けられる油圧シリンダ1を四方から見た図であり、図1の(e)は油圧シリンダ1を上方から見た図であり、図1の(f)は油圧シリンダ1を下方から見た図である。
【0012】
油圧シリンダ1は、図示しない油圧源から導かれる作動油圧(作動流体圧)によってシリンダチューブ10に対してピストンロッド30が中心軸O方向(図2参照)に移動して伸縮作動するものである。図1は油圧シリンダ1が最も収縮した状態を示している。
【0013】
油圧シリンダ1は例えば油圧ショベルのブームを駆動するブームシリンダとして用いられる。この場合、シリンダチューブ10の端部19が本体に連結され、ピストンロッド30の端部39がブームに連結される。
【0014】
シリンダチューブ10は有底円筒状をしており、その上部開口端には筒状をしたシリンダヘッド40が複数のボルト41を介して締結される。このシリンダヘッド40にピストンロッド30が摺動可能に嵌合する。
【0015】
ピストンロッド30にはピストン60(図2参照)が連結される。シリンダチューブ10内は、このピストン60によってロッド側油圧室2(図2参照)とエンド側油圧室(図示せず)に画成される。
【0016】
図1の(a)に示すように、シリンダヘッド40の側面にフランジ面42が膨出して形成される。このフランジ面42にはロッド側油圧室2に連通するロッド側給排口43が開口し、このロッド側給排口43に油圧源に連通する図示しない油圧配管が接続される。
【0017】
図1の(b)に示すように、シリンダチューブ10の下部にはフランジ面12が形成される。このフランジ面12にエンド側油圧室に連通するエンド側給排口13が開口し、このエンド側給排口13に油圧源に連通する図示しない油圧配管が接続される。
【0018】
図2は油圧シリンダ1のシリンダヘッド40まわりの断面図であり、油圧シリンダ1が伸張した状態を示している。
【0019】
シリンダチューブ10は、円筒面状のシリンダ内周面11を有する。このシリンダ内周面11にピストン60が摺動可能に嵌合される。シリンダ内周面11の上部にシリンダヘッド40が嵌合される。
【0020】
シリンダチューブ10は、その開口端部にチューブフランジ部15が形成され、このチューブフランジ部15にシリンダヘッド40が締結される。このチューブフランジ部15に複数のネジ穴(図示せず)が形成され、このネジ穴に前記した各ボルト41が螺合することにより、シリンダヘッド40をチューブフランジ部15に締結される。
【0021】
シリンダヘッド40は、シリンダチューブ10の中心軸O方向に延びる円筒面状の外周面49と、シリンダチューブ10の中心軸Oに対して直交して延びる平面状の接合面53とを有する。外周面49がシリンダ内周面11の上部に嵌合するとともに、接合面53がチューブフランジ部15の上面16に接合することにより、ロッド側油圧室2が密封される。
【0022】
シリンダチューブ10の内周には、メインシール55が介装され、このメインシール55がピストンロッド30の外周面31に摺接することにより、ロッド側油圧室2が密封される。
【0023】
シリンダチューブ10の内周端には、ダストシール57が介装され、このダストシール57がピストンロッド30の外周面31に摺接することにより、ダスト等の侵入が防止される。
【0024】
シリンダチューブ10の内周には、軸受56が介装される。一方、ピストン60の外周には軸受61が介装される。軸受56がピストンロッド30の外周面31に摺接するとともに、軸受61がシリンダ内周面11に摺接することにより、ピストンロッド30がシリンダチューブ10の中心軸O方向に平行移動するように支持される。
【0025】
シリンダヘッド40とピストンロッド30との間には、ロッド側油圧室2に作動油を給排する給排通路3が設けられる。この給排通路3を画成するために、シリンダヘッド40は、その内周にヘッド内周面44とヘッド環状溝45と前記のロッド側給排口43とが形成される。
【0026】
