説明

流動制御方法および流動制御装置、インクジェット装置、サンプリング装置

【課題】 マイクロチャネル内を流れる流体の流動を容易に制御することができる流動制御方法および流動制御装置を提供する。
【解決手段】 直線状の主流路30と、当該主流路30を流れる流体(A)と異なる流体を供給するために主流路30に対して25°〜45°の範囲内となるように線対称に設けられた側供給口22および当該流体(A)および/または流体(B)を排出するために主流路30に対して線対称に設けられた側排出口24とを備え、主流路30内を層流状態で流れる流体の流動方向を制御するマイクロデバイス10であって、上記主流路30および側供給口22に流体を供給するマイクロシリンジ2と、上記側供給口22に供給される流体(B)の流量が主流路30に供給される流体(A)の流量に対して、5倍未満となる状態と8倍以上となる状態とを切換可能に、流体(A)および/または流体(B)の流量比を制御する制御装置3とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロチャネル(微小流路)内を流れる被制御流体の流路を切り替える方法、例えばマイクロデバイスにおいて流路を切り替える流動制御方法および流動制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マイクロ化学システムにおいて、マイクロチャネル内の流体の流動制御は必須の技術のひとつである。マイクロチャネル内を流れる流体の流動を制御することにより、化学反応を分子レベルで制御することができる。
【0003】
そして、一般に流路を流れる流体を直接制御する方法としては、例えば、流路中にバルブを設け、このバルブを操作する方法があり、マイクロ化学システムの分野においても種々のマイクロバルブが提案されている。
【0004】
マイクロ化学システムにおけるマイクロバルブは、弁を物理的に可動させて開閉することで、マイクロチャネル内を流れる流体を制御する形式のものと、マイクロチャネル(微小流路)内壁の化学的な性質の相違に基づく圧力損失や濡れ性の差を利用して、流体を制御する形式のものとに大別できる。
【0005】
上記物理的に弁を可動させて開閉する形式のマイクロバルブの一例としては、例えば、メンブレンタイプのマイクロバルブが挙げられる(非特許文献1、特許文献1参照)。
【0006】
また、物理的にマイクロチャネル内を流動する流体を制御する方法としては、他にスライド型マイクロバルブが挙げられる(非特許文献2)。
【0007】
このタイプはマイクロチップ内の一部を切断してスライド可動させることにより、マイクロチャネル(微細流路)の切断・再結合を行いバルブ動作によるデッドボリュームを少なくした方式である。
【0008】
さらに、物理的にマイクロチャネル内を流動する流体を制御する方法としては、特許文献2に開示のように、磁性流体をマイクロチャネル内に配置し、この磁性流体を移動させることにより、流体の流動方向を制御する構成がある。
【0009】
一方、マイクロチャネル(微小流路)内壁の化学的な性質の相違に基づく形式のマイクロバルブとして温度応答性高分子を利用した一例が提案されている(例えば、非特許文献3参照)。
【0010】
具体的には、上記非特許文献2に開示の構成では、マイクロチャネル内に、温度応答性高分子を配置して、熱や光等の外部刺激を上記温度応答性高分子に与えることにより、当該温度応答性高分子の表面の濡れ性や体積を変化させることを利用して、流体の流動を制御している。
【特許文献1】特開平7−158757号公報(公開日:1995年6月20日)
【特許文献2】特開2004−77258号公報(公開日:2004年3月11日)
【非特許文献1】細川ら“シリコンラバーマイクロバルブ”AIST Today pp.16, 9(2001)
【非特許文献2】桑田ら“スライド型マイクロバルブの開発”第8回化学とマイクロ・ナノシステム研究会講演要旨集P2−04(2003)
【非特許文献3】土井ら“刺激応答性高分子グラフト鎖を有する高分子粒子を用いたマイクロチャネル内の液流動制御”化学工学会第69回年会予稿集N108(2004)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記従来の構成では、以下に示すような問題がある。
【0012】
上記特許文献1や非特許文献1に開示の構成では、物理的に弁を開閉させる方式を採用する場合、メンブレン部分にデッドボリュームが多いことや、弁を開閉させることしかできないため、流体の流れ方向を切り替えたりインジェクション機能を実現させるためには複数のバルブが必要となる。
【0013】
また、バルブを駆動するための配管や配線を接続するための構造が必要となり、マイクロデバイスの集積化が進むにつれデバイスの構造が飛躍的に複雑化する問題がある。さらに、配管や配線を設ける必要があるため、マイクロデバイスの強度を高める必要があることから、マイクロデバイスのサイズを小さくすることが困難である。
【0014】
また、上記非特許文献2に開示の方法では、スライド移動に相当の時間を必要とするため、オンサイト分析としての利用は現状では困難である。また、流体を流している最中に、流路の一部をスライドさせて、流体の流れを止めるため、流体が他の部分に流れ出すことを防止する必要があり、装置を製造する際に厳密な寸法精度が要求される。つまり、上記非特許文献2の構成では、装置を製造することが非常に困難である。
【0015】
また、上記特許文献2に開示のように、マイクロチャネル内に磁性流体を配置した場合、マイクロチャネル内を流動させる流体の種類によっては、磁性流体と化学反応を起こす場合がある。また、上記磁性流体の移動を制御するために、磁性流体に対して磁界を印加する構成が必要になるため、装置が大型化するという問題点がある。さらには、マイクロチャネル内を流す流体の流速よっては、磁性流体も流体とともに流れてしまう場合があり、確実に流体の流動方向を制御することが困難である。
【0016】
また、上記非特許文献3に開示のように温度応答性高分子の濡れ性や体積変化を利用する場合には、当該温度応答性高分子の濡れ性や体積変化が長時間持続することや、濡れ性や体積変化を可逆性に変化させることが重要であるが、現在ではそこまでの技術には到達していない。つまり、現在の温度応答性高分子では、ある一定の温度をかけることで体積を変化させることが可能であるが、元に戻すことができない。従って、上記特許文献2に開示の方法では、流体の流動を制御するための弁として用いることができない。
【0017】
このように、上記従来の構成では、マイクロチャネル内を流れる流体の流動方向を制御するためには、装置の構成が複雑になり装置が大型化するという問題点がある。
【0018】
本発明は、上記の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、微小な流路(マイクロチャネル)を流れる流体の流動を容易に制御することができる流動制御方法および流動制御装置、ならびに、上記流動制御方法を用いたインクジェット装置およびサンプリング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本願発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、特定の形状の流路を有するマイクロデバイスに特定の条件となるように流体を供給することにより、流路を流れる流体の流動を制御できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0020】
すなわち、本発明にかかる流動制御方法は、直線状の主流路と、当該主流路に流体(A)を略直線状に供給する主供給口と、上記流体(A)と異なる流体(B)を供給するために主流路に対して25°〜45°の範囲内で線対称に設けられた側供給口と、当該流体(A)および/または流体(B)を排出するために主流路に対して線対称に設けられた側排出口と、主流路を流れる流体(A)および/または流体(B)を排出する主排出口とを備えたマイクロデバイスの主流路内を層流状態で流れる流体を制御する流動制御方法であって、上記主流路に対して線対称となるように主供給口を挟んで両側の側供給口から供給される流体(B)の流量がそれぞれ0.9m/m・s以上となるように、流体(B)の流量を制御するとともに、上記主流路から見て両側の側供給口から供給される流体(B)の単位時間当たりの流量が、それぞれ主供給口から供給される流体(A)の単位時間当たりの流量に対して、5倍未満となる状態と8倍以上となる状態とを切換可能に、流体(A)および/または流体(B)の流量比を制御することにより、流体(A)の排出先を変更することを特徴としている。
【0021】
マイクロデバイスの主供給口から供給され主流路を流れる流体(A)に対して、上記側供給口から流体(A)と異なる流体(B)を主流路に対して線対称となるように供給すると、互いに異なる流体(流体(A)と流体(B))は、マイクロチャネル(主流路)内を層流状態で流れることとなる。そして、通常は、主流路を流れる流体(A)は、主排出口のみ、または、主排出口と上記側排出口とから排出される。また、主流路を流れる流体(A)が上記側排出口から排出されずに主排出口のみから排出される場合、主供給口から供給された流体(A)と側供給口から供給された流体(B)とは、主流路を互いに隣接するように層流状態で流れることとなる。このようなマイクロデバイスでは、マイクロチャネル内を層流で流れる互いに異なる流体層間で化学反応や抽出等の操作を行うために利用される。
【0022】
上記の構成によれば、主供給口と、上記主流路に対して25°〜45°の範囲内となるように線対称に設けられた側供給口とを備えたマイクロチャネルにおいて、上記主流路に対して線対称となるように主供給口を挟んで両側の側供給口から供給される流体(B)の流量(一方の側の側供給口が複数ある場合には、その合計の流量)がそれぞれ0.9m/m・s以上となるように流体(B)の流量を制御するとともに、主供給口から供給される流体(A)の単位時間当たりの流量に対する、上記主流路から見て一方の側の側供給口から供給される流体(B)の単位時間当たりの総流量、すなわち、流体(B)の流量/流体(A)の流量が、5未満となる状態と8以上となる状態とを切り替えることができるように、流体(A)および/または流体(B)の流量比を制御している。また、このとき、主流路を挟んで両側の側供給口から供給する流体(B)は、上記の条件を満足するように供給されている。具体的には、主供給口または側供給口に供給する流体(A)または流体(B)の、少なくとも一方の流量を制御することにより、上記流路比を制御している。
