説明

流体希釈混和供給装置

【課題】 流体Aで流体Bを希釈混和することは薬液噴霧器等に使用される機構である。
その簡単な方法の一つとして一本の管を用いて、その一端より希釈する流体Aを流入させ、その管の途中の小側孔より希釈される流体Bを流入合流させ、他端より噴出させる方法がある。
しかし、その際希釈される流体Bが流入する小側孔は、口径が微小なために均一に作成することは容易でなく、問題であった。
【解決手段】一本の細管に於いて、希釈される流体Bを一端より流入させ、管の内径と長さをもたせ、流量をより容易に均一に設定可能とし、その管の他端よりに、比較的作成しやすいより大きい口径の側孔を作成し、希釈する流体Aをその側孔から流入合流させ、他端より噴出させる機構とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、噴霧器の主部品の一つとして用いる噴霧器容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の噴霧液の希釈法の一つは、図3に示すように、希釈する液である水道水(13)が流入口(16)に流入し、その流れの途中の小側孔(20)から稀釈される液である薬液(18)が微量ずつ流入合流する機構であった。従って小側孔(20)は微小であり、その口径を多数の製品に均一に作成することは容易でなかった。
また、混和管(17)は袋(14)を貫通する形になっている。
【特許文献1】 特開〔2004−129630〕の〔請求項3〕 また図4で、一種のエアゾル方式の噴霧器とも見なせる希釈する流体として気体を使用する方法では、液相部(27b)の希釈される液が小側孔(26b)から混合細管(26)に流入する機構になっており、小側孔(26b)は微小であることを要し、多数製品に均一に作成することは容易でなかった。 また、希釈する流体としての気体が流れる混合細管(26)の途中の小側孔(26b)に、液相部(27b)の液が流入合流する機構のため、管はV字状となっている。
【特許文献2】 特開〔2002−346440〕の〔請求項1〕
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこでこの発明は、図3の小側孔(20)あるいは図4の小側孔(26b)として微小側孔を製品化に際して均一に作成することは容易でなく、不均一になると意図する希釈倍率を作れず、また、単位時間内の薬液噴霧量も製品間で一定しないという問題の解決を課題とする。また、構造的により簡単な方法が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
以上の課題を解決するために第一発明は、容器(1)内に、希釈する流体A(4a)と袋(4c)内に希釈される流体B(4b)があり、袋(4c)は内外流体の混和を防ぐが圧伝達十分な柔軟性を有する。混和管(3)の噴出口(3c)は容器(1)外に、側孔(3b)部は流体A(4a)内に、流入口(3a)は流体B(4b)内に位置させる。流体A(4a)の圧力流入管(2)は、容器(1)外から流体A(4a)に開口し、使用時に流体A(4a)が圧入される。流体B(4b)は、流入口(3a)から持続的に微量流入するが、そのためには流路に大きな抵抗を要し、流入口(3a)から側孔(3b)部近くに至る流路抵抗部(3d)は、その管の内径と長さを決めることで設定し易くする。
流体A(4a)が圧力流入管(2)から容器(1)内に圧入されると、流体A(4a)は混和管(3)の側孔(3b)に流入し、同時に流体B(4b)も流入口(3a)に流入し、混和管(3)の噴出口(3c)から、流体B(4b)が流体A(4a)により希釈されて噴出する機構を特徴とする流体希釈混和供給装置。
また第二発明は、請求項1記載の流体A(4a)を水道水とし、流体B(4b)を農薬とし、圧力流入管(2)に水道を直接接続し、水道圧利用の噴霧器用薬液希釈兼供給装置として用いるところの請求項1記載の流体希釈混和供給装置。
第三発明は、請求項1記載の流体A(4a)を気体とし、流体B(4b)を液体とし、混和防止の袋(4c)を省き、流体Aの圧力流入管(2)に圧縮気体を接続し、噴霧器用気液混合装置として用いるところの請求項1記載の流体希釈混和供給装置。
また、第四発明は、請求項1記載の流体A(4a)を酸素とし、流体B(4b)を薬液とし、混和防止の袋(4c)を省き、圧力流入管(2)に圧縮酸素を接続し、医療用の噴霧器用気液混合装置として用いるところの請求項1記載の流体希釈混和供給装置。
