説明

流体混合器及び流体混合装置

【課題】屈曲部を有する流体混合器の内部に導入される流体の速度が低下することを防ぎ、混合器内部で生じる負圧効果により、処理(混合)効率の高い流体混合器及び流体混合装置を提供することにある。
【解決手段】異なる種類の流体を混合させる流体混合器1において、前記流体混合器1は、異なる流体を混合させる混合部11を内設し、屈曲部41を有する管部材2と、前記管部材2の内部に流体を導入するためのノズル部材3と、を有し、前記ノズル部材3は前記屈曲部41に設けられ、このノズル部材の先端13が、前記混合部11に延びるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる流体を混合するための流体混合器に関する。詳しくは、産業排水、上下水、個沼、河川、地下水等の水処理や、気体中の異種物質の除去・回収・吸収、及び生物反応装置(バイオリアクター)などに用いられる流体混合器に関する。また、本発明は、流体混合器を用いた流体混合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の流体混合器では、異なる位置に形成された導入部から導入された異なる種類の流体を、混合器内部に設けられた混合部で、混合、攪拌、接触させる処理が行われる。このような処理の効率を上げるために、混合器内部に導入される流体の流速を大きくして、混合器内部の負圧効果を高めることにより、異なる種類の流体が混合する割合を増加させて、流体混合器の処理(混合)効率を高めることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平10−85721号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、流体混合器を使用する装置、例えば下水処理装置の構造の制約等から、屈曲した形状を有する流体混合器が求められる場合がある。しかし、屈曲した形状を有する流体混合器を使用する場合には、流体混合器の導入部から導入された流体の流れる向きと、他の導入部から導入された流体の流れる向きとが直交する場合がある。このような場合には、混合器内部で流体同士が衝突して流体の速度が小さくなり、混合器内部で生じる負圧効果が低くなる。このため、混合器内部で異なる種類の流体が混合する割合が減少し、流体混合器の処理(混合)効率が低下するという問題が生じる。
【0005】
本発明の目的は、上記のような問題点を考慮し、屈曲部を有する流体混合器の内部において、導入された流体の速度が低下することを防ぎ、処理(混合)効率の高い流体混合器及び流体混合装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記のような目的を達成するためになされたものであり、この目的は、下記(1)〜(8)の発明によって達成される。
【0007】
(1)異なる種類の流体を混合させる流体混合器であって、
前記流体混合器は、
異なる流体を混合させる混合部を内設し、屈曲部を有する管部材と、
前記管部材の内部に流体を導入するためのノズル部材と、を有し、
前記ノズル部材は前記屈曲部に設けられ、このノズル部材の先端が、前記混合部に延びるように形成されていること
を特徴とする流体混合器。
【0008】
(2)前記ノズル部材の内部には、流体の流れを変動させる変動部が設けられていること
を特徴とする上記(1)に記載の流体混合器。
【0009】
(3)前記変動部は、前記ノズル部材の内周面に設けられた螺旋状の羽根体により構成されていること
を特徴とする上記(2)に記載の流体混合器。
【0010】
(4)前記螺旋状の羽根体は複数であること
を特徴とする上記(3)に記載の流体混合器。
【0011】
(5)前記複数の羽根体は、前記ノズル部材の内周面に沿って等間隔で設けられていること
を特徴とする上記(4)に記載の流体混合器。
【0012】
(6)前記管部材の一端部には、フランジが設けられていること
を特徴とする上記(1)に記載の流体混合器。
【0013】
(7)異なる種類の流体を混合させる流体混合器と、前記流体混合器に流体を供給する第1の供給部と、前記流体混合器に前記流体と異なる種類の流体を供給する第2の供給部と、を備えた流体混合装置であって、
前記流体混合器は、
異なる流体を混合させる混合部を内設し、屈曲部を有する管部材と、
前記管部材の内部に流体を導入するためのノズル部材と、を有し、
前記ノズル部材は前記屈曲部に設けられ、このノズル部材の先端が、前記混合部に延びるように形成されていること
を特徴とする流体混合装置。
【0014】
