説明

流体輸送装置

【課題】装置の小型化を図る。
【解決手段】弾性を有し、流体の流路を形成するチューブと、流路が円弧状になるようにチューブを案内する枠体と、円弧の中心を回転軸として回転する回転押圧板と、流路に沿って配置された複数の押圧体であって、それぞれ、回転軸の軸方向にチューブと重なるように設けられた複数の押圧体と、を備え、回転押圧板が回転する際に、回転押圧板が複数の押圧体を順次前記軸方向に押圧し、各押圧体がチューブを軸方向に押圧することによって、流体を流入側から流出側に輸送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体輸送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
流体輸送装置の一例として、チューブを円弧状に案内する枠体と、前記円弧の中心を回転軸として回転する偏心円形の板(カム)と、複数の押圧体(ポンプフィンガー)とを有する蠕動ポンプが知られている(例えば特許文献1参照)。このような流体輸送装置では、カムを回転することによって、複数のポンプフィンガーを順に円弧の半径方向に押圧して、チューブを閉塞していく。こうすることによりチューブの流体を流動させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3957322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した流体輸送装置では、カムとチューブの同一平面内に、チューブを押圧するためのポンプフィンガーが放射状に複数配置されている。具体的には、カムの外周にポンプフィンガーが配置され、ポンプフィンガーのさらに外周にチューブが配置されている。このため、従来の流体輸送装置では平面サイズが大きくなってしまい、装置の小型化が困難であるという問題点があった。
【0005】
本発明は、装置の小型化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための主たる発明は、
弾性を有し、流体の流路を形成するチューブと、
前記流路が円弧状になるように前記チューブを案内する枠体と、
前記円弧の中心を回転軸として回転する回転押圧板と、
前記流路に沿って配置された複数の押圧体であって、それぞれ、前記回転軸の軸方向に前記チューブと重なるように設けられた複数の押圧体と、
を備え、
前記回転押圧板が回転する際に、前記回転押圧板が前記複数の押圧体を順次前記軸方向に押圧し、各押圧体が前記チューブを前記軸方向に押圧することによって、流体を流入側から流出側に輸送する、
ことを特徴とする流体輸送装置である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施形態に係る流体輸送装置を用いた流体輸送器の斜視図である。
【図2】本実施形態に係る流体輸送装置の平面図である。
【図3】図2のA−A断面を示す断面図である。
【図4】回転押圧板の押圧部の断面図である。
【図5】押圧体の流路方向の配置を説明する概略図である。
【図6】図6A〜図6Dは本実施形態における流体輸送装置の流体輸送動作の説明図である。
【図7】図7A及び図7Bは、第2実施形態の回転押圧板の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
弾性を有し、流体の流路を形成するチューブと、
前記流路が円弧状になるように前記チューブを案内する枠体と、
前記円弧の中心を回転軸として回転する回転押圧板と、
前記流路に沿って配置された複数の押圧体であって、それぞれ、前記回転軸の軸方向に前記チューブと重なるように設けられた複数の押圧体と、
を備え、
前記回転押圧板が回転する際に、前記回転押圧板が前記複数の押圧体を順次前記軸方向に押圧し、各押圧体が前記チューブを前記軸方向に押圧することによって、流体を流入側から流出側に輸送する、
ことを特徴とする流体輸送装置。
このような流体輸送装置によれば、押圧部を放射状に設ける場合と比べて平面サイズを小さくすることができる。これにより装置の小型化を図ることができる。
【0009】
かかる流体輸送装置であって、前記複数の押圧体の少なくとも一つが前記チューブを閉塞していることが望ましい。
このような流体輸送装置によれば、流体を連続的に且つ安定して流動させることができる。
【0010】
かかる流体輸送装置であって、前記回転押圧板は、前記押圧体を押圧して前記チューブを閉塞する領域と、前記チューブを押圧から開放する領域とを有していてもよい。
このような流体輸送装置によれば、回転押圧板を回転することで、それぞれの領域を移動させることができ、これに基づいてチューブの流体を流動させることができる。
【0011】
かかる流体輸送装置であって、前記回転押圧板は、前記複数の押圧体と対向する側の面に、前記押圧体を押圧して前記チューブを閉塞するための突起部を複数有していてもよい。
