説明

流動床容器内のグリッド上の凝集の防止又は減少方法

流動床容器内のガス分配グリッドの上又は周りの凝集及び/又は蓄積を防止又は減少する方法。この方法は、1個又はそれ以上の精練ボールを、ガス分配グリッドの上で容器中に導入すること及び精練ボールの存在下に流動床プロセスを実施することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、流動床容器内のガス分配グリッド(gas distribution grid)の上又は周りの凝集及び/又は蓄積を防止又は減少する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
流動床容器、例えば接触分解(catalytic cracking)、ガス化、燃焼、重合及び乾燥に使用されるものに於いて、粒子が凝集(即ち一緒に粘着又は融解して、より大きい塊を形成すること)し、この容器内のガス分配グリッドの頂部の上及び/又は周りに堆積する傾向がある。
【0003】
このような凝集及び/又は蓄積は、流動化気体の流れを妨害し得る。流動化気体の流れが妨害されると、流動床は、不安定になり、崩壊し得る。このような場合には、容器を運転停止し、清浄にしなくてはならないであろう。また、グリッド付近にある温度センサーが異常に挙動する場合も、典型的には、容器を同様に運転停止しなくてはならないであろう。頻繁な容器の運転停止は、製造を遅延させ、容器を運転するコストを増加させるので、望ましくない。従って、流動床容器内のガス分配グリッドの頂部の上及び/又は周りの凝集及び/又は蓄積を防止又は減少するニーズが存在する。
【0004】
本発明は、上記問題点を解決するための解決方法を提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、流動床容器内のガス分配グリッドの上又は周りの凝集及び/又は蓄積を防止又は減少する方法を提供する。この方法は、
1個又はそれ以上の精練ボール(scouring ball)を、ガス分配グリッドの上で容器の中に導入すること及び
この精練ボールの存在下に流動床プロセスを実施すること
を含んでなる。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明者等は、驚くべきことに、流動床容器内のガス分配グリッドの頂部の上及び/又は周りの、所謂「ワッフリング(ハチの巣)(waffling)」を含む凝集及び/又は蓄積を、流動床プロセスを、容器内でガス分配グリッドの上に配置した1個又はそれ以上の精練ボールの存在下に実施することによって、有効に減少、防止及び/又は阻止することができることを見出した。
【0007】
従って、本発明は、流動床容器内のガス分配グリッドの上及び/又は周りの凝集又は蓄積を防止又は減少する方法を提供する。この方法は、
1個又はそれ以上の精練ボールを、ガス分配グリッドの上で容器の中に導入すること及び
この精練ボールの存在下に流動床プロセスを実施すること
を含んでなる。
【0008】
「精練ボール」によって、プロセス条件下で、実質的に不活性であり、実質的に非流動性であり、そして横方向に移動可能である任意の物体を意味する。語「精練」及び「ボール」自体は、本発明に関連して、任意の特別の作用又は形状も、必ずしも暗示しない。本発明に従って、精練ボールは、サイズ、形状及び密度に於いて、それらが、プロセス条件下で流動化されるようにならず、主としてグリッドの上に又はグリッドの僅かに上方に存在している限り、広い範囲に亘って変化することができる。
【0009】
好ましくは、前記ボールは、それらの横方向運動を容易にするために、丸みを帯びた縁を有している。このボールのための代表的な形状には、球形若しくは実質的に球形、長円形又はディスク状が含まれる。これらは中実又は中空であってよい。
【0010】
好ましくは、前記ボールは、実質的に球形であり、流動化気体が、それらを転げ回るようにすることができ及び/又はグリッドの頂部上で上下に跳ねて、ばらばらにすることができ及び/又はプロセスの間の凝集体の形成を防止することができるような、サイズ、硬度及び密度を有する。また、好ましくは、ボールのサイズ、形状及び密度は、それらが動いているとき、グリッドホールをできるだけ妨げられないようにしておくことによって、ボールが、流動化に対する最小の崩壊を起こすようなものである。
【0011】
個々のボールは、互いに異なる、サイズ、形状及び密度を有していてよい。一つの好ましい態様に於いて、時間の単位当たりの任意の与えられた領域での精練量を最大にするように、変化するサイズ、形状及び密度を有する複数のボールが使用される。
【0012】
