説明

流動性食材用ファウンテン

【課題】ボウル部内で流動性食材の溶解作業も行うことができて、準備作業等の作業性を大幅に向上させることができると共に、撹拌羽根による撹拌で均一した流動性食材を安定上昇させて良好な噴水状態を容易に得ることが可能な流動性食材用ファウンテンを提供する。
【解決手段】本体ケースの上部に配置された皿状のボウル部と、該ボウル部の中心位置に垂直状態で立設されると共に内部に回転可能なスパイラルが配設された筒体と、該筒体の外周にその軸方向に所定間隔で配置された傘状の複数の段部と、備え、ボウル部に、内部に投入された固形食材を溶解して液状食材とするヒータが設けられると共に、内部の食材を撹拌する撹拌羽根が設けられていることを特徴とする。前記ボウル部の中心位置には、下方に窪んだ平面視円形の凹部が設けられ該凹部内に撹拌羽根が回転可能に配設される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チョコレート、チーズ、キャラメル等の流動性食材を噴水のように複数の段部に流すことが可能な流動性食材用ファウンテンに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、結婚式の披露宴や二次会、あるいはパーティ、イベント等のような様々なセレモニーにおいて、チョコレートを複数の段部に噴水のように流し、このチョコレートをクッキーやフルーツ等に付けて食するチョコレートファウンテン(もしくはチョコレートタワー)が使用されている。従来、このチョコレートファウンテンとしては、例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
このチョコレートファウンテンは、液状のチョコレートが収容される皿状のボウル部と、このボウル部の中心位置に垂直状態で立設され内部に回転可能なスパイラルを有する筒体と、この筒体の外周に上下方向に所定間隔で配置されると共に下方に向かうに従い径大に形成された複数の傘状の段部等を有している。そして、筒体のスパイラルをボウル部下方の本体ケース内に配置したモータの作動で回転させることにより、ボウル部内の液状のチョコレートを筒体内で上昇させて、筒体の上端開口部に設けたクラウンから外部に流出(排出)させ、この流出したチョコレートが各段部の傘状の上面を滝状に流れ落ちて、ボウル部に再び回収されるようになっている。
【特許文献1】特表2007−509627号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなチョコレートファウンテンにおいては、ボウル部の裏面に設けたヒータによって、ボウル部内の液状のチョコレートの保温作用は得られるものの、ボウル部内で固形チョコレートの溶解作業を行うことが困難で、ボウル部内に収容される液状のチョコレートは、別途準備した溶解機により固形チョコレートを溶解して液状とし、この液状のチョコレートをボウル部内に投入する必要がある。そのため、液状のチョコレートの作成自体が面倒となって、チョコレートファウンテンを使用可能な状態にする準備作業の作業性が劣ることになる。
【0005】
また、ボウル部の底面が皿状の平面で形成され、その最深位置から液状のチョコレートが単にスパイラルの下端部によって掻き上げられて筒体内を上昇する構造であるため、スパイラルによる掻き上げ直前のチョコレートを十分に撹拌することができず、均一した液状のチョコレートを安定して上昇させることが困難であると共に、スパイラルの回転時に液状のチョコレートがボウル部内面に沿って外周方向に逃げる状態となって、チョコレートのスムーズな掻き上げ(上昇)を行うことも難しい。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、ボウル部内で流動性食材の溶解作業を行うことができて、準備作業の作業性を大幅に向上させることができると共に、撹拌羽根による撹拌で均一した流動性食材を安定上昇させて良好な噴水状態を容易に得ることが可能な流動性食材用ファウンテンを提供することにある。また、他の目的は、前記目的に加え、ボウル部の最深位置に凹部を設けることにより、撹拌時の食材の逃げを防止して固形食材の溶解や液状食材の撹拌をより効率的に行うことが可能な流動性食材用ファウンテンを提供することになある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成すべく、本発明のうち請求項1に発明は、本体ケースの上部に配置された皿状のボウル部と、該ボウル部の中心位置に垂直状態で立設されると共に内部に回転可能なスパイラルが配設された筒体と、該筒体の外周にその軸方向に所定間隔で配置された傘状の複数の段部と、備え、前記ボウル部に、内部に投入された固形食材を溶解して液状食材とするヒータが設けられると共に、内部の食材を撹拌する撹拌羽根が設けられていることを特徴とする。