ヘッド内周面44は、シリンダチューブ10の中心軸O方向に延びる円筒面状に形成され、ピストンロッド30の外周面31との間に円筒状の間隙4を画成する。この間隙4が給排通路3を構成する。
【0027】
ヘッド環状溝45はヘッド内周面44に対して環状に窪む。図2には示されないが、ロッド側給排口43はその一端がヘッド環状溝45に開口し、その他端がシリンダヘッド40のフランジ面42に開口している。
【0028】
図2にてピストンロッド30が下方に移動する油圧シリンダ1の収縮作動時、油圧源から油圧配管を通って供給される加圧作動油が、ロッド側給排口43→ヘッド環状溝45→間隙4を通ってロッド側油圧室2に流入する。
【0029】
一方、図2にてピストンロッド30が上方に移動する油圧シリンダ1の伸張作動時、そのストローク中程では、ロッド側油圧室2の作動油が、間隙4→ヘッド環状溝45→ロッド側給排口43→油圧配管を通って油圧源へと流出する。
【0030】
油圧シリンダ1にはそのストローク端付近でピストンロッド30を減速させるクッション機構6が設けられる。
【0031】
このクッション機構6は、前記のヘッド内周面44と、ピストンロッド30に取り付けられる円筒状のクッションベアリング5とを備える。このクッションベアリング5は、その外径がヘッド内周面44の内径より小さく形成される。
【0032】
油圧シリンダ1の伸張作動時に、そのストローク端付近でクッションベアリング5がヘッド内周面44の内側に入り込み、クッションベアリング5とヘッド内周面44との間に絞り流路が画成される。この絞り流路がロッド側油圧室2から給排通路3を通って流出する作動油の流れに抵抗を付与し、ロッド側油圧室2の圧力(以下、クッション圧力という)が上昇することにより、ピストンロッド30を減速する。
【0033】
油圧シリンダ1にはクッション圧力の上昇を抑えるクッション圧力逃がし機構8が設けられ、クッション圧力が異常に上昇しないようになっている。
【0034】
このクッション圧力逃がし機構8は、ロッド側油圧室2の作動油を絞り流路を迂回して導くバイパス通路7と、このバイパス通路7をクッション圧力が所定値以上に上昇するのに伴って開通させるリリーフバルブ70とを備える。
【0035】
バイパス通路7は、シリンダチューブ10とシリンダヘッド40とに渡って形成され、シリンダチューブ10とシリンダヘッド40とに渡って嵌合する中継スリーブ80を備える。
【0036】
チューブフランジ部15には第一バイパス通孔17、第二バイパス通孔20とが形成される。
【0037】
第一バイパス通孔17は、シリンダチューブ10の径方向に延び、その一端がシリンダ内周面11に開口し、その他端がチューブフランジ部15の側面に開口している。第一バイパス通孔17の外側開口端は、栓体18によって閉塞される。
【0038】
第二バイパス通孔20は、シリンダチューブ10の中心軸O方向に延びる小径穴21と大径穴22とを有し、小径穴21と大径穴22との間には環状段部23が形成される。小径穴21の一端が第一バイパス通孔17に連通している。
【0039】
シリンダヘッド40には第三バイパス通孔50、第四バイパス通孔47とが形成される。
【0040】
第三バイパス通孔50は、シリンダチューブ10の中心軸O方向に延びる小径穴51と大径穴52とを有し、この小径穴51と大径穴52は第二バイパス通孔20と同軸上に配置される。小径穴51と第二バイパス通孔20の大径穴22とは、それぞれ同一開口径を有し、互いに段差なく接続される。
【0041】
第三バイパス通孔50の大径穴52は、シリンダヘッド40の端面に開口しており、リリーフバルブ70が収容される。大径穴52の内周には、ネジ部46が形成され、このネジ部46にリリーフバルブ70のバルブボディ71に螺合して取り付けられる。バルブボディ71と大径穴52との間にはシールリング91が介装され、この部分が密封される。
【0042】
第四バイパス通孔47は、シリンダチューブ10の径方向に延び、その一端が大径穴52に開口し、その他端がヘッド環状溝45に開口し、給排通路3に連通している。
【0043】
