流動性物質保存容器及びその蓋部
【課題】流動性物質保存容器において、内容物を取り出す際に外気及び不純物が容器内に浸入することを防止して、内容物の品質低下を防ぎ使用可能期間を大幅に伸張する構造の流動性物質保存容器を提供する。
【解決手段】流動性物質が蓄えられる内部空間を備え、上記流動性物質を上記内部空間から外部へ導く開口部5bが設けられた容器本体5、同容器本体5の上記開口部5bを蓋い、上記流動性物質の吐出口6が形成された蓋部からなる流動性物質保存容器において、上記吐出口6は、常態時は吐出口6に栓体7が密着して密閉状態、内容物の流動性物質を取り出し時は吐出口6が開口状態となるよう構成され、外気及び不純物が容器内に入るのを防ぎ、内容物の品質低下を防いで使用可能期間を大幅に延長できる流動性物質保存容器。
【解決手段】流動性物質が蓄えられる内部空間を備え、上記流動性物質を上記内部空間から外部へ導く開口部5bが設けられた容器本体5、同容器本体5の上記開口部5bを蓋い、上記流動性物質の吐出口6が形成された蓋部からなる流動性物質保存容器において、上記吐出口6は、常態時は吐出口6に栓体7が密着して密閉状態、内容物の流動性物質を取り出し時は吐出口6が開口状態となるよう構成され、外気及び不純物が容器内に入るのを防ぎ、内容物の品質低下を防いで使用可能期間を大幅に延長できる流動性物質保存容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体やクリーム状物質等の流動性物質を内部に保存する流動性物質保存容器に係り、特に流動性物質を内部から外部に導く出口を持つ蓋部及びその蓋部を備えた流動性物質保存容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の流動性物質保存容器は、一旦容器外部に出た内容物の逆流、外気及び出口部周辺に付着し、酸化・変質した汚物の容器内部への侵入を防止することができず、このため、容器内部の収容物の品質を低下させるなどの現象が起こっていた。
【0003】
外気の流入を防ぐ容器として、例えば文献1や文献2に記載された容器がある。いずれの場合も容器の可撓性材料でつくられた収容部を握り内容物に圧力を加えると、その圧力で弁部を変形又は移動して吐出口を開き、圧力を取り除くと吐出口を閉じる逆止弁構造の作用により外気の流入を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3492600号公報
【特許文献2】特開2000−253926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の容器は、樹脂等により形成された弾力性を有し一端部に押出口が形成されたチューブ状の容器本体と、上記押出口を塞いで設けられた中栓と、上記中栓の中心に設けられ上記押出口の外側へ突出する中栓突起と、上記中栓に設けられ容器本体の内側と外側を連通する透孔と、柔らかい樹脂やゴムで形成され、弾力性を有し上記押出口の周縁部と中栓突起の側面に密着するノズル部材とが設けられている。容器本体の側面を押すと容器本体の収容物の圧力が高まり、収容物の圧力によりノズル部材が外側に弾性変形し、中栓突起とノズル部材の間に隙間が生じ、注出口から収容物が押出される。容器側面の押圧をやめると、容器本体に押されて生じた変形を元に戻す力が働き、容器内部が負圧となって、ノズル部材の変形が復元して中栓突起に密着して空気の流入を防ぐ逆流防止容器である。
【0006】
次に図面を参照しつつ説明する。図7の容器の場合は、注出口の開口は、ノズル部材の薄肉部が伸長する変形によって可能となっているが、この図7が示すノズル部材の形状では、素材の伸縮変形可能という性質だけをもって、中栓突起とノズル部材の間に、収容物を吐出するのに十分な隙間を生じさせることは極めて困難である。この場合、ノズル部材は、柔らかいゴム状の素材で作る必要があるため、気密を保持するのに必要な、適度な硬さや強度をもったノズル部材を作ることが出来なかった。
【0007】
図8の容器の場合は、ノズル部材の薄肉部の断面がV字形にくぼむ屈曲部となっており、薄肉部が一旦所定の長さまで短縮し、その後、元の長さに戻る変形によって、注出口の開閉を可能としている。この場合も上記図7の場合と同様に、素材の伸縮する性質を利用している。長さの伸縮変形可能な素材は、柔らかい樹脂やゴム等に極めて限定されるため、気密保持に必要な適度な硬さと強度をそなえたノズル部材をつくることが出来なかった。そのため、ノズル部材に不用意に手が触れたりした場合に、ノズル部材が簡単に変形したり脱落して、気密性が損なわれるという問題があった。
【0008】
又、図8は注出口が閉じている状態を示す図であり、図9は注出口が閉じた状態を示す図であるが、ノズル部材が図8の状態から一旦図9の状態に変形したものが、ノズル部材自らの弾性力で、再び図8の状態に復元することは不可能な構造である。この問題を図10〜図12を参照して説明する。図10は図8の円形点線部内を抜き書きした図であり、図12は図9の円形点線部内を抜き書きした図であり、図11は図10と図12の中間の変形状態を示す図である。開口は、図10>
図11> 図12の流れで、閉口は図12> 図11> 図10の流れで動作する。ノズル部材の変形箇所は薄肉部であり、弾性復元力の支点が符号AとBである。矢印Xと矢印Yは、A点とB点のX軸とY軸の距離及び位置関係を示しており、これにより上記ノズル部材の弾性復元力が働く方向を知ることができる。矢印Zは、この弾性復元力の働く方向を指している。
【0009】
これらの図で、ノズル部材の変形の動作と形状の変化は、A点に対するB点の位置の移動で見ることができる。容器本体の側面を押すと収容物の圧力が高まり、ノズル部材のカバー部が収容物に押し上げられ、A点に対しB点は上方向に移動し、図12の状態(開口状態)になる。図10の状態(閉口状態)では、矢印Zが右下方向を指しており復元力はB点を下方向に押し下げようと働く。図11の状態ではB点とA点の位置は、距離が最短となり復元力は最大となるが、B点とA点の位置が平行であり、矢印Zが指す方向は真横で、上下に対して復元力が零となる。図11の状態を境に、B点の位置がA点の位置より上になり、矢印Zが右上を指すようになり、薄肉部が元の長さに戻ろうとする弾性復元力は常にB点を上方向に押し上げようと働く。
