説明

流量計測システムおよびマルチプレクサ装置

【目的】 流量計に依存せず、マルチ測定が可能な流量計測の技術を提供する。加えて、流量計に発生しやすい不具合をカバーして連続的な流量計測が可能とする。
【構成】 複数の超音波受発振器(TX1,TX2,TX3,TX4)と、 それら超音波受発振器(TX1,TX2,TX3,TX4)に接続されるとともに各超音波受発振器(TX1,TX2,TX3,TX4)からの受信信号を受信するマルチプレクサ装置と、 そのマルチプレクサ装置が受信した受信信号を受信および解析して流量または流速を算出する超音波流量計と、 前記マルチプレクサ装置への作動命令信号を送信する制御装置とを備える。 マルチプレクサ装置は、制御装置からの作動命令信号に基づいて前記の各超音波受発振器(TX1,TX2,TX3,TX4)における超音波の発振を制御する。マルチプレクサ装置、超音波流量計は複数台を切り替えて使用できるようにしても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波流量計および超音波流量計の連続運転を実現するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
配管内を流れる流体の流量を計測する手法は多々あるが、非接触で流量を測定可能であるドップラ式超音波流量計については、例えば特許文献1に記載された技術が提供されている。(例えば、特許3602113号)
【0003】
【特許文献1】特許第3602113号
【0004】
特許文献1は、ハードウェアの限界を考慮しつつ、測定チャンネルを切り替えることによって計測可能な範囲を拡大する、という技術が開示されている。
【0005】
ドップラ式超音波流量計に限らず、超音波を用いた流量計は、複数カ所で測定することが多い。すなわち、複数カ所の測定値を統合することによって誤差を最少化するのである。例えば、特許文献2に記載されている技術である。
【0006】
【特許文献2】特開2001−304931号
【0007】
特許文献2に記載された技術は、超音波トランスデューサの数を増やすことなく、マルチ化(複数箇所での測定)を可能とする技術が開示されている。
【0008】
これら先行技術について、図5および図6を用いて、一般的なマルチ型の超音波流量計を説明する。
図5に示すのは、流量計を超音波トランスデューサの数と同じだけ用意する。この図示例では4つずつである。そして、4つの流量計から送られてくるデータを、バッチ処理が行えるハブを用いて制御用コンピュータにて受信したり、制御用コンピュータからの制御命令を、ハブを用いて所定の流量計に送信する。
【0009】
図5に示した流量計測システムには、以下のような問題点が存在した。すなわち、ある超音波トランスデューサが発振した超音波の信号は、その反射波を当該超音波トランスデューサのみが受信して用いるのが本来であるが、他の超音波トランスデューサも発振波または反射波を受信してしまう。本来受信すべきではない他の超音波トランスデューサからの発振波または反射波を受信してしまうと、それは測定すべき反射波のノイズとなってしまう。
【0010】
前述の図5にて示した技術の欠点を補うため、近年案出された流量計測システムとして、図6に示すようなものがある。
図6に示すのは、超音波トランスデューサは複数組み込むが、マルチプレクサ機能を組み込んだ流量計を、単独で用いたものである。そして、その流量計と制御用コンピュータとを通信線で接続し、4つの流量計から送られてくるデータを制御用コンピュータにて受信し、制御用コンピュータからの制御命令を所定の流量計に送信する。
【0011】
この流量計測システムであれば、超音波トランスデューサが複数存在することによって他の超音波トランスデューサからのノイズの影響を回避できる、というメリットがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、図6に示した流量計測システムには、以下のような問題点が存在していた。
第一に、流量計にマルチプレクサ機能を加える(マルチプレクサ装置を組み込む)ということで成り立っているので、従来の流量計をカスタマイズすることになる。すなわち、カスタマイズした流量計という高価なハードウェアに依存したシステム構成となってしまっており、汎用性に乏しいという問題点がある。