前記ボールは、それらがプロセス条件下で実質的に不活性である限り、任意の材料、例えば木材、金属、プラスチック、セラミック又はこれらの組合せから製造することができる。条件が、プロセス毎に変化する場合には、ボールの正確な構成も、同じプロセス内及び異なったプロセス間の両方で変化してよい。
【0013】
一つの態様に於いて、前記ボールは、実質的に球形であり、8〜10インチの範囲内の直径を有し、プラスチックから作られている。好ましい態様に於いて、このボールは、約0.5のメルトインデックス及び約0.926g/ccの密度を有する線状低密度ポリエチレンから作られている。このボールは、好ましくは、それぞれ、約9〜18ポンドの重量である。このようなボールは、殆どのプロセスの条件下で、極めて硬く、耐久性がある。
【0014】
前記精練ボールは、前のプロセス運転から得られ、プロセスを再開する前に、反応器内に意図的に置かれた又は放置された凝集体から作ることもできる。
【0015】
前記精練ボールは、流動床容器の中に、安全である任意の時点でも、現存する又は新しく作られた任意のポートを経て導入することができる。好ましくは、このボールは、種床(seed bed)を装填する前にきれいなガス分配グリッドの上にそれらを置くことによって、プロセスを始める前に容器内の「マンウエイ(man-way)」を通して導入される。
【0016】
本発明の方法は、流動床容器を使用する任意のプロセスに於いて使用することができる。このようなプロセスには、これらに限定されないが、接触分解、ガス化、燃焼、重合及び乾燥が含まれる。本発明の方法は、特に、オレフィン重合プロセスと関連する用途に適している。このような重合プロセスを、以下説明する。
【0017】
オレフィン重合は、気相、流動床重合反応器を使用して実施することができる。この形式の反応器及びこの反応器を運転する手段は公知であり、文献、例えば米国特許第3,709,853号明細書、米国特許第4,003,712号明細書、米国特許第4,011,382号明細書、米国特許第4,302,566号明細書、米国特許第4,543,399号明細書、米国特許第4,882,400号明細書、米国特許第5,436,304号明細書、米国特許第5,541,270号明細書、カナダ国特許第991,798号明細書及びベルギー国特許第839,380号明細書中に記載されている。これらの特許には、重合媒体が、気体状モノマー及び希釈剤の連続流によって流動化されている、気相重合プロセスが開示されている。これらの特許の全部の内容を参照して本明細書中に含める。
【0018】
一般的に、流動床反応器は、ガス分配グリッド、反応ゾーン及び所謂速度低下ゾーンを含む。この反応ゾーンは、気体状モノマー及び反応ゾーンを通して重合熱を除去するための、希釈剤の連続流によって流動化されている、成長しているポリマー粒子、形成されたポリマー粒子及び少量の触媒粒子の床を含む。任意的に、再循環させる気体の一部を冷却し、圧縮して、反応ゾーンに再供給して、循環気体流の熱除去容量を増加させる液体を形成することができる。気体流の適切な速度は、簡単な実験によって容易に決定することができる。補充(make-up)気体状モノマーを、循環気体流に、粒子状ポリマー生成物及びそれに付随するモノマーが反応器から取り出される速度に等しい速度で添加することができ、反応器を通過する気体の組成は、反応ゾーン内の本質的に定常状態の気体状組成を維持するように調節される。反応ゾーンから出る気体は、速度低下ゾーンに通され、そこで同伴された粒子が除去される。より微細な同伴された粒子及びダストは、サイクロン及び/又は微細フィルター内で除去することができる。この気体を、重合熱を除去するための熱交換器に通過させ、圧縮機内で圧縮し、次いで、反応ゾーンに戻すことができる。
【0019】
流動床反応器温度は、約30℃〜約150℃の範囲内であってよい。一般的に、反応器温度は、反応器内のポリマー生成物の焼結温度を考慮して実施可能である最高温度で運転される。
【0020】
前記重合は、1種又はそれ以上のオレフィンで実施することができる。重合に適しているオレフィンは、例えば2〜16個の炭素原子を含有していてよい。これには、オレフィンモノマー単位のホモポリマー、コポリマー、ターポリマー等が含まれる。ここで製造のために特に好ましいものはポリエチレンである。このようなポリエチレンは、エチレンのホモポリマー及びエチレンと少なくとも1種のα−オレフィンとのコポリマー(ここで、エチレン含有量は、含有される全モノマーの少なくとも約50重量%である)であってよい。本発明で使用することができる代表的なα−オレフィンはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、1−デセン、1−ドデセン、1−ヘキサデセン等である。また、本発明に於いて、ポリエン、例えば1,3−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、4−ビニルシクロヘキス−1−エン、1,5−シクロオクタジエン、5−ビニリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン及び重合媒体中でインシトゥ(in situ)で生成されるオレフィンである。重合媒体中でインシトゥでオレフィンが生成されるとき、長鎖分岐を含有するポリエチレンの生成が起こり得る。
