説明

流体流れを分割するための方法

【課題】溶解及び/又は懸濁された物質を含む、流体の流れ、特に液体の流れが、溶解及び/又は懸濁された物質の堆積物が装置に形成されることなく、化学装置において均等に分割されることができる方法を提供する。
【解決手段】1つ以上の流体の流れが、堆積物を形成する傾向を低減するように、化学装置において2つ以上の部分的な流体の流れに均一に分配される。このような流れの分割は、2つ以上の開口を有する少なくとも1つのプレートを有する分配装置を使用することによって達成され、前記開口は少なくとも一方の側において丸みづけ又は面取りされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、慣用の装置と比較して堆積物を形成する傾向が減じられた化学装置において流体の流れを2つ又は3つ以上の部分流に均等に分割する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化学技術において、頻繁に使用される化学反応装置は、反応装置内で流体の流れを均等に分配するための装置を使用する。このような装置は、しばしばインターナル(内部構造物)とも呼ばれる。
【0003】
このようなインターナルの特定の形式は、いわゆるプレートであり、特に、いわゆる分配プレートが特別な事例を成す。このような分配プレートはしばしば、例えば段塔又は熱交換機等の化学反応装置において使用される。
【0004】
このような分配プレートは慣用的に、開口が設けられた平坦な水平な面(プレート)の形式であり、開口を通って特定の流体の流れが化学装置の他の部分に進入する。開口を流過する結果、低減された流速又は再循環流を特徴とする領域が、慣用的に、幾何学的な不規則な部分において分配プレートにおいて形成される(例えば、穿孔された穴等の開口における90°の角度等)。
【0005】
開口を通って化学反応装置に進入する流体が、溶解された物質又は粒子の懸濁液を含んでいる場合、低減された流速又は再循環流を生じる領域において、これらの物質及び/又は粒子の堆積物が慣用的に形成される。この現象は一般的に知られており、例えば、H.Mueller-Steinhagen, "Heat-Exchanger Fouling-Mitigation and Cleaning Technologies", Publico Publications, pp.8-9,Essen 2000. ISBN 3-934736-00-9に記載されている。
【0006】
IN−A−192183は、段塔における液体の均等な分配を可能にすると言われる装置を開示している。その装置は、主分配装置(10)と、この主分配装置に結合された二次分配装置(11)とを特徴とし、この二次分配装置自体は、管(2)を介して実際の分配する分配プレート(4)に結合されている。液体の実際の均等な分配は、狭い間隙を残しながら分配プレート(4)の周囲に構造及び配置された案内壁部(5)に沿って、分配プレート(4)から滴下することによって行われる。装置に存在する開口の正確な幾何学的形状は開示されていない。ここで使用される参照番号は、IN−A−192183において使用されている参照番号に関連する。
【0007】
IN−A−192183に記載された装置は、分配プレート(4)と案内壁部(5)との間の狭い間隙が、液体の流れが著しく減速されかつ再循環させられることができる領域を形成するので、特に不都合である。したがって、このような装置が使用される場合、液体に溶解/懸濁された物質の堆積が生じると仮定される。装置はさらに、分配プレート(4)の縁部及び排出開口(12)のボア等の、幾何学的に不規則な多くの部位を有しており、これらの部位において、堆積物の形成が、上記の理由から極めて起こりやすい。
【0008】
独国特許出願公開第2752391号明細書は、V字形の液体出口開口を有するオーバーフローエッジ(3,6)を備えた平行なチャネルから成る、液体を均一に分配するための装置を開示している。分配される液体の量は、2つの平行なオーバーフローエッジの間の間隔(7)を調節することによって、及びV字形の液体出口開口の寸法及び数によって決定される。V字形の液体出口開口の正確な幾何学的形状、特に入射角は、開示されていない。ここで使用された参照番号は、独国特許出願公開第2752391号明細書において使用されている参照番号に関連している。
【0009】
独国特許出願公開第2752391号明細書に開示された装置は、多数の、幾何学的に不規則な部分を有している。例えば、V字形の液体出口開口のエッジと、オーバーフローエッジとは、このような幾何学的な不規則さを特徴とする。したがって、特にこのような部分において、液体速度の減少及び/又は再循環流が生じ、これにより、分配されるべき液体が、溶解された/懸濁された物質を含んでいる場合には、堆積物が形成されることが想定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】IN−A−192183
