説明

流路接続構造

【課題】コネクタの破損を抑制することができる流路接続構造を提供する。
【解決手段】流体が流れる流路を有する雌側ケース16を備えた雌型コネクタ15と、流体が流れる流路を有する雄側ケースを備え、雌型コネクタ15に挿入される雄型コネクタ30とを備える流路接続構造において、雄型コネクタ30は、その側方を収容部C1を構成する接続体Cの壁部によって囲まれるとともに、雄型コネクタ30の先端を貫挿する貫挿孔35aを有し、収容部C1内を変位可能な可動板35と、可動板35を、該可動板35に貫挿された雄型コネクタ30の先端面の高さ位置に付勢するコイルばねを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、流体が流れる複数の流路を接続する流路接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の流路を接続する流路接続構造として、弁機構を有する雌型のコネクタと、弁機構を有するとともに雌型のコネクタに挿入される雄型のコネクタを備えたものがある。この種の流路接続構造として、図9に示すように、流体供給体100に固定された雌型の第1弁装置101と、機器本体103に固定された雄型の第2弁装置102とを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
第1弁装置101は、ハウジング104内に、可動弁座構成体105と、ハウジング104内に固定された固定弁体106と、可動弁座構成体105を付勢する圧縮コイルばね107とを備えている。
【0004】
また、第2弁装置102は、第1弁装置101内へ挿入される固定弁座構成体108と、可動弁体109と、可動弁体109を付勢する圧縮コイルばね110とを備えている。固定弁座構成体108は、機器本体103の表面から突出した状態に設けられている。
【0005】
これらの各弁装置101,102を接続する際には、第2弁装置102を第1弁装置101内へ挿入する。このとき、第2弁装置102の固定弁座構成体108が、第1弁装置101の可動弁座構成体105を圧縮コイルばね107の付勢に抗して押圧し、第1弁装置101の固定弁体106が、第2弁装置102の可動弁体109を圧縮コイルばね110の付勢に抗して押圧する。その結果、第1弁装置101及び第2弁装置102が開状態とされ、第1弁装置101の流路と第2弁装置102の流路とが連通される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−182971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記した流路接続構造では、被挿入側の第1弁装置101は、その先端が、流体供給体100から突出しない状態で設けられているが、挿入側の第2弁装置102は、機器本体103から突出した状態で設けられている。このため、例えば第2弁装置102が、機器本体103のうち、外部に露出された表面に設けられる場合には、第2弁装置102が機器本体103以外の物体に接触しやすい。従って、第2弁装置102に異物が付着したり、場合によっては第2弁装置102が破損したり変形したりする虞があった。従って、挿入側のコネクタをも保護する構造が必要とされていた。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、コネクタの破損を抑制することができる流路接続構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、流体が流れる流路を有するケースを備えた第1コネクタと、流体が流れる流路を有するケースを備え、前記第1コネクタに挿入される第2コネクタとを備える流路接続構造において、前記第2コネクタは、その側方を外郭部によって囲まれるとともに、前記第2コネクタの先端を貫挿する貫挿孔を有し、前記外郭部内を変位可能な可動板と、前記可動板を、該可動板に貫挿された前記第2コネクタの先端面の高さ位置に付勢する付勢部を備えることを要旨とする。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、第2コネクタは外郭部によって囲まれるとともに、各コネクタの非連結時には、可動板は、そのコネクタの先端面の高さ位置に付勢されるため、非連結時には、第2コネクタのうち、先端面以外は外部に露出されない。