流量計測装置とこれを用いたガス供給システム、ガス器具特定方法
【課題】流量計測部から出力されるガス流量の変化量だけでは停止した器具の特定が困難な場合でも、起動時とは別のロジックを用いて器具を特定する。
【解決手段】第1器具判別部8Aは起動時のガス流量変化プロファイルからどのガス器具が起動したかを特定する。ガス器具のいずれかの停止が検知されたとき、第2器具判別部8Bはガス器具のそれぞれに特有の制御に基づくガス流量変化プロファイルから引き続き使用中のガス器具を特定する。
【解決手段】第1器具判別部8Aは起動時のガス流量変化プロファイルからどのガス器具が起動したかを特定する。ガス器具のいずれかの停止が検知されたとき、第2器具判別部8Bはガス器具のそれぞれに特有の制御に基づくガス流量変化プロファイルから引き続き使用中のガス器具を特定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各家庭でのガス供給管の入り口部分に設置され、ガス流量を計測するガスメータに適用される流量計測装置に関する。特にこのようなガスメータを応用して、ガス器具別料金などの使用器具やその使い方に合わせた新料金やサービスを提供するために使用中のガス器具を判別する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に各家庭にはガス供給ラインの入り口にガスの流量計測装置を内蔵したガスメータが取り付けられている。またガス器具別に料金を設定する料金体系が実施されている。従来のガスメータを用いてこのような料金体系に対応する場合、ガスメータに接続された複数の積算装置を用いる。そして特定の時間使用された場合の積算流量や特定の範囲の流量が使用されている場合の積算値を求める。すなわち時間区分別流量や流量区分別流量を求める。その積算値により料金体系が決められる。
【0003】
料金体系の一例について図20を用いて説明する。ガス器具別料金体系では予め所定の割引流量区分と所定の割引時間帯が設定され、その割引流量区分かつ割引時間帯に該当する流量のガス料金が割引対象となる。すなわち図20において斜線で区分された部分が割引対象となる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、この方法では、器具の特定判断が曖昧である。そのため、特定器具に対して料金を課金するなどの、消費者によりわかりやすく利便性のある料金設定を行うことは困難である。そこで、特定の器具を判別するための方法として、以下に示すような方法が提案されている。
【0005】
図21は、あるガス器具の起動時のガス流量変化プロファイルとそのプロファイルをもとにプロファイルマッチングを行うための参照値(プロファイルテーブル)を示す。このプロファイルテーブルを用い、ガスメータの流量計測装置により計測された流量値の変化とプロファイルテーブルを常に比較しながらマッチングするものを抽出することで、ガス器具が特定される(例えば、特許文献2参照)。すなわちこのプロファイルテーブルは1つのガス器具の燃焼制御に伴って発生する一連のガスの流量変化プロファイル分用意する必要がある。また各家庭で使われているガス器具の総台数分必要になる。
【特許文献1】特開2002−71421号公報
【特許文献2】特開2003−149027号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の構成においてガス器具の停止を判定する場合、流量変化があったことを検知してガス器具の停止の有無が判別される。しかしながら、ガス器具が複数台動いている場合、どのガス器具が停止したのかを判別することは、場合によっては困難である。すなわち一般的には各ガス器具の動作流量が正確に把握されていれば、停止により減少した流量と動作流量とを比較すればどのガス器具が停止したのかを判別することができる。しかしながら、たまたま2台のガス器具の動作流量がほぼ同じ場合、停止を誤判定する可能性が高くなる。そのためそのガス器具で使われた流量の判別精度が低下する。このように、ガス器具判別の信頼性に不透明さが残ってしまうという課題を有している。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するもので、複数台のガス器具が動作中に1台の器具が停止し、その器具の判定が困難であった場合でも、流量の判定精度を極力高くすることを可
能とした流量計測装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の流量計測装置は、流量計測部と器具登録部と演算部と判定部と第1器具判別部と第2器具判別部とを有する。流量計測部は流路内を流れるガス流量を計測する。器具登録部はこの流路に接続された第1ガス器具、第2ガス器具のそれぞれの、少なくとも起動時のガス流量変化プロファイルと、第1ガス器具、第2ガス器具のそれぞれに特有の制御に基づくガス流量変化プロファイルとを記憶する。演算部は流量計測部から出力される流量値データの差分値を求める。判定部は演算部で求めた差分値と予め設定した変化判定値とを比較し、差分値が変化判定値より大きいとき、第1ガス器具、第2ガス器具の状態が変化したと判定する。第1器具判別部は流量計測部が計測したガス流量変化プロファイルと、器具登録部に記憶された起動時のガス流量変化プロファイルとを比較することで、起動している第1ガス器具、第2ガス器具を特定する。また流量計測部の計測したガス流量の変化から演算部は差分値を求め、算出された差分値から判定部は第1ガス器具と第2ガス器具のいずれか一方の停止を検知する。すると、第2器具判別部は停止検知時点以降のガス流量変化プロファイルを器具登録部に記憶された制御に基づくガス流量変化プロファイルと比較する。これにより、使用中のガス器具を特定するとともに、第1器具判別部が起動していると判断したガス器具のうち停止したガス器具を特定する。
【0009】
また本発明の流量計測装置は、上述と同様の流量計測部と器具登録部と第1器具判別部と、流量記憶部と第2器具判別部とを有する。流量記憶部は総ガス流量変化プロファイルを記憶する。流量計測部が、ガス流量がなくなったことを検知すると、第2器具判別部はガス流量がなくなった時点から遡って流量記憶部が記憶している総ガス流量変化プロファイルと器具登録部に記憶された制御に基づくガス流量変化プロファイルとを比較することで、後から停止したガス器具を特定する。そして第1器具判別部が起動していると判断したガス器具のうち先に停止したガス器具を特定する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の流量計測装置は、複数のガス器具が動作中に1台のガス器具が停止し、その器具の判定が停止時のガス流量変化だけでは困難な場合でも、ガス器具を特定することできる。
【0011】
また、ガス器具判別を精度よく行うことができるためガス事業者などが用意した新料金メニューなどを利用することができる。また、ガス器具判別機能の更新はガスメータの仕様を変えることなく行えるため、将来的な機器機能のメンテナンスも容易に行うことも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明における第1の発明は、流量計測部と器具登録部と演算部と判定部と第1器具判別部と第2器具判別部とを有する流量計測装置である。流量計測部は流路内を流れるガス流量を計測する。器具登録部はこの流路に接続された第1ガス器具、第2ガス器具のそれぞれの、少なくとも起動時のガス流量変化プロファイルと、第1ガス器具、第2ガス器具のそれぞれに特有の制御に基づくガス流量変化プロファイルとを記憶する。演算部は流量計測部から出力される流量値データの差分値を求める。判定部は演算部で求めた差分値と予め設定した変化判定値とを比較し、差分値が変化判定値より大きいとき、第1ガス器具、第2ガス器具の状態が変化したと判定する。第1器具判別部は流量計測部が計測したガス流量変化プロファイルと、器具登録部に記憶された起動時のガス流量変化プロファイルとを比較することで、起動している第1ガス器具、第2ガス器具を特定する。また流量計測部の計測したガス流量の変化から演算部は差分値を求め、算出された差分値から判定部
は第1ガス器具と第2ガス器具のいずれか一方の停止を検知する。すると、第2器具判別部は停止検知時点以降のガス流量変化プロファイルを器具登録部に記憶された制御に基づくガス流量変化プロファイルと比較する。これにより、使用中のガス器具を特定するとともに、第1器具判別部が起動していると判断したガス器具のうち停止したガス器具を特定する。このようにガス器具1台だけが使用されている状況においてガス流量変化プロファイルから使用中のガス器具を特定し、その前に停止したガス器具を特定する。そのため、誤判別が起こる可能性のある停止の判定部分でも確実に各ガス器具の使用と停止とを判別することができる。
【0013】
本発明における第2の発明は、第1の発明において、器具登録部がガス流量変化プロファイルとして、第1ガス器具、第2ガス器具のそれぞれのガス流量の制御登録値と、使用流量範囲との少なくともいずれかを記憶している流量計測装置である。そして第2器具判別部はガス流量の制御登録値と使用流量範囲との少なくともいずれかを用いて使用中のガス器具を特定する。ガス流量変化プロファイルとして具体的には上述の判定基準を用いることができる。そして、停止判別に誤りがあっても訂正することが可能となりガス器具の計算流量精度を向上することができる。
【0014】
本発明における第3の発明は、第1の発明において、計時部をさらに有する流量計測装置である。計時部は、第1器具判別部により第1ガス器具、第2ガス器具が起動したと判断した時点から、各ガス器具の使用継続時間を計測する。そして第2器具判別部は、計時部の計測した使用継続時間により使用中のガス器具を特定する。このようにガスの使用継続時間をガス流量変化プロファイルとして用いることができる。そして、停止判別に誤りがあっても訂正することが可能となりガス器具の計算流量精度を向上することができる。
【0015】
本発明における第4の発明は、第1の発明において、器具流量積算部と流量記憶部とをさらに有する流量計測装置である。器具流量積算部は第1器具判別部により判別された第1ガス器具、第2ガス器具ごとに使用流量を求める。流量記憶部は器具流量積算部で求めたそれぞれの積算流量を記憶する。さらに流量記憶部は、確定流量記憶部と未確定流量記憶部とを有する。確定流量記憶部は第1ガス器具、第2ガス器具が同時に使用されているときに、判定部がガス器具のいずれかの停止を判定した時点で、第1器具判別部が起動したと判定していたガス器具のそれぞれの積算流量を確定値として記憶する。未確定流量記憶部は停止判定時点から継続して流量計測部の計測値が所定流量以上の場合、その流量積算値を未確定値として記憶する。そして第2器具判別部は、流量計測部が未確定値を計測した場合に、未確定値に起因するガス器具を特定する。このように停止判定時点までのガス器具別の使用流量を一旦確定値として記憶する。そのためガス器具ごとの積算ガス流量の測定精度が向上する。
【0016】
本発明における第5の発明は、第4の発明において、未確定流量記憶部に所定量以上の値が記憶されている場合、第2器具判別部は未確定値に起因するガス器具を特定する流量計測装置である。未確定値がガス器具の使用によるものであることを判定できるため、第2器具判別部によるガス器具特定の誤判定を防止することができる。
【0017】
本発明における第6の発明は、第4の発明において、制御部をさらに有する流量計測装置である。制御部は未確定流量記憶部に未確定値が記憶され、第2器具判別部が使用中のガス器具を特定した場合、未確定値を確定流量記憶部における使用中のガス器具の積算流量に加算する。このようにガス器具の一方の停止が判定され、かつそれ以降、まだ継続して器具が使われていると判断した場合、再度使用流量を積算する。そして使用しているガス器具が再度、確認されれば改めて計測していた流量を元の確定した流量に加算する。このように誤判別が起こる可能性のある停止の判定部分でそれまで判っていた使用流量を順次確定していくため、ガス器具ごとの積算ガス流量の測定精度が向上する。また停止判別
を誤認して判断不能の流量値も記憶させて残せるため、システムとしての信頼性を向上することができる。
【0018】
本発明における第7の発明は、第1の発明と同様の流量計測部と器具登録部と第1器具判別部と、流量記憶部と第2器具判別部とを有する流量計測装置である。流量記憶部は総ガス流量変化プロファイルを記憶する。流量計測部が、ガス流量がなくなったことを検知すると、第2器具判別部はガス流量がなくなった時点から遡って流量記憶部が記憶している総ガス流量変化プロファイルと器具登録部に記憶された制御に基づくガス流量変化プロファイルとを比較することで、後から停止したガス器具を特定する。そして第1器具判別部が起動していると判断したガス器具のうち先に停止したガス器具を特定する。この構成でもガス器具が1台だけ使用されている状況においてガス流量変化プロファイルから使用中のガス器具を特定し、その前に停止したガス器具を特定する。そのため、誤判別が起こる可能性のある停止の判定部分でも確実に各ガス器具の使用と停止とを判別することができる。
