説明

流体潅流および/または陰圧閉鎖創傷療法のための、親水性フォーム状創傷挿入材を用いた漏出防止包帯システムおよび方法

たとえば陰圧閉鎖および/または流体設置(fluid−installation)創傷療法のための、(たとえば、親水性創傷挿入材を有する)創傷治療システムと方法。いくつかの実施形態は、創傷被覆材と真空源間にチェックバルブアセンブリを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本願は、2010年1月20日に出願された米国仮特許出願第61/296,822号の優先権を主張し、同出願の全文を本願に援用する。
【背景技術】
【0002】
本発明は一般に、創傷の治癒および創傷治療法に関する。より詳しくは、ただしこれに限定されないが、本発明は流体潅流および陰圧閉鎖創傷療法に関する。
【0003】
臨床研究と実際の治療から、組織部位周辺に減圧圧力を供給することによって、その組織部位における新組織の成長が助長され、加速されることがわかっている。この現象を応用したものは数多くあるが、減圧圧力の印加は、特に創傷の治療において成功を収めている。この治療(医療界においては、「陰圧閉鎖創傷療法」、「減圧療法」または「真空療法」と呼ばれることが多い)からは、さまざまな利益を得ることができ、たとえば、より急速な治癒および肉芽組織形成の促進等がある。一般に、減圧圧力は創傷挿入材(たとえば、多孔質パッドまたはその他の多様体器材)を通じて組織に印加される。創傷挿入材は一般にセルや孔を含み、これらは減圧圧力を組織へと拡散させ、組織から吸引される流体のための経路となることができる。創傷挿入材は、治療を促進する他の構成要素、たとえばドレープ(たとえば、接着サージカルドレープ)等を有する創傷被覆材の中に組み込むことができる。流体(たとえば、灌注用流体および/または薬剤)の潅流を陰圧閉鎖創傷療法と併用して、治癒を促進し、および/または有効性を高めてもよい。
【0004】
NPWTは創傷閉鎖の促進において非常に成功しており、過去においてはほとんど治療不能と思われていた多くの創傷を治癒に至らせているが、ある問題も残っている。現在の陰圧および/または流体潅流システムについては、流体(たとえば、潅流用流体、体液等)の存在および/またはそのような流体が創傷挿入材(たとえば、フォーム状創傷挿入材)の周囲へと押しやられることから、被覆部位において漏れが発生することがある。このような流体は、ドレープとそれに近接する健常皮膚との間の接着剤と相互作用するかもしれず、不良や漏れの原因となりえ、それゆえ、創傷被覆材を除去し、新たな被覆材と交換しなければならなくなる。このような除去と交換では、創傷が外気(たとえば、細菌、汚染要因およびこれに類するもの)へと露出するため、患者にとって有害となる可能性がある。さらに、創傷の縁辺へと押しやられた流体は溜り、および/または創傷周辺の皮膚および/または健全な皮膚を侵襲/損傷する可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
本願は、創傷挿入材を形成する方法、創傷治療方法、創傷被覆材、および創傷治療システムの実施形態を含む。
【0006】
本発明のチェックバルブアセンブリのいくつかの実施形態は、第一の接続部、第二の接続部、第一の接続部と第二の接続部との間の第一の通路および第一の接続部と第二の接続部との間の、第一の通路とは異なる第二の通路を画定する筐体と、第一の通路の中に配置されたチェックバルブであって、第二の接続部の圧力が第一の接続部の圧力より低いと、流体がチェックバルブアセンブリを通って第一の接続部から第二の接続部に流れるようにし、第二の接続部の圧力が第一の接続部の圧力より高いと、流体がチェックバルブを通って第二の接続部から第一の接続部へと流れることを実質的に防止するように構成されたチェックバルブと、を備える。いくつかの実施形態において、チェックバルブはダックビルバルブを備える。いくつかの実施形態において、チェックバルブはボールバルブを備える。いくつかの実施形態において、第一の接続部は、第一の通路と連通する第一の管腔と、第二の通路と連通する第二の管腔を有する多腔型の接続部を含み、第二の接続部は、第一の通路と連通する第一の管腔と、第二の通路と連通する第二の管腔を有する多腔型の接続部を含む。いくつかの実施形態において、第一の接続部の第二の管腔は、第一の接続部の第一の管腔の周囲に配置された環状管腔であり、第二の接続部の第二の管腔は、第二の接続部の第一の管腔の周囲に配置された環状管腔である。
【0007】
本発明の創傷治療システムのいくつかの実施形態は、創傷被覆材に連結されるように構成された流体源であって、創傷被覆材へと流体を供給するように作動可能であるような流体源と、創傷被覆材に連結されるように構成されたチェックバルブアセンブリと、チェックバルブアセンブリに連結されるように構成された真空源であって、チェックバルブアセンブリを通じて陰圧を創傷被覆材に印加するように作動可能であるような真空源と、を備え、このシステムは、(たとえば、創傷被覆材が流体源、真空源およびチェックバルブアセンブリに連結され、創傷被覆材が患者の創傷に隣接する皮膚に連結されて、創傷被覆材が創傷を覆い、創傷に隣接する実質的に閉鎖された空間を形成すると、)チェックバルブアセンブリが、流体がチェックバルブアセンブリを通って創傷被覆材に向かって流れるのを防止するように構成される。いくつかの実施形態において、システムは、チェックバルブアセンブリが創傷に隣接する空間内の圧力が大気圧を超えるのを実質的に防止するように構成することができる。いくつかの実施形態は、創傷挿入材と、患者の創傷に隣接する皮膚に連結されるように構成されたドレープであって、創傷挿入材と創傷を覆い、ドレープと創傷間に空間を形成するドレープと、を備える創傷被覆材をさらに備える。いくかの実施形態において、創傷挿入材は、連続発泡親水性フォームを備える。いくつかの実施形態において、創傷挿入材は、親水性コーティングで被覆された疎水性フォームを備える。
【0008】
いくつかの実施形態において、チェックバルブアセンブリは、創傷被覆材に連結されるように構成された第一の接続部と、真空源に連結されるように構成された第二の接続部と、第一の接続部と第二の接続部との間の第一の通路と、第一の接続部と第二の接続部との間の第二の通路とを画定する筐体と、第一の通路の中に配置されたチェックバルブであって、第二接続部の圧力が第一の接続部の圧力より低い時に流体がチェックバルブを通って第一の接続部から第二の接続部に流れるようにし、第二の接続部の圧力が第一の接続部の圧力より大きい時に、流体がチェックバルブを通って第二の接続部から第一の接続部へと流れるのを実質的に防止するように構成されたチェックバルブと、を備える。
【0009】
本発明の創傷治療方法のいくつかの実施形態は、チェックバルブアセンブリと創傷被覆材を通じて患者の創傷に陰圧を印加するステップであって、創傷被覆材が創傷に隣接する皮膚に連結されて、創傷被覆材が創傷を覆い、創傷に隣接する実質的に閉鎖された空間を形成するようなステップと、流体を創傷被覆材へと供給するステップと、を含み、チェックバルブアセンブリが、チェックバルブアセンブリを通じた流体の逆流を実質的に防止し、ドレープと創傷との間の空間の中の圧力が大気圧を超えるのを実質的に防止するように構成される。いくつかの実施形態において、創傷被覆材は、創傷挿入材と、ドレープであって、創傷に隣接する皮膚に連結されて、創傷挿入材と創傷を覆い、ドレープと創傷間に実質的に閉鎖された空間を形成するドレープと、を備える。
