説明

流動層乾燥装置

【課題】集塵された褐炭を流動層へ戻しつつ、集塵装置からの異物の混入を抑制可能な流動層乾燥装置を提供する。
【解決手段】褐炭を流動化ガスにより流動させることで、内部に流動層3を形成する乾燥炉5と、乾燥炉5内に設けられ、乾燥炉5から排出される排出ガスに含まれる褐炭を集塵可能な集塵装置34と、を備え、集塵装置34は、排出ガスを吸入する吸引口51と、吸引した排出ガスから褐炭を分離させるサイクロン集塵部46と、サイクロン集塵部46において分離された褐炭を流動層3へ向けて排出する燃料排出口52と、サイクロン集塵部46において褐炭が分離された排出ガスを排出するガス排出口53と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、褐炭等の湿潤燃料を流動させながら乾燥させる流動層乾燥装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような流動層乾燥装置として、底部が多数の開孔を有する通気可能な分散板である乾燥室と、乾燥室下部に位置する風室とを備えた流動乾燥機が知られている(例えば、特許文献1参照)。この流動乾燥機は、流動化ガス(乾燥用気体)を風室から分散板を介して乾燥室に供給することによって被乾燥物を流動させながら乾燥させており、乾燥室内に供給された流動化ガスは、被乾燥物から発生した蒸気と共に、乾燥室の上部に形成された排気口から排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−89243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような、従来の流動層乾燥装置において、排気口を介して排出されるガス中には、乾燥室内において乾燥された塵状の被乾燥物が含まれている。このため、流動層乾燥装置の排気口には、通常、集塵機が接続されている。流動層乾燥装置の外部に集塵機を設けた場合、集塵された被乾燥物を取扱うための構成を別途付帯させる必要があり、複雑な構成となる。
【0005】
このため、乾燥室内の排気口周りにフィルタ等を用いた集塵装置を設けることが考えられている。この場合、フィルタには、被乾燥物が蓄積するため、蓄積した被乾燥物を除去すべく、逆洗浄を行う必要がある。しかしながら、逆洗浄を行うと、フィルタが破損することにより、破損片等の異物が乾燥室内へ混入する虞がある。
【0006】
そこで、本発明は、集塵された湿潤燃料を流動層へ戻しつつ、集塵手段からの異物の混入を抑制可能な流動層乾燥装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の流動層乾燥装置は、湿潤燃料を流動化ガスにより流動させることで、内部に流動層を形成する乾燥炉と、乾燥炉内に設けられ、乾燥炉から排出される排出ガスに含まれる湿潤燃料を集塵可能な集塵手段と、を備え、集塵手段は、排出ガスを吸入する吸引口と、吸引した排出ガスから湿潤燃料を分離させるサイクロン集塵部と、サイクロン集塵部において分離された湿潤燃料を流動層へ向けて排出する燃料排出口と、サイクロン集塵部において湿潤燃料が分離された排出ガスを排出するガス排出口と、を有することを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、フィルタ等を用いることなく、排出ガスに含まれる湿潤燃料を分離し、分離後の湿潤燃料を流動層へ向けて排出できる一方で、湿潤燃料が分離された排出ガスを乾燥炉から排出することができる。これにより、フィルタを設けることがないことから、逆洗浄を行う必要もないため、フィルタの破損による異物の混入を抑制することができる。
【0009】
この場合、燃料排出口は、流動層の内部に達していることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、分離された湿潤燃料は流動層の内部に排出される。このため、排出された湿潤燃料が乾燥炉内に飛散して、再度、集塵手段に吸入されることを抑制することができ、集塵効率の低下を抑制することができる。
【0011】