このような流体輸送装置によれば、より安定して流体を流動させることができる。
【0012】
かかる流体輸送装置であって、前記突起部は、前記複数の押圧体と当接する部分が滑らかな剛体で形成され、前記回転押圧板との境界部分が弾性体で形成されていることが望ましい。
このような流体輸送装置によれば、突起部と押圧体とが当接する際のエネルギーの損失を低減することができる。
【0013】
かかる流体輸送装置であって、前記複数の押圧体は、前記回転押圧板と当接する部分が滑らかな剛体で形成され、前記チューブと接触する部分が弾性体で形成されていることが望ましい。
【0014】
このような流体輸送装置によれば、押圧体を確実に押圧することができる。
【0015】
===第1実施形態===
≪全体構成について≫
図1は、本実施形態の流体輸送装置を用いた流体輸送器の外観を示す斜視図である。図1において、流体輸送器10は、流体を蠕動運動によって輸送する流体輸送装置20と、流体を収容するパック状の流体収容容器90と、から構成されている。そして、流体輸送装置20と流体収容容器90とは、チューブ80によって連通されている。
流体収容容器90は、可撓性を有する合成樹脂からなり、本実施形態においては、シリコン系樹脂によって形成されている。流体収容容器90の一方の端部にはチューブ保持部92が設けられ、チューブ80が圧着または熱溶着または接着等の手段で、流体が漏洩しないように密閉固定されている。
なお、本発明で使用される流体としては、水や食塩水、薬液、油類、芳香液、インク等流動性がある液体の他、気体が含まれる。
【0016】
チューブ80は、一方の端部が流体収容容器90の内部に連通し、流体輸送装置20内を通り、流体輸送装置20の外部に延在され、流体収容容器90内に収容されている流体を流体輸送装置20によって外部に輸送する。
流体輸送装置20は、下蓋82、ポンプユニット枠31、チューブ枠32、上蓋81を順次重ねて、それらを固定螺子95(図は、上蓋固定螺子を示す)等によって一体化されている。この流体輸送装置20の内部に流体を輸送するための回転押出機構が格納されている。
なお、下蓋82、ポンプユニット枠31、チューブ枠32、上蓋81及び流体収容容器90は、流体輸送器10を生体に装着する場合においては、生体整合性の優れた材料、例えば、ポリスルホン、ウレタン等の合成樹脂を採用することが好ましい。
【0017】
≪流体輸送装置の構成について≫
続いて、流体を輸送するための機構について図面を参照して説明する。
図2は、本実施形態に係る流体輸送装置の流体を輸送するための機構を示す平面図であり、図3は、図2のA−A断面を示す断面図である。なお、図2は、説明を分かりやすくするために上蓋81を透視した状態を示している。図2、図3において、流体輸送装置20は、基本構成としてチューブ80に蠕動運動を与え、流体を輸送する回転押出機構としてのポンプユニット30と、ポンプユニット30を駆動するためのポンプ駆動ユニット60と、から構成されている。ポンプユニット30とポンプ駆動ユニット60とは、断面方向に重ねて構成されている(図3参照)。
【0018】
<ポンプ駆動ユニット60について>
まず、ポンプ駆動ユニット60の構造及び駆動について説明する。図3において、ポンプ駆動ユニット60は、板状の第1基板61と、第2基板62と、第3基版63とを備え、それぞれの基板の間の空間に、駆動力をポンプユニット30に与えるモーターと伝達輪列、及び駆動制御のための駆動回路(共に、図示せず)とが備えられている。
【0019】
モーターとしては、本実施形態においては、水晶時計等に採用されているステップモーターが採用され、ポンプユニット30の外側にコイルブロック70が配置されている。図示しないが、コイルブロック70と磁気接合されているステーターとステーター内部にローターが備えられており、駆動回路(図示せず)からの信号に基づいて回転される。駆動回路には、予め所定の駆動パターンが記憶されており、この駆動パターンに基づく信号によってステップモーターが駆動される。
【0020】
なお、図示しないが、駆動回路と駆動源としての電池とは、第1基板61と下蓋82とで形成される空間に配置され、電池は、コイルブロック70及び後述する伝達車とは交差しない位置に配置されている。また、前述したように、下蓋82は固定螺子96によって螺合固定されているために、下蓋82を取り外せば、電池交換を容易に行うことが可能な構造である。
【0021】
ローターの回転は、図示しない複数の伝達車によって所定の減速比に減速されて伝達一番車71に伝達される。伝達一番車71は、第2基板62に設けられた軸受77と第3基板63に立てられた伝達二番車軸72との間で軸支されている。伝達一番車71の回転は、伝達三番車73(図は省略している)を経て、伝達四番車74、伝達五番車75を経てポンプユニット30の中心に位置する回転板車56に伝達される。
【0022】