例えば、超音波トランスデューサの数を増加したい場合には、超音波トランスデューサの総数に応じた流量計に作り替えなければならない。
【0013】
第二に、流量計の故障時にバックアップ機能がない点が問題である。超音波トランスデューサに対して発振の命令信号を送信する機能については、他の機能よりも不具合の発生確率が高いことが経験的に知られている。図5に示す流量計測システムであれば、ひとつの流量計に不具合が発生しても計測が続けられるが、図6に示した流量計測システムでは、計測がストップしてしまう。
なお、特許文献1や特許文献2に記載された技術では、前述した課題を解決する手段は開示されていない。
【0014】
本発明が解決すべき課題は、流量計に依存せず、マルチ測定が可能な流量計測の技術を提供することにある。加えて、流量計に発生しやすい不具合をカバーして連続的な流量計測が可能となる流量計測の技術を提供することにある。
請求項1および請求項2に記載の発明は、流量計に依存せずにマルチな流量計測を可能とすることを目的とする。
請求項3および請求項4に記載の発明は、流量計に依存せずにマルチな流量計測を可能であるとともに、流量計に発生しやすい不具合をカバーして連続的な流量計測が可能となる流量計測システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記した課題を解決するため、マルチプレクサ機能を組み込んだ流量計として提供されていた流量計測システムから、マルチプレクサ機能を実現する装置を切り離す。すなわち、マルチプレクサ機能を実現する装置を流量計とは別に提供することによって、上記の課題を解決するのである。
【0016】
(請求項1)
請求項1記載の発明は、 超音波による被測定流体の流量または流速を算出する流量計測システムに係る。
すなわち、複数の超音波受発振器(TX1,TX2,TX3,TX4)と、 それら超音波受発振器(TX1,TX2,TX3,TX4)に接続されるとともに各超音波受発振器(TX1,TX2,TX3,TX4)からの受信信号を受信するマルチプレクサ装置と、 そのマルチプレクサ装置が受信した受信信号を受信および解析して流量または流速を算出する超音波流量計と、 前記マルチプレクサ装置への作動命令信号を送信する制御装置とを備え、
前記マルチプレクサ装置は、制御装置からの作動命令信号に基づいて前記の各超音波受発振器(TX1,TX2,TX3,TX4)における超音波の発振を制御することを特徴とする。
【0017】
(用語説明)
「マルチプレクサ装置」とは、ふたつ以上の入力をひとつの信号として出力する機構である。
「超音波流量計」とは、反射型超音波流量計、超音波伝搬時間差式流量計、相関式超音波流量計などを含む。超音波流量計にマルチプレクサ装置を接続する場合、超音波流量計とマルチプレクサ装置との接続には超音波信号線を用いるのが一般的である。その場合、「超音波流量計」にアナログデジタル変換機能(ADコンバータ)の機能を備える。アナログデジタル変換機能(ADコンバータ)の機能をマルチプレクサ装置に備える場合には、マルチプレクサ装置との接続に通信線を用いる。
「制御装置」は、一般的には、汎用のコンピュータに必要なソフトウェアをインストールしたものを用いるが、専用の制御装置であっても構わない。制御装置を汎用のコンピュータとした場合は、超音波受発振器に関する超音波の発信パラメータを設定したりすることによって超音波流量計を制御したり、超音波流量計の演算結果を受信・表示する機能を担う。
【0018】
(作用)
制御装置から、マルチプレクサ装置への作動命令信号を送信する。マルチプレクサ装置は、作動命令信号に係る超音波受発振器に対して、超音波の発振を命令する。
作動命令信号を受けた超音波受発振器は、被測定流体に超音波を発振するとともに、その超音波による反射波を受信する。
受信した反射波に関する信号データは、マルチプレクサ装置にて受信し、超音波流量計に送られる。そして、受信した信号データを超音波流量計が解析し、流量または流速を算出する。
【0019】