【0021】
オレフィンを重合するために公知である任意の触媒を使用することができる。好ましくは、オレフィン重合触媒は、本明細書中で定義されているような、元素周期表の第3族、第4族、第5族、第6族、第7族、第8族、第9族、第10族、第11族、第12族及び第13族から選択された少なくとも1種の金属を含む。代表的な金属はチタン、ジルコニウム、バナジウム、鉄、クロム、ニッケル及びアルミニウムである。オレフィン重合触媒は中性又はカチオン性であってよい。
【0022】
このような重合触媒の例は、下記のものである。
【0023】
1.第6族元素を含有する任意の化合物。クロム含有化合物が好ましい。例は、エチレンを、広い分子量分布を有する高分子量高密度ポリエチレン(HDPE)に重合する、酸化クロム触媒である。これらの触媒は、典型的にCr(6+)をベースにし、担体上に担持されている。更なる例は有機クロム触媒、例えばシリカ上に担持され、有機アルミニウム化合物によって活性化されたビス(トリフェニルシリル)クロメート及びシリカ上に担持されたビス(シクロペンタジエニル)クロムである。
【0024】
2.典型的には、遷移金属成分及び有機金属共触媒(これは典型的には、有機アルミニウム化合物である)からなるチーグラー−ナッタ触媒。
【0025】
3.オレフィンを重合して、1〜2.5の分子量分布(MWD)を有するオレフィンの共重合体を製造するオレフィン重合触媒。
【0026】
4.置換又は非置換のシクロペンタジエニル、置換又は非置換のペンタジエニル、置換又は非置換のピロール、置換又は非置換のホスホール、置換又は非置換のアルソール(arsole)、置換又は非置換のボラタベンゼン(boratabenzene)及び置換又は非置換のカルボランから選択された少なくとも1種の単位を有する遷移金属成分並びに典型的にはアルキルアルミノキサン、例えばメチルアルミノキサン又はアリール置換されたホウ素化合物である有機金属共触媒からなるメタロセン触媒。
【0027】
5.第13族元素を含有する任意の化合物。アルミニウム含有化合物が好ましい。例は、米国特許第5,777,120号明細書に記載された種類の触媒、例えば典型的に、アルキルアルミノキサン、例えばメチルアルミノキサン又はアリール置換されたホウ素含有化合物である有機金属共触媒とのカチオン性アルミニウムアルキルアミジネート錯体である。
【0028】
6.第10族元素を含有する任意の化合物。ニッケル含有化合物が好ましい。例は、米国特許第5,866,663号明細書に記載された種類の触媒、例えば典型的にはアルキルアルミノキサン、例えばメチルアルミノキサン又はアリール置換されたホウ素含有化合物である有機金属共触媒とのカチオン性ニッケルアルキルジイミン錯体である。更なる代表例は、Organometallics、1998年、第17巻、第3149−3151頁に記載されている種類の触媒、例えば中性ニッケルアルキルサリチルアルジミナト錯体である。
【0029】
7.第8族元素を含有する任意の化合物。鉄含有化合物が好ましい。代表例は、Journal of the American Chemical Society、1998年、第120巻、第7143−7144頁に記載されている種類の触媒、例えば典型的には、アルキルアルミノキサン、例えばメチルアルミノキサン又はアリール置換されたホウ素含有化合物である有機金属共触媒とのカチオン性鉄アルキルピリジンビスイミン錯体である。
【0030】
8.第4族元素を含有する任意の化合物。チタン含有化合物及びジルコニウム含有化合物が好ましい。代表例は、Journal of the American Chemical Society、1996年、第118巻、第10008−10009頁に記載されている種類の触媒、例えば典型的には、アルキルアルミノキサン、例えばメチルアルミノキサン又はアリール置換されたホウ素含有化合物である有機金属共触媒とのカチオン性チタンアルキルジアミド錯体である。
【0031】
上記触媒は不活性多孔質微粒子担体上に担持されているか又は担持されることができる。
