説明

流体管のカバー体

【課題】保護管内に流体管とともに挿通された信号線を配管途中から引き出す際に、新たに保護管に信号線の引出孔を設けることなく、また、内部の流体管及び信号線を傷付けることなく、そして、引出孔を通して信号線を挟持し該引出孔から引き出すという面倒な作業を行なうことなく、容易に引き出す。
【解決手段】カバー体21を半割の筒状体で形成し、一対の半割体の側端部相互を係止させて筒状体に組み付ける係止手段を備え、管軸方向の端部に鞘管及び端末保護管をそれぞれ接続する鞘管連結部24及び保護管連結部26を備えた。そして、外壁22に、鞘管内に挿通された信号線を引き出すための信号線引出孔30を筒状体の割面28に連通して設け、第2半割体41の係止片44に信号線引出孔30を開口可能に閉塞する閉塞蓋49を一体に突設した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に通水管等の流体管が挿通された鞘管等の保護管の端部に取付けられて該流体管を覆って保護し、かつ前記流体管とともに前記保護管内に挿通された信号線を配管途中で外部に引き出せる流体管のカバー体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
住宅の台所、浴室、トイレ、洗面等の給水栓には通水管等の流体管が配管され、給水器、給湯器等からは各給水栓に水道水、温水等の流体が供給されている。これら給水器、給湯器等には管継手が設けられており、前記流体管は前記管継手を介して各機器、給水栓等に接続されている。
前記流体管は通常、鞘管等の保護管内に挿通された二重管構造により保護されている。そして、管継手に接続される流体管の端末部には、この部分の流体管を保護すべく、端末保護管が取付けられることも多い。この種の保護管及び端末保護管は、例えば、実開平4−50463号公報に掲載されている。
【0003】
ところで、前記保護管には、流体管に加え、これと並行して、給湯器などの機器等に電気信号を送るための信号線が挿通されることがある。この信号線が挿通される場合は、保護管或いは端末保護管の配管途中から信号線が外部に引き出されて機器等に接続され、各種指令信号、制御信号が送出される。
【特許文献1】実開平4−50463号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来より、信号線を保護管の配管途中から引き出すには、最初に保護管に信号線引出し用の孔を設ける必要があった。ところが、信号線引出し用の孔を設けるには、ハンドドリル等の穿孔具を使用しなければならないところ、信号線を引き出す度に、穿孔具を用意して、保護管を治具等で保持しながら引出孔を設けなければならないから、大変面倒であった。
【0005】
また、穿孔具を用いて穿孔する際には、穿孔具の先端ドリルで保護管内に挿通されている流体管及び信号線を傷付ける虞があり、流体管及び信号線を傷付けないようかつ作業者自身が怪我しないよう細心の注意を払いながら行なわなければならず、非常に作業しにくいものであった。
【0006】
更に、信号線を引き出す際には、穿設した小さい引出孔内にピンセットなどの挟持具を挿入して、小さい引出孔を通して信号線を探し出し、挟持した後、引出孔を通して外部に引き出さなければならず、大変手間のかかる作業となっていた。
【0007】
そこで、本発明は、保護管内に流体管とともに挿通された信号線を配管途中から引き出す際に、新たに保護管に信号線の引出孔を設けることなく、また、内部の流体管及び信号線を傷付けることなく、そして、引出孔を通して信号線を挟持し該引出孔から引き出すという面倒な作業を行なうことなく、容易に引き出すことのできる流体管のカバー体の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の流体管のカバー体は、内部に流体管が挿通された保護管の端部に取付けられるものであって、半割の筒状体で形成され、一対の半割体の側端部相互を係止させて前記筒状体に組み付ける係止手段と、少なくとも管軸方向の一端部に設けられ、前記保護管の外面に係止して接続する接続部とを備えている。そして、外壁に、前記保護管内に挿通された信号線を引き出すための信号線引出孔が前記筒状体の割面に連通して設けられている。
【0009】
前記カバー体は、係止手段により一対の半割体の側端部相互を係止させて筒状体に組み付けられ、同時に、少なくとも管軸方向の一端側に設けられた接続部を介して、保護管の端部に取付けられる。
そして、前記カバー体は、筒状体の割面と連通する信号線引出孔が設けられている、つまり、筒状体の組み付け前においては、信号線引出孔は一部が割面に開口する切欠孔となっている。このため、保護管内に挿通されている信号線は、信号線引出孔に軸方向に貫通させるのではなく、筒状体の組み付け前の状態において、切欠孔の開口の上方から開口面に直交する状態で切欠孔内に挿入することができる。そして、その後、筒状体に組み付ければ、これに連動して前記切欠孔の開口が連通して信号線引出孔が形成され、同時に、信号線は該引出孔内に挿通されることとなる。つまり、信号線は、筒状体に組み付ける操作に連動して自ずと信号線引出孔から外部に引き出されることになる。
【0010】
ここで、前記保護管には、配管経路に沿って配管されている鞘管の他、各種機器等の管継手に接続される流体管の端末部分を覆って保護する端末保護管も含まれる。
また、前記保護管は、内部に流体管が2本並列状態で挿通されるものや、1本のみ挿通されるもの、或いは3本以上が並列状態で挿通されるものがある。
