説明

流量制御バルブ

【課題】弁体と弁座との食い付き現象を防止し、アクチュエータを小型化することが可能な流量制御バルブを提供する。
【解決手段】内部空間に弁体8と弁座面9とを備えたバルブ本体10と、弁体8を駆動させるアクチュエータ11とからなり、バルブ本体10に、当該バルブ本体10の内部空間に開口し、当該内部空間に流体を導入する導入口12と、上記内部空間から流体を排出する排出口13とが設けられるとともに、バルブ本体10の内部空間の排出口13が設けられた下面が弁座面9とされ、当該弁座面9上に、弁体8が弁座面9に沿って排出口13を塞ぐ方向・排出口13から離間する方向へとスライド移動するように配置されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブ開度を調整することにより流体の流量を制御する流量制御バルブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の流量制御バルブとしては、例えば特許文献1に開示されたものが知られており、図6はその流量制御バルブの要部を簡略化して示している。
【0003】
この流量制御バルブ1は、弁体2と弁座3を備えたバルブ本体4と、弁体2を駆動するアクチュエータ5とにより構成されている。
【0004】
このバルブ本体4は、上部に流体(例えば、液体・気体)を導入する導入口(図示せず)が穿設されていると共に、下部に流体を排出する排出口6が穿設されている。
【0005】
一方、アクチュエータ5としては、モータ5aが使用され、当該モータ5aのロータ内部が中空に形成されるとともに、その内壁に雌ねじが形成されている。そして、モータ5aは,上記ロータの内部に、上記雌ねじと螺合する雄ねじを側部に形成した弁軸7が挿入されており、これにより、ロータが回転すると、弁軸7が軸線方向へと移動するようになっている。
【0006】
そして、この弁軸7の先端には、先端を排出口6に向けた円錐状の弁体2が取り付けられている。また、排出口6の縁部が、弁体2を着座させるための弁座3となっている。
【0007】
以上の構成からなる流量制御バルブ1は、モータ5aにより弁軸7を軸線方向下方側に移動させて、弁軸7の先端に設けた弁体2を排出口6の弁座3に着座させることにより排出口6を閉塞するとともに、弁軸7を軸線方向上方側に移動させて、弁体2を弁座3から離座させることにより排出口6を開放している。
【0008】
そして、モータ5aによって弁軸7の軸線方向の動きを調整して、弁体2と弁座3との間隔を変化させることにより、排出口6からバルブ本体4外へと排出する流体の流量を調整している。
【0009】
ところで、このような円錐状の弁体2を弁軸7の軸線方向へと移動させて排出口6を開放・閉塞する流量制御バルブ1は、バルブ本体4の内部空間に高圧流体が導入されると、 当該高圧流体が弁体2を弁座3方向へと押圧する力も高くなることから、排出口を開放する時に弁体2を軸線方向上方へと移動させるのに大きなトルクが必要であった。
【0010】
さらに、流量制御バルブ1は、排出口を閉塞している時に、高圧流体により弁体2が排出口6の縁部の弁座3に押し込まれ、弁体2と弁座3とに食い付き現象が生じてしまうため、弁座3と弁体2との食い付きを外すのに大きなトルクが必要であった。これらのため、アクチュエータ5が大型化してしまうという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2003−247654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、この問題点を解決すべくなされたもので、弁体と弁座との食い付き現象による不具合を防止するとともに、アクチュエータを小型化することが可能な流量制御バルブを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の流量制御バルブは、内部空間に弁体と弁座面とを備えたバルブ本体と、上記弁体を駆動させるアクチュエータとからなり、上記バルブ本体に、当該バルブ本体の内部空間に開口し、当該内部空間に流体を導入する導入口と、上記内部空間から流体を排出する排出口とが設けられるとともに、上記バルブ本体の内部空間の上記排出口が形成された面が上記弁座面とされ、当該弁座面上に、上記弁体が上記弁座面に沿って上記排出口を塞ぐ方向および上記排出口から離間する方向へとスライド移動するように配置されていることを特徴とするものである。
【0014】