【0008】
そして、請求項2に記載の発明のように、前記ボウル部の中心位置に下方に窪んだ平面視円形の凹部が設けられ、該凹部内に前記撹拌羽根が回転可能に配設されていることが好ましく、この場合、請求項3に記載の発明のように、前記筒体の下端に、該筒体をボウル部に固定するための取付板が設けられ、該取付板が前記凹部の上面開口部の一部を覆う蓋体として機能することが好ましい。
【0009】
また、前記ボウル部は、請求項4に記載の発明のように、中心位置に開口が形成されたリング状の本体部と、該本体部の開口に上面側から装着されてその中心位置に前記凹部が形成されると共に前記ヒータによって加熱される鉢と、備えることが好ましく、この場合、前記鉢は、請求項5に記載の発明のように、裏面に前記ヒータを有するヒータプレートへの接触により加熱されることが好ましい。さらに、請求項6に記載の発明のように、前記撹拌羽根の回転軸に前記スパイラルの下端が係合されていることが好ましく、また、請求項7に記載の発明のように、前記ヒータの加熱能力と前記撹拌羽根の回転数が複数に設定可能であることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のうち請求項1に記載の発明によれば、ボウル部内に投入された固形食材を溶解して液状食材とするヒータが設けられると共に、ボウル部内の食材を撹拌する撹拌羽根が設けられているため、ヒータによりボウル部内で固形食材の溶解作業を行って液状食材を容易に得ることができ、準備作業の作業性を大幅に向上させることができる。また、撹拌羽根による撹拌でボウル部内の固形や液状の食材を撹拌できて、溶解作業自体を効率的に行うことができると共に、撹拌により均一な流動性食材の筒体内における安定上昇が可能となり、流動性食材の良好な噴水状態を得ることができる。
【0011】
また、請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、ボウル部の中心位置に平面視円形の下方に窪んだ凹部が設けられているため、撹拌羽根による撹拌時に、凹部によりボウル部内の流動性食材の外周方向への逃げが防止され、固形食材の溶解作業や液状食材の撹拌作業を一層効率的に行うことができる。
【0012】
また、請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明の効果に加え、筒体の下端に、凹部の上面開口部の一部を覆う蓋体として機能し筒体をボウル部に固定するための取付板が設けられているため、取付板により凹部内の流動性食材の跳ね上げ等を防止できて、構成の簡略化を図りつつ凹部内における流動性食材の溶解や撹拌をより一層効率的に行うことができる。
【0013】
また、請求項4に記載の発明によれば、請求項2または3に記載の発明の効果に加え、ボウル部がリング状の本体部と凹部が形成された鉢を備えるため、例えば外径等の大きさの異なる本体部を複数種準備することにより、一つの鉢を使用して各種高さ(容量)のファウンテンを形成して使用することができ、その汎用性を向上させることができる。
【0014】
また、請求項5に記載の発明によれば、請求項4に記載の発明の効果に加え、鉢がヒータプレートへの接触により加熱されるため、鉢とヒータプレートを別部材で形成し、流動性食材が付着する鉢をヒータプレートと分割した状態で洗浄できて、ファウンテンの使い勝手を向上させることができる。
【0015】
さらに、請求項6に記載の発明によれば、請求項1ないし5に記載の発明の効果に加え、撹拌羽根の回転軸にスパイラルの下端が係合されているため、撹拌羽根とスパイラルを同一のモータで回転させることができて、構成を簡略化して安価なファウンテンを得ることができる。
【0016】