更に、半割の筒状体は、例えば、一対の半割体の中間部にヒンジが形成され、このヒンジを軸に回動して筒状体が形成されるものとすることができる。
そして、保護管の外面に係止して接続する接続部は、例えば、カバー体の端部の開口の周縁に管軸と直交して内部空間側に突出するフランジを形成して設けることができる。このフランジ等で形成された接続部は例えば外面波付の保護管の谷部に嵌入することにより、管軸方向に移動不能に接続される。
また、流体管は、一般に、合成樹脂で形成され、可撓性を有し、通水管、給湯管等、流体が通流する各種の管が用いられる。
【0011】
請求項2の流体管のカバー体は、係止手段が、一方の半割体の外壁に基端を軸に回動可能に突設された係止片に形成された係止部と、他方の半割体の外壁に設けられ、前記係止部と係止する被係止部とから成り、信号線引出孔は、前記係止手段の近傍に設けられ、前記一方の半割体の係止片に、前記信号線引出孔を開口可能に閉塞する閉塞蓋が一体に設けられている。そして、前記係止部を前記被係止部に係止させるべく前記係止片を回動させることに連動して前記信号線引出孔を閉塞可能となっている。また、前記信号線引出孔に信号線を配置して前記半割体の側端部相互を当接させ、前記閉塞蓋を開口状態として前記係止片を回動させることにより前記係止部が前記被係止部に係止して前記筒状体に組み付け可能となっている。
【0012】
これにより、一対の半割体を閉じて筒状体に形成し、一方の半割体の係止片に形成された係止部を他方の半割体の被係止部に係止させれば、それと連動して信号線引出孔は前記係止片に突設された閉塞蓋によって閉塞される。したがって、別途に、閉塞する操作を行なわなくても、信号線引出孔は係止操作に連動して自然に閉塞される。
【0013】
また、前記閉塞蓋は信号線引出孔を開口可能に閉塞する。このため、信号線引出孔は、係止部と被係止部とを係止させれば、閉塞蓋によって閉塞状態にあるものの、信号線を引き出す必要のあるときは、閉塞蓋を操作して開口させることができる。
前記信号線引出孔の開口は、例えば、係止片の側端を軸として回動することによって、或いは、前記係止片の側端で閉塞蓋を折り取ることによって行なうことができる。
【0014】
請求項3の流体管のカバー体は、前記信号線引出孔が、前記係止手段の側方の少なくとも一方に設けられ、前記一方の半割体の係止片の側方に、前記閉塞蓋が一体に突設されている。信号線引出孔が係止手段の両側方に設けられているときは、周辺の状況等に応じて信号線引出孔を任意に選択して引き出すことができる。
【0015】
請求項4の流体管のカバー体は、信号線引出孔の周縁の一部に、前記信号線引出孔を開口可能に閉塞する閉塞蓋が一体に突設されたものである。
前記請求項2及び請求項3の流体管のカバー体は、一方の半割体の係止片に、閉塞蓋が突設されているのに対し、この請求項4の流体管のカバー体は、信号線引出孔の周縁の一部に、閉塞蓋が突設されている点で相違し、他は共通する。したがって、基本的には、請求項2及び請求項3のカバー体と同様に作用する。なお、信号線引出孔の開口は、例えば、信号線引出孔の周縁の一部を軸として回動することによって、或いは、前記信号線引出孔の周縁の一部で閉塞蓋を折り取ることによって行なうことができる。
【0016】
請求項5の流体管のカバー体は、保護管相互を連結すべく、管軸方向の両端部に前記保護管を接続する接続部を備えている。
保護管相互の連結としては、一端部に、2本の流体管が並列して挿通された1個の保護管が連結され、他端部に1本の流体管が独立して挿通された保護管が2個接続された態様や、一端部に、1本の流体管が挿通された1個の保護管が接続され、他端部に同じく1個の保護管が接続された態様などがある。
【0017】
請求項6の流体管のカバー体は、筒状体の管軸方向の一端部に、内部に複数の流体管が挿通される保護管Aを接続可能な挿通孔が形成され、前記筒状体の管軸方向の他端部に、内部に流体管が独立して挿通される保護管Bを接続可能な挿通孔が複数形成されている。
【0018】
請求項7の流体管のカバー体は、係止手段が、筒状体の管軸方向の中央部1箇所に設けられている。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明は、外壁に信号線引出孔が筒状体の割面に連通して設けられ、筒状体の組み付け前は、信号線引出孔は前記割面に開口する切欠孔となっているから、保護管内に挿通されている信号線を切欠孔の開口の上方から挿入した後、筒状体に組み付けるだけで、それに連動して形成された信号線引出孔内に信号線を挿通し、外部に引き出すことができる。その結果、穿孔具等を使用して保護管に新たに孔を設けることなく、また、穿孔具等の使用によって流体管及び信号線に傷を付けることなく、信号線を配管途中から引き出すことができる。そして、従来のような、引出孔を通して保護管内の信号線を探し出して挟持し、該引出孔から引き出すという面倒な作業を行なうことなく、単に切欠孔の開口の上方から信号線を挿入し、筒状体に組み付けるだけで、信号線を配管途中から簡単に引き出すことができる。
【0020】
加えて、半割の筒状体で形成されているから、簡易な構成でカバー体を形成できるとともに、後付けで簡単に保護管の端部に取付けることができ、保護管の端部から露出する流体管を覆って保護することができる。
【0021】
請求項2及び請求項3の発明は、信号線引出孔が、係止手段による係止操作に連動して、一方の半割体の係止片に突設された閉塞蓋によって閉塞されるから、別途に閉塞操作を行なわなくても信号線引出孔を閉塞できる。したがって、閉塞状態を確認したり、これに注意を払うことなく確実に信号線引出孔を閉塞し、内部への異物の混入を防止することができる。そして、信号線を引き出す必要のあるときは、閉塞蓋を操作して信号線引出孔を開口させることができる。