【0032】
上記のオレフィン重合触媒は、プロセス内に、任意の方法で導入することができる。例えば触媒成分(群)を、溶液、スラリー又は乾燥した自由流動粉末の形で、重合媒体の中に直接導入することができる。共触媒(co-catalyst)を必要とする場合、触媒を、予備混合して、重合媒体に添加する前に活性化された触媒を形成することができ又は成分を重合媒体に別々に添加することができ、或いは成分を予備混合し、次いで1種若しくはそれ以上のオレフィンと接触させて、プレポリマーを形成し、次いでプレポリマーの形で重合媒体に添加することができる。触媒成分を、反応器の中に導入する前に予備混合するとき、任意の電子供与体化合物を触媒に添加して、触媒の活性のレベルを制御することができる。更に、前記のようなオレフィン重合触媒の存在下で重合反応を実施する間に、追加の有機金属化合物(群)が添加されてもよい。追加の有機金属化合物は、共触媒として使用されるものと同じであってよく又はこれとは異なっていてよい。
【0033】
オレフィン重合触媒の成分のいずれか又は全ては、担体上に担持させることができる。この担体は、任意の粒子状有機又は無機物質であってもよい。好ましくは、担体粒子サイズは、直径が約200ミクロンより大きくてはならない。担体物質の最も好ましい粒子サイズは実験によって容易に確立することができる。好ましくは、担体は、直径が5〜200ミクロン、更に好ましくは10〜150ミクロン、最も好ましくは20〜100ミクロンの平均粒子サイズを有していなくてはならない。
【0034】
適切な無機担体の例には、金属酸化物、金属水酸化物、金属ハロゲン化物又は他の金属塩、例えば硫酸塩、炭酸塩、リン酸塩、硝酸塩及びケイ酸塩が含まれる。本発明に於いて使用するために適している無機担体の代表例は、元素周期表の第1族及び2族からの金属の化合物、例えばナトリウム又はカリウムの塩及びマグネシウム又はカルシウムの酸化物又は塩、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム又はカルシウムの塩化物、硫酸塩、炭酸塩、リン酸塩又はケイ酸塩及び例えば、マグネシウム又はカルシウムの酸化物又は水酸化物である。無機酸化物、例えばシリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニア、クロミア(chromia)、酸化ホウ素、シラン化シリカ、シリカヒドロゲル、シリカキセロゲル、シリカエアロゲル及び混合酸化物、例えばタルク、シリカ/クロミア、シリカ/クロミア/チタニア、シリカ/アルミナ、シリカ/チタニア、シリカ/マグネシア、シリカ/マグネシア/チタニア、リン酸アルミニウムゲル、シリカコゲル(silica co-gel)等も使用に適している。この無機酸化物には、少量の炭酸塩、硝酸鉛、硫酸塩及び酸化物、例えばNaCO、KCO、CaCO、MgCO、NaSO、Al(SO)、BaSO、KNO、Mg(NO)、Al(NO)、NaO、KO及びLiOが含有されていてよい。主成分としてSiO、Al又はこれらの混合物からなる群から選択された少なくとも1種の成分を含有する担体が好ましい。
【0035】
適切な有機担体の例には、ポリマー、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンとα−オレフィンとの共重合体、ポリスチレン及び官能化ポリスチレンが含まれる。
【0036】
本発明に於いて使用されるチーグラー−ナッタ触媒は、当該工業界で公知である。最も単純な形でのチーグラー−ナッタ触媒は、少なくとも1種の遷移金属を含む成分及び少なくとも1種の有機金属化合物を含む共触媒から構成されている。この遷移金属成分の金属は、”Chemical and Engineering News”、第63(5)巻、第27頁、1985年で公表されたような元素周期表の第4族、第5族、第6族、第7族、第8族、第9族及び/又は第10族から選択された金属である。このフォーマットに於いて、族は1〜18の番号が付けられている。このような遷移金属の例は、チタン、ジルコニウム、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル等々及びこれらの混合物である。好ましい態様に於いて、遷移金属は、チタン、ジルコニウム、バナジウム及びクロムからなる群から選択され、なお更に好ましい態様に於いて、遷移金属はチタンである。チーグラー−ナッタ触媒には、任意的に、マグネシウム及び/又は塩素が含有されていてよい。このようなマグネシウム及び塩素含有触媒は、当該技術分野で公知の任意の方式で製造することができる。
【0037】