超音波流量計が故障したら、超音波流量計のみを交換すればよいので、メンテナンスが楽になる。すなわち、従来であれば、超音波流量計のマルチプレクサ機能を現場に合わせたものとしなければ、交換のみを行っても現状復帰をさせることとならなかったが、本願発明により、超音波流量計のみを交換すれば現状復帰させることができる。
【0020】
(請求項2)
請求項2記載の発明は、請求項1に用いるマルチプレクサ装置に係る。
すなわち、超音波による被測定流体の流量または流速を算出する流量計測システムに用いるマルチプレクサ装置であって、 複数の超音波受発振器(TX1,TX2,TX3,TX4)に接続されるとともに、制御命令信号に基づいて各超音波受発振器(TX1,TX2,TX3,TX4)への超音波の発振命令信号を出力する発振命令出力手段と、 各超音波受発振器(TX1,TX2,TX3,TX4)からの受信信号を受信する超音波受信手段と、 その受信した受信信号を解析して流量または流速を算出するための超音波流量計に送信する送信手段と、を備え、 前記の発振命令出力手段は、予め多数の発振用端子を備えていることによって、超音波受発振器の増設が簡単に行えるように形成したことを特徴とする。
【0021】
(作用)
本請求項に係るマルチプレクサ装置には、発振命令出力手段において予め多数の発振用端子を備えている。したがって、超音波受発振器の増設が簡単に行える。
【0022】
(請求項3)
請求項3記載の発明は、 超音波による被測定流体の流量または流速を算出する流量計測システムに係る。
すなわち、複数の超音波受発振器と、 その超音波受発振器の全てに接続される受発振器用スイッチと、 その受発振器用スイッチにそれぞれ独立して接続される複数のマルチプレクサ装置と、 そのマルチプレクサ装置のそれぞれが接続される複数の超音波流量計と、 前記の受発振器用スイッチおよび前記のマルチプレクサ装置に作動命令信号を送信する制御装置とを備え、
前記のマルチプレクサ装置は、前記の受発振器用スイッチを介して前記の各超音波受発振器からの受信信号を受信するとともに、前記の超音波流量計に対して各超音波受発振器からの受信信号を送信することとしたことを特徴とする。
【0023】
(作用)
制御装置は、受発振器用スイッチおよびマルチプレクサ装置に作動命令信号を送信する。これにより、マルチプレクサ装置のいずれか、または超音波流量計のいずれかに不具合があっても、流量計測が実行できるので、連続計測に適している。
また、超音波流量計からはマルチプレクサ機能が切り離されているので、超音波流量計のいずれかに不具合があって交換を余儀なくされたとしても、新たに設置する超音波流量計に対する調整は不要である。
【0024】
(請求項4)
請求項4記載の発明は、請求項3に記載の流量計測システムを限定したものである。
すなわち、マルチプレクサ装置は、第一マルチプレクサ装置および第二マルチプレクサ装置の二台とし、 超音波流量計は、第一流量計および第二流量計の二台とする。
第一マルチプレクサ装置は第一流量計と、第二マルチプレクサ装置は第二流量計と、それぞれ接続されるとともに、 第一マルチプレクサ装置と第二流量計とは、第二スイッチを介して接続され、 第二マルチプレクサ装置と第一流量計とは、第三スイッチを介して接続され、 制御装置は、前記の第二スイッチおよび第三スイッチに対する制御命令の送信を可能としたことを特徴とする。
【0025】
(作用)
第一流量計に不具合が発生した場合、第一マルチプレクサ装置または第二マルチプレクサ装置のいずれかと、第二流量計とを用いて流量計測を行う。 一方、第一マルチプレクサ装置に不具合が発生した場合、第二マルチプレクサ装置と、第一流量計または第二流量計のいずれかを用いて流量計測を行う。
第二流量計に不具合が発生した場合、第一マルチプレクサ装置または第二マルチプレクサ装置のいずれかと、第一流量計とを用いて流量計測を行う。 一方、第二マルチプレクサ装置に不具合が発生した場合、第一マルチプレクサ装置と、第一流量計または第二流量計のいずれかを用いて流量計測を行う。
以上のように、マルチプレクサ装置のいずれか、または超音波流量計のいずれかに不具合があっても、流量計測が実行できるので、連続計測に適している。
【発明の効果】
【0026】
請求項1に記載の発明によれば、流量計に依存せずにマルチな流量計測を可能な流量計測システムを提供することができた。
