説明

流路変更装置

【課題】電子機器から排気される熱風を浴びず、快適な環境で会議を実施することを可能とする流路変更装置を提供する。
【解決手段】流路変更装置1は、電子機器21近傍に設置され、電子機器21から排気される熱風の流路を変更する装置であり、気体の流路を変更する流路変更部材と、流路変更部材を支持する支持部材とから構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電子機器から排気される例えば熱風の流路を変更する流路変更装置に関する。

【背景技術】
【0002】
OHP(オーバーヘッドプロジェクター)等の各種電子機器は、稼働時の発熱によって、内部のCPU等の精密部品が故障しないように冷却ファンを備える(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
冷却ファンからの送風は、精密部品の熱を吸収した後、電子機器外部へ排気される。しかしながら、電子機器外部に排気される風は、熱風であるにも拘らず、この熱風に対して何ら策は講じられず、単に排気されるだけである。そのため、OHPの周りを囲うような席位置で会議を行なった場合、出席者のいずれかの者が会議の始終に亘って熱風を浴び続けることになり、不快な思いをした。

【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−164787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、OHP等の各種電子機器近傍に設置することで、電子機器から排気される例えば熱風を誰もが浴びることなく、快適に会議へ参加することを可能にする流路変更装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的は、下記(1)〜(8)の本発明により達成される。
(1)電子機器近傍に設置され、前記電子機器の開口部から排気される気体の流路を変更する装置であり、前記気体の流路を変更する流路変更部材と、前記流路変更部材を支持する支持部材とからなることを特徴とする流路変更装置。これにより、電子機器の開口部から排気される気体の流路を変更でき、直接、人が気体を浴びることがなくなり、不快な思いをすることを無くすことができる。
【0007】
(2)前記流路変更部材は、前記気体を流入する流入口と、前記気体の流路を変更する導路と、前記導路に導かれた気体を流出する流出口とを備える上記(1)に記載の流路変更装置。これにより、電子機器の気体が排気される開口部を覆うように流入口を位置することで、気体を漏れなく流入口へと流し込むことができる。
【0008】
(3)前記導路は、前記気体の流路を略直交する方向に変更する上記(2)に記載の流路変更装置。これにより、確実に気体の流路を変更することができ、人が気体を浴びなくすることができる。
【0009】
(4)前記流出口は、流路変更装置を水平台上に設置した状態で、上方に向けて開口する上記(2)または(3)に記載の流路変更装置。これにより、人の存在しない空間へ気体の流れを導くことができ、より確実に人が気体を浴びなくすることができる。
【0010】
(5)前記支持部材は、前記流路変更部材の垂直方向における位置を調整する位置調整機構を備える上記(1)ないし(4)記載の流路変更装置。これにより、様々な種類やサイズの電子機器に対応することができる。
【0011】
(6)前記気体は熱風である上記(1)ないし(5)に記載の流路変更装置。
【0012】
(7)前記流路変更部材は樹脂製である上記(6)に記載の流路変更装置。これにより、流路変更部材に熱がこもり難く、流路変更部材に触れて火傷することを防止することができる。
【0013】
(8)前記電子機器は、光源を備えるOHPである上記(1)ないし(7)に記載の流路変更装置。これにより、特に発熱量が大きい光源を備えるOHPに本発明の流路変更装置を適用するのが好適である。

【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、OHP等の各種電子機器から排気される例えば熱風を浴びて不快な思いをすることなく、快適な環境で会議を行うことができる。