【0019】
本発明における第8の発明は、第7の発明において、演算部と判定部とをさらに有する流量計測装置である。演算部、判定部は第1の発明におけるものと同様である。この構成では判定部がいずれかのガス器具の停止を判定できる。そのため、さらに精度よく各ガス器具の使用と停止とを判別することができる。
【0020】
本発明における第9の発明は、第8の発明において、判定部がガス器具のいずれか一方が停止したことを判定した場合、流量記憶部はその時点以降の総ガス流量変化プロファイルを記憶する流量計測装置である。この構成では判定部がいずれかのガス器具の停止を判定できる。そのため、流量記憶部はその前後で総ガス流量変化プロファイルを記憶していればよく、必ずしもガス流量がなくなるまで総ガス流量変化プロファイルを記憶する必要がなくなる。そのため流量記憶部の記憶容量を小さくすることができる。
【0021】
本発明における第10の発明は、第8の発明において、器具流量積算部をさらに有する流量計測装置である。器具流量積算部は第1器具判別部により判別された第1ガス器具、第2ガス器具ごとに使用流量を求める。また第10の発明では、流量記憶部は器具流量積算部で求めたそれぞれの積算流量を記憶する。さらに流量記憶部は、確定流量記憶部と未確定流量記憶部とを有する。確定流量記憶部は第1ガス器具、第2ガス器具が同時に使用されているときに、判定部がガス器具のいずれかの停止を判定した時点で、器具流量積算部が起動したと判定していたガス器具のそれぞれの積算流量を確定値として記憶する。未確定流量記憶部は停止判定時点から継続して流量計測部の計測値が所定流量以上の場合、その流量積算値を未確定値として記憶する。そして第2器具判別部は、流量計測部が未確定値を計測した場合に、未確定値に起因するガス器具を特定する。このように停止判定時点までのガス器具別の使用流量を一旦確定値として記憶する。そのためガス器具ごとの積算ガス流量の測定精度が向上する。
【0022】
本発明における第11の発明は、第10の発明において、未確定流量記憶部に所定量以上の値が記憶されている場合、第2器具判別部は未確定値に起因するガス器具を特定する流量計測装置である。未確定値がガス器具の使用によるものであることを判定できるため、第2器具判別部によるガス器具特定の誤判定を防止することができる。
【0023】
本発明における第12の発明は、第10の発明において、制御部をさらに有する流量計測装置である。制御部は未確定流量記憶部に未確定値が記憶され、第2器具判別部が使用中のガス器具を特定した場合、未確定値を確定流量記憶部における使用中のガス器具の積算流量に加算する。このようにガス器具の一方の停止が判定され、かつそれ以降、まだ継続して器具が使われていると判断した場合、再度使用流量を積算する。そして使用してい
るガス器具が再度、確認されれば改めて計測していた流量を元の確定した流量に加算する。このように誤判別が起こる可能性のある停止の判定部分でそれまで判っていた使用流量を順次確定していくため、ガス器具ごとの積算ガス流量の測定精度が向上する。また停止判別を誤認して判断不能の流量値も記憶させて残せるため、システムとしての信頼性を向上することができる。
【0024】
本発明における第13の発明は、第7の発明において、器具登録部がガス流量変化プロファイルとして、第1ガス器具、第2ガス器具のそれぞれのガス流量の制御登録値と、使用流量範囲との少なくともいずれかを記憶している流量計測装置である。そして第2器具判別部はガス流量の制御登録値と第2ガス器具の使用流量範囲との少なくともいずれかを用いて後から停止したガス器具を特定する。ガス流量変化プロファイルとして具体的には上述の判定基準を用いることができる。そして、停止判別に誤りがあっても訂正することが可能となりガス器具の計算流量精度を向上することができる。
【0025】
本発明における第14の発明は、第7の発明において、計時部をさらに有する流量計測装置である。計時部は第1器具判別部により第1ガス器具、第2ガス器具のいずれかが起動したと判断した時点から、各ガス器具の使用継続時間を計測する。そして第2器具判別部は、計時部の計測した使用継続時間により後から停止したガス器具を特定する。このようにガスの使用継続時間をガス流量変化プロファイルとして用いることができる。そして、停止判別に誤りがあっても訂正することが可能となりガス器具の計算流量精度を向上することができる。
【0026】
本発明における第15の発明は、第1から14のいずれか1つの発明において、流量計測部が超音波流量計を含む流量計測装置である。流量計測部が瞬時流量計測器としての超音波流量計を含むことにより、一定時間ごとの瞬時計測を容易に行うことができる。
【0027】
本発明における第16の発明は、家庭用ガス供給管と、このガス供給管に接続された第1から15のいずれか1つの発明の流量計測装置とを有するガス供給システムである。このようにガス供給システムを構築することで、ガス事業者が用意した新料金メニューなどを利用することができ、ガス拡販やガス器具拡販を図ることが可能となる。
【0028】
本発明における第17、18の発明はそれぞれ第1、7の発明の流量計測装置で実行されるガス器具特定方法である。
【0029】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。しかしながら本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0030】
(実施の形態)
図1は本発明の実施の形態における流量計測装置の構成を示す機能ブロック図である。流量計測装置1はガス供給管20の途中に設けられ、その下流側の流路15である配管には各需要家宅内に設置された2台以上のガス器具である器具31〜33が接続されている。器具31〜33はそれぞれ流路15に接続された第1ガス器具、第2ガス器具、第3ガス器具である。
【0031】
流量計測装置1内部には、流路15内に設けられたガス遮断弁2、流量計測部3、表示部4、感震器5、演算部6、制御部11が設けられている。流量計測部3は流路15内を流れるガス流量を計測し検出した流量信号を制御部11へ送る。制御部11は演算部6へ流量信号を送り、演算部6はこの流量信号を演算処理して使用ガス流量を求める。また演算部6は流量計測部3から出力される流量値データの差分値を求める。そして制御部11は、求められた使用ガス流量は月別使用量あるいは積算総使用量など、任意の表示形態で
表示部4を介して表示する。感震器5は地震などの振動を検出し、感震器5が所定値以上の振動を検知すると制御部11はガス遮断弁2を作動させ流路15を遮断する。
【0032】
さらに流量計測装置1は、器具登録部7、判定部16、第1器具判別部8A、第2器具判別部8Bを内蔵している。器具登録部7は器具31、32、33のそれぞれの、少なくとも起動時のガス流量変化プロファイルと各ガス器具に特有の制御に基づくガス流量変化プロファイルとを記憶する。ここでガス流量変化プロファイルとは、後述するガス流量の差分値、絶対流量の変化量、流量を時間軸に対してプロットした場合の流量変化形状、あるいは流量変化の周期性などを含む。そして流量変化形状は、短時間における形状と長時間における形状を含む。短時間における流量変化形状は、オーバーシュート、傾き(変化率)や制御値などを含む。またガス器具に特有の制御の具体例については後述する。
【0033】
判定部16は演算部6で求めた差分値と予め設定した変化判定値とを比較し、差分値が変化判定値より大きいとき、器具31〜33の少なくともいずれかの状態が変化したと判定する。第1器具判別部8Aは流量計測部3が計測したガス流量変化プロファイルと、器具登録部7に記憶された起動時のガス流量変化プロファイルとを比較することで、起動しているガス器具を特定する。また演算部6の求めた差分値から、判定部16は器具31〜33のいずれかが停止したことを検知する。第2器具判別部8Bはこの停止検知時点以降のガス流量変化プロファイルを器具登録部7に記憶された各ガス器具に特有の制御に基づくガス流量変化プロファイルと比較する。これにより、使用中のガス器具が器具31〜33のいずれであるかを特定する。そして第1器具判別部8Aが起動していると判断したガス器具のうち停止したガス器具がどれであるかを特定する。すなわち器具31と器具32が起動すれば第1器具判別部8Aはこれらの器具が起動したことを特定する。そして先に器具31が停止すれば、第2器具判別部8Bは、例えば器具32が使用中であることを特定するとともに、停止したのが器具31であることを特定する。
【0034】
より具体的には、さらに器具流量積算部9と流量記憶部10が設けられている。器具流量積算部9は第1器具判別部8Aにより判別されたガス器具ごとに使用流量を求める。流量記憶部10は、確定流量記憶部10Aと未確定流量記憶部10Bを有する。これらの機能については後述する。なお制御部11は各部を有機的に関連付けて制御することでガス器具判別機能を有効に作用させたり、各種異常処理を実行したりする。また、それらの動力源となる電池(図示せず)も内蔵されている。
【0035】
器具登録部7には、流量変化が起こったかどうかの判定基準となる変化判定値と各器具の一連の燃焼状態の変化点(起動、制御、停止)での判定値がガス流量変化プロファイルとして記録されている。器具登録部7には半導体メモリ以外に、記録の追加、書き換えができるものであれば、磁気記録媒体その他でも構成可能である。
【0036】
流量計測部3は、瞬時流量計測器としての超音波流量計を含んでいる。超音波流量計を含むことにより、一定時間ごとの瞬時計測を容易に行うことができる。しかしながら流量計測部3はこれに限定されない。計測方式としては、他の流量計測方式でもフルディック方式などの短時間に一定サイクルで連続計測可能であれば使用可能である。
【0037】
ここで、流量計測部3を構成する超音波方式の流速計測に関して図2を用いて説明する。図2は本実施の形態による流量計測装置の流量計測部の構成図である。流路15内に設けられた計測流路12は矩形断面を有し、計測流路12のガスの流れる方向と直角方向にある壁面には計測流路12を挟んで一対の超音波送受信器13、14が設けられている。超音波送受信器13、14は計測流路12の上流側と下流側で角度φを有して斜めに対向して装着されている。そして、流量計測部3の計測制御部(図示せず)は、超音波送受信器13、14間で交互に超音波を送受信させる。これにより計測制御部は、流体の流れに
対して順方向の超音波の伝搬時間と逆方向の超音波の伝搬時間との差を、一定時間間隔を置いて計り、伝搬時間差信号として出力する。この伝搬時間差信号を受けて流量計測部3は被計測流体の流速及び流量を算出する。
【0038】
演算式を下記に示す。図2においてLは測定距離であり、t1を上流からの伝達時間、t2を下流からの伝達時間、Cを音速とすると、流速Vは(1)式で求めることができる。
【0039】
【数1】
【0040】
計測の時間間隔は超音波の送受信が可能な範囲で設定できるが、本実施の形態では2秒間隔で計測を行っている。さらに時間間隔を小さくすることは測定原理上可能である。ガス器具によっては2秒より短時間で起動する器具もあるため、測定時間間隔を小さくすることは器具判別を瞬時に行う点では有利となる。例えば従来のガスメータで使用している膜式方式では、計測間隔が2桁オーダーの秒数間隔である。一方、計測間隔を短くすると電池の消耗が大きくなるなどの課題がある。また計測間隔が2桁オーダーの秒数間隔になると、以下に説明するアルゴリズムにおいて流量変化の差分からガス器具の状態変化を判断することが困難になる。このような理由を考慮し、コストや器具判別の性能面からバランスのよい時間として本実施の形態では2秒間隔で計測を行っている。
【0041】
次に、ガス器具の動作の判別手順について図3を用いて説明する。図3は本発明の実施の形態による流量計測装置におけるガス器具の起動判別動作のフローチャートである。
【0042】
流量計測装置1は上述のように2秒間隔でガス流量を計測し、そのデータを演算部6に送る(S01)。演算部6は2秒ごとの流量の差分データを出力する(S02)。この差分データは逐次、制御部11に設けられた比較判定部(図示せず)に送られ、器具登録部7に登録されている変化判定値との比較を行っている(S03)。この比較結果において差分値が略0の状態から変化判定値を超えた場合、制御部11はいずれかの器具31〜33が起動したと判断する。
【0043】
図4に具体的なガス器具使用時のガス流量の変化と差分値の変化を示す。実線が流量計測部3により測定されたガスの流量値を示し、破線がそのときの微分値、すなわち、2秒ごとの差分値を示す。ガス器具の起動時には、差分値はプラス側にピークをもって表現され、停止時にはマイナス側にピークをもって表現される。そして図3に示すように差分値の変化がある変化判定値以上の場合、第1器具判別部8Aはガス器具の起動判定値と差分値の変化の大きさを比較し(S04)、一致した起動判定値に対応するガス器具が起動したと特定する(S05)。
【0044】