(8)前記ノズル部材の内部には、流体の流れを変動させる変動部が設けられていること
を特徴とする上記(7)に記載の流体混合装置。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る流体混合器によれば、屈曲している管部材の内部において、ノズル部材を介して流体を導入するので、ノズル管を流れる流体は、混合器内に導入された他の流体と衝突することがない。したがって、流体混合器の内部を流れる流体の速度は低下しないため、混合器内部の負圧効果を高く維持することができ、流体混合器の処理(混合)効率を高くすることができる。
【0016】
本発明に係る流体混合装置によれば、使用する流体混合器は、屈曲している管部材の内部において、ノズル部材を介して流体を導入するので、ノズル管を流れる流体は、混合器内に導入された他の流体と衝突することがない。したがって、流体混合器の内部を流れる流体の速度は低下しないため、混合器内部の負圧効果を高く維持することができ、流体混合器の処理(混合)効率を高くし、流体混合装置の処理(混合)効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る流体混合器を実施するための一実施の形態について、図面を参照して説明するが、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0018】
図1は、本発明の一実施の形態に係る流体混合器1の概略構成図を示したものである。
図1に示すように、本実施の形態に係る流体混合器1は、通路管2a及び通路管2bと、通路管2aと通路管2bを結合する結合部材4と、を備えている。
【0019】
通路管2aは、内部に流体の流路を有する円筒状部材で構成されている。通路管2aの上端側には、通路管の内部を通った流体を外部へ排出するための排出口8が形成されている。
【0020】
通路管2bは、内部に流体の流路を有する円筒状部材で構成されている。通路管2bの一端側の外周部には、螺子部6が形成されており、例えば、外部から流体混合器に気体を供給する気体供給管に形成された螺子穴に、螺子部6を螺着することにより、気体供給管と通路管2bとを連通させる構成になっている。通路管2bの一端側には、流体を流体混合器1の内部に導入するための導入口7が設けられている。
【0021】
結合部材4は、内部に流体の流路を有する円筒状部材を屈曲させることにより構成されている。屈曲部41は、結合部材4の外郭の内側を略90度の角度で屈曲させ、結合部材4の外郭の外側を曲線状に湾曲させることにより構成される。また、結合部材4を構成する円筒状部材の内径は、通路管2a、2bを構成する円筒状部材の外径よりも大きくなるように構成されており、結合部材4の両端部には、通路管2a、2bを挿入し係合するための係合部4a、4bがそれぞれ形成されている。すなわち、通路管2a、2b及び結合部材4により、流体混合器1の管部材が構成されており、この管部材に屈曲部41が形成されている。
【0022】
屈曲部41には、流体を流体混合器の内部に導入するための導入孔5が形成されている。後述するように、この導入孔5には、通路管2aの中心軸に沿って伸びるノズル部材3が連接されている。
【0023】
流体混合器1は、通路管2aの下端側を、結合部材4の係合部4aに挿入して固定するとともに、通路管2bの他端側を、結合部材4の係合部4bに挿入して固定することによって組み立てられる。
【0024】
図2は、本発明の実施の形態に係る流体混合器1の概略断面斜視図である。
図2において、図1と対応する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0025】
通路管2aの内部には、羽根体10a、10bからなる混合部11が形成されている。羽根体10aは左捻り螺旋形状を有し、他の羽根体10bは、右捻り螺旋形状を有するように形成されている。すなわち、羽根体10a、10bは、互いに螺旋の向きが異なるように構成されている。
【0026】
羽根体10a、10bは、通路管2aの内周面に設けられており、通路管2a内において、互いの高さが異なるような位置に設けられている。また、羽根体10aと対称となる位置には、図示しない左捻りの螺旋形状を有する羽根体が設けられており、同様に、羽根体10bと対称の位置には、右捻りの螺旋形状を有する羽根体が設けられている。また、羽根体同士の間には、通路管2aの中心軸に沿うように流体が流れる通路が形成されている。
【0027】