【0023】
上記主流路を挟んで両側の側供給口に供給される流体の流量をそれぞれ0.9m/m・s以上とし、上記流体(B)の流量/流体(A)の流量が5未満となるように流体(A)および/または流体(B)の流量を制御した場合、上記流体(A)は、主流路または主流路と側排出口とに流れることとなる。一方、上記主流路を挟んで両側の側供給口に供給される流体の流量をそれぞれ0.9m/m・s以上とし、単位時間当たりの流体(B)の流量/流体(A)の流量が8以上となるように流体(A)および/または流体(B)の流量比を制御した場合、上記流体(A)は、側排出口から排出されることとなる。また、上記流体(B)の流量/流体(A)の流量が8以上となるように流体(A)および/または流体(B)の流量比を制御した場合であっても、上記両方の側供給口に供給される流体の流量がそれぞれ0.9m/m・sよりも小さい場合には、上記流体(A)は、主排出口または主排出口と側排出口とに流れることとなる。
【0024】
つまり、主流路に供給された流体(A)は、上記両側の側供給口に供給される流体(流体(B))の流量を0.9m/m・s以上とし、上記流体(B)の流量/流体(A)の流量が8以上の場合には、流体(B)の影響により、主流路の端を流れることとなり、側排出口に流れることとなる。従って、上記両側の側供給口に供給される流体の総流量を0.9m/m・s以上とし、流体(B)の流量/流体(A)の流量が8以上となるように、流体(A)および/または流体(B)を流すことにより、流体(A)を主排出口から排出されることなく、側排出口から排出することができる。
【0025】
このように、流体(B)の流量/流体(A)の流量比を制御することで、流体(A)の排出先を制御することができる。
【0026】
また、従来の物理的に弁等を設けて流体の流動を制御する構成に比べて、当該弁等の特別な構成を付すことなく、流体の流動制御を行うことができる。また、上記マイクロデバイスは、流路等がμmサイズのため、従来の弁等を設ける場合には、装置が大きくなってしまうが、上記構成のように、流体の流動制御を行うことにより、より小さく、かつ、簡単に流体の流動制御を行うことができる流動制御装置を提供することができる。
【0027】
また、本発明にかかる流動制御方法は、上記主流路の断面積が5×10−12〜1×10−5である構成がより好ましい。
【0028】
上記の構成によれば、マイクロチャネル内の断面積、すなわち、流体が流れる主流路の断面積を上記範囲内とすることにより、流体(A)および流体(B)の流量(すなわち、流体(A)と流体(B)との流量比)の制御を容易に行なうことができる。
【0029】
また、本発明にかかる流動制御方法は、上記側供給口から供給する流体(B)の単位時間当たりの流量が、主供給口の両側で同じになるように、当該流体(B)を供給する構成である。
【0030】
上記の構成によれば、主流路を挟んで両側に位置している側供給口から供給される流体(B)の単位時間当たりの流量が互いに同じになるように流体(B)を供給している。これにより、主流路を流れる流体(A)に対して、両側から均等に流体(B)を供給することができる。従って、主流路を流れる流体の流動をより容易に制御することができる。
【0031】
また、本発明にかかる流動制御装置は、上記の課題を解決するために、直線状の主流路と、当該主流路に流体(A)を略直線状に供給する主供給口と、上記流体(A)と異なる流体(B)を供給するために主流路に対して25°〜45°の範囲内で線対称に設けられた側供給口と、当該流体(A)および/または流体(B)を排出するために主流路に対して線対称に設けられた側排出口と、主流路を流れる流体(A)および/または流体(B)を排出する主排出口とを備えたマイクロデバイスの主流路内を層流状態で流れる流体の流動方向を制御する流動制御装置であって、上記主供給口および側供給口のそれぞれに流体を供給する供給手段と、流体(A)および/または流体(B)の単位時間当たりの流量を制御する制御手段とを備え、上記制御手段は、上記供給手段によって上記主流路に対して線対称となるように主供給口を挟んで両側の側供給口から供給される流体(B)の流量がそれぞれ0.9m/m・s以上となるように流体(B)の流量を制御するとともに、上記主流路から見て両側の側供給口から供給される流体(B)の単位時間当たりの流量が、それぞれ主供給口から供給される流体(A)の単位時間当たりの流量に対して、5倍未満となる状態と8倍以上となる状態とを切換可能に、流体(A)および/または流体(B)の流量比を制御するものであることを特徴としている。
【0032】
上記の構成によれば、上記主流路に対して25°〜45°の範囲内となるように線対称に設けられた側供給口を備えたマイクロデバイスにおいて、主流路を挟んで両側の側供給口に供給される流体の流量をそれぞれ0.9m/m・s以上とし、上記主流路から見て両側の側供給口から供給される流体(B)の単位時間当たりの流量が、それぞれ主供給口から供給される流体(A)の単位時間当たりの流量に対して5倍未満となる状態と8倍以上となる状態とを切り替えることができるように、流体(A)および/または流体(B)の流量比を制御している。
【0033】
上記両側の側供給口に供給される流体の流量をそれぞれ0.9m/m・s以上とし、上記流体(B)の流量/流体(A)の流量が5未満となるように流体(A)および/または流体(B)の流量を制御した場合、上記流体(A)は、主排出口または主排出口と側排出口とに流れることとなる。一方、上記両側の側供給口に供給される流体の流量をそれぞれ0.9m/m・s以上とし、単位時間当たりの流体(B)の流量/流体(A)の流量が8以上となるように流体(A)および/または流体(B)の流量を制御した場合、上記流体(A)は、側排出口のみに流れることとなる。また、上記流体(B)の流量/流体(A)の流量が8以上となるように流体(A)および/または流体(B)の流量を制御した場合であっても、上記両側の側供給口に供給される流体の流量がそれぞれ0.9m/m・sよりも小さい場合には、上記流体(A)は、主排出口または主排出口と側排出口とに流れることとなる。
【0034】
具体的には、上記両側の側供給口に供給される流体の流量をそれぞれ0.9m/m・s以上とし、上記流体(B)の流量/流体(A)の流量が8以上の場合には、主流路に供給された流体(A)は、流体(B)の影響により主流路の端を流れることとなり、その結果、側排出口から排出されることとなる。従って、上記両側の側供給口から供給される流体の総流量をそれぞれ0.9m/m・s以上とし、流体(B)の流量/流体(A)の流量が8以上となるように、流体(A)および/または流体(B)を供給することにより、流体(A)を主排出口から排出することなく、側排出口のみから排出することができる。
【0035】
このように、流体(B)の流量/流体(A)の流量比を制御することで、流体(A)の排出先を制御することができる。
【0036】
本発明にかかるインクジェット装置は、上記の課題を解決するために、上記流動制御装置を備えたことを特徴としている。
【0037】
上記の構成によれば、インクジェット装置は上記流動制御装置を備えている。そして、上記流動制御装置は、供給手段によって供給された流体の流動を制御することができる。具体的には、流体(A)および/または流体(B)の流量(流量比)を制御することで、流体(A)の排出先を変更することができる。従って、例えば、流体(A)としてインクを流した場合には、流体(A)および/または流体(B)の流量を制御することで、インクの排出先を制御することができる。つまり、主流路からインクを吐出して画像形成を行う場合に、インクの排出先を制御することで、インクの吐出を制御することができる。これにより、インクジェット装置として利用することができる。
【0038】
本発明にかかるサンプリング装置は、上記の課題を解決するために、 直線状の主流路と、当該主流路に流体(A)を略直線状に供給する主供給口と、上記流体(A)と異なる流体(B)を供給するために主流路に対して25°〜45°の範囲内で線対称に設けられた側供給口と、当該流体(A)および/または流体(B)を排出するために主流路に対して線対称に設けられた側排出口と、主流路を流れる流体(A)および/または流体(B)を排出する主排出口とを備えたマイクロデバイスを備えたサンプリング装置であって、上記主供給口および側供給口のそれぞれに流体を供給する供給手段と、上記側排出口および/または主排出口から排出される当該流体(A)および/または流体(B)を取得する取得手段と、上記供給手段によって上記主流路に対して線対称となるように主供給口を挟んで両側の側供給口から供給される流体(B)の流量がそれぞれ0.9m/m・s以上となるように流体(B)の流量を制御するとともに、上記主流路から見て両側の側供給口から供給される流体(B)の単位時間当たりの流量が、それぞれ主供給口から供給される流体(A)の単位時間当たりの流量に対して、5倍未満となる状態と8倍以上となる状態とを切換可能に、流体(A)および/または流体(B)の流量比を制御する制御手段と、
上記主流路から見て一方の側の側供給口から供給される流体(B)の単位時間当たりの総流量が主供給口から供給される流体(A)の単位時間当たりの流量に対して、5倍未満の状態から8倍以上となったことを検出すると、上記取得手段による流体の取得を開始させる命令手段とを備えることを特徴としている。
【0039】
上記供給手段によって主流路を挟んで両側の側供給口に供給される流体の総流量をそれぞれ0.9m/m・s以上とし、単位時間当たりの流体(B)の流量/流体(A)の流量が8以上となるように流体(A)および/または流体(B)の流量比を制御した場合、上記流体(A)は、側排出口のみに流れることとなる。つまり、上記供給手段によって上記両側の側供給口から供給される流体の総流量がそれぞれ0.9m/m・s以上であり、上記流体(B)の流量/流体(A)の流量が8以上の場合には、主供給口から供給された流体(A)は、流体(B)の影響により、主流路の端を流れることとなり、側排出口に流れることとなる。従って、上記主供給口を挟んで両側の側供給口から供給される流体(B)の総流量をそれぞれ0.9m/m・s以上とし、流体(B)の流量/流体(A)の流量が8以上となるように、流体(A)および/または流体(B)を流すことにより、流体(A)を主流路から排出されることなく、側排出口から排出することができる。
【0040】