この共触媒は、オレフィンの重合に於いてチーグラー−ナッタ触媒中の遷移金属成分を活性化することができる任意の有機金属化合物又はそれらの混合物であってよい。特に、遷移金属成分と反応させる有機金属共触媒化合物には、前記の元素周期表の第1族、第2族、第11族、第12族、第13族及び/又は第14族から選択された金属が含有される。このような金属の例はリチウム、マグネシウム、銅、亜鉛、ホウ素、ケイ素等又はこれらの混合物である。
【0038】
典型的には、前記共触媒は有機アルミニウム化合物、例えばトリメチルアルミニウム及びトリエチルアルミニウムである。
【0039】
更に、チーグラー−ナッタ触媒には、任意の内部電子供与体を添加することができる。内部電子供与体化合物はエーテル、チオエーテル、エステル、チオエステル、アミン、アミド、ケトン、ニトリル、ホスフィン、シラン、酸無水物、酸ハライド、酸アミド、アルデヒド及び有機酸誘導体からなる群から選択することができる。内部電子供与体には、1〜50個の炭素原子並びに1〜30個の、元素周期表の第14族、第15族、第16族及び第17族から選択された元素のヘテロ原子又はこれらの混合物を含有する化合物も含まれる。
【0040】
重合プロセスを実施する際に、外部電子供与体を使用することができる。代表的な外部電子供与体には、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジオクチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、トリメチレンオキシド及びテトラヒドロピランが含まれる。この外部電子供与体は、予備生成した触媒に、予備重合工程の間にプレポリマーに、予備生成したプレポリマーに及び/又は重合媒体に添加することができる。外部電子供与体は、任意的に、共触媒と予備混合することができる。外部電子供与体は、所望のポリオレフィンの製造を達成するために充分な任意の量で添加することができる。外部電子供与体は、約0.01:1〜約100:1の範囲内の、外部電子供与体の、チーグラー−ナッタ触媒の遷移金属成分に対するモル比で、使用することができる。別の態様に於いて、外部電子供与体の遷移金属成分に対するモル比は約0.1:1〜約50:1の範囲内である。
【0041】
チーグラー−ナッタ触媒は、当該技術分野で公知の任意の方法によって製造することができる。この触媒は、溶液、スラリー又は乾燥した自由流動粉末の形であってよい。使用されるチーグラー−ナッタ触媒の量は、所望の量のポリオレフィンの製造を可能にするために充分であるものである。
【0042】
メタロセン触媒は、当工業分野で公知であり、典型的には、遷移金属成分及び共触媒から構成されている。この遷移金属成分は、置換又は非置換のシクロペンタジエニル、置換又は非置換のペンタジエニル、置換又は非置換のピロール、置換又は非置換のホスホール、置換又は非置換のアルソール、置換又は非置換のボラタベンゼン及び置換又は非置換のカルボランから選択された、少なくとも1種の単位を有する。この遷移金属は元素周期表の第3族、第4族、第5族、第6族、第7族、第8族、第9族及び第10族から選択される。このような遷移金属の例はチタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル等及びこれらの混合物である。一つの態様に於いて、遷移金属は第4族、第5族又は第6族、例えばチタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム及びクロムから選択され、更なる態様に於いて、遷移金属はチタン若しくはジルコニウム又はこれらの混合物である。
【0043】
メタロセン触媒の共触媒成分は、オレフィン重合に於いてメタロセン触媒の遷移金属成分を活性化することができる任意の化合物又はこれらの混合物であってよい。典型的には、この共触媒は、アルキルアルミノキサン、例えばメチルアルミノキサン(MAO)並びにアリール置換ホウ素含有化合物、例えばトリス(ペルフルオロフェニル)ボラン及びテトラキス(ペルフルオロフェニル)ボレートの塩である。
【0044】
メタロセン触媒を非常に詳細に説明した多数の文献が存在する。例えばメタロセン触媒は米国特許第4,564,647号、同第4,752,597号、同第5,106,804号、同第5,132,380号、同第5,227,440号、同第5,296,565号、同第5,324,800号、同第5,331,071号、同第5,332,706号、同第5,350,723号、同第5,399,635号、同第5,466,766号、同第5,468,702号、同第5,474,962号、同第5,578,537号及び同第5,863,853号に記載されている。