また、別途に閉塞蓋を設ける必要がないから、簡易な構成で安価に信号線引出孔を閉塞することができる。
【0022】
請求項4の発明は、信号線引出孔が、その周縁の一部に突設された閉塞蓋によって閉塞されるから、請求項2及び請求項3と同様の効果を奏する。
【0023】
請求項5の発明は、保護管相互を連結すべく、管軸方向の両端部に接続部を備えているから、保護管を連結する箇所において通信線を引き出すことができる。
【0024】
請求項6の発明は、筒状体の管軸方向の一端部に、内部に複数の流体管が挿通される保護管Aが接続され、他端部に、内部に流体管が個別に挿通される保護管Bが複数接続されるようになっているから、1つのカバー体で複数の保護管Bを接続でき、部品コストを低減できる。そして、管継手に行きと戻りの流体管が接続される給湯器等に信号線を接続するものなどにおいて好適に利用できる。
【0025】
請求項7の発明は、係止手段が、筒状体の管軸方向の中央部1箇所に設けられているから、1箇所の係止のみで、一対の半割体の側端部相互をバランスよく係止させて安定した筒状体を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
〈第1実施形態〉
以下、本発明の第1実施形態の流体管のカバー体を図面に基づいて説明する。本実施形態では、流体管として通水管を使用し、給湯器の管継手に通水管を接続するものを例示する。ここで、図1は本発明の第1実施形態のカバー体の取付箇所を示し、図2は図1の管継手、図3乃至図6はカバー体を示す。
【0027】
図1において、住宅の追い炊き機能付きの給湯器2の底面には行きと戻りの通水のための2個の管継手61が設けられている。これらの管継手61にはそれぞれ給湯器2からの温水を図示しない台所、浴室、トイレ、洗面等の給水栓に送るための通水管3と、浴室や床暖房等から追い炊きするために戻る通水管3とが接続されている。これら両通水管3はこれを保護するための鞘管4内に挿通されており、2本を並列した状態で1本の鞘管4内に収められている。また、この鞘管4には、通水管3と並行して、給湯器2に指令信号、制御信号等の電気信号を送るための信号線5が挿通されている。一方、通水管3を給湯器2の管継手61に接続する部分には、接続のために鞘管4から所定長引き出された通水管3の外側に全長が通水管3の引き出し部の長さより短い端末保護管11が外挿されている。更に、この端末保護管11と鞘管4との間にはカバー体21が取付けられている。なお、これら鞘管4、カバー体21及び端末保護管11によって通水管の保護構造1が構成されている。ここで、前記鞘管4は、請求項の保護管及び保護管Aに相当する。また、前記端末保護管11は、請求項の保護管及び保護管Bに相当する。
【0028】
前記通水管3は、可撓性を有する架橋ポリエチレン管、ポリブテン管等の合成樹脂管からなり、内部を水道水、温水等の流体が流れる。
次に、この通水管3の配管経路全体に至ってその外側に外挿され、通水管3とで二重管を形成する鞘管4は、可撓性を有し、外面波付で、架橋ポリエチレン管等の合成樹脂管からなる。この鞘管4は、通水管3の外側を覆い、通水管3が外部物体によって傷付いたり、損傷するのを防止し、紫外線による劣化を防ぎ、更に、管継手61などからの漏水を一時的に溜めておくために用いられる。
【0029】
次に、給湯器2の管継手61は、各種の接続構造により通水管3の端部を接続することができ、本実施形態においては、図2に示すように、金属製の継手本体62と金属製の締付リング63とで構成され、通水管3の先端部を接続し固定するものを示す。
【0030】
本実施形態の管継手61の継手本体62は略中央に六角形状の鍔部64を備え、その一側には外周面に雄ねじ部66を有する第1円筒部65が設けられ、継手本体62はこの第1円筒部65において給湯器2に接続されるようになっている。鍔部64の他側即ち通水管3の接続側には第2円筒部67が設けられている。この第2円筒部67の管軸方向の略中間位置には、外方に突出する断面略L字状の環状段部68が一体に設けられており、この環状段部68の内部側には通水管3の先端部が収容され、環状段部68の内側底面68aには通水管3の先端が当接するようになっている。第2円筒部67において環状段部68から管接続側の先端までの部分は通水管3の内径より僅かに大きい外径を有する接続筒部69となっており、この接続筒部69の外面には通水管3が圧入され、接続されるようになっている。そして、接続筒部69の外面の管軸方向の2箇所には、通水管3の内面に食い込んで該通水管3の抜脱を防止する環状突起69aが設けられている。更に、前記環状段部68の外周壁には周方向の複数箇所に円弧状の切欠窓70が形成されており、この切欠窓70を透して内部の通水管3の先端部の位置を視認し、通水管3の先端部の挿入状態を確認できるようになっている。
【0031】
前記管継手61の締付リング63は、略円筒状に形成され、内径は通水管3の外径より僅かに小さい大きさとなっていて、この締付リング63を通水管3の外面に強制的に圧入することにより、第2円筒部67の接続筒部69とで通水管3を強固に挟み込んで固定するようになっている。
【0032】