そして、流体(B)の流量/流体(A)の流量が5以下、例えば、2程度の場合には、主供給口から供給される流体(A)は、側排出口から排出されずに主排出口のみから排出される。したがって、例えば、通常は流体(B)の流量/流体(A)の流量が2程度になるように、流体(B)および流体(A)を供給しておき、サンプリングしたい場合に上記流体(B)の流量/流体(A)の流量が8以上とすることで、側流路から流体(A)を排出することができ、サンプリングを行うことができる。
【0041】
本発明にかかるサンプリング装置は、上記命令手段は、上記側供給口に供給される流体(B)の単位時間当たりの流量が主流路に供給される流体(A)の単位時間当たりの流量に対して8倍以上となったことを検出した後、上記側供給口に供給される流体(B)の単位時間当たりの流量が主流路に供給される流体(A)の単位時間当たりの流量に対して5倍未満になったことを検出すると、上記取得手段による流体の取得を終了させる構成がより好ましい。
【0042】
上記の構成とすることで、上記側供給口に供給される流体(B)の単位時間当たりの流量が主流路に供給される流体(A)の単位時間当たりの流量に対して5倍未満となった時点でサンプリングを終了することができる。
【発明の効果】
【0043】
本発明にかかる流動制御方法は、直線状の主流路と、当該主流路に流体(A)を略直線状に供給する主供給口と、上記流体(A)と異なる流体(B)を供給するために主流路に対して25°〜45°の範囲内で線対称に設けられた側供給口と、当該流体(A)および/または流体(B)を排出するために主流路に対して線対称に設けられた側排出口と、主流路を流れる流体(A)および/または流体(B)を排出する主排出口とを備えたマイクロデバイスの主流路内を層流状態で流れる流体を制御する流動制御方法であって、上記主流路に対して線対称となるように主供給口を挟んで両側の側供給口から供給される流体(B)の流量がそれぞれ0.9m/m・s以上となるように流体(B)の流量を制御するとともに、上記主流路から見て両側の側供給口から供給される流体(B)の単位時間当たりの流量が、それぞれ主供給口から供給される流体(A)の単位時間当たりの流量に対して、5倍未満となる状態と8倍以上となる状態とを切換可能に、流体(A)および/または流体(B)の流量比を制御することにより、流体(A)の排出先を変更する構成である。
【0044】
それゆえ、流体(B)の流量/流体(A)の流量を制御することで、流体(A)の排出先を制御することができる。それゆえ、微小な流路(マイクロチャネル)を流れる流体の流動を容易に制御することができるという効果を奏する。
【0045】
本発明にかかる流動制御装置は、直線状の主流路と、当該主流路に流体(A)を略直線状に供給する主供給口と、上記流体(A)と異なる流体(B)を供給するために主流路に対して25°〜45°の範囲内で線対称に設けられた側供給口と、当該流体(A)および/または流体(B)を排出するために主流路に対して線対称に設けられた側排出口と、主流路を流れる流体(A)および/または流体(B)を排出する主排出口とを備えたマイクロデバイスの主流路内を層流状態で流れる流体の流動方向を制御する流動制御装置であって、上記主供給口および側供給口のそれぞれに流体を供給する供給手段と、流体(A)および/または流体(B)の単位時間当たりの流量を制御する制御手段とを備え、上記制御手段は、上記供給手段によって上記主流路に対して線対称となるように主供給口を挟んで両側の側供給口から供給される流体(B)の流量がそれぞれ0.9m/m・s以上となるように流体(B)の流量を制御するとともに、上記主流路から見て両側の側供給口から供給される流体(B)の単位時間当たりの流量が、それぞれ主供給口から供給される流体(A)の単位時間当たりの流量に対して、5倍未満となる状態と8倍以上となる状態とを切換可能に、流体(A)および/または流体(B)の流量比を制御するものである構成である。
【0046】
それゆえ、このように、流体(B)の流量/流体(A)の流量を制御することで、流体(A)の排出先を制御することができるという効果を奏する。
【0047】
本発明にかかるサンプリング装置は、直線状の主流路と、当該主流路に流体(A)を略直線状に供給する主供給口と、上記流体(A)と異なる流体(B)を供給するために主流路に対して25°〜45°の範囲内で線対称に設けられた側供給口と、当該流体(A)および/または流体(B)を排出するために主流路に対して線対称に設けられた側排出口と、主流路を流れる流体(A)および/または流体(B)を排出する主排出口とを備えたマイクロデバイスを備えたサンプリング装置であって、上記主供給口および側供給口のそれぞれに流体を供給する供給手段と、上記側排出口および/または主排出口から排出される当該流体(A)および/または流体(B)を取得する取得手段と、上記供給手段によって上記主流路に対して線対称となるように主供給口を挟んで両側の側供給口から供給される流体(B)の流量がそれぞれ0.9m/m・s以上となるように流体(B)の流量を制御するとともに、上記主流路から見て両側の側供給口から供給される流体(B)の単位時間当たりの流量が、それぞれ主供給口から供給される流体(A)の単位時間当たりの流量に対して、5倍未満となる状態と8倍以上となる状態とを切換可能に、流体(A)および/または流体(B)の流量比を制御する制御手段と、上記主流路から見て一方の側の側供給口から供給される流体(B)の単位時間当たりの総流量が主供給口から供給される流体(A)の単位時間当たりの流量に対して、5倍未満の状態から8倍以上となったことを検出すると、上記取得手段による流体の取得を開始させる命令手段とを備える構成である。それゆえ、例えば、上記流体(流体(B)および流体(A))の総流量を0.9m/m・s以上とした状態で、通常は流体(B)の流量/流体(A)の流量が2程度になるように、流体(B)および流体(A)を供給しておき、サンプリングしたい場合に上記流体(B)の流量/流体(A)の流量が8以上とすることで、側流路から流体(A)を排出することができ、サンプリングを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
本発明の一実施形態について説明すると以下の通りである。すなわち、本発明にかかる流動制御方法は、流体(A)が流れる直線状の主流路と、当該主流路に流体(A)を供給する主供給口と、当該主流路に対して線対称に設けられ、流体(B)を主流路に供給するための供給口と、主流路に対して線対称に設けられた側排出口と、主排出口とを有するマイクロデバイスのマイクロチャネル内を層流状態で流れる流体を制御する流動制御方法であって、流体(A)と流体(B)との流量を制御することにより、流体の流れおよび排出先を制御する方法である。
【0049】
なお、本発明において、流路(「マイクロチャネル」「微小流路」と称する場合もある)とは、その中またはそれを経て流体を移動させる空間(空洞)を示し、例えば、単なる移送用の流路の他、反応流路、検出用流路、抽出その他の処理流路、バルブやポンプの空間も流路に含まれる。そして、本発明における主流路とは、互いに異なる複数の流体が互いに層流状態で流れる空間を示している。
【0050】
図1は、本実施の形態にかかる流動制御装置(以下、マイクロデバイスと称する)の概略の構成を示す正面図である。ここで、マイクロデバイスの構成について説明する。なお、以下の説明では、排出口が主流路に対して左右対称(線対称)に2個設けられている構成について説明する。
【0051】
上記マイクロデバイス10は、図2に示すように、2枚の板状部材(上板11および下板12)の間にμmサイズの流路が形成されている。上記流路の形成方法としては、2枚の板状部材のそれぞれに、例えば、エッチング等により、微小な流路を形成した後、2枚の板状部材を貼り合わせてもよく、また、一方の板状部材のみに流路を形成した後、他方の板状部材を貼り合わせてもよい。そして、上記マイクロデバイス10を構成している上板11には、流体を供給するための3つの供給口(1つの主供給口21および2つの側供給口22)と流体を流路から排出するための排出口(1つの主排出口23および2つの側排出口24)とが設けられている。なお、上記供給口および排出口を設ける位置について、例えば、供給口を上板11に設け、排出口を下板12に設けてもよい。また、主供給口21を上板11に設け、2つの側供給口22を下板12に設けるようにしてもよい。
【0052】
そして、上記マイクロデバイス10は、3本の流路が合流して1本の主流路30となり、さらに3本に分岐する構造を有している。より具体的には、上記マイクロデバイス10は、図3に示すように、主流路30(主流路領域)、供給口領域31および排出口領域32の3つの領域を備えている。
【0053】
流路を構成する壁面材質としては、流路内を通過させる流体の材料によって異なるが、例えば、ガラス、セルロース、ポバール、シリコン、金属などの表面が挙げられ、中でも、シリコンやガラスが好適である。
【0054】
供給口領域31は、主流路30に対して、流体を供給する領域である。本実施の形態では、供給口領域31は主供給口21と2つの側供給口22との3つの供給口で構成されている。
【0055】
主供給口21は、2つの側供給口22の間に配置されており、主流路30の中心近傍に流体(A)を供給するものである。つまり、主供給口21から流体(A)が供給される。また、上記2つの側供給口22は、主流路30の中心軸(流体の流れる方向における中心軸)に対して線対称に設けられている。そして、側供給口22から流体(A)とは異なる流体(B)が供給される。なお、本実施の形態において供給口とは、主流路30に流体を供給する部分を含むものを示している。つまり、本実施の形態における供給口とは、単に流体を投入する投入口のみを示すものではなく、投入口と投入口から投入された流体が主流路30に流れるまでの流路とを併せたものである。また、以下の説明では、主供給口21から流体(A)を供給し、2つの側供給口22から流体(B)を供給する例について説明する。
【0056】
主流路30は、主供給口21および側供給口22から供給された流体(流体(A)および流体(B))が流れる流路である。そして、主流路30は、直線状である。
【0057】
排出口領域32は、主流路30を流れる流体を分離および排出する領域である。本実施の形態では、排出口領域32は主排出口23と2つの側排出口24との3つの排出口で構成されている。
【0058】