【0010】
いくつかの実施形態において、流体を供給するステップは、創傷被覆材に連結された流体源を作動させるステップを含む。いくつかの実施形態において、陰圧を印加するステップは、創傷被覆材に連結された真空源を作動させるステップを含む。いくつかの実施形態において、創傷挿入材は親水性フォームを備える。いくつかの実施形態において、創傷挿入材は、親水性コーティングで被覆された疎水性フォームを備える。いくつかの実施形態において、チェックバルブアセンブリは、創傷被覆材に連結されるように構成された第一の接続部と、真空源に連結されるように構成された第二の接続部と、第一の接続部と第二の接続部との間の第一の通路と、第一の接続部と第二の接続部との間の第二の通路とを画定する筐体と、第一の通路内に配置されたチェックバルブであって、第二の接続部の圧力が第一の接続部の圧力より低い時に、流体がチェックバルブを通って第一の接続部から第二の接続部に流れるようにし、第二の接続部の圧力が第一の接続部の圧力より高い時に、流体がチェックバルブを通って第二の接続部から第一の接続部に通過するのを実質的に防止するように構成されたチェックバルブと、を備える。
【0011】
本発明の創傷治療方法のいくつかの実施形態は、創傷被覆材を患者の創傷に隣接する皮膚に連結して、創傷被覆材が創傷を覆い、創傷に隣接する実質的に閉鎖された空間を形成するステップと、創傷被覆材を流体源に連結して、流体源が流体を創傷被覆材に供給するように作動可能であるようにするステップと、創傷被覆材をチェックバルブアセンブリと真空源に連結して、チェックバルブアセンブリが、チェックバルブアセンブリを通じた流体の逆流を実質的に防止するようにするステップと、を含む。いくつかの実施形態は、チェックバルブアセンブリがまた、創傷に隣接する空間の中の圧力が大気圧を超えるのも実質的に防止するようにシステムを構成するステップを含む。いくつかの実施形態において、創傷被覆材は、親水性を呈するように構成された連続発泡フォームを備える創傷挿入材とドレープを含み、創傷被覆材を連結するステップは、創傷挿入材を創傷の上に置くステップと、ドレープを創傷に隣接する皮膚に連結して、ドレープが創傷挿入材と創傷を覆い、ドレープと創傷間に空間を形成するようにするステップと、を含む。いくつかの実施形態は、チェックバルブアセンブリと創傷被覆材を通じて創傷に陰圧を印加するステップと、創傷被覆材を通じて流体を創傷に供給するステップと、を含む。いくつかの実施形態において、創傷挿入材は、親水性フォームを備える。いくつかの実施形態において、創傷挿入材は、親水性コーティングで被覆された疎水性フォームを備える。
【0012】
本発明のシステムおよび/または方法の何れかの実施形態は何れも、本願に記載されたステップ、要素および/または特徴を、備える/含む/包含する/有するというより、これらからなる、または基本的にこれらからなる、とすることができる。それゆえ、特許請求の範囲の任意の請求項において、「〜から構成される」または「基本的に〜から構成される」という用語を上記のような無制限の連結動詞の何れかと置き換え、その請求項の範囲を、その無制限の連結動詞を使用して、置き換えなかった場合の範囲から変更できる。
【0013】
上記の実施形態およびその他に関わる詳細を以下に説明する。
【0014】
下記の図面は、限定ではなく例として描かれている。たとえば、簡潔さと明瞭さのために、ある構造の個々の特徴は、必ずしもその構造が示されているすべての図面において明示されているとはかぎらない。同一の参照番号が必ずしも同一の構造を示すとはかぎらない。むしろ、同じ参照番号は、同様の特徴または同様の機能を有する特徴を示すために使用されるかもしれず、同一でない参照番号も使用されるかもしれない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の創傷挿入材の1つを有し、創傷部位と創傷治療装置に連結された本発明の創傷被覆材の1つの実施形態の側面図を示す。
【図2A】図2Aは、図1の創傷挿入材の拡大側面図を示す。
【図2B】図2Bは、親水性創傷挿入材の流体相互作用を先行技術による疎水性創傷挿入材のそれとの比較実験結果を示す写真を示す。
【図2C】図2Cは、親水性創傷挿入材の流体相互作用を先行技術による疎水性創傷挿入材のそれとの比較実験結果を示す写真を示す。
【図3】図3は、本発明の創傷被覆材および/または創傷挿入材を含めることができ、および/またはこれに連結でき、および/またはこれとともに使用できる創傷治療装置の1つの実施形態の概略ブロック図を示す。
【図4】図4は、本発明のチェックバルブアセンブリの1つの斜視図を示す。
【図5】図5は、図4のチェックバルブアセンブリの側方断面図を示す。
【図6】図6は、図4のチェックバルブアセンブリの側方断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
「連結される」という用語は、必ずしも直接にとは限らないが、また必ずしも機械的にとは限らないが、「連結される」2つの品目が、相互に一体となるかもしれないことと定義される。不定冠詞(a、an)は、本明細書において明確に別段の記載がないかぎり、1つまたはそれ以上であると定義される。「実質的に」、「概ね」および「約」という用語は、当業者にとって当然のことながら、必ずしも完全にとは限らないが、大体その特定されたものであると定義される。
【0017】
「〜を備える(comprise)」(およびそのすべての変化形(たとえば、comprises、comprising))、「〜を有する(have)」(およびそのすべての変化形(たとえば、has、having))、「〜を含む(include)」(およびそのすべての変化形(たとえば、includes、including))および「〜を包含する(contain)」(およびそのすべての変化形(たとえば、contains、containing))という用語は、無制限の連結動詞である。その結果、1つまたはそれ以上のステップを「備える」、「有する」、「含む」、または「包含する」方法は、これら1つまたはそれ以上のステップを持つが、これら1つまたはそれ以上のステップだけを持つことに限定されない。同様に、1つまたはそれ以上の要素を「備える」、「有する」、「含む」または「包含する」創傷被覆材は、これら1つまたはそれ以上の要素を持つが、これらの要素だけを持つことに限定されない。たとえば、たとえば、創傷挿入材とドレープとを備える創傷被覆材において、この創傷被覆材は明示された要素を含むが、これらの要素だけを有することに限定されない。たとえば、このような創傷被覆材はまた、接続パッドを含んでいることがありうる。
【0018】
さらに、特定の方法で構成された機器または構造は、少なくともその方法で構成されるが、これはまた、具体的に記載されたもの以外の方法でも構成できる。
【0019】