このため、外郭部等に意図しない外力が加わっても、第2コネクタの破損を抑制することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の流路接続構造において、前記外郭部は、前記第2コネクタが接続される接続体の壁部から構成され、前記接続体の表面に対して凹状に形成されていることを要旨とする。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、外郭部は、上記接続体の露出面に対して凹状に形成されているため、外郭部が、接続体の露出面から突出しない。このため、第2コネクタの破損を抑制するだけでなく、外郭部の破損も抑制することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の流路接続構造において、前記外郭部は、前記第2コネクタが接続される接続体に対し、着脱可能に設けられるケースから構成されることを要旨とする。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、外郭部は、上記接続体に対し、着脱可能に設けられるケースから構成されるため、第2コネクタを接続体に取り付ける前の段階でも、第2コネクタの破損を抑制することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の流路接続構造において、前記可動板は、複数の前記第2コネクタを貫挿することを要旨とする。
請求項4に記載の発明によれば、可動板は複数の第2コネクタを貫挿するので、非連結時に、それらの第2コネクタに付着した液体や塵埃等を払拭する場合には、可動板の上面に沿って払拭すれば、各第2コネクタの先端面を一度に払拭することができる。従ってメンテナンス等が簡単にできるため、特に効果を発揮することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の流路接続構造において、前記第1コネクタは、前記第2コネクタのケースと当接することで変位する第1弁体と、前記第1コネクタのケース内に固定された固定弁とを備え、前記第2コネクタは、前記固定弁と当接することで変位する第2弁体を備え、前記第1コネクタのケースは、該第1コネクタ及び前記第2コネクタの連結時に、前記可動板と当接する当接部を備え、該当接部は、前記第1弁体及び前記固定弁の先端よりも突出していることを要旨とする。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、第1コネクタのケースは連結時に可動板と当接する当接部を備え、当接部は、第1弁体及び固定弁の先端よりも突出している。このため、各コネクタの連結時には、先ず当接部が可動板に当接して該可動板を下降させ、第2コネクタを可動板から突出させるので、第2コネクタを第1コネクタ内に円滑に挿入することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、この発明によれば、コネクタの破壊を抑制する流路接続構造を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明を具体化した第1実施形態の流路接続構造を示す要部斜視図。
【図2】同流路接続構造に備えられたコネクタの断面図。
【図3】同流路接続構造の一部破断斜視構成を示す斜視図。
【図4】連結開始状態の同流路接続構造の要部断面図。
【図5】連結途中の同流路接続構造の要部断面図。
【図6】連結完了状態の同流路接続構造の要部断面図。
【図7】本発明を具体化した第2実施形態の流路接続構造を示す要部斜視図。
【図8】本発明を具体化した流路接続構造の変形例の枠体を示す斜視図。
【図9】従来の流路接続構造を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
以下、本発明の流路接続構造を具体化した第1実施形態を図1〜図6にしたがって説明する。
【0021】
図1に示すように、流路接続構造は、流体が流れる第1外部流路に接続される第1コネクタ部11と、流体が流れる第2外部流路に接続され、第2外部流路に接続される第2コネクタ部12とを備えている。第1コネクタ部11及び第2コネクタ部12は、互いに連結されることで、第1外部流路及び第2外部流路を接続する。尚、この流路接続構造を流れる流体は、液体、気体、固体粒子が分散した液体又は気体、ゾル等を含み、コネクタ内を通過可能であればよい。
【0022】
本実施形態では、第1コネクタ部11は、例えば第1外部流路を有する装置本体に対し、外部に直接的に露出されない位置に固定されている。また、第2コネクタ部12は、例えば第2外部流路を有し、且つ上記装置本体に着脱可能に取り付けられる接続体に対し、外部に露出される位置に固定されている。