そして、請求項2に記載の流量制御バルブは、請求項1に記載の流量制御バルブにおいて、上記排出口が円形状に形成され、上記弁体が上記排出口を閉塞可能な方形状の平板によって構成されると共に、上記アクチュエータとして、ステッピングモータが使用され、当該ステッピングモータの出力軸の回転速度を駆動ステップ数により制御するモータ制御装置を備えてなり、且つ上記モータ制御装置は、上記弁体が上記排出口を塞ぐ方向あるいは上記排出口から離間する方向へと移動する際、上記弁体の上記排出口を通過する側部が、上記排出口の外周部から中央部側に移動するに連れて、駆動ステップ数を低減していくことにより、上記ステッピングモータの出力軸の回転速度が遅くなっていくように調整し、上記排出口の中央部から外周部側に移動するに連れて、駆動ステップ数を増加していくことにより、上記ステッピングモータの出力軸の回転速度が速くなっていくように調整することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の本発明によれば、弁体を弁座面に沿って、流体の弁体を押圧する力が低い弁座面に対する水平方向へとスライド移動させていることから、高圧流体がバルブ本体の内部空間内に導入されても、上記弁体を弁座面に対して垂直方向へと移動させるより弱い力で移動させることが可能となっている。
【0016】
さらに、従来のように弁体を上記排出口の縁部の弁座に押し付けて排出口を閉塞するのではなく、上記排出口を覆い塞ぐことにより上記排出口を閉塞している。このため、弁体に高圧流体の弁座面方向の押圧力が付与されても、弁体が弁座面に食い付くことが無くなり、排出口を開放させる際に確実に弁座面から弁体を離座させることが可能となる。
【0017】
これらの結果、食い付き現象による不具合を防止することが可能となるとともに、アクチュエータを小型化することが可能となる。
【0018】
ところで、近年、空調機器分野等において、製造工場、印刷工場、試験室等では、より精密な温度制御が必要とされていることから、バルブ開度に対して上記排出口から排出される流体の流量を比例的に制御することにより、より精密に流量制御をすることが可能な、流量制御バルブが要求されている。
【0019】
ところが、方形状の平板によって構成された弁体を弁座面に沿って移動させる流量制御バルブは、上記アクチュエータとして、一定のスピードで回転するモータを使用すると、通常、上記排出口が円形状であることから、上記弁体が上記排出口を塞ぐ方向あるいは上記排出口から離間する方向へと移動する際、上記弁体の上記排出口を通過する側部が、上記排出口の外周部から中央部側に移動するに連れて、開放された排出口の円弧が徐々に大きくなっていくため、上記弁体の単位移動量当たりの排出口から排出される流体の流量の増加率も大きくなっていく。そして、上記弁体の上記排出口を通過する側部が、上記排出口の中央部に達するとともに、開放された排出口の円弧が最も大きくなり、上記弁体の単位移動量当たりの排出口から排出される流体の流量の増加率も最大となった後に、上記弁体の上記排出口を通過する側部が、上記排出口の中央部からに移動するに連れて、開放される排出口の円弧が再度小さくなっていくため、上記弁体の単位移動量当たりの排出口から排出される流体の流量の増加率も小さくなっていく。このため、バルブ開度に対して上記排出口から排出される流体の流量を比例的に制御することが困難であった。
【0020】
これに対し、請求項2に記載の発明よれば、上記アクチュエータとして、ステッピングモータを使用するとともに、当該ステッピングモータの出力軸の回転速度を駆動ステップ数により制御するモータ制御装置を備えていることから、上記弁体の単位移動量に応じて、上記ステッピングモータの出力軸の回転速度を調整することにより、弁体の回転速度を変化させることが可能となっている。
【0021】
そして、上記モータ制御装置は、上記弁体が上記排出口を塞ぐ方向あるいは上記排出口から離間する方向へと移動する際に、上記弁体の排出口を通過する側部が、上記排出口の外周部から中央部側に移動するに連れて、駆動ステップ数を低減していくことにより、上記ステッピングモータの出力軸の回転速度が遅くなっていくように調整するために、上記弁体の排出口を通過する側部が上記排出口の外周部から中央部側に移動するに連れて、上記弁体の単位移動量当たりの排出口から排出される流体の流量の増加率が大きくなっていく時に、上記弁体の回転速度を遅くしていくことが可能となる。
【0022】