【特許文献2】独国特許出願公開第2752391号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】H.Mueller-Steinhagen, "Heat-Exchanger Fouling-Mitigation and Cleaning Technologies", Publico Publications, pp.8-9,Essen 2000. ISBN 3-934736-00-9
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
溶解及び/又は懸濁された物質を含む液体又は液体の流れの分割に関する従来の装置において生じる問題を考慮して、本発明の目的は、溶解及び/又は懸濁された物質を含む、流体の流れ、特に液体の流れが、溶解及び/又は懸濁された物質の堆積物が装置に形成されることなく、化学装置において均等に分割されることができる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的及び当業者に明らかになるその他の目的は、本明細書においてさらに詳細に記載された方法において、本明細書に詳細に記載された分配プレートを使用することによって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の方法を実施するのに適した分配装置を示す図である。
【図2】本発明の方法を実施するのに適した分配装置を示す図である。
【図3】図1に示された孔のうちの1つの断面図である。
【図4】図2に示された孔のうちの1つの断面図である。
【図5】実施例1の試験結果を表すグラフである。
【図6】試験装置(実施例2)を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、化学装置において流体の流れを2つ以上の部分流体流れに分割する方法に関し、この化学装置において、少なくとも1つの流体の流れが、2つ以上の開口3を有する少なくとも1つのプレート2を有する分配装置に通過させられる。開口3は、プレート1の少なくとも1つの側において丸み付けされている又は面取りされている。部分流体流れは引き続き開口3を流過する。
【0016】
本発明の文脈において、"流体"は、超臨界状態、臨界未満状態又は臨界状態における、あらゆる液体及び/又は気体を意味する。液体及び/又は気体の特定の状態は、流体の流れが本発明による装置を通過する前及び/又は通過した後における条件によって決定される。液体及び/又は気体の状態は発明にとって重要ではない。流体が本発明の装置を通過しながら流体の状態が変化することも可能である。
【0017】
流体は好適には液体である。最も好適には、流体は、少なくとも1つの物質が溶解及び/又は懸濁した形式で存在する液体である。
【0018】
少なくとも1つの物質が溶解及び/又は懸濁した形式で存在する液体は、本発明による方法に関連して特に有利である。なぜならば、堆積物が形成される傾向の減少が、本発明において特に顕著であるからである。
【0019】
本発明の文脈における"プレート"は、厚さDを有する平坦な形状のボディを表す。平面におけるプレートのジオメトリは本発明にとって重要ではない。しかしながら、プレートは、通常は円形のプレートである。なぜならば、プレートは通常、円筒形として概して当業者に知られる段塔又は同様の化学装置に水平に導入されるからである。平面におけるプレートの空間的な範囲が大きい場合、部分的な流体の流れが出現する側において、例えば支柱又はその他の強化手段によって、プレートが強化されることができる。
【0020】
本発明の範囲内の化学装置は、化学反応又は化学物質又は熱輸送過程が生じることができるあらゆる装置を含む。例えば、反応器、特に管状の反応器、又は熱交換器、特に管状の熱交換器、及び/又は、物質を分離するための装置、例えば段塔又はその他の適切な装置が、本発明の範囲内である。
【0021】
プレートの厚さDは、通常、プレートが、自重に耐え、かつ付加的に概してプレート上に配置された流体の重量に耐えるように選択される。プレートに使用される材料に基づいてプレートの厚さをどのように決定するかは、概して当業者に知られている。択一的に、プレートの厚さDは極めて小さく選択されていることもでき、その代わりに支柱の形式の強化手段が使用されることもできる。
【0022】
プレートは、化学装置構造において概して知られるあらゆる材料から形成されることができる。プレートは、通常、金属又はポリマ等の、機械加工(例えば穿孔又は切断)しやすい材料から形成されている。好適には、プレートは金属材料から形成されている。より好適には、プレートは鋼から形成されている。最も好適には、プレートはステンレス鋼から形成されている。
【0023】
例えば鋼又はステンレス鋼等の金属材料の使用は特に有利である。なぜならば、このような材料が特に強く、厚さDが小さく選択されることができるか、又は例えば支柱による強化手段が、概して省略されることができるからである。ステンレス鋼は、ほとんどの液体による化学的攻撃(例えば腐食)に対して安定しているので特に有利である。鋼の合金組成に基づいて、本発明による装置の特定の用途のためにステンレス鋼をどのように選択するかは当業者に概して知られている。
【0024】