器具登録部7に登録されている起動判定値の参照テーブルの例を図5に示す。器具Aは、例えばファンヒータであり、器具Bは、例えばガスコンロである。また器具Cは、例えば床暖房であり、器具Dは、例えば給湯器である。
【0045】
次にガスの燃焼量変化に伴う状態変化の判定について説明する。ガス器具において、ガスの燃焼量を変化させる制御動作があった場合、ガス流量が変化する。図6に示すようにその変化プロファイルはガス器具により、それぞれ特徴を有する。特に変化時間はガス器具の制御の方式により異なるため、その変化時間を特定することで器具の特定も可能となる。なお図6(a)は図5における器具Aの変化プロファイル、図6(b)は器具Bの変化プロファイルを示している。
【0046】
図7は図6のデータの差分値を示す。なお図7における▽マークはカウント発生ポイントを示し、2秒ごとに差分値の絶対量が所定以上ある箇所を指す。制御部11は▽の数をカウントする。
【0047】
図8のフローチャートに示すように上記した差分値のデータは順次、第1器具判別部8Aに送られ、第1器具判別部8Aはこの差分データを器具登録部7に登録されている判定値と比較する(S13)。差分値が負の値で、かつ判定値QBより大きいか、または正の値で、かつ判定値QAより小さい場合(Yes)、制御部11の図示しないカウンタが作動する(S14)。そして制御はS02に戻り、次回以降の差分値も判定値を連続して超えている間は2秒ごとにカウンタの計測数が増分される。
【0048】
ガス流量の変化がなくなり差分値が判定値以下になれば(No)、制御部11はS15でカウント数が0でないことを確認して、それまでカウントされた数を出力する。第1器具判別部8Aはその数を器具登録部7に登録された参照テーブルと比較し(S16)、どのガス器具に状態変化であったか判断する(S17)。器具登録部7には例えば図9に示すような値が記憶されている。なお、図8におけるQA、QBは流量変化を起動、停止と制御とを区分するためのしきい値であり、その値は使用器具により決まっている。
【0049】
このように、一旦、ガス器具の起動が確認されると、流量変化があった場合でも流量変化したガス器具を特定できる。しかも流量変化前後の流量変化量を求めることができる。そのため、演算部6により判定されたガス器具の変化前のガス流量に対して、器具流量積算部9は特定した変化流量を加減算し、特定器具の流量を常に確定させる(S18)。したがって、使用しているガス器具が複数台あってもどのガス器具がどれだけガス量を使っているかを正確に求めることが可能である。すなわちガス器具ごとの使用ガス量は、瞬時の使用流量値を演算部6が計算する差分値の加算により求めている。
【0050】
次に停止時の判別について図10のフローチャートを用いて説明する。差分値が負の値で、停止判別の基準値QB以下になった場合、ステップS03を経て、第2器具判別部8Bはガス器具の停止判定値と差分値の大きさを比較する(S24)。そしてその差分値の絶対量に近い値で動作していたとされるガス器具を停止候補とし(S25)、停止判定値に対応する器具が停止したと特定する(S26)。このような停止判定値は器具登録部7に記憶されている。
【0051】
例えば図11の特性図は、器具31、32、33を同時に使用したときの流量値と差分値を示す。このように複雑な流量変化プロファイルでも第1器具判別部8A、第2器具判別部8Bは、器具31、32、33の起動時と停止時の変化を読み取ることができる。なお第1器具判別部8A、第2器具判別部8Bは一体に構成してもよい。
【0052】
なお、制御部11は判別結果の情報を表示部4に表示する。あるいは、制御部11は、外部の端末機(図示せず)へこの情報を転送し表示してもよい。また、外部の端末機への情報転送の通信は有線、無線いずれの構成も可能である。
【0053】
しかしながら、2つのガス器具の停止判定値が近い場合、第2器具判別部8Bはどちらのガス器具が停止したか、誤判断する可能性がある。図12は本実施の形態による流量計測装置における2つのガス器具が動作しているときに測定される流量変化の概念図を示す。なお、各ガス器具の起動判別動作の説明は上述のとおりであるので省略する。
【0054】
2つの器具31、32が動作していて図12に示すように器具32が停止した場合に、A時点での動作中の器具31、32の流量がほぼ等しく、どちらが停止したか判断しづら
い場合がある。このような場合、第2器具判別部8Bは上述の方法とは異なる方法で停止したガス器具を特定する。その一例を、図13のフローチャートを用いて説明する。
【0055】
第2器具判別部8BはA時点以降のガス流量変化プロファイルを器具登録部7に記憶された停止時におけるガス流量変化プロファイルと比較する。まず第2器具判別部8Bは制御判定において説明したように、器具登録部7に記憶された制御に基づくガス流量プロファイルの有無を調べる(S41)。具体例を、図14を用いて説明する。図14では器具31がファンヒータ、器具32がガスコンロである。ファンヒータである器具31のガス使用流量は、例えば部分40のように、なだらかに変化する。このようにガス器具特有のガスの燃焼制御に伴うガス流量プロファイルが現れた場合、第2器具判別部8Bはそのガス流量プロファイルを有するガス器具が動作していると判断する。具体的には器具登録部7にガス器具ごとのガス流量の制御登録値を記憶させておき、第2器具判別部8Bはそれを実際のガス流量変化と比較する。
【0056】
次にこのような制御に基づくガス流量プロファイルが現れない場合、第2器具判別部8Bはその時点のガス流量を器具登録部7に記憶されたガス器具ごとの使用流量範囲と比較する(S42)。そして一致する使用流量範囲に対応するガス器具が動作していると判断する。器具登録部7には図15に示す参照テーブルが記憶されている。このように、ガス器具の種類によって使用流量範囲は決っている。
【0057】
例えば流量計測部3の計測流量が30L/hであった場合、ガスコンロ単体での使用しか有り得ない流量であるので、この場合もガス器具を特定できる。
【0058】
しかしながら、流量計測部3の計測流量が100L/hであった場合、第2器具判別部8Bは動作中のガス器具が器具Aであるか器具Bであるか判断できない。このような場合、第2器具判別部8Bは、図16に示すような各ガス器具の使用流量範囲と連続使用時間で区分されるテーブルを、図17に示す各ガス器具が起動してから停止するまでの時間とを比較する(S43)。このように各ガス器具が起動してから停止するまでの時間を計測するために、図1に示す計時部17を設けることが好ましい。すなわち計時部17は第1器具判別部8Aにより各ガス器具が起動したと判断した時点から、それらのガス器具の使用継続時間を計測する。
【0059】
このような構成により第2器具判別部8Bはガス器具停止検知時点以降のガス流量変化プロファイルを器具登録部7に記憶されたガス器具特有の制御に基づくガス流量変化プロファイルと比較する。そして使用中のガス器具が器具31、32のいずれであるかを特定する。すなわち、図14に示す制御プロファイルや図15、図16に示す参照テーブルは器具登録部7に記憶されたガス器具特有の制御に基づくガス流量変化プロファイル(制御登録値)である。なお、上記の判別方法は一例であり、例えば順序を入れ替えてもよい。またどれか1つだけを実施してもよい。
【0060】
なお上述の構成では、流量計測部3の計測したガス流量の変化から演算部6が差分値を求め、算出された差分値から判定部16がガス器具の停止を検知する。そして第2器具判別部8Bは、判定部16による停止検知時点以降のガス流量変化プロファイルを器具登録部に記憶されたガス器具特有の制御に基づくガス流量変化プロファイルと比較する。しかしながら本発明はこの構成に限定されない。図1のように流量記憶部10を設け、流量記憶部10が総ガス流量変化プロファイルを記憶する構成でもよい。この場合、流量計測部3が、ガス流量がなくなったことを検知すると、第2器具判別部8Bはガス流量がなくなった時点から遡って流量記憶部10が記憶している総ガス流量変化プロファイルと器具登録部7に記憶された制御に基づくガス流量変化プロファイルとを比較することで、後から停止したガス器具を特定する。そして第1器具判別部8Aが起動していると判断したガス
器具のうち先に停止したガス器具を特定する。なお起動判別には、演算部6がガス流量の差分値を求め、判定部16がいずれかのガス器具が起動したことを検知するとしたが、必ずしもこの構成は不可欠ではない。図11に示すように大幅な流量増加があった場合に起動判別をすることもできる。
【0061】
この構成でもガス器具が1台だけ使用されている状況においてガス流量変化プロファイルから使用中のガス器具を特定し、その前に停止したガス器具を特定する。そのため、誤判別が起こる可能性のある停止の判定部分でも確実に各ガス器具の使用と停止とを判別することができる。
【0062】
しかしながら演算部6がガス流量の差分値を求め、判定部16を設け、いずれかのガス器具が起動したことを検知することが好ましい。この構成により判定部16がいずれかのガス器具の停止を判定できる。そのため、さらに精度よく各ガス器具の使用と停止とを判別することができる。また流量記憶部10はその前後で総ガス流量変化プロファイルを記憶していればよくなる。すなわち流量記憶部10は必ずしもガス流量がなくなるまで総ガス流量変化プロファイルを記憶する必要がなくなる。そのため流量記憶部10の記憶容量を小さくすることができる。
【0063】
次に上述のように停止時のガス器具判別が困難な場合に、各ガス器具の使用ガス量(積算流量)を確定する方法を説明する。
【0064】
ガス器具の停止判別を間違った場合、ガス器具ごとの使用した流量の判定を誤ることになる。そのため本実施の形態では、一旦、図18に示すように、全ての動作中のガス器具の積算流量をいずれかのガス器具が停止したA時点で確定させる。そしてA時点以降さらに流量が計測されている場合はいずれかの器具が作動中であるためその積算流量を未確定値とする。そして上述のように別のロジックで未確定値がどのガス器具で使用されているガス量なのかを後で確定する。
【0065】
このようにすることで、少なくともA時点までの各ガス器具の使用積算流量は正確に担保できる。さらにはA時点以降の使用ガス器具についても第2器具判別部8Bにより確定させることができる。そのため停止によるガス器具の誤判別による使用積算流量の判別精度低下を防ぐことが可能となる。
【0066】
次に、未確定流量の確定方法について図19のフローチャートを参照しながら説明する。複数のガス器具動作中に流量変化が起こり、演算部6により計算されている差分値が停止の判別に合致し、器具停止が発生した場合、まず器具の停止候補を決める必要がある。これには前述のとおり、第2器具判別部8Bが発生した差分値の大きさと各ガス器具の停止判定値とを比較する(S24)。この時点で器具候補が複数なければ器具を特定して制御は終了する(S36)。器具候補が複数ある場合、差分値の大きさに近い停止判定値に対応するガス器具が停止したと判断し、それ以外のガス器具は継続して使用されていると見なす。それらのガス器具については、器具流量積算部9が引き続き流量を加算(積算)し続ける。停止した器具については、その時点で流量を積算しなくなる。
【0067】
停止時の差分値の大きさとほぼ同一の停止判定値が2つある場合、どちらのガス器具を停止候補とするか判定するのは差分値だけでは困難である。そのため、判定部16がガス器具のいずれかの停止を判定した時点で、一旦、その2つのガス器具のその時点までの積算流量を確定させる(確定値)。そして確定流量記憶部10Aがガス器具ごとの積算流量を確定値として記憶する(S37)。未確定流量がなければ全器具が停止したと判断する(S39)。
【0068】
この時点でどのガス器具の流量かわからない未確定流量が1つ発生すると、この流量についてはどの器具のものか判定できるまでその積算値を未確定流量記憶部10Bが未確定値として記憶する。そして未確定値がどのガス器具の使用ガス量であるか判定するための再判別が開始される。すなわち第2器具判定部8Bが上述のように使用中のガス器具、すなわち未確定値に起因するガス器具を特定する(S40)。
【0069】
確定流量記憶部10Aには、流路15に接続されたガス器具の数だけ記憶領域が確保されている。そして各記憶領域は各ガス器具に帰属された確定値を記憶する。未確定値は未確定流量記憶部10Bに保持される。再判別により未確定値の帰属するガス器具が特定された後、制御部11は、確定流量記憶部10Aで既に確定されているガス器具の確定値に未確定値を加算する。すなわち流量記憶部10の確定流量記憶部10Aの中身を書き換える。
【0070】
このようにして、本実施の形態においては、機器別、機能別のガス使用量を算出することが可能である。さらには機器・機能別の使用ガス流量に対して個別の料金が課金できるように個別流量に対する料金演算部(図示せず)を設けることでガス事業者の設定により器具・機能別の任意の料金を算出することも可能である。
【0071】