なお、第四バイパス通孔47は、給排通路3を画成するロッド側給排口43(図1の(a)参照)と同軸上に延びるように形成され、環状溝45を介してロッド側給排口43と連通している。
【0044】
中継スリーブ80は、第三バイパス通孔50の小径穴51と第二バイパス通孔20の大径穴22とに渡って嵌合される。
【0045】
中継スリーブ80の外周面には2本の環状溝83、84が形成され、各環状溝83、84にシールリング81とバックアップリング82とが並んで介装される。
【0046】
環状溝83に介装されるシールリング81とバックアップリング82は第二バイパス通孔20の大径穴22に対峙し、この部分を密封する。
【0047】
環状溝84に介装されるシールリング81とバックアップリング82は第三バイパス通孔50の小径穴51に対峙し、この部分を密封する。
【0048】
リリーフバルブ70のバルブボディ71は環状段部79を有し、この環状段部79が中継スリーブ80の上端面に当接し、この部分を密封するメタルシールを構成する。ロッド側油圧室2に生じるクッション圧力は、この環状段部23に設けられるメタルシールと、環状溝83に介装されるシールリング81とによって二重に密封される。
【0049】
中継スリーブ80の下端面はシリンダチューブ10の環状段部23に当接し、この部分を密封するメタルシールを構成する。
【0050】
図1の(b)〜(f)に示すように、シリンダヘッド40には膨出部48が形成され、シリンダチューブ10には膨出部14が形成され、この膨出部48、14内にクッション圧力逃がし機構8を構成するリリーフバルブ70とバイパス通路7とが設けられる。こうしてリリーフバルブ70のバルブボディ71がシリンダチューブ10の中心軸O方向に延びるように配置され、シリンダヘッド40を締結する各ボルト41と並んで設けられることにより、油圧シリンダ1の大型化が抑えられる。
【0051】
リリーフバルブ70は、前述したようにシリンダヘッド40に取り付けられるバルブボディ71と、バルブボディ71に摺動可能に介装される弁体72と、この弁体72を閉弁方向に付勢するリリーフスプリング78とを備える。
【0052】
弁体72は、円柱状に形成され、円筒状のバルブボディ71の内側に摺動可能に介装される。弁体72の外周にはシールリング75が介装され、シールリング75とバルブボディ71間の密封がはかられる。
【0053】
弁体72は、その先端に円錐状の弁部74を有し、この弁部74がバルブボディ71のシート部73に着座することにより、バイパス通路7を閉塞する。
【0054】
バルブボディ71は、シリンダチューブ10の中心軸O方向に延びるバイパスポート77と、このバイパスポート77の開口端に形成され弁部74を着座させるシート部73と、弁部74のまわりに開口する複数の通孔85と有する。弁体72がシート部73から離れて開弁すると、バイパスポート77が開かれ、ロッド側油圧室2の作動油がバイパス通路7を通って油圧源に連通するロッド側給排口43へと流出するようになっている。
【0055】
このようにリリーフバルブ70によって開閉されるバイパスポート77は、バルブボディ71に形成されているが、この構造に限らず、中継スリーブ80、シリンダヘッド40、シリンダチューブ10のいずれかに形成してもよい。
【0056】
次に油圧シリンダ1の作動について説明する。
【0057】
油圧シリンダ1の作動時、ピストン60がエンド側油圧室とロッド側油圧室2とに導かれる油圧力によってピストン60が中心軸O方向に移動し、ピストンロッド30がシリンダチューブ10から出入りする伸縮作動をして負荷を駆動する。例えば油圧シリンダ1が油圧ショベルのブームシリンダとして用いられる場合、油圧シリンダ1が伸縮作動することにより、油圧ショベルのブームが回動する。
【0058】
図2に示すように、ピストンロッド30が上方に移動する油圧シリンダ1の伸張作動時におけるストローク中程にて、ロッド側油圧室2の作動油が、間隙4→ヘッド環状溝45→ロッド側給排口43→油圧配管を通って油圧源へと流出する。