この場合、乾燥炉の内壁の一部は、サイクロン集塵部の一部を構成していることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、サイクロン集塵部の一部を、乾燥炉の内壁と共用する分、集塵手段で使用される材料を削減することができ、製造コストを低減することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の流動層乾燥装置によれば、乾燥炉内に、サイクロン式の集塵手段を設けることにより、フィルタを用いることなく、排出ガス中に含まれる湿潤燃料を分離することができるため、集塵された湿潤燃料を流動層へ戻しつつ、フィルタの破損による異物の混入を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、実施例1に係る流動層乾燥装置を適用した石炭ガス化複合発電設備の概略構成図である。
【図2】図2は、実施例1に係る流動層乾燥装置を模式的に表した概略構成図である。
【図3】図3は、実施例1に係る流動層乾燥装置の集塵装置を模式的に表した上面図である。
【図4】図4は、実施例2に係る流動層乾燥装置を模式的に表した概略構成図である。
【図5】図5は、実施例2に係る流動層乾燥装置の集塵装置を模式的に表した上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付した図面を参照して、本発明に係る流動層乾燥装置について説明する。なお、以下の実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【実施例1】
【0016】
図1は、実施例1に係る流動層乾燥装置を適用した石炭ガス化複合発電設備の概略構成図である。実施例1の流動層乾燥装置1が適用された石炭ガス化複合発電設備(IGCC:Integrated Coal Gasification Combined Cycle)100は、空気を酸化剤としてガス化炉で石炭ガスを生成する空気燃焼方式を採用し、ガス精製装置で精製した後の石炭ガスを燃料ガスとしてガスタービン設備に供給して発電を行っている。すなわち、実施例1の石炭ガス化複合発電設備100は、空気燃焼方式(空気吹き)の発電設備である。この場合、ガス化炉に供給する湿潤原料として褐炭を使用している。
【0017】
なお、実施例1では、湿潤原料として褐炭を適用したが、水分含量の高いものであれば、亜瀝青炭等を含む低品位炭や、スラッジ等の泥炭を適用してもよく、また、高品位炭であっても適用可能である。また、湿潤原料として、褐炭等の石炭に限らず、再生可能な生物由来の有機性資源として使用されるバイオマスであってもよく、例えば、間伐材、廃材木、流木、草類、廃棄物、汚泥、タイヤ及びこれらを原料としたリサイクル燃料(ペレットやチップ)などを使用することも可能である。
【0018】
実施例1において、図1に示すように、石炭ガス化複合発電設備100は、給炭装置111、流動層乾燥装置1、微粉炭機(ミル)113、石炭ガス化炉114、チャー回収装置115、ガス精製装置116、ガスタービン設備117、蒸気タービン設備118、発電機119、排熱回収ボイラ(HRSG:Heat Recovery Steam Generator)120を有している。
【0019】
給炭装置111は、原炭バンカ121と、石炭供給機122と、クラッシャ123とを有している。原炭バンカ121は、褐炭を貯留可能であって、所定量の褐炭を石炭供給機122に投下する。石炭供給機122は、原炭バンカ121から投下された褐炭をコンベアなどにより搬送し、クラッシャ123に投下する。このクラッシャ123は、投下された褐炭を細かく破砕して細粒化する。
【0020】
流動層乾燥装置1は、給炭装置111により投入された褐炭に対して過熱蒸気等の乾燥用蒸気を供給することで、褐炭を流動させながら加熱乾燥し、褐炭が含有する水分を除去するものである。この流動層乾燥装置1は、下部から取り出された乾燥済の褐炭(乾燥炭)を冷却する冷却器131が設けられ、乾燥冷却済の乾燥炭が乾燥炭バンカ132に貯留される。また、流動層乾燥装置1は、上部から取り出された蒸気から乾燥炭の粒子を分離する乾燥炭電気集塵機134が設けられ、蒸気から分離された乾燥炭の粒子が乾燥炭バンカ132に貯留される。なお、乾燥炭電気集塵機134で乾燥炭が分離された蒸気は、蒸気圧縮機135で圧縮されてから流動層乾燥装置1に乾燥用蒸気として供給される。
【0021】
微粉炭機113は、石炭粉砕機であって、流動層乾燥装置1により乾燥された褐炭(乾燥炭)を細かい粒子状に粉砕して微粉炭を製造するものである。すなわち、微粉炭機113は、乾燥炭バンカ132に貯留された乾燥炭が石炭供給機136により投下されると、この乾燥炭を所定粒径以下の微粉炭とする。そして、微粉炭機113で粉砕後の微粉炭は、微粉炭バグフィルタ137a,137bにより搬送用ガスから分離され、微粉炭供給ホッパ138a,138bに貯留される。