さらに、上記モータ制御装置は、上記弁体の排出口を通過する側部が、上記中央部から外周部に移動するに連れて、駆動ステップ数を増加していくことにより、上記ステッピングモータの出力軸の回転速度が速くなっていくように調整するために、上記弁体の排出口を通過する側部が上記中央部から外周部側に移動するに連れて、上記弁体の単位移動量当たりの排出口から排出される流体の流量の増加率が小さくなっていく時に、上記弁体の回転速度を速くしていくことが可能となる。
【0023】
これら結果、バルブ開度に対して上記排出口から排出される上記流体の流量を比例的に制御することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の流量制御バルブの一実施形態を示す外観斜視図である。
【図2】図1の要部の一実施形態の弁体の動きを示す説明図であり、(a)は縦断面図であり、(b)は(a)のC−C矢視断面図である。
【図3】(a)は図2(b)の破線Aの状態を示す詳細図であり、(b)は図2(b)の破線Bの状態を示す詳細図であり、(c)は図2(b)の破線Cの状態を示す詳細図である。
【図4】図1の要部の他の実施形態の弁体の動きを示す説明図であり、(a)は縦断面図であり、(b)および(c)は(a)のD−D矢視断面図であって、(b)は弁体が離座している状態を示す図であり、(c)は弁体が着座している状態を示す図である。
【図5】(a)は実施例の流量特性を示すグラフであり、(b)は比較例の流量特性を示すグラフである。
【図6】従来の流量制御バルブを示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図1および図2に基づいて本発明に係る流量制御バルブの一実施形態を説明する。
本実施形態の流量制御バルブは、図1に示すように、内部空間に弁体と弁座面とを備えたバルブ本体10と、上記弁体を駆動させるステッピングモータ11(アクチュエータ)とにより概略構成されている。
【0026】
このバルブ本体10は、図2(a)に示すように、上部にバルブ本体10の内部空間に開口し、当該内部空間に流体(例えば液体・気体等)を導入する導入口12と、下部にバルブ本体10の内部空間に開口し、当該内部空間から上記流体を排出する円形状の排出口13とが設けられている。
【0027】
一方、バルブ本体10の内部空間の排出口13が設けられた下面が弁座面9とされ、この弁座面9上に弁体8が配置されている。
【0028】
この弁体8は、排出口13を閉塞可能な直方形状の平板により構成され、長手方向の一端部16に、ステッピングモータ11の出力軸14が取り付けられている。これにより、弁体8は、出力軸14を中心に弁座面9に沿って排出口13を塞ぐ方向および排出口13から離間する方向へと回転摺動するようになっている。
【0029】
他方、ステッピングモータ11は、バルブ本体10の上部に取り付けられ、図2(a)に示すように、ステッピングモータ11の出力軸14の回転速度を駆動ステップ数により制御するモータ制御装置15が備えられている。
【0030】
そして、このモータ制御装置15は、弁体8で排出口13を閉塞した状態から排出口13を開放する際に、弁体8の排出口13を通過する側部24が、図2(b)の破線Aおよび図3(a)に示すように、排出口13の外周部の図中右側から、図2(b)の破線Bおよび図3(b)に示すように、排出口13の中央部に移動するに連れて、駆動ステップ数を低減していくことにより、ステッピングモータ11の出力軸14の回転速度が遅くなっていくように調整し、排出口13の中央部から、図2(b)の破線Cおよび図3(c)に示すように、排出口13の外周部の図中左側に移動するに連れて、駆動ステップ数を増加していくことにより、ステッピングモータ11の出力軸14の回転速度が速くなっていくように調整する。
【0031】
さらに、このモータ制御装置15は、排出口13を開放した状態から弁体8で排出口13を閉塞する際に、弁体8の排出口13を通過する側部24が、図2(b)の破線Cおよび図3(c)に示すように、排出口13の外周部の図中左側から、図2(b)の破線Bおよび図3(b)に示すように、排出口13の中央部に移動するに連れて、駆動ステップ数を低減していくことにより、ステッピングモータ11の出力軸14の回転速度が遅くなっていくように調整し、排出口13の中央部から、図2(b)の破線Aおよび図3(a)に示すように、排出口13の外周部の図中右側に移動するに連れて、駆動ステップ数を増加していくことにより、ステッピングモータ11の出力軸14の回転速度が速くなっていくように調整する。
【0032】