次に、前記端末保護管11は、内径が通水管3の外径より大きく、この通水管3の外側に嵌挿して保護するものであり、曲がり部にも対応できるよう可撓性を有し、伸縮性に乏しく、外面波付で、架橋ポリエチレン管等の合成樹脂管からなる。また、端末保護管11は管継手61の締付リング63と略同一の外径に形成されており、端末保護管11と締付リング63とは端部相互が当接するものとなっている。端末保護管11の全長は鞘管4の端部から引き出された通水管3の引き出し部の長さより短いものとなっており、具体的には、管継手61との接続代と接続作業に必要な作業代とを加えた接続作業代Tだけ短いものとなっている。したがって、通水管3は端末保護管11から前記接続作業代Tの長さだけ外部に突出することになる。
【0033】
次に、前記カバー体21は、図3乃至図6に示すように、半割の筒状体で形成され、外壁22の管軸と直交する横断面の形状は略小判形状をなしている。カバー体21の一端部には、鞘管4の端部が挿通される略小判形状の鞘管挿通孔23が1個設けられているとともに、鞘管4の端部が連結される鞘管連結部24が設けられている。一方、カバー体21の他端部には、端末保護管11の端部が挿通される円形状の保護管挿通孔25が2個並設されているとともに、端末保護管11の端部が連結される保護管連結部26が設けられている。前記鞘管連結部24は鞘管4の断面形状に合致させて外壁22の端縁部から内部側に直角に屈曲し突出するフランジ27によって形成され、このフランジ27の先端部は外面波付の鞘管4の谷部12に嵌入、係止してこの鞘管4を抜け止め状態に連結する。一方、前記保護管連結部26は並列状態の2本の端末保護管11を連結すべく、2本の端末保護管11の外面の断面形状に合致させて外壁22の端縁部から内部側に直角に屈曲し突出するフランジ27によって形成され、このフランジ27の先端部は外面波付の各端末保護管11の谷部12に嵌入、係止して各端末保護管11を抜け止め状態に連結する。
なお、前記鞘管連結部24及び保護管連結部26は、請求項の接続部に相当する。
【0034】
本実施形態におけるカバー体21は、割面28において分割された2つの半割体で構成され、左右略対象の第1半割体31と第2半割体41との間に管軸方向に薄肉形成してなる第1ヒンジ29が設けられ、この第1ヒンジ29を軸に第1半割体31と第2半割体41とを相対的に回動して閉じることにより、筒状体に形成されるものとなっている。このカバー体21は合成樹脂で形成され、第1半割体31及び第2半割体41が展開された形態で樹脂の一体成形により形成することができる。したがって、安価に製造することができる。
【0035】
このように形成されたカバー体21により、鞘管4と端末保護管11とは端部相互が所定距離離間した状態で管軸方向に連結される。ここで、前記所定距離とは、通水管3を管継手61に接続するために必要な接続作業代Tに相当する。即ち、カバー体21の両側の鞘管連結部24及び保護管連結部26は、鞘管4と端末保護管11との端部相互が接続作業代Tだけ離間した状態で連結可能に設けられている。
【0036】
更に、前記カバー体21の第1半割体31は、展開状態の第1半割体31と第2半割体41とを第1ヒンジ29を軸に閉じてこの第1ヒンジ29と反対側の側端部32及び側端部42相互を係止して筒状体を形成すべく、半割の筒状体の外壁22の割面28である第1ヒンジ29と反対側の側端面33の中間部から僅かに第1ヒンジ29側に離間した側端部32の位置に、被係止突起34が一体に設けられている。この被係止突起34はL字板状に形成され、屈曲先端部は後述する第2半割体41の係止部48と係止する被係止部35を形成している。加えて、この被係止部35の管軸方向の両側には、コ字状に切欠され、1辺側が割面28である側端面33に開口する左右一対の矩形状の第1切欠孔36,36が形成されている。更に、この第1切欠孔36の周縁2辺には第1半割体31の外壁22の表面から僅かに突出する窓枠37が周縁に沿って一体に形成されている。
【0037】
一方、前記カバー体21の第2半割体41は、第1半割体31の被係止部35に対応して、半割の筒状体の外壁22の割面28である第1ヒンジ29と反対側の側端面43の中間部から僅かに第1ヒンジ29側に離間した側端部42の位置に、矩形板状の係止片44が外壁22との接合部を基端として水平方向に一体に突設されている。この係止片44はその基端に薄肉形成により設けられた第2ヒンジ45を軸に回動できるようになっている。係止片44には角孔からなる係止孔46が設けられ、更に、この係止孔46より先端側は傾斜面となっており、この傾斜面は指で摘んで係止片44を回動操作するための摘み部47を形成している。また、係止孔46の摘み部47と隣接する周縁部は、第1半割体31の被係止部35に係止する係止部48を形成している。この係止部48は第1半割体31の被係止部35とともに、請求項の係止手段を構成する。
【0038】
更に、係止片44の両側部には矩形板材からなり、後述する信号線引出孔30を閉塞する閉塞蓋49が側方に向けて一体に突設されている。この閉塞蓋49は、第2ヒンジ45を軸に係止片44を回動してその係止部48を第1半割体31の被係止部35に係止させる操作に連動して信号線引出孔30を閉塞するようになっている。加えて、閉塞蓋49は、係止片44との間に薄肉形成により設けられた第3ヒンジ50を軸に回動できるようになっており、更にはこの第3ヒンジ50に沿って折り取ることも可能となっている。
【0039】