【0022】
石炭ガス化炉114は、微粉炭機113で処理された微粉炭が供給されると共に、チャー回収装置115で回収されたチャー(石炭の未燃分)が供給される。
【0023】
石炭ガス化炉114は、ガスタービン設備117(圧縮機161)から圧縮空気供給ライン141が接続されており、このガスタービン設備117で圧縮された圧縮空気が供給可能となっている。空気分離装置142は、大気中の空気から窒素と酸素を分離生成するものであり、第1窒素供給ライン143が石炭ガス化炉114に接続され、この第1窒素供給ライン143に微粉炭供給ホッパ138a,138bからの給炭ライン144a,144bが接続されている。また、第2窒素供給ライン145も石炭ガス化炉114に接続され、この第2窒素供給ライン145にチャー回収装置115からのチャー戻しライン146が接続されている。更に、酸素供給ライン147は、圧縮空気供給ライン141に接続されている。この場合、窒素は、石炭やチャーの搬送用ガスとして利用され、酸素は、酸化剤として利用される。
【0024】
石炭ガス化炉114は、例えば、噴流床形式のガス化炉であって、内部に供給された石炭、チャー、空気(酸素)、またはガス化剤としての水蒸気を燃焼・ガス化すると共に、二酸化炭素を主成分とする可燃性ガス(生成ガス、石炭ガス)が発生し、この可燃性ガスをガス化剤としてガス化反応が起こる。なお、石炭ガス化炉114は、微粉炭の混入した異物を除去する異物除去装置148が設けられている。この場合、石炭ガス化炉114は噴流床ガス化炉に限らず、流動床ガス化炉や固定床ガス化炉としてもよい。そして、この石炭ガス化炉114は、チャー回収装置115に向けて可燃性ガスのガス生成ライン149が設けられており、チャーを含む可燃性ガスが排出可能となっている。この場合、ガス生成ライン149にガス冷却器を設けることで、可燃性ガスを所定温度まで冷却してからチャー回収装置115に供給するとよい。
【0025】
チャー回収装置115は、集塵装置151と供給ホッパ152とを有している。この場合、集塵装置151は、1つまたは複数のバグフィルタやサイクロンにより構成され、石炭ガス化炉114で生成された可燃性ガスに含有するチャーを分離することができる。そして、チャーが分離された可燃性ガスは、ガス排出ライン153を通してガス精製装置116に送られる。ホッパ152は、集塵装置151で可燃性ガスから分離されたチャーを貯留するものである。なお、集塵装置151と供給ホッパ152との間にビンを配置し、このビンに複数の供給ホッパ152を接続するように構成してもよい。そして、供給ホッパ152からのチャー戻しライン146が第2窒素供給ライン145に接続されている。
【0026】
ガス精製装置116は、チャー回収装置115によりチャーが分離された可燃性ガスに対して、硫黄化合物や窒素化合物などの不純物を取り除くことで、ガス精製を行うものである。そして、ガス精製装置116は、可燃性ガスを精製して燃料ガスを製造し、これをガスタービン設備117に供給する。なお、このガス精製装置116では、チャーが分離された可燃性ガス中にはまだ硫黄分(HS)が含まれているため、アミン吸収液によって除去することで、硫黄分を最終的には石膏として回収し、有効利用する。
【0027】
ガスタービン設備117は、圧縮機161、燃焼器162、タービン163を有しており、圧縮機161とタービン163は、回転軸164により連結されている。燃焼器162は、圧縮機161から圧縮空気供給ライン165が接続されると共に、ガス精製装置116から燃料ガス供給ライン166が接続され、タービン163に燃焼ガス供給ライン167が接続されている。また、ガスタービン設備117は、圧縮機161から石炭ガス化炉114に延びる圧縮空気供給ライン141が設けられており、圧縮空気供給ライン141に昇圧機168が介設されている。従って、燃焼器162では、圧縮機161から供給された圧縮空気とガス精製装置116から供給された燃料ガスとを混合して燃焼し、タービン163にて、発生した燃焼ガスにより回転軸164を回転することで発電機119を駆動することができる。
【0028】