ここで、図面、より詳しくは図1を参照すると、ある実施形態による本発明の創傷治療システムの1つ10が示されている。図の実施形態において、装置10は、創傷治療装置14と、装置14に導管22によって連結される創傷被覆材18を備える。図のように、被覆材18は、患者30の創傷26に連結されるように構成され(、連結されている様子が示されてい)る。より詳しくは、図の実施形態において、被覆材18は、創傷挿入材34とドレープ38を備える。図のように、創傷挿入材34は、創傷26の上(たとえば、創傷面42の上またはこれに隣接して)に置かれるように構成され(、置かれている様子が示され)、および/またはドレープ38は患者の創傷26に隣接する皮膚46に連結されて(、連結されている様子が示され)、ドレープ38が創傷挿入材34と創傷26を覆い、ドレープ38と創傷26(たとえば、創傷面42)間に空間50を形成するように構成される。
【0020】
装置14には、たとえば、陰圧を(たとえば、導管22を介して)創傷被覆材18に印加するように作動可能に(および/または作動されるように)構成された真空源と、流体(たとえば、薬液、抗菌剤、潅流液およびまたはこれに類するもの)を創傷被覆材18に供給する(たとえば、導管22を介して)ように作動可能に(および/または作動されるように)構成された流体源と、を含めることができる。システム10は、先行技術において紹介されているものと同様の各種の構成および/または方法の何れにおいても実装し、および/または作動させ、および/または患者30に連結することができる。たとえば、各種の創傷治療システムと構成要素は、米国テキサス州サンアントニオのKCI USA,Inc.を通じて、および/または同社から市販されている。
【0021】
導管22には、単腔型の導管(たとえば、真空源および/または流体源と装置14とを切り替える)を含めることができ、または複数の単腔型の導管または1つの多腔型の導管を含め、たとえば、創傷被覆材18への流体の供給および/または負圧の印加を個別に、および/または同時に行うようにすることができる。これに加えて、導管22には、たとえば、陰圧印加および/または流体供給のための第一の管腔と、圧力センサに連結して、ドレープ38と表面42との間の圧力(絶対圧)または陰圧(大気圧に関して)を感知するための少なくとも1つの別の管腔と、を含めることができる。いくつかの実施形態において、導管22には、複数の管腔(たとえば、陰圧印加および/または流体供給のための中央管腔と、中央管腔に隣接して、またはその周囲に配置され、圧力センサに連結してドレープ38と表面42との間(たとえば、空間50内)の圧力または陰圧を感知できるようにした1つまたはそれ以上の周辺管腔を有する単独の導管のように)を含めることができる。管腔は、中央管腔と中央管腔の周囲に半径方向に配置されたその他の管腔という配置であっても、またはその他の適当な配置であってもよい。管腔はまた、別々の導管の中に設置してもよい。図の実施形態において、システム10は、導管22に連結されるように構成され(、連結されている様子が示され)る創傷被覆材接続パッド54をさらに備える。適当な接続パッド54の一例としては、KCIから市販されている「V.A.C. T.R.A.C.(登録商標)パッド」がある。適当なドレープ38の一例としては、KCIから市販されている「V.A.C.(登録商標)ドレープ」がある。接続パッド54の他の例は、米国特許出願公開第2007/0219512A1号として公開された米国特許出願第11/702,822号に開示されている。
【0022】
適当なドレープ38の一例としては、米国テキサス州サンアントニオのKCI USA,Inc.(およびその関連会社)から市販されている「V.A.C.(登録商標)ドレープ」がある。
【0023】
次に、図2Aを参照すると、創傷挿入材34の側面図が示されている。創傷挿入材34は、上面100、下面104、側面108、112および内部体積116を有する。創傷挿入材34の1面だけが示されているが、当業者にとっては当然のことながら、創傷挿入材34は、図に示されている面に対して垂直に延びる奥行きを有する三次元の長方形の体積を有する。他の実施形態において、創傷挿入材34は、どのような好適な形状であってもよく、たとえば、丸い円柱状、技巧的な形状等とすることができ、また、創傷(たとえば、26および/または創傷面42)の不規則な形状に合わせて調整してもよい。
【0024】
本発明の創傷挿入材34の実施形態は、親水特性を呈するように構成されたフォーム(たとえば、連続発泡フォームで、網状であってもよい)を含む。NPWTシステムと方法に従来使用されてきた疎水性フォームと異なり、創傷挿入材34の親水特性により、創傷挿入材を通じた流体(たとえば、潅流用流体、体液、滲出液およびこれに類するもののような液体)の移動が改善されて、流体が創傷挿入材34の周囲またはドレープ38と皮膚46との間の界面に隣接した箇所よりむしろ、創傷挿入材34を通って移動するように促される。
【0025】
従来の疎水性創傷挿入材では、流体は一般に経路内を移動して、流体のフォームとの接触が最小限となり、流体がフォームからはじかれて、フォームとドレープ38と皮膚46との間の界面間に圧力が発生するかもしれない。そのため、疎水性創傷挿入材によって、創傷26の周囲付近でドレープ38が皮膚46から剥げるかもしれない。より詳しくは、従来の疎水性創傷挿入材の場合、流体はほとんど保持されず、またはフォームそのものを通じて搬送されない。流体は疎水性創傷挿入材から外側へと押しやられるかもしれないため、流体により、ドレープと創傷と近接する皮膚との間の界面において陽圧(大気圧を超える)が発生する可能性がある。これは、ドレープと隣接する皮膚との間の界面に応力を与える可能性のある膨張効果の原因となりえ、ドレープを皮膚に連結するのに一般的に使用される接着剤の不良につながる可能性がある。膨張効果は、負圧が周期的に印加される場合(たとえば、オンとオフ)、および流体が創傷内に導入される場合(たとえば、潅流療法)に、特に問題となりうる。
【0026】
しかしながら、本発明の親水性創傷挿入材34の場合、流体は創傷挿入材34の少なくとも一部を通って、またはその中を移動することができ(たとえば、創傷挿入材34全体に均等に拡散し)、それゆえ、空間50内およびドレープ38と皮膚46との間の界面における陽圧が下がる。そのため、本発明の親水性創傷挿入材34の場合、流体は一般にドレープ38と皮膚46との間の界面にそれほど急速に到達しないため、ドレープ38を皮膚46に連結する接着剤またはこれに類するものの完全性がより長く維持され、ドレープ38と皮膚46との間のより耐久性の高い接着が可能となる。このようにして、ドレープ38と創傷挿入材34を含む創傷被覆材18は一般に、より耐久性が高く、および/または不良となりにくい。
【0027】
