説明

流動物絞り出し二重袋

【課題】 袋の中身を十分に、かつ円滑に効率よく絞り出すことができ、しかも手等を汚すことなく簡便に使用することができる丈夫な流動物絞り出し二重袋を提供する。
【解決手段】 流動物を封入する内袋(2)とこの内袋(2)を内蔵した外袋(3)を有する二重袋(1)を備えている。この内外袋(2、3)に上記流動物の注出口(13)を形成すると共に外袋(3)に内袋(2)内の流動物の絞り口(12)を形成し、内袋(2)を外袋(3)の絞り口(12)より引き出し上記絞り口(12)と外袋(2)を作用させて流動物を上記注出口(13)より絞り出すようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状またはゼリー状シャンプー等の洗髪材、化粧品、洗剤、消毒剤、薬剤、調味料等の食品、飲料等の流動物を封入し、使用時に流動物を絞り出すための機能を備えた二重袋に関し、特に詰め替え用として用いることができる流動物絞り出し二重袋に関する。
【背景技術】
【0002】
液状あるいはゼリー状に形成されたシャンプーや調味料等は、一般に容器に収納されて販売されている。
【0003】
これらの容器は、中身を消費した後はゴミとして捨てられているが、近年、資源や資材等を保護するため、またゴミ量の増大や悪臭発生の問題もあって容器を捨てないで再利用する方法が採用されており、そのために上記容器に挿入される中身を収納した詰め替え用の袋が別途販売されている。
【0004】
しかし、この詰め替え用の袋は、中身を容器に詰め替える際に、袋の外表面を手でしごいたり、押圧したりして中身を絞り出すようにしており、その際に袋が簡単に破れないようにやゝ厚めの材料で丈夫に形成されているので、ゴワゴワしていて絞り出し難く、またそのために多くの場合は絞りきれずに袋内に中身が残ってしまい、通常はこの状態のままで捨ててしまうので不経済であった。しかもゴミ出しの際には、残存する中身によって手等を汚したり、一時ゴミをゴミ置場に放置した際に袋より悪臭が発生したり、その袋を漁るネコやカラス等によってゴミが散乱するという事態が生じている。
【0005】
そこで、詰め替え用袋の他に別途リング状治具を用意し、このリング状治具を袋に通し注出口へ移動させることによって中身を絞り出すという方法が考えられている。
しかし、この方法は、リング状治具を別途用意しなければならず、また中身を絞り出す点において満足し得るものではなかった。
【特許文献1】特開2002−249149号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来の問題を解消しこれを改良するものであって、中身を十分に、かつ円滑に効率よく絞り出すことができ、丈夫であり、しかも手等を汚すことなく簡便に使用することができる経済的な流動物絞り出し二重袋を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、流動物を封入する内袋を外袋内に設けた二重袋を形成し、その二重袋に注出口と絞り口を形成し、内袋内の流動物を絞り口と外袋を有効に作用させて絞り出すようにしたものである。
【0008】
また、内袋を外袋に比較して薄くまたは柔らかく形成し流動物をより絞り出し易くしたものである。
【0009】
更に、外袋の絞り口に切れ目を設け、これによって簡易に絞り口が形成できるようにしたものである。
【0010】
また、切れ目の近傍に内外袋を連結する接合部を設け、その切れ目に沿って切断し絞り口を形成した後に、この接合部を介して内袋を絞り口より引き出せるようにしたものである。
【0011】
更に、注出口の縁部両側部に内外袋を連結する接合部を設け、注出口を丈夫にすると共に流動物をより円滑に絞り出すことができるようにしたものである。
【0012】
また、二重袋に吊下部を設け、これによって二重袋を展示したり、吊り下げて用いたりすることができるようにしたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、内袋に挿入された流動物を外袋と外袋に形成した絞り口をもって円滑にかつ効率よく、しかも流動物を殆んど残すことなく絞り出すことができ、また内袋を外袋に比べて薄くあるいは柔軟にして、より一層内袋を絞り易くし、流動物をほぼ完全に絞り出すことができる。