また、第2半割体41の割面28周辺の外壁22には、第1半割体31の2個の第1切欠孔36と対向する位置にそれぞれ、コ字状に切欠され、1辺側が割面28である側端面43に開口する左右一対の矩形状の第2切欠孔51,51が形成されている。更にこの第2切欠孔51の周縁2辺には第2半割体41の外壁22の表面から僅かに突出する窓枠52が周縁に沿って一体に形成されている。この窓枠52は、第1半割体31の窓枠37とともに、閉塞蓋49の厚さと略同一の高さだけ突出し、閉塞蓋49の周囲を囲ってこの部分の見栄えを良くするために設けられたものであり、必ずしも要するものではない。
【0040】
第2半割体41の2個の第2切欠孔51は、第1半割体31と第2半割体41とを相対的に回動し閉じることによって筒状体に形成したときに、対向する第1半割体31の2個の第1切欠孔36と連通し、この第1切欠孔36と一体となって、カバー体21の割面28に、2個の矩形状の信号線引出孔30を形成する。この信号線引出孔30は信号線5を外部に引き出すための孔であり、第3ヒンジ50を軸に閉塞蓋49を開方向に回動することにより、或いは第3ヒンジ50に沿って閉塞蓋49を折り取ることにより、信号線引出孔30を開口し、ここから信号線5を引き出すことができる。
【0041】
次に、通水管の給湯器の管継手への接続、及び保護管、カバー体の取付け等の手順を図7乃至図9に基づいて説明する。
まず、図7(a)に示すように、鞘管4内に並列に挿通されている行きと戻りの2本の通水管3を該鞘管4の端部から所定長引き出す。通水管3が引き出されたとき、その先端部は管継手61の外側において接続筒部69の上端部即ち環状段部68の内側底面68aとほぼ同一高さにある。そこで、通水管3を引き出した後は、通水管3や鞘管4を水平方向に多少曲げたり、撓ませたりしながら、通水管3の先端部を管継手61の接続筒部69の直下に位置させる。
【0042】
次に、図7(b)に示すように、2本の通水管3の引き出し部の外側にそれぞれ、全長が通水管3の引き出し部の長さより短い端末保護管11を外挿する。そして、更にこの端末保護管11を通水管3に沿って鞘管4側に移動させ、図7(c)に示すように、端末保護管11の下端を鞘管4の端部に当接させて、端末保護管11の上端部から通水管3の端部を突出させる。ここで、この突出長さは接続作業代Tに相当する。
【0043】
通水管3の端部において接続作業代Tを露出させたら、給湯器2の管継手61に通水管3を接続する。管継手61に接続するには、まず、図7(d)に示すように、管継手61の締付リング63を通水管3の端部に外挿しておき、この状態で通水管3の接続作業代Tの部分を把持し、工具を使用して、図8(e)に示すように、通水管3の端部を継手本体62の接続筒部69に外嵌し圧入する。次いで、挟み工具を使用して、継手本体62と締付リング63とを挟み、図8(f)に示すように締付リング63を継手本体62の環状段部68に当接するまで管軸方向に圧入し押し上げて通水管3の端部を継手本体62の接続筒部69とで強く挟み込む。
【0044】
そこで、次に、図8(g)に示すように、端末保護管11を管継手61の締付リング63の下端に当接するまで上方に引き上げる。これにより、通水管3において管継手61の直下に露出している部分は端末保護管11によって覆われ、保護される。しかし、端末保護管11が管継手61側に移動した分、端末保護管11と鞘管4との間の通水管3は露出状態となる。そこで、次に、図8(h)に示すように、この端末保護管11と鞘管4との間の通水管3の露出部にカバー体21を外側から嵌着し、このカバー体21によって前記通水管3の露出部を覆って保護する。
【0045】
ここで、通水管3の露出部を覆うカバー体21の取付けについて、図9に基づいて具体的に説明する。カバー体21は通常、図9(a)に示すような展開状態となっているので、最初に、第1半割体31を2本の通水管3における端末保護管11と鞘管4との間の露出部の裏側に配置し、第1半割体31の両端部のフランジ27に設けられた鞘管連結部24及び保護管連結部26をそれぞれ外面波付の鞘管4及び外面波付の端末保護管11の外面の谷部12に嵌入させる。次いで、第1ヒンジ29を軸に第2半割体41を回動して、図9(b)に示すように、割面28である第1半割体31の側端面33と第2半割体41の側端面43とを相互に当接させて閉じる。このとき、第2半割体41はその両端部のフランジ27に設けられた鞘管連結部24及び保護管連結部26をそれぞれ外面波付の鞘管4及び外面波付の端末保護管11の外面の谷部12に嵌入させながら回動して閉じる。そして、両半割体を閉じたら、図9(c)に示すように、第2半割体41の係止片44を第2ヒンジ45を軸に回動して係止孔46の一側の係止部48を第1半割体31の被係止突起34に設けられた被係止部35に係止させる。
【0046】
これにより、カバー体21の取付けが完了し、両半割体のそれぞれの両端部に設けられた鞘管連結部24及び保護管連結部26がそれぞれ鞘管4の外面の谷部12及び端末保護管11の外面の谷部12に嵌入し係止するので、鞘管4と端末保護管11とはこのカバー体21を介して管軸方向に相対的に移動するのが阻止され、両者の端部相互の間隔は一定に保たれる。ここで、前記間隔は、鞘管4と端末保護管11との間で通水管3に生じた露出部の長さ、即ち、通水管3の接続作業代Tに相当する。
【0047】
次に、通水管のカバー体の作用を説明する。
カバー体21は、第1半割体31と第2半割体41とを相対的に回動し閉じることによって筒状体に形成したときに、第1切欠孔36と第2切欠孔51とが割面28において連通し、信号線引出孔30を形成する。このため、鞘管4及びカバー体21内に挿通されている信号線5は、カバー体21の展開状態において、第1半割体31の第1切欠孔36の開口の上方から開口面に直交する状態で第1切欠孔36内に挿入することができる。そして、その後、筒状体に組み付けると、それに連動して一対の第1切欠孔36及び第2切欠孔51の開口が連通して信号線引出孔30が形成され、同時に、信号線5は信号線引出孔30内に挿通されることとなる。