【0023】
この第2コネクタ部12が固定される接続体の一例として、ハイブリッド自動車や電気自動車に着脱可能に搭載されるバッテリーが挙げられる。このバッテリーは、2次電池のセルの他に、第2外部流路に相当する冷媒流路を備え、冷媒流路に冷媒を流すことでセル等を冷却するようになっている。また、第1コネクタ部11が固定される装置本体の一例として、ハイブリッド自動車や電気自動車に備えられ、上記冷媒を循環させる冷却装置が挙げられる。該冷却装置は、第1外部流路に相当する冷媒流路を備え、この冷媒流路を、バッテリーの冷媒流路に接続することで、バッテリーを冷却する。
【0024】
まず、第1コネクタ部11について図1及び図2にしたがって説明する。第1コネクタ部11は、上記装置本体から、第2コネクタ部12が固定された接続体Cへ流体を供給する第1コネクタとしての供給側雌型コネクタ15Aと、上記接続体から送出された流体を上記装置本体に送出する第1コネクタとしての送出側雌型コネクタ15Bとを備えている。これらの供給側雌型コネクタ15Aと送出側雌型コネクタ15Bとは、同一形状であるため、以下、これらを区別せずに説明する場合には、単に雌型コネクタ15として説明する。
【0025】
雌型コネクタ15は、内側に流路を有する略筒状の雌側ケース16を備えている。この雌側ケース16は、樹脂からなり、第2コネクタ部12に対向する端部には、鍔部18が形成されている。図2に示すように、鍔部18は、外側に拡開するように形成され、その内側には、雌側接続口16aが設けられている。また、雌側ケース16内には、流体が流れる流路16bが設けられ、雌側ケース16のうち、鍔部18が形成された端部に対して反対側となる端部には、流路16bと第1外部流路とを接続する継手部17が固定されている。
【0026】
また、雌側ケース16の内側には、第1コネクタ部11及び第2コネクタ部12の非連結時に、雌側接続口16aを閉塞する雌側弁機構20が備えられている。雌側弁機構20は、雌側ケース16内を変位する第1弁体としての雌側弁体21と、雌側弁体21を雌側接続口16a側に付勢するコイルばね22とを備えている。また、雌側弁機構20の径方向内側には、雌側ケース16内に移動不能に固定された固定弁23が移動不能に固定されている。
【0027】
雌側弁体21は、樹脂製であって略円筒状をなし、その外径は、雌側ケース16の流路16bの内径よりも若干小さくなるように形成されている。また、外周面には、雌側ケース16との間を介した流体の漏出を抑制するシールリング21aが嵌合されている。この雌側弁体21は、その内側に、固定弁23の先端部を収容している。
【0028】
また、雌側弁体21の内側面に形成された段差面21bには、コイルばね22の一端が支持固定されている。さらに、雌側弁体21の端部には、規制部21cが外側に張り出すように形成され、規制部21cが雌側ケース16に形成された段差面16cと当接することにより、雌側弁体21の変位範囲が規制される。雌側弁体21に押圧力が加えられていない状態では、雌側弁体21は、コイルばね22の付勢力により、雌側接続口16aを閉塞する閉位置に付勢される。閉位置に付勢された雌側弁体21は、その先端面が、鍔部18の先端位置よりも、雌側ケース16の内側になるように配置されている。
【0029】
また、固定弁23のうち、継手部17側に配設される端部には、継手部17の流路17aに連通する連通路23aが形成されている。継手部17の流路17aに供給された流体は、この連通路23aを介して、雌側ケース16内の流路16bに流れ込む。また、固定弁23の先端には、固定弁23と雌側弁体21との間を介した流体の漏出を抑制するシールリング23bが外嵌されている。
【0030】
このような構成の雌型コネクタ15A,15Bは、図1に示すように、長方形状の連結板25に形成された1対の貫挿孔26に貫挿され、雌型コネクタ15A,15Bのうち、継手部17が接続されたコネクタ上部が、連結板25の上方に突出するように配設されている。また、鍔部18が形成されたコネクタ下部は、連結板25の下方に突出している。
【0031】
次に、第2コネクタ部12について、図1〜図3にしたがって説明する。図1に示すように、第1コネクタ部11及び第2コネクタ部12の非連結時には、第2コネクタ部12は、その上面が、接続体Cの表面C2に対して同一面上になるように配設されている。即ち、第2コネクタ部12は、接続体Cの表面C2から突出しない状態で設けられている。
【0032】