また、提供しうるサービスの例として、一つに新たなガス料金体系として、暖房器具だけに割引制度を適用することが考えられ、消費者にとってはガス料金に割安感が出て、暖房機の長時間使用によりガス事業社のガス拡販及びさらには機器の増販に繋げることもできる。
【0072】
なお未確定流量記憶部10Bに所定量以上の値が記憶されている場合に、第2器具判別部8Bが未確定値に起因するガス器具を特定することが好ましい。このようにすれば未確定値が微小なガスの漏洩やノイズによるものではなくガス器具の使用によるものであることを判定できる。そのため、第2器具判別部8Bによるガス器具特定の誤判定を防止することができる。
【0073】
なお起動判定には図6、図7を用いて説明した差分のカウント数を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明の流量計測装置とこれを用いたガス供給システム、ガス器具特定方法は、複数のガス器具が動作中に少なくとも1台の器具が停止し、その器具の判定が困難であった場合でも、流量の判定精度を極力高くすることができる。そのため、器具判別情報を用いた保安機能や各種サービスに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施の形態における流量計測装置の構成を示す機能ブロック図
【図2】同流量計測装置の流量計測部の構成図
【図3】同流量計測装置におけるガス器具の起動判別のフローチャート
【図4】同流量計測装置における計測流量値と差分値の関係を示す特性図
【図5】同流量計測装置における起動判定値の一例を示す図
【図6】同流量計測装置におけるガス流量波形の概念図
【図7】同流量計測装置におけるガス流量の差分波形の概念図
【図8】同流量計測装置におけるガス器具の流量制御判別のフローチャート
【図9】同流量計測装置における流量制御判別の判定値の一例を示す図
【図10】同流量計測装置におけるガス器具の停止判別のフローチャート
【図11】同流量計測装置における計測流量値と差分値の関係を示す特性図
【図12】同流量計測装置における複数器具動作における流量概念図
【図13】同流量計測装置における引き続き使用中のガス器具を特定するためのフローチャート
【図14】同流量計測装置におけるガス器具特定の一例を示す流量波形概念図
【図15】同流量計測装置におけるガス器具特定の一例を示す図
【図16】同流量計測装置におけるガス器具特定の他の例を示す図
【図17】同流量計測装置におけるガス器具特定の他の例を示す流量波形概念図
【図18】同流量計測装置における、複数ガス器具動作時の流量区分概念図
【図19】同流量計測装置における、複数ガス器具の停止時の積算流量算出のフローチャート
【図20】従来の流量計測装置のガス器具ごとの積算流量判別方法を説明するための概念図
【図21】従来の流量計測装置のガス器具ごとの積算流量判別方法におけるデータ構成の一例を示す図
【符号の説明】
【0076】
1 流量計測装置
2 ガス遮断弁
3 流量計測部
4 表示部
5 感震器
6 演算部
7 器具登録部
8A 第1器具判別部
8B 第2器具判別部
9 器具流量積算部
10 流量記憶部
10A 確定流量記憶部
10B 未確定流量記憶部
11 制御部
12 計測流路
13,14 超音波送受信器
15 流路
16 判定部
17 計時部
20 ガス供給管
31,32,33 器具
40 部分
【技術分野】
【0001】
本発明は、各家庭でのガス供給管の入り口部分に設置され、ガス流量を計測するガスメータに適用される流量計測装置に関する。特にこのようなガスメータを応用して、ガス器具別料金などの使用器具やその使い方に合わせた新料金やサービスを提供するために使用中のガス器具を判別する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に各家庭にはガス供給ラインの入り口にガスの流量計測装置を内蔵したガスメータが取り付けられている。またガス器具別に料金を設定する料金体系が実施されている。従来のガスメータを用いてこのような料金体系に対応する場合、ガスメータに接続された複数の積算装置を用いる。そして特定の時間使用された場合の積算流量や特定の範囲の流量が使用されている場合の積算値を求める。すなわち時間区分別流量や流量区分別流量を求める。その積算値により料金体系が決められる。
【0003】
料金体系の一例について図20を用いて説明する。ガス器具別料金体系では予め所定の割引流量区分と所定の割引時間帯が設定され、その割引流量区分かつ割引時間帯に該当する流量のガス料金が割引対象となる。すなわち図20において斜線で区分された部分が割引対象となる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、この方法では、器具の特定判断が曖昧である。そのため、特定器具に対して料金を課金するなどの、消費者によりわかりやすく利便性のある料金設定を行うことは困難である。そこで、特定の器具を判別するための方法として、以下に示すような方法が提案されている。
【0005】
図21は、あるガス器具の起動時のガス流量変化プロファイルとそのプロファイルをもとにプロファイルマッチングを行うための参照値(プロファイルテーブル)を示す。このプロファイルテーブルを用い、ガスメータの流量計測装置により計測された流量値の変化とプロファイルテーブルを常に比較しながらマッチングするものを抽出することで、ガス器具が特定される(例えば、特許文献2参照)。すなわちこのプロファイルテーブルは1つのガス器具の燃焼制御に伴って発生する一連のガスの流量変化プロファイル分用意する必要がある。また各家庭で使われているガス器具の総台数分必要になる。
【特許文献1】特開2002−71421号公報
【特許文献2】特開2003−149027号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の構成においてガス器具の停止を判定する場合、流量変化があったことを検知してガス器具の停止の有無が判別される。しかしながら、ガス器具が複数台動いている場合、どのガス器具が停止したのかを判別することは、場合によっては困難である。すなわち一般的には各ガス器具の動作流量が正確に把握されていれば、停止により減少した流量と動作流量とを比較すればどのガス器具が停止したのかを判別することができる。しかしながら、たまたま2台のガス器具の動作流量がほぼ同じ場合、停止を誤判定する可能性が高くなる。そのためそのガス器具で使われた流量の判別精度が低下する。このように、ガス器具判別の信頼性に不透明さが残ってしまうという課題を有している。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するもので、複数台のガス器具が動作中に1台の器具が停止し、その器具の判定が困難であった場合でも、流量の判定精度を極力高くすることを可
能とした流量計測装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の流量計測装置は、流量計測部と器具登録部と演算部と判定部と第1器具判別部と第2器具判別部とを有する。流量計測部は流路内を流れるガス流量を計測する。器具登録部はこの流路に接続された第1ガス器具、第2ガス器具のそれぞれの、少なくとも起動時のガス流量変化プロファイルと、第1ガス器具、第2ガス器具のそれぞれに特有の制御に基づくガス流量変化プロファイルとを記憶する。演算部は流量計測部から出力される流量値データの差分値を求める。判定部は演算部で求めた差分値と予め設定した変化判定値とを比較し、差分値が変化判定値より大きいとき、第1ガス器具、第2ガス器具の状態が変化したと判定する。第1器具判別部は流量計測部が計測したガス流量変化プロファイルと、器具登録部に記憶された起動時のガス流量変化プロファイルとを比較することで、起動している第1ガス器具、第2ガス器具を特定する。また流量計測部の計測したガス流量の変化から演算部は差分値を求め、算出された差分値から判定部は第1ガス器具と第2ガス器具のいずれか一方の停止を検知する。すると、第2器具判別部は停止検知時点以降のガス流量変化プロファイルを器具登録部に記憶された制御に基づくガス流量変化プロファイルと比較する。これにより、使用中のガス器具を特定するとともに、第1器具判別部が起動していると判断したガス器具のうち停止したガス器具を特定する。
【0009】
また本発明の流量計測装置は、上述と同様の流量計測部と器具登録部と第1器具判別部と、流量記憶部と第2器具判別部とを有する。流量記憶部は総ガス流量変化プロファイルを記憶する。流量計測部が、ガス流量がなくなったことを検知すると、第2器具判別部はガス流量がなくなった時点から遡って流量記憶部が記憶している総ガス流量変化プロファイルと器具登録部に記憶された制御に基づくガス流量変化プロファイルとを比較することで、後から停止したガス器具を特定する。そして第1器具判別部が起動していると判断したガス器具のうち先に停止したガス器具を特定する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の流量計測装置は、複数のガス器具が動作中に1台のガス器具が停止し、その器具の判定が停止時のガス流量変化だけでは困難な場合でも、ガス器具を特定することできる。
【0011】
また、ガス器具判別を精度よく行うことができるためガス事業者などが用意した新料金メニューなどを利用することができる。また、ガス器具判別機能の更新はガスメータの仕様を変えることなく行えるため、将来的な機器機能のメンテナンスも容易に行うことも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明における第1の発明は、流量計測部と器具登録部と演算部と判定部と第1器具判別部と第2器具判別部とを有する流量計測装置である。流量計測部は流路内を流れるガス流量を計測する。器具登録部はこの流路に接続された第1ガス器具、第2ガス器具のそれぞれの、少なくとも起動時のガス流量変化プロファイルと、第1ガス器具、第2ガス器具のそれぞれに特有の制御に基づくガス流量変化プロファイルとを記憶する。演算部は流量計測部から出力される流量値データの差分値を求める。判定部は演算部で求めた差分値と予め設定した変化判定値とを比較し、差分値が変化判定値より大きいとき、第1ガス器具、第2ガス器具の状態が変化したと判定する。第1器具判別部は流量計測部が計測したガス流量変化プロファイルと、器具登録部に記憶された起動時のガス流量変化プロファイルとを比較することで、起動している第1ガス器具、第2ガス器具を特定する。また流量計測部の計測したガス流量の変化から演算部は差分値を求め、算出された差分値から判定部
は第1ガス器具と第2ガス器具のいずれか一方の停止を検知する。すると、第2器具判別部は停止検知時点以降のガス流量変化プロファイルを器具登録部に記憶された制御に基づくガス流量変化プロファイルと比較する。これにより、使用中のガス器具を特定するとともに、第1器具判別部が起動していると判断したガス器具のうち停止したガス器具を特定する。このようにガス器具1台だけが使用されている状況においてガス流量変化プロファイルから使用中のガス器具を特定し、その前に停止したガス器具を特定する。そのため、誤判別が起こる可能性のある停止の判定部分でも確実に各ガス器具の使用と停止とを判別することができる。
【0013】
本発明における第2の発明は、第1の発明において、器具登録部がガス流量変化プロファイルとして、第1ガス器具、第2ガス器具のそれぞれのガス流量の制御登録値と、使用流量範囲との少なくともいずれかを記憶している流量計測装置である。そして第2器具判別部はガス流量の制御登録値と使用流量範囲との少なくともいずれかを用いて使用中のガス器具を特定する。ガス流量変化プロファイルとして具体的には上述の判定基準を用いることができる。そして、停止判別に誤りがあっても訂正することが可能となりガス器具の計算流量精度を向上することができる。
【0014】
本発明における第3の発明は、第1の発明において、計時部をさらに有する流量計測装置である。計時部は、第1器具判別部により第1ガス器具、第2ガス器具が起動したと判断した時点から、各ガス器具の使用継続時間を計測する。そして第2器具判別部は、計時部の計測した使用継続時間により使用中のガス器具を特定する。このようにガスの使用継続時間をガス流量変化プロファイルとして用いることができる。そして、停止判別に誤りがあっても訂正することが可能となりガス器具の計算流量精度を向上することができる。
【0015】
本発明における第4の発明は、第1の発明において、器具流量積算部と流量記憶部とをさらに有する流量計測装置である。器具流量積算部は第1器具判別部により判別された第1ガス器具、第2ガス器具ごとに使用流量を求める。流量記憶部は器具流量積算部で求めたそれぞれの積算流量を記憶する。さらに流量記憶部は、確定流量記憶部と未確定流量記憶部とを有する。確定流量記憶部は第1ガス器具、第2ガス器具が同時に使用されているときに、判定部がガス器具のいずれかの停止を判定した時点で、第1器具判別部が起動したと判定していたガス器具のそれぞれの積算流量を確定値として記憶する。未確定流量記憶部は停止判定時点から継続して流量計測部の計測値が所定流量以上の場合、その流量積算値を未確定値として記憶する。そして第2器具判別部は、流量計測部が未確定値を計測した場合に、未確定値に起因するガス器具を特定する。このように停止判定時点までのガス器具別の使用流量を一旦確定値として記憶する。そのためガス器具ごとの積算ガス流量の測定精度が向上する。