【発明の効果】
【0005】
第一発明、または第二発明によれば、目的とする希釈倍率を得やすく、且つ数を製作した場合により均一な製品が得られる。又構造的にも簡単で製作しやすい。
【0006】
第三発明、第四発明によれば、気体と液体の一種の混和を、液体を気体で希釈すると見なせば、その希釈倍率の調節が従来より容易で、噴霧器の霧の質を調節しやすく、又数を製作した場合にもより均一な品が得られる。構造的にも単純化され、製作しやすい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0008】
実施例1、この発明の一実施形態を、図1に示す。
耐圧性の容器(1)内に、希釈する流体A(4a)として水道水と、袋(4c)内に希釈される流体B(4b)として農薬があり、袋(4c)は内外流体の混和を防ぐが圧伝達十分な柔軟性を有する。混和管(3)の一端の噴出口(3c)は容器(1)外に、側孔(3b)は流体A(4a)の水道水内に、流入口(3a)は袋(4c)内の流体B(4b)の農薬中に位置させる。流体A(4a)の水道水の圧力流入管(2)は、容器(1)外から流体A(4a)の水道水中に開口し、使用時には水道が接続され圧入される。流体B(4b)の農薬は、混和管(3)の流入口(3a)から流入するが、微量にするために、流入口(3a)から側孔(3b)部近くに至る流路抵抗部(3d)の抵抗を大きくする必要があるが、その部分の管の内径と長さで決められ、設定はより容易になされる。
流体A(4a)の水道水が圧力流入管(2)から容器(1)内に圧入されると、流体A(4a)の水道水は混和管(3)の側孔(3b)に流入し、同時に流体B(4b)の農薬も流入口(3a)に流入し、混和管(3)の容器(1)外にある噴出口(3c)から、流体B(4b)の農薬が流体A(4a)の水道水により希釈されて噴出する機構を特徴とする流体希釈混和供給装置。
従来の噴霧液の希釈法の一つは、図3に示すように水道水(13)が混和管(17)の流入口(16)に流入後、小側孔(20)から薬液(18)を流入合流させる様式であった。従って水道水の、混和管(17)中の流量に対して、薬液(18)の小側孔(20)への流入量は微量なことが必要で、微小な小側孔(20)の作成が必要である。その作成が必ずしも容易でなく、特に多数の製品を作る際に均一性が問題であった。
また、図3において、従来の流入口(16)に始まる混和管(17)は、袋(14)を貫通する形になり、やや複雑となっている。
【0009】
図1の噴出口(3c)に、図5に示す噴霧ノズル(31)を先端に付けた管の混和流体流入口(28)を接続することによって、噴霧器部品として流体希釈混和供給装置の機能を発揮する。
【0010】
図1の袋(4c)は、容器(1)の内圧を流体A(4a)の水道水と同様に受け、混和を防止できる隔壁に代えることができる。
【0011】
容器(1)は、耐圧性で、流体B(4b)の農薬の残量を知りうるために、内部を透視可能な材質とする。
【0012】
「実施形態の効果」
この実施形態によれば、図1の希釈される流体B(4b)の農薬の混和管(3)への流入量が、従来の図3の小側孔(20)のように口径で決まるのでなく、流路抵抗部(3d)の抵抗、即ちその管の内径と、長さで調整可能となり、製作がより容易、且つ製品の均一性が得られやすい。
また、図1の混和管(3)の流入口(3a)が、袋(4c)に挿入された形になり、従来の図3の混和管(3)が袋(4c)を貫通するよりも製作が容易になる。
【0013】
実施例2、この発明の一実施形態を、図2に示す。
耐圧性の容器(6)内に、気体(9a)と液体(9b)が容れられ、混和細管(8)の噴出口(8c)は容器(6)外に、側孔(8b)は気体(9a)内に、流入口(8a)は液体(9b)の最深部に位置させる。圧力気体流入管(7)は、気体(9a)に開口しており、そこに圧縮気体が流入すと、気体(9a)は側孔(8b)に流入し、同時に液体(9b)も流入口(8a)に流入し、噴出口(8c)から、気体(9a)により液体(9b)がエアゾル化し霧となり噴出する。液体(9b)が、流入口(8a)から微量ずつ流入するために、流入口(8a)から側孔(8b)部近くに至る流路抵抗部(8d)の抵抗を大きくする必要があるが、その部分の管の内径と長さで決められ、設定を容易とする。
【0014】
噴出口(8c)を狭小に、ピンホール化することにより、霧粒子はより細かくなる。
【0015】