図3に示すように、第2コネクタ部12は、供給側雌型コネクタ15Aに挿入される第2コネクタとしての供給側雄型コネクタ30Aと、送出側雌型コネクタ15Bに挿入される第2コネクタとしての送出側雄型コネクタ30Bとを備えている。これらの供給側雄型コネクタ30Aと送出側雄型コネクタ30Bとは、同一形状であるため、以下、これらを区別せずに説明する場合には、単に雄型コネクタ30として説明する。
【0033】
図2に示すように、雄型コネクタ30は、樹脂からなる略筒状の雄側ケース31を備えている。雄側ケース31のうち、第1コネクタ部11と対向する端部の外周面には、溝部32が形成され、該溝部32には、ゴム等からなるシールリング33が嵌合されている。また、雄型コネクタ30のうち、溝部32が形成された端部に対して反対側となる端部は、長方形状の固定板34に貫通形成された貫通孔34aに貫挿され、継手部39を含む雄型コネクタ30の下部を、固定板34の下方に突出させるようになっている。
【0034】
図3に示すように、この固定板34は、接続体Cに形成された収容部C1によって支持されている。収容部C1は、外郭部としての接続体Cの壁部から構成され、接続体Cの表面C2に対して凹設されるか、又は表面C2から片持ち梁状に延出された4つの支持部から構成され、その内側は第2コネクタ部12を収容可能な大きさとなっている。
【0035】
また、雄型コネクタ30A,30Bの先端は、長方形状の可動板35に形成された1対の貫挿孔35aに嵌合されている。可動板35は、樹脂からなり、収容部C1の開口全域を閉塞可能な大きさであるとともに、収容部C1内を、その深さ方向に平行移動可能な大きさを有している。
【0036】
また、可動板35と固定板34との間には、可動板35を、収容部C1の開口を閉塞するとともに、その上面が各雄型コネクタ30A,30Bの先端面と同一面上となる初期位置に付勢する付勢部としてのコイルばね36が備えられている。本実施形態では、第2コネクタ部12は、2つのコイルばね36を備え、これらのコイルばね36は、各雄型コネクタ30A,30Bを内側に貫挿している。この構成により、コイルばね36の付勢力に抗して、可動板35に対し収容部C1内に押し込むように押圧力を加えた場合には、可動板35は固定板34に向かって下降する。このように可動板35が下降すると、可動板35の表面から雄型コネクタ30A,30Bが突出した状態となり、雄型コネクタ30A,30Bと雌型コネクタ15A,15Bとが連結可能となる。
【0037】
次に、雄型コネクタ30の内部構造について説明する。図2に示すように、雄側ケース31の内部には、流体が流れる流路37が設けられ、該流路37の一端には、雄側接続口31aが設けられている。また、流路37は、大径流路37aと、雄側接続口31a側に設けられた小径流路37bとを有している。さらに、雄側ケース31のうち、雄側接続口31aが設けられた端部に対して反対側となる端部には、大径流路37aと第2外部流路とを接続する継手部39が連結されている。
【0038】
また、雄側ケース31の内部には、第1コネクタ部11及び第2コネクタ部12の非連結時に、雄側接続口31aを閉塞する雄側弁機構40が備えられている。雄側弁機構40は、雄側ケース31内を変位する第2弁体としての雄側弁体41と、雄側弁体41を雄側接続口31a側に付勢するコイルばね42とを備えている。
【0039】
雄側弁体41は、樹脂製であって略有蓋筒状に形成され、基端部41aと、該基端部41aよりも小径の先端部41bとを備えている。基端部41aは、大径流路37aと小径流路37bとの間の段差面31bに当接可能な形状を有するとともに、その外径は、大径流路37aの内径よりも若干小さくなっている。先端部41bの外径は、小径流路37bよりも若干小さく形成されている。
【0040】
また、雄側弁体41の周壁部には、貫通孔41cが形成されている。雄側弁体41が、小径流路37bから脱出し、開放された雄側接続口31aから、流体が雄側ケース31内に導入されると、該流体は、この貫通孔41cを介して継手部39側へ送出される。また、雄側弁体41の先端には、雄側ケース31と雄側弁体41との隙間を介した流体の漏出を抑制するシールリング41dが嵌合されている。
【0041】
このような雄側弁体41の先端部41bが小径流路37bに挿入されると、雄側接続口31aが閉塞され、流体の流れが遮断される。以下、この状態の雄側弁体41の位置を閉位置という。
【0042】
コイルばね42は、大径流路37a内に伸縮可能な状態で配設され、雄側弁体41を、上記閉位置に付勢する。このコイルばね42の付勢力により、雄側弁体41に対し外部から押圧力が加えられていない状態では、雄側弁体41は閉位置に配置される。