また、請求項7に記載の発明によれば、請求項1ないし6に記載の発明の効果に加え、ヒータの加熱能力と撹拌羽根の回転数が複数に設定可能であるため、ボウル部の温度を溶解温度と保温温度に設定したり、撹拌羽根の回転数を筒体の高さ等に応じて設定できて、ファウンテンの使い勝手を一層向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜図15は、本発明に係るファウンテンをチョコレートファウンテンに適用した場合の一実施形態を示し、図1がその正面図、図2が縦断面図、図3が各部材を分解した斜視図、図4〜図6が要部断面図、図7〜図13が各部材を示す図、図14が回路図、図15が他の使用形態の正面図である。
【0018】
図1に示すように、チョコレートファウンテン1(以下、ファウンテン1という)は、本体ケース2と、この本体ケース2の上面開口部に配置されたボウル部3と、このボウル部3の中心位置に垂直状態で立設された筒体4と、この筒体4の外周に嵌装された複数段(図では5段)の段部5等を備えている。前記本体ケース2は、図1〜図3に示すように、上ケース2aと下ケース2b等により略円筒形状に形成されて下ケース2bの底面に取り付けられる底板2cに複数の脚2dが固定されている。また、下ケース2bの前面下部には、後述するヒータ11の温度を設定するヒータスイッチ6と後述するモータ12の回転数を設定するモータスイッチ7が設けられると共に、ヒータ11の通電中に点灯する表示灯8が設けられている。
【0019】
前記ボウル部3は、図2及び図3に示すように、全体が皿形状に形成されてその中心位置に開口が設けられた本体部3aと、この本体部3aの開口に上方側から一体的に配置される鉢3bと、この鉢3bの下部に接触状態で配置されるヒータプレート3c等で構成されている。本体部3aは、樹脂または金属により略リング状に形成され、また、鉢3bとヒータプレート3cは、図7〜図9に示すように、共にアルミニウム等の伝熱材で略皿形状に形成されると共に、その中心位置に下方に窪んだ平面視円形の凹部9、10が形成されている。そして、ヒータプレート3cは、その裏面のヒータ取付部に例えばシーズヒータ等のヒータ11が取付けられており、このヒータ11への通電でヒータプレート3cが所定温度まで加熱されるようになっている。
【0020】
また、前記鉢3bは、その凹部9がヒータプレート3cの凹部10内に上方から嵌合されて、凹部9の側面、底面の全域及び外周面の略全域がヒータプレート3cに面接触して効率的に熱伝導されるように構成されると共に、外周面の円周方向の等間隔位置の3カ所には、後述する下部筒体4aの係止溝21aが係止される係止突起13が立設状態で設けられている。なお、ヒータプレート3cの凹部10と鉢3bの凹部9の底壁の中心位置には開口が設けられ、ヒータプレート3cの底壁の外側にブッシュ14(図3参照)等を介して取付けられたモータ12の回転軸が、開口に気密性を有して開口上方に突出するように配置されている。
【0021】
そして、このモータ12の回転軸には、撹拌羽根17が固定されている。この撹拌羽根17は、図12に示すように、軸部17aと一対の羽根部17bで構成され、軸部17aの下面側にはモータ12の回転軸が嵌合する嵌合溝(図示せず)が設けられ、軸部17aの上面側には後述するスパイラル20の下端部が嵌合する嵌合溝18が設けられている。この撹拌羽根17がモータ12の作動で回転することにより、鉢3bの凹部9内の固形チョコレートや液状チョコレートが撹拌されることになる。
【0022】
前記筒体4は、図2及び図3に示すように、互いに着脱可能に連結された下部筒体4aと中間筒体4b及び上部筒体4cと、これらの内部に回転可能に配置されたスパイラル20とで構成されている。下部筒体4aは、図3及び図13に示すように、その下端部に平面視略三角形状の取付板21が一体形成され、この取付板21の外周縁の円周方向等間隔位置には円周方向に開口した係止溝21aが3個形成されている。そして、この係止溝21aを前記鉢3bの係止突起13に係止させることにより、下部筒体4a(すなわち筒体4)が鉢3b上に立設状態で取付けられ、このとき、取付板21が蓋として機能して鉢3bの凹部9の上面開口部が部分的に閉塞されるようになっている。
【0023】
また、前記中間筒体4bと上部筒体4cは、共に所定長さのパイプ状に形成され、上部筒体4cと中間筒体4bの上端部には、後述するクラウン22もしくは最上段の段部5aが係止される係止溝(図示せず)が形成されている。そして、これらの各筒体4a〜4cは、図2のA部の断面である図4に示すように、一方の筒体(例えば筒体4c)の端部に設けた嵌合突条23に他方の筒体(例えば筒体4b)の端部に設けた段差からなる嵌合部24を上方から嵌合させることにより、一体的に連結されるようになっている。なお、下部筒体4aの上端部には、図5に示すように、共に段差からなる嵌合部24、25が形成され、外側の嵌合部25に後述する最下段の段部5eの筒部31下端が嵌合されるようになっている。