【0045】
この重合プロセスを実施する際に、使用する場合、共触媒(群)を、所望のポリオレフィンの製造を達成するために充分な任意の量で重合媒体に添加する。共触媒(群)を、約0.5:1〜約10000:1の範囲内の、オレフィン重合触媒の共触媒(群)対金属成分(群)のモル比で使用することができる。別の態様に於いて、共触媒(群)対金属成分(群)のモル比は、約0.5:1〜約1000:1の範囲である。
【0046】
重合プロセスを実施する際に、重合媒体中の静電荷を減少させるために、エーテルを使用することができる。エーテルの例には、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジオクチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、トリメチレンオキシド及びテトラヒドロピランが含まれる。このエーテルは、予備生成した触媒に、予備重合工程の間にプレポリマーに、予備生成したプレポリマーに及び/又は重合媒体に添加することができる。このエーテルは、使用するとき、任意的に、共触媒と予備混合することができる。このエーテルは、重合媒体中の静電荷を、エーテルの不存在下での同じ重合プロセス中に生じるものよりも低いレベルまで、低下させるために充分な任意の量で添加する。このエーテルは、約0.001:1〜約100:1の範囲内の、化合物対オレフィン重合触媒の金属成分のモル比で、使用することができる。別の態様に於いて、エーテル対金属成分のモル比は、約0.01:1〜約50:1の範囲内である。
【0047】
重合プロセスを実施する際に、ハロゲン化炭化水素を、重合媒体に、所望のポリオレフィンの製造を実施するために充分な任意の量で添加することができる。このようなハロゲン化炭化水素の代表は、モノハロゲン及びポリハロゲン置換された、炭素数1〜12の、飽和又は不飽和の、脂肪族、脂環式又は芳香族炭化水素である。本発明のプロセスに於いて使用するためのハロゲン化炭化水素の例には、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロフルオロメタン、クロロジフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、フルオロジクロロメタン、クロロトリフルオロメタン、フルオロトリクロロメタン及び1,2−ジクロロエタンが含まれる。このハロゲン化炭化水素は、約0.001:1〜約100:1の範囲内の、ハロゲン化炭化水素対オレフィン重合触媒の金属成分のモル比で、使用することができる。別の態様に於いて、ハロゲン化炭化水素対金属成分のモル比は、約0.001:1〜約10:1の範囲内である。
【0048】
製造されるポリオレフィンの分子量は、任意の公知の方法で、例えば水素を使用することによって制御することができる。ポリエチレンの分子量制御は、例えば重合媒体中の水素対エチレンのモル比が増加するとき、ポリマーのメルトインデックス(I)に於ける増加によって証明できる。
【0049】
任意の一般的な添加剤を、得られるポリオレフィンに添加することができる。添加剤の例には、核生成剤、熱安定剤、フェノール型、硫黄型及びリン型の酸化防止剤、潤滑剤、耐電防止剤、分散剤、銅害抑制剤、中和剤、発泡剤、可塑剤、消泡剤、難燃剤、架橋剤、流動性改良剤、例えば過酸化物、紫外線吸収剤、光安定剤、耐候安定剤、溶接強度改良剤、スリップ剤、粘着防止剤、カブリ防止剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス、充填材及びゴム成分が含まれる。
【0050】
ポリオレフィン、特にポリエチレンは、当該技術分野で公知の任意の技術によりフィルムに加工することができる。例えばフィルムは、公知の流延フィルム、インフレートフィルム及び押出コーティング技術により製造することができる。
【0051】
更に、ポリオレフィン、特にポリエチレンは、公知の任意の技術によって、他の製造物品、例えば成形物品に加工することができる。
【0052】
本発明を、その好ましい態様の下記の実施例によって更に示すことができるが、これらの実施例は、単に例示の目的のために含められ、本発明の範囲を限定することを意図しないことが理解されるであろう。
【実施例】
【0053】
比較例1
17日間、商業的流動床即ちエチレン重合反応器を、ボール無しで運転した。この運転は、グリッドから全ての物質(固まっていない粉末、凝集体等)を除去するため及び全ての塞がれたグリッドホールを非閉塞状態にするために、先行して反応器の中に人が入り、全ての点で典型的な重合条件下で実施した。ポリエチレンの3種の異なった反応器グレードを製造した(メルトインデックス/密度−0.5MI/0.9160g/cc、1.0MI/0.9190g/cc及び0.6MI/0.9250g/cc)。