【0059】
伸張作動時のストローク端付近にて、クッション機構6が作動して、ピストン60がシリンダヘッド40に当接する衝撃を緩和する。これについて詳述すると、クッション機構6は、クッションベアリング5がヘッド内周面44の内側に入り込むと、クッションベアリング5とヘッド内周面44との間に絞り流路が画成され、この絞り流路がロッド側油圧室2から給排通路3を通って流出する作動油の流れに抵抗を付与し、ロッド側油圧室2のクッション圧力が上昇することにより、ピストンロッド30を減速する。こうして、クッション機構6は、ピストン60がシリンダヘッド40に当接して手前でピストンロッド30を減速させ、ピストン60がシリンダヘッド40に当接する衝撃を緩和する。
【0060】
クッション機構6の作動時にて、ロッド側油圧室2のクッション圧力が所定値以上に上昇すると、クッション圧力逃がし機構8が作動してバイパス通路7が開通し、クッション圧力の上昇が抑えられる。これについて詳述すると、クッション圧力が所定値以上に上昇すると、リリーフバルブ70の弁体72がシート部73から離れて開弁する。これにより、バイパス通路7が開通し、ロッド側油圧室2の作動油が第一バイパス通孔17→第二バイパス通孔20→中継スリーブ80→バイパスポート77→通孔85→第三バイパス通孔50→第四バイパス通孔47→ヘッド環状溝45→ロッド側給排口43→油圧配管を通って油圧源へと流出する。このクッション機構6の作動によって油圧シリンダ1内の圧力が異常に上昇することが回避される。
【0061】
以上のように本実施形態では、外部の油圧源から導かれる作動油圧によって伸縮作動する油圧シリンダ1であって、筒状をしたシリンダチューブ10と、このシリンダチューブ10内にロッド側油圧室2を画成するピストン60と、このピストン60に連結されるピストンロッド30と、シリンダチューブ10の開口端に連結されピストンロッド30を摺動可能に挿通させるシリンダヘッド40と、このシリンダヘッド40に開口し油圧源に連通するロッド側給排口43と、ストローク端付近でロッド側油圧室2からロッド側給排口43へと流出する作動油の流れを絞る絞り流路と、ロッド側油圧室2の作動油を絞り流路を迂回してロッド側給排口43へと導くバイパス通路7と、ロッド側油圧室2に生じるクッション圧力が所定値以上に上昇するのに伴ってバイパス通路7を開通させるリリーフバルブ70とを備え、バイパス通路7をシリンダチューブ10とシリンダヘッド40とに渡って形成する構成とした。
【0062】
上記構成に基づき、バイパス通路をシリンダヘッドのみに形成する従来構造に比べて、バイパス通路7の配置自由度が高められる。これにより、リリーフバルブ70をシリンダチューブ10の中心軸O方向に延びるように配置することが可能となり、リリーフバルブ70がシリンダチューブ10の径方向に突出して油圧シリンダ1が大型化することを抑えられる。
【0063】
本実施形態では、バイパス通路7はシリンダチューブ10の中心軸O方向に延びるバイパスポート77を有し、リリーフバルブ70の弁体72がシリンダチューブ10の中心軸O方向に移動してバイパスポート77を開通させる構成とした。
【0064】
上記構成に基づき、リリーフバルブ70がシリンダチューブ10の中心軸O方向に延びるように配置され、リリーフバルブ70がシリンダチューブ10の径方向に突出して油圧シリンダ1が大型化することを抑えられる。
【0065】
本実施形態では、リリーフバルブ70は弁体72を収容する筒状のバルブボディ71を有し、このバルブボディ71をシリンダヘッド40に螺合して取付け、バルブボディ71をシリンダチューブ10の中心軸O方向に延びるように配置する構成とした。
【0066】
上記構成に基づき、リリーフバルブ70のバルブボディ71をシリンダヘッド40を締結する各ボルト41と並んで設けることが可能となり、油圧シリンダ1の大型化が抑えられる。
【0067】
本実施形態では、シリンダチューブ10とシリンダヘッド40とに渡って嵌合する筒状の中継スリーブ80を設け、この中継スリーブ80の内側にバイパス通路7を画成する構成とした。