混合部11に流入した流体は、混合部に設けられた羽根体10a、10bによって、流線が乱されて渦流となり、同時に羽根体によってせん断されて微細化される。このように混合部では、流体の混合、攪拌、接触が行われる。
【0028】
なお、本実施の形態では、通路管2a内に設けられている羽根体10の組み合わせは、左捻りと右捻りの2組だが、これに限定されることはなく、左捻り羽根体10aの上方に、別途右捻り羽根体を設置して、右捻り、左捻り、右捻りの3組としてもよい。また、これらの組数に限定されることなく、4組以上の組み合わせで構成することも可能である。
【0029】
また、混合部11を構成する部材の形状は、羽根体に限定されるものではなく、例えば、複数の凸状の部材を、通路管2の内周面に設けるような構成にしてもよい。
【0030】
さらに、混合部を形成する羽根体を通路管2bの内周面に設けるように構成してもよい。
【0031】
導入孔5には、ノズル管3が結合部材4の内部に位置するように、溶着によって連接されている。ノズル管3は、通路管2aの中心軸上に沿って伸びるように形成されており、ノズル管3の中心軸は、通路管2aの中心軸と同軸になるように構成されている。また、ノズル管3の上端部は、羽根体10bの近傍付近にまで伸びるように形成されている。すなわち、ノズル管3の上端側に設けられた放出口13が、混合部11の近傍に位置するように構成されている。
【0032】
このように、ノズル管3の放出口13と羽根体10bの下端部との間には、所定のスペースが形成されるように構成されている。このスペースにより、ノズル管3の放出口13から放出される流体(例えば気体)と、導入口7から導入された他の種類の流体(例えば液体)とを混合することができる。
【0033】
本実施の形態の流体混合器1では、通路管2bの導入口7から導入された流体は、通路管2bの流路を通って、結合部材4の屈曲部41の内面に衝突して向きを変えて、通路管2aの内周面に設けられた混合部11に向かって流入する。一方、導入孔5から導入された流体は、ノズル管3を通り、放出口13から放出されて混合部11に向かって流入する。このとき、ノズル管3の放出口13と混合部11との間の空間において、導入口7から導入された流体と、導入孔5から導入された流体とが、流れにより生じた負圧効果によって混合される。この混合された異なる種類の流体は、混合部11に流入し、さらに混合、攪拌、接触等の処理が進行する。
【0034】
また、流体混合器1の内部では、ノズル管3が混合部11の近傍付近にまで延びるように形成されているので、ノズル管3の内部で流れる流体の距離を長くすることができる。これにより、ノズル管3の放出口13から放出される流体の速度を大きくして、混合器内部の負圧効果をより高くすることができ、さらに処理(混合)効率を高めることができる。
【0035】
本実施形態の流体混合器1によれば、導入孔5から導入された流体は、ノズル管3の内部を通流するため、導入口7から導入された流体と衝突することなく、放出口13から放出される。すなわち、導入孔5から導入された流体は、速度が大きい状態で放出されるので、この流体により生じる負圧効果を高くすることができる。また、導入口7から導入された流体も、導入孔5から導入される流体と衝突することがないので、流体の速度が低下することがなく、負圧効果を高い状態にすることができる。したがって、流体混合器1内において、負圧効果が高い状態で、異なる種類の流体を効率よく混合することができるので、流体混合器1の混合効率を高くすることができる。
【0036】
図3は、他の実施の形態に係る流体混合器の概略断面斜視図である。
図3において、図2と対応する部分には同一の符号を付してその説明を省略する
【0037】
図3に示すように、ノズル管3の先端側の内部には、螺旋形状を有する羽根体12が設けられており、変動部が形成されている。
【0038】
一般に、ノズル3の先端部分と混合部11との距離が短くなると、混合部11に流入される前に、ノズル3から導入された流体と、導入口7から導入された流体とが、混合、接触する距離が短くなり、混合部11における混合、攪拌、接触等の処理の効率が低下するという問題がある。
【0039】
本実施形態の流体混合器では、導入孔5からノズル管3の内部に導入された流体は、羽根体12に衝突することにより、せん断されて流れの向きが変化する。これにより、放出口13から放出された流体は乱流となって、他の流体と混合し易い状態となる。このため、本実施形態の流体混合器によれば、ノズル管3の放出口13と通路管2aに設けられた混合部11との距離が短い場合であっても、異なる種類の流体を効率よく混合させることができる。
【0040】