【0016】
本発明における第5の発明は、第4の発明において、未確定流量記憶部に所定量以上の値が記憶されている場合、第2器具判別部は未確定値に起因するガス器具を特定する流量計測装置である。未確定値がガス器具の使用によるものであることを判定できるため、第2器具判別部によるガス器具特定の誤判定を防止することができる。
【0017】
本発明における第6の発明は、第4の発明において、制御部をさらに有する流量計測装置である。制御部は未確定流量記憶部に未確定値が記憶され、第2器具判別部が使用中のガス器具を特定した場合、未確定値を確定流量記憶部における使用中のガス器具の積算流量に加算する。このようにガス器具の一方の停止が判定され、かつそれ以降、まだ継続して器具が使われていると判断した場合、再度使用流量を積算する。そして使用しているガス器具が再度、確認されれば改めて計測していた流量を元の確定した流量に加算する。このように誤判別が起こる可能性のある停止の判定部分でそれまで判っていた使用流量を順次確定していくため、ガス器具ごとの積算ガス流量の測定精度が向上する。また停止判別
を誤認して判断不能の流量値も記憶させて残せるため、システムとしての信頼性を向上することができる。
【0018】
本発明における第7の発明は、第1の発明と同様の流量計測部と器具登録部と第1器具判別部と、流量記憶部と第2器具判別部とを有する流量計測装置である。流量記憶部は総ガス流量変化プロファイルを記憶する。流量計測部が、ガス流量がなくなったことを検知すると、第2器具判別部はガス流量がなくなった時点から遡って流量記憶部が記憶している総ガス流量変化プロファイルと器具登録部に記憶された制御に基づくガス流量変化プロファイルとを比較することで、後から停止したガス器具を特定する。そして第1器具判別部が起動していると判断したガス器具のうち先に停止したガス器具を特定する。この構成でもガス器具が1台だけ使用されている状況においてガス流量変化プロファイルから使用中のガス器具を特定し、その前に停止したガス器具を特定する。そのため、誤判別が起こる可能性のある停止の判定部分でも確実に各ガス器具の使用と停止とを判別することができる。
【0019】
本発明における第8の発明は、第7の発明において、演算部と判定部とをさらに有する流量計測装置である。演算部、判定部は第1の発明におけるものと同様である。この構成では判定部がいずれかのガス器具の停止を判定できる。そのため、さらに精度よく各ガス器具の使用と停止とを判別することができる。
【0020】
本発明における第9の発明は、第8の発明において、判定部がガス器具のいずれか一方が停止したことを判定した場合、流量記憶部はその時点以降の総ガス流量変化プロファイルを記憶する流量計測装置である。この構成では判定部がいずれかのガス器具の停止を判定できる。そのため、流量記憶部はその前後で総ガス流量変化プロファイルを記憶していればよく、必ずしもガス流量がなくなるまで総ガス流量変化プロファイルを記憶する必要がなくなる。そのため流量記憶部の記憶容量を小さくすることができる。
【0021】
本発明における第10の発明は、第8の発明において、器具流量積算部をさらに有する流量計測装置である。器具流量積算部は第1器具判別部により判別された第1ガス器具、第2ガス器具ごとに使用流量を求める。また第10の発明では、流量記憶部は器具流量積算部で求めたそれぞれの積算流量を記憶する。さらに流量記憶部は、確定流量記憶部と未確定流量記憶部とを有する。確定流量記憶部は第1ガス器具、第2ガス器具が同時に使用されているときに、判定部がガス器具のいずれかの停止を判定した時点で、器具流量積算部が起動したと判定していたガス器具のそれぞれの積算流量を確定値として記憶する。未確定流量記憶部は停止判定時点から継続して流量計測部の計測値が所定流量以上の場合、その流量積算値を未確定値として記憶する。そして第2器具判別部は、流量計測部が未確定値を計測した場合に、未確定値に起因するガス器具を特定する。このように停止判定時点までのガス器具別の使用流量を一旦確定値として記憶する。そのためガス器具ごとの積算ガス流量の測定精度が向上する。
【0022】
本発明における第11の発明は、第10の発明において、未確定流量記憶部に所定量以上の値が記憶されている場合、第2器具判別部は未確定値に起因するガス器具を特定する流量計測装置である。未確定値がガス器具の使用によるものであることを判定できるため、第2器具判別部によるガス器具特定の誤判定を防止することができる。
【0023】
本発明における第12の発明は、第10の発明において、制御部をさらに有する流量計測装置である。制御部は未確定流量記憶部に未確定値が記憶され、第2器具判別部が使用中のガス器具を特定した場合、未確定値を確定流量記憶部における使用中のガス器具の積算流量に加算する。このようにガス器具の一方の停止が判定され、かつそれ以降、まだ継続して器具が使われていると判断した場合、再度使用流量を積算する。そして使用してい
るガス器具が再度、確認されれば改めて計測していた流量を元の確定した流量に加算する。このように誤判別が起こる可能性のある停止の判定部分でそれまで判っていた使用流量を順次確定していくため、ガス器具ごとの積算ガス流量の測定精度が向上する。また停止判別を誤認して判断不能の流量値も記憶させて残せるため、システムとしての信頼性を向上することができる。
【0024】
本発明における第13の発明は、第7の発明において、器具登録部がガス流量変化プロファイルとして、第1ガス器具、第2ガス器具のそれぞれのガス流量の制御登録値と、使用流量範囲との少なくともいずれかを記憶している流量計測装置である。そして第2器具判別部はガス流量の制御登録値と第2ガス器具の使用流量範囲との少なくともいずれかを用いて後から停止したガス器具を特定する。ガス流量変化プロファイルとして具体的には上述の判定基準を用いることができる。そして、停止判別に誤りがあっても訂正することが可能となりガス器具の計算流量精度を向上することができる。
【0025】
本発明における第14の発明は、第7の発明において、計時部をさらに有する流量計測装置である。計時部は第1器具判別部により第1ガス器具、第2ガス器具のいずれかが起動したと判断した時点から、各ガス器具の使用継続時間を計測する。そして第2器具判別部は、計時部の計測した使用継続時間により後から停止したガス器具を特定する。このようにガスの使用継続時間をガス流量変化プロファイルとして用いることができる。そして、停止判別に誤りがあっても訂正することが可能となりガス器具の計算流量精度を向上することができる。
【0026】
本発明における第15の発明は、第1から14のいずれか1つの発明において、流量計測部が超音波流量計を含む流量計測装置である。流量計測部が瞬時流量計測器としての超音波流量計を含むことにより、一定時間ごとの瞬時計測を容易に行うことができる。
【0027】
本発明における第16の発明は、家庭用ガス供給管と、このガス供給管に接続された第1から15のいずれか1つの発明の流量計測装置とを有するガス供給システムである。このようにガス供給システムを構築することで、ガス事業者が用意した新料金メニューなどを利用することができ、ガス拡販やガス器具拡販を図ることが可能となる。
【0028】
本発明における第17、18の発明はそれぞれ第1、7の発明の流量計測装置で実行されるガス器具特定方法である。
【0029】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。しかしながら本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0030】
(実施の形態)
図1は本発明の実施の形態における流量計測装置の構成を示す機能ブロック図である。流量計測装置1はガス供給管20の途中に設けられ、その下流側の流路15である配管には各需要家宅内に設置された2台以上のガス器具である器具31〜33が接続されている。器具31〜33はそれぞれ流路15に接続された第1ガス器具、第2ガス器具、第3ガス器具である。
【0031】
流量計測装置1内部には、流路15内に設けられたガス遮断弁2、流量計測部3、表示部4、感震器5、演算部6、制御部11が設けられている。流量計測部3は流路15内を流れるガス流量を計測し検出した流量信号を制御部11へ送る。制御部11は演算部6へ流量信号を送り、演算部6はこの流量信号を演算処理して使用ガス流量を求める。また演算部6は流量計測部3から出力される流量値データの差分値を求める。そして制御部11は、求められた使用ガス流量は月別使用量あるいは積算総使用量など、任意の表示形態で
表示部4を介して表示する。感震器5は地震などの振動を検出し、感震器5が所定値以上の振動を検知すると制御部11はガス遮断弁2を作動させ流路15を遮断する。
【0032】
さらに流量計測装置1は、器具登録部7、判定部16、第1器具判別部8A、第2器具判別部8Bを内蔵している。器具登録部7は器具31、32、33のそれぞれの、少なくとも起動時のガス流量変化プロファイルと各ガス器具に特有の制御に基づくガス流量変化プロファイルとを記憶する。ここでガス流量変化プロファイルとは、後述するガス流量の差分値、絶対流量の変化量、流量を時間軸に対してプロットした場合の流量変化形状、あるいは流量変化の周期性などを含む。そして流量変化形状は、短時間における形状と長時間における形状を含む。短時間における流量変化形状は、オーバーシュート、傾き(変化率)や制御値などを含む。またガス器具に特有の制御の具体例については後述する。
【0033】
判定部16は演算部6で求めた差分値と予め設定した変化判定値とを比較し、差分値が変化判定値より大きいとき、器具31〜33の少なくともいずれかの状態が変化したと判定する。第1器具判別部8Aは流量計測部3が計測したガス流量変化プロファイルと、器具登録部7に記憶された起動時のガス流量変化プロファイルとを比較することで、起動しているガス器具を特定する。また演算部6の求めた差分値から、判定部16は器具31〜33のいずれかが停止したことを検知する。第2器具判別部8Bはこの停止検知時点以降のガス流量変化プロファイルを器具登録部7に記憶された各ガス器具に特有の制御に基づくガス流量変化プロファイルと比較する。これにより、使用中のガス器具が器具31〜33のいずれであるかを特定する。そして第1器具判別部8Aが起動していると判断したガス器具のうち停止したガス器具がどれであるかを特定する。すなわち器具31と器具32が起動すれば第1器具判別部8Aはこれらの器具が起動したことを特定する。そして先に器具31が停止すれば、第2器具判別部8Bは、例えば器具32が使用中であることを特定するとともに、停止したのが器具31であることを特定する。
【0034】
より具体的には、さらに器具流量積算部9と流量記憶部10が設けられている。器具流量積算部9は第1器具判別部8Aにより判別されたガス器具ごとに使用流量を求める。流量記憶部10は、確定流量記憶部10Aと未確定流量記憶部10Bを有する。これらの機能については後述する。なお制御部11は各部を有機的に関連付けて制御することでガス器具判別機能を有効に作用させたり、各種異常処理を実行したりする。また、それらの動力源となる電池(図示せず)も内蔵されている。
【0035】
器具登録部7には、流量変化が起こったかどうかの判定基準となる変化判定値と各器具の一連の燃焼状態の変化点(起動、制御、停止)での判定値がガス流量変化プロファイルとして記録されている。器具登録部7には半導体メモリ以外に、記録の追加、書き換えができるものであれば、磁気記録媒体その他でも構成可能である。
【0036】
流量計測部3は、瞬時流量計測器としての超音波流量計を含んでいる。超音波流量計を含むことにより、一定時間ごとの瞬時計測を容易に行うことができる。しかしながら流量計測部3はこれに限定されない。計測方式としては、他の流量計測方式でもフルディック方式などの短時間に一定サイクルで連続計測可能であれば使用可能である。
【0037】
ここで、流量計測部3を構成する超音波方式の流速計測に関して図2を用いて説明する。図2は本実施の形態による流量計測装置の流量計測部の構成図である。流路15内に設けられた計測流路12は矩形断面を有し、計測流路12のガスの流れる方向と直角方向にある壁面には計測流路12を挟んで一対の超音波送受信器13、14が設けられている。超音波送受信器13、14は計測流路12の上流側と下流側で角度φを有して斜めに対向して装着されている。そして、流量計測部3の計測制御部(図示せず)は、超音波送受信器13、14間で交互に超音波を送受信させる。これにより計測制御部は、流体の流れに
対して順方向の超音波の伝搬時間と逆方向の超音波の伝搬時間との差を、一定時間間隔を置いて計り、伝搬時間差信号として出力する。この伝搬時間差信号を受けて流量計測部3は被計測流体の流速及び流量を算出する。