【0014】
また、流動物を絞り出す際に、内袋が破れるようなことがあっても外袋によってカバーされるので、手等を汚さずに確実に絞り出すことができ、しかも二重袋になっているので丈夫であり、搬送時、商品展示時、使用時等においても十分に耐えることができ取り扱い易い。
【0015】
更に、外袋に切れ目を入れることによって簡便に絞り口を形成することができ、その際切れ目の近傍において内袋と外袋が接合されているので、切れ目を切断した後に接合部を摘んで内袋を楽に引き出すことができる。
【0016】
また、二重袋の注出口の端部両側部が接合されているので、流動物を注出口より円滑に絞り出すことができ、その接合部によって注出口がより丈夫になっているので使用時に切れる心配がない。
【0017】
更に、二重袋には支持部を設けられているので、二重袋を吊下支持具に吊り下げて置く
ことができ、商品を展示したり、吊り下げて使用したりする場合等において便利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
実施例は、詰め替え用袋として液状のシャンプーを収納した二重袋を例にとって示している。
二重袋(1)は、図1に示すように内袋(2)と外袋(3)を有し、その内袋(2)が外袋(3)内に収納されている。
【0019】
上記二重袋(1)を製造する場合について、その一方法として図3を参照しながら説明する。
先ず、内袋(2)(図3a)と外袋(3)(図3b)を形成する。この場合、袋の上方は開口され、他の三方が閉鎖されている。
【0020】
この実施例では、透明なポリプロピレンシートを用い、これを上方に二つ折りしその側縁の二方向をヒートシール(4)して袋を形成しているが、この方法はその他の方法を用いることができ、例えば、透明、半透明、不透明(着色したものを含む)のポリエチレン、塩化ビニル、ナイロン、その他のプラスチック材、あるいは不織布に上記プラスチック材をラミネートした資材等、その他液体やゼリー状体のものを通過させない材料で形成したシート状や筒状のものを用い、これを適当な大きさに裁断し、その適宜の方向をヒートシール、高周波シール、超音波シール、インパルスシール等の手段で溶着したり、あるいは接着剤で接着したり等して形成することができる。
【0021】
なお、図示のものでは、外袋(3)の隅部の絞り口形成部(5)に切れ目(6)が設けられており、また外袋の開口側隅部の注出口形成部(7)には切り取り線(8)が設けられている。なお、この切り取り線(8)は設けない場合がある。
ここで、外袋(3)内に内袋(2)を挿入し(図3c)、その内袋(2)に液状シャンプーを入れて開口部(9)をヒートシール(4)する(図3d)。これによって液状シャンプーは内袋(2)内に封入される。
【0022】
なお、この場合、二重袋の開口部をヒートシールする際に、上記切り取り線(8)が表示されている部分の縁部もヒートシールして接合部(10)を設け、内袋(2)と外袋(3)を連結している。
また、上記切れ目(6)の近傍は、図示のようにヒートシールして接合部(11)を設け、内袋(2)と外袋(3)を連結している(図3e)。
【0023】
二重袋に封入された液状シャンプーをシャンプー容器(図示せず)に詰め替える際は、図2に示すように、絞り口形成部(5)の接合部(11)部分を摘んで引き、切れ目(6)に沿って切断し、その切れ目(6)に形成された絞り口(12)より内袋(2)を引き出せるようにする。
【0024】
一方、注出口形成部(7)を切り取り線(8)に沿って切断し、注出口(13)を形成する。
このようにして注出口を形成した後に、上記絞り口(12)を押さえながら、切断された二重袋の隅部の接合部(11)部分を摘んで引くと、内袋内の液状シャンプー(18)は絞り口(12)で押えられ順次縮小する外袋(3)の作用もあって注出口(13)より絞り出され上記シャンプー容器内に注出される。
【0025】
この場合、内袋(2)は外袋(3)によって保持されるので、内袋が絞り出し中に破れてしまうことがあっても、内袋(2)よりはみ出した液状のシャンプーは外袋(3)内に留まり、その絞り出しによって注出口(13)より注出させることができる。