なお、羽根体12の螺旋形状は、羽根体12の放出口13側の端縁部12aと、羽根体の導入孔5側の端縁部12bとを、約90度の角度で交差させることにより構成されている。
【0041】
本実施形態の羽根体12は、左捻りの螺旋形状を有しており、ノズル管3の内周面に設けられている。羽根体12の対称位置には、図示しない左捻りの羽根体が設けられおり、羽根体12の間には、後述するように、ノズル管3の中心軸に沿うように流体が流れる流体通路である開孔部16が形成されている。なお、この流体経路は、通路管2aの羽根体10間に形成された流体通路と同軸上に位置するように配置されている。
【0042】
また、本実施の形態では、ノズル管3内の羽根体12の螺旋の回転方向若しくは捻り方向の向きを左捻りとし、その上部に位置する通路管2a内の羽根体10bの螺旋の向きが右捻り、羽根体10aの螺旋の向きが左捻りとなる構成にする。このように、流体混合器1内部に設けられた羽根体の螺旋の向きを、流体の流れる向きに沿って交互に異なるように構成することにより、ノズル管3の導入孔5から流入した流体の流れる向きが交互に変動し、混合器内の流体の混合効率を高めることができる。なお、羽根体の螺旋の向きは、交互に異なっていればよく、ノズル管3内の羽根体12の螺旋の向きが右捻りの場合には、羽根体10bの螺旋が左捻り、羽根体10aの螺旋が右捻りとなるように構成する。また、さらに流体の流れを変動させて混合効率を向上させるために、羽根体10、12に複数の貫通孔を形成するようにしてもよい。
【0043】
図4は、他の実施の形態に係る流体混合器の概略断面斜視図である。
図4において、図2と対応する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0044】
図4に示すように、通路管2aには、内周面に沿うように凸部2cが形成されている。凸部2cは、ノズル管3の放出口13に対応する位置に形成されている。本実施形態の流体混合器1では、凸部2cを設けることによって通路管2aの縦断面形状を変化させて、ノズル管3の放出口13と混合部11との間にできる空間部58の体積を変化させる。したがって、本実施形態の流体混合器1によれば、導入口7から導入された流体の速度を速くすることができ、空間部58において、導入口7から導入された流体と放出口13から放出された流体との混合効率を向上させることができる。なお、本実施の形態では、通路管2aに凸部2cを形成したが、空間部58の体積を変化させるものであればこれに限定されるものではなく、例えば、ノズル管3の外周に沿って凸部を設けるような構成としてもよい。
【0045】
また、通路管2aの内部に凸部を設けるかわりに、空間部58にエゼクターを配置することによって流体の流速を変化させて、混合効率を向上させるようにしてもよい。なお、エゼクターとは、抽気器、排出器とよばれる可動部のない簡単な装置をいう。
【0046】
図5(a)は、本発明の他の実施の形態に係るノズル管を導入孔5側から見た場合の平面図である。
図5(a)に示すように、ノズル管3に設けられた羽根体12は2枚で構成されている。羽根体12の導入口側端縁部12bは分離しており、ノズル管3の軸心方向に沿って、流体通路である開孔部16が形成されている。各羽根体12の捻り角度は約90度であり、ノズル管3の内周面に沿って互いに対称となる位置に設けられている。また、羽根体12と羽根体12の間には、内周方向に沿って2箇所の流体通路15が形成されており、この流体通路15と開孔部16とは、連通するように構成されている。導入孔5からノズル管3内に導入された流体は、羽根体12に衝突してせん断され、矢印に示すように羽根体の捻り部分に沿って流れる。すなわち、導入孔5からノズル管3内に導入された流体は、流れが変動した状態で、流体通路15及び開孔部16を通って、放出口13から流体混合器1の内部(混合部11)に放出される。
【0047】
図5(b)は、他の実施の形態に係るノズル管を導入孔5側から見た場合の平面図である。
図5(b)に示すように、ノズル管3に設けられた羽根体12は1枚で構成されている。導入孔5側端縁部の羽根体端部12bは、ノズル管3の直径方向に一体形成されている。羽根体12の捻り角度は約90度であり、ノズル管の内周方向に沿って、2箇所の流体通路15が形成されている。導入孔5からノズル管3内に導入された流体は、羽根体12により流れを変動させられた状態で、流体通路15を通って、放出口13から流体混合器1の内部(混合部11)に放出される。
【0048】
図5(c)は、他の実施の形態に係るノズル管を導入孔5側から見た場合の平面図である。