以上の構成からなる流量制御バルブは、排出口13を開放した状態から弁体8で排出口13を閉塞する時に、モータ制御装置15からの駆動パルスにより、ステッピングモータ11の出力軸14を一方向に回転させると、図2(b)に示すように、弁体8が出力軸14を中心に弁座面9に沿って排出口13を塞ぐ方向へと回転摺動する。そして、弁体8の長手方向の他端部17が排出口13を覆う位置まで回転摺動すると、ステッピングモータ11が停止されて、排出口13が閉塞される。
【0033】
また、弁体8で排出口13を閉塞した状態から排出口13を開放する時に、モータ制御装置15からの駆動パルスにより、ステッピングモータ11の出力軸14を他方向に回転させると、弁体8が出力軸14を中心に弁座面9に沿って排出口13から離間する方向へと回転摺動することにより、排出口13が開放される。
【0034】
ここで、弁体8を排出口13を塞ぐ方向あるいは排出口13から離間する方向へと回転摺動させる際、弁体8を弁座面9に沿って、流体の弁体8を押圧する力が低い弁座面9に沿う方向へと回転摺動させていることから、高圧流体がバルブ本体10の内部空間内に導入されても、弁体8を弁座面9に対して垂直方向へと移動させるより弱い力で移動させることが可能となっている。
【0035】
さらに、弁体8が排出口13を覆い塞ぐことにより排出口13を閉塞しているため、弁体8に流体の弁座面9方向の圧力が付与されても、弁体8が弁座面9に食い付くことが無くなり、排出口13を開放する際に、確実に弁座面9から弁体8を離座させることが可能となる。
【0036】
これらの結果、食い付き現象による不具合を防止することが可能となるとともに、ステッピングモータ11を小型化することが可能となる。
【0037】
また、弁体8を排出口13を塞ぐ方向あるいは排出口13から離間する方向に移動させることにより、排出口13からバルブ本体10外へと排出される流体の流量を制御する際、ステッピングモータ11に、当該ステッピングモータ11の出力軸14の回転速度を駆動ステップ数により制御するモータ制御装置15を備えていることから、弁体8の単位移動量に応じて、ステッピングモータ11の出力軸14の回転速度を調整することにより、弁体8の回転速度を変化させることが可能となっている。
【0038】
そして、モータ制御装置15は、弁体8が排出口13を塞ぐ方向あるいは排出口13から離間する方向へと移動する際に、弁体8の排出口13を通過する側部24が、排出口13の外周部から中央部側に移動するに連れて、駆動ステップ数を低減していくことにより、ステッピングモータ11の出力軸14の回転速度が遅くなっていくように調整し、するために、弁体8の排出口13を通過する側部24が排出口13の外周部から中央部側に移動するに連れて、弁体8の単位移動量当たりの排出口13から排出される流体の流量の増加率が大きくなっていく時に、弁体8の回転速度を遅くしていくことが可能となる。
【0039】
さらに、モータ制御装置15は、弁体8の排出口13を通過する側部24が、上記中央部から外周部に移動するに連れて、駆動ステップ数を増加していくことにより、ステッピングモータ11の出力軸14の回転速度が速くなっていくように調整するために、さらに、弁体8の排出口13を通過する側部24が上記中央部から外周部側に移動するに連れて、弁体8の単位移動量当たりの排出口13から排出される流体の流量の増加率が小さくなっていく時に、弁体8の回転速度を速くしていくことが可能となる。
【0040】
これらの結果、バルブ開度に対して排出口13から排出される上記流体の流量を比例的に制御することが可能となる。
【0041】
なお、本実施形態の流量制御バルブにおいては、弁体8に直接ステッピングモータ11の出力軸14を取り付けたものを用いたが、図4(a)に示すように、ステッピングモータ11の出力軸14と、弁体19との間に歯車機構20を設けたものを用いた方が、より効果的に使用することが可能である。
【0042】
この弁体19は、直方体状の平板により構成され、長手方向の一端部に、当該弁体19を回転摺動させるための軸となる中心軸18が取り付けられている。さらに、弁体19は、長手方向の他端部に、中心軸18を中心に円弧状に形成されたアーム部22が設けられている。
【0043】
そして、歯車機構20は、ステッピングモータ11の出力軸14の回転力を弁体14へと付与するものであり、出力軸14の先端に付けられたギヤ21と、弁体19のアーム部22に穿設されたギヤ23とにより構成されている。
【0044】