図1に示すように、本発明の創傷被覆材18の実施形態は、患者(たとえば、30)の創傷26(たとえば、創傷面42)の上に置かれるように構成された創傷挿入材34であって、親水特性を呈するように構成されたフォーム(たとえば、連続発泡フォームで、網状であってもよい)を備える創傷挿入材と、ドレープ38であって、患者の創傷に隣接する皮膚46に連結されて、ドレープ38が創傷挿入材34と創傷26を覆い、ドレープと創傷間に空間50を形成するように構成されたドレープと、を備える。創傷挿入材34は、創傷挿入材34が親水特性を呈するような、どのような好適な材料および/または材料の組み合わせを備えるようにすることもできる。たとえば、いくつかの実施形態において、創傷挿入材34は、親水性コーティング(たとえば、疎水性フォームが親水特性を呈するようにするように構成されたコーティング)で被覆された連続発泡疎水性フォームを備える。いくつかの実施形態において、疎水性コーティングは、ポリビニルアルコール(PVOH)、可塑剤(たとえば、クエン酸トリエチルまたはこれに類するもの)、親水性ポリウレタン、ゼラチン、ヒアルロン酸、ヘパリンおよび/または、被覆された疎水性フォームが親水特性を呈するように構成されたその他のあらゆる好適なコーティングを備える。
【0028】
創傷挿入材34を形成する本発明の方法の実施形態は、連続発泡(網状であってもよい)疎水性フォームに親水性コーティングを付着させるステップを含み、コーティングはフォームが親水特性を呈するように構成されている。いくつかの実施形態において、親水性コーティングは、ポリビニルアルコール(PVOH)、可塑剤(たとえば、クエン酸トリエチルまたはこれに類するもの)、親水性ポリウレタン、ゼラチン、ヒアルロン酸、ヘパリンおよび/または、被覆された疎水性フォームが親水特性を呈するように構成されたその他あらゆる好適なコーティングを備える。このような実施形態において、コーティングは、流体膜を備えるようにすることができ、その例としては、液体の状態でフォームに塗布し、乾燥、架橋および/またはその他の方法によって硬化して(たとえば、コーティングが流体または液体の存在下でもフォームの上で安定しているようにする)、フォームを被覆するようにしてもよいものがある。
【0029】
次に、図2Bと図2Cを参照すると、本発明の創傷挿入材の実施形態34aと34bが、先行技術による疎水性創傷挿入材36の隣に示されている。図2Bにおいて、創傷挿入材34a、34bおよび36は、下端が流体の中に設置された状態で示されている。創傷挿入材34aは、親水性コーティングで被覆された疎水性フォームを備える。創傷挿入材34bは、親水性フォームを備える。図2Cにおいて、創傷挿入材34a、34bおよび36は、流体から取り出され、創傷挿入材の各々における流体の拡散が相互に比較して見られるように示されている。図のように、親水性のフォームによる創傷挿入材34aと34bでは、流体が上方に移動して、創傷挿入材34aと34b全体に拡散している。これに対して、疎水性創傷挿入材36は膨張し、流体をはじいて、流体が創傷挿入材36の中を移動できず、その中に入れず、またはその他の方法でその全体に拡散できない。このようにして、創傷挿入材36は事実上、流体を創傷挿入材36の縁辺へと押しやり、創傷挿入材36が創傷被覆材18の中で使用された場合に、創傷挿入材36からはじかれた流体がドレープ38と皮膚46との間の界面に外向きの力を加える可能性があり、および/または、前述のように、ドレープ38と皮膚46との間の接着剤の中に浸入する可能性がある。これに対して、図2Bと図2Cに示されるように、親水性のフォームによる創傷挿入材34aと34bでは、流体が創傷挿入材34aと34bを移動して、ドレープ38にかかる外向きの力(たとえば、ドレープ38と創傷30との間の陽圧によって)および/またはドレープ38と皮膚46との間の接着剤への浸入を実質的に防止および/または低減させることができる。
【0030】
本発明の創傷治療方法の実施形態は、図3を参照することにより、よりよく理解できるかもしれない。図3は、1つの実施形態によるシステム10の概略図を示す。図の実施形態において、創傷被覆材18は装置14に連結され、装置14は、キャニスタ204(たとえば、創傷被覆材18からの滲出液およびまたはこれに類するものを受けるように構成されている)に導管208によって連結された真空源200(たとえば、真空ポンプおよび/またはこれに類するもの)を備える。図の実施形態において、装置14は、導管220および/またはT字形連結具224によって導管208に連結された第一の圧力トランスデューサ216と導管232によってキャニスタ204および/または創傷被覆材18に連結された第二の圧力トランスデューサ228を有する圧力センサ212をさらに備える。圧力センサ212は、創傷被覆材18および/または、創傷被覆材18、圧力センサ212および/または真空源200に連結された各種の導管の何れかにおける陰圧を感知するように構成されている。
【0031】
図の実施形態において、装置14は、導管232に連結された圧力逃がし弁236をさらに備える。さらに、図の実施形態において、キャニスタ204と真空源200は、導管238、チェックバルブアセンブリ240(これは、一方向弁アセンブリ240と呼んでもよい)および導管242によって創傷被覆材18に連結される。より詳しくは、導管238はキャニスタ204をチェックバルブアセンブリ240に連結し、導管242はチェックバルブアセンブリ240を創傷被覆材18に連結する。図の実施形態において、キャニスタ204は、キャニスタ204の出口に、またはその付近にフィルタ244を備え、液体または固体粒子が導管208の中に進入するのを防止する。フィルタ244は、たとえば、疎水性および/または脂溶性で水性および/または油性液体が玉状となってフィルタ表面に付着するような細菌フィルタとすることができる。装置14は、真空源200の動作中に、十分な空気がフィルタ244を通って流れ、フィルタ244をまたいだ圧力低下が実質的な程度とならないように、(たとえば、圧力低下が、真空源200から創傷被覆材18への陰圧印加を実質的に妨害しないように)構成することができる。
【0032】
図3に示されるもののような各種の実施形態において、装置14は、キャニスタ内の液体が、フィルタ244が詰まるレベルに到達するとすぐに、導管208内に大幅に増大した陰圧(すなわち大気圧以下の圧力)が発生し、トランスデューサ216によって感知されるように構成することができる。トランスデューサ216は、このような圧力変化をキャニスタの充満状態と解釈して、LCD上のメッセージおよび/またはブザーにより、キャニスタ204を空にし、および/または交換する必要があることを知らせ、および/または真空源200を自動的に停止または無効化する回路に接続することができる。
【0033】
装置14はまた、創傷部位に間欠的陰圧(すなわち大気圧以下の圧力)を印加するように、および/または圧力逃がし弁236によって創傷部位の圧力を急速に大気圧とするように構成することができる。それゆえ、装置14が、たとえば、10分間隔で圧力を逃がすようにプログラムされている場合、この間隔で、圧力逃がし弁236が所定の期間だけ開放して、圧力が創傷部位において均一化されるようにし、その後、閉じて、再び陰圧となるようにすることができる。当然のことながら、一定の陰圧を創傷部位に印加している場合、弁236は閉じたままで、大気中への、または大気中からの漏れが防止される。このような状態においては、ポンプ200を継続的に運転し、および/または動作させることなく、適時または周期的にのみこれを行うことによって、創傷部位の陰圧を維持し、所望のレベルの陰圧(すなわち、大気圧以下の所望の圧力)を維持することが可能であり、これがトランスデューサ216によって感知される。このことにより、電力が節約され、装置をそのバッテリ電源によって長時間動作させることが可能となる。