図5(c)に示すように、ノズル管3に設けられた羽根体12は3枚で構成されている。各羽根体12の導入孔5側端縁部12bは分離しており、ノズル管3の軸心方向に沿って、流体通路である開孔部16が形成されている。各羽根体12の捻り角度は約60度であり、ノズル管3の内周面に沿って、互いに等間隔となるように設けられている。また、各羽根体12の間には、内周方向に沿って3箇所の流体通路15が形成されており、この流体経路15と開孔部16とは、連通するように構成されている。導入孔5からノズル管3内に導入された流体は、羽根体12により流れを変動させられた状態で、流体通路15及び開孔部16を通って、放出口13から流体混合器1の内部(混合部11)に放出される。
【0049】
なお、羽根体12は、ノズル管3と一体となるように成型してもよいし、ノズル管3を成型した後、別途内周面に接合するようにしてもよい。羽根体12とノズル管3を一体成型する場合、羽根体の捻り角度は、60度若しくは90度となるように成形される。また、羽根体12をノズル管3に接合する場合、羽根体の枚数は任意とすることができ、羽根体の捻り角度は、例えば、30度、45度、60度、90度、120度、180度となるように形成することができる。
【0050】
また、本実施形態の流体混合器1では、ノズル管3の内部に変動部12を設けているので、ノズル管3を通って混合器1の内部に導入される流体の流線を乱し変動させて、過流とする。これにより、他の種類の流体と混合しやすい状態にすることができる。これにより、ノズル管3の放出口13と混合部11との間の空間において、気体・液体等の異なる種類の流体を効率よく混合させることができるので、流体混合器1の混合効率を高めることができる。
【0051】
なお、本実施形態の流体混合器1は、通常は合成樹脂材料を用いて構成されているが、スチール、アルミ、ステレンス等の金属材料で形成することも可能である。
【0052】
図6は、本発明の一実施の形態に係るフランジを取り付けた流体混合器1の概略断面斜視図である。
【0053】
図6に示すように、フランジ17は、中心に貫通孔19が形成された円盤状の底面部17aと、貫通孔19に沿うようして底面部17aに連設された円筒状の保持部17bとから構成されている。保持部17bの内周部には、例えば雌螺子溝が形成されており、この螺子溝を通路管2bの螺子部6(雄螺子溝)と係合させることにより、フランジ17が通路管2bに取り付けられる。なお、フランジ17を通路管2bに取り付ける際には、通路管2bの先端をフランジ17の貫通孔19に挿入して、接着剤で固定するようにしてもよい。
【0054】
底面部17aには、複数のボルト孔18が形成されている。
流体混合器1を、例えば外部から流体混合器に気体を供給する気体供給管に取り付ける際には、この複数のボルト孔18を、気体供給管の端部に設けられたフランジに形成されたボルト孔に合致させて、ボルトをボルト孔に挿入して先端をナットで締め付け固定することにより取り付ける。
【0055】
本実施形態の流体混合器1によれば、流体混合器をフランジ17を介して気体供給管に固定することができるので、混合器の内部に流体を導入する際に生じる応力変化等により、流体混合器が気体供給管から外れてしまうことを防止し、安定性を向上させることができる。
【0056】
図7は、本発明に係る流体混合器を適用した活性汚泥の曝気処理を行う流体混合装置を示すブロック図である。
【0057】
本実施形態の流体混合装置20においては、流体である原水が貯留された第2の供給部としての曝気槽21内の底部に、2個の流体混合器1を並列に配置する。このとき、流体混合器1は、排出口8が上向きになるように配置される。
【0058】
曝気槽21の上方には、流体混合器1の導入口7に、原水とは異なる流体である圧縮ガスを供給する第1の供給部である供給源と、供給源に接続されたガス供給配管23が設けられており、配管23にはブロワー22が介装されている。また、曝気槽21の上部には、曝気槽21に原水を供給する原水供給配管24及び曝気槽21内からの処理水を排出する処理水排出配管25が設けられている。
【0059】
また、ガス供給配管23には、螺子穴が形成されており、この螺子穴に流体混合器1の通路管2bに形成された螺子部6を螺着することにより、ガス供給配管23と通路管2bとが連通する構成になっている。なお、ガス供給配管23の端部に設けたフランジと、流体混合器に設けたフランジとを合致させて、ガス供給配管に流体混合器を取り付けるようにしてもよい。
【0060】
また、ブロワー22を使用せずに、圧力ボンベにより、酸素(O)等の圧縮ガスを供給するようにしてもよい。