伝達四番車74は、伝達二番車軸72の中心軸部に回転可能に嵌められ、伝達五番車75は、第1基板61に設けられた支軸61Aに回転可能に嵌められている。
【0023】
ポンプ駆動ユニット60は、リング状のポンプユニット枠31の内部に、第1基板61が図示しない固定螺子によって螺合固定され、第2基板62と第3基板63とは、それぞれ所定の間隔を有して、図示しない固定螺子によって第1基板61に螺合固定されている。このようにして、ポンプ駆動ユニット60は、伝達五番車75を除いてユニット化されている。このポンプ駆動ユニット60の上部にポンプユニット30が装着されている。
【0024】
<ポンプユニット30について>
次に、ポンプユニット30の構造について説明する。図2、図3において、ポンプユニット30は、基本構成として、ポンプ駆動ユニット60から伝達される回転力によって回転される回転板車56と、回転板車56と一体で回転する回転押圧板50と、8本の押圧体41〜48と、流体を流動するチューブ80と、チューブ枠32及びスライド枠34が備えられている。なお、以下の説明において、回転押圧板50の回転の回転軸の方向(以下、軸方向ともいう)について、上蓋81側を上側とし、下蓋82側を下側とする。ここで、軸方向とは、回転押圧板50の中心軸(回転軸)に平行な方向、あるいは、回転押圧板50の面に垂直な方向(法線方向)のことである。
【0025】
また、図4は、回転押圧板の押圧部(後述する)の断面図であり、図5は押圧体の流路方向の配置を説明する概略図である。図5では、8本の押圧体のうちの一部(押圧体41、42)について示しているが、他の部分も同様の構成となっている。
【0026】
回転押圧板50は、円盤状の板部材からなり、回転中心部に回転板車56が設けられている。この回転板車56に伝達五番車75から回転力が伝達され、回転押圧板50が伝達二番車軸72を回転中心として回転する。回転板車56の中心の穴が伝達二番車軸72に挿入され、この伝達二番車軸72と上蓋81に設けられている軸受57とによって、回転板車56が軸支されている。
【0027】
また、回転押圧板50の外周部分には、等間隔(本実施形態では90度間隔)で放射状に4つの押圧部50a〜50dが設けられている。押圧部50a〜50dは、押圧体41〜48を押圧するためのものである。このように、本実施形態の回転押圧板50は、押圧部50a〜50dによって押圧体41〜48を押圧する領域と、押圧体41〜48を押圧しない領域とを有している。
【0028】
各押圧部の幅(回転方向の長さ)は、少なくとも押圧体41〜48の間隔よりも長くなっている。また、図4に示すように、各押圧部50a〜50dにおける回転方向下流側の端面は、下側部分(押圧体41〜48との当接部分)が傾斜面になるように面取りされている。
【0029】
回転板車56の外周には、リング状のスライド枠34が備えられている。このスライド枠34の中心も回転押圧板50の回転中心(回転軸)と一致しており、図示しない位置決め部材によって正確に位置が固定されている。また、スライド枠34の上部(チューブ80よりも上側部分)には、スライド枠34から外周側に突出するように複数のスペーサー34Aが設けられている。図5に示すように、これらのスペーサー34Aは、押圧体41〜48の各間に位置するように配設されている。
【0030】
スライド枠34の外周には、さらにリング状のチューブ枠32が備えられている。チューブ枠32も、スライド枠34と同様に中心が回転押圧板50の回転中心(回転軸)と一致している。なお、チューブ枠32及びスライド枠34は、チューブ80を円弧状に案内する枠体に相当する。
【0031】
チューブ80は、弾性を有する柔軟な材料によって形成されており、内部が流体の流動の経路(後述する流路84)になっている。チューブ80は、スライド枠34とチューブ枠32との間に形成された溝に沿って、図2で示すように円弧状に装着されている。
【0032】
押圧体41〜48は、円弧状に装着されたチューブ80上に、等間隔に並んで配置されている。つまり、押圧体41〜48は、それぞれチューブ80と軸方向に重なるようにして、円弧状に配置されている。また、押圧体41〜48は、上端部分が押圧部50a〜50d下端と当接する位置に設けられている。各押圧体において、押圧部50a〜50dと当接する部分は滑らかな剛体で形成されている。また、チューブ80と接触する部分は弾性体で形成されている。
【0033】
図5において、押圧体41、42は、流路方向(回転方向)の位置がスペーサー34Aで固定されつつ、それぞれ軸方向に移動可能になっている。また、押圧体41、42は、回転押圧板50の回転による力を、軸方向の力に変換するように、上端が曲面形状になっている。すなわち、流路方向(回転方向)に沿って厚さが緩やかに変化しており、端部の厚さが最小で、中央部の厚さが最大となっている。このため各押圧体は、押圧部50a〜50dに当接すると、押圧部50a〜50dに押圧され、軸方向下側(すなわちチューブ80側)に移動する。
【0034】