その結果、穿孔具等を使用して鞘管4に新たに孔を設けることなく、また、穿孔具等の使用によって通水管3及び信号線5に傷を付けることなく、信号線5を配管途中から引き出すことができる。そして、従来のような、引出孔を通して鞘管4内の信号線5を挟持し、引出孔から引き出すという面倒な作業を行なうことなく、単に第1切欠孔36の開口の上方から信号線5を挿入し、筒状体に組み付けるだけで、信号線5を配管途中から簡単に外部に引き出すことができる。
【0048】
また、信号線引出孔30は、第1半割体31の被係止部35に第2半割体41の係止部48を係止すれば、その係止に連動して、第2半割体41の係止片44の両側端に一体に突設された閉塞蓋49が信号線引出孔30を閉塞する。したがって、別途に閉塞する操作を行なわなくても、信号線引出孔30は係止操作に連動して自然に閉塞される。これにより、信号線引出孔30から信号線5を引き出さないときには、常時、信号線引出孔30は閉塞蓋49によって閉塞され、カバー体21の内部に異物が混入するのを防止できる。また、別途に閉塞蓋を設ける必要がないから、簡易な構成で安価に信号線引出孔30を閉塞することができる。
【0049】
そして、信号線5を引き出す必要のあるときは、第3ヒンジ50を軸に閉塞蓋49を開方向に回動することにより、或いは第3ヒンジ50に沿って閉塞蓋49を折り取ることにより、信号線引出孔30を開口し、ここから信号線5を引き出すことができる。更に、信号線引出孔30は第2半割体41の係止片44の両側端に一対設けられているから、周辺の状況等に応じていずれかの信号線引出孔30を任意に選択して信号線5を引き出すことができる。
【0050】
加えて、カバー体21は、管軸方向の一端部に2個の保護管連結部26が設けられているので、1本の鞘管4内に並列して挿通された2本の通水管3を給湯器2の管継手61に接続するに際し、1個で、2本の端末保護管11と1本の鞘管4との間の通水管3の露出部を覆うことができ、部品コストを低減できる。
【0051】
更に、係止部48及び被係止部35からなる係止手段が、筒状体の管軸方向の中央部1箇所に設けられているから、1箇所の係止のみで、一対の半割体の側端部相互をバランスよく係止させて安定した筒状体を得ることができる。
【0052】
〈第2実施形態〉
次に、本発明の第2実施形態の流体管のカバー体を図10乃至図12に基づいて説明する。ここで、図10は本発明の第2実施形態のカバー体を示す側面図、図11は図10の断面図であり、図12は変形例を示す。なお、第1実施形態と同様の構成部位には同じ符号を付して詳説を省略する。
【0053】
図10(a)及び図11(a)は、第1ヒンジ29を軸に回動して第1半割体31及び第2半割体41を閉じ、係止手段の係止前のカバー体21を示し、第1半割体31の左右一対の矩形状の第1切欠孔36,36における割面28と反対側の破線で示す辺には、それぞれ第1切欠孔36の全体を覆う閉塞蓋38が一体に突設されている。そして、閉塞蓋38の基端には薄肉形成により第4ヒンジ39が設けられており、閉塞蓋38はこの第4ヒンジ39を軸に回動できるようになっており、更にはこの第4ヒンジ39に沿って折り取ることも可能となっている。同様に、第2半割体41の左右一対の矩形状の第2切欠孔51,51における割面28と反対側の破線で示す辺には、それぞれ第2切欠孔51の全体を覆う閉塞蓋53が一体に突設されている。そして、閉塞蓋53の基端には薄肉形成により第4ヒンジ54が設けられており、閉塞蓋53はこの第4ヒンジ54を軸に回動できるようになっており、更にはこの第4ヒンジ54に沿って折り取ることも可能となっている。
【0054】
一方、第2半割体41の係止片44には、第1実施形態においてその両側端に突設されている閉塞蓋49は設けられておらず、第2半割体41の係止片44は係止部48において第1半割体31の被係止部35と係止する機能のみを有する。なお、図10(b)は、第2半割体41の係止部48を第1半割体31の被係止部35に係止させた状態を示す。
即ち、第1実施形態の閉塞蓋49は、係止片44の両側端に設けられ、信号線引出孔30を間接的に閉塞するのに対し、第2実施形態の各閉塞蓋は、信号線引出孔30の開口縁部に設けられ、直接信号線引出孔30を閉塞する点において相違する。
【0055】
この第2実施形態のカバー体21において、鞘管4及びカバー体21内に配線された信号線5は、図11(b)に示すように、第1半割体31の閉塞蓋38及び第2半割体41の閉塞蓋53を、それぞれ第4ヒンジ39及び第4ヒンジ54を軸に回動し、或いはこれら第4ヒンジに沿って折り取ることによって、信号線引出孔30を開口状態とし、ここから外部に引き出すことができる。
【0056】
次に、このカバー体21の信号線引出孔30から鞘管4及びカバー体21内に挿通されている信号線5を引き出すには、まず、カバー体21を展開した状態で、左右一対の信号線引出孔30のいずれかを周辺状況等を考慮しながら任意に選択し、前述のようにして第1切欠孔36及び第2切欠孔51を開口状態とする。次いで、信号線5を第1半割体31の第1切欠孔36の開口の上方から開口面に直交する状態で第1切欠孔36内に挿入する。次に、第1ヒンジ29を軸に第2半割体41を第1半割体31側に回動することによって筒状体に組み付ける。すると、その回動に連動して一対の第1切欠孔36及び第2切欠孔51の開口が連通して信号線引出孔30が形成され、同時に、信号線5は信号線引出孔30内に挿通されることとなる。その後、第2半割体41の係止片44を第2ヒンジ45を軸に回動して係止部48を第1半割体31の被係止部35に係止させる。これにより、信号線引出孔30から信号線5の引き出しが完了し、両半割体は係止される。
