説明

流量測定装置

【課題】 精度の高い測定結果を安定して得られる流量測定装置を提供する。
【解決手段】 流量測定装置10は、流体が流れるセンサ流路14を形成するセンサ流路部15、センサ流路14内に設けられる流速測定用抵抗体21、センサ流路14から流体が流出する出口近傍に設けられる下流コア22、およびセンサ流路部15を収容するバイパス流路16を形成するバイパス流路部17を備える。センサ流路14の出口は下流コア22によって絞られている。これにより、センサ流路14の下流側出口近傍の流速が速くなり、負圧が発生する。この負圧によって、センサ流路14を流れる流体の流速が増加するので、流速測定用抵抗体21の検出精度を向上することができる。また、センサ流路部15および下流コア22がバイパス流路16に収容されるので、センサ流路14の出口周辺の流速は全周にわたって安定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に内燃機関の燃焼室に連通する吸気ポートを流れる空気の流量を測定する熱式の流量測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
流量センサを発熱させ、流量センサから流体に放熱される放熱量を検出することによって流量を測定する熱式の流量測定装置が知られている(例えば特許文献1〜5参照。)。しかしながら、上述した特許文献に記載された流量測定装置にはそれぞれ次のような問題がある。
特許文献1に記載の装置は、測定通路が湾曲しているので、測定通路内に偏流が生じ、測定結果が不安定になる。
【0003】
また、特許文献2に記載の流量測定装置は、障害部材が円柱状に形成されており、センサ流路には障害部材の軸方向の狭い範囲の空気が合流して流入する。合流した空気が流入するのでセンサ流路内に偏流は生じないものの、流入する空気の範囲が狭いので、流入する空気の流速は吸気ポート全体の平均流速に相関したものになり難い。このため、精度の高い測定結果を得られない。
【0004】
また、特許文献3に記載の熱線式空気流量測定装置は、入口部が上流側に向かって開口しているので、ダストが流入し易い。ダストが流入すると流量センサに付着し、測定結果が不安定になる。
また、特許文献4のFIG26に記載のエアフローメータは、ディフレクタが開口より小さいので、上流から流れてきたダストがバイパス流路に流入し易く、それにより測定結果が不安定になる。
【0005】
また、特許文献5に記載の空気流量計は、入口部が上流側に向かって開口しているので、ダストが流入し易い。従って、測定結果が不安定になる。
また、熱式の流量測定装置は、流量センサを支持している部材を伝って逃げる熱による熱損失によって検出精度が低下するという問題がある。特にアイドル運転時のように吸気ポートを流れる空気の流速が低いときは空気に放熱される熱の割合が減って熱損失の割合が相対的に増え、検出精度が大きく低下する。
【0006】
特許文献3および5に記載の流量測定装置は、中央部材(第1流路部)を大きくして主通路を絞ることによって主通路を流れる流体の流速を増加させるとともに、下流コアや中央部材の下流側の部位によってバイパス通路(第1流路)の出口部を絞り、主通路を流れる流体によって生じる負圧によってバイパス通路を流れる流体の流速を増加させている。流速を増加させると空気に逃げる熱の割合が高くなるので、検出精度を向上させることができる。しかしながら、特許文献3および5に記載の流量測定装置の主通路は吸気ポートの一部を形成するものであり、主通路を絞るためには中央部材の外壁面が吸気ポートの内壁面に近づくように中央部材を大きくしなければならない。すなわち、特許文献3および5に記載の流量測定装置によると、検出精度を向上させるには中央部材を大きくしなければならないという問題がある。
【0007】
【特許文献1】特開2004−53600号公報
【特許文献2】特開2003−214915号公報
【特許文献3】特許第3240782号明細書
【特許文献4】米国特許第4709581号明細書
【特許文献5】特開平5−164585号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述の問題に鑑みて創作されたものであって、精度の高い測定結果を安定して得られる流量測定装置を提供することを目的とする。