主排出口23は、主流路30を流れる流体のうち、主流路30の中心付近の流体を分離して排出するものである。また、2つの側排出口24は、主流路30を流れる流体のうち、主流路30の両端側の流体を分離して排出するものである。そして、上記2つの側排出口24は、主流路30の中心軸に対して線対称に設けられている。なお、本実施の形態において排出口とは、主流路30に流れる流体を分離する部分を含むものを示している。つまり、本実施の形態における排出口とは、単に流体を取り出すための取り出し口を示すものではなく、取り出し口と主流路30から分離した流体が取り出し口までの流路とを併せたものである。
【0059】
このように、本実施の形態にかかるマイクロデバイス10は、主供給口21、側供給口22、主流路30、主排出口23、側供給口22を備えている。
【0060】
図4は、主流路30と各供給口との概略構成を示す正面図である。ここで、各供給口および主流路30について詳細に説明する。
【0061】
主供給口21と2つの側供給口22との幅(断面積)は、それぞれの供給口から供給する流体の流量に比例するように設定されていてもよいが、互いに同じであることがより好ましい。本実施の形態では、主流路30と2つの側流路との幅は、それぞれ200μmに設定されている。そして、主流路30と2つの側流路との深さについても、それぞれ200μmに設定されている。
【0062】
そして、主流路30の幅(断面積)は、全ての供給口の幅(断面積)を併せたものと同じであることがより好ましい。本実施の形態における主流路30の幅は600μmに設定されている。主流路30の幅を、全ての供給口の幅(主流路30に合流する流路の幅)の合計よりも著しく小さく設定した場合、全ての供給口のうちのいずれかの供給口から流体を供給できなくなる場合がある。一方、主流路30の幅を、全ての供給口の合計の幅よりも著しく大きくした場合には、供給した流体が主流路30中を層流状態で流れない場合がある。
【0063】
なお、上記主流路30および供給口の断面形状については、長方形(正方形)状であってもよく、円形状であってもよい。
【0064】
上記主流路30または供給口の断面形状における断面積としては、5×10−12〜1×10−5の範囲内がより好ましく、1×10−9〜1×10−5の範囲内が特に好ましい。上記断面積が5×10−12より小さいと、圧損(圧力損失)が大きく流体が流れない場合がある。一方、断面積が1×10−5より大きいと、主流路30を流れる流体の制御が不可能になる場合がある。
【0065】
次に、側供給口22と主流路30との位置関係について説明する。上記2つの側供給口22は、主流路30の中心軸に対して、25°〜45°の範囲内、より好ましくは、30°〜45°の範囲内となるように線対称に設けられている。換言すると、側供給口22から供給される流体(B)の向きが、主流路30を流れる流体(A)の流れ方向に対して25°〜45°の範囲内、より好ましくは、30°〜45°の範囲内で主流路30に流れるように側供給口22が設けられている。なお、以下の説明では、主流路30を流れる流体(A)の方向に対する、側供給口22から供給される流体(B)が流れる方向、つまり、主流路30の延伸方向に対して側供給口22が設けられている角度を合流角40として説明する。
【0066】
側供給口22から流れる流体(B)が流体(A)に対して25°よりも小さい角度で合流する、すなわち、合流角40が25°よりも小さい場合、主流路30を流れる流体の制御が不可能になる場合がある。一方、側供給口22から流れる流体(B)が流体(A)に対して45°よりも大きい角度で合流する、すなわち、合流角40が45°よりも大きい場合、主流路30を流れる流体を層流状態に流すことが困難になる場合がある。
【0067】
次に、排出口について説明する。上記2つの排出口は、主流路30の中心軸に対して、5°〜60°の範囲内、より好ましくは、15°〜30°の範囲内となるように線対称に設けられている。換言すると、側排出口24から排出される流体(B)の向きが、主流路30を流れる流体(A)の流れ方向に対して5°〜60°の範囲内、より好ましくは、15°〜30°の範囲内で主流路30に流れるように側排出口24が設けられている。なお、以下の説明では、主流路30を流れる流体(A)の流れ方向に対する、側排出口24から排出される流体(B)の流れ方向、つまり、主流路30の延伸方向に対して側排出口24が設けられている角度を排出角41として説明する。
【0068】
上記排出角41が5°よりも小さい場合には、そのようなマイクロデバイスを製作することが困難である。一方、排出角41が、60°よりも大きい場合は、当該側排出口24から流体が排出されない場合がある。
【0069】
なお、上記合流角40と排出角41とは、同じであってもよく、異なっていてもよい。なお、合流角40は、主流路30を流れる流体の流れ方向に対して上流側から測定した角度である一方、排出角41は、上記流体の流れ方向に対して下流側から測定した角度である。
【0070】
図1は、本実施の形態にかかる流動制御装置1の概略の構成を示す図面である。上記流動制御装置1は、主供給口21および側供給口22からマイクロシリンジ2(供給手段)を介して供給される流体の単位時間当たりの流量を制御するための制御装置3(制御手段)を備えている。具体的な制御方法については以下に説明する。
【0071】
上記マイクロデバイス10の主供給口21および側供給口22の流体を投入する投入口には、マイクロシリンジポンプ(以下、マイクロシリンジ2と称する)が設けられている。そして、このマイクロシリンジ2を介して流体が供給される。そして、マイクロシリンジ2は、主供給口21へ流体(A)を供給する主マイクロシリンジ2aと側供給口22へ流体(B)を供給する副マイクロシリンジ2bとから構成されている。
【0072】
上記制御装置3は、主供給口21および側供給口22から供給する流体の単位時間当たりの流量を制御するものである。具体的には、上記制御装置3は、各供給口に取り付けられているマイクロシリンジ2を制御して、各供給口から流体を供給するための圧力を調整する。具体的な制御方法については、例えば、流体(A)の単位時間当たりの流量に応じて、流体(B)の単位時間当たりの流量を変化させてもよく、流体(B)の単位時間当たりの流量に応じて、流体(A)の単位時間当たりの流量を変化させてもよく、予め設定された単位時間当たりの流量になるように、流体(A)および流体(B)を供給してもよい。そして、上記制御装置3は、操作者の指示によって流体(B)/流体(A)の単位時間当たりの流量を変化させる。これによって、流体(A)の排出先を制御することができる。
【0073】
本実施の形態では、このようなマイクロデバイス10を用いて、主流路30内を流れる流体の流動制御を行っている。より具体的には、主供給口21から供給される流体(A)と側供給口22から供給される流体(B)との単位時間当たりの流量を制御することにより、主流路30を流れる流体の流動制御を行っている。
【0074】
ここで、本実施の形態にかかる流動制御方法について説明する。本実施の形態では、主流路30に供給される互いに異なる流体(A)と流体(B)との単位時間当たりの流量を制御することで、流体(A)および流体(B)の排出先を制御している。より具体的には、(1)流体(A)の両側から、当該流体(A)の流れ方向に対して合流角40が、25°〜45°の範囲内となるように流体(B)を供給し、(2)上記主流路30に対して線対称となるように主供給口21を挟んで両側の側供給口22から供給される流体(B)の総流量がそれぞれ0.9m/m・s以上となるように、流体(B)の流量を制御し、(3)上記主流路30から見て両側の側供給口22に供給される流体(B)の単位時間当たりの総流量が、それぞれ主供給口21から供給される流体(A)の単位時間当たりの流量に対して、5倍未満となる状態と8倍以上となる状態とを切換可能に、流体(A)および/または流体(B)の流量比を制御している。なお、上記側供給口22が、主流路30から見て片側に複数個(反対側にも同数)設けられている場合には、これら側供給口22のうち片側から供給される流体の合計を片側の側供給口22から供給される流体の流量とする。具体的には、図5に示すように、側供給口22が、主流路30を挟んで両側に3個ずつ設けられている場合には、上記3個の側供給口22から供給される流体の合計量が片側の側供給口22から供給される単位時間当たりの流量となる。また、例えば、上記のように主流路30を挟んで両側に側流路が3個ずつ設けられている場合であって、3個の側流路のうち、それぞれから異なる流体を供給している場合においても、上記3個の側流路から供給される流体の合計量が、片側の側供給口22から供給される単位時間当たりの供給量となる。
【0075】
上記合流角40が25°〜45°の範囲内であり、流体(B)/流体(A)の単位時間当たりの流量が8倍以上となるように、流体(A)および/または流体(B)の流量を制御した場合、主供給口21から供給された流体(A)は、主排出口23から排出されずに、2つの側排出口24のみから排出されることとなる。
【0076】
一方、上記合流角40が25°〜45°の範囲内であり、流体(B)/流体(A)の単位時間当たりの流量が5倍未満となるように、流体(A)および/または流体(B)の流量を制御した場合、主供給口21から供給された流体(A)は、主排出口23のみ、または、主排出口23および2つの側排出口24から排出されることとなる。また、主流路30を流れる流体は、乱流状態になる場合もある。
【0077】
また、上記合流角40が、25°よりも小さい場合には流体(B)/流体(A)の単位時間当たりの流量にかかわらず、主供給口21から供給された流体(A)は、主排出口23のみ、または、主排出口23および2つの側排出口24から排出されることとなる。一方、上記合流角40が、45°よりも大きい場合には、圧力損失が大きくなるので、流体が供給口から供給することができない場合がある。
【0078】
さらに、本実施の形態にかかる流動制御方法では、主供給口21を挟んで両側の側供給口23から供給する流体(B)の、単位面積を通過する単位時間当たりの流量が、それぞれ0.9m/m・s〜20m/m・sの範囲内、より好ましくは0.9m/m・s〜10m/m・sの範囲内となるように、流体(B)を供給している。
【0079】
上記単位面積を通過する単位時間当たりの流量が、0.9m/m・sよりも少ない場合は、流量が少なすぎて制御するのが難しい。一方、上記単位面積当たりの流量が、20m/m・sよりも大きい場合には、流体(A)および流体(B)を主供給口21、あるいは側供給口23に供給できない場合がある。