【0038】
演算式を下記に示す。図2においてLは測定距離であり、t1を上流からの伝達時間、t2を下流からの伝達時間、Cを音速とすると、流速Vは(1)式で求めることができる。
【0039】
【数1】
【0040】
計測の時間間隔は超音波の送受信が可能な範囲で設定できるが、本実施の形態では2秒間隔で計測を行っている。さらに時間間隔を小さくすることは測定原理上可能である。ガス器具によっては2秒より短時間で起動する器具もあるため、測定時間間隔を小さくすることは器具判別を瞬時に行う点では有利となる。例えば従来のガスメータで使用している膜式方式では、計測間隔が2桁オーダーの秒数間隔である。一方、計測間隔を短くすると電池の消耗が大きくなるなどの課題がある。また計測間隔が2桁オーダーの秒数間隔になると、以下に説明するアルゴリズムにおいて流量変化の差分からガス器具の状態変化を判断することが困難になる。このような理由を考慮し、コストや器具判別の性能面からバランスのよい時間として本実施の形態では2秒間隔で計測を行っている。
【0041】
次に、ガス器具の動作の判別手順について図3を用いて説明する。図3は本発明の実施の形態による流量計測装置におけるガス器具の起動判別動作のフローチャートである。
【0042】
流量計測装置1は上述のように2秒間隔でガス流量を計測し、そのデータを演算部6に送る(S01)。演算部6は2秒ごとの流量の差分データを出力する(S02)。この差分データは逐次、制御部11に設けられた比較判定部(図示せず)に送られ、器具登録部7に登録されている変化判定値との比較を行っている(S03)。この比較結果において差分値が略0の状態から変化判定値を超えた場合、制御部11はいずれかの器具31〜33が起動したと判断する。
【0043】
図4に具体的なガス器具使用時のガス流量の変化と差分値の変化を示す。実線が流量計測部3により測定されたガスの流量値を示し、破線がそのときの微分値、すなわち、2秒ごとの差分値を示す。ガス器具の起動時には、差分値はプラス側にピークをもって表現され、停止時にはマイナス側にピークをもって表現される。そして図3に示すように差分値の変化がある変化判定値以上の場合、第1器具判別部8Aはガス器具の起動判定値と差分値の変化の大きさを比較し(S04)、一致した起動判定値に対応するガス器具が起動したと特定する(S05)。
【0044】
器具登録部7に登録されている起動判定値の参照テーブルの例を図5に示す。器具Aは、例えばファンヒータであり、器具Bは、例えばガスコンロである。また器具Cは、例えば床暖房であり、器具Dは、例えば給湯器である。
【0045】
次にガスの燃焼量変化に伴う状態変化の判定について説明する。ガス器具において、ガスの燃焼量を変化させる制御動作があった場合、ガス流量が変化する。図6に示すようにその変化プロファイルはガス器具により、それぞれ特徴を有する。特に変化時間はガス器具の制御の方式により異なるため、その変化時間を特定することで器具の特定も可能となる。なお図6(a)は図5における器具Aの変化プロファイル、図6(b)は器具Bの変化プロファイルを示している。
【0046】
図7は図6のデータの差分値を示す。なお図7における▽マークはカウント発生ポイントを示し、2秒ごとに差分値の絶対量が所定以上ある箇所を指す。制御部11は▽の数をカウントする。
【0047】
図8のフローチャートに示すように上記した差分値のデータは順次、第1器具判別部8Aに送られ、第1器具判別部8Aはこの差分データを器具登録部7に登録されている判定値と比較する(S13)。差分値が負の値で、かつ判定値QBより大きいか、または正の値で、かつ判定値QAより小さい場合(Yes)、制御部11の図示しないカウンタが作動する(S14)。そして制御はS02に戻り、次回以降の差分値も判定値を連続して超えている間は2秒ごとにカウンタの計測数が増分される。
【0048】
ガス流量の変化がなくなり差分値が判定値以下になれば(No)、制御部11はS15でカウント数が0でないことを確認して、それまでカウントされた数を出力する。第1器具判別部8Aはその数を器具登録部7に登録された参照テーブルと比較し(S16)、どのガス器具に状態変化であったか判断する(S17)。器具登録部7には例えば図9に示すような値が記憶されている。なお、図8におけるQA、QBは流量変化を起動、停止と制御とを区分するためのしきい値であり、その値は使用器具により決まっている。
【0049】
このように、一旦、ガス器具の起動が確認されると、流量変化があった場合でも流量変化したガス器具を特定できる。しかも流量変化前後の流量変化量を求めることができる。そのため、演算部6により判定されたガス器具の変化前のガス流量に対して、器具流量積算部9は特定した変化流量を加減算し、特定器具の流量を常に確定させる(S18)。したがって、使用しているガス器具が複数台あってもどのガス器具がどれだけガス量を使っているかを正確に求めることが可能である。すなわちガス器具ごとの使用ガス量は、瞬時の使用流量値を演算部6が計算する差分値の加算により求めている。
【0050】
次に停止時の判別について図10のフローチャートを用いて説明する。差分値が負の値で、停止判別の基準値QB以下になった場合、ステップS03を経て、第2器具判別部8Bはガス器具の停止判定値と差分値の大きさを比較する(S24)。そしてその差分値の絶対量に近い値で動作していたとされるガス器具を停止候補とし(S25)、停止判定値に対応する器具が停止したと特定する(S26)。このような停止判定値は器具登録部7に記憶されている。
【0051】
例えば図11の特性図は、器具31、32、33を同時に使用したときの流量値と差分値を示す。このように複雑な流量変化プロファイルでも第1器具判別部8A、第2器具判別部8Bは、器具31、32、33の起動時と停止時の変化を読み取ることができる。なお第1器具判別部8A、第2器具判別部8Bは一体に構成してもよい。
【0052】
なお、制御部11は判別結果の情報を表示部4に表示する。あるいは、制御部11は、外部の端末機(図示せず)へこの情報を転送し表示してもよい。また、外部の端末機への情報転送の通信は有線、無線いずれの構成も可能である。
【0053】
しかしながら、2つのガス器具の停止判定値が近い場合、第2器具判別部8Bはどちらのガス器具が停止したか、誤判断する可能性がある。図12は本実施の形態による流量計測装置における2つのガス器具が動作しているときに測定される流量変化の概念図を示す。なお、各ガス器具の起動判別動作の説明は上述のとおりであるので省略する。
【0054】
2つの器具31、32が動作していて図12に示すように器具32が停止した場合に、A時点での動作中の器具31、32の流量がほぼ等しく、どちらが停止したか判断しづら
い場合がある。このような場合、第2器具判別部8Bは上述の方法とは異なる方法で停止したガス器具を特定する。その一例を、図13のフローチャートを用いて説明する。
【0055】
第2器具判別部8BはA時点以降のガス流量変化プロファイルを器具登録部7に記憶された停止時におけるガス流量変化プロファイルと比較する。まず第2器具判別部8Bは制御判定において説明したように、器具登録部7に記憶された制御に基づくガス流量プロファイルの有無を調べる(S41)。具体例を、図14を用いて説明する。図14では器具31がファンヒータ、器具32がガスコンロである。ファンヒータである器具31のガス使用流量は、例えば部分40のように、なだらかに変化する。このようにガス器具特有のガスの燃焼制御に伴うガス流量プロファイルが現れた場合、第2器具判別部8Bはそのガス流量プロファイルを有するガス器具が動作していると判断する。具体的には器具登録部7にガス器具ごとのガス流量の制御登録値を記憶させておき、第2器具判別部8Bはそれを実際のガス流量変化と比較する。
【0056】
次にこのような制御に基づくガス流量プロファイルが現れない場合、第2器具判別部8Bはその時点のガス流量を器具登録部7に記憶されたガス器具ごとの使用流量範囲と比較する(S42)。そして一致する使用流量範囲に対応するガス器具が動作していると判断する。器具登録部7には図15に示す参照テーブルが記憶されている。このように、ガス器具の種類によって使用流量範囲は決っている。
【0057】
例えば流量計測部3の計測流量が30L/hであった場合、ガスコンロ単体での使用しか有り得ない流量であるので、この場合もガス器具を特定できる。
【0058】
しかしながら、流量計測部3の計測流量が100L/hであった場合、第2器具判別部8Bは動作中のガス器具が器具Aであるか器具Bであるか判断できない。このような場合、第2器具判別部8Bは、図16に示すような各ガス器具の使用流量範囲と連続使用時間で区分されるテーブルを、図17に示す各ガス器具が起動してから停止するまでの時間とを比較する(S43)。このように各ガス器具が起動してから停止するまでの時間を計測するために、図1に示す計時部17を設けることが好ましい。すなわち計時部17は第1器具判別部8Aにより各ガス器具が起動したと判断した時点から、それらのガス器具の使用継続時間を計測する。
【0059】
このような構成により第2器具判別部8Bはガス器具停止検知時点以降のガス流量変化プロファイルを器具登録部7に記憶されたガス器具特有の制御に基づくガス流量変化プロファイルと比較する。そして使用中のガス器具が器具31、32のいずれであるかを特定する。すなわち、図14に示す制御プロファイルや図15、図16に示す参照テーブルは器具登録部7に記憶されたガス器具特有の制御に基づくガス流量変化プロファイル(制御登録値)である。なお、上記の判別方法は一例であり、例えば順序を入れ替えてもよい。またどれか1つだけを実施してもよい。
【0060】
なお上述の構成では、流量計測部3の計測したガス流量の変化から演算部6が差分値を求め、算出された差分値から判定部16がガス器具の停止を検知する。そして第2器具判別部8Bは、判定部16による停止検知時点以降のガス流量変化プロファイルを器具登録部に記憶されたガス器具特有の制御に基づくガス流量変化プロファイルと比較する。しかしながら本発明はこの構成に限定されない。図1のように流量記憶部10を設け、流量記憶部10が総ガス流量変化プロファイルを記憶する構成でもよい。この場合、流量計測部3が、ガス流量がなくなったことを検知すると、第2器具判別部8Bはガス流量がなくなった時点から遡って流量記憶部10が記憶している総ガス流量変化プロファイルと器具登録部7に記憶された制御に基づくガス流量変化プロファイルとを比較することで、後から停止したガス器具を特定する。そして第1器具判別部8Aが起動していると判断したガス
器具のうち先に停止したガス器具を特定する。なお起動判別には、演算部6がガス流量の差分値を求め、判定部16がいずれかのガス器具が起動したことを検知するとしたが、必ずしもこの構成は不可欠ではない。図11に示すように大幅な流量増加があった場合に起動判別をすることもできる。
【0061】
この構成でもガス器具が1台だけ使用されている状況においてガス流量変化プロファイルから使用中のガス器具を特定し、その前に停止したガス器具を特定する。そのため、誤判別が起こる可能性のある停止の判定部分でも確実に各ガス器具の使用と停止とを判別することができる。
【0062】
しかしながら演算部6がガス流量の差分値を求め、判定部16を設け、いずれかのガス器具が起動したことを検知することが好ましい。この構成により判定部16がいずれかのガス器具の停止を判定できる。そのため、さらに精度よく各ガス器具の使用と停止とを判別することができる。また流量記憶部10はその前後で総ガス流量変化プロファイルを記憶していればよくなる。すなわち流量記憶部10は必ずしもガス流量がなくなるまで総ガス流量変化プロファイルを記憶する必要がなくなる。そのため流量記憶部10の記憶容量を小さくすることができる。
【0063】
次に上述のように停止時のガス器具判別が困難な場合に、各ガス器具の使用ガス量(積算流量)を確定する方法を説明する。
【0064】
ガス器具の停止判別を間違った場合、ガス器具ごとの使用した流量の判定を誤ることになる。そのため本実施の形態では、一旦、図18に示すように、全ての動作中のガス器具の積算流量をいずれかのガス器具が停止したA時点で確定させる。そしてA時点以降さらに流量が計測されている場合はいずれかの器具が作動中であるためその積算流量を未確定値とする。そして上述のように別のロジックで未確定値がどのガス器具で使用されているガス量なのかを後で確定する。
【0065】
このようにすることで、少なくともA時点までの各ガス器具の使用積算流量は正確に担保できる。さらにはA時点以降の使用ガス器具についても第2器具判別部8Bにより確定させることができる。そのため停止によるガス器具の誤判別による使用積算流量の判別精度低下を防ぐことが可能となる。
【0066】