噴出口(8c)に、長い可撓性細管を接続し、その抵抗増に見合ったより高圧の気体を圧力気体流入管(7)に送れば、長い可撓性細管の先端からでも噴霧可能である。
【0016】
「実施形態の効果」
この実施形態によれば、図2の液体(9b)の流入口(8a)への流入速度は、従来の図4の小側孔(26b)の様に口径で決まるのでなく、図2の流路抵抗部(8d)の抵抗、即ち管の内径と、長さで調整でき、製作が容易となり、製品の均一性に役立つ。
また、従来の図4、容器(24)内のV字状の混合細管(26)は、図2の混合細管(8)の如く、一本の管となり、この点でも簡略化される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の実施例1の形態を示す断面図である。
【図2】この発明の実施例2の形態を示す断面図である。
【図3】従来技術、
【特許文献1】特開〔2004−129630〕の〔請求項3〕を示す断面図である。
【図4】
従来技術、
【特許文献2】 特開〔2002−346440〕の〔請求項1〕を示す断面図である。
【図5】
この発明の実施例1に接続する付属部品の従来技術、
【特許文献1】特開〔2004−129630〕の〔請求項3〕の断面図である。
【符号の説明】
【0018】
1 容器 2 圧力流入管
3 混和管 3a 流入口
3b 側孔 3c 噴出口
3d 流路抵抗部 4a 流体A
4b 流体B 4c 袋
5 容器蓋
【0018】
6 容器 7 圧力気体流入管
8 混和細管 8a 流入口
8b 側孔 8c 噴出口
8d 流路抵抗部 9a 気体
9b 液体
【0019】
10 薬液注入口 11 容器蓋
12 容器 13 水道水
14 袋 15 水道流入管
16 流入口 17 混和管
18 薬液 19 硬性網状カバー
20 小側孔 21 混和部
22 開閉コック 23 噴霧ノズル
【0020】
24 容器 25 圧力気体流入管
26 混合細管 26a 流入口
26b 小側孔 26c 噴出口
27a 気相部 27b 液相部
【0021】
28 混和流体流入口 29 混和部
30 開閉コック 31 噴霧ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器(1)内に、希釈する流体A(4a)と袋(4c)内に希釈される流体B(4b)があり、袋(4c)は内外流体の混和を防ぐが圧伝達十分な柔軟性を有する。
混和管(3)の噴出口(3c)は容器(1)外に、側孔(3b)部は流体A(4a)内に、流入口(3a)は流体B(4b)内に位置させる。圧力流入管(2)は、容器(1)外から流体A(4a)に開口し、作動時に流体A(4a)が圧入される。流体B(4b)は、流入口(3a)から持続的に微量流入するが、そのためには流路に大きな抵抗を要し、流入口(3a)から側孔(3b)部近くに至る流路抵抗部(3d)は、その管の内径と長さを決めることで設定をより容易とする。
流体A(4a)が圧力流入管(2)から容器(1)内に圧入されると、流体A(4a)は混和管(3)の側孔(3b)に流入し、同時に流体B(4b)も流入口(3a)に流入し、混和管(3)の噴出口(3c)から、流体B(4b)が流体A(4a)により希釈されて噴出する機構を特徴とする流体希釈混和供給装置。
【請求項2】
請求項1記載の流体A(4a)を水道水とし、流体B(4b)を農薬とし、圧力流入管(2)に水道を直接接続し、水道圧利用の噴霧器用薬液希釈兼供給装置として用いるところの請求項1記載の流体希釈混和供給装置。
【請求項3】
請求項1記載の流体A(4a)を気体とし、流体B(4b)を液体とし、混和防止の袋(4c)を省き、圧力流入管(2)に圧縮気体を接続し、一種のエアゾル型噴霧器の気液混合装置として用いるところの請求項1記載の流体希釈混和供給装置。
【請求項4】
請求項1記載の流体A(4a)を酸素とし、流体B(4b)を薬液とし、混和防止の袋(4c)を省き、圧力流入管(2)に圧縮酸素を接続し、医療用の噴霧器用気液混合装置として用いるところの請求項1記載の流体希釈混和供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−55829(P2006−55829A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−272584(P2004−272584)
【出願日】平成16年8月23日(2004.8.23)
【出願人】(300069783)
【Fターム(参考)】