【0010】
すなわち、図12の状態では、B点の位置がA点よりも上にあり、ノズル部材の復元力は、B点を常に上方向へ押し上げるように働いているので、図10の状態に戻ることは不可能である。容器収容部の押圧をやめると収容部が負圧になり注出口に吸い込みの力が働くが、この力の大きさがB点を上方向に押し上げる力(図12の状態に留まろうとする力)を上回る大きさであったとしても、注出口の大きさや、収容物の粘度によっては、ノズル部材を図10の状態に吸い戻す前に外気が流入してしまい図12の状態に留まってしまう。
【0011】
又、図10において符号C及び濃い平網で示したように、閉口時、注出口に凹形空間が形成されており、その凹形空間に収容物が残留し、注出口及びその周辺が汚れる原因となっていた上、掃除し難いという問題があった。
【0012】
また、特許文献2に記載された容器では、栓体の逆止弁部は板状弾性体に内・外面に渡る十字状のスリットを設け、厚み方向に撓み変形可能な弁構造としている。しかし、栓体が常態時においてスリット部分の密閉状態は成立せず、ごく僅かな隙間であっても開口状態である。また、スリット部分は平面に直交する方向で湾曲するので復元力が小さい。そのため外気の浸入を完全には阻止できない。また、収容物の粘度などの性質によって多少の差はあるが、収容物の漏出を完全には防止できない。弁部は素材がシリコンゴム等の柔らかい弾性体であり、十字状のスリットがある形状のため、不用意に手が触れたりした場合に簡単に変形して気密性が損なわれる。そのため弁部を掃除することも難しい状態であった。
本発明は、このような従来容器の課題を解決することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載した流動性物質保存容器は、流動性物質を収容するための内部空間を形成する収容部及びその収容部の内部空間内に連通する開口部を備える容器本体と、上記容器本体の上記開口部に一体若しくは着脱可能に設けられて当該開口部を塞ぐと共に上記流動性物質の吐出口が形成された蓋部とを備える流動性物質保存容器であって、上記蓋部は、外蓋、中蓋、蓋体本体からなり、上記吐出口は中蓋に形成され、上記吐出口の内部側から密着して当該吐出口を閉塞する栓体を有し、当該吐出口部分は、蓋部内の圧力が高くなると上記栓体から離れる方向に移動可能となっており、上記中蓋は、上記吐出口部周辺から蓋本体との接合部までの間において、反復して撓み変形可能な波形バネ状の弾性部を有し、上記弾性部が元の形にもどろうとする弾性復元力によって、上記吐出口を上記栓体に向けて、常時継続して付勢すると共に、上記中蓋は、常態時(閉口時)において吐出口周辺表面と栓体先端部表面が連続して一体となって面を形成し、吐出口周辺には凹凸や隙間などが存在しない形状であることを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した流動性物質保存容器において、上記吐出口が管状若しくは錐状となるように、上記吐出部分は、流動性物質の取出し方向に向けて突出していることを特徴とする。
【0015】
請求項3に記載した発明は、請求項1〜請求項2に記載した流動性物質保存容器において、上記収容部の内側に対し流動性物質を収容するための内部空間を形成する内袋を配置し、その内袋と上記容器本体と上記内袋との間に空間部を形成すると共に、上記空間部を外気と連通させたことを特徴とする。
【0016】
請求項4に記載した発明は、請求項1〜請求項3に記載した流動性物質保存容器において、上記蓋部に対し、蓋部内の内圧を高くすることが出来るポンプ機構を備えることを特徴とする。
【0017】
請求項5に記載した発明は、請求項1〜請求項4に記載した流動性物質保存容器において、蓋部の表面に酸素バリア性の高いプラスチックや金属の薄膜を貼って、酸素の透過を防止し、酸化防止機能を高めたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載した流動性物質保存容器。
【発明の効果】
【0018】
上述に記載した本発明によれば、上記吐出口は、常態時においては密着して閉口状態であり、収容物の流動性物質を取り出すために、容器本体に圧力をかけると流動性物質によって上記中蓋の少なくとも前記吐出口が形成された部分が、栓体から離れる方向に移動し開口する。容器本体の圧力を取り除くと、上記中蓋は元の形状に戻って栓体に密着し、閉口状態となるので、外気の侵入、一旦外部に出た収容物の逆流を防ぐことができ、容器内部の物質の変質を防止することができる。
【0019】
上記中蓋は、吐出口周辺から蓋本体との接合部までの間に、反復して撓み変形可能な波型バネ状の弾性部を有するので、上記中蓋の材料として、プラスチック・金属・カーボン繊維など、撓み変形に対する復元力と適度な強度を有する素材を使用でき、上記中蓋は、気密保持に必要十分な強度に形成できる。また、上記中蓋は、閉口時において吐出口周辺表面と栓体の先端表面が連続して一体となって面を形成し、凹凸や隙間等が存在しない形状であるので、収容物を取り出した後も汚れにくく、簡単に清掃出来るので常に清潔に保つことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に基づく実施例1に係る流動性物質保存容器の断面図である。図1−2は図1−1のX−X矢視図である。
【図2】図1の頭部(円形点線部)を抜書きしたものであり、その作用を説明するものである。図2−1−3は中蓋2の平面図である。図2−2−3及び図2−2−4は蓋本体4の平面図である。
【図3】本発明に基づく実施例3に係る流動性物質保存容器の断面図である。
【図4】本発明に基づく実施例4に係る流動性物質保存容器の断面図である。
【図5】及び
【図6】本発明に基づく実施例5に係る流動性物質保存容器の断面図である。
【図7】〜
【図12】特許文献1記載の容器を説明するための図である。
【図13】本発明に基づく実施例6に係る流動性物質保存容器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0021】