【0034】
図の実施形態において、装置14は流体源248をさらに備え、これは導管252によって創傷被覆材18に連結されて、流体源248が流体を創傷被覆材18に(たとえば、創傷被覆材を通って創傷に)供給するように作動可能となっている。流体源248は、流体を供給できる、どのような好適な機構とすることもでき、たとえばシリンジ、流体ポンプおよびまたはこれに類するものがある。一般に、チェックバルブアセンブリを持たない装置14のようなシステムにおいては、流体が創傷被覆材に供給される前に、創傷被覆材(たとえば、創傷被覆材の中の空間)が大気圧に戻され、創傷被覆材とキャニスタとの間の導管(たとえば、導管238)が締められて、チェックバルブアセンブリを通じた流体の流体の逆流が防止される。これは創傷被覆材18と患者の皮膚との間の接着境界の漏れおよび/または破裂の原因となりえ、それは、流体が創傷被覆材内部の密閉された(または実質的に密閉された)環境に供給されると、それが創傷被覆材を圧迫し、および/または流体を創傷被覆材の境界へと押しやる可能性があるからである。
【0035】
しかしながら、図の実施形態において、チェックバルブアセンブリ240は、チェックバルブアセンブリ240を通じた(たとえば、導管238から導管242へ)および/または創傷被覆材18内への流体の逆流(創傷被覆材18に向かう逆流)を実質的に防止し(最大ですべてを防止するが、本明細書で説明するように、開状態と閉状態との間の遷移中等に一部の漏れがあるかもしれない)、たとえば圧力逃がし弁236が開いてキャニスタ204が大気圧を超えないようにする時に(または、キャニスタ204がその他の方法で換気されて、導管238が大気を超えないようにされる場合に)、創傷に隣接する空間内(たとえば、創傷被覆材18内)の圧力が、大気圧を超えるのを実質的に防止するように構成される。当然のことながら、導管242から創傷被覆材へ、ある程度の逆流が発生するかもしれないが、チェックバルブアセンブリ240の上流では(たとえば、導管238からは)実質的に防止されるであろう。いくつかの実施形態において、導管242からの逆流は、チェックバルブアセンブリ240を創傷被覆材18に隣接して(たとえば、創傷被覆材18から1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20cm以内に)設置または配置し、および/またはチェックバルブアセンブリ240を創傷被覆材18の一部とする(たとえば、チェックバルブアセンブリ240を創傷被覆材18と一緒に処分できる)ことによって最小限にされる。たとえば、いくつかの実施形態において、チェックバルブアセンブリ240は、創傷被覆材18から5cm以内に配置されて、導管242内の、チェックバルブアセンブリ240と創傷被覆材18との間の容積が最小限となるようにされる。
【0036】
図の実施形態において、流体が創傷被覆材に供給される前に、創傷被覆材18内の陰圧(大気圧より低い圧力)を維持することができ(たとえば、創傷被覆材18を大気圧に戻さなくてよい)、それによってチェックバルブアセンブリ240を通じた創傷被覆材18への逆流が実質的に防止され、創傷被覆材18内の圧力が導管238内の圧力まで上昇すると、チェックバルブアセンブリによって、チェックバルブアセンブリの片側から反対側へ(たとえば、創傷被覆材18と導管242からチェックバルブアセンブリ240を通って導管238へ)流体が流れる(および、圧力が逃がされる)。このようにして、チェックバルブアセンブリ240は、潅流療法(創傷被覆材への流体供給)前に創傷被覆材18の陰圧を維持するように構成され、それによってドレープの接着剤の膨張および/または不良に起因する液体の漏出が最小限となり、無駄になる流体の量が最小限となる。たとえば、通常の動作中、陰圧は、創傷被覆材においてある時間にわたって維持することができ、大気圧をキャニスタに導入することができる(たとえば、キャニスタ204を大気に換気し、キャニスタ204内の圧力を大気圧まで上昇させる(それとともに「陰圧」を相応に減少させる)ことによる)。流体が計測されて創傷被覆材に注入されると、創傷部位の圧力は上昇して、最終的に大気圧に到達する。創傷被覆材18(および導管242)内の圧力が導管238(およびキャニスタ204)内の圧力に到達し、またはこれを超過すると、チェックバルブアセンブリ240によって、チェックバルブアセンブリをまたぐ導管242から導管238への流れが可能となり、それによって創傷被覆材が過充満となるのが防止される。
【0037】
次に、図4〜図6を参照すると、本発明のチェックバルブアセンブリのある実施形態240aが示されている。より詳しくは、図4はチェックバルブアセンブリ240aの斜視図を示し、図5はチェックバルブアセンブリ240aの側方断面図を示し、図6はチェックバルブアセンブリ240aの側方断面図を示す。図の実施形態において、チェックバルブアセンブリ240aは、第一の接続部304と第二の接続部308とを画定する筐体300を備える。筐体300は、第一の接続部と第二の接続部304と308との間の第一の通路312と、第一の接続部と第二の接続部304と308との間の第二の通路316をさらに画定する。図のように、第二の通路316は、第一の通路312とは別である(たとえば、これから分離されているか、これと流体連通しない)。図の実施形態において、チェックバルブアセンブリ240aは、第一の通路312内に配置されたチェックバルブ320をさらに備え、これは、第二の接続部308の圧力が第一の接続部304の圧力より低いと、流体がチェックバルブ320を通って(たとえば、第一の通路312を通って)第一の接続部304から第二の接続部308へと流れるように構成される。図の実施形態において、チェックバルブ320は、第二の接続部308の圧力が第一の接続部304の圧力より高いと、流体がチェックバルブ320を通って第一の接続部304から第二の接続部308へと流れるのを実質的に防止する(最大で全部を防止するが、本明細書に記載するように、開状態と閉状態との間の遷移中等に、ある程度の漏れがあるかもしれない)ようにさらに構成される。たとえば、図3の装置においては、チェックバルブアセンブリ240aの第一の接続部304が導管242に連結され、第二の接続部308が導管238に連結されるであろう。
【0038】
図の実施形態において、筐体300は、何れかの好適な構造または方法、たとえば、インターロックタブ、接着剤、ねじ、リベット、超音波溶接、熱溶接またはこれに類するものによって相互に連結されるように構成された第一の部材324と第二の部材328を備える。図の実施形態において、第二の部材328は、溝336(たとえば、図のような周辺溝)を有する連結端332(たとえば、第二の接続部308と対向する)を有し、第一の部材324は、第一の部材と第二の部材324と328が図5と図6に示されるように相互に連結されると、溝336の中に入るように構成された隆条部344(たとえば、図のような周辺隆条部)を有する連結端340(たとえば、第一の接続部304と対向する)を有し、隆条部344と溝336が協働して第一の部材と第二の部材324と328との間の接続(たとえば、接続の強度および/または完全性)を改善するようなっている。図の実施形態において、第一の部材と第二の部材324と328は、接着剤および/または超音波溶接によって相互に連結されるように構成される。図のように、第一の部材と第二の部材324と328は協働して第一の通路と第二の通路312と316を画定し、および/またはチェックバルブ320は第一の部材と第二の部材324と328と協働して第一の筐体と第二の筐体324と328との間を密閉し、それによって第一の通路312は第二の通路316から区別される(たとえば、第一の通路と第二の通路312と316との間の流体連通が実質的に防止される)。