請求項2に記載の発明によれば、流量計に依存せずにマルチな流量計測を可能とする流量計測システムに用いるマルチプレクサ装置を提供することができた。
請求項3および請求項4に記載の発明によれば、流量計に依存せずにマルチな流量計測を可能であるとともに、流量計に発生しやすい不具合をカバーして連続的な流量計測が可能となる流量計測システムを提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本願発明を、図面および実施形態に基づいて更に詳しく説明する。ここで使用する図面は、図1ないし図4である。
図1および図2は本発明の第一の実施形態を示し、図3および図4は本発明の第二の実施形態を示す。
【0028】
(図1)
図1に示すのは、マルチプレクサ装置を備えた流量計測システムである。
被測定流体が流れる配管に対して、超音波トランスデューサ(図中では「TX」と表記)を4箇所に固定している。そして、4つの超音波トランスデューサ(TX1〜TX4)は、マルチプレクサ装置に接続され、それぞれが所定の発振命令に従って超音波を発振し、その発振した超音波が被測定流体から反射されてくる反射波を受信する。
【0029】
マルチプレクサ装置は、4つの超音波トランスデューサ(TX1〜TX4)から反射波を受信し、超音波流量計に送信する。この実施形態においては、超音波流量計とマルチプレクサ装置とは、超音波信号線にて接続されている。したがって、アナログデジタル変換は、超音波流量計の中で行われる。
【0030】
制御装置から、マルチプレクサ装置への作動命令信号を送信すると、マルチプレクサ装置は、作動命令信号に係る超音波トランスデューサ(TX1〜TX4)に対して、超音波の発振を命令する。
作動命令信号を受けた超音波トランスデューサ(TX1〜TX4)は、被測定流体に超音波を発振するとともに、その超音波による反射波を受信する。
受信した反射波に関する信号データは、マルチプレクサ装置にて受信し、超音波流量計に送られる。そして、受信した信号データを超音波流量計が解析し、流量または流速を算出する。
もし、超音波流量計が故障したら、超音波流量計のみを交換すればよいので、メンテナンスが楽になる。すなわち、従来であれば、超音波流量計のマルチプレクサ機能を現場に合わせたものとしなければ、交換のみを行っても現状復帰をさせることとならなかったが、この実施形態であれば、超音波流量計のみを交換すれば現状復帰させることができる。
【0031】
(図2)
図2に基づいて、制御系について更に詳しく説明する。
タイマーイベントが発生すると、シーケンス処理を開始する(ステップ1)。
流量計に演算指令を送信する(ステップ2)。
流量計は、蓄積したデータから直ちに流速または流量を算出する(ステップ3)。
流量計からデータを受信する(ステップ4)。
受信したデータを取得し、記憶装置に蓄積する(ステップ5)。
マルチプレクサ装置に、それぞれのチャンネルの入/切指令を送信する(ステップ6)。その入/切指令によって、それぞれの超音波トランスデューサ(TX1〜TX4)が超音波を発振したり、発振を停止したりする。
超音波を発振した超音波トランスデューサ(TX1〜TX4)においては、被測定流体からの反射波を受信し、マルチプレクサ装置がその受信した反射波の信号を受信して蓄積する(ステップ7)。
【0032】
マルチプレクサ装置が所定の反射波の受信信号を蓄積し終えたら、タイマーをセットする(ステップ8)。タイマー値は、マルチプレクサ装置による所定の反射波の受信信号を蓄積し終えた後、流量計が流量または流速を算出するのに十分な反射波の受信信号を蓄積するために必要な時間よりも大きな時間とする。
【0033】
一般的に、超音波トランスデューサからの反射波の受信信号を128回受信すると、流速が算出可能となる。受信頻度はPRF(繰り返し周波数)に等しい。
前述のステップ5によって、流速または流量の瞬時値を求めることができる。また、シーケンスを繰り返すことによって得られる当該瞬時値の平均値が、その流速または流量の平均値となる。
【0034】
(図3)
図3では、第二の実施形態をブロック図にて示している。