【0026】
上記内袋(2)は外袋(3)に比べて薄い材料あるいは柔らかい材料を用いることができ、この場合、より一層液状のシャンプーが絞り出し易くなり、殆ど残量なく絞り出すことができる。
なお、実施例では、内袋(2)の厚みが約0.02mmで、外袋(3)の厚みが約0.05mmになっており袋(2)の方が外袋(3)に比べて薄くなっているが、この寸法はその他の寸法のものを用いることができる。
【0027】
図5及び図6に示すものは、絞り口(12)を二重袋の一側中央部に設け、注出口(13)を突出部(14)に設けた場合である。
【0028】
図7及び図8に示すものは、二重袋を起立状にして置くことができるもの(スタンデイングタイプ)である。
また、この場合、上部には吊下部(15)が設けられ、この吊下部(15)に形成した吊下用の孔(16)を吊下支持具(図示せず)に支持することができるので、店内等に陳列して置く場合等に便利である。
なお、吊り下げの際は、上記吊下用の孔(16)に代えてフック部を用いたり、その他の方法で吊り下げることができる。
また、上記例では、内袋(2)の下端部にこれに連接するように引出し部片(17)を設け、この引出し部片をもって引き出し(図において下方より上方へ)液状シャンプーを絞り出すようにしている。
【0029】
上記絞り口(12)や注出口(13)の位置は、上記例の他、適宜の位置に設けることができ、また内袋(2)及び外袋(3)には、適宜、襠を設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施例を示す平面図である。
【図2】流動物を注出する状態を示す斜面図である。
【図3】二重袋の製作手順を示す概略図である。
【図4】二重袋(流動物を封入せず)の拡大縦断面図である。
【図5】他の実施例を示す平面図である。
【図6】図5に示す二重袋を使用する状態を示す平面図である。
【図7】更に他の実施例を示す平面図である。
【図8】図7に示す二重袋を使用する状態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0031】
2 内袋
3 外袋
5 絞り口形成部
6 切れ目
7 注出口形成部
8 切り取り線
10、11 接合部
12 絞り口
13 注出口
15 吊下部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動物を封入する内袋とこの内袋を内蔵する外袋を備え、この内外袋に上記流動物の注出口となる注出口形成部を設けると共に外袋に内袋内の流動物の絞り口となる絞り口形成部を設け、その注出口形成部と絞り口形成部を開口して注出口と絞り口を形成し内袋を外袋の絞り口より引き出し上記絞り口と外袋の作用をもって流動物を上記注出口より絞り出すようにしたことを特徴とする流動物絞り出し二重袋。
【請求項2】
内袋を外袋に比べて薄くまたは柔らかく形成した請求項1に記載の流動物絞り出し二重袋。
【請求項3】
外袋の絞り口形成部に切れ目を設け、この切れ目に沿って外袋の一部を切り取り絞り口を形成するようにした請求項1または2に記載の流動物絞り出し二重袋。
【請求項4】
切れ目の近傍に、内袋と外袋を連結する接合部を設け、その切れ目に沿って外袋の一部を切り取りこの切り取った外袋と内袋の接合部をもって内袋を絞り口より引き出すようにした請求項3に記載の流動物絞り出し二重袋。
【請求項5】
注出口の縁部両側部に内袋と外袋を連結する接合部を設けた請求項1〜4のいずれかに記載の流動物絞り出し二重袋。
【請求項6】
二重袋に吊り下げ支持するための支持部を設けた請求項1〜5のいずれかに記載の流動物絞り出し二重袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−282206(P2006−282206A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−102941(P2005−102941)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(390026491)小林製袋産業株式会社 (6)
【Fターム(参考)】