【0024】
また、前記スパイラル20は、図2に示すように、例えば前記A部で分割された長さの異なる1対のスパイラル20a、20bを有し、各スパイラル20a、20bの連結部には、図6に示すように、嵌合突起27と嵌合溝28が形成されている。また、長さの長いスパイラル20aの下端部にも図示しない嵌合突起が形成されて、前記撹拌羽根17の軸部17aの嵌合溝18に嵌合係止されており、前記モータ12の作動で撹拌羽根17と同軸的に回転するようになっている。なお、スパイラル20の外周縁は、筒体4の内面と僅かな隙間を有するように設定されている。
【0025】
前記段部5は、図1〜図3に示すように、第1〜第5の5個の段部5a〜5eからなり、これらは傘部30と、この傘部30の裏面中心位置に下方に向けて立設されると共に前記筒体4の外周に嵌装可能な所定長さの筒部31とにより構成されている。各段部5a〜5eのうち第1段部5aは、図10に示すように、その中心位置の上面にクラウン22が嵌装配置されるようになっており、このクラウン22の外周面には、筒体4内を上昇してきた液状チョコレートの流出を案内する縦方向の案内溝22aが多数形成されている。
【0026】
また、第2段部5b〜第5段部5eは、図11に示すように、傘部30裏面で筒部31との間に十字形状の補強用のリブ32が一体形成されている。そして、各段部5a〜5eは、傘部30の外径が第1段部5aから第5段部5eに向けて順に大きくなり、上段の段部から流れ落ちるチョコレートが下段の段部上に落下するように設定されると共に、各段部5a〜5eの筒部31が筒体4に嵌装された際に、上段の段部の筒部31の下端が下段の段部の筒部31の上端に載置されて上下方向の位置決めがなされるように設定されている。
【0027】
このように構成されたファウンテン1は、3つの筒体4a〜4cを連結すると共に2つのスパイラル20a、20bを連結することにより、筒体4の高さが図1に示すh1となってこの筒体4の外周に5個の各段部5a〜5eが嵌装されて、ファウンテン1が大型機として使用され、例えば大人数に対応できる。一方、筒体4とスパイラル20が複数の部材に分割されて連結可能となっていることから、筒体4とスパイラル20を選択使用することにより、段部5を3個として図15に示す高さh2に設定し、ファウンテン1を小型機として使用することもできる。
【0028】
すなわち、図15に示すファウンテン1の場合は、筒体4としてスパイラル20aと下部筒体4a及び中間筒体4bを使用し、中間筒体4bの上端に第1段部5aを嵌装させ、その下方に第2段部5bと第3段部5cを嵌装させ、図1で使用していた第4段部5dと第5段部5eは使用しない構造とする。また、このときボウル部3に、前記本体部3aの外径φ1よりその外径φ2が小さい本体部3a1を使用する。これにより、図15に示すように、段部5が3個で高さがh2でかつボウル部3a1の外径がφ2のファウンテン1が形成され、例えば少人数でも対応できることになる。
【0029】
図14は、前記ファウンテン1の回路図を示している。図14において、前記ヒータスイッチ6とモータスイッチ7は、それぞれ2つの端子を有する切換えスイッチで形成され、ヒータスイッチ6の一方の端子(HI端子)が例えば60℃用のサーマル33を介して電源端子Lに接続され、他方の端子(LO端子)が例えば36℃用のサーマル34を介して電源端子Lに接続されている。また、ヒータスイッチ6の共通端子に前記各サーマル33、34に対応した電流が通電されるヒータ11が接続され、このヒータ11には抵抗35と前記表示灯8が並列接続されている。そして、ヒータスイッチ6が「HI」に設定されると、ヒータ10に高電流が供給されてヒータプレート3cを介して鉢3b(ヒータプレート3c)が60℃まで加熱され、ヒータスイッチ6が「LO」に設定されると、ヒータ10に低電流が供給されて鉢3bが36℃まで加熱されるようになっている。
【0030】