また、本発明の別の目的は、流量センサが設けられる流路を形成する流路部を大きくすることなく検出精度を向上させる流量測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明によると、下流側部材によって出口が絞られるので、出口周辺の流速が高くなり、負圧が生じる。この負圧によって第1流路を流れる流体の流速が増加するので、流量センサの検出精度が向上する。また、請求項1に記載の発明によると、第1流路部及び下流側部材が第2流路に収容されるので、第1流路の出口周辺の流速が全周にわたって安定する。更に、第2流路部を小さくすることにより、第1流路部の外壁面と第2流路部の内壁面とで形成される流路を流れる流体の流速を増加できるので、第1流路部を大きくすることなく検出精度を向上できる。
【0010】
請求項2に記載の発明によると、第1流路が所定の主流路の流れ方向、具体的には例えば吸気ポートの流れ方向に直線状に延びるように取り付けられるので、流体の流速の損失が少なく、検出精度が向上する。
【0011】
請求項3に記載の発明によると、下流側部材によって第1流路部の出口が隠れるので、流体が吸気ポートを逆流したとき、ダストが第1流路に流入し難い。これにより、逆流したダストが付着することによる流量センサの検出精度の低下を防止でき、測定結果がより安定する。
請求項4に記載の発明によると、下流側部材によって第1流路部の下流側の端面が隠れるので、流体が吸気ポートを逆流したとき、ダストが端面に沿って第1流路に流入し難い。これにより、逆流したダストが付着することによる流量センサの検出精度の低下を防止でき、測定結果がより安定する。
【0012】
請求項5に記載の発明によると、第1流路部の下流側の端面が、第2流路部の内壁に近づくにつれて第2流路の上流側に傾くように傾斜しているので、流体が吸気ポートを逆流したとき、ダストが第1流路に流入し難い。これにより、逆流したダストが付着することによる流量センサの検出精度の低下を防止でき、測定結果がより安定する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第一実施形態)
図1(A)は本発明の第一実施形態に係る流量測定装置10を示す斜視図、図1(B)は流量測定装置10の部分断面図、図2は吸気ポート11に固定されている状態の流量測定装置10の流れ方向の断面図である。図3(A)は流量測定装置10を上流側から見た正面図、図3(B)は流量測定装置10を下流側から見た背面図である。なお、図2では図1に示す腕部19、図3に示す腕部12および腕部13を省略して示している。
【0014】
図2に示すように、流量測定装置10は、第1流路としてのセンサ流路14を形成する第1流路部15(以下「センサ流路部」という)、第2流路としてのバイパス流路16を形成する第2流路部17(以下「バイパス流路部」という)、整流部材としての整流コア18、下流側部材としての下流コア22、センサ部20、および支持部24を備えている。流量測定装置10が取り付けられている吸気ポート11の上流側はエアクリーナに接続されており、下流側はスロットルバルブを介して内燃機関の燃焼室に連通している。
【0015】
バイパス流路部17は、略円筒状に形成されている。
センサ流路部15は、バイパス流路部17の内壁から延びる4本の腕部12(図3(A)参照)によってバイパス流路16内に支持されている。センサ流路部15には上流側から下流側に向かって貫通するセンサ流路14が形成されている。センサ流路14は流れ方向の断面が略糸巻き状に形成されており、流れ方向に垂直な断面の面積は上流側の入口14aで最も広く、下流側にいくにつれて徐々に狭くなり、流れ方向の中央より下流側を境に下流側にいくにつれて徐々に広くなっている。センサ流路部15をバイパス流路部17に収容すると、センサ流路14の出口周辺の流速が全周にわたって安定する。
【0016】
センサ流路部15の外壁は上流側から下流側に向かって外径が緩やかに大きくなる形状に形成されている。センサ流路部15の外壁面15aと内壁面15bとは上流側で鋭角に交差するように連なっており、バイパス流路16を流れる空気はセンサ流路部15の上流側でセンサ流路14内を流れる空気とセンサ流路14外を流れる空気とにスムーズに分離される。センサ流路部15の下流側を向く端面15cは下流側にいくほど外径が小さくなる円錐面状に形成されている。