本発明の実施に係わる流動性物質保存容器について、図面に基づき詳細に説明する。図1は、本実施例1に係る流動性物質保存容器の断面図であり、図1−2は、図1−1のX−X矢視図である。
(構成)
上記流動性保存容器は、チューブ状容器であって、チューブ状容器本体5と、蓋部(外蓋1、中蓋2、蓋本体4)とを備える。容器本体5は、可撓性を有する収容部5aと、開口部5bを備える。上記収容部5aは、内部に密閉した内部空間を有する袋状に形成されている。その内部空間に、液状やクリーム状などの流動性物質が充填状態で収容されている。また、開口部5bは収容部5aの一端部に設けられ、収容部5aが形成する内部空間に連通する。上記容器本体5の開口部5bに対し、開口部5bを塞ぐ形で上記蓋本体4が取り付けられている。上記容器本体5と蓋本体4の接合部9は、其々に相対する形のネジが形成されており、螺合されている。蓋本体4は、内容物を取出す方向に、吐出口6を備えた中蓋2が塞ぐ形で取り付けられており、蓋本体5の内部、ほぼ中央付に上記吐出口6に内側から密着して当該吐出口6を塞ぐ形で突き出した栓体7を備えている。上記中蓋2は、上記吐出口周辺から蓋本体4との接合部までの間に、反復して撓み変形可能な復元力を有する波形バネ状の弾性部を備えている。
(作用と効果)
【0022】
図2は図1の頭部(円形点線部)を抜書きしたものであり、その作用を説明するものである。図2−1−1は常態時の吐出口が閉口している状態を示しており、図2−1−2は図2−1−1のX−X矢視図である。図2−2−1は、流動性物質10を取り出すために容器本体5に圧力を加えた状態を示しており、図2−2−2は、図2−2−1のX−X矢視図である。中蓋2の吐出口部分は、圧力を加えられた収容物の流動性物質10に押されて栓体7から離れる方向に移動、吐出口6が開口して収容物が吐出口6から外部に押し出される。容器本体5の圧力を取り除くと中蓋2の吐出口部分は元の形状の(図2−1−1及び図2−1−2)の状態に戻り、吐出口6は栓体7に密着し閉口状態となる。図2−1−3は、中蓋2の平面図である。図2−2−3、図2−2−4は、蓋本体4の平面図である。
【0023】
これらの図が示す通り、一旦外部に出た収容物の逆流や外気が蓋及び容器内に流入することがない。収容物取り出し後に出口周辺を清掃する場合、吐出口6が密閉状態なので残存する収容物や汚れが蓋及び容器内に入る心配が全くない。閉口時において、中蓋2の吐出口周辺表面と栓体先端表面は連続して一体となって面を形成し、その間には凹凸や隙間などの無い形状なので汚れにくく、簡単に清掃できるので常に清潔な状態を保つことが出来る。更に、収容物が練歯磨など水溶性物質の場合、水に容器を浸して水洗いすることも可能であり、また、収容物が油性物質の場合は、その収容物に適応した洗浄液等で洗浄しても蓋及び容器内に洗浄液等が入らない。また、その後の保存時においては、図1に示す通り、外蓋1の内側の突起部が中蓋2を押さえるので、更に堅固な密閉状態を保つことができる。
【実施例2】
【0024】
次に実施例2について説明する。尚、上記実施例1と同様な構成については同一の符号を付して説明する。
(構成と効果)
吐出口6が閉口時において、中蓋2の表面と栓体7の先端表面が平面になるように形成すると、指先、ガラス棒、スプーン、箸、筆などに収容物を移し取って使用する場合などに最適である。又、中蓋2の表面と栓体7の先端表面を一体の凹状に形成し、収容物を一時的にそこに溜め、色、香り、容量などを確認するようにしても良い。中蓋2の表面に目盛を表記するなどして、収容物を取り出す時にその容量を簡易的に量るようにしても良い。又、中蓋2の表面と栓体3の先端表面を一体の球面凸状にして、収容物が肌へ直接塗布する薬剤やスキンクリーム等の場合、肌に直接塗布しやすくするなど、目的に応じて様々な形状にしても良い。
【実施例3】
【0025】
次に実施例3について説明する。尚、上記各実施例と同様な構成については同一の符号を付して説明する。
(構成と効果)
図3は、図1の場合に平坦であった中蓋2の吐出口周辺が、容器側から出口方向に管状もしくは錐状に突出したものを示す断面図である。収容物を目的とする場所に吐出口6から直接移しかえる場合に便利な形状である。吐出口先端部に、収容物を取出す際に収容物表面に波形など飾り形を付けたり、繊細な作業をするための補助具を装着しても良い。
【実施例4】
【0026】
次に実施例4について説明する。尚、上記各実施例と同様な構成については同一の符号を付して説明する。
(構成)
本実施例は、図4に示すように、実施例1の構成に加え、内袋14を設けた状態を示している。容器本体5と内袋14との間に空間15を備え、容器本体空気口13を設けている。
(作用と効果)
収容物取り出し後に容器本体の圧力を取り除くと、内袋14は、取り出した収容物の容積と同じ容積分変形したままであるが、容器本体5の外形は、自らの復元力で、空気口13を通じて空間15に外気を取り込み元の形状に戻る。内袋14の中には外気が入らないので、収容物と外気の接触が防止され、容器本体5の外形は初期の形状が維持される。更に収容物を取り出す際は、空気口13を指で塞いで圧力を加える。又は、空気口13をあらかじめ逆止弁構造としておいても良い。
本実施例の容器は、収容物を取出した後も、容器本体5が元の形に復元するので容器本体5の外観が変らず、収容物を使い切るまで容器の美観が失われない。また、手で握って収容物を取出す際に容器本体5が常に同じ外形なので、操作がしやすい。
【実施例5】
【0027】
次に実施例5について説明する。図5及び図6は、本実施例の構成を示す図である。尚、上記各実施例と同様な構成については同一の符号を付して説明する。
(構成)
基本構成は、上記各実施例と同様であるが、蓋本体4にポンプ機構を設けた点が異なる。図5に示す例では、蓋本体4の容器本体5が開口部5bに接する位置に仕切板12を備えており、上記仕切板12と上記中蓋2との間に、ポンプ機構を介装した。そのポンプ機構には、蓋本体空間11、加圧部(ポンプ弾性部16、押しボタン17)、逆止弁18を備える。蓋本体空間11は、一端部を容器本体5に連通し、且つ他端部は中蓋2が閉塞する。また、逆止弁18が上記仕切板12に配置され、上記蓋本体4の側面に加圧部が設けられている。加圧部は、上記蓋本体4の側面から張り出した波形バネ状の、反復して撓み変形可能なポンプ弾性部16と、そのポンプ弾性部16の先端に設けられて、ポンプ弾性部16よりも肉厚の押しボタン17とからなる。