【0080】
なお、主供給口21、あるいは側供給口23の単位面積を通過する単位時間当たりの流量とは、正確には、投入口から投入された流体が主流路30に流れるまでの流路の単位面積を通過する単位時間辺りの流量である。
【0081】
また、上記主流路30と線対称に配置されている側供給口22から供給する流体の、単位時間当たりの流量については、互いに同じである。
【0082】
ここで、流路に供給する流体(流体(A)および流体(B))について説明する。本実施の形態の流体制御を行うことができる流体については、任意の液体でよい。例えば、上記流体としては、溶液の他に分散液(分散質を分散媒中に分散させた流体)であってもよい。流路に供給する流体は、流路を形成している材質等により適宜選択すればよい。
【0083】
そして、流体(A)と流体(B)との表面張力差が小さいことが好ましい。表面張力差が大きい流体同士を主流路30で合流させた場合には、層流状態とならない場合がある。具体的には、流体(A)と流体(B)との表面張力差としては、40mN/m(40dyne/cm)以下であり、好ましくは10mN/m(10dyne/cm)以下である。表面張力差が40mN/m(40dyne/cm)より大きいと、主流路30を流体が層流状態で流れることが困難となり、流動の制御が困難になる。
【0084】
以上のように、合流角40が上記範囲内であって、流体(A)および/または流体(B)の流量を制御することにより、主供給口21から供給した流体(A)の排出先を制御することができる。
【0085】
そして、上記流動制御方法は、例えば、インクジェット装置に好適に利用できる。具体的には、例えば、主流路30にインクを供給し、側流路に水等の透明な流体を供給した場合、上記流動制御方法を用いることで、主排出口23からインクの排出(吐出)状態を制御することができる。つまり、例えば、従来の圧電素子等を用いてインクの吐出状態を制御する構成に比べてより簡単にインクの吐出状態を制御することができる。
【0086】
また、上記流動制御方法は、例えば、サンプリング装置50に好適に利用できる。以下に、サンプリング装置50について説明する。
【0087】
図6は、サンプリング装置50の概略の構成を示すブロック図である。なお、図中、点線は流体の移動を示し、実線は信号の動きを示している。上記サンプリング装置50は、マイクロデバイス10、マイクロシリンジ2、命令装置4、取得部6および操作部5を備えている。そして、命令装置4は、制御装置3を備えている。上記マイクロデバイス10およびマイクロシリンジ2は、上記の説明と同じものである。制御装置3は、マイクロシリンジ2からマイクロデバイス10へ供給される流体(流体(A)および流体(B))の供給量(単位時間あたりの流量)を制御するものである。さらに、上記命令装置4は、制御装置3を動作させて上記流体(A)(B)の供給量を制御するとともに、取得部6の受け器移動部8を制御している。
【0088】
操作部5は、サンプリング装置50を操作する操作者によって操作されるものである。つまり、操作部5は、操作者から出されるサンプリング開始命令およびサンプリング終了命令を受け付けるものである。なお、上記サンプリング装置50が、例えば、所定の時間に自動的にサンプリングを行うように設定されている場合には、上記操作部5は、所定の時刻が来ると、命令装置4に対して、サンプリング開始命令またはサンプリング終了命令を出すようにしてもよい。
【0089】
取得部6は、マイクロデバイス10から排出される流体を排出口別に取得するものである。上記取得部6は、受け器7と受け器移動部8とを備えている。受け器7とは、例えば、フラスコ等の上記流体を取得するものである。また、受け器移動部8とは、マイクロデバイス10の排出口に接続されている受け器7を変えるものである。つまり、受け器移動部8によって、排出口から排出される流体を取得する受け器7を変更することができる。なお、受け器移動部8とは、受け器7自体を移動させるようにしてもよく、特定の受け器7に対して排出口から排出される流体の取得を開始・終了させるものであってもよい。
【0090】
ここで、上記サンプリング装置50を用いて、マイクロデバイス10の流路を流れる流体のサンプリング方法について説明する。
【0091】
まず、流体(B)/流体(A)の単位時間当たりの流量が5未満の状態、具体的には、流体(B)/流体(A)の単位時間当たりの流量が2程度の状態となるように、流体(A)および流体(B)を主流路30に供給した場合、流体(A)は、主排出口23のみから排出される。
【0092】
そして、サンプリング装置50を操作している操作者は、サンプリングを行う場合に、制御装置3にサンプリング開始命令を出す。操作者からの開始命令を受信した制御装置3は、流体(A)または流体(B)の供給量を、マイクロシリンジ2を制御することにより変更する。つまり、制御装置3は、流体(B)/流体(A)の単位時間当たりの流量が8以上の状態となるように、流体(A)および流体(B)の供給量を制御する。これにより、液体(A)は、側排出口24から排出されることとなる。
【0093】
また、上記制御装置3は、マイクロシリンジ2を介して、主流路30に供給される流体(B)/流体(A)の単位時間当たりの流量を変化させると同時に、取得部6に対して、サンプリング命令を送信する。サンプリング命令を受信した取得部6は、受け器移動部8を動作させて、2つの側排出口24の少なくとも一方から排出される流体(A)を含む液体を取得する。
【0094】
そして、一定時間経過後、または、操作者からのサンプリング終了命令を受信した場合、制御装置3は、流体(A)または流体(B)の供給量を、マイクロシリンジ2を制御することにより変更する。つまり、制御装置3は、流体(B)/流体(A)の単位時間当たりの流量が5未満(ここでは2)の状態となるように、流体(A)および流体(B)の供給量を制御する。これにより、液体(A)は、主排出口23から排出されることとなる。
【0095】
また、上記制御装置3は、マイクロシリンジ2を介して、主流路30に供給される流体(B)/流体(A)の単位時間当たりの流量を変化させると同時に、取得部6に対して、サンプリング終了命令を送信する。サンプリング終了命令を受信した取得部6は、受け器移動部8を動作させて、2つの側排出口24の少なくとも一方から排出される流体(A)を含む液体の取得を終了する。これにより、流体(A)をサンプリングすることができる。換言すると、流体(A)の流動を制御することができる。
【0096】
なお、上記の説明では、2つの側供給口22から流体(B)が供給される構成について説明したが、例えば、上記2つの側供給口22から互いに異なる流体を供給してもよい。この場合、上記2つの側供給口22から供給される流体は、例えば、一方の側供給口22から供給される流体を、主供給口21から供給される流体(A)と同じものにしてもよく、それぞれ主供給口21から供給される流体(A)と異なるものとしてもよい。しかしながら、主供給口21から供給する流体(A)と側供給口22から供給される流体とは、表面張力が互いに近いものであることがより好ましい。
【0097】
また、側供給口22の数については、主流路30に対して線対称であれば、複数個設けられていてもよい。具体的には、例えば、主流路30の中心軸に対して線対称であり、主流路30の中心軸に対して左右に2個ずつ側供給口22を形成してもよい。なお、上記側供給口22を複数本設ける場合であっても、全ての側供給口22は、主流路30に対して25°〜45°の範囲内となるように線対称に設けられる。また、側排出口24の数についても、主流路30に対して線対称であれば、複数本設けても良い。さらに、側供給口22と側排出口24との数は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0098】
また、上記の説明では、流路を形成する方法として、2枚の板状部材を貼り合せる構成について説明したが、例えば、流路となる孔を形成した(流路となる領域が形成された)板状部材を2枚の板状部材で挟むことにより、流路を形成してもよい。この場合には、真中の板状部材の厚さが流路の深さに相当する。
【0099】
また、上記の説明では、サンプリングを行う際に、流体(B)の流量/流体(A)の流量が8以上となった場合に、側供給口22から排出される流体(A)をサンプリングする例について説明しているが、例えば、主供給口21から排出される流体(A)をサンプリングする場合には、以下のようにしてもよい。
【0100】
つまり、例えば、常に上記流体(B)の流量/流体(A)の流量が8以上となるように流体(B)および流体(A)を供給しておき、サンプリングしたい場合に上記流体(B)の流量/流体(A)の流量が5未満となる状態にすることで、主流路30から流体(A)を排出することができ、そして、この流体(A)をサンプリングすればよい。そして、再び上記流体(B)の流量/流体(A)の流量が8以上となるように流体(B)および流体(A)の流量を制御することで、側排出口24のみから流体(A)が排出されることになる。
【0101】
つまり、上記において上記流体(B)の流量/流体(A)の流量を5未満にしたときのみ、主流路30から流体(A)を排出することができる。
【0102】
以上のように、本実施の形態にかかる流動制御方法は、直線状の主流路30と、当該主流路30に流体(A)を略直線状に供給する主供給口21と、上記流体(A)と異なる流体(B)を供給するために主流路30に対して25°〜45°の範囲内で線対称に設けられた側供給口22と、当該流体(A)および/または流体(B)を排出するために主流路30に対して線対称に設けられた側排出口24と、主流路30を流れる流体(A)および/または流体(B)を排出する主排出口23とを備えたマイクロデバイス10の主流路30内を層流状態で流れる流体を制御する流動制御方法であって、主流路30に対して線対称となるように上記主供給口21を挟んで両側の側供給口22から供給される流体(B)の総流量がそれぞれ0.9m/m・s以上となるように、流体(B)の流量を制御するとともに、上記主流路30から見て両側の側供給口22から供給される流体(B)の単位時間当たりの総流量が、それぞれ主供給口21から供給される流体(A)の単位時間当たりの流量に対して、5倍未満となる状態と8倍以上となる状態とを切換可能に、流体(A)および/または流体(B)の流量比を制御することにより、流体(A)の排出先を変更する構成である。
【0103】