蒸気タービン設備118は、ガスタービン設備117における回転軸164に連結されるタービン169を有しており、発電機119は、この回転軸164の基端部に連結されている。排熱回収ボイラ120は、ガスタービン設備117(タービン163)からの排ガスライン170に設けられており、空気と高温の排ガスとの間で熱交換を行うことで、蒸気を生成するものである。そのため、排熱回収ボイラ120は、蒸気タービン設備118のタービン169との間に蒸気供給ライン171が設けられると共に、蒸気回収ライン172が設けられ、蒸気回収ライン172に復水器173が設けられている。従って、蒸気タービン設備118では、排熱回収ボイラ120から供給された蒸気によりタービン169が駆動し、回転軸164を回転することで発電機119を駆動することができる。
【0029】
そして、排熱回収ボイラ120で熱が回収された排ガスは、ガス浄化装置174により有害物質を除去され、浄化された排ガスは、煙突175から大気へ放出される。
【0030】
ここで、実施例1の石炭ガス化複合発電設備100の作動について説明する。
【0031】
実施例1の石炭ガス化複合発電設備100において、給炭装置111にて、原炭(褐炭)が原炭バンカ121に貯留されており、この原炭バンカ121の褐炭が石炭供給機122によりクラッシャ123に投下され、ここで所定の大きさに破砕される。そして、破砕された褐炭は、流動層乾燥装置1により加熱乾燥された後、冷却器131により冷却され、乾燥炭バンカ132に貯留される。また、流動層乾燥装置1の上部から取り出された蒸気は、乾燥炭電気集塵機134により乾燥炭の粒子が分離され、蒸気圧縮機135で圧縮されてから流動層乾燥装置1に乾燥用蒸気として戻される。一方、蒸気から分離された乾燥炭の粒子は、乾燥炭バンカ132に貯留される。
【0032】
乾燥炭バンカ132に貯留される乾燥炭は、石炭供給機136により微粉炭機113に投入され、ここで、細かい粒子状に粉砕されて微粉炭が製造され、微粉炭バグフィルタ137a,137bを介して微粉炭供給ホッパ138a,138bに貯留される。この微粉炭供給ホッパ138a,138bに貯留される微粉炭は、空気分離装置142から供給される窒素により第1窒素供給ライン143を通して石炭ガス化炉114に供給される。また、後述するチャー回収装置115で回収されたチャーが、空気分離装置142から供給される窒素により第2窒素供給ライン145を通して石炭ガス化炉114に供給される。更に、後述するガスタービン設備117から抽気された圧縮空気が昇圧機168で昇圧された後、空気分離装置142から供給される酸素と共に圧縮空気供給ライン141を通して石炭ガス化炉114に供給される。
【0033】
石炭ガス化炉114では、供給された微粉炭及びチャーが圧縮空気(酸素)により燃焼し、微粉炭及びチャーがガス化することで、二酸化炭素を主成分とする可燃性ガス(石炭ガス)を生成することができる。そして、この可燃性ガスは、石炭ガス化炉114からガス生成ライン149を通して排出され、チャー回収装置115に送られる。
【0034】
このチャー回収装置115にて、可燃性ガスは、まず、集塵装置151に供給され、集塵装置151は、可燃性ガスに含まれるチャーを分離する。そして、チャーが分離された可燃性ガスは、ガス排出ライン153を通してガス精製装置116に送られる。一方、可燃性ガスから分離した微粒チャーは、供給ホッパ152に堆積され、チャー戻しライン146を通して石炭ガス化炉114に戻されてリサイクルされる。
【0035】
チャー回収装置115によりチャーが分離された可燃性ガスは、ガス精製装置116にて、硫黄化合物や窒素化合物などの不純物が取り除かれてガス精製され、燃料ガスが製造される。そして、ガスタービン設備117では、圧縮機161が圧縮空気を生成して燃焼器162に供給すると、この燃焼器162は、圧縮機161から供給される圧縮空気と、ガス精製装置116から供給される燃料ガスとを混合し、燃焼することで燃焼ガスを生成し、この燃焼ガスによりタービン163を駆動することで、回転軸164を介して発電機119を駆動し、発電を行うことができる。
【0036】
そして、ガスタービン設備117におけるタービン163から排出された排気ガスは、排熱回収ボイラ120にて、空気と熱交換を行うことで蒸気を生成し、この生成した蒸気を蒸気タービン設備118に供給する。蒸気タービン設備118では、排熱回収ボイラ120から供給された蒸気によりタービン169を駆動することで、回転軸164を介して発電機119を駆動し、発電を行うことができる。