【0043】
次に、コネクタの作用について説明する。まず図3に示すように、第1コネクタ部11に備えられた雌型コネクタ15の当接部としての鍔部18と、第2コネクタ部12に備えられた雄型コネクタ30の雄側接続口31aとを対向させて、第2コネクタ部12を備えた接続体Cを、第1コネクタ部11を備えた装置本体に接近させる。そして、図4に示すように、第2コネクタ部12の可動板35の上面を、雌型コネクタ15の鍔部18に当接させる。
【0044】
そして、接続体Cを装置本体に向かって押圧していくと、図5に示すように、鍔部18に当接した可動板35は、コイルばね42の付勢力に抗して、初期位置から下降していく。このように可動板35が下降すると、雄型コネクタ30が、可動板35に形成された貫挿孔35aから突出し、雌側ケース16内に挿入されていく。また、雄型コネクタ30の雄側弁体41の先端面が、雌型コネクタ15の固定弁23の先端面に当接するとともに、雄側ケース31の端面が、雌型コネクタ15の雌側弁体21の端面に当接した状態となる。
【0045】
さらに接続体Cを装置本体に向かって押圧すると、固定弁23の先端が、雄側ケース31内に挿入され、固定弁23に当接した雄側弁体41が、コイルばね42の付勢力に抗して、雄側ケース31内に押し込まれる。
【0046】
そして、図6に示すように、雄側弁体41の先端部41bが、雄側ケース31の小径流路37bから抜出され、固定弁23の先端部が、大径流路37a内まで挿入されると、雌側弁機構20及び雄側弁機構40が開状態となり、コネクタ内を流体が流れる。このとき、第1コネクタ部11の連結板25は、収容部C1の開口を閉塞し、その下面が、接続体Cの表面C2とほぼ同じ高さとなる。
【0047】
一方、接続体Cを装置本体から取り外すと、第2コネクタ部12が第1コネクタ部11から引き抜かれ、それらの連結が解除される。その結果、雄側弁体41がコイルばね42の付勢力により、雄側接続口31a側に向かって変位し、雌側弁体21がコイルばね22の付勢力により、雌側接続口16a側に向かって変位する。また可動板35は、コイルばね36の付勢力により、初期位置に向かって変位し、収容部C1の開口を閉塞する。
【0048】
このように、第1コネクタ部11及び第2コネクタ部12を連結する前、及び連結を解除した後では、第2コネクタ部12は、接続体Cの表面C2から突出しない状態である。このため、接続体Cが装置本体に装着されていない際に、他の物体に接触することで、第2コネクタ部12に、異物が付着したり破損するようなことを抑制することができる。
【0049】
また、第1コネクタ部11及び第2コネクタ部12の連結を解除した後、各雄型コネクタ30A,30Bの雄側接続面31a付近にそれぞれ付着した液体や塵埃等を払拭する場合には、接続体Cの表面C2と同一面上に位置する可動板35を一度に払拭すればよい。このため、雄型コネクタ30の先端のみをそれぞれ払拭するよりも、簡単な作業で、流体や塵埃を除去することができる。
【0050】
さらに第2コネクタ部12を収容した収容部C1は、可動板35によって閉塞される。このため、接続体Cの保管時等に、収容部C1内に液体や塵埃等が付着することを抑制することができる。
【0051】
第1実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)第1実施形態では、雌型コネクタ15に挿入される雄型コネクタ30は、その側方を、接続体Cの収容部C1を構成する壁部によって囲まれる。また、雌型コネクタ15及び雄型コネクタ30の非連結時には、可動板35は、その雄型コネクタ30の先端面、及び接続体Cの表面C2の高さ位置に付勢されるため、雄型コネクタ30が可動板35から突出しない。即ち、非連結時には、雄型コネクタ30は、その先端面以外は、外部に露出されない状態になっている。このため、接続体Cが、外部の物体に衝突する等、接続体Cに意図しない外力が加わったとしても、雄型コネクタ30の破損を抑制することができる。また、雄型コネクタ30の外周面等に、塵埃等の異物が付着することを抑制することができる。さらに、可動板35は、雄型コネクタ30の先端面と同じ高さ位置となるため、雄型コネクタ30の先端面に付着した液体や塵埃等を払拭しやすくすることができる。また、雄型コネクタ30及び雌型コネクタ15の非連結時には、収容部C1内に、液体や塵埃等が付着することを抑制することができる。
【0052】