【0061】
なお、曝気槽21に配置する流体混合器1の数は、本実施形態のように2個に限られるものではなく、例えば、1個若しくは3個以上の流体混合器を配置してもよい。
【0062】
次に、このように構成された流体混合装置20の動作について説明する。
まず、ブロワー22によって、供給配管23を通じて流体である圧縮ガスが供給されて、導入口7から流体混合器1内に供給される。このとき、供給された圧縮ガスの負圧効果により、圧縮ガスと異なる流体である曝気槽21内の原水が、導入孔5からノズル管3を通じて流体混合器1の内部に導入される。流体混合器1の内部では、原水と圧縮ガスとが、混合部11において混合、攪拌されて、圧縮ガス中のガスが原水中に溶解する。これにより、原水は、好気性微生物により回分又は連続的に浄化処理される。その後、原水は、処理水として処理水排出配管24から曝気槽21の外へ排出される。
【0063】
本実施形態の流体混合装置20によれば、流体混合器1の内部において、排出口7から導入された圧縮ガスが、ノズル管3を流れる導入孔5から導入された原水と衝突することがないため、流体の速度が低下することがないので、流体混合器の内部の負圧効果を高い状態に保つことができ、攪拌、混合しやすい状態にすることができる。
【0064】
また、導入孔5から導入された原水は、ノズル管3の変動部12によってせん断等されて流れが変動し、圧縮ガスと攪拌、混合しやすい状態になっている。このため、本実施形態の流体混交装置20によれば、ノズル管3の放出口13側端部と混合部11との間の空間で、原水と圧縮ガスを十分に攪拌、混合することができ、流体混合装置の処理(混合)効率を高めることができる。
【0065】
図8は、本発明に係る流体混合器を適用した流体混合装置を示すブロック図である。
【0066】
本実施形態においては、流体混合器1を、その長手方向を鉛直にして密閉された反応槽31内に配置する。このとき、流体混合器1は、排出口8が下方を向くように配置される。この場合に、反応槽31の上部には、空間である導入部31aが設けられ、反応槽31の下部には、液体が溜まる貯留部31bが設けられている。
【0067】
反応槽31の上部の導入部31aには、液体の供給源に接続された配管32が接続されており、配管32には流量調節弁34が介装されている。また、導入部31aには、気体の供給源に接続された配管33が接続されており、この配管33には流量調節弁35が介装されている。これらの液体供給源及び気体供給源からは、夫々液体及び気体が、第2の供給部である反応槽31内に圧送されてくる。反応槽31の内部には、液体と気体が混在した状態の混合流体が存在する。
【0068】
一方、反応槽の下部の貯留部31bには、配管36が接続されており、反応槽下部に貯留された流体である液体は、配管36を介して反応槽外に排出されるようになっている。
【0069】
そして、この配管36は反応槽上部の空間に設置された流体混合器1の通路管2bに接続されており、反応槽底部から排出された液体が、配管36を介して通路管2bの導入口7に供給される。なお、配管36には、螺子穴が形成されており、この螺子穴に流体混合器1の通路管2bに形成された螺子部6を螺着することにより、配管36と通路管2bが連通する構成になっている。なお、配管36の端部に設けたフランジと、流体混合器1に設けたフランジとを合致させて、配管に流体混合器を取り付けるようにしてもよい。
【0070】
このようにして、反応槽31内の液体は、配管36を介して再度反応槽内に戻され、反応槽内の流体混合器1に循環供給される。配管36にはポンプ38が介装されており、更に、流量調節弁37が介装されることで、液体を供給する第1の供給部が構成されている。また、配管36の途中には、その流量調節弁37の上流側から配管40が分岐されており、この配管40には開閉弁39が介装されている。
【0071】
次に、このように構成された流体混合装置30の動作について説明する。
先ず、弁39を閉、弁37を開にすると共に、弁34及び35を所定角度に開いて、配管32を介して液体及び気体を所定の割合で、反応槽31内に圧送する。圧送された液体及び気体は、反応槽31内で撹拌混合され、気体と液体とが十分に接触して、気体が液体に溶解し、曝気され又は反応が進行する。
【0072】
そして、反応槽31内に貯留された液体は、ポンプ38により反応槽31の上部に設置された流体混合器1の通路管2bまで供給される。そうすると、導入孔5から導入された配管32及び33から供給された液体及び気体からなる混合流体と、通路管2bの導入口7から導入された液体とが、流体混合器1の内部で混合される。