また、モータスイッチ7の一方の端子(HI端子)と他方の端子(LO端子)は、電圧変換器36を介して電源端子L、Nに接続され、モータスイッチ7の共通端子はモータ12が接続された電源接続ユニットとしてのPCB37に接続されている。そして、モータスイッチ7が「HI」に設定されると、モータ12が高速で回転して、段部5が5個の図1に示す高さh1のファウンテン1において、液状チョコレートが筒体4の上端開口部から良好に流出される。また、モータスイッチ7が「LO」に設定されると、モータ12が低速で回転し、前述した段部5が3個の図15に示す高さh2のファウンテン1において、液状チョコレートが筒体4の上端開口部から良好に流出されるように設定されている。
【0031】
次に、このように構成されたファウンテン1の動作の一例について説明する。先ず、ファウンテン1の筒体4や段部5等を組み立てて図1に示す状態とし、この状態でヒータスイッチ6を「HI」に設定して、別途準備した油性分の多い固形チョコレートをボウル部3内に投入する。このボウル部3内に投入された固形チョコレートは、ヒータ11により高温度の60℃に加熱されている鉢3bの凹部9内で溶解される。また、例えばこの溶解と同時もしくは所定時間後に、モータスイッチ7を「HI」もしくは「LO」に設定することでモータ12を回転させ、凹部9内のチョコレートを撹拌させる。これにより、凹部9内に位置する固形チョコレートは、凹部9の側壁により外周方向に逃げが防止された状態で撹拌されつつ加熱されて効率的に溶解される。
【0032】
そして、ボウル部3a内に投入された固定チョコレートが溶解されると、モータスイッチ6の「HI」への設定で撹拌羽根17とスパイラル20が高速で回転し、これにより、凹部9内の溶解した液状チョコレートが、凹部9内で撹拌されつつスパイラル20の回転により掻き上げられて筒体4内を上昇する。このときの凹部9内の液状チョコレートの撹拌及び掻き上げも、凹部9の側壁で外周方向への逃げが防止された状態となり、撹拌羽根17で均一に撹拌された凹部9内の液状チョコレートがスパイラル20によって良好に掻き上げられることになる。
【0033】
筒体4内を上昇した液状チョコレートは、筒体4上端のクラウン22から外側に流出されて、下方の第1段部5aの傘部30上に落下し、該傘部30上を外周方向に流れてその端部から下方の第2段部5bの傘部30上に落下する。この流れが第5段部5eまで繰り返し行われると、第5段部5eの傘部30上からボウル部3内に落下、すなわち溶解された液状チョコレートがボウル部3内に回収され、これにより液状チョコレートがファウンテン1内を循環し各段部5a〜5eを噴水のように流れることになる。
【0034】
なお、液状チョコレートが循環している間は、ヒータ11が「LO」に設定され、鉢3bの36℃の加熱により液状チョコレートが流動に適した所定温度に維持されて保温されると共に、液状チョコレートの溶解が完了した後はモータ12の回転数が「HI」に維持されて、液状チョコレートが筒体4内をその上端までスムーズに上昇する。そして、このファウンテン1を使用する人は、各段部5a〜5eから流れ落ちるチョコレート内に串に刺したクッキーやフルーツを差し込むことによりチョコレートを付けて、これを食することができる。
【0035】
また、ファウンテン1の使用後は、筒体4から各段部5a〜5eを取り外したり、下部筒体4aを円周方向に回転させて前記係止溝21aと係止突起13の係止状態を解除して、筒体4を鉢3bから取り外すと共に各筒体4a〜4cを分割状態とし、さらに、ボウル部3の本体部3aや鉢3b(必要に応じてヒータプレート3c)を本体ケース2から取り外す。この分割した各部材を洗浄することにより、各部材に付着しているチョコレートを除去でき、このとき、チョコレートが付着し易い各部材が着脱(分割)可能で比較的小型の部材となっていることから、チョコレートが付着した各部材を例えば食洗機で洗浄できることになる。
【0036】
このように、上記実施形態のファウンテン1にあっては、ボウル部3に固形チョコレートを溶解して液状チョコレートとするヒータ11が設けられているため、このヒータ11によりボウル部3内で固形チョコレートの溶解作業を行って液状チョコレートを容易に得ることができ、従来のように専用の溶解機を別途準備する必要がなくなり、ファウンテン1の準備作業等の作業性を大幅に向上させることができる。
【0037】
また、ボウル部3にチョコレートを撹拌する撹拌羽根17が設けられているため、撹拌羽根17による撹拌でボウル部3内の固形や液状チョコレートを撹拌できて、溶解作業自体を効率的に行うことができると共に、撹拌により均一な液状チョコレートを筒体4内で安定上昇させることができる。特に、ボウル部3の中心位置に配置した鉢3bに平面視円形の下方に窪んだ凹部9が設けられているため、撹拌羽根17による撹拌時に、凹部9によりボウル部3内のチョコレートの外周方向への逃げが防止され、固形チョコレートの溶解作業や液状チョコレートの撹拌作業を一層効率的に行うことができ、これにより、液状チョコレートの良好な噴水(流下)状態を得ることができる。