また、図5において、押圧体41〜48の下側端には鍔部が設けられている。この鍔部は、後述するように、スペーサー34Aからの抜け止めのために設けられている。
【0035】
なお、押圧体41〜48で形成される円弧の中心角度は90度以上である。さらに、前述したように、各押圧部の幅は、押圧体41〜48の間隔よりも長い。このため、押圧体41〜48の少なくとも一つの上には押圧部50a〜50dの何れかが位置することになる。例えば、図2では、押圧部50dが押圧体47上に位置している。また、この押圧部50dが、回転方向における最後段の押圧体48を通過するよりも前に、次の押圧部50cが最前段の押圧体41を押圧する。つまり、チューブ80は少なくとも円弧のどこかで閉塞していることになる。こうすることで、流体の逆流を防ぐことができ、流路方向に確実に輸送できる。
【0036】
≪流体輸送装置の動作について≫
続いて、本実施形態における流体の輸送動作にについて図6A〜図6Dを参照して説明する。図6A〜図6Dは本実施形態における流体輸送装置の輸送動作の説明図である。
【0037】
回転押圧板50は、ポンプ駆動ユニット60によって、流体の流路方向(図2参照、本実施形態では反時計方向)に回転する。図2の状態のとき、図6Aに示すように、回転押圧板50の押圧部50cが押圧体41に近づいている。
【0038】
押圧部50cが押圧体41に当接すると、押圧部50cは、押圧体41をチューブ80の弾性力に抗して下側(チューブ80側)に押圧しつつ回転方向に進む。こうして、押圧体41は押圧部50cに押圧されて、図6Bに示すようにチューブ80(流路84)を閉塞する。
【0039】
さらに回転押圧板50が回転すると、図6Cに示すように、押圧部50cは、押圧体41と押圧体42を同時に押圧する。これにより、図6Bで押圧体42の下側にあった流体が流路方向の下流側に流動する。
【0040】
さらに、回転押圧板50が回転すると、図6Dに示すように、押圧部50cは、押圧体41を通り過ぎ、押圧体42のみを押圧するようになる。押圧体41の下側ではチューブ80は押圧から開放されて、流路方向の上流側から流体が流れ込む。このとき、押圧体41は、チューブ80によって上側に押圧されるが、抜け止め用の鍔部によってスペーサー34Aの位置で停止する。
【0041】
回転押圧板50の回転が進むことによって、後段の押圧体(押圧体43〜48)についても同様の動作が行われる。このようにチューブ80を順次押圧していく運動を蠕動運動と呼び、この蠕動運動によってチューブ80を圧搾して流体を輸送する。
【0042】
もし、仮に、回転押圧板50と押圧体41〜48とチューブ80を同一平面上に形成し、回転押圧板50の回転によって半径方向に押圧体41〜48を押圧することでチューブ80を閉塞して流体を輸送するという構成にすると、平面サイズが大きくなり装置の小型化が困難になる。これに対し、本実施形態では、チューブ80と押圧体41〜48とを回転押圧板50の回転軸の軸方向に配置している。そして、回転押圧板50(押圧部50a〜50d)によって押圧体41〜48を軸方向に押圧することによりチューブ80を閉塞させている。こうすることにより、平面サイズを小さくすることができるので装置の小型化を図ることができる。
【0043】
===第2実施形態===
第2実施形態では回転押圧板の構成が第1実施形態と異なる。なお、回転押圧板以外の構成は第1実施形態と同様であるため図示及び説明を省略する。
【0044】
図7A及び図7Bは、第2実施形態の回転押圧板50´の説明図である。図7Aは第2実施形態の回転押圧板50´を上側から見た平面図であり、図7Bは、図5Aの矢印側から見た側面図である。
【0045】
第2実施形態の回転押圧板50´は完全な円形状であり、回転押圧板50´の半径は、回転中心からチューブ80までの距離(以下、円弧の半径ともいう)よりも長くなっている。
【0046】
また、回転押圧板50´の下面には、等間隔(本実施形態では90度間隔)で4つの突出部51〜54が設けられている。この突出部51〜54は、円弧の半径に対応する位置(すなわちチューブ80上に相当する位置)に設けられている。
【0047】
突出部51〜54は、第1実施形態の押圧部50a〜50dと同様の断面形状をしている。すなわち、回転方向下流側の端面が面取りされている。なお、突出部51〜54は、それぞれ、回転押圧板50´との境界部分が弾性体で構成されており、それ以外は剛体材料で構成されている。
【0048】
突出部51〜54は、回転押圧板50´が回転する際に、第1実施形態の押圧板50a〜50dと同様に押圧体41〜48を押圧していく。このことによる流体の輸送の動作については第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。なお、突出部51〜54において、回転押圧板50´との境界部分が弾性体で構成されているので、各突出部が押圧体41〜48と当接する際の回転押圧板50にかかる衝撃を緩和できる。