(作用効果)
【0028】
逆止弁18は、常態では閉じており、指等で押しボタン17を押すと蓋本体空間11の内圧が高まり、その圧力で中蓋2の吐出口部分が移動し、吐出口6が開いて内容物が押し出される。押しボタン17を放すと押しボタン17はポンプ弾性部の弾性復元力によって元の位置に戻り、蓋本体空間11が負圧となって中蓋2は元の形に戻って吐出口6が閉口するとともに、逆止弁18が開いて容器本体5の収容物が蓋本体空間11に移動する。
上記説明では、蓋本体4の側面に加圧部を設ける場合を例示したが、加圧部を設ける代わりに、蓋本体4の側壁全体を弾性体から構成しても良い。この場合は、蓋本体自体を押し及び放すことで、上述ポンプ作用が発揮される。
または、図6に示すように蓋本体4に対して蓋本体空間11に連通する弾性体からなる風船部19を設けても良い。この場合、風船部19を押しつぶして吐出口6から内容物を取出し、風船部19への押圧を解除することで容器本体5から蓋本体空間11に内容物を移動させる。
上記のように本実施例では、収容物を取出す際に、容器本体6に圧力を掛けて当該容器本体6を変形させる必要は無い。このため、実施例3の内袋を設けた容器の場合は、容器本体6が可撓性でなくても良い。例えば、容器本体6を硬質のガラスや金属から構成することが可能となる。又、風船部を握り潰す1回当たりの吐出量を設定し、風船部を握り潰す回数によって収容物の取出し量を簡易的に計量しながら取出すことが可能である。使用時に取出す必要量を計量して取出したい調味料や医薬品等に用いて便利である。
【実施例6】
【0029】
次に実施例6について説明する。図13は、本実施例の構成を示す図である。尚、上記各実施例と同様な構成については同一の符号を付して説明する。
(構成)
図13に示すように、中蓋2及び蓋本体4の表面に酸素バリア性の高いプラスチックや金属の薄膜を貼る。又は、メッキ・蒸着・塗布等によって薄膜を形成する。
(効果)
従来、容器本体の材料は、酸素バリア性の高い材料を挟んだ多層構造の材料を使用して酸素透過を防止しているが、蓋部については、容器本体の開口部にアルミシールを貼って密閉し、保存時の酸素透過を防止している。そのため、蓋部の素材が、酸素バリア性の低いポリエチレン等であった場合、一旦開封してアルミシールを除去した後は、蓋を閉じた状態においても酸化防止機能は低い状態であった。
本実施例では、開封してアルミシールを除去した後も、中蓋2及び蓋本体4の酸素バリア性の高い薄膜によって、酸素透過が阻止されるので、食品や化粧品、医薬品などに、現在広く使用されている、比較的に酸素を通しやすい性質のポリエチレンやポリプロピレンなどで蓋部を形成しても酸化防止機能を保持することが可能になる。
(変形例)
【0030】
本明細書図面において、外蓋1は、図1に、外蓋1と蓋本体4の接合部8に示すようにはめ込み式にしてあるが、これは一例であって、ヒンジによる結合又は、ねじ込み式であっても良い。
本明細書図面において、蓋本体と容器本体の接合部9は、ねじ込み式となっているが、はめ込み式、熱融着などによる固定的な結合でも良い。この場合の開封・未開封を示す処置は、外蓋と蓋本体の接合部8等において処置するようにしても良い。
【0031】
蓋部の材料は、保存する流動性物質の性質や使用形態を考慮して、合成樹脂、金属、カーボン繊維など様々な材料を選んで使用する。また、吐出口外側付近に、保存する収容物を弾く性質の物質をあらかじめ塗布しておくことによって、収容物が付着残存し難いようにしてしても良い。
容器本体の形状は、本明細書ではチューブ式を例に挙げたが、ペットボトル等、ボトル状容器であっても良い。
【符号の説明】
【0032】
1 外蓋
2 中蓋
3 波型バネ状弾性部
4 蓋本体
5 容器本体
6 吐出口
7 栓体
8 外蓋と蓋本体の接合部
9 蓋本体と容器本体の接合部
10 流動性物質(収容物)
11 蓋本体空間
12 仕切板
13 容器本体の空気口
14 内袋
15 容器本体と内袋の間の空間
16 ポンプ弾性部
17 押しボタン
18 逆止弁
19 風船部
20 酸素バリア性物質膜
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体やクリーム状物質等の流動性物質を内部に保存する流動性物質保存容器に係り、特に流動性物質を内部から外部に導く出口を持つ蓋部及びその蓋部を備えた流動性物質保存容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の流動性物質保存容器は、一旦容器外部に出た内容物の逆流、外気及び出口部周辺に付着し、酸化・変質した汚物の容器内部への侵入を防止することができず、このため、容器内部の収容物の品質を低下させるなどの現象が起こっていた。
【0003】
外気の流入を防ぐ容器として、例えば文献1や文献2に記載された容器がある。いずれの場合も容器の可撓性材料でつくられた収容部を握り内容物に圧力を加えると、その圧力で弁部を変形又は移動して吐出口を開き、圧力を取り除くと吐出口を閉じる逆止弁構造の作用により外気の流入を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3492600号公報
【特許文献2】特開2000−253926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の容器は、樹脂等により形成された弾力性を有し一端部に押出口が形成されたチューブ状の容器本体と、上記押出口を塞いで設けられた中栓と、上記中栓の中心に設けられ上記押出口の外側へ突出する中栓突起と、上記中栓に設けられ容器本体の内側と外側を連通する透孔と、柔らかい樹脂やゴムで形成され、弾力性を有し上記押出口の周縁部と中栓突起の側面に密着するノズル部材とが設けられている。容器本体の側面を押すと容器本体の収容物の圧力が高まり、収容物の圧力によりノズル部材が外側に弾性変形し、中栓突起とノズル部材の間に隙間が生じ、注出口から収容物が押出される。容器側面の押圧をやめると、容器本体に押されて生じた変形を元に戻す力が働き、容器内部が負圧となって、ノズル部材の変形が復元して中栓突起に密着して空気の流入を防ぐ逆流防止容器である。