マイクロデバイス10の主供給口21から供給され主流路30を流れる流体(A)に対して、上記側供給口22から流体(A)と異なる流体(B)を主流路30に対して線対称となるように供給すると、互いに異なる流体(流体(A)と流体(B))は、マイクロチャネル(主流路30)内を層流状態で流れることとなる。そして、通常は、主流路30を流れる流体(A)は、主排出口23のみ、または、主排出口23と上記側排出口24とから排出される。また、主流路30を流れる流体(A)が上記側排出口24から排出されずに主排出口23のみから排出される場合、主供給口21から供給された流体(A)と側供給口22から供給された流体(B)とは、主流路30を互いに隣接するように層流状態で流れることとなる。このようなマイクロデバイス10では、マイクロチャネル内を層流で流れる互いに異なる流体層間で化学反応や抽出等の操作を行うために利用される。
【0104】
上記の構成によれば、主供給口21と、上記主流路30に対して25°〜45°の範囲内となるように線対称に設けられた側供給口22とを備えたマイクロチャネルにおいて、上記主流路30に対して線対称となるように上記主供給口21を挟んで両側の側供給口22から供給される流体(B)の総流量がそれぞれ0.9m/m・s以上となるように、流体(B)の流量を制御するとともに、主供給口21から供給される流体(A)の単位時間当たりの流量に対する、上記主流路30から見て両側の側供給口22から供給される流体(B)の単位時間当たりの総流量のそれぞれ、すなわち、流体(B)の流量/流体(A)の流量が、5未満となる状態と8以上となる状態とを切り替えることができるように、流体(A)および/または流体(B)の流量比を制御している。具体的には、主供給口21または側供給口22に供給する流体(A)または流体(B)の、少なくとも一方の流量を制御することにより、上記流路比を制御している。
【0105】
上記両側の側供給口22に供給される流体の総流量をそれぞれ0.9m/m・s以上とし、上記流体(B)の流量/流体(A)の流量が5未満となるように流体(A)および/または流体(B)の流量を制御した場合、上記流体(A)は、主流路30または主流路30と側排出口24とに流れることとなる。一方、上記両側の側供給口22に供給される流体の総流量をそれぞれ0.9m/m・s以上とし、単位時間当たりの流体(B)の流量/流体(A)の流量が8以上となるように流体(A)および/または流体(B)の流量比を制御した場合、上記流体(A)は、側排出口24から排出されることとなる。また、上記流体(B)の流量/流体(A)の流量が8以上となるように流体(A)および/または流体(B)の流量比を制御した場合であっても、上記両側の側供給口22に供給される流体の総流量がそれぞれ0.9m/m・sよりも小さい場合には、上記流体(A)は、主排出口23または主排出口23と側排出口24とに流れることとなる。
【0106】
つまり、上記両側の側供給口22に供給される流体(流体(B)および流体(A))の総流量をそれぞれ0.9m/m・s以上とし、上記流体(B)の流量/流体(A)の流量が8以上の場合には、主流路30に供給された流体(A)は、流体(B)の影響により、主流路30の端を流れることとなり、側排出口24に流れることとなる。従って、上記両側の側供給口22に供給される流体の総流量をそれぞれ0.9m/m・s以上とし、流体(B)の流量/流体(A)の流量が両側の側供給口22でそれぞれ8以上となるように、流体(A)および/または流体(B)を流すことにより、流体(A)を主排出口23から排出されることなく、側排出口24から排出することができる。
【0107】
このように、流体(B)の流量/流体(A)の流量比を制御することで、流体(A)の排出先を制御することができる。
【0108】
また、従来の物理的に弁等を設けて流体の流動を制御する構成に比べて、当該弁等の特別な構成を付すことなく、流体の流動制御を行うことができる。また、上記マイクロデバイス10は、流路等がμmサイズのため、従来の弁等を設ける場合には、装置が大きくなってしまうが、上記構成のように、流体の流動制御を行うことにより、より小さく、かつ、簡単に流体の流動制御を行うことができる流動制御装置1を提供することができる。
【0109】
また、本実施の形態にかかる流動制御方法は、上記主流路30の断面積が5×10−12〜1×10−5である構成がより好ましい。
【0110】
上記の構成によれば、マイクロチャネル内の断面積、すなわち、流体が流れる主流路30の断面積を上記範囲内とすることにより、流体(A)および流体(B)の流量(すなわち、流体(A)と流体(B)との流量比)の制御を容易に行なうことができる。
【0111】
また、本実施の形態にかかる流動制御方法は、上記側供給口22から供給する流体(B)の単位時間当たりの流量が、主供給口21の両側で同じになるように、当該流体(B)を供給する構成である。
【0112】
上記の構成によれば、主流路30を挟んで両側に位置している側供給口22から供給される流体(B)の単位時間当たりの流量が互いに同じになるように流体(B)を供給している。これにより、主流路30を流れる流体(A)に対して、両側から均等に流体(B)を供給することができる。従って、主流路30を流れる流体の流動をより容易に制御することができる。
【0113】
また、本実施の形態にかかる流動制御装置1は、直線状の主流路30と、当該主流路30に流体(A)を略直線状に供給する主供給口21と、上記流体(A)と異なる流体(B)を供給するために主流路30に対して25°〜45°の範囲内で線対称に設けられた側供給口22と、当該流体(A)および/または流体(B)を排出するために主流路30に対して線対称に設けられた側排出口24と、主流路30を流れる流体(A)および/または流体(B)を排出する主排出口23とを備えたマイクロデバイス10の主流路30内を層流状態で流れる流体の流動方向を制御する流動制御装置1であって、上記主供給口21および側供給口22のそれぞれに流体を供給するマイクロシリンジ2と、流体(A)および/または流体(B)の単位時間当たりの流量を制御する制御装置3とを備え、上記制御装置3は、上記マイクロシリンジ2によって上記主流路30に対して線対称となるように主供給口を挟んで両側の側供給口22から供給される流体(B)の総流量がそれぞれ0.9m/m・s以上となるように、流体(B)の流量を制御するとともに、上記主流路30から見て両側の側供給口22から供給される流体(B)の単位時間当たりの総流量が、それぞれ主供給口21から供給される流体(A)の単位時間当たりの流量に対して、5倍未満となる状態と8倍以上となる状態とを切換可能に、流体(A)および/または流体(B)の流量比を制御する構成である。
【0114】
上記の構成によれば、上記主流路30に対して25°〜45°の範囲内となるように線対称に設けられた側供給口22を備えたマイクロデバイス10において、上記両側の側供給口22に供給される流体の総流量をそれぞれ0.9m/m・s以上とし、上記主流路30から見て両側の側供給口22から供給される流体(B)の単位時間当たりの総流量が、それぞれ主供給口21から供給される流体(A)の単位時間当たりの流量に対して、5倍未満となる状態と8倍以上となる状態とを切り替えることができるように、流体(A)および/または流体(B)の流量比を制御している。
【0115】
上記両側の側供給口22に供給される流体の総流量をそれぞれ0.9m/m・s以上とし、上記流体(B)の流量/流体(A)の流量が5未満となるように流体(A)および/または流体(B)の流量を制御した場合、上記流体(A)は、主排出口23または主排出口23と側排出口24とに流れることとなる。一方、上記両側の側供給口22に供給される流体の総流量をそれぞれ0.9m/m・s以上とし、単位時間当たりの流体(B)の流量/流体(A)の流量が8以上となるように流体(A)および/または流体(B)の流量を制御した場合、上記流体(A)は、側排出口24のみに流れることとなる。また、上記流体(B)の流量/流体(A)の流量が8以上となるように流体(A)および/または流体(B)の流量を制御した場合であっても、上記両側の側供給口22に供給される流体の総流量がそれぞれ0.9m/m・sよりも小さい場合には、上記流体(A)は、主排出口23または主排出口23と側排出口24とに流れることとなる。
【0116】
具体的には、上記両側の側供給口22に供給される流体の総流量をそれぞれ0.9m/m・s以上とし、上記流体(B)の流量/流体(A)の流量が8以上の場合には、主流路30に供給された流体(A)は、流体(B)の影響により主流路30の端を流れることとなり、その結果、側排出口24から排出されることとなる。従って、上記両側の側供給口22から供給される流体の総流量をそれぞれ0.9m/m・s以上とし、流体(B)の流量/流体(A)の流量が8以上となるように、流体(A)および/または流体(B)を供給することにより、流体(A)を主排出口23から排出することなく、側排出口24のみから排出することができる。
【0117】
このように、流体(B)の流量/流体(A)の流量比を制御することで、流体(A)の排出先を制御することができる。
【0118】
本実施の形態にかかるインクジェット装置は、上記流動制御装置1を備えた構成である。そして、上記流動制御装置1は、マイクロシリンジ2によって供給された流体の流動を制御することができる。具体的には、流体(A)および/または流体(B)の流量(流量比)を制御することで、流体(A)の排出先を変更することができる。従って、例えば、流体(A)としてインクを流した場合には、流体(A)および/または流体(B)の流量を制御することで、インクの排出先を制御することができる。つまり、主流路30からインクを吐出して画像形成を行う場合に、インクの排出先を制御することで、インクの吐出を制御することができる。これにより、インクジェット装置として利用することができる。
【0119】