【0037】
その後、ガス浄化装置174では、排熱回収ボイラ120から排出された排気ガスの有害物質が除去され、浄化された排ガスが煙突175から大気へ放出される。
【0038】
以下、上述した石炭ガス化複合発電設備100における流動層乾燥装置1について詳細に説明する。図2は、実施例1に係る流動層乾燥装置を模式的に表した概略構成図である。実施例1の流動層乾燥装置1は、水分含量が高い石炭である褐炭を、流動化ガスにより流動させながら、加熱乾燥させるものである。
【0039】
図2に示すように、流動層乾燥装置1は、内部に褐炭が供給される乾燥炉5と、乾燥炉5の内部に設けられたガス分散板6と、を備えている。乾燥炉5は、長方体の箱状に形成されている。ガス分散板6は、乾燥炉5内部の空間を、鉛直方向下方側(図示下側)に位置するチャンバ室11と、鉛直方向上方側(図示上側)に位置する乾燥室12とに区分けしている。ガス分散板6には、多数の貫通孔が形成され、チャンバ室11には、蒸気等の流動化ガスが導入される。
【0040】
乾燥炉5の乾燥室12には、褐炭を投入する褐炭投入口31と、褐炭を加熱乾燥した乾燥炭を排出する乾燥炭排出口41と、褐炭を加熱する伝熱管33と、流動化ガスおよび発生蒸気からなる排出ガスに含まれる褐炭を分離する集塵装置34とが設けられている。
【0041】
褐炭投入口31は、乾燥室12の一端側(図示左側)に形成されている。褐炭投入口31には、上記したクラッシャ123が接続されており、細粒化された褐炭が、乾燥室12に供給される。
【0042】
乾燥炭排出口41は、乾燥室12の他端側(図示右側)の底部に形成されている。乾燥炭排出口41からは、乾燥室12において乾燥された褐炭が、乾燥炭として排出され、排出された乾燥炭は上記した冷却器131へ向けて供給される。
【0043】
乾燥室12に供給された褐炭は、ガス分散板6を介して供給される流動化ガスにより流動することで、乾燥室12内に流動層3を形成する。また、形成された流動層3の上方には、フリーボード部Fが形成される。乾燥室12に形成される流動層3は、その流動方向が、乾燥室12の長手方向(図2の左右方向)となっている。乾燥室12に供給された流動化ガスは、褐炭を乾燥させることにより発生した蒸気と共に、集塵装置34へ向かう。
【0044】
伝熱管33は、流動層3の内部に設けられている。伝熱管33は、その内部に乾燥用蒸気が供給され、流動層3の褐炭中の水分を除去している。よって、伝熱管33に乾燥用蒸気が供給されると、伝熱管33は、乾燥用蒸気の潜熱を利用して、乾燥室12内の褐炭を乾燥させる。この後、乾燥に利用された乾燥用蒸気は、乾燥室12の外部に排出される。
【0045】
続いて、図2および図3を参照して、集塵装置34について説明する。図3は、実施例1に係る流動層乾燥装置の集塵装置を模式的に表した上面図である。図2および図3に示すように、集塵装置34は、サイクロン式の集塵装置であり、吸引ポート45と、吸引ポート45に接続されたサイクロン集塵部46と、サイクロン集塵部46の下方側に接続された燃料排出ポート47と、サイクロン集塵部46の上方側に接続されたガス排出ポート48とを有している。
【0046】
サイクロン集塵部46は、鉛直方向の上方側から下方側へ向けて先細りとなるテーパ形状に形成されている。このように構成されたサイクロン集塵部46の軸方向は鉛直方向となっている。このサイクロン集塵部46では、内部に流入した排出ガスに含まれる褐炭が分離される。つまり、流入した排出ガスは、サイクロン集塵部46の内部においてサイクロン流となり、排出ガス中の褐炭は、下方側の燃料排出ポート47に導かれる一方で、排出ガスはガス排出ポート48に導かれる。
【0047】
吸引ポート45は、サイクロン集塵部46の上方側の外周における接線方向に延在して設けられている。吸引ポート45は、その一方の端部がサイクロン集塵部46に接続されており、その他方の端部が排出ガスを吸引する吸引口51となっている。そして、吸引ポート45は、吸引口51から吸引した排出ガスをサイクロン集塵部46へ向けて供給している。
【0048】
燃料排出ポート47は、サイクロン集塵部46の下方側における軸方向に延在して設けられている。燃料排出ポート47は、その上方側端部がサイクロン集塵部46に接続され、その下方側端部が排出ガスから分離された褐炭を排出する燃料排出口52となっている。このとき、燃料排出ポート47の下方側端部は、燃料排出口52が流動層3の内部に位置するように設けられている。そして、燃料排出ポート47は、サイクロン集塵部46において分離された褐炭を、燃料排出口52から流動層3の内部へ向けて排出している。