この流量計測システムは、四台の超音波トランスデューサ(TX1〜TX4)と、 その超音波トランスデューサ(TX1〜TX4)の全てに接続される受発振器用スイッチ(SW1)と、 その受発振器用スイッチ(SW1)にそれぞれ独立して接続される二台のマルチプレクサ装置と、 そのマルチプレクサ装置のそれぞれが接続される二台の超音波流量計と、 前記の受発振器用スイッチ(SW1)および前記のマルチプレクサ装置に作動命令信号を送信する制御装置(PC)とを備える。
すなわち、受発振器用スイッチ(SW1)を切り替えることによって、二台のマルチプレクサ装置のいずれかに、超音波トランスデューサ(TX1〜TX4)への発振命令信号を送信したり、超音波トランスデューサ(TX1〜TX4)からの反射波の信号を受信させたりすることができる。
【0035】
第一のマルチプレクサ装置は、第一の流量計と超音波信号線にて接続されており、第三スイッチ(SW3)を介して第二の流量計にも接続されている。すなわち、第三スイッチ(SW3)を切り替えると、第一のマルチプレクサ装置は第一の流量計または第二の流量計のいずれかに反射波の信号を送信することができる。
また、第二のマルチプレクサ装置は、第二の流量計と超音波信号線にて接続されており、第二スイッチ(SW2)を介して第二の流量計にも接続されている。すなわち、第二スイッチ(SW2)を切り替えると、第二のマルチプレクサ装置は第一の流量計または第二の流量計のいずれかに反射波の信号を送信することができる。
【0036】
以上のような構成により、 第一の流量計に不具合が発生した場合、第一のマルチプレクサ装置または第二のマルチプレクサ装置のいずれかと、第二の流量計とを用いて流量計測を行うことができる。 一方、第一のマルチプレクサ装置に不具合が発生した場合、第二のマルチプレクサ装置と、第一の流量計または第二の流量計のいずれかを用いて流量計測を行うことができる。
また、第二の流量計に不具合が発生した場合、第一のマルチプレクサ装置または第二のマルチプレクサ装置のいずれかと、第一の流量計とを用いて流量計測を行うことができる。 同様に、第二のマルチプレクサ装置に不具合が発生した場合、第一のマルチプレクサ装置と、第一の流量計または第二の流量計のいずれかを用いて流量計測を行うことができる。
【0037】
(図4)
図4に基づいて、制御系を更に詳しく説明する。
まず、初期状態は、第二スイッチ(SW2)および第三スイッチ(SW3)はOFF状態としており、第一スイッチ(SW1)は第一のマルチプレクサ装置と接続されるように選択されている。また、制御用コンピュータ(PC)と第一の流量計とは通信可能な状態となっている。
【0038】
第一の流量計を監視していて、異常がなければ第一のマルチプレクサ装置の監視をする。そして、第一のマルチプレクサ装置にも異常がなければ、接続構成の処理は終了する。
【0039】
第一の流量計に異常が発生した場合には、異常警報を表示する。そして、第二の流量計を監視する。第二の流量計にも異常があった場合には、装置全体が使用できないので、装置異常警報を表示する。
第二の流量計に異常がなければ、制御用コンピュータは第二の流量計と通信可能な状態に切り替える。そして、第二のマルチプレクサ装置を監視する。異常がなければ、第一スイッチ(SW1)を第二のマルチプレクサ装置側に接続を切り替え、接続構成の処理を終了する。
【0040】
第一のマルチプレクサ装置に異常があった場合には、第一のマルチプレクサ装置に異常がある旨を警報表示する。そして、第三スイッチ(SW3)をON状態に切り替える。すると、第二のマルチプレクサ装置の監視が行える。異常がなければ、第一スイッチ(SW1)を第二のマルチプレクサ装置側に接続を切り替え、接続構成の処理を終了する。
【0041】
第二のマルチプレクサ装置に異常があった場合には、第二のマルチプレクサ装置に異常がある旨を警報表示する。そして、第二スイッチ(SW2)をON状態に切り替えることによって第一のマルチプレクサ装置側に接続を切り替える。第一のマルチプレクサ装置の異常が既に確定している場合には、装置全体が使用できないので、装置異常警報を表示する。
【0042】
第一のマルチプレクサ装置の異常が既に確定していない場合には、第一のマルチプレクサ装置の監視をする。そして、第一のマルチプレクサ装置に異常があった場合には、装置全体が使用できないので、装置異常警報を表示する。
第一のマルチプレクサ装置に異常がなければ、接続構成の処理は終了する。