以上の構成から成る流量制御バルブは、ステッピングモータ11の出力軸14を一方向に回転させることにより、図4(b)に示すように、弁体19を中心軸18を中心に弁座面9に沿って排出口13を塞ぐ方向へと回転摺動させることが可能となっており、他方向に回転させることにより、図4(c)に示すように、弁体19を中心軸18を中心に弁座面9に沿って排出口13から離間する方向へと回転摺動させることが可能となっている。
【0045】
この流量制御バルブは、弁体19を、ステッピングモータ11の出力軸14の先端に設けたギヤ21と、中心軸18に回転自在に支持された弁体19の円弧状のアーム部22に形成したギヤ23とにより構成された歯車機構20を介して、ステッピングモータ11により回転摺動させているために、図2に示したステッピングモータ11の出力軸14に直接弁体8の一端16を取り付け、他端17を自由端とした流量制御バルブに比べて、ステッピングモータ11のトルクを低減することが可能となっている。
【実施例】
【0046】
実施例においては、本実施形態のアクチュエータとしてステッピングモータ11とモータ制御装置15を備えた流量制御バルブを使用して、バルブ開度に応じた排出口13から排出される流体の流量を測定し、その流量特性を確認した。
【0047】
その際、比較例として、アクチュエータとして一定の速度で回転するモータを備えた流量制御バルブを使用して、バルブ開度に応じた排出口13から排出される流体の流量を測定し、その流量特性を確認した。
【0048】
図5の(a)は、実施例の流量制御バルブの流量特性を示したグラフであり、図5の(b)は、比較例の流量制御バルブの流量特性を示したグラフである。
【0049】
これにより、比較例の流量制御バルブは、弁体8の排出口13を通過する側部24が排出口13の外周部から中央部に移動するに連れて、弁体8の単位移動量当たりの排出口13から排出される流体の流量の増加率が大きくなり、排出口13の中央部から外周部に移動するに連れて、弁体8の単位移動量当たりの排出口13から排出される流体の流量の増加率が小さくなっているのに対して、実施例の流量制御バルブは、バルブ開度に対して排出口13から排出される流体の流量が比例的になっているのが確認できる。
【0050】
この結果、本実施形態のステッピングモータ11を備えた流量制御バルブを使用することにより、バルブ開度に対して流体の流量を比例的に制御することが可能であることが実証された。
【符号の説明】
【0051】
8 弁体
9 弁座面
10 バルブ本体
11 ステッピングモータ(アクチュエータ)
12 導入口
13 排出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間に弁体と弁座面を備えたバルブ本体と、上記弁体を駆動させるアクチュエータとからなり、
上記バルブ本体に、当該バルブ本体の内部空間に開口し、当該内部空間に流体を導入する導入口と、上記内部空間から流体を排出する排出口とが設けられるとともに、上記バルブ本体の内部空間の上記排出口が設けられた面が上記弁座面とされ、当該弁座面上に、上記弁体が上記弁座面に沿って上記排出口を塞ぐ方向・上記排出口から離間する方向へとスライド移動するように配置されていることを特徴とする流量制御バルブ。
【請求項2】
上記排出口が円形状に形成され、上記弁体が上記排出口を閉塞可能な方形状の平板によって構成されると共に、上記アクチュエータとして、ステッピングモータが使用され、当該ステッピングモータの出力軸の回転速度を駆動ステップ数により制御するモータ制御装置を備えてなり、
且つ上記モータ制御装置は、上記弁体が上記排出口を塞ぐ方向あるいは上記排出口から離間する方向へと移動する際、上記弁体の上記排出口を通過する側部24が、上記排出口の外周部から中央部側に移動するに連れて、駆動ステップ数を低減していくことにより、上記ステッピングモータの出力軸の回転速度が遅くなっていくように調整し、上記排出口の中央部から外周部側に移動するに連れて、駆動ステップ数を増加していくことにより、上記ステッピングモータの出力軸の回転速度が速くなっていくように調整することを特徴とする請求項1に記載の流量制御バルブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−220482(P2011−220482A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−92158(P2010−92158)
【出願日】平成22年4月13日(2010.4.13)
【出願人】(594111292)三菱マテリアルシ−エムアイ株式会社 (54)
【Fターム(参考)】