【0049】
ガス排出ポート48は、サイクロン集塵部46の上方側における軸方向に延在して設けられている。ガス排出ポート48は、その上方側端部が乾燥炉5の外部にある上記の乾燥炭電気集塵機134に接続され、その下方側端部が褐炭分離後の排出ガスを排出するガス排出口53となっている。このとき、ガス排出ポート48の下方側端部は、サイクロン集塵部46の内部に位置するように設けられている。そして、ガス排出ポート48は、サイクロン集塵部46において褐炭が分離された排出ガスを、ガス排出口53から乾燥炭電気集塵機134へ向けて排出している。
【0050】
従って、褐炭投入口31から褐炭が乾燥室12へ供給されると、供給された褐炭は、ガス分散板6を介して供給される流動化ガスにより流動することで、流動層3を形成する。流動層3となった褐炭は、流動化ガスおよび伝熱管33に加熱されることで乾燥される。この後、流動化ガスは、褐炭から発生した発生蒸気と共に排出ガスとなって集塵装置34へ向かう。集塵装置34へ向かった排出ガスは、集塵装置34の吸引口51から吸引され、吸引ポート45を介してサイクロン集塵部46に供給される。
【0051】
排出ガスがサイクロン集塵部46に供給されると、サイクロン集塵部46は、排出ガス中に含まれる褐炭を分離する。分離後の褐炭は、燃料排出ポート47へ向かった後、乾燥室12に形成された流動層3へ排出される。一方で、褐炭分離後の排出ガスは、ガス排出ポート48へ向かった後、乾燥炭電気集塵機134へ供給される。そして、乾燥室12で乾燥された褐炭は、乾燥炭排出口41から排出される。
【0052】
以上のように、実施例1の構成によれば、サイクロン式の集塵装置34により、排出ガスに含まれる褐炭を分離し、分離後の褐炭を流動層3へ向けて排出できる一方で、褐炭が分離された排出ガスを乾燥炉5から排出することができる。これにより、フィルタを設ける必要がなく、逆洗浄を行う必要もないため、フィルタの破損による異物の混入を抑制することができる。
【0053】
また、実施例1の構成によれば、分離された褐炭は流動層3の内部に排出されるため、排出された褐炭が乾燥炉5内に再度飛散して、集塵装置34に吸入されることを抑制することができる。これにより、流動層乾燥装置1は、集塵装置34による集塵効率の低下を抑制することができる。
【実施例2】
【0054】
次に、図4および図5を参照して、実施例2に係る流動層乾燥装置70について説明する。図4は、実施例2に係る流動層乾燥装置を模式的に表した概略構成図であり、図5は、実施例2に係る流動層乾燥装置の集塵装置を模式的に表した上面図である。なお、重複した記載を避けるべく、異なる部分について説明する。実施例2に係る流動層乾燥装置70は、乾燥炉5の内壁の一部が、集塵装置71のサイクロン集塵部76の一部を構成している。以下、図4および図5を参照して、集塵装置71について説明する。
【0055】
集塵装置71は、サイクロン式の集塵装置であり、吸引ポート75と、吸引ポート75に接続されたサイクロン集塵部76と、サイクロン集塵部76の下方側に接続された燃料排出ポート77と、サイクロン集塵部76の上方側に接続されたガス排出ポート78とを有している。
【0056】
サイクロン集塵部76は、その一部が、鉛直方向の上方側から下方側へ向けて先細りとなるテーパ形状に形成される一方で、他の一部が、乾燥炉5の内壁の一部で構成されている。つまり、サイクロン集塵部76は、乾燥炉5の内壁に、テーパ形状に形成された部材を取り付けることで構成されている。このように構成されたサイクロン集塵部76の軸方向は鉛直方向となっている。このサイクロン集塵部76では、内部に流入した排出ガスに含まれる褐炭が分離される。つまり、流入した排出ガスは、サイクロン集塵部76の内部においてサイクロン流となり、排出ガス中の褐炭は、下方側の燃料排出ポート77に導かれる一方で、排出ガスはガス排出ポート78に導かれる。
【0057】
吸引ポート75は、サイクロン集塵部76の上方側の外周における接線方向に延在して設けられている。また、図5に示すように、吸引ポート75は、その一部が乾燥炉5の内壁の一部で構成されている。つまり、吸引ポート75は、乾燥炉5の内壁に、吸引ポート75の一部を構成する部材を取り付けることで構成されている。この吸引ポート75は、その一方の端部がサイクロン集塵部76に接続されており、その他方の端部が排出ガスを吸引する吸引口81となっている。そして、吸引ポート75は、吸引口81から吸引した排出ガスをサイクロン集塵部76へ向けて供給している。