【0038】
また、筒体4の下部筒体4aの下端に、鉢3bの凹部9の上面開口部の一部を覆う蓋体として機能しかつ筒体4を鉢3bに固定するための取付板21が設けられているため、取付板21により凹部9内のチョコレートの跳ね上げ等が防止されて、構成の簡略化を図りつつ凹部9内におけるチョコレートの溶解や撹拌をより一層効率的に行うことができると共に、取付板21に設けた係止溝21aを鉢3bに立設した係止突起13に回転操作により係止させることで筒体4を鉢3bに略ワンタッチで取付けできて、その組立や分解を容易に行うことができる。
【0039】
また、ボウル部3が本体部3aと鉢3b及びヒータプレート3cに分割構成されているため、液状チョコレートが付着する鉢3bをヒータプレート3cと分割した状態で洗浄できると共に、筒体4やスパイラル20、段部5等の各部材が比較的小型の複数の部材に分割できるため、これらの例えば食洗機を使用した洗浄が可能となって、各部材の洗浄を簡単かつ衛生的に行うことができて、ファウンテン1のメンテナンスコスト等の低減化やその使い勝手の向上を図ることができる。
【0040】
また、筒体4やスパイラル20等が分割可能に構成されると共に、各段部5a〜5eの筒部31が筒体4の外周面の所定高さ位置に嵌装可能に設定されているため、例えばこれら部材の選択使用により、筒体4の高さの異なる小型のファウンテン1を形成できて、その汎用性を向上させることができる。特に、ボウル部3がリング状の本体部3aと凹部9、10が形成された鉢3b及びヒータプレート3cを備えることから、例えば外径φ2の小さな本体部3a1を準備することにより、小型のファウンテン1に最適なボウル部3を形成できて、大小に係わらずデザイン的に優れたファウンテン1を得ることができる。
【0041】
さらに、撹拌羽根17の回転軸にスパイラル20の下端が係合されているため、撹拌羽根17とスパイラル20を同一のモータ12で回転させることができて、消費電力の低減化を図りつつ、構成を簡略化して安価なファウンテン1を得ることができると共に、ヒータ11の加熱能力と撹拌羽根17の回転数が「HI」と「LO」等の複数に設定可能であるため、鉢3bの温度を溶解温度と保温温度に設定したり、撹拌羽根17の回転数を筒体4の高さh1、h2等に応じて設定できる等、使い勝手に優れたファウンテン1を提供することが可能となる。
【0042】
また、各段部5a〜5eの筒部31が筒体4の外周に嵌装されるため、各段部5a〜5eと筒体4を同軸状に嵌装配置でき、各段部5a〜5eに安定した装着状態が得られて、各段部5a〜5eから流れ落ちるチョコレートの状態をその外周全域において均一にすることができ、液状チョコレートの一層良好な噴水状態を容易に得ることが可能となる。
【0043】
なお、上記実施形態においては、筒体4やスパイラル20を分割することにより、筒体4の高さがh1の大型のファウンテン1と高さがh2の小型のファウンテン1を形成できるように構成したが、本発明はこれらの分割構造に限定されず、例えば大型、小型の中間位置に中型の高さを有するファウンテン1が得られるように各部材を適宜に分割しても良い。また、上記実施形態においては、筒体4やスパイラル20をそれぞれ分割構造としたが、例えばこれらを各ファウンテン1の高さh1、h2に対応した1個の部品として準備し、これを選択使用できるように構成して、ファウンテン1の高さを所定に設定することもできる。
【0044】
さらに、上記実施形態においては、ヒータ11やモータ12を「HI」と「LO」の2段階に切り換えたが、例えば3段階以上に切り換える構成にしても良いし、この切り換えも手動に限らず、例えば適宜位置に温度センサ等を配置して、この温度センサに基づいて自動的に切り換えるようにしても良い。また、上記実施形態においては、各段部5a〜5eの筒部31を筒体4の外周面に嵌装させると共に、筒部31の長さにより各段部5a〜5eの上下方向の位置決めを行ったが、例えば筒体4の所定位置に係止部を設け、この係止部に各段部5a〜5eの開口を係止させる構成を採用することもできる。
【0045】