【0057】
第2実施形態のカバー体21は、信号線引出孔30が割面28に連通して設けられているので、第1実施形態のカバー体21と同様に、展開状態において第1半割体31の第1切欠孔36の開口の上方から信号線5を挿入した後、第1半割体31と第2半割体41とを閉じて筒状体に組み付けると、それに連動して一対の第1切欠孔36及び第2切欠孔51の開口が連通して信号線引出孔30が形成され、同時に、信号線5は信号線引出孔30内に挿通される。
また、信号線引出孔30は、第1切欠孔36に一体に突設された閉塞蓋38及び第2切欠孔51に一体に突設された閉塞蓋53によって閉塞されているから、この信号線引出孔30から異物がカバー体21内に混入するのを防止できる。加えて、閉塞蓋は別途に設ける必要がないから、簡易な構成で安価に信号線引出孔30を閉塞できる。
そして、信号線5を引き出す必要のあるときは、対象となる信号線引出孔30のみについて、第4ヒンジ39を軸に閉塞蓋38を開方向に回動し、第4ヒンジ54を軸に閉塞蓋53を開方向に回動するなどして信号線引出孔30を開口し、ここから信号線5を引き出すことができる。
【0058】
ところで、第2実施形態のカバー体21の信号線引出孔30は、割面28を境として対向する第1切欠孔36及び第2切欠孔51によって形成しているが、図12(a)に示すように、いずれか一方の半割体、例えば図12(a)においては第1半割体31のみに、形成することもできる。この場合、第1切欠孔36は即ち信号線引出孔30になる。そして、信号線引出孔30は第1半割体31の閉塞蓋38のみによって開口可能に閉塞される。
【0059】
また、信号線引出孔30の開口を閉塞する閉塞蓋は、第1切欠孔36及び第2切欠孔51のそれぞれに形成しているが、図12(b)に示すように、いずれか一方の半割体の切欠孔、例えば図12(b)においては第2半割体41の第2切欠孔51の破線で示す辺のみに、信号線引出孔30全体を閉塞する閉塞蓋55を一体に突設してもよい。
更に、第2実施形態の各閉塞蓋は、各切欠孔の割面28と反対側の辺に突設しているが、各切欠孔の側辺のいずれかに設けてもよい。
【0060】
〈その他〉
ところで、上記各実施形態のカバー体21は、管軸方向の一端部に、2本の通水管3が挿通された鞘管4が連結され、管軸方向の他端部に、1本の通水管3が独立して挿通された端末保護管11が2個連結されているが、本発明を実施する場合には、これに限られるものではなく、鞘管4内に1本の通水管3のみが挿通されたもの、或いは3本以上の通水管3が挿通されたものにも同様に適用し得る。これらの場合において、例えば、通水管3が1本であるときは、カバー体21の一端部には1個の円形状の鞘管挿通孔23が設けられ、他端部には1個の円形状の保護管挿通孔25が設けられる。
【0061】
また、上記各実施形態のカバー体21は、鞘管4の端部と端末保護管11の端部との間に取付けられ、両者を連結するものを示しているが、図13に示すように、鞘管4の端部と管継手61との間に取付けられるものであってもよい。図13に示すものにおいては、カバー体21の一端部には、1本の通水管3が挿通された鞘管4が接続され、他端部には通水管3の挿通孔が1個形成され、1本の通水管3のみが貫通する。即ち、このカバー体21は、1個の保護管のみが接続されるものである。
【0062】
更に、上記各実施形態においては、鞘管4内に通水管3と1本の信号線5が挿通されているが、本発明は、鞘管4内に複数の信号線5が挿通されたものにも同様に適用される。
【0063】
加えて、上記信号線引出孔30は、2個設けているが、1個であってもよく、3個以上設けてもよい。また、上記信号線引出孔30は、カバー体21の外壁22の側端部に設けているが、これに限られるものではなく、カバー体21の管軸方向の端部に設けてもよく、或いは側端部と管軸方向の端部との双方に設けてもよい。
更に、上記信号線引出孔30は、矩形状に形成されているが、これに限定されるものではなく、丸孔、楕円孔等各種形状に形成することもできる。また、信号線引出孔30毎に互いに形状、大きさが相違していてもよい。
【0064】
加えて、上記信号線引出孔30は、その開口を閉塞する閉塞蓋をその基端に設けられたヒンジにおいて回動し、或いはヒンジに沿って折り取ることによって、開口させているが、他に、閉塞蓋全体を薄板に形成してこれを撓ませることによって開口させてもよく、また、閉塞蓋を蛇腹構造とし、これを収縮させることによって開口させることも可能である。
【0065】
そして、上記実施形態のカバー体21は、第1半割体31と第2半割体41とを第1ヒンジ29を軸に回動し、第2半割体41の係止部48を第1半割体31の被係止部35に係止させて筒状体に形成しているが、この係止手段に限られるものではない。また、前記係止手段は、各半割体の側端部の中央部1箇所に設けているが、側端部の両端2箇所などに設けてもよい。更に、カバー体21は、例えば、2個の半割体が互いに分離したものであって、各半割体のそれぞれの両側端部に係止手段を設け、両側端部において係止させて筒状体に形成するものとしてもよい。
【0066】