【0006】
次に図面を参照しつつ説明する。図7の容器の場合は、注出口の開口は、ノズル部材の薄肉部が伸長する変形によって可能となっているが、この図7が示すノズル部材の形状では、素材の伸縮変形可能という性質だけをもって、中栓突起とノズル部材の間に、収容物を吐出するのに十分な隙間を生じさせることは極めて困難である。この場合、ノズル部材は、柔らかいゴム状の素材で作る必要があるため、気密を保持するのに必要な、適度な硬さや強度をもったノズル部材を作ることが出来なかった。
【0007】
図8の容器の場合は、ノズル部材の薄肉部の断面がV字形にくぼむ屈曲部となっており、薄肉部が一旦所定の長さまで短縮し、その後、元の長さに戻る変形によって、注出口の開閉を可能としている。この場合も上記図7の場合と同様に、素材の伸縮する性質を利用している。長さの伸縮変形可能な素材は、柔らかい樹脂やゴム等に極めて限定されるため、気密保持に必要な適度な硬さと強度をそなえたノズル部材をつくることが出来なかった。そのため、ノズル部材に不用意に手が触れたりした場合に、ノズル部材が簡単に変形したり脱落して、気密性が損なわれるという問題があった。
【0008】
又、図8は注出口が閉じている状態を示す図であり、図9は注出口が閉じた状態を示す図であるが、ノズル部材が図8の状態から一旦図9の状態に変形したものが、ノズル部材自らの弾性力で、再び図8の状態に復元することは不可能な構造である。この問題を図10〜図12を参照して説明する。図10は図8の円形点線部内を抜き書きした図であり、図12は図9の円形点線部内を抜き書きした図であり、図11は図10と図12の中間の変形状態を示す図である。開口は、図10>
図11> 図12の流れで、閉口は図12> 図11> 図10の流れで動作する。ノズル部材の変形箇所は薄肉部であり、弾性復元力の支点が符号AとBである。矢印Xと矢印Yは、A点とB点のX軸とY軸の距離及び位置関係を示しており、これにより上記ノズル部材の弾性復元力が働く方向を知ることができる。矢印Zは、この弾性復元力の働く方向を指している。
【0009】
これらの図で、ノズル部材の変形の動作と形状の変化は、A点に対するB点の位置の移動で見ることができる。容器本体の側面を押すと収容物の圧力が高まり、ノズル部材のカバー部が収容物に押し上げられ、A点に対しB点は上方向に移動し、図12の状態(開口状態)になる。図10の状態(閉口状態)では、矢印Zが右下方向を指しており復元力はB点を下方向に押し下げようと働く。図11の状態ではB点とA点の位置は、距離が最短となり復元力は最大となるが、B点とA点の位置が平行であり、矢印Zが指す方向は真横で、上下に対して復元力が零となる。図11の状態を境に、B点の位置がA点の位置より上になり、矢印Zが右上を指すようになり、薄肉部が元の長さに戻ろうとする弾性復元力は常にB点を上方向に押し上げようと働く。
【0010】
すなわち、図12の状態では、B点の位置がA点よりも上にあり、ノズル部材の復元力は、B点を常に上方向へ押し上げるように働いているので、図10の状態に戻ることは不可能である。容器収容部の押圧をやめると収容部が負圧になり注出口に吸い込みの力が働くが、この力の大きさがB点を上方向に押し上げる力(図12の状態に留まろうとする力)を上回る大きさであったとしても、注出口の大きさや、収容物の粘度によっては、ノズル部材を図10の状態に吸い戻す前に外気が流入してしまい図12の状態に留まってしまう。
【0011】
又、図10において符号C及び濃い平網で示したように、閉口時、注出口に凹形空間が形成されており、その凹形空間に収容物が残留し、注出口及びその周辺が汚れる原因となっていた上、掃除し難いという問題があった。
【0012】
また、特許文献2に記載された容器では、栓体の逆止弁部は板状弾性体に内・外面に渡る十字状のスリットを設け、厚み方向に撓み変形可能な弁構造としている。しかし、栓体が常態時においてスリット部分の密閉状態は成立せず、ごく僅かな隙間であっても開口状態である。また、スリット部分は平面に直交する方向で湾曲するので復元力が小さい。そのため外気の浸入を完全には阻止できない。また、収容物の粘度などの性質によって多少の差はあるが、収容物の漏出を完全には防止できない。弁部は素材がシリコンゴム等の柔らかい弾性体であり、十字状のスリットがある形状のため、不用意に手が触れたりした場合に簡単に変形して気密性が損なわれる。そのため弁部を掃除することも難しい状態であった。
本発明は、このような従来容器の課題を解決することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載した流動性物質保存容器は、流動性物質を収容するための内部空間を形成する収容部及びその収容部の内部空間内に連通する開口部を備える容器本体と、上記容器本体の上記開口部に一体若しくは着脱可能に設けられて当該開口部を塞ぐと共に上記流動性物質の吐出口が形成された蓋部とを備える流動性物質保存容器であって、上記蓋部は、外蓋、中蓋、蓋体本体からなり、上記吐出口は中蓋に形成され、上記吐出口の内部側から密着して当該吐出口を閉塞する栓体を有し、当該吐出口部分は、蓋部内の圧力が高くなると上記栓体から離れる方向に移動可能となっており、上記中蓋は、上記吐出口部周辺から蓋本体との接合部までの間において、反復して撓み変形可能な波形バネ状の弾性部を有し、上記弾性部が元の形にもどろうとする弾性復元力によって、上記吐出口を上記栓体に向けて、常時継続して付勢すると共に、上記中蓋は、常態時(閉口時)において吐出口周辺表面と栓体先端部表面が連続して一体となって面を形成し、吐出口周辺には凹凸や隙間などが存在しない形状であることを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した流動性物質保存容器において、上記吐出口が管状若しくは錐状となるように、上記吐出部分は、流動性物質の取出し方向に向けて突出していることを特徴とする。
【0015】