次に、未確定流量の確定方法について図19のフローチャートを参照しながら説明する。複数のガス器具動作中に流量変化が起こり、演算部6により計算されている差分値が停止の判別に合致し、器具停止が発生した場合、まず器具の停止候補を決める必要がある。これには前述のとおり、第2器具判別部8Bが発生した差分値の大きさと各ガス器具の停止判定値とを比較する(S24)。この時点で器具候補が複数なければ器具を特定して制御は終了する(S36)。器具候補が複数ある場合、差分値の大きさに近い停止判定値に対応するガス器具が停止したと判断し、それ以外のガス器具は継続して使用されていると見なす。それらのガス器具については、器具流量積算部9が引き続き流量を加算(積算)し続ける。停止した器具については、その時点で流量を積算しなくなる。
【0067】
停止時の差分値の大きさとほぼ同一の停止判定値が2つある場合、どちらのガス器具を停止候補とするか判定するのは差分値だけでは困難である。そのため、判定部16がガス器具のいずれかの停止を判定した時点で、一旦、その2つのガス器具のその時点までの積算流量を確定させる(確定値)。そして確定流量記憶部10Aがガス器具ごとの積算流量を確定値として記憶する(S37)。未確定流量がなければ全器具が停止したと判断する(S39)。
【0068】
この時点でどのガス器具の流量かわからない未確定流量が1つ発生すると、この流量についてはどの器具のものか判定できるまでその積算値を未確定流量記憶部10Bが未確定値として記憶する。そして未確定値がどのガス器具の使用ガス量であるか判定するための再判別が開始される。すなわち第2器具判定部8Bが上述のように使用中のガス器具、すなわち未確定値に起因するガス器具を特定する(S40)。
【0069】
確定流量記憶部10Aには、流路15に接続されたガス器具の数だけ記憶領域が確保されている。そして各記憶領域は各ガス器具に帰属された確定値を記憶する。未確定値は未確定流量記憶部10Bに保持される。再判別により未確定値の帰属するガス器具が特定された後、制御部11は、確定流量記憶部10Aで既に確定されているガス器具の確定値に未確定値を加算する。すなわち流量記憶部10の確定流量記憶部10Aの中身を書き換える。
【0070】
このようにして、本実施の形態においては、機器別、機能別のガス使用量を算出することが可能である。さらには機器・機能別の使用ガス流量に対して個別の料金が課金できるように個別流量に対する料金演算部(図示せず)を設けることでガス事業者の設定により器具・機能別の任意の料金を算出することも可能である。
【0071】
また、提供しうるサービスの例として、一つに新たなガス料金体系として、暖房器具だけに割引制度を適用することが考えられ、消費者にとってはガス料金に割安感が出て、暖房機の長時間使用によりガス事業社のガス拡販及びさらには機器の増販に繋げることもできる。
【0072】
なお未確定流量記憶部10Bに所定量以上の値が記憶されている場合に、第2器具判別部8Bが未確定値に起因するガス器具を特定することが好ましい。このようにすれば未確定値が微小なガスの漏洩やノイズによるものではなくガス器具の使用によるものであることを判定できる。そのため、第2器具判別部8Bによるガス器具特定の誤判定を防止することができる。
【0073】
なお起動判定には図6、図7を用いて説明した差分のカウント数を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明の流量計測装置とこれを用いたガス供給システム、ガス器具特定方法は、複数のガス器具が動作中に少なくとも1台の器具が停止し、その器具の判定が困難であった場合でも、流量の判定精度を極力高くすることができる。そのため、器具判別情報を用いた保安機能や各種サービスに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施の形態における流量計測装置の構成を示す機能ブロック図
【図2】同流量計測装置の流量計測部の構成図
【図3】同流量計測装置におけるガス器具の起動判別のフローチャート
【図4】同流量計測装置における計測流量値と差分値の関係を示す特性図
【図5】同流量計測装置における起動判定値の一例を示す図
【図6】同流量計測装置におけるガス流量波形の概念図
【図7】同流量計測装置におけるガス流量の差分波形の概念図
【図8】同流量計測装置におけるガス器具の流量制御判別のフローチャート
【図9】同流量計測装置における流量制御判別の判定値の一例を示す図
【図10】同流量計測装置におけるガス器具の停止判別のフローチャート
【図11】同流量計測装置における計測流量値と差分値の関係を示す特性図
【図12】同流量計測装置における複数器具動作における流量概念図
【図13】同流量計測装置における引き続き使用中のガス器具を特定するためのフローチャート
【図14】同流量計測装置におけるガス器具特定の一例を示す流量波形概念図
【図15】同流量計測装置におけるガス器具特定の一例を示す図
【図16】同流量計測装置におけるガス器具特定の他の例を示す図
【図17】同流量計測装置におけるガス器具特定の他の例を示す流量波形概念図
【図18】同流量計測装置における、複数ガス器具動作時の流量区分概念図
【図19】同流量計測装置における、複数ガス器具の停止時の積算流量算出のフローチャート
【図20】従来の流量計測装置のガス器具ごとの積算流量判別方法を説明するための概念図
【図21】従来の流量計測装置のガス器具ごとの積算流量判別方法におけるデータ構成の一例を示す図
【符号の説明】
【0076】
1 流量計測装置
2 ガス遮断弁
3 流量計測部
4 表示部
5 感震器
6 演算部
7 器具登録部
8A 第1器具判別部
8B 第2器具判別部
9 器具流量積算部
10 流量記憶部
10A 確定流量記憶部
10B 未確定流量記憶部
11 制御部
12 計測流路
13,14 超音波送受信器
15 流路
16 判定部
17 計時部
20 ガス供給管
31,32,33 器具
40 部分
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路内を流れるガス流量を計測する流量計測部と、
前記流路に接続された第1ガス器具、第2ガス器具のそれぞれの、少なくとも起動時のガス流量変化プロファイルと、前記第1ガス器具、前記第2ガス器具のそれぞれに特有の制御に基づくガス流量変化プロファイルとを記憶する器具登録部と、
前記流量計測部から出力される流量値データの差分値を求める演算部と、
前記演算部で求めた差分値と予め設定した変化判定値とを比較し、前記差分値が前記変化判定値より大きいとき、前記第1ガス器具、前記第2ガス器具の少なくともいずれかの状態が変化したと判定する判定部と、
前記流量計測部が計測したガス流量変化プロファイルと、前記器具登録部に記憶された起動時のガス流量変化プロファイルとを比較することで、起動している前記第1ガス器具、前記第2ガス器具を特定する第1器具判別部と、
前記流量計測部の計測したガス流量の変化から前記演算部が差分値を求め、算出された差分値から前記判定部が前記第1ガス器具と前記第2ガス器具のいずれか一方の停止を検知すると、停止検知時点以降のガス流量変化プロファイルを前記器具登録部に記憶された制御に基づく前記ガス流量変化プロファイルとを比較することで、使用中のガス器具を特定するとともに、前記第1器具判別部が起動していると判断したガス器具のうち停止したガス器具を特定する第2器具判別部と、を備えた、
流量計測装置。
【請求項2】
前記器具登録部はガス流量変化プロファイルとして、前記第1ガス器具、前記第2ガス器具のそれぞれのガス流量の制御登録値と使用流量範囲との少なくともいずれかを記憶しており、前記第2器具判別部は前記ガス流量の制御登録値と前記使用流量範囲との少なくともいずれかを用いて前記使用中のガス器具を特定する、
請求項1記載の流量計測装置。
【請求項3】
前記第1器具判別部により前記第1ガス器具、前記第2ガス器具が起動したと判断した時点から、前記第1ガス器具、前記第2ガス器具の使用継続時間を計測する計時部をさらに備え、前記第2器具判別部は、前記計時部の計測した前記使用継続時間により前記使用中のガス器具を特定する、
請求項1または2記載の流量計測装置。
【請求項4】
前記第1器具判別部により判別された前記第1ガス器具、前記第2ガス器具ごとに使用流量を求める器具流量積算部と、
前記器具流量積算部で求めたそれぞれの積算流量を記憶する流量記憶部と、をさらに備え、
前記流量記憶部は、
前記第1ガス器具、前記第2ガス器具が同時に使用されているときに、前記判定部が前記第1ガス器具、前記第2ガス器具のいずれかの停止を判定した時点で、前記器具流量積算部が起動したと判定していた前記第1ガス器具、前記第2ガス器具のそれぞれの積算流量を確定値として記憶する確定流量記憶部と、
前記停止判定時点から継続して前記流量計測部の計測値が所定流量以上の場合、その積算流量を未確定値として記憶する未確定流量記憶部と、を有し、
前記第2器具判別部は、前記流量計測部が前記未確定値を計測した場合に、前記未確定値に起因するガス器具を特定する、
請求項1から3のいずれか一項記載の流量計測装置。
【請求項5】
前記未確定流量記憶部に所定量以上の値が記憶されている場合、前記第2器具判別部は前記未確定値に起因するガス器具を特定する、
請求項4記載の流量計測装置。
【請求項6】
前記未確定流量記憶部に未確定値が記憶され、前記第2器具判別部が使用中のガス器具を特定した場合、前記未確定値を前記確定流量記憶部における前記使用中のガス器具の積算流量に加算する制御部をさらに備えた、
請求項4記載の流量計測装置。
【請求項7】
流路内を流れるガス流量を計測する流量計測部と、
前記流路に接続された第1ガス器具、第2ガス器具のそれぞれの、少なくとも起動時のガス流量変化プロファイルと、前記第1ガス器具、前記第2ガス器具のそれぞれに特有の制御に基づくガス流量変化プロファイルとを記憶する器具登録部と、
前記流量計測部が計測したガス流量変化プロファイルと、前記器具登録部に記憶された起動時のガス流量変化プロファイルとを比較することで、起動している前記第1ガス器具、前記第2ガス器具を特定する第1器具判別部と、
総ガス流量変化プロファイルを記憶する流量記憶部と、
前記流量計測部が、ガス流量がなくなったことを検知すると、ガス流量がなくなった時点から遡って前記流量記憶部が記憶している総ガス流量変化プロファイルと前記器具登録部に記憶された制御に基づく前記ガス流量変化プロファイルとを比較することで、後から停止したガス器具を特定するとともに、前記第1器具判別部が起動していると判断したガス器具のうち先に停止したガス器具を特定する第2器具判別部と、を備えた、
流量計測装置。
【請求項8】
前記流量計測部から出力される流量値データの差分値を求める演算部と、
前記演算部で求めた差分値と予め設定した変化判定値とを比較し、前記差分値が前記変化判定値より大きいとき、前記第1ガス器具、前記第2ガス器具の少なくともいずれかの状態が変化したと判定する判定部と、をさらに備えた、
請求項7記載の流量計測装置。
【請求項9】
前記判定部が、前記第1ガス器具、前記第2ガス器具のいずれか一方が停止したことを判定した場合、前記流量記憶部はその時点以降の総ガス流量変化プロファイルを記憶する、請求項8記載の流量計測装置。
【請求項10】
前記第1器具判別部により判別された前記第1ガス器具、前記第2ガス器具ごとに使用流量を求める器具流量積算部をさらに備え、
前記流量記憶部は、前記器具流量積算部で求めたそれぞれの積算流量を記憶するとともに、
前記第1ガス器具、前記第2ガス器具が同時に使用されているときに、前記判定部が前記第1ガス器具、前記第2ガス器具のいずれかの停止を判定した時点で、前記器具流量積算部が起動したと判定していた前記第1ガス器具、前記第2ガス器具のそれぞれの積算流量を確定値として記憶する確定流量記憶部と、
前記停止判定時点から継続して前記流量計測部の計測値が所定流量以上の場合、その流量積算値を未確定値として記憶する未確定流量記憶部と、を有し、
前記第2器具判別部は、前記流量計測部が前記未確定値を計測した場合に、未確定値に起因するガス器具を特定する、
請求項8記載の流量計測装置。
【請求項11】
前記未確定流量記憶部に所定量以上の値が記憶されている場合、前記第2器具判別部は前記未確定値に起因するガス器具を特定する、
請求項10記載の流量計測装置。
【請求項12】
前記未確定流量記憶部に未確定値が記憶され、前記第2器具判別部が使用中のガス器具を特定した場合、前記未確定値を前記確定流量記憶部における前記使用中のガス器具の積算流量に加算する制御部をさらに備えた、
請求項10記載の流量計測装置。
【請求項13】
前記器具登録部はガス流量変化プロファイルとして、前記第1ガス器具、前記第2ガス器具のそれぞれのガス流量の制御登録値と、使用流量範囲との少なくともいずれかを記憶しており、前記第2器具判別部は前記ガス流量の制御登録値と前記使用流量範囲との少なくともいずれかを用いて後から停止したガス器具を特定する、
請求項7記載の流量計測装置。
【請求項14】
前記第1器具判別部により前記第1ガス器具、前記第2ガス器具が起動したと判断した時点から、前記第1ガス器具、前記第2ガス器具の使用継続時間を計測する計時部をさらに備え、前記第2器具判別部は、前記計時部の計測した前記使用継続時間により後から停止したガス器具を特定する、
請求項7記載の流量計測装置。
【請求項15】
前記流量計測部は、超音波流量計を含む、