更に、上記実施形態の端末保護管11は、可撓性は有するものの、管軸方向への伸縮性に乏しいものを例示したが、伸縮性を有するものであってもよく、また、内径が管継手61の締付リング63や鍔部64の外径より大きく、管継手61に外嵌してこれに取付けられるものであってもよい。
【0067】
本発明に係るカバー体21は、上記実施形態では、鞘管4内に挿通された2本の通水管3を給湯器2の2箇所に設けられた管継手61に接続するものを例示したが、他に、例えば、床暖房などにおいて2本の流体管が並列して鞘管4内に挿通され、この鞘管4の端部から引き出されて床暖房用床板に設けられた管継手61に接続され、配管途中から信号線5が引き出されるものなどにおいても同様に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の第1実施形態の通水管のカバー体が取付けられている箇所を示す正面図である。
【図2】図1の管継手を示す分解正面図である。
【図3】図1のカバー体の斜視図であり、(a)は係止手段の係止前の状態、(b)は係止後の状態を示す。
【図4】図3のカバー体のC矢視図であり、(a)は係止手段の係止前の状態、(b)は係止後の状態を示す。
【図5】図3のカバー体を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。
【図6】図3のカバー体を示し、(a)は図5(b)のA−A切断線による断面図、(b)は図5(b)のB−B切断線による断面図である。
【図7】本発明の実施形態における通水管の接続手順及びカバー体の取付手順等を示す正面図である。
【図8】同じく、本発明の実施形態における通水管の接続手順及びカバー体の取付手順等を示す正面図である。
【図9】同じく、本発明の実施形態における通水管の接続手順及びカバー体の取付手順等を示す断面図である。
【図10】本発明の第2実施形態の通水管のカバー体を示す側面図であり、(a)は係止手段の係止前の状態、(b)は係止後の状態を示す。
【図11】(a)は図10のD−D切断線による断面図、(b)は信号線引出孔から信号線を引き出した状態を示す断面図である。
【図12】図10のカバー体の変形例を示す。
【図13】本発明の他の実施形態のカバー体を示す正面図である。
【符号の説明】
【0069】
3 通水管
4 鞘管
5 信号線
11 端末保護管
21 カバー体
22 外壁
23 鞘管挿通孔
24 鞘管連結部
25 保護管挿通孔
26 保護管連結部
28 割面
30 信号線引出孔
31 第1半割体
35 被係止部
38、49、53、55 閉塞蓋
41 第2半割体
44 係止片
48 係止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に流体管が挿通された保護管の端部に取付けられる流体管のカバー体であって、
半割の筒状体で形成され、
一対の半割体の側端部相互を係止させて前記筒状体に組み付ける係止手段と、
少なくとも管軸方向の一端部に設けられ、前記保護管の外面に係止して接続する接続部とを備え、
外壁に、前記保護管内に挿通された信号線を引き出すための信号線引出孔が前記筒状体の割面に連通して設けられたことを特徴とする流体管のカバー体。
【請求項2】
前記係止手段は、一方の半割体の外壁に基端を軸に回動可能に突設された係止片に形成された係止部と、他方の半割体の外壁に設けられて前記係止部と係止する被係止部とから成り、
前記信号線引出孔は、前記係止手段の近傍に設けられ、
前記一方の半割体の係止片に、前記信号線引出孔を開口可能に閉塞する閉塞蓋が一体に設けられ、
前記係止部を前記被係止部に係止させるべく前記係止片を回動させることに連動して前記信号線引出孔を閉塞可能であるとともに、
前記信号線引出孔に信号線を配置して前記半割体の側端部相互を当接させ、前記閉塞蓋を開口状態として前記係止片を回動させることにより前記係止部が前記被係止部に係止して前記筒状体に組み付け可能であることを特徴とする請求項1に記載の流体管のカバー体。
【請求項3】
前記信号線引出孔は、前記係止手段の側方の少なくとも一方に設けられ、
前記一方の半割体の係止片の側方に、前記閉塞蓋が一体に突設されたことを特徴とする請求項2に記載の流体管のカバー体。
【請求項4】
前記信号線引出孔の周縁の一部に、前記信号線引出孔を開口可能に閉塞する閉塞蓋が一体に突設されたことを特徴とする請求項1に記載の流体管のカバー体。
【請求項5】
前記筒状体は、保護管相互を連結すべく、管軸方向の両端部に前記保護管を接続する接続部を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の流体管のカバー体。
【請求項6】
前記筒状体の管軸方向の一端部に、内部に複数の流体管が挿通される保護管Aを接続可能な挿通孔が形成され、
前記筒状体の管軸方向の他端部に、内部に流体管が独立して挿通される保護管Bを接続可能な挿通孔が複数形成されたことを特徴とする請求項5に記載の流体管のカバー体。
【請求項7】
前記係止手段は、筒状体の管軸方向の中央部1箇所に設けられたことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の流体管のカバー体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−92140(P2009−92140A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−263715(P2007−263715)
【出願日】平成19年10月9日(2007.10.9)
【出願人】(000243803)未来工業株式会社 (550)
【Fターム(参考)】