【0017】
また、図示するように流量測定装置10はバイパス流路16およびセンサ流路14が吸気ポート11の流れ方向に直線状に延びるように取り付けられるので、吸気ポート11を流れる空気はバイパス流路16およびセンサ流路14に流入する際に大きく方向を変える必要がない。このため空気の流速の損失が少ない。
整流コア18は、センサ流路部15から上流に向かって延びる4本の腕部19(図1参照)によってセンサ流路14より上流に支持されている。整流コア18は略球形に形成されており、より具体的には球形をベースに下流側の先端部が下流側に向かって円錐状に延びる形状に形成されている。図3(A)に示すように整流コア18は流れ方向の上流側から見るとセンサ流路14の入口14aが整流コア18によって隠れる大きさに形成されている。また、図2に示すように整流コア18は上流側がバイパス流路16より上流側にはみ出るように設けられている。また、前述したように整流コア18はセンサ流路部15によって支持されている。センサ流路部15によって整流コア18を支持すると、センサ流路部15に対する整流コア18の位置精度が向上し、その結果、センサ流路14に流入する流量の精度が向上するので、測定結果の精度がより向上する。なお、整流コアの形状は球形であってもよいし、例えば図4(A)に示す整流コア40や図4(B)に示す整流コア41のような流線型であってよい。また、整流コア18の上流側をバイパス流路16からはみ出させず、整流コア18全体をバイパス流路16内に収容してもよい。
【0018】
センサ部20は、流量センサとしての流速測定用抵抗体21、図示しない温度補償抵抗体、および図示しない制御回路を備える。流速測定用抵抗体21はセンサ流路14内に設けられており、制御回路によって空気の温度に対して一定温度加熱される。制御回路は流速測定用抵抗体21から流速測定用抵抗体21周りを流れる空気に放熱された放熱量を電気信号として出力する。この電気信号に基づいて所定の制御用コンピュータで流量や流速が特定される。
【0019】
下流コア22は、バイパス流路部17の内壁から延びる4本の腕部13(図3(B)参照)によってセンサ流路14の出口近傍に支持されている。下流コア22の上流側を向く面22aは凹面として形成されており、また、下流コア22の下流側を向く面22bは凹面22aの外周から下流側に向かって張り出す凸面として形成されている。下流コア22はセンサ流路部15の下流にセンサ流路部15との間に所定の空間をおいて支持されている。センサ流路部15の円錐面15cと下流コア22の凹面22aとによって、バイパス流路部17の内壁17aに近づくにつれてバイパス流路16の上流側に傾くように傾斜し環状に拡がる下流側センサ流路23が形成されている。また、下流コア22の外径はセンサ流路14の出口より大きく、且つセンサ流路部15の外径より小さく形成されている。従って図3(B)に示すように下流側から見るとセンサ流路14の出口は下流コア22によって隠れており、円錐面15cの外周側が見えている。また、図2に示すように下流コア22は下流側がバイパス流路16からはみ出るように設けられている。
【0020】
支持部24は筒部24aとフランジ部24bとで構成されており、バイパス流路部17と一体に形成されている。筒部24aの内部には制御用コンピュータと制御回路とを接続するケーブルが配設される。図1(A)に示すようにフランジ部24bには流量測定装置10を吸気ポート11の内壁に締結固定するためのボルト穴24cが形成されている。
【0021】
次に、吸気ポート11内に生じる偏流および脈流について説明する。
図5は、吸気ポート11内に生じる偏流の概略を示す模式図である。図5は曲管の吸気ポート11に生じた偏流の一例を概略で示すものであり、細かな部分は省略しており、流量測定装置10の内部についても省略している。吸気ポート11を曲げると、曲がり部分において図示するように内側61と外側62とに流速の差が生じ、それにより曲がり部分より下流側に偏流が生じている。なお、ここでは曲がりのある吸気ポート11を例に説明したが、曲がりのない直管の吸気ポートであっても偏流は生じる。例えば吸気ポートの上流側に接続されているエアクリーナのフィルタエレメントに目詰まりが生じると、フィルタエレメントに空気が流れ易い部分と流れ難い部分とが生じるので、直管の吸気ポートであっても偏流が生じる。流速測定用抵抗体21の面積はセンサ流路14の流路面積に比べて小さいので、偏流が生じると流速測定用抵抗体21周りを流れる空気の流速が安定せず、測定結果が不安定になる。