【0054】
この運転は、「グリッドTI」(移動する凝集体の徴候であるスパイキング(spiking)を伴う、グリッドレベル付近の内部サーモカップル)の非常に小さい温度スパイキングによって特徴付けられたが、苛酷なグリッドTI「ふらつき(又は漂流)(wandering)」、即ちこれらのサーモカップルが、(冷たい入口気体の異常な流れパターンのために)予想されるものよりも著しく冷たく作動する現象を経験した。「ふらつき」グリッドTI挙動のこの種類は、特に、グリッドの表面及びグリッド周囲の周りの取り囲み壁表面上へのポリマー蓄積を付随するようになる。
【0055】
18日目で、反応器を、前もって予定された保全のために運転停止した。
【0056】
反応器グリッドを19日目に点検し、グリッドの約70%の上に、ポリマーの厚い層(1インチ〜4インチ)蓄積及び取り囲み壁表面上の蓄積があることを見出した。固まっていない凝集体は見出されなかった。このポリマー蓄積は、それが反応器表面上にしっかりと付着していたので、ある程度の困難さを伴って除去した。
【0057】
実施例1
16日間、比較例1に於けると同じ反応器を、始動の前に、10個の実質的に球形のボール及び7個の凝集体を、グリッドの上に意識的に置いて、運転した。5個の8インチボール及び5個の10インチボールを使用した。凝集体は、同様のサイズのものであり、大まかに丸みを帯びた形状を有していた。これらのボールは、0.5のメルトインデックス及び0.926g/ccの密度を有する線状低密度ポリエチレンから作った。このボールは、それぞれ9〜18ポンドの重量であった。
【0058】
この運転は、比較例1に於ける運転に類似しており、同じ順序で、同じ3種のポリエチレン配合を作った。この運転は、グリッドTIの非常に僅かな温度スパイキング(これらのボールの存在及び運動に起因すると解釈される)があり、グリッドTIふらつきが全くないことによって特徴付けられた。
【0059】
この反応器を、16日目に、閉塞したフィルター上で保全を実施するために、運転停止した。
【0060】
17日目に反応器に入れる際に、10個のボール及び5個の凝集体は、無傷であると見出された(2個の凝集体は明らかに粉々になり、取り出しシステムを経て出た)。グリッド及び取り囲み壁は、完全に如何なる蓄積もなく、非常に少量(1インチ〜2インチ幅の片)の蓄積のみが、「隙間(crevice)」(グリッドが、ボールが接触するためには小さすぎる領域内で、反応器壁と接触している場所)内に見出された。
【0061】
本発明を、その好ましい態様を特に参照して詳細に説明したが、変形及び修正が、本発明の精神及び範囲内で実施できることが理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動床容器内のガス分配グリッドの上又は周りの凝集又は蓄積を防止又は減少する方法であって、
1個又はそれ以上の精練ボールを、ガス分配グリッドの上で容器中に導入し、そして
前記精練ボールの存在下に流動床プロセスを実施する
ことを含んでなる方法。
【請求項2】
前記精練ボールが実質的に球形である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
2個又はそれ以上の精練ボールを前記容器中に導入することを含んでなり、前記精練ボールが、異なった形状、異なったサイズ又は両方を有する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記精練ボールが木材、金属、プラスチック、セラミック又はこれらの組合せから製造される請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記流動床プロセスが接触分解、ガス化、燃焼、重合及び乾燥から選択される請求項1に記載の方法。

【公表番号】特表2011−515205(P2011−515205A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−548769(P2010−548769)
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【国際出願番号】PCT/US2009/032082
【国際公開番号】WO2009/108435
【国際公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(507141712)ウエストレイク ロングビュー コーポレイション (17)
【Fターム(参考)】