【0039】
図の実施形態において、第一の接続部304は、第一の通路312と連通する第一の管腔348と、第二の通路316と連通する第二の管腔352を有する多腔型の接続部を備える。これに加えて、図の実施形態において、第二の接続部308は、第一の通路312と連通する第一の管腔356と、第二の通路316と連通する第二の管腔360を有する多腔型の接続部を備える。より詳しくは、図の実施形態において、第一の接続部304の第二の管腔352は、第一の接続部304の第一の管腔348の周囲に配置された環状管腔であり、第二の接続部308の第二の管腔360は、第二の接続部308の第一の管腔356の周囲に配置された環状管腔である。
【0040】
図の実施形態において、チェックバルブ320はダックビルバルブである。図の実施形態において、バルブ320は、筐体300の第一の通路312の周囲の周りに嵌るように構成された拡張基底部364を含む。これに加えて、第一の部材と第二の部材324と328(および/または拡張された基底部364)は、バルブ320が第一の通路312内に配置され、第一の部材と第二の部材324と328が、図5と図6に示されるように相互に連結されると、第一の部材と第二の部材が拡張基底部364の少なくとも一部を圧縮して、第一の部材と第二の部材324と328との間を密閉し、筐体300内の第一の通路と第二の通路312と316との間の流体連通を実質的に防止するように構成される。より詳しくは、図の実施形態において、第一の部材324は、斜めの、または面取りされた外側縁辺を有する円形の突起368を有し、第二の部材328は、斜めの突出部372を有する。突起368と突出部372は、バルブ320が第一の通路312内に配置され、第一の部材と第二の部材324と328が相互に連結されると、突起368が拡張基底部364の中央へと延び、その内面を圧迫し、また突出部372が拡張基底部364の外面を圧迫し、図5と図6に示されるように、突起368と突出部372が協働して拡張基底部364を第一の通路312の周囲に押し付けるように構成される。
【0041】
図の実施形態において、第一の接続部と第二の接続部の多腔型の構成によって、チェックバルブアセンブリ240aは、創傷被覆材(たとえば、18)と、真空源(たとえば、200)と圧力センサ(たとえば、圧力トランスデューサ212)を備える装置間の多腔型の導管(たとえば、多腔型PVCチューブ)に連結できる。たとえは、一部の市販のNPWT装置は、真空または陰圧導管(たとえば、240、242)と圧力センサ導管(たとえば、232)を結合して単腔型の導管(図示せず)にするように構成され、それによって、圧力センサ導管は、多腔導管内の中央の真空または陰圧管腔の周囲に配置された複数の周辺管腔を含むことになる。周辺圧力センサ管腔間の連通を確実にするために、第一の部材324は、環状管腔352の中に棚状部376を含み、第二の部材328は環状管腔360の中に棚状部380を含み、多腔型チューブの周辺圧力管腔が第一の部材324によってふさがれないようになっており、周辺圧力センサ管腔と第二の通路316との間の連通が可能となる。
【0042】
図の実施形態において、第二の部材328は窪み384(第一の通路312の両側の2つの窪み384)を有し、チェックバルブ320は、窪み384に対応する突起388(バルブ320の両側の2つの突起388)を有し、窪み384と突出部388は協働して筐体300内のバルブ320の方位を定め、および/または本体300内の弁320の回転を防止する。バルブ320はダックビルバルブとして示されているが、他の実施形態において、チェックバルブ320はボールバルブまたはアンブレラバルブとすることができる。
【0043】
本発明の創傷治療法のいくつかの実施形態は、チェックバルブアセンブリ(たとえば、240、240a)と創傷被覆材(たとえば、18)を通じて患者(たとえば、30)の創傷(たとえば、26)に陰圧を印加するステップを含み、創傷被覆材は、創傷に隣接する皮膚(たとえば、46)に連結されて、創傷被覆材が創傷に隣接して実質的に閉鎖された空間(たとえば、50)を形成する。いくつかの実施形態は、流体を創傷被覆材に(たとえば、流体源248から)供給するステップを含む。いくつかの実施形態において、チェックバルブアセンブリは、チェックバルブアセンブリを通じた流体の逆流を実質的に防止し、ドレープと創傷との間の空間における圧力が大気圧を超えるのを実質的に防止するように構成される。いくつかの実施形態において、流体を供給するステップは、創傷被覆材に連結された流体源(たとえば、248)を作動させるステップを含む。いくつかの実施形態において、陰圧を印加するステップは、創傷被覆材に連結される真空源(たとえば、200)を作動させるステップを含む。
【0044】
本発明の創傷治療法のいくつかの実施形態は、創傷被覆材(たとえば、18)を患者(たとえば、30)の創傷(たとえば、26)に隣接する皮膚(たとえば、46)に連結して、創傷被覆材が創傷を覆い、創傷に隣接して実質的に閉鎖された空間(たとえば、50)を形成するようにするステップを含む。いくつかの実施形態は、創傷被覆材を流体源(たとえば、248)に連結して、流体源が流体を創傷被覆材に供給するように作動可能であるようにするステップを含む。いくつかの実施形態において、創傷被覆材をチェックバルブアセンブリ(たとえば、240、240a)と真空源(たとえは、200)に連結して、チェックバルブアセンブリがチェックバルブアセンブリを通じた流体の逆流を実質的に防止するステップを含む。いくつかの実施形態において、システムは、チェックバルブアセンブリが、たとえば圧力逃がし弁236が開いて、キャニスタ204が大気圧を超えるのを防止する時など(またはキャニスタ204がその他の方法で換気されて、導管238が大気圧を超えることが防止される場合に)、創傷に隣接する空間内の圧力が大気圧を超えるのを実質的に防止するように構成することができる。いくつかの実施形態において、創傷被覆材は、創傷挿入材(たとえば、34)とドレープ(たとえば38)を含み、創傷被覆材を連結することは、創傷挿入材を創傷の上に置くステップと、ドレープを創傷に隣接する皮膚に連結して、ドレープが創傷挿入材と創傷を覆い、ドレープと創傷間に空間を形成するステップと、を含む。いくつかの実施形態は、チェックバルブアセンブリと創傷被覆材を通じて陰圧を創傷に印加するステップと、創傷被覆材を通じて流体を創傷に供給するステップと、を含む。
【0045】