請求項3に記載した発明は、請求項1〜請求項2に記載した流動性物質保存容器において、上記収容部の内側に対し流動性物質を収容するための内部空間を形成する内袋を配置し、その内袋と上記容器本体と上記内袋との間に空間部を形成すると共に、上記空間部を外気と連通させたことを特徴とする。
【0016】
請求項4に記載した発明は、請求項1〜請求項3に記載した流動性物質保存容器において、上記蓋部に対し、蓋部内の内圧を高くすることが出来るポンプ機構を備えることを特徴とする。
【0017】
請求項5に記載した発明は、請求項1〜請求項4に記載した流動性物質保存容器において、蓋部の表面に酸素バリア性の高いプラスチックや金属の薄膜を貼って、酸素の透過を防止し、酸化防止機能を高めたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載した流動性物質保存容器。
【発明の効果】
【0018】
上述に記載した本発明によれば、上記吐出口は、常態時においては密着して閉口状態であり、収容物の流動性物質を取り出すために、容器本体に圧力をかけると流動性物質によって上記中蓋の少なくとも前記吐出口が形成された部分が、栓体から離れる方向に移動し開口する。容器本体の圧力を取り除くと、上記中蓋は元の形状に戻って栓体に密着し、閉口状態となるので、外気の侵入、一旦外部に出た収容物の逆流を防ぐことができ、容器内部の物質の変質を防止することができる。
【0019】
上記中蓋は、吐出口周辺から蓋本体との接合部までの間に、反復して撓み変形可能な波型バネ状の弾性部を有するので、上記中蓋の材料として、プラスチック・金属・カーボン繊維など、撓み変形に対する復元力と適度な強度を有する素材を使用でき、上記中蓋は、気密保持に必要十分な強度に形成できる。また、上記中蓋は、閉口時において吐出口周辺表面と栓体の先端表面が連続して一体となって面を形成し、凹凸や隙間等が存在しない形状であるので、収容物を取り出した後も汚れにくく、簡単に清掃出来るので常に清潔に保つことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に基づく実施例1に係る流動性物質保存容器の断面図である。図1−2は図1−1のX−X矢視図である。
【図2】図1の頭部(円形点線部)を抜書きしたものであり、その作用を説明するものである。図2−1−3は中蓋2の平面図である。図2−2−3及び図2−2−4は蓋本体4の平面図である。
【図3】本発明に基づく実施例3に係る流動性物質保存容器の断面図である。
【図4】本発明に基づく実施例4に係る流動性物質保存容器の断面図である。
【図5】及び
【図6】本発明に基づく実施例5に係る流動性物質保存容器の断面図である。
【図7】〜
【図12】特許文献1記載の容器を説明するための図である。
【図13】本発明に基づく実施例6に係る流動性物質保存容器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0021】
本発明の実施に係わる流動性物質保存容器について、図面に基づき詳細に説明する。図1は、本実施例1に係る流動性物質保存容器の断面図であり、図1−2は、図1−1のX−X矢視図である。
(構成)
上記流動性保存容器は、チューブ状容器であって、チューブ状容器本体5と、蓋部(外蓋1、中蓋2、蓋本体4)とを備える。容器本体5は、可撓性を有する収容部5aと、開口部5bを備える。上記収容部5aは、内部に密閉した内部空間を有する袋状に形成されている。その内部空間に、液状やクリーム状などの流動性物質が充填状態で収容されている。また、開口部5bは収容部5aの一端部に設けられ、収容部5aが形成する内部空間に連通する。上記容器本体5の開口部5bに対し、開口部5bを塞ぐ形で上記蓋本体4が取り付けられている。上記容器本体5と蓋本体4の接合部9は、其々に相対する形のネジが形成されており、螺合されている。蓋本体4は、内容物を取出す方向に、吐出口6を備えた中蓋2が塞ぐ形で取り付けられており、蓋本体5の内部、ほぼ中央付に上記吐出口6に内側から密着して当該吐出口6を塞ぐ形で突き出した栓体7を備えている。上記中蓋2は、上記吐出口周辺から蓋本体4との接合部までの間に、反復して撓み変形可能な復元力を有する波形バネ状の弾性部を備えている。
(作用と効果)
【0022】
図2は図1の頭部(円形点線部)を抜書きしたものであり、その作用を説明するものである。図2−1−1は常態時の吐出口が閉口している状態を示しており、図2−1−2は図2−1−1のX−X矢視図である。図2−2−1は、流動性物質10を取り出すために容器本体5に圧力を加えた状態を示しており、図2−2−2は、図2−2−1のX−X矢視図である。中蓋2の吐出口部分は、圧力を加えられた収容物の流動性物質10に押されて栓体7から離れる方向に移動、吐出口6が開口して収容物が吐出口6から外部に押し出される。容器本体5の圧力を取り除くと中蓋2の吐出口部分は元の形状の(図2−1−1及び図2−1−2)の状態に戻り、吐出口6は栓体7に密着し閉口状態となる。図2−1−3は、中蓋2の平面図である。図2−2−3、図2−2−4は、蓋本体4の平面図である。
【0023】
これらの図が示す通り、一旦外部に出た収容物の逆流や外気が蓋及び容器内に流入することがない。収容物取り出し後に出口周辺を清掃する場合、吐出口6が密閉状態なので残存する収容物や汚れが蓋及び容器内に入る心配が全くない。閉口時において、中蓋2の吐出口周辺表面と栓体先端表面は連続して一体となって面を形成し、その間には凹凸や隙間などの無い形状なので汚れにくく、簡単に清掃できるので常に清潔な状態を保つことが出来る。更に、収容物が練歯磨など水溶性物質の場合、水に容器を浸して水洗いすることも可能であり、また、収容物が油性物質の場合は、その収容物に適応した洗浄液等で洗浄しても蓋及び容器内に洗浄液等が入らない。また、その後の保存時においては、図1に示す通り、外蓋1の内側の突起部が中蓋2を押さえるので、更に堅固な密閉状態を保つことができる。
【実施例2】
【0024】
次に実施例2について説明する。尚、上記実施例1と同様な構成については同一の符号を付して説明する。
(構成と効果)