(2)可動板35は、1対の雄型コネクタ30A,30Bを貫挿するので、非連結時に、それらの雄型30コネクタに付着した液体や塵埃を払拭する場合は、可動板35の上面に沿って、雄型コネクタ30A,30Bの先端面を一度に払拭すればよい。従ってメンテナンス等が簡単にできるため、特に効果を発揮することができる。
【0053】
(3)収容部C1は、接続体Cの露出面に対して凹状に形成されているため、雄型コネクタ30だけでなく、雄型コネクタ30を囲む収容部C1も、接続体Cの表面C2から突出しない。このため、雄型コネクタ30の破損を抑制するだけでなく、雄型コネクタ30を囲う外郭部の破損も抑制することができる。
【0054】
(4)雌型コネクタ15の雌側ケース16は、連結時に可動板35と当接する鍔部18を備え、鍔部18は、雌側弁体21及び固定弁23の先端よりも突出している。このため、雄型コネクタ30及び雌型コネクタ15の連結時には、先ず鍔部18が可動板35に当接して、可動板35を下降させ、雄型コネクタ30を可動板35から突出させるので、雄型コネクタ30を雌型コネクタ15内に円滑に挿入することができる。
【0055】
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態を図7にしたがって説明する。尚、第2実施形態は、第1実施形態の第2コネクタ部を変更したのみの構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0056】
本実施形態では、第2コネクタ部12は、雄型コネクタ30A,30Bを収容する外郭部としてのケース55を備えている。ケース55は、上部に開口を有する箱状をなし、その開口は、可動板35によって閉塞されている。可動板35は、コイルばね36によって、その上面が接続体Cの表面C2と同一面上となる初期位置に付勢されている。また、ケース55の底壁部には、雄型コネクタ30を貫挿する貫通孔55aが形成されている。
【0057】
第2コネクタ部12は、接続体Cの表面C2に凹設された収容部C3に収容されている。収容部C3の深さは、ケース55の高さと略同一となっている。また、収容部C3の底壁部には、上記貫通孔55aに連通する孔部が設けられ、雄型コネクタ30の下部を、収容部C3の下方に突出させるようになっている。
【0058】
このため、収容部C3に第2コネクタ部12を収容すると、接続体Cの表面C2、ケース55の端面、及び可動板35の上面が、同一面上に配置される。従って、ケース55及び雄型コネクタ30が、接続体Cの表面C2から突出しない。
【0059】
従って、第2実施形態によれば、第1実施形態に記載の(2)〜(4)の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(5)第2実施形態では、雌型コネクタ15に挿入される雄型コネクタ30は、その側方をケース55によって囲まれる。また、雌型コネクタ15及び雄型コネクタ30の非連結時には、可動板35は、その雄型コネクタ30の先端面の高さ位置に付勢されるため、雄型コネクタ30が可動板35から突出しない。このため、外部の物体に衝突する等、接続体Cに意図しない外力が加わっても、雄型コネクタ30の破損を抑制することができる。また、可動板35は、雄型コネクタ30の先端面と同じ高さ位置となるため、雄型コネクタ30の先端面に付着した液体や塵埃等を払拭しやすくすることができる。さらに、雄型コネクタ30及び雌型コネクタ15の非連結時には、収容部C1内に、液体や塵埃が付着することを抑制することができる。
【0060】
尚、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
・第2コネクタ部12を閉塞する可動板は、図8に示すように、側壁を有する枠体50でもよい。この枠体50は、その上面に、雄型コネクタ30を貫挿する1対の嵌合孔51を有する。また、枠体50は、その高さHが、接続体Cの収容部C1の深さに比べ、雄型コネクタ30が雌型コネクタ15に挿入される分だけ低くなっている。さらに枠体50は、その上面が、接続体Cの表面C2と同一面となる初期位置にコイルばね36によって付勢され、収容部C1内を変位可能となっている。また、この枠体50は、接続体Cの表面C2から突出した雄型コネクタ30を囲むように設けられていてもよい。この場合、接続体Cには、枠体50を収容する凹部と、凹部内に設けられた付勢部とを設け、非連結時には、枠体50を接続体Cの表面C2に突出させ、連結時には、該凹部に収容してもよい。
【0061】