本発明の方法の何れかの実施形態は、本明細書に記載した装置、創傷被覆材、創傷挿入材および/またはチェックバルブアセンブリの何れかを利用し、その使用を含み、および/またはその他の方法でこれを備えることができる。本発明の創傷治療法の何れにおいても、陰圧を創傷被覆材18に印加する前に流体を創傷被覆材18に供給することができ、流体が創傷被覆材18に供給される前に陰圧を創傷被覆材18に印加することができ、および/または陰圧を創傷被覆材18に印加するのと同時に流体を創傷被覆材18に供給することができる。
【0046】
本発明の創傷治療法のいくつかの実施形態において、本発明の損傷被覆材18と皮膚消毒を併用して、ドレープ38と皮膚46との間の界面の接着性と耐久性を改善し、たとえば、漏れを軽減および/または低減させることができる。たとえば、創傷26に隣接する皮膚46は、清浄化して、水に対して不浸透性および/または不溶性のコーティングで被覆することができる。このようにして、ドレープ28と被覆された皮膚46との間の接着性は、創傷被覆材18および/または空間50に供給されるかもしれない水性の潅流流体からの浸入の影響を受けにくくすることによって改善し、および/または耐久性を高めるようにすることができる。他の例として、乾燥または硬化によって、皮膚の浸軟を軽減および/または防止して、皮膚からドレープを取り除く際の皮下層皮膚への外傷を防止するのに十分な耐久性を有する層を皮膚上に形成するコーティングを(特定の接着剤と同様の方法で)皮膚に付着させることができる。
【0047】
本発明のシステム、方法および創傷被覆材の実施形態は、創傷被覆材18が患者30に連結される際にドレープ38を皮膚46に連結するためにしばしば使用される接着剤を劣化させうる、ドレープ38と皮膚46との間の界面における流体接触および/または浸入を遅らせ、および/または最小限にすることによって、流体潅流に伴う危険性を低下させる。これに加えて、改善された流体管理により、それがなければドレープ38と皮膚46との間の界面において発生するかもしれない陽圧を低下させて、それがなければドレープ38を引っ張るように作用する機械的緊張を低下させることができる。
【0048】
本明細書で説明する器材、システムおよび方法の各種の例示的実施形態は、開示された特定の形態に限定されると意図されていない。むしろ、これらは特許請求の範囲の範囲内に含まれるすべての改良および変更を含む。
【0049】
特許請求の範囲は、ある請求項の中でmeans−plus−function(機能+手段)またはstep−plus−function(機能+ステップ)の限定がそれぞれ、「〜の手段」または「〜のステップ」という語句を使用して明記されていないかぎり、これらの限定を含むものとは意図されず、これを含むと解釈するべきではない。
【0050】
当然のことながら、上記の利益と利点は、1つの実施形態に関係しているかもしれず、またいくつかの実施形態に関係しているかもしれない。さらに、これも当然のことながら、「1つの(an)」品目は、特に断りがないかぎり、1つまたはそれ以上のその品目を指す。
【0051】
本明細書に記載される方法のステップは、どのような好適な順番で実行してもよく、または適当であれば同時に実行してもよい。
【0052】
適当であれば、上記の例の何れかの態様は、上記の他の例の何れの態様と組み合わせて、同等の、または異なる特性を有し、同じまたは異なる問題に対応する別の例を形成してもよい。
【0053】
当然のことながら、好ましい実施形態に関する上記の説明は、例として挙げられたにすぎず、当業者は各種の改良を加えることができる。上記の仕様、例およびデータは、例示的実施形態の構造と使用を十分に説明するものである。各種の実施形態についてある程度の詳細さで、または1つまたはそれ以上の個々の実施形態に関して説明したが、当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、開示された実施形態にさまざまな変更を加えることができるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チェックバルブアセンブリであって、
第一の接続部、第二の接続部、前記第一の接続部と前記第二の接続部との間の第一の通路および前記第一の接続部と第二の接続部との間の、前記第一の通路とは異なる第二の通路とを画定する筐体と、
前記第一の通路の中に配置されたチェックバルブであって、
前記第二の接続部の圧力が前記第一の接続部の圧力より低いと、流体が前記チェックバルブアセンブリを通って前記第一の接続部から前記第二の接続部に流れるようにし、
前記第二の接続部の圧力が前記第一の接続部の圧力より高いと、流体が前記チェックバルブを通って前記第二の接続部から前記第一の接続部へと流れることを実質的に防止するように構成されたチェックバルブと、
を備えることを特徴とするチェックバルブアセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載のチェックバルブアセンブリにおいて、
前記チェックバルブがダックビルバルブを備えることを特徴とするチェックバルブアセンブリ。
【請求項3】
請求項1に記載のチェックバルブアセンブリにおいて、
前記チェックバルブがボールバルブを備えることを特徴とするチェックバルブアセンブリ。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載のチェックバルブアセンブリにおいて、
前記第一の接続部が、前記第一の通路と連通する第一の管腔と、前記第二の通路と連通する第二の管腔を有する多腔型の接続部を含み、前記第二の接続部が、前記第一の通路と連通する第一の管腔と、前記第二の通路と連通する第二の管腔を有する多腔型の接続部を含むことを特徴とするチェックバルブアセンブリ。
【請求項5】
請求項4に記載のチェックバルブアセンブリにおいて、
前記第一の接続部の前記第二の管腔が、前記第一の接続部の前記第一の管腔の周囲に配置された環状管腔であり、前記第二の接続部の前記第二の管腔が、前記第二の接続部の前記第一の管腔の周囲に配置された環状管腔であることを特徴とするチェックバルブアセンブリ。
【請求項6】
創傷治療システムであって、
創傷被覆材に連結されるように構成された流体源であって、前記創傷被覆材へと流体を供給するように作動可能であるような流体源と、
前記創傷被覆材に連結されるように構成されたチェックバルブアセンブリと、
前記チェックバルブアセンブリに連結されるように構成された真空源であって、前記チェックバルブアセンブリを通じて陰圧を前記創傷被覆材に印加するように作動可能であるような真空源と、
を備え、
前記システムは、前記チェックバルブアセンブリが、
前記チェックバルブアセンブリを通る前記創傷被覆材への流体の流れを防止するように構成されることを特徴とする創傷治療システム。
【請求項7】
請求項6に記載のシステムにおいて、
前記システムを、前記チェックバルブアセンブリがまた、前記創傷に隣接する前記空間内の圧力が大気圧を超えるのを実質的に防止するように構成できることを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項6に記載のシステムにおいて、前記創傷被覆材が、
創傷挿入材と、