本発明のために要求されるプレートを製造するために使用される特定の材料は、発明の有効性にとって重要ではない。使用される材料が丸み付けされている及び/又は面取りされていることだけが重要である。これを達成する方法は、当業者にとって、それに適していると思われるあらゆる方法であることができる。
【0025】
分配装置のプレートは好適には、装置を通過する流体の流れの主方向に対して正確に垂直に、化学反応装置に配置されている。最も好適には、プレートは正確に水平に配置されている。
【0026】
装置を通過する流体の主流れ方向に対して垂直な配置は有利である。なぜならば、分配装置の部分領域が、他よりも流体に曝されないからである。均一な分配はこれにより保証されることができる。分配されるべき流体が、化学装置を垂直方向に上から下へ又は下から上へ流れる液体である場合に、水平の配置は特に有利である。これにより、分配装置の部分領域は、他よりも流体に曝されないことが保証されることができる。
【0027】
プレートにおける開口はあらゆる幾何学的形状を有することができる。孔又はスロットの形式の開口が好適である。孔の形式の開口はより好適であり、円形の孔の形式の開口が最も好適である。
【0028】
孔及びスロットは、単純な手段、例えば穿孔及び/又は切断によってプレートに導入されることができるので有利である。その他の幾何学的形状は、製造するのがより複雑であるが、その他の点では孔及びスロットと同様に適切である。
【0029】
プレートにおける開口は、分配装置のプレート上に規則的に又は不規則に分配されていることができる。開口は好適にはプレート上に規則的に分配されている。
【0030】
規則的な配列は、流体の均一な分配がより達成されることができるので有利である。
【0031】
開口の寸法及び数は、分配されるべき流体の量によって通常は決定され、通常は、開口から出る時の流体の流れのレイノルズ数が1以下であるように選択されている。
【0032】
本発明に関連して、レイノルズ数は、Re=u・d/νとして当業者に一般的に知られている無次元指数であり、uは開口から出るときの部分流体流の速度であり、νは流体の動粘性率であり、dは、開口が円形である場合の開口の直径又は開口がスロットである場合のスロット幅又は2つの前記ジオメトリが存在しない場合の、当業者に一般的に知られた原理によって決定される開口の特徴的な長さを表している。
【0033】
プレートにおける開口の数は好適には10〜10000、最も好適には100〜5000である。
【0034】
分配装置の開口は好適には、少なくとも流体がプレートを通過するプレート2の側において、丸み付けされている又は面取りされている。
【0035】
開口は、プレート2の両側において丸み付け又は面取りされていることもできる。開口は、プレートの一方の側において面取りされており、プレートの他方の側において丸み付けされていることも同様に可能である。
【0036】
好適には、開口は、プレートの一方の側においてのみ面取り又は丸み付けされている。
【0037】
本発明に関連して、丸み付けされているとは、幾何学的な不規則さ、例えば90°の角度が、規則的なジオメトリ、例えば半円形によって置き換えられていることを意味する。
【0038】
言い換えれば、本発明の文脈における"丸み付けされている"は、開口へ進入する領域において角が形成されていないことを意味する。その代りに、(開口の外側の)プレートの平らな表面が、角を形成することなく、プレートを貫通する通路領域における開口の表面に移行している。
【0039】
本発明の文脈において、面取りされているとは、幾何学的な不規則さ、例えば90°の角度が、同様に不規則であるが、元の幾何学的不規則さと比較して、より幾何学的に規則的なジオメトリ(たとえば2つの45°の角度)に類似しているジオメトリによって置き換えられていることを意味する。
【0040】
言い換えれば、本発明に関連する"面取りされている"は、開口への進入領域において鋭い角が形成されていないことを意味する。その代りに、(開口の外側の)プレートの平らな表面が、鋭い角を形成することなく(すなわち好適には角度α,β≧60になることなく)プレートを貫通する通路領域における開口の表面に移行している。
【0041】
角度αは、プレートの平らな表面と、部分流体流れの入口側における開口の表面との間の角度であり、角度βは、プレートの平らな表面と、部分流体流れの出口側における開口の表面との間の角度である。これは図3に示されており、参照番号4は角度αを表し、参照番号5は角度βを表わしている。
【0042】
開口3を有する少なくとも1つのプレート2を有する分配装置は、好適には、プレートを貫通する通路の領域における(すなわち好適には、プレートの厚さDに対応する、開口の流過長さの30%〜70%の範囲における)流過断面が、開口への進入領域における流過断面よりも小さいということを特徴とする。
【0043】
プレートにおける開口が丸み付けされている場合は、開口は、丸み付けによって形成された部分的な円の半径Rが、プレートの厚さよりも小さくなるように丸み付けされていると好適である。
【0044】
プレートにおける開口が面取りされている場合は、開口は、角度が40°〜60°であるように面取りされていると好適である。開口は、面取り部がプレートの厚さDの半分まで延びていないように面取りされていることも好適である。