【0049】
このように、第2実施形態では、円形状の回転押圧板50´の下に突出部51〜54を設けた構造になっているので、軸方向についての強度が増し、撓みが生じにくくなる。これにより、回転押圧板50´を安定して回転させることができるとともに、チューブ80を閉塞させる際の確実性を高めることができる。よって、チューブ80の流体をより確実に輸送することができる。
【0050】
===その他の実施形態===
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。
【0051】
<流体輸送装置について>
前述した実施形態の流体輸送装置は、様々な機械装置の装置内、または装置外に適用することができ、水や食塩水、薬液、油類、芳香液、インク、気体等の流体の輸送に利用することができる。また、前述した実施形態の流体輸送装置は、流体の流量を精度良く管理できるので、流体収容容器内に薬剤等を収容して生体内に植え込むことができ、新薬の開発や治療等に採用するのに適している。
【0052】
<押圧体について>
前述した実施形態では、押圧体は8個(押圧体41〜48)であったが、これには限られず複数であればよい。また、前述した実施形態では、押圧体41〜48の上端部分の形状は曲面であったが、これ以外の形状でもよい。例えば、流路方向の上流側が傾斜面になっていてもよい。
【0053】
また、前述した実施形態では、軸方向の下側に押圧していたが、例えば、チューブと押圧体と回転押圧板の配置を逆にして、軸方向の上側に押圧するようにしてもよい。
【0054】
<回転押圧板について>
前述した実施形態では、押圧体を押圧する部分は90度間隔で4つ(押圧部50a〜50d、突出部51〜54)であったが、これには限られず、例えば3つでもよいし、5つ以上であってもよい。
【符号の説明】
【0055】
10 流体輸送器、20 流体輸送装置、
30 ポンプユニット、31 ポンプユニット枠、
32 チューブ枠、34 スライド枠、34A スペーサー、
41〜48 押圧体、
50 回転押圧板、50a〜50d 押圧部、
51〜54 突出部、56 回転板車、57 軸受、
60 ポンプ駆動ユニット、61 第1基板、61A 支軸、
62 第2基板、63 第3基板、
70 コイルブロック、71 伝達一番車、72 伝達二番車軸、
73 伝達三番車、74 伝達四番車、75 伝達五番車、77 軸受、
80 チューブ、81 上蓋、82 下蓋、84 流路
90 流体収容容器、92 チューブ保持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性を有し、流体の流路を形成するチューブと、
前記流路が円弧状になるように前記チューブを案内する枠体と、
前記円弧の中心を回転軸として回転する回転押圧板と、
前記流路に沿って配置された複数の押圧体であって、それぞれ、前記回転軸の軸方向に前記チューブと重なるように設けられた複数の押圧体と、
を備え、
前記回転押圧板が回転する際に、前記回転押圧板が前記複数の押圧体を順次前記軸方向に押圧し、各押圧体が前記チューブを前記軸方向に押圧することによって、流体を流入側から流出側に輸送する、
ことを特徴とする流体輸送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の流体輸送装置であって、
前記複数の押圧体の少なくとも一つが前記チューブを閉塞している
ことを特徴とする流体輸送装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の流体輸送装置であって、
前記回転押圧板は、前記押圧体を押圧して前記チューブを閉塞する領域と、前記チューブを押圧から開放する領域とを有する
ことを特徴とする流体輸送装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の流体輸送装置であって、
前記回転押圧板は、前記複数の押圧体と対向する側の面に、前記押圧体を押圧して前記チューブを閉塞するための突起部を複数有する
ことを特徴とする流体輸送装置。
【請求項5】
請求項4に記載の流体輸送装置であって、
前記突起部は、前記複数の押圧体と当接する部分が滑らかな剛体で形成され、前記回転押圧板との境界部分が弾性体で形成されている、
ことを特徴とする流体輸送装置。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかに記載の流体輸送装置であって、
前記複数の押圧体は、前記回転押圧板と当接する部分が滑らかな剛体で形成され、前記チューブと接触する部分が弾性体で形成されている
ことを特徴とする流体輸送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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