・上記各実施形態では、流路接続構造は、1対の雄型コネクタ30と1対の雌型コネクタ15とを備えるようにしたが、1つの雄型コネクタ30及び1つの雌型コネクタ15を備えるようにしてもよい。また、3つ以上の雄型コネクタ30及び3つ以上の雌型コネクタ15を備えるようにしてもよい。
【0062】
・可動板35を付勢する付勢部を、コイルばねに具体化したが、弾性変形可能なゴム、スポンジを収容部の高さと同じ高さに成形したものに具体化してもよい。
・上記各実施形態では、雌型コネクタ15から雄型コネクタ30へ向かって流体を流すようにしたが、雄型コネクタ30から雌型コネクタ15へ向かって流体を流すようにしてもよい。
【0063】
・雌型コネクタ15を連結する連結板25は、その表面が、雌型コネクタ15の先端面と同一面上になるような位置に設けてもよい。
・第1コネクタ部11が、装置本体のうち外部に露出される位置に配置される場合等には、第1コネクタ部11に、外郭部と、可動板と、可動板を初期位置に付勢する付勢部とを備えるようにしてもよい。
【0064】
・上記各実施形態では、第1コネクタ部11が装置本体に固定され、第2コネクタ部12が接続体Cに固定されるようにしたが、逆でもよい。また、装置本体及び接続体C以外のものに固定されてもよい。
【0065】
・可動板35は、雄型コネクタ30の先端面と同一面上となる高さ位置に付勢されていればよく、例えば接続体Cの表面C2よりも突出しなければ、該表面C2と同一面上とならなくてもよい。例えば、可動板35の上面が、接続体Cの表面C2よりも低い位置に付勢されてもよい。
【0066】
・雄型コネクタ30及び雌型コネクタ15の構成は、他の構成でもよい。例えば、雄型コネクタ30及び雌型コネクタ15は、弁機構を省略した構成でもよい。要は、少なくとも雄型コネクタ30が外郭部によって囲まれ、雄型コネクタ30の先端面と可動板35の上面とが同一面上に配置されていればよい。
【符号の説明】
【0067】
11…第1コネクタ部、12…第2コネクタ部、15,15A,15B…第1コネクタとしての雌型コネクタ、16…雌側ケース、16b,17a,37…流路、18…当接部としての鍔部、20…第1弁機構としての雌側弁機構、21…第1弁体としての雌側弁体、22…コイルばね、23…固定弁、30,30A,30B…第2コネクタとしての雄型コネクタ、31…雄側ケース、35…可動板、26,35a…貫挿孔、36…付勢部としてのコイルばね、37…流路、40…第2弁機構としての雄側弁機構、41…第2弁体としての雄側弁体、42…コイルばね、55…ケース、C…接続体、C1,C3…収容部、C2…表面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が流れる流路を有するケースを備えた第1コネクタと、
流体が流れる流路を有するケースを備え、前記第1コネクタに挿入される第2コネクタとを備える流路接続構造において、
前記第2コネクタは、その側方を外郭部によって囲まれるとともに、
前記第2コネクタの先端を貫挿する貫挿孔を有し、前記外郭部内を変位可能な可動板と、
前記可動板を、該可動板に貫挿された前記第2コネクタの先端面の高さ位置に付勢する付勢部とを備えることを特徴とする流路接続構造。
【請求項2】
前記外郭部は、前記第2コネクタが接続される接続体の壁部から構成され、前記接続体の表面に対して凹状に形成されている請求項1に記載の流路接続構造。
【請求項3】
前記外郭部は、前記第2コネクタが接続される接続体に対し、着脱可能に設けられるケースから構成されている請求項1に記載の流路接続構造。
【請求項4】
前記可動板は、複数の前記第2コネクタを貫挿する請求項1〜3のいずれか1項に記載の流路接続構造。
【請求項5】
前記第1コネクタは、前記第2コネクタのケースと当接することで変位する第1弁体と、前記第1コネクタのケース内に固定された固定弁とを備え、
前記第2コネクタは、前記固定弁と当接することで変位する第2弁体を備え、
前記第1コネクタのケースは、該第1コネクタ及び前記第2コネクタの連結時に、前記可動板と当接する当接部を備え、該当接部は、前記第1弁体及び前記固定弁の先端よりも突出している請求項1〜4のいずれか1項に記載の流路接続構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−251579(P2012−251579A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123279(P2011−123279)
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】