【0045】
本発明は、発明を図面に限定することなく、図面に関連してさらに詳細に説明される。
【0046】
図1は、本発明の方法を実施するのに適した分配装置を示しており、この分配装置は、円形のプレート2を有しており、プレート2には孔の形式の開口3が規則的に分配されている。
【0047】
図2は、本発明の方法を実施するのに適した分配装置を示しており、この分配装置は、円形のプレート2から形成されており、プレート2にはスロットの形式の開口3が規則的に分配されている。
【0048】
図3は、図1に示された孔3のうちの1つの断面図を示しており、開口は、両側において、角度α,βで面取りされている。参照番号4は角度αを表しており、参照番号5は角度βを表わしている。Dはプレート2の厚さを表している。
【0049】
図4は、図2に示された開口3のうちの1つの断面図を示しており、開口は、プレートの一方の側において、半径R<Dを備えるように丸み付けされている。Dはプレート2の厚さを表している。
【0050】
図5は、例1の試験結果を表すグラフである。
【0051】
図6は、試験装置(例2)を概略的に示している。
【0052】
本発明は、実施例に関連して、ただしこれらの実施例に限定されることなく、以下に詳細に説明される。
【0053】

例1
堆積及び結晶化付着物試験が実験室試験において行われた。ブチルゴム/ヘキサンが堆積付着物試験のための試験液として使用され、塩化ナトリウム水溶液が結晶化付着物試験のための試験液として使用された。試験装置は、試験液が連続的に流入する容器から形成された。容器は、垂直な壁(厚さ:2mm)のうちの1つに、様々な種類の開口を有しており、これらの開口から、試験液が再び円弧においてジェットの形式で流れた。開口は2つの円形の穴(直径:2mm)であり、第1の穴は鋭い角を備えて形成されており(円筒形である)、第2の穴は(本発明に従って)面取り部を有していた。45°の面取りが選択され、この面取りは壁厚の半分を占めていた。耐久性試験において、様々な開口における付着物が調査された。評価は、一方では、開口を有するプレートを試験の最後に取り外し、穴における堆積物を視覚的に評価することによって行われ、他方では、2つの開口から水平方向に約5cm離れて位置決めされた、向き合った壁における衝突箇所の投影範囲又は高さhを測定することによって行われた。図5におけるAは、(面取り部を備えない)鋭い角を備えた穴を表している。図5におけるBは、(面取り部を備えた)面取りされた穴を表している。視覚的評価及び測定の両方は、付着物の両方の仕組み(結晶化及び堆積付着物)に関して、排出孔の(本発明による)面取り又は(本発明による)丸み付けが、付着物に対するより低い傾向を生じることを示した。図5は、様々な時間tにおける衝突箇所の測定された高さhのグラフである。
【0054】
例2
この例において使用された、液体の流れを分割するための装置は、分配装置の孔の付着物挙動を調査するための一連のスクリーニングテストにおける平らな円形のプレートの形式であり、80℃〜220℃の温度で試験された。厚さ2mmのステンレス鋼プレートに、2つの幾何学的に異なる孔が設けられた(有効流過面の均等を保証するために、直径はそれぞれ1.4mmであった)(図6)。孔Cは単純な直線的なボアである。第2の孔Dは面取り部(45°)を備えて製造された。使用された試験液は、700〜1200kg/m3の密度と1mPas〜100mPasの範囲の粘度とを有する中間粘度液体であり、この中間粘度液体の表面張力は15〜50mN/mであった。液体は、溶解された成分を含有していた。液体は複数の分解反応が行われ、これらの分解反応のうちの幾つかは機械論的に説明されていない。極めて微細な結晶の形式の固体成分(試験の間に形成された懸濁)と、高い分子量の、不確定な塗膜形成製品(付着物)とが形成された。
【0055】
使用された流体は、保護雰囲気のもとで、加熱された回路において案内され、分配プレートは0〜300mmの液体層で被覆された。プレートを通過した流体が圧送によって再循環された量は、小孔を有するプレートにおける液体レベルを決定し、液体レベルは、静水高さによる分配装置孔を通る流出挙動又は流出速度を決定する。
【0056】
試験は有効に10日間継続し、それぞれ2日の休止があった。孔の周囲のプレートにおける塗膜におけるクレーターの寸法に基づき、流体が、面取りされた孔をより容易に流出したことを決定することが可能であった(孔の角におけるより高い流出率)。ステンレス鋼の開口を有するプレートは、試験の最後に、極めて個体の、糊状の沈殿物で被覆され、これは、高温においてさえも除去するのが困難であった。しかしながら、面取りされた孔は、直線的な孔と比較して通過可能であった。
【0057】