本実施の形態にかかるサンプリング装置50は、直線状の主流路30と、当該主流路30に流体(A)を略直線状に供給する主供給口21と、上記流体(A)と異なる流体(B)を供給するために主流路30に対して25°〜45°の範囲内で線対称に設けられた側供給口22と、当該流体(A)および/または流体(B)を排出するために主流路30に対して線対称に設けられた側排出口24と、主流路30を流れる流体(A)および/または流体(B)を排出する主排出口23とを備えたマイクロデバイス10を備えたサンプリング装置50であって、上記主供給口21および側供給口22のそれぞれに流体を供給するマイクロシリンジ2と、上記側排出口24および/または主排出口23から排出される当該流体(A)および/または流体(B)を取得する取得部6と、上記マイクロシリンジ2によって主供給口21を挟んで両側の上記主流路30に対して線対称となるように側供給口22から供給される流体(B)の総流量がそれぞれ0.9m/m・s以上となるように、流体(B)の流量を制御するとともに、上記主流路30から見て両側の側供給口22から供給される流体(B)の単位時間当たりの総流量が、それぞれ主供給口21から供給される流体(A)の単位時間当たりの流量に対して5倍未満となる状態と8倍以上となる状態とを切換可能に、流体(A)および/または流体(B)の流量比を制御する制御装置3と、上記主流路30から見て一方の側の側供給口22から供給される流体(B)の単位時間当たりの総流量が主供給口21から供給される流体(A)の単位時間当たりの流量に対して5倍未満の状態から8倍以上となったことを検出すると、上記取得部6による流体の取得を開始させる命令装置4とを備えることを特徴としている。
【0120】
上記マイクロシリンジ2によって上記両側の側供給口22に供給される流体の総流量をそれぞれ0.9m/m・s以上とし、単位時間当たりの流体(B)の流量/流体(A)の流量が8以上となるように流体(A)および/または流体(B)の流量比を制御した場合、上記流体(A)は、側排出口24のみに流れることとなる。つまり、上記マイクロシリンジ2によって両側の側供給口22に供給される流体の総流量がそれぞれ0.9m/m・s以上であり、上記流体(B)の流量/流体(A)の流量が8以上の場合には、主供給口21から供給された流体(A)は、流体(B)の影響により、主流路30の端を流れることとなり、側排出口24に流れることとなる。従って、上記流体(A)から見て両側の流体(B)の総流量をそれぞれ0.9m/m・s以上とし、流体(B)の流量/流体(A)の流量が8以上となるように、流体(A)および/または流体(B)を流すことにより、流体(A)を主流路30から排出されることなく、側排出口24から排出することができる。
【0121】
そして、流体(B)の流量/流体(A)の流量が5以下、例えば、2程度の場合には、主供給口21から供給される流体(A)は、側排出口24から排出されずに主排出口23のみから排出される。したがって、例えば、通常は流体(B)の流量/流体(A)の流量が2程度になるように、流体(B)および流体(A)を供給しておき、サンプリングしたい場合に上記流体(B)の流量/流体(A)の流量が8以上とすることで、側流路から流体(A)を排出することができ、サンプリングを行うことができる。
【0122】
本実施の形態にかかるサンプリング装置50は、上記命令装置4は、上記側供給口22に供給される流体(B)の単位時間当たりの流量が主流路30に供給される流体(A)の単位時間当たりの流量に対して8倍以上となったことを検出した後、上記側供給口22に供給される流体(B)の単位時間当たりの流量が主流路30に供給される流体(A)の単位時間当たりの流量に対して5倍未満になったことを検出すると、上記取得部6による流体の取得を終了させる構成がより好ましい。
【0123】
上記の構成とすることで、上記側供給口22に供給される流体(B)の単位時間当たりの流量が主流路30に供給される流体(A)の単位時間当たりの流量に対して5倍未満となった時点でサンプリングを終了することができる。
【0124】
本実施の形態にかかる流動制御方法は、マイクロデバイス10におけるマイクロチャネル内流体の流動制御方法であって、被制御流体(流体(A))が流れる流路を、該流路システム内に導入可能な2以上の流路流体(流体(B))を利用することによって、被制御流体が流れる流路を切り替える個性であってもよい。
【0125】
また、本実施の形態にかかる流動制御方法は、主供給口21が2つ以上の側供給口22で挟まれていること構成がより好ましい。
【0126】
また、本実施の形態にかかる流動制御方法は、側供給口22から供給される流体(B)の流量が主供給口21から供給する流体(A)の流量の8〜100倍となるように流体(A)および/または流体(B)を供給する構成がより好ましい。
【0127】
本発明によれば、被制御流体が流れる微小な流路を、それをはさむ2以上の側路を流れる流体を用い、被制御流体と側路流体の流量比、および側路流体が被制御流体と合流する角度を調節することによって、被制御流体が流れる流路を切り替えることができる。
【0128】
なお、上記主供給口21および主排出口23は、いずれも1つずつ設けられていることがより好ましい。
【0129】
また、上記側供給口22は、主供給口21を挟んで両側にそれぞれ1つずつ設けられていることがより好ましい。
【0130】
また、上記側排出口24は、主排出口23を挟んで両側にそれぞれ1つずつ設けられていることがより好ましい。
【実施例】
【0131】
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0132】
〔流動制御装置1の製造例〕
まず、シリコン基板(単結晶シリコンウエハ 100mmφ,厚さ0.5mm)にフォトリソグラフィー及びドライエッチング技術を用いて所定の幅、深さを有する溝を形成した(溝加工)。
【0133】
次に、溝加工が施された上記シリコン基板にガラス基板を陽極接合技術によって張り合わせマイクロチャネルを形成した。なお、上記シリコン基板と張り合わせるガラス基板には、張り合わせた際にマイクロチャネルの始点、終点に相当する位置に、流体の出入り用の穴(投入口、取り出し口に相当)を予め形成しておき、基板の貼り合わせ時にシリコン基板とガラス基板との両者の位置合わせを行った。
【0134】
そして、ダイシング技術を用いてマイクロチャネル部分を切り離し、上記流体の出入り用の穴に、ステンレス製のコネクタを溶接することにより、流動制御装置1(マイクロデバイス10)を作製した。
【0135】
なお、マイクロチャネルの各長さは、図3、図4に示すように、供給口(主供給口21、側供給口22)長さL1:15mm、主流路30長さL2:25mm、排出口長さ(主排出口23、側排出口24)L3:15mm、主流路30幅w1:600μm、供給口幅w2:200μm、主流路30および供給口深さd1:200μmである。また、主流路30の流れ方向に対する側供給口22から供給する流体(B)の流れ方向の角度、すなわち、合流角40は30°であった。また、主流路30の流れ方向に対する側排出口24から排出される流体(流体(A)および/または流体(B))の流れ方向、すなわち、排出角41は15°であった。なお、以下の比較例では、上記マイクロデバイス10を用いて、排出口と供給口とを逆にした場合について実験を行っているものもある。
【0136】
〔実施例1〕
水に青色インク(C.I.Acid Blue 23)を溶解させて、青色着色液(流体(A))とした。
【0137】
続いて、マイクロシリンジポンプ(IC3210, KD Scientific社)を用いて、マイクロデバイス10の主供給口21から青色着色液を0.2ml/minで流した。次に合流角40が30°となるように、2つの側供給口22から上記マイクロシリンジポンプを用いて透明な水(流体(B))をそれぞれ2.0ml/minで流した(このとき、排出角41は15°である)。つまり、流体(B)/流体(A)〔単位時間当たりの流量〕は、10である。
【0138】
その後、主流路30の供給口付近(上記青色着色液と透明な水とが合流する合流点)、主流路30の長さ方向における中央部、主流路30の排出口付近(主流路30を流れる流体の分岐点)をデジタルマイクロスコープ(VH-8000, Keyence社)を用いて観察した。その結果を図7(a)(供給口付近)、図7(b)(主流路30の中央部)、図7(c)(排出口付近)に示す。
【0139】
その結果、供給口付近で、側供給口22から供給した透明な水が主流路30の幅の中央付近に移動し、青色着色液は、流路の端に移動しているのが観察された。そして、青色着色液は、側排出口24から排出されていることが観察された。つまり、主供給口21から供給された青色着色液は主排出口23から排出されていない。
【0140】
〔実施例2〕
マイクロデバイス10の主供給口21から青色着色液を0.1ml/minで供給し、2つの側供給口22から上記マイクロシリンジポンプを用いて透明な水(流体(B))を2.0ml/minで供給した以外は、実施例1と同様の実験を行った。つまり、流体(B)/流体(A)〔単位時間当たりの流量〕は、20である。また、このときの、主流路・sを挟んで、一方の側の側供給口から供給した流体(B)の総流量は約0.93m/m・sであった。
【0141】
その結果、供給口付近で、側供給口22から供給した透明な水が主流路30の幅の中央付近に移動し、青色着色液は、流路の端に移動しているのが観察された。そして、青色着色液は、側排出口24から排出されていることが観察された。つまり、主供給口21から供給された青色着色液は主排出口23から排出されていないことが分かる。
【0142】
〔比較例1〕
実施例1のマイクロデバイス10を用いて、実施例1と供給口と排出口とをそれぞれ逆にした状態で実験を行った(合流角40と排出角41とが逆になっている)。具体的には、マイクロシリンジポンプを用いて主供給口21から青色着色液を0.05ml/minで流した。次に、上記合流角40が15°となるように、2つの側供給口22から上記マイクロシリンジポンプを用いて透明な水をそれぞれ0.1ml/minで流した(このとき、排出角41は30°である)。つまり、流体(B)/流体(A)〔単位時間当たりの流量〕は、2である。
【0143】
その後、実施例1と同様に、上記デジタルマイクロスコープを用いて、主流路30の、(a)供給口付近、(b)主流路30の長さ方向における中央部、(c)排出口付近を観察した。その結果を図8(a)〜(c)に示す。その結果、主供給口21から供給された青色着色液は、主流路30中を層流で流れ、主排出口23から排出されることが確認された。
【0144】
〔比較例2〕
上記主供給口21から青色着色液を0.2ml/minで流し、2つの側供給口22から透明な水を2.0ml/minで流した以外は、上記比較例1と同様の実験を行った。つまり、流体(B)/流体(A)〔単位時間当たりの流量〕が10の条件以外は比較例1と同様の実験を行った。そして、比較例2における結果を図9(a)〜(c)に示す。その結果、主供給口21からされた青色着色液は、主供給口21および2つの側排出口24に排出された。
【0145】