【0043】
以上説明したように、第二の実施形態によれば、二台のマルチプレクサ装置がいずれも異常な場合、または二台の流量計が何れも異常な場合以外は、流量計測を継続することができる。したがって、連続的な流量計測に適した流量計測システムである。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本願発明は、流量計測システムの製造業、流量計測システムのメンテナンス業、流量計測システムの制御に関わるコンピュータプログラムの製作・メンテナンス業などにおいて、利用可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第一の実施形態を示すブロック図である。
【図2】本発明の第一の実施形態におけるフローチャートである。
【図3】本発明の第二の実施形態を示す概念図である。
【図4】本発明の第二の実施形態におけるフローチャートである。
【図5】従来の技術に基づくブロック図である。
【図6】従来の技術に基づくブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波による被測定流体の流量または流速を算出する流量計測システムであって、
複数の超音波受発振器と、
それら超音波受発振器に接続されるとともに各超音波受発振器からの受信信号を受信するマルチプレクサ装置と、
そのマルチプレクサ装置が受信した受信信号を受信および解析して流量または流速を算出する超音波流量計と、
前記マルチプレクサ装置への作動命令信号を送信する制御装置とを備え、
前記マルチプレクサ装置は、制御装置からの作動命令信号に基づいて前記の各超音波受発振器における超音波の発振を制御することを特徴とする流量計測システム。
【請求項2】
超音波による被測定流体の流量または流速を算出する流量計測システムに用いるマルチプレクサ装置であって、
複数の超音波受発振器に接続されるとともに、制御命令信号に基づいて各超音波受発振器への超音波の発振命令信号を出力する発振命令出力手段と、
各超音波受発振器からの受信信号を受信する超音波受信手段と、
その受信した受信信号を解析して流量または流速を算出するための超音波流量計に送信する送信手段と、を備え、
前記の発振命令出力手段は、予め多数の発振用端子を備えていることによって、超音波受発振器の増設が簡単に行えるように形成したことを特徴とするマルチプレクサ装置。
【請求項3】
超音波による被測定流体の流量または流速を算出する流量計測システムであって、
複数の超音波受発振器と、
その超音波受発振器の全てに接続される受発振器用スイッチと、
その受発振器用スイッチにそれぞれ独立して接続される複数のマルチプレクサ装置と、
そのマルチプレクサ装置のそれぞれが接続される複数の超音波流量計と、
前記の受発振器用スイッチおよび前記のマルチプレクサ装置に作動命令信号を送信する制御装置とを備え、
前記のマルチプレクサ装置は、前記の受発振器用スイッチを介して前記の各超音波受発振器からの受信信号を受信するとともに、前記の超音波流量計に対して各超音波受発振器からの受信信号を送信することとしたことを特徴とする流量計測システム。
【請求項4】
マルチプレクサ装置は、第一マルチプレクサ装置および第二マルチプレクサ装置の二台とし、
超音波流量計は、第一流量計および第二流量計の二台とし、
第一マルチプレクサ装置は第一流量計と、第二マルチプレクサ装置は第二流量計と、それぞれ接続されるとともに、
第一マルチプレクサ装置と第二流量計とは、第二スイッチを介して接続され、
第二マルチプレクサ装置と第一流量計とは、第三スイッチを介して接続され、
制御装置は、前記の第二スイッチおよび第三スイッチに対する制御命令の送信を可能としたことを特徴とする請求項3に記載の流量計測システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−9458(P2009−9458A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−171826(P2007−171826)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【Fターム(参考)】