【0022】
図6は、偏流が生じている場合における脈流の影響を示す模式図である。図6は吸気ポート11内を流れる空気の流速の分布を示しており、内側の線で囲まれる領域ほど流速が速いことを示している。図6は曲管の吸気ポート11に偏流のない空気を流し、曲がり部分より下流側の偏流が生じている位置、具体的には図5で示す位置Aで流速を測定したものである。吸気ポート11内の空気には内燃機関の燃焼周期に対応して脈流が生じる。脈流が生じると、脈流に対応して図6に示すように偏流の生じ方が周期的に変化し、それによって流速測定用抵抗体21周りを流れる空気の流速が周期的に変化するので、測定結果が更に不安定になる。
【0023】
次に、整流コア18の作動について説明する。
始めに、整流コア18が全周からセンサ流路14の入口14aに空気を流入させる作動について説明する。
図7は、空気の流れを示す模式図である。吸気ポート11の中央付近を流れる空気は、整流コア18まで流れてくると整流コア18の上流側の面に沿って流れることにより、上流側から見て径方向外側に向かって360°拡がるように逃がされる。逃がされた空気の一部は整流コア18の下流側の面に沿って流れ、整流コア18の下流側で合流して均一化され、入口14aからセンサ流路14に流入する。均一化された空気をセンサ流路14に流入させると、センサ流路14内における空気の偏流をほとんどなくすことができる。偏流がなくなると流速測定用抵抗体21周りを流れる空気の流速が安定するとともに、偏流がなくなることで脈流の影響が低減されるので、測定結果が安定する。
【0024】
また、逃がされた空気の一部が整流コア18の下流側の面に沿って流れてくるとき、逃がされた空気の一部は整流コア18の全周から流れてくる。整流コア18の全周から空気が流れてくると、空気が整流コア18の全周に沿った広い範囲から満遍なくセンサ流路14に流入する。センサ流路14に空気が広い範囲から満遍なく流入すると、センサ流路14を流れる空気の流速はバイパス流路16に流入する空気の平均流速に相関したものになる。結果として、吸気ポート11全体の平均流速との相関も高くなる。これにより、精度の高い測定結果を得られる。
【0025】
次に、整流コア18がダストを除去する作動について説明する。
一般に100μm程度より小さいダスト27はエアクリーナのフィルタエレメントを通過してしまい、空気に含まれて吸気ポート11の上流から図7に示すように流れてくる。吸気ポート11の中央付近を流れる空気に含まれるダスト27は、整流コア18まで流れてくると整流コア18によって径方向外側にはじかれる。このとき、前述したようにセンサ流路14の入口14aは整流コア18によって隠されているので、多くのダスト27はセンサ流路14に流入することなくそのままセンサ流路14外を下流に向かって流される。これによりセンサ流路14に流入するダスト27を低減でき、ダスト27の付着による流速測定用抵抗体21の検出精度の悪化を低減できる。
【0026】
次に、下流コア22の作動について説明する。
始めに、下流コア22がセンサ流路14内を流れる空気の流速を増加させる作動について説明する。
図7に示すように、センサ流路14を流れてきた空気は、センサ流路部15と下流コア22とで形成されている下流側センサ流路23を流れて流れ出る。下流コア22を設けることによってセンサ流路14の出口が絞られるので、出口部の流速が高くなり、負圧が生じる。この負圧によってセンサ流路14内の空気が引き出され、センサ流路14内を流れる空気の流速が増加するので、熱損失の割合が低くなり、検出精度を向上させることができる。
【0027】
また、この検出精度の向上において、流量測定装置10はバイパス流路部17を備えているので、バイパス流路部17を小さくすることにより、センサ流路部15の外壁面15aとバイパス流路部17の内壁面17aとで形成される流路を狭くできる。当該流路が狭くなると当該流路を流れる空気の流速が増加するので、負圧がより大きくなり、センサ流路14を流れる空気の流速がより増加する。これにより検出精度がより向上する。すなわち流量測定装置10によると、センサ流路部15を大きくすることなく検出精度を向上できる。