【0068】
上記構成に基づき、中継スリーブ80を介してバイパス通路7が密封され、高いクッション圧力に対する密封性を確保できる。
【0069】
本実施形態では、中継スリーブ80の外周に環状溝83、84を形成し、環状溝83、84にシールリング81を介装する構成とした。
【0070】
上記構成に基づき、シールリング81を介してバイパス通路7が密封され、高いクッション圧力に対する密封性を確保できる。
【0071】
なお、作動油としてオイルの代わりに例えば水溶性代替液等の作動流体を用いても良い。
【0072】
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施の形態を示す油圧シリンダを前後左右上下方向からそれぞれ見たの図。
【図2】同じく油圧シリンダの断面図。
【符号の説明】
【0074】
1 油圧シリンダ
2 ロッド側油圧室
3 給排通路
6 クッション機構
7 バイパス通路
8 クッション圧力逃がし機構
10 シリンダチューブ
30 ピストンロッド
40 シリンダヘッド
41 ボルト
46 ネジ部
60 ピストン
70 リリーフバルブ
71 バルブボディ
72 弁体
77 バイパスポート
80 中継スリーブ
81 シールリング
82 バックアップリング
83 環状溝
84 環状溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の作動流体圧源から導かれる作動流体圧によって伸縮作動する流体圧シリンダであって、
筒状をしたシリンダチューブと、
このシリンダチューブ内に流体圧室を画成するピストンと、
このピストンに連結されるピストンロッドと、
前記シリンダチューブの開口端に連結され前記ピストンロッドを摺動可能に挿通させるシリンダヘッドと、
このシリンダヘッドに開口し前記作動流体圧源に連通する給排口と、
ストローク端付近で前記流体圧室から前記給排口へと流出する作動流体の流れを絞る絞り流路と、
前記流体圧室の作動流体を前記絞り流路を迂回して前記給排口へと導くバイパス通路と、
前記流体圧室に生じるクッション圧力が所定値以上に上昇するのに伴ってバイパス通路を開通させるリリーフバルブとを備え、
前記バイパス通路を前記シリンダチューブと前記シリンダヘッドとに渡って形成したことを特徴とする流体圧シリンダ。
【請求項2】
前記バイパス通路は前記シリンダチューブの中心軸方向に延びるバイパスポートを有し、
前記リリーフバルブの弁体が前記シリンダチューブの中心軸方向に移動して前記バイパスポートを開通させる構成としたことを特徴とする請求項1に記載の流体圧シリンダ。
【請求項3】
前記リリーフバルブは弁体を収容する筒状のバルブボディを有し、
このバルブボディを前記シリンダヘッドに螺合して取付け、
前記バルブボディを前記シリンダチューブの中心軸方向に延びるように配置したことを特徴とする請求項2に記載の流体圧シリンダ。
【請求項4】
前記シリンダチューブと前記シリンダヘッドとに渡って嵌合する筒状の中継スリーブを設け、
この中継スリーブの内側に前記バイパス通路を画成したことを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の流体圧シリンダ。
【請求項5】
前記中継スリーブの外周に環状溝を形成し、
この環状溝にシールリングを介装したことを特徴とする請求項4に記載の流体圧シリンダ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−287714(P2009−287714A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−142395(P2008−142395)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(000000929)カヤバ工業株式会社 (2,151)
【Fターム(参考)】