【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の流路変更装置の斜視図である。
【図2】本発明の流路変更装置を電子機器近傍に設置した状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の流路変更装置を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の流路変更装置の斜視図、図2は、本発明の流路変更装置を電子機器近傍に設置した状態を示す側面図である。なお、以下の説明では、図1中の上側を「上」、下側を「下」という。
【0018】
本実施形態では、流路変更装置1は、電子機器21(本実施形態ではOHP)の開口部23から排気される気体の流路を変更する流路変更部材3と、この流路変更部材3を支持するための土台13、第一側方支持部材9、第二側方支持部材11、下側支持部材15、及び上側支持部材17からなる支持部材8を有している。
【0019】
流路変更部材3は、図1に示すように、その全体形状が中空円筒を略90度屈曲させたL字形状をなしている。
【0020】
また円筒の一端側には、気体が流入する流入口5を有し、他端側には、流入口5から流入した気体が流出する流出口7を有する。
【0021】
気体は、電子機器21から排気される風であり、冷風あるいは熱風であってもよいが、人が浴びた場合に不快感の強い熱風である場合が好適である。
【0022】
また流路変更部材は樹脂製であることが好ましい。樹脂製とすることで熱がこもり難く、触れても火傷する恐れがない。
【0023】
また流入口5及び流出口7の形状は円形に限らず四角形状等であってもよい。
【0024】
更に流路変更部材3は、中空円筒を屈曲させた形状に限らず、四角形や多角形の中空筒を屈曲させた形状であってもよい。
【0025】
支持部材8は、流路変更部材3を支持するためのものであり、プレート形状の土台13、L字形状である第一側方支持部材9、第二側方支持部材11、及び流路変更部材3の外形に沿った円弧形状である下側支持部材15、上側支持部材17からなる。
【0026】
土台13には、流路変更部材3を挟み込む配置で一対の支柱19、20が植立されている。下側支持部材15、及び上側支持部材17の夫々両端部は、円弧形状の外方側に向けて折り曲げ部が形成され、折り曲げ部には貫通孔が形成されている。
【0027】
各貫通孔には、上側支持部材17と下側支持部材15によって前述の流路変更部材5を上下から挟み込んだ状態で、支柱19、20が挿通されている。
【0028】
また第一側方支持部材9、及び第二側方支持部材11の一端部には貫通孔が形成され、その貫通孔にも支柱19、20が挿通されている。
【0029】
第一側方支持部材9、及び第二側方支持部材11の他端部は、流路変更装置1が設置される設置台上に位置し、流路変更装置1を安定的に支える役割を果たす。
【0030】
支柱19、20は、螺子溝が形成された金属製のボルトであり、その支柱に嵌め込まれた各ナット151,171,91,92は、その回転量に応じて支柱の長手方向における位置(高さ位置)を変えることができる。
【0031】
各ナットによって、第一側方支持部材9、第二側方支持部材11、下側支持部材15、及び上側支持部材17は位置決めされる。
【0032】
以上のように構成される流路変更装置1は、設置台上からの流路変更部材3の高さ位置を調整可能である。
【0033】
流路変更部材3の高さ位置を調整するには、まずナット151を回転させてナット151の支柱19上における嵌め込み位置を調整する。
【0034】
同時に支柱19と対をなす支柱20上におけるナット(不図示)の嵌め込み位置も同じ高さに調整する。このナット151の嵌め込み位置に応じて流路変更部材3の高さ位置が決定する。
【0035】
次に、高さ調整されたナット151上に下側支持部材15を載置し、下側支持部材15上には流路変更部材3の流入口付近を載せ、更に流路変更部材3を上から押さえ込むように上側支持部材17を配置する。
【0036】
上側支持部材17の固定は、その上からナット171を締め付けることにより行なう。このように支柱19(20)上におけるナット151の位置を調整する簡単な手段で流路変更部材3の高さを容易に調整できる。そのため、様々な種類やサイズの電子機器に対応することができる。
【0037】
以上のような本発明の流路変更装置1は、水平台上で、図2に示すように、熱風が排気される電子機器21の開口部23近傍に流入口5が対向するように設置される。
【0038】
この状態で電子機器21を稼働すると、電子機器21内部の冷却ファン(不図示)からの送風は、精密部品等の熱を吸収して熱風となり、開口部23から排気される。
【0039】
排気された熱風は、流路変更装置1の流入口5から流入し、流路変更部材3内の導路で流路が変更され、流出口7から流出される。この時、本実施形態では導路が略90°屈曲され、流出口7が上方へ向けられているので、流出する熱風は上方空間へと放たれ、その結果、たとえ電子機器21の開口部23付近に人が存在したとしても、熱風を浴びることがない。
【0040】
電子機器21としては、OHP、液晶プロジェクター、パーソナルコンピュータ、テレビ等であってよい。特に発熱量の大きい光源を有するOHP、液晶プロジェクターであるのが好ましい。

【符号の説明】
【0041】
1 流路変更装置
3 流路変更部材
8 支持部材
9 第一側方支持部材
11 第二側方支持部材
15 下側支持部材
17 上側支持部材
21 OHP






















【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器近傍に設置され、前記電子機器の開口部から排気される気体の流路を変更する装置であり、前記気体の流路を変更する流路変更部材と、前記流路変更部材を支持する支持部材とからなることを特徴とする流路変更装置。
【請求項2】
前記流路変更部材は、前記気体を流入する流入口と、前記気体の流路を変更する導路と、前記導路に導かれた気体を流出する流出口とを備える請求項1に記載の流路変更装置。
【請求項3】
前記導路は、前記気体の流路を略直交する方向に変更する請求項2に記載の流路変更装置。
【請求項4】
前記流出口は、流路変更装置を水平台上に設置した状態で、上方に向けて開口する請求項2または3に記載の流路変更装置。
【請求項5】
前記支持部材は、前記流路変更部材の垂直方向における位置を調整する位置調整機構を備える請求項1ないし4記載の流路変更装置。
【請求項6】
前記気体は熱風である請求項1ないし5に記載の流路変更装置。
【請求項7】
前記流路変更部材は樹脂製である請求項6に記載の流路変更装置。
【請求項8】
前記電子機器は、光源を備えるOHPである請求項1ないし7に記載の流路変更装置。



























【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−220568(P2011−220568A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−88215(P2010−88215)
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】