【0028】
次に、下流コア22が逆流したダストの流入を防止する作動について説明する。
図8は、流量の時間的変化を示すグラフである。グラフにおいて線30はスロットルバルブが相対的に閉じているときの流量の時間的変化、線31は相対的に開いているときの流量の時間的変化を示している。前述したように吸気ポート11内の空気には脈流が生じ、スロットルバルブの開度がある程度以上になると空気の一部が吸気ポート11を逆流する。図8において平行斜線で示す領域32は空気が逆流する期間および逆流する流量を示している。
【0029】
図9は、逆流する空気の流れを示す模式図である。前述したようにセンサ流路14の出口は下流コア22によって隠れているので、下流コア22によって径方向外側にはじかれたダスト27がセンサ流路14に流入し難い。また、前述したようにセンサ流路部15の下流側の端面15cはバイパス流路部17の内壁面17aに近づくにつれてバイパス流路16の上流側に傾くように傾斜している。仮にセンサ流路部15の下流側の端面がバイパス流路部17の内壁面17aに近づくにつれてバイパス流路16の下流側に傾くように傾斜していると、空気が逆流したとき、ダスト27が下流側の端面に沿ってセンサ流路14内に導かれてしまう。これに対し、流量測定装置10は下流側の端面15cが上流側に傾くように傾斜しているので、ダスト27がセンサ流路14により流入し難い。これにより、ダスト27が逆流して流速測定用抵抗体21に付着することを低減できる。
【0030】
次に、流量測定装置10の特性変化を比較例と対比した実験結果について説明する。ここで特性変化Sは以下の式で表される。
S=(偏流がある場合の流速−偏流がない場合の流速)/偏流がない場合の流速
偏流がある場合の流速とは、曲管の吸気ポート11に偏流のない空気を流し、曲がり部分より下流側の偏流が生じている位置、具体的には図5で示す位置Aで流速を測定したものである。偏流がない場合の流速とは、直管の吸気ポートに偏流のない空気を流して測定したものである。偏流がない場合の流速は吸気ポート全体を流れる空気の平均流速にほぼ一致する。曲管の吸気ポート11と直管の吸気ポートとには同じ流量の空気を流すので、特性変化が0%に近ければ、流量測定装置10は曲管の吸気ポート11全体を流れる空気の平均流速を正確に測定できていることになる。すなわち、偏流の影響が排除された精度の高い測定結果が得られることになる。
【0031】
図10は、流量測定装置10の特性変化を比較例と対比した実験結果を示すグラフである。ここでは特許文献2に記載の流量測定装置を比較例として用いている。実験では流量を徐々に増やしながら流量測定装置10および比較例について特性変化をそれぞれ求めた。グラフに示すように、流量測定装置10はいずれの流量においても特性変化は0%近傍である。これに対し、比較例はいずれの流量においても特性変化はマイナス方向に偏っている。このことから明らかなように、流量測定装置10は、吸気ポート11内に偏流があるにもかかわらず吸気ポート11全体を流れる空気の平均流速を正確に測定できている。すなわち、流量測定装置10によると、精度の高い測定結果を得ることができる。
【0032】
以上説明した第一実施形態に係る流量測定装置10によると、センサ流路14に整流コア18の全周に沿った広い範囲から空気を流入させることができる。広い範囲から空気が流入するので、流入した空気の流速と吸気ポート全体を流れる空気の平均流速との相関が高くなり、より精度の高い測定結果を得られる。また、全周から流れてくる空気は整流コア18の下流で合流し均一化して流入するので、センサ流路14に偏流が生じず、測定結果が安定する。また、センサ流路14の入口14aは上流側から見ると整流コア18によって隠れているので、センサ流路14にダスト27が流入し難い。従って測定結果がより安定する。よって流量測定装置10によると、精度の高い測定結果を安定して得られる。
【0033】
(第二実施形態)