【0073】
その後、混合接触処理後の流体は、弁37を閉にした後、弁39を開にして、反応槽31から配管40を介して排出する。
【0074】
本実施形態の流体混合装置30によれば、流体混合器1の内部において、排出口7から導入された貯留部31bの液体が、ノズル管3を流れる導入孔5から導入された混合流体と衝突することがないため、流体の速度が低下することがないので、流体混合器の内部の負圧効果を高い状態に保つことができ、攪拌、混合しやすい状態にすることができる。
【0075】
また、ノズル管3に導入された導入部31aの混合流体は、変動部12によりせん断等されて、流れが変動する。これにより、ノズル管3の放出口13端部と混合部11と間の空間で、排出口7から導入された液体と導入孔5から導入された混合流体とを十分に、溶解、曝気又は反応させることができるので、流体混合装置の処理(混合)効率を向上させることができる。
【0076】
なお、反応槽31に配置される流体混合器1の数は、本実施形態のように1個に限られるものではなく、複数の流体混合器を並列に配置するようにしてもよい。
【0077】
図9は、本発明に係る流体混合器を適用した湖水等の曝気処理を行う流体混合装置を示すブロック図である。
【0078】
図9に示すように、本実施形態の流体混合装置50においては、流体である原水(例えば湖水)が貯留された曝気槽51の上方に、流体混合器1を、排出口8が下向きとなるように設置する。
【0079】
曝気槽51の上部には、曝気槽51に原水を供給する原水供給配管54が設けられている。なお、このような原水供給配管を設けずに、流体混合器を直接、沼、湖等に設置するようにしてもよい。
【0080】
反応槽51の貯留部52には、配管56が接続されており、配管56には、ポンプ57が介装されている。配管56は、曝気槽51の上方に配設された流体混合器1の導入口7に接続されており、貯留部52から排出された原水が、配管56を介して流体混合器1の通路管2に供給される。
【0081】
また、配管56には、螺子穴が形成されており、この螺子穴に流体混合器1の通路管2bに形成された螺子部6を螺着することにより、配管56と通路管2とが連通する構成になっている。
【0082】
次に、このように構成された流体混合装置50の動作について説明する。
曝気槽51内に貯留された原水は、ポンプ57により曝気槽51の上部に設置された流体混合器1の導入口7に供給される。このとき、流体混合器1の内部で生じる負圧効果により、導入孔5から流体である空気が導入されて、導入口7から導入された原水と、流体混合器1の内部(混合部)で混合される。
【0083】
このとき、流体混合器1の混合部11では、十分に攪拌混合が行われ、空気が原水に十分に溶解されて、溶存酸素の富化が行われる。この溶存酸素の富化により、例えば湖水中において、嫌気性微生物による硫化水素(HS)の発生を防止することができる。
【0084】
本実施形態の流体混合装置50によれば、流体混合器1の内部において、排出口7から導入された貯留部52の液体が、ノズル管3を流れる導入孔5から導入された空気と衝突することがないため、流体の速度が低下することがない。このため、流体混合器の内部の負圧効果を高い状態に保つことができ、攪拌、混合しやすい状態にすることができる。
【0085】
また、ノズル管3に導入された空気は、変動部12によりせん断等されて、流れが変動する。これにより、ノズル管3の放出口13端部と混合部11と間の空間で、排出口7から導入された原水と導入孔5から導入された空気とを十分に、溶解、曝気又は反応させることができるので、流体混合装置の処理(混合)効率を向上させることができる。
【0086】
また、本実施形態の流体混合器1は、屈曲部41を有しているため、内部を流れる流体のエネルギーを低下させることなく、導入口7から導入される流体の向きと、排出口8から排出される流体の向きを、異ならせることができる。これにより、流体混合装置の内部で複雑な配管を設けることなく、排出口8から排出される流体の向きを任意の方向とすることができる。
【0087】
なお、反応槽51に配置される流体混合器1の数は、本実施形態のように1個に限られるものではなく、複数の流体混合器を並列に配置するようにしてもよい。
【0088】
また、本発明の流体混合器及び流体混合装置は、上述の各形態に限定されるものではなく、その他材料、構成等において本発明の構成を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能であることはいうまでもない。特に、異なる種類の流体とは、液体、気体、粉流体などの種類が異なる場合だけではなく、例えば、液体同士であっても性質が異なるような場合は含まれるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の一実施の形態に係る流体混合器の概略構成図を示したものである。