請求項1から14のいずれか一項記載の流量計測装置。
【請求項16】
ガス供給管と、
前記ガス供給管に接続された請求項1から15のいずれか一項記載の流量計測装置と、を備えたガス供給システム。
【請求項17】
A)流路内を流れるガス流量を計測するステップと、
B)前記流路に接続された第1ガス器具、第2ガス器具のそれぞれの、少なくとも起動時のガス流量変化プロファイルと、前記第1ガス器具、前記第2ガス器具のそれぞれに特有の制御に基づくガス流量変化プロファイルとを記憶するステップと、
C)前記Aステップで出力される流量値データの差分値を求めるステップと、
D)前記Cステップで求めた差分値と予め設定した変化判定値とを比較し、前記差分値が前記変化判定値より大きいとき、前記第1ガス器具、前記第2ガス器具の状態が変化したと判定するステップと、
E)前記Aステップで計測したガス流量変化プロファイルと、前記Bステップで記憶した起動時のガス流量変化プロファイルとを比較することで、起動している前記第1ガス器具、前記第2ガス器具を特定するステップと、
F)前記Dステップで前記第1ガス器具と前記第2ガス器具のいずれか一方の停止を検知すると、停止検知時点以降のガス流量変化プロファイルを前記Bステップで記憶した制御に基づく前記ガス流量変化プロファイルとを比較することで、使用中のガス器具を特定するとともに、前記第1器具判別部が起動していると判断したガス器具のうち停止したガス器具を特定するステップと、を備えた、
ガス器具特定方法。
【請求項18】
A)流路内を流れるガス流量を計測するステップと、
B)前記流路に接続された第1ガス器具、第2ガス器具のそれぞれの、少なくとも起動時のガス流量変化プロファイルと、前記第1ガス器具、前記第2ガス器具のそれぞれに特有の制御に基づくガス流量変化プロファイルとを記憶するステップと、
E)前記Aステップで計測したガス流量変化プロファイルと、前記Bステップで記憶した起動時のガス流量変化プロファイルとを比較することで、起動している前記第1ガス器具、前記第2ガス器具を特定するステップと、
G)総ガス流量変化プロファイルを記憶するステップと、
H)前記Aステップでガス流量がなくなったことを検知すると、ガス流量がなくなった時点から遡って前記Gステップで記憶している総ガス流量変化プロファイルと前記器具登録部に記憶された制御に基づく前記ガス流量変化プロファイルとを比較することで、後から停止したガス器具を特定するとともに、前記第1器具判別部が起動していると判断したガス器具のうち先に停止したガス器具を特定するステップと、を備えた、
ガス器具特定方法。
【請求項1】
流路内を流れるガス流量を計測する流量計測部と、
前記流路に接続された第1ガス器具、第2ガス器具のそれぞれの、少なくとも起動時のガス流量変化プロファイルと、前記第1ガス器具、前記第2ガス器具のそれぞれに特有の制御に基づくガス流量変化プロファイルとを記憶する器具登録部と、
前記流量計測部から出力される流量値データの差分値を求める演算部と、
前記演算部で求めた差分値と予め設定した変化判定値とを比較し、前記差分値が前記変化判定値より大きいとき、前記第1ガス器具、前記第2ガス器具の少なくともいずれかの状態が変化したと判定する判定部と、
前記流量計測部が計測したガス流量変化プロファイルと、前記器具登録部に記憶された起動時のガス流量変化プロファイルとを比較することで、起動している前記第1ガス器具、前記第2ガス器具を特定する第1器具判別部と、
前記流量計測部の計測したガス流量の変化から前記演算部が差分値を求め、算出された差分値から前記判定部が前記第1ガス器具と前記第2ガス器具のいずれか一方の停止を検知すると、停止検知時点以降のガス流量変化プロファイルを前記器具登録部に記憶された制御に基づく前記ガス流量変化プロファイルとを比較することで、使用中のガス器具を特定するとともに、前記第1器具判別部が起動していると判断したガス器具のうち停止したガス器具を特定する第2器具判別部と、を備えた、
流量計測装置。
【請求項2】
前記器具登録部はガス流量変化プロファイルとして、前記第1ガス器具、前記第2ガス器具のそれぞれのガス流量の制御登録値と使用流量範囲との少なくともいずれかを記憶しており、前記第2器具判別部は前記ガス流量の制御登録値と前記使用流量範囲との少なくともいずれかを用いて前記使用中のガス器具を特定する、
請求項1記載の流量計測装置。
【請求項3】
前記第1器具判別部により前記第1ガス器具、前記第2ガス器具が起動したと判断した時点から、前記第1ガス器具、前記第2ガス器具の使用継続時間を計測する計時部をさらに備え、前記第2器具判別部は、前記計時部の計測した前記使用継続時間により前記使用中のガス器具を特定する、
請求項1または2記載の流量計測装置。
【請求項4】
前記第1器具判別部により判別された前記第1ガス器具、前記第2ガス器具ごとに使用流量を求める器具流量積算部と、
前記器具流量積算部で求めたそれぞれの積算流量を記憶する流量記憶部と、をさらに備え、
前記流量記憶部は、
前記第1ガス器具、前記第2ガス器具が同時に使用されているときに、前記判定部が前記第1ガス器具、前記第2ガス器具のいずれかの停止を判定した時点で、前記器具流量積算部が起動したと判定していた前記第1ガス器具、前記第2ガス器具のそれぞれの積算流量を確定値として記憶する確定流量記憶部と、
前記停止判定時点から継続して前記流量計測部の計測値が所定流量以上の場合、その積算流量を未確定値として記憶する未確定流量記憶部と、を有し、
前記第2器具判別部は、前記流量計測部が前記未確定値を計測した場合に、前記未確定値に起因するガス器具を特定する、
請求項1から3のいずれか一項記載の流量計測装置。
【請求項5】
前記未確定流量記憶部に所定量以上の値が記憶されている場合、前記第2器具判別部は前記未確定値に起因するガス器具を特定する、
請求項4記載の流量計測装置。
【請求項6】
前記未確定流量記憶部に未確定値が記憶され、前記第2器具判別部が使用中のガス器具を特定した場合、前記未確定値を前記確定流量記憶部における前記使用中のガス器具の積算流量に加算する制御部をさらに備えた、
請求項4記載の流量計測装置。
【請求項7】
流路内を流れるガス流量を計測する流量計測部と、
前記流路に接続された第1ガス器具、第2ガス器具のそれぞれの、少なくとも起動時のガス流量変化プロファイルと、前記第1ガス器具、前記第2ガス器具のそれぞれに特有の制御に基づくガス流量変化プロファイルとを記憶する器具登録部と、
前記流量計測部が計測したガス流量変化プロファイルと、前記器具登録部に記憶された起動時のガス流量変化プロファイルとを比較することで、起動している前記第1ガス器具、前記第2ガス器具を特定する第1器具判別部と、
総ガス流量変化プロファイルを記憶する流量記憶部と、
前記流量計測部が、ガス流量がなくなったことを検知すると、ガス流量がなくなった時点から遡って前記流量記憶部が記憶している総ガス流量変化プロファイルと前記器具登録部に記憶された制御に基づく前記ガス流量変化プロファイルとを比較することで、後から停止したガス器具を特定するとともに、前記第1器具判別部が起動していると判断したガス器具のうち先に停止したガス器具を特定する第2器具判別部と、を備えた、
流量計測装置。
【請求項8】
前記流量計測部から出力される流量値データの差分値を求める演算部と、
前記演算部で求めた差分値と予め設定した変化判定値とを比較し、前記差分値が前記変化判定値より大きいとき、前記第1ガス器具、前記第2ガス器具の少なくともいずれかの状態が変化したと判定する判定部と、をさらに備えた、
請求項7記載の流量計測装置。
【請求項9】
前記判定部が、前記第1ガス器具、前記第2ガス器具のいずれか一方が停止したことを判定した場合、前記流量記憶部はその時点以降の総ガス流量変化プロファイルを記憶する、請求項8記載の流量計測装置。
【請求項10】
前記第1器具判別部により判別された前記第1ガス器具、前記第2ガス器具ごとに使用流量を求める器具流量積算部をさらに備え、
前記流量記憶部は、前記器具流量積算部で求めたそれぞれの積算流量を記憶するとともに、
前記第1ガス器具、前記第2ガス器具が同時に使用されているときに、前記判定部が前記第1ガス器具、前記第2ガス器具のいずれかの停止を判定した時点で、前記器具流量積算部が起動したと判定していた前記第1ガス器具、前記第2ガス器具のそれぞれの積算流量を確定値として記憶する確定流量記憶部と、
前記停止判定時点から継続して前記流量計測部の計測値が所定流量以上の場合、その流量積算値を未確定値として記憶する未確定流量記憶部と、を有し、
前記第2器具判別部は、前記流量計測部が前記未確定値を計測した場合に、未確定値に起因するガス器具を特定する、
請求項8記載の流量計測装置。
【請求項11】
前記未確定流量記憶部に所定量以上の値が記憶されている場合、前記第2器具判別部は前記未確定値に起因するガス器具を特定する、
請求項10記載の流量計測装置。
【請求項12】
前記未確定流量記憶部に未確定値が記憶され、前記第2器具判別部が使用中のガス器具を特定した場合、前記未確定値を前記確定流量記憶部における前記使用中のガス器具の積算流量に加算する制御部をさらに備えた、
請求項10記載の流量計測装置。
【請求項13】
前記器具登録部はガス流量変化プロファイルとして、前記第1ガス器具、前記第2ガス器具のそれぞれのガス流量の制御登録値と、使用流量範囲との少なくともいずれかを記憶しており、前記第2器具判別部は前記ガス流量の制御登録値と前記使用流量範囲との少なくともいずれかを用いて後から停止したガス器具を特定する、
請求項7記載の流量計測装置。
【請求項14】
前記第1器具判別部により前記第1ガス器具、前記第2ガス器具が起動したと判断した時点から、前記第1ガス器具、前記第2ガス器具の使用継続時間を計測する計時部をさらに備え、前記第2器具判別部は、前記計時部の計測した前記使用継続時間により後から停止したガス器具を特定する、
請求項7記載の流量計測装置。
【請求項15】
前記流量計測部は、超音波流量計を含む、
請求項1から14のいずれか一項記載の流量計測装置。
【請求項16】
ガス供給管と、
前記ガス供給管に接続された請求項1から15のいずれか一項記載の流量計測装置と、を備えたガス供給システム。
【請求項17】
A)流路内を流れるガス流量を計測するステップと、
B)前記流路に接続された第1ガス器具、第2ガス器具のそれぞれの、少なくとも起動時のガス流量変化プロファイルと、前記第1ガス器具、前記第2ガス器具のそれぞれに特有の制御に基づくガス流量変化プロファイルとを記憶するステップと、
C)前記Aステップで出力される流量値データの差分値を求めるステップと、
D)前記Cステップで求めた差分値と予め設定した変化判定値とを比較し、前記差分値が前記変化判定値より大きいとき、前記第1ガス器具、前記第2ガス器具の状態が変化したと判定するステップと、
E)前記Aステップで計測したガス流量変化プロファイルと、前記Bステップで記憶した起動時のガス流量変化プロファイルとを比較することで、起動している前記第1ガス器具、前記第2ガス器具を特定するステップと、
F)前記Dステップで前記第1ガス器具と前記第2ガス器具のいずれか一方の停止を検知すると、停止検知時点以降のガス流量変化プロファイルを前記Bステップで記憶した制御に基づく前記ガス流量変化プロファイルとを比較することで、使用中のガス器具を特定するとともに、前記第1器具判別部が起動していると判断したガス器具のうち停止したガス器具を特定するステップと、を備えた、
ガス器具特定方法。
【請求項18】
A)流路内を流れるガス流量を計測するステップと、
B)前記流路に接続された第1ガス器具、第2ガス器具のそれぞれの、少なくとも起動時のガス流量変化プロファイルと、前記第1ガス器具、前記第2ガス器具のそれぞれに特有の制御に基づくガス流量変化プロファイルとを記憶するステップと、
E)前記Aステップで計測したガス流量変化プロファイルと、前記Bステップで記憶した起動時のガス流量変化プロファイルとを比較することで、起動している前記第1ガス器具、前記第2ガス器具を特定するステップと、
G)総ガス流量変化プロファイルを記憶するステップと、
H)前記Aステップでガス流量がなくなったことを検知すると、ガス流量がなくなった時点から遡って前記Gステップで記憶している総ガス流量変化プロファイルと前記器具登録部に記憶された制御に基づく前記ガス流量変化プロファイルとを比較することで、後から停止したガス器具を特定するとともに、前記第1器具判別部が起動していると判断したガス器具のうち先に停止したガス器具を特定するステップと、を備えた、
ガス器具特定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2009−145194(P2009−145194A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−322802(P2007−322802)
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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