この比較例2と実施例1とによって、流体(B)の流体(A)に対する合流角40が重要であることが分かる。
【0146】
〔比較例3〕
上記主供給口21から青色着色液を0.05ml/minで流し、2つの側供給口22から透明な水を0.01ml/minで流した以外は、実施例1と同様の実験を行った。つまり、流体(B)/流体(A)〔単位時間当たりの流量〕が2の条件以外は実施例1と同様の実験を行った。そして、比較例3における結果を図10(a)〜(c)に示す。その結果、主供給口21からされた青色着色液は、主供給口21および2つの側排出口24に排出された。
【0147】
この比較例3と実施例1とによって、側供給口22から供給される流体(B)の単位時間当たりの流量と、主流路30から供給される流体(A)の単位時間当たりの流量との関係が重要であることが分かる。
【0148】
〔比較例4〕
マイクロデバイス10の主供給口21から青色着色液を0.1ml/minで供給し、2つの側供給口22から上記マイクロシリンジポンプを用いて透明な水(流体(B))を1.0ml/minで供給した以外は、比較例1と同様の実験を行った。つまり、流体(B)/流体(A)〔単位時間当たりの流量〕は、10である。また、このときの、2つの側供給口22から供給された流体(B)の流量はそれぞれ0.9m/m・sよりも小さい。その結果、主供給口21からされた青色着色液は、主供給口21および2つの側排出口24に排出された。
【0149】
この比較例4より、流体(B)/流体(A)の単位時間当たりの流量比が8以上の場合であっても、2つの側供給口22から供給された流体(B)の流量がそれぞれ0.9m/m・s以上でないと、好適な結果が得られないことが分かる。すなわち、マイクロデバイス10に供給する流体(B)および流体(A)の総流量が重要であることが分かる。
【0150】
〔比較例5〕
マイクロデバイス10の主供給口21から青色着色液を0.4ml/minで供給し、2つの側供給口22から上記マイクロシリンジポンプを用いて透明な水(流体(B))を2.0ml/minで供給した以外は、比較例1と同様の実験を行った。つまり、流体(B)/流体(A)〔単位時間当たりの流量〕は、5である。また、このときの、2つの側供給口22から供給された流体(B)の流量はそれぞれ0.9m/m・sよりも大きい。その結果、主供給口21からされた青色着色液は、主供給口21および2つの側排出口24に排出された。
【0151】
この比較例5より、上記2つの側供給口22から供給された流体(B)の流量がそれぞれ0.9m/m・s以上であっても、流体(B)/流体(A)〔単位時間当たりの流量〕が8よりも小さい場合、好適な結果が得られないことが分かる。すなわち、流体(B)/流体(A)の単位時間当たりの流量比が重要であることが分かる
【産業上の利用可能性】
【0152】
本発明の流動制御方法は、例えば、微小な流路、反応槽などの構造が形成された、化学・生化学反応用微小デバイス(マイクロリアクター)のような微小ケミカルデバイスシステム、膜ろ過デバイス、透析デバイス、抽出デバイスなどの化学的・物理化学的処理デバイス、微小分析デバイス(マイクロ・トータル・アナリティカル・システム)に使用できる。また、本発明にかかる流動制御装置は、微小分析デバイスの分野において、オンラインサンプリングの用途としても用いることが可能であり、正確な流体量り取りデバイスとしての応用が可能である。また連続的にオン/オフ機能を作用させることが可能であることから、インクジェット装置等にも好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0153】
【図1】本発明の流動制御装置の概略の構成を示す模式図である。
【図2】マイクロデバイスの概略の構成を示す斜視図である。
【図3】流路を説明する図面である
【図4】主流路の要部の図面である。
【図5】他のマイクロデバイスの例を示す図面である。
【図6】本発明にかかるサンプリング装置の概略の構成を示すブロック図である。
【図7】実施例1にかかるマイクロチャネル中を流れる流体のマイクロスコープによる写真画像であり、(a)は供給口付近、(b)は主流路の長さ方向における中央部、(c)は排出口付近の写真画像である。
【図8】比較例1にかかるマイクロチャネル中を流れる流体のマイクロスコープによる写真画像であり、(a)は供給口付近、(b)は主流路の長さ方向における中央部、(c)は排出口付近の写真画像である。
【図9】比較例2にかかるマイクロチャネル中を流れる流体のマイクロスコープによる写真画像であり、(a)は供給口付近、(b)は主流路の長さ方向における中央部、(c)は排出口付近の写真画像である。
【図10】比較例3にかかるマイクロチャネル中を流れる流体のマイクロスコープによる写真画像であり、(a)は供給口付近、(b)は主流路の長さ方向における中央部、(c)は排出口付近の写真画像である。
【符号の説明】
【0154】
1 流動制御装置
2 マイクロシリンジ(供給手段)
3 制御装置(制御手段)
4 命令装置(命令手段)
5 操作部
6 取得部(取得手段)
7 受け器
8 受け器移動部
10 マイクロデバイス
21 主供給口
22 側供給口
23 主排出口
24 側排出口
30 主流路
40 合流角
41 排出角
50 サンプリング装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線状の主流路と、当該主流路に流体(A)を略直線状に供給する主供給口と、上記流体(A)と異なる流体(B)を供給するために主流路に対して25°〜45°の範囲内で線対称に設けられた側供給口と、当該流体(A)および/または流体(B)を排出するために主流路に対して線対称に設けられた側排出口と、主流路を流れる流体(A)および/または流体(B)を排出する主排出口とを備えたマイクロデバイスの主流路内を層流状態で流れる流体を制御する流動制御方法であって、
上記主流路に対して線対称となるように主供給口を挟んで両側の側供給口から供給される流体(B)の流量がそれぞれ0.9m/m・s以上となるように流体(B)の流量を制御するとともに、上記主流路から見て両側の側供給口から供給される流体(B)の単位時間当たりの流量が、それぞれ主供給口から供給される流体(A)の単位時間当たりの流量に対して、5倍未満となる状態と8倍以上となる状態とを切換可能に、流体(A)および/または流体(B)の流量比を制御することにより、流体(A)の排出先を変更することを特徴とする流動制御方法。
【請求項2】
上記主流路の断面積が5×10−12〜1×10−5であることを特徴とする請求項1の流動制御方法。
【請求項3】
直線状の主流路と、当該主流路に流体(A)を略直線状に供給する主供給口と、上記流体(A)と異なる流体(B)を供給するために主流路に対して25°〜45°の範囲内で線対称に設けられた側供給口と、当該流体(A)および/または流体(B)を排出するために主流路に対して線対称に設けられた側排出口と、主流路を流れる流体(A)および/または流体(B)を排出する主排出口とを備えたマイクロデバイスの主流路内を層流状態で流れる流体の流動方向を制御する流動制御装置であって、
上記主供給口および側供給口のそれぞれに流体を供給する供給手段と、
流体(A)および/または流体(B)の単位時間当たりの流量を制御する制御手段とを備え、
上記制御手段は、上記供給手段によって上記主流路に対して線対称となるように主供給口を挟んで両側の側供給口から供給される流体(B)の流量がそれぞれ0.9m/m・s以上となるように流体(B)の流量を制御するとともに、上記主流路から見て両側の側供給口から供給される流体(B)の単位時間当たりの流量が、それぞれ主供給口から供給される流体(A)の単位時間当たりの流量に対して、5倍未満となる状態と8倍以上となる状態とを切換可能に、流体(A)および/または流体(B)の流量比を制御するものであることを特徴とする流動制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の流動制御装置を備えたことを特徴とするインクジェット装置。
【請求項5】
直線状の主流路と、当該主流路に流体(A)を略直線状に供給する主供給口と、上記流体(A)と異なる流体(B)を供給するために主流路に対して25°〜45°の範囲内で線対称に設けられた側供給口と、当該流体(A)および/または流体(B)を排出するために主流路に対して線対称に設けられた側排出口と、主流路を流れる流体(A)および/または流体(B)を排出する主排出口とを備えたマイクロデバイスを備えたサンプリング装置であって、
上記主供給口および側供給口のそれぞれに流体を供給する供給手段と、
上記側排出口および/または主排出口から排出される当該流体(A)および/または流体(B)を取得する取得手段と、
上記供給手段によって上記主流路に対して線対称となるように主供給口を挟んで両側の側供給口から供給される流体(B)の流量がそれぞれ0.9m/m・s以上となるように流体(B)の流量を制御するとともに、上記主流路から見て両側の側供給口から供給される流体(B)の単位時間当たりの流量が、それぞれ主供給口から供給される流体(A)の単位時間当たりの流量に対して、5倍未満となる状態と8倍以上となる状態とを切換可能に、流体(A)および/または流体(B)の流量比を制御する制御手段と、
上記主流路から見て一方の側の側供給口から供給される流体(B)の単位時間当たりの総流量が主供給口から供給される流体(A)の単位時間当たりの流量に対して、5倍未満の状態から8倍以上となったことを検出すると、上記取得手段による流体の取得を開始させる命令手段とを備えることを特徴とするサンプリング装置。
【請求項6】
上記命令手段は、上記側供給口に供給される流体(B)の単位時間当たりの流量が主流路に供給される流体(A)の単位時間当たりの流量に対して8倍以上となったことを検出した後、上記側供給口に供給される流体(B)の単位時間当たりの流量が主流路に供給される流体(A)の単位時間当たりの流量に対して5倍未満になったことを検出すると、上記取得手段による流体の取得を終了させることを特徴とする請求項5記載のサンプリング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−78407(P2006−78407A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−264663(P2004−264663)
【出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】