【図2】本発明の実施の形態に係る流体混合器の概略断面斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る流体混合器の概略断面斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る流体混合器の概略断面斜視図である。
【図5】本発明の複数の実施の形態に係るノズル管を導入孔側から見た場合の平面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る流体混合器の概略断面斜視図である。
【図7】本発明に係る流体混合器を適用した活性汚泥の曝気処理を行う流体混合装置を示すブロック図である。
【図8】本発明の一実施の形態に係る流体混合装置のブロック図である。
【図9】本発明に係る流体混合器を適用した湖水等の曝気処理を行う流体混合装置を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0090】
1・・流体混合器、2a、2b・・通路管、2c・・凸部、3・・ノズル管、4・・結合部材、4a、4b・・係合部、41・・屈曲部、5・・導入孔、6・・螺子部、7・・導入口、8・・排出口、9・・ナット部、10a、10b・・羽根体、11・・混合部、12・・羽根体(変動部)、13・・放出口、14・・挿入孔、15・・流体通路、16・・開孔部、17・・フランジ、18・・ボルト孔、19・・貫通孔、20・・流体混合装置、21・・曝気槽、22・・ブロワー、23,24,25・・配管、30・・流体混合装置、31・・反応槽、31a・・導入部、31b・・貯留槽、32,33,36,40、54,56・・配管、34,35,37,39・・調整弁、38・・循環ポンプ、41・・屈曲部、50・・流体混合装置、51・・曝気槽、57・・ポンプ、58・・空間部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる種類の流体を混合させる流体混合器であって、
前記流体混合器は、
異なる流体を混合させる混合部を内設し、屈曲部を有する管部材と、
前記管部材の内部に流体を導入するためのノズル部材と、を有し、
前記ノズル部材は前記屈曲部に設けられ、このノズル部材の先端が、前記混合部に延びるように形成されていること
を特徴とする流体混合器。
【請求項2】
前記ノズル部材の内部には、流体の流れを変動させる変動部が設けられていること
を特徴とする請求項1に記載の流体混合器。
【請求項3】
前記変動部は、前記ノズル部材の内周面に設けられた螺旋状の羽根体により構成されていること
を特徴とする請求項2に記載の流体混合器。
【請求項4】
前記螺旋状の羽根体は複数であること
を特徴とする請求項3に記載の流体混合器。
【請求項5】
前記複数の羽根体は、前記ノズル部材の内周面に沿って等間隔で設けられていること
を特徴とする請求項4に記載の流体混合器。
【請求項6】
前記管部材の一端部には、フランジが設けられていること
を特徴とする請求項1に記載の流体混合器。
【請求項7】
異なる種類の流体を混合させる流体混合器と、前記流体混合器に流体を供給する第1の供給部と、前記流体混合器に前記流体と異なる種類の流体を供給する第2の供給部と、を備えた流体混合装置であって、
前記流体混合器は、
異なる流体を混合させる混合部を内設し、屈曲部を有する管部材と、
前記管部材の内部に流体を導入するためのノズル部材と、を有し、
前記ノズル部材は前記屈曲部に設けられ、このノズル部材の先端が、前記混合部に延びるように形成されていること
を特徴とする流体混合装置。
【請求項8】
前記ノズル部材の内部には、流体の流れを変動させる変動部が設けられていること
を特徴とする請求項7に記載の流体混合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−93515(P2008−93515A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−275289(P2006−275289)
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【出願人】(502432637)株式会社アネモス (14)
【Fターム(参考)】