また、上記実施形態におけるボウル部3の形態、スパイラル20と撹拌羽根17の構造、本体ケース2の形状、クラウン22の形状、段部5の形状等も一例であって、例えば、本体部3aと鉢3bあるいは鉢3bとヒータプレート3cを一体構造したり、スパイラル20aの下端に撹拌羽根17を一体的に固着(もしくは一体成形)する等、本発明に係る各発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜に変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、流動性食材としてのチョコレートを使用したチョコレートファウンテンに限らず、チーズやキャラメル等の液状が可能な各種流動性食材用のファウンテンにも利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係る流動性食材用ファウンテンの一実施形態を示す正面図
【図2】同その縦断面図
【図3】同各部材を分解した斜視図
【図4】同筒体の連結部分の縦断面図
【図5】同筒体の他の連結部分の縦断面図
【図6】同スパイラルの連結部分の縦断面図及びそのB−B線断面図
【図7】同ボウル部の縦断面図
【図8】同鉢の全体斜視図及びカット状態の斜視図
【図9】同ヒータプレートの斜視図
【図10】同第1段部の正面図及び斜視図
【図11】同第2段部〜第5段部の斜視図及び底面図
【図12】同撹拌羽根の斜視図
【図13】同下部筒体の斜視図
【図14】同ヒータ及びモータ等の配線状態を示す回路図
【図15】同ファウンテンの他の使用状態を示す正面図
【符号の説明】
【0048】
1・・・チョコレートファウンテン、2・・・本体ケース、3・・・ボウル部、3a、3a、3a1・・・本体部、3b・・・鉢、3c・・・ヒータプレート、4・・・筒体、4a・・・下部筒体、4b・・・中間筒体、4c・・・上部筒体、5・・・段部、5a〜5e・・・第1段部〜第5段部、6・・・ヒータスイッチ、7・・・モータスイッチ、9、10・・・凹部、11・・・ヒータ、12・・・モータ、13・・・係止突起、17・・・撹拌羽根、17a・・・軸部、17b・・・羽根部、20、20a、20b・・・スパイラル、22・・・クラウン、30・・・傘部、31・・・筒部、36・・・電圧変換器、37・・・PCB。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースの上部に配置された皿状のボウル部と、該ボウル部の中心位置に垂直状態で立設されると共に内部に回転可能なスパイラルが配設された筒体と、該筒体の外周にその軸方向に所定間隔で配置された傘状の複数の段部と、備え、
前記ボウル部に、内部に投入された固形食材を溶解して液状食材とするヒータが設けられると共に、内部の食材を撹拌する撹拌羽根が設けられていることを特徴とする流動性食材用ファウンテン。
【請求項2】
前記ボウル部の中心位置に下方に窪んだ平面視円形の凹部が設けられ、該凹部内に前記撹拌羽根が回転可能に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の流動性食材用ファウンテン。
【請求項3】
前記筒体の下端に、該筒体をボウル部に固定するための取付板が設けられ、該取付板が前記凹部の上面開口部の一部を覆う蓋体として機能することを特徴とする請求項2に記載の流動性食材用ファウンテン。
【請求項4】
前記ボウル部は、中心位置に開口が形成されたリング状の本体部と、該本体部の開口に上面側から装着されてその中心位置に前記凹部が形成されると共に前記ヒータによって加熱される鉢と、備えることを特徴とする請求項2または3に記載の流動性食材用ファウンテン。
【請求項5】
前記鉢は、裏面に前記ヒータを有するヒータプレートへの接触により加熱されることを特徴とする請求項4に記載の流動性食材用ファウンテン。
【請求項6】
前記撹拌羽根の回転軸に前記スパイラルの下端が係合されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の流動性食材用ファウンテン。
【請求項7】
前記ヒータの加熱能力と前記撹拌羽根の回転数が複数に設定可能であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の流動性食材用ファウンテン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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