【0058】
燃料排出ポート77は、サイクロン集塵部76の下方側における軸方向に延在して設けられている。また、図4に示すように、燃料排出ポート77は、その一部が乾燥炉5の内壁の一部で構成されている。つまり、燃料排出ポート77は、乾燥炉5の内壁に、燃料排出ポート77の一部を構成する部材を取り付けることで構成されている。この燃料排出ポート77は、その上方側端部がサイクロン集塵部76に接続され、その下方側端部が排出ガスから分離された褐炭を排出する燃料排出口82となっている。このとき、燃料排出ポート77の下方側端部は、燃料排出口82が流動層3の内部に位置するように設けられている。そして、燃料排出ポート77は、サイクロン集塵部76において分離された褐炭を、乾燥炉5の内壁に沿わせながら、燃料排出口82から流動層3の内部へ向けて排出している。
【0059】
ガス排出ポート78は、サイクロン集塵部76の上方側における軸方向に延在して設けられている。ガス排出ポート48は、実施例1と同様に、その上方側端部が乾燥炉5の外部にある上記の乾燥炭電気集塵機134に接続され、その下方側端部が褐炭分離後の排出ガスを排出するガス排出口83となっている。このとき、ガス排出口83は、サイクロン集塵部76の内部に位置するように設けられており、サイクロン集塵部76の中心に対して偏心して設けられている。そして、ガス排出ポート78は、サイクロン集塵部76において褐炭が分離された排出ガスを、ガス排出口83から乾燥炭電気集塵機134へ向けて排出している。
【0060】
以上のように、実施例2の構成においても、サイクロン式の集塵装置71により、排出ガスに含まれる褐炭を分離し、分離後の褐炭を流動層3へ向けて排出できる一方で、褐炭が分離された排出ガスを乾燥炉5から排出することができる。このとき、サイクロン集塵部76の一部を、乾燥炉5の内壁と共用できる分、集塵装置71で使用される材料を削減することができるため、製造コストを低減することができる。
【符号の説明】
【0061】
1 流動層乾燥装置
3 流動層
5 乾燥炉
6 ガス分散板
11 チャンバ室
12 乾燥室
31 褐炭投入口
33 伝熱管
34 集塵装置
41 乾燥炭排出口
45 吸引ポート
46 サイクロン集塵部
47 燃料排出ポート
48 ガス排出ポート
51 吸引口
52 燃料排出口
53 ガス排出口
70 流動層乾燥装置(実施例2)
71 集塵装置(実施例2)
75 吸引ポート(実施例2)
76 サイクロン集塵部(実施例2)
77 燃料排出ポート(実施例2)
78 ガス排出ポート(実施例2)
81 吸引口(実施例2)
82 燃料排出口(実施例2)
83 ガス排出口(実施例2)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿潤燃料を流動化ガスにより流動させることで、内部に流動層を形成する乾燥炉と、
前記乾燥炉内に設けられ、前記乾燥炉から排出される排出ガスに含まれる前記湿潤燃料を集塵可能な集塵手段と、を備え、
前記集塵手段は、
前記排出ガスを吸入する吸引口と、
吸引した前記排出ガスから前記湿潤燃料を分離させるサイクロン集塵部と、
前記サイクロン集塵部において分離された前記湿潤燃料を前記流動層へ向けて排出する燃料排出口と、
前記サイクロン集塵部において前記湿潤燃料が分離された前記排出ガスを排出するガス排出口と、を有することを特徴とする流動層乾燥装置。
【請求項2】
前記燃料排出口は、前記流動層の内部に達していることを特徴とする請求項1に記載の流動層乾燥装置。
【請求項3】
前記乾燥炉の内壁の一部は、前記サイクロン集塵部の一部を構成していることを特徴とする請求項1または2に記載の流動層乾燥装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−241994(P2012−241994A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113333(P2011−113333)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】