図11は、第二実施形態に係る流量測定装置50の断面図である。図示するように下流コア51は下流側から見るとセンサ流路部15の下流側の端面15aが隠れる大きさに形成されている。このため、空気が吸気ポート11を逆流したとき、逆流したダスト27が端面15aに沿って下流側センサ流路52に流入し難くなる。これにより、測定結果が安定する。
【0034】
なお、第二実施形態ではセンサ流路部15の下流側の端面15aがバイパス流路部17の内壁17aに近づくにつれてバイパス流路16の上流側に傾くように傾斜している場合を例に説明したが、バイパス流路部17の内壁壁17aに近づくにつれてバイパス流路16の下流側に傾くように傾斜してもよい。この場合も、下流側の端面15aを下流コア51で隠すことにより、逆流したダスト27が付着することによる流速測定用抵抗体21の検出精度の低下を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】(A)は本発明の一実施形態に係る流量測定装置を示す斜視図、(B)は流量測定装置の部分断面図
【図2】本発明の一実施形態に係る流量測定装置の流れ方向の断面図。
【図3】(A)は本発明の一実施形態に係る流量測定装置の正面図、(B)は背面図。
【図4】(A)および(B)は本発明の一実施形態に係る整流部材の断面図。
【図5】主流路に生じている偏流の一例を示す模式図。
【図6】主流路に生じている脈流を示す模式図。
【図7】本発明の一実施形態に係る流量測定装置の空気の流れを示す模式図。
【図8】主流路を流れる流量の時間的変化を示すグラフ。
【図9】本発明の一実施形態に係る流量測定装置の空気の流れを示す模式図。
【図10】本発明の一実施形態に係る流量測定装置の特性変化を示すグラフ。
【図11】本発明の一実施形態に係る流量測定装置の流れ方向の断面図。
【符号の説明】
【0036】
10 流量測定装置、11 吸気ポート(主流路)、14 センサ流路(第1流路)、14a 入口、15 センサ流路部(第1流路部)、16 バイパス流路(第2流路)、17 バイパス流路部(第2流路部)、18 整流コア(整流部材)、21 流速測定用抵抗体(流量センサ)、22 下流コア(下流側部材)、23 下流側センサ流路、24 支持部、40 整流コア(整流部材)、41 整流コア(整流部材)、50 流量測定装置、51 下流コア(下流側部材)、52 下流側センサ流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が流れる第1流路を形成する第1流路部と、
前記第1流路内に設けられる流量センサと、
前記第1流路部を収容する第2流路を形成する第2流路部と、
前記第1流路の出口近傍に設けられ、前記出口を絞る下流側部材と、
を備えることを特徴とする流量測定装置。
【請求項2】
前記第1流路は直線状に形成されており、
当該流量測定装置を所定の主流路の内壁に取り付けるための支持部であって、前記第1流路が前記主流路の流れ方向に直線状に延びる姿勢で取り付けられる支持部を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の流量測定装置。
【請求項3】
下流側から見ると前記下流側部材によって前記第1流路部の前記出口が隠れていることを特徴とする請求項1又は2に記載の流量測定装置。
【請求項4】
下流側から見ると前記下流側部材によって前記第1流路部の下流側の端面が隠れていることを特徴とする請求項3に記載の流量測定装置。
【請求項5】
前記第1流路部の下流側の端面は、前記第2流路部の内壁に近づくにつれて前記第2流路の上流側に傾くように傾斜していることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の流量測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−69842(P2011−69842A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−5713(P2011−5713)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【分割の表示】特願2005−157136(P2005−157136)の分割
【原出願日】平成17年5月30日(2005.5.30)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】