吐出口6が閉口時において、中蓋2の表面と栓体7の先端表面が平面になるように形成すると、指先、ガラス棒、スプーン、箸、筆などに収容物を移し取って使用する場合などに最適である。又、中蓋2の表面と栓体7の先端表面を一体の凹状に形成し、収容物を一時的にそこに溜め、色、香り、容量などを確認するようにしても良い。中蓋2の表面に目盛を表記するなどして、収容物を取り出す時にその容量を簡易的に量るようにしても良い。又、中蓋2の表面と栓体3の先端表面を一体の球面凸状にして、収容物が肌へ直接塗布する薬剤やスキンクリーム等の場合、肌に直接塗布しやすくするなど、目的に応じて様々な形状にしても良い。
【実施例3】
【0025】
次に実施例3について説明する。尚、上記各実施例と同様な構成については同一の符号を付して説明する。
(構成と効果)
図3は、図1の場合に平坦であった中蓋2の吐出口周辺が、容器側から出口方向に管状もしくは錐状に突出したものを示す断面図である。収容物を目的とする場所に吐出口6から直接移しかえる場合に便利な形状である。吐出口先端部に、収容物を取出す際に収容物表面に波形など飾り形を付けたり、繊細な作業をするための補助具を装着しても良い。
【実施例4】
【0026】
次に実施例4について説明する。尚、上記各実施例と同様な構成については同一の符号を付して説明する。
(構成)
本実施例は、図4に示すように、実施例1の構成に加え、内袋14を設けた状態を示している。容器本体5と内袋14との間に空間15を備え、容器本体空気口13を設けている。
(作用と効果)
収容物取り出し後に容器本体の圧力を取り除くと、内袋14は、取り出した収容物の容積と同じ容積分変形したままであるが、容器本体5の外形は、自らの復元力で、空気口13を通じて空間15に外気を取り込み元の形状に戻る。内袋14の中には外気が入らないので、収容物と外気の接触が防止され、容器本体5の外形は初期の形状が維持される。更に収容物を取り出す際は、空気口13を指で塞いで圧力を加える。又は、空気口13をあらかじめ逆止弁構造としておいても良い。
本実施例の容器は、収容物を取出した後も、容器本体5が元の形に復元するので容器本体5の外観が変らず、収容物を使い切るまで容器の美観が失われない。また、手で握って収容物を取出す際に容器本体5が常に同じ外形なので、操作がしやすい。
【実施例5】
【0027】
次に実施例5について説明する。図5及び図6は、本実施例の構成を示す図である。尚、上記各実施例と同様な構成については同一の符号を付して説明する。
(構成)
基本構成は、上記各実施例と同様であるが、蓋本体4にポンプ機構を設けた点が異なる。図5に示す例では、蓋本体4の容器本体5が開口部5bに接する位置に仕切板12を備えており、上記仕切板12と上記中蓋2との間に、ポンプ機構を介装した。そのポンプ機構には、蓋本体空間11、加圧部(ポンプ弾性部16、押しボタン17)、逆止弁18を備える。蓋本体空間11は、一端部を容器本体5に連通し、且つ他端部は中蓋2が閉塞する。また、逆止弁18が上記仕切板12に配置され、上記蓋本体4の側面に加圧部が設けられている。加圧部は、上記蓋本体4の側面から張り出した波形バネ状の、反復して撓み変形可能なポンプ弾性部16と、そのポンプ弾性部16の先端に設けられて、ポンプ弾性部16よりも肉厚の押しボタン17とからなる。
(作用効果)
【0028】
逆止弁18は、常態では閉じており、指等で押しボタン17を押すと蓋本体空間11の内圧が高まり、その圧力で中蓋2の吐出口部分が移動し、吐出口6が開いて内容物が押し出される。押しボタン17を放すと押しボタン17はポンプ弾性部の弾性復元力によって元の位置に戻り、蓋本体空間11が負圧となって中蓋2は元の形に戻って吐出口6が閉口するとともに、逆止弁18が開いて容器本体5の収容物が蓋本体空間11に移動する。
上記説明では、蓋本体4の側面に加圧部を設ける場合を例示したが、加圧部を設ける代わりに、蓋本体4の側壁全体を弾性体から構成しても良い。この場合は、蓋本体自体を押し及び放すことで、上述ポンプ作用が発揮される。
または、図6に示すように蓋本体4に対して蓋本体空間11に連通する弾性体からなる風船部19を設けても良い。この場合、風船部19を押しつぶして吐出口6から内容物を取出し、風船部19への押圧を解除することで容器本体5から蓋本体空間11に内容物を移動させる。
上記のように本実施例では、収容物を取出す際に、容器本体6に圧力を掛けて当該容器本体6を変形させる必要は無い。このため、実施例3の内袋を設けた容器の場合は、容器本体6が可撓性でなくても良い。例えば、容器本体6を硬質のガラスや金属から構成することが可能となる。又、風船部を握り潰す1回当たりの吐出量を設定し、風船部を握り潰す回数によって収容物の取出し量を簡易的に計量しながら取出すことが可能である。使用時に取出す必要量を計量して取出したい調味料や医薬品等に用いて便利である。
【実施例6】
【0029】
次に実施例6について説明する。図13は、本実施例の構成を示す図である。尚、上記各実施例と同様な構成については同一の符号を付して説明する。
(構成)
図13に示すように、中蓋2及び蓋本体4の表面に酸素バリア性の高いプラスチックや金属の薄膜を貼る。又は、メッキ・蒸着・塗布等によって薄膜を形成する。
(効果)
従来、容器本体の材料は、酸素バリア性の高い材料を挟んだ多層構造の材料を使用して酸素透過を防止しているが、蓋部については、容器本体の開口部にアルミシールを貼って密閉し、保存時の酸素透過を防止している。そのため、蓋部の素材が、酸素バリア性の低いポリエチレン等であった場合、一旦開封してアルミシールを除去した後は、蓋を閉じた状態においても酸化防止機能は低い状態であった。
本実施例では、開封してアルミシールを除去した後も、中蓋2及び蓋本体4の酸素バリア性の高い薄膜によって、酸素透過が阻止されるので、食品や化粧品、医薬品などに、現在広く使用されている、比較的に酸素を通しやすい性質のポリエチレンやポリプロピレンなどで蓋部を形成しても酸化防止機能を保持することが可能になる。
(変形例)
【0030】
本明細書図面において、外蓋1は、図1に、外蓋1と蓋本体4の接合部8に示すようにはめ込み式にしてあるが、これは一例であって、ヒンジによる結合又は、ねじ込み式であっても良い。
本明細書図面において、蓋本体と容器本体の接合部9は、ねじ込み式となっているが、はめ込み式、熱融着などによる固定的な結合でも良い。この場合の開封・未開封を示す処置は、外蓋と蓋本体の接合部8等において処置するようにしても良い。