患者の創傷に隣接する皮膚に連結されるように構成されたドレープであって、前記創傷挿入材と前記創傷を覆い、前記ドレープと前記創傷間に空間を形成するドレープと、
を備えること特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項8に記載のシステムにおいて、
前記創傷挿入材が、連続発泡親水性フォームを備えることを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項8に記載のシステムにおいて、
前記創傷挿入材が、親水性コーティングで被覆された疎水性フォームを備えることを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項6乃至10の何れか1項に記載のシステムにおいて、
前記チェックバルブアセンブリが請求項1乃至5の何れか1項に記載のチェックバルブアセンブリを備えることを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項6乃至11の何れか1項に記載のシステムにおいて、
陰圧閉鎖創傷療法を使用した創傷治療のためのものであることを特徴とするシステム。
【請求項13】
創傷治療方法であって、
チェックバルブアセンブリと創傷被覆材を通じて患者の創傷に陰圧を印加するステップであって、前記創傷被覆材が前記創傷に隣接する皮膚に連結されて、前記創傷被覆材が前記創傷を覆い、前記創傷に隣接する実質的に閉鎖された空間を形成するようなステップと、
流体を前記創傷被覆材へと供給するステップと、
を含み、
前記チェックバルブアセンブリが、
前記チェックバルブアセンブリを通じた流体の逆流を実質的に防止し、前記ドレープと前記創傷との間の前記空間の中の圧力が大気圧を超えるのを実質的に防止するように
構成されることを特徴とする創傷治療方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、
前記創傷被覆材が、
創傷挿入材と、
ドレープであって、前記創傷に隣接する皮膚に連結されて、前記創傷挿入材と前記創傷を覆い、前記ドレープと前記創傷間に実質的に閉鎖された空間を形成するドレープと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項13又は14の何れか1項に記載の方法において、
流体を供給するステップが、前記創傷被覆材に連結された流体源を作動させるステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項13乃至15の何れか1項に記載の方法において、
陰圧を印加するステップが、前記創傷被覆材に連結された真空源を作動させるステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項13乃至16の何れか1項に記載の方法において、
前記創傷挿入材が親水性フォームを備えることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項13乃至16の何れか1項に記載の方法において、
前記創傷挿入材が、親水性コーティングで被覆された疎水性フォームを備えることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項13又は14の何れか1項に記載の方法において、前記チェックバルブアセンブリが、
前記創傷被覆材に連結されるように構成された第一の接続部と、前記真空源に連結されるように構成された第二の接続部と、前記第一の接続部と第二の接続部との間の第一の通路と、前記第一の接続部と第二の接続部との間の第二の通路とを画定する筐体と、
前記第一の通路内に配置されたチェックバルブであって、
前記第二の接続部の圧力が前記第一の接続部の圧力より低い時に、流体が前記チェックバルブを通って前記第一の接続部から前記第二の接続部に流れるようにし、
前記第二の接続部の圧力が前記第一の接続部の圧力より高い時に、流体が前記チェックバルブを通って前記第一の接続部から前記第二の接続部に通過するのを実質的に防止するように
構成されたチェックバルブと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項20】
創傷治療方法であって、
創傷被覆材を患者の創傷に隣接する皮膚に連結して、前記創傷被覆材が前記創傷を覆い、前記創傷に隣接する実質的に閉鎖された空間を形成するステップと、
前記創傷被覆材を流体源に連結して、前記流体源が流体を前記創傷被覆材に供給するように作動可能であるようにするステップと、
前記創傷被覆材をチェックバルブアセンブリと真空源に連結して、前記チェックバルブアセンブリが、前記チェックバルブアセンブリを通じた流体の逆流を実質的に防止するようにするステップと、
を含むことを特徴とする創傷治療方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法において、
前記チェックバルブアセンブリがまた、前記創傷に隣接する前記空間内の圧力が大気圧を超えるのも実質的に防止するようにシステムを構成するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項20に記載の方法において、
前記創傷被覆材が、
親水性を呈するように構成された連続発泡フォームを備える創挿入材と、
ドレープと、を備え、
前記創傷被覆材を連結するステップが、
前記創傷挿入材を創傷の上に置くステップと、
前記ドレープを前記創傷に隣接する皮膚に連結して、前記ドレープが前記創傷挿入材と前記創傷を覆い、前記ドレープと前記創傷間に空間を形成するようにするステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項20に記載の方法において、
前記チェックバルブアセンブリと前記創傷被覆材を通じて前記創傷に陰圧を印加するステップと、
前記創傷被覆材を通じて前記創傷に流体を供給するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項20乃至23の何れか1項に記載の方法において、
前記創傷挿入材が、親水性フォームを備えることを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項20乃至23の何れか1項に記載の方法において、
前記創傷挿入材が、親水性コーティングで被覆された疎水性フォームを備えることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−517098(P2013−517098A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550078(P2012−550078)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【国際出願番号】PCT/US2011/021665
【国際公開番号】WO2011/090996
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(505167473)ケーシーアイ ライセンシング インク (19)
【Fターム(参考)】