特に、分配装置プレートにおける低い液体レベルにおいて、相違は、異なるジオメトリの孔の2つのタイプを通る流体の流出挙動において観察されることができた。面取り部を備えた分配装置孔を通る流体の流出は、直線的な孔と比較して有利な挙動を有していた。プレートにおける極めて低い静水圧力において(10〜20mmの液体レベル)、面取りされた孔は、より小さな圧力損失(より低い応力ファクタ及びより低い圧力降下)により最初から通過可能であった。これに対して、直線的な孔は、流体の均等な流出を観察することができるために、より高いレベル(40〜50mm)を必要とした。試験は、明らかに、面取りされたジオメトリを備えた分配装置孔が、鋭い角を有する孔よりも、定常作動の間に、より優れた流出挙動を示すことを示した。
【0058】
本発明は、これまで例示のために詳細に説明されたが、このような詳細は、例示のためだけであり、請求項によって限定されることを除いて、発明の精神及び範囲から逸脱することなく変更が当業者によって行われることができることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0059】
2 プレート、 3 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学装置において流体の流れを2つ以上の部分的な流体の流れに分割するための方法において、
a)少なくとも1つの流体の流れを分配装置に通過させ、該分配装置が、(i)2つ以上の開口を有する少なくとも1つのプレートを有しており、前記開口が、部分的な流体の流れが形成されるように、プレートの少なくとも一方の側において丸み付け又は面取りされており、
b)形成された部分的な流体の流れを分配装置から流出させることを特徴とする、化学装置において流体の流れを2つ以上の部分的な流体の流れに分割するための方法。
【請求項2】
分配装置に設けられた開口が、部分的な流体の流れの入口側において丸み付け又は面取りされている、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記開口が、孔又はスロットとして形成されている、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記開口が丸み付けされており、丸み付けされることにより形成された部分的な円の半径Rが、プレートの厚さよりも小さい、請求項3記載の方法。
【請求項5】
プレートの平らな表面と、プレートを貫通する通路の近傍の開口の表面における面取りされた側との間の角度が、40°〜60°である、請求項4記載の方法。
【請求項6】
開口が面取りされており、該面取り部が、プレートの厚さの半分までは延びていない、請求項5記載の方法。
【請求項7】
部分的な流体の流れが、開口から流出する際に、≦1のレイノルズ数を備えて流れる、請求項5記載の方法。
【請求項8】
開口が、孔又はスロットとして形成されている、請求項1記載の方法。
【請求項9】
開口が、丸みづけされており、このように形成された部分円の半径Rがプレートの厚さよりも小さい、請求項1記載の方法。
【請求項10】
プレートの平らな表面と、プレートを貫通する通路の近郷の開口表面との間の角度が、40°〜60°である、請求項1記載の方法。
【請求項11】
開口が面取りされており、面取り部が、プレートの厚さの半分までは延びていない、請求項1記載の方法。
【請求項12】
部分的な流体の流れが、開口から流出する際に、≦1のレイノルズ数を備えて流れる、請求項1記載の方法。
【請求項13】
流体の流れを2つ以上の均一な流体の流れの部分に分割する、化学装置のための分配装置において、少なくとも2つの開口を有する少なくとも1つのプレートが設けられており、前記開口が、少なくともプレートの一方の側において丸みづけ又は面取りされていることを特徴とする、化学装置のための分配装置。
【請求項14】
丸みづけ又は面取りされた開口が、流体の流れが分配装置に導入されるプレートの側において丸みづけ又は面取りされている、請求項13記載の装置。
【請求項15】
プレートに設けられた開口が、孔又はスロットとして形成されている、請求項13記載の装置。
【請求項16】
開口が丸みづけられており、丸みづけされた開口の半径がプレートの厚さよりも小さい、請求項13記載の装置。
【請求項17】
開口が面取りされており、プレートの表面と各開口との間に、40〜60°の角度が形成されている、請求項13記載の装置。
【請求項18】
開口が面取りされており、各開口の面取り部が、プレートの厚さの半分よりも大きな距離まで延びていない、請求項13記載の装置。
【請求項19】
部分的な流体の流れが、開口から流出する場合に、1よりも大きくないレイノルズ数を備えて流れる、請求項13記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−51959(P2010−51959A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−196203(P2009−196203)
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(504213548)バイエル マテリアルサイエンス アクチエンゲゼルシャフト (54)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【住所又は居所原語表記】D−51368 Leverkusen, Germany
【Fターム(参考)】