【0031】
蓋部の材料は、保存する流動性物質の性質や使用形態を考慮して、合成樹脂、金属、カーボン繊維など様々な材料を選んで使用する。また、吐出口外側付近に、保存する収容物を弾く性質の物質をあらかじめ塗布しておくことによって、収容物が付着残存し難いようにしてしても良い。
容器本体の形状は、本明細書ではチューブ式を例に挙げたが、ペットボトル等、ボトル状容器であっても良い。
【符号の説明】
【0032】
1 外蓋
2 中蓋
3 波型バネ状弾性部
4 蓋本体
5 容器本体
6 吐出口
7 栓体
8 外蓋と蓋本体の接合部
9 蓋本体と容器本体の接合部
10 流動性物質(収容物)
11 蓋本体空間
12 仕切板
13 容器本体の空気口
14 内袋
15 容器本体と内袋の間の空間
16 ポンプ弾性部
17 押しボタン
18 逆止弁
19 風船部
20 酸素バリア性物質膜
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動性物質を収容するための内部空間を形成する収容部及びその収容部の内部空間内に連通する開口部を備える容器本体と、上記容器本体の上記開口部に一体若しくは着脱可能に設けられて当該開口部を塞ぐと共に上記流動性物質の吐出口が形成された蓋部とを備える流動性物質保存容器であって、上記蓋部は、外蓋、中蓋、蓋本体からなり、上記吐出口は中蓋に形成され、上記吐出口の内部側から密着して当該吐出口を閉塞する栓体を有し、当該吐出口部分は、蓋部内の圧力が高くなると上記栓体から離れる方向に移動可能となっており、上記中蓋は、上記吐出口周辺から蓋本体との接合部までの間に反復して撓み変形可能な波形バネ状の弾性部を有し、上記弾性部が元の形にもどろうとする弾性復元力によって、上記吐出口を上記栓体に向けて、常時継続して付勢すると共に、上記中蓋は、常態時(閉口時)において吐出口周辺表面と栓体先端部表面が連続して一体となって面を形成し、吐出口周辺には凹凸や隙間などが存在しない形状であることを特徴とする流動性物質保存容器。
【請求項2】
上記吐出口が管状若しくは錐状となるように、上記吐出部分は、流動性物質の取出方向に向けて突出していることを特徴とする請求項1に記載した流動性物質保存容器
【請求項3】
上記収容部の内側に対し流動性物質を収容するための内部空間を形成する内袋を配置し、その内袋と上記容器本体との間に空間部を形成すると共に、上記空間部を外気と連通させたことを特徴とする請求項1〜請求項2のいずれか1項に記載した流動性物質保存容器。
【請求項4】
上記蓋部又は容器本体に対し、蓋部又は容器本体の内圧を高くすることが出来るポンプ機構を備えることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載した流動性物質保存容器。
【請求項5】
上記蓋部の材料として、酸素を通しやすいポリエチレンやポリプロピレンなどを使用する場合、蓋部の表面に酸素バリア性の高いプラスチックや金属の薄膜を貼り、酸素透過を防止して酸化防止効果を高めたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載した流動性物質保存容器。
【請求項1】
流動性物質を収容するための内部空間を形成する収容部及びその収容部の内部空間内に連通する開口部を備える容器本体と、上記容器本体の上記開口部に一体若しくは着脱可能に設けられて当該開口部を塞ぐと共に上記流動性物質の吐出口が形成された蓋部とを備える流動性物質保存容器であって、上記蓋部は、外蓋、中蓋、蓋本体からなり、上記吐出口は中蓋に形成され、上記吐出口の内部側から密着して当該吐出口を閉塞する栓体を有し、当該吐出口部分は、蓋部内の圧力が高くなると上記栓体から離れる方向に移動可能となっており、上記中蓋は、上記吐出口周辺から蓋本体との接合部までの間に反復して撓み変形可能な波形バネ状の弾性部を有し、上記弾性部が元の形にもどろうとする弾性復元力によって、上記吐出口を上記栓体に向けて、常時継続して付勢すると共に、上記中蓋は、常態時(閉口時)において吐出口周辺表面と栓体先端部表面が連続して一体となって面を形成し、吐出口周辺には凹凸や隙間などが存在しない形状であることを特徴とする流動性物質保存容器。
【請求項2】
上記吐出口が管状若しくは錐状となるように、上記吐出部分は、流動性物質の取出方向に向けて突出していることを特徴とする請求項1に記載した流動性物質保存容器
【請求項3】
上記収容部の内側に対し流動性物質を収容するための内部空間を形成する内袋を配置し、その内袋と上記容器本体との間に空間部を形成すると共に、上記空間部を外気と連通させたことを特徴とする請求項1〜請求項2のいずれか1項に記載した流動性物質保存容器。
【請求項4】
上記蓋部又は容器本体に対し、蓋部又は容器本体の内圧を高くすることが出来るポンプ機構を備えることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載した流動性物質保存容器。
【請求項5】
上記蓋部の材料として、酸素を通しやすいポリエチレンやポリプロピレンなどを使用する場合、蓋部の表面に酸素バリア性の高いプラスチックや金属の薄膜を貼り、酸素透過を防止して酸化防止効果を高めたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載した流動性物質保存容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−162234(P2011−162234A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−27221(P2010−27221)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(508240605)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(508240605)
【Fターム(参考)】
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