説明

流量調節弁の流量検出システム

【課題】弁開度指示装置から弁開度を読み取り、この弁開度と仕様書などの流量特性曲線から概算で流量を求めているため、流量の確認作業が煩雑となるのみならず、正確な流量を把握できないという課題があった。
【解決手段】流路20内の流体の流量を調節する流量調節弁1において、前記流量調節弁1の弁開度を検出して弁開度信号を出力する弁開度検出手段3と、前記流量調節弁1の流量特性を記憶する記憶手段12と、前記弁開度信号と流量特性から前記流路20内の流体の流量を算出する流量算出手段13とからなる流量調節弁の流量検出システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流量調節弁で調節する流路内の流体の流量を検出する流量調節弁の流量検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、流路に設置される流量調節弁の弁開度の確認は、弁棒の位置又は開度指示装置によって行っている。一方、流体の流量は、流路に流量調節弁とは別に設置している流量発信器の指示で確認している。開度指示装置は、弁棒と共に移動する移動部材と、この移動部材の移動に伴って支点ピンを回動中心として回動し、弁棒の移動量を拡大して指示する指針と、この指針の回動量を弁体の開度に変換して読み取らせる開度指示目盛を設けたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】実開平5−47661号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、流量発信器の設置していない場所での流量確認は、開度指示装置で弁開度を読み取り、読み取った弁開度と該当する弁の仕様書等に記載されている流量特性曲線から概算で流量を求める必要があった。このため、流量の確認作業が煩雑となるのみならず、流量などの使用状態によっては実際の流量特性が弁の仕様書等に記載されている流量特性曲線と相違する場合があり、正確な流量を把握できないという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明は、上記課題を解決するために、流路内の流体の流量を調節する流量調節弁において、前記流量調節弁の弁開度を検出して弁開度信号を出力する弁開度検出手段と、前記流量調節弁の流量特性を記憶する記憶手段と、前記弁開度信号と流量特性から前記流路内の流体の流量を算出する流量算出手段とからなる流量調節弁の流量検出システムを提供するものである。
【0006】
また、本発明は、前記流量調節弁の上流側流路及び下流側流路に圧力計を設けてあり、前記圧力計で複数の弁開度における差圧を測定して前記流量調節弁の流量特性を求める流量特性作成手段を備えた請求項1に記載の流量調節弁の流量検出システムを提供するものである。
【0007】
また、本発明は、前記流量特性作成手段が複数の流量調節弁の流量特性を求めるようにした請求項2に記載の流量調節弁の流量検出システムを提供するものである。
【0008】
また、本発明は、前記流路内の流体の流量又は前記流量調節弁の流量特性を表示する表示手段を備えた請求項1乃至3の何れかに記載の流量調節弁の流量検出システムを提供するものである。
【0009】
また、本発明は、前記弁開度信号に基づいて前記流量調節弁の弁開度を制御する制御手段を備えた請求項1乃至4の何れかに記載の流量調節弁の流量検出システムを提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る流量調節弁の流量検出システムによれば、流路内の流体の流量を調節する流量調節弁において、前記流量調節弁の弁開度を検出して弁開度信号を出力する弁開度検出手段と、前記流量調節弁の流量特性を記憶する記憶手段と、前記弁開度信号と流量特性から前記流路内の流体の流量を算出する流量算出手段とからなる構成を有することにより、流路に流量発信器を設置していない場所においても、弁開度検出手段で検出した弁開度と流量特性曲線を対比することなく、弁開度信号から直ちに流路内の流体の流量を把握することができる。従って、流量を把握するために流路に流量発信器を設置する必要がなく、コストを低減することができる効果がある。
【0011】
また、本発明は、前記流量調節弁の上流側流路及び下流側流路に圧力計を設けてあり、前記圧力計で複数の弁開度における差圧を測定して前記流量調節弁の流量特性を求める流量特性作成手段を備えた請求項1に記載の構成を有することにより、流量計を備えていない流路でも流量調節弁の前後の差圧から流量特性を求めることができる。また、実際の使用状態に合った流量調節弁の流量特性を求めることができ、この流量特性と弁開度信号から正確な流量を把握することができる効果がある。
【0012】
また、本発明は、前記流量特性作成手段が複数の流量調節弁の流量特性を求めるようにした請求項2に記載の構成を有することにより、流量特性作成手段を複数の流量調節弁で共有することができ、構成を簡素化してコストを低減することができる効果がある。
【0013】
また、本発明は、前記流路内の流体の流量又は前記流量調節弁の流量特性を表示する表示手段を備えた請求項1乃至3の何れかに記載の構成を有することにより、流路内の流体の流量又は流量調節弁の流量特性を視認することができ、流量特性から流量調節弁の形状等も把握することができる効果がある。
【0014】
また、本発明は、前記弁開度信号に基づいて前記流量調節弁の弁開度を制御する制御手段を備えた請求項1乃至4の何れかに記載の構成を有することにより、流路に流量発信器を設置しなくても、弁開度信号のみに基づいて弁開度に対応する流体の流量を制御することができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施の形態を図示する実施例に基づいて説明する。
本発明に係る流量調節弁の流量検出システムは、流路20内の流体の流量を調節する流量調節弁1において、前記流量調節弁1の弁開度を検出して弁開度信号を出力する弁開度検出手段3と、前記流量調節弁1の流量特性を記憶する記憶手段12と、前記弁開度信号と流量特性から前記流路20内の流体の流量を算出する流量算出手段13とから構成してある。
【実施例1】
【0016】
図1に示す実施例において、流量調節弁1はグローブ弁、ダイヤフラム弁等の調節弁であり、駆動部2で弁開度を調節して流路20内の流体の流量を調節することができるように構成してある。また、流量調節弁1には、制御弁の駆動量から弁開度を検出し、弁開度信号を出力する弁開度検出手段3を設けてある。
【0017】
図1に示すように、流量調節弁1の上流側及び下流側の流路20には圧力計4,4を設けてある。流量特性作成手段11は、圧力計4,4で複数の弁開度における差圧を測定して流量調節弁1の流量特性を求めることができるように構成してある。流量特性作成手段11は、流量調節弁1の弁容量係数(Cv値)と、流体の比重・温度と、流量調節弁1の前後の差圧から流体の流量を算出し、弁開度と流量の関係から流量調節弁1の流量特性を求めるようにしてある。流量特性作成手段11は、流体が液体である場合には、数1式から液体の流量を算出することができる。
【0018】
【数1】

【0019】
図1に示す実施例において、流量特性作成手段11は、中央制御装置10に設けてあり、流路内に設置した複数の流量調節弁1の流量特性を求めることができるように構成してある。また、中央制御装置10には、記憶手段12を設けてあり、流量特性作成手段11で求めた流量調節弁1の流量特性を記憶することができるようにしてある。
なお、記憶手段12は、予め測定されて弁の仕様書等に記載された流量調節弁1の流量特性を記憶しておくことも勿論可能である。
【0020】
また、中央制御装置10には、流量算出手段13を設けてある。流量算出手段13は、弁開度検出手段3から出力された弁開度信号と、記憶手段12に記憶された流量特性から流路20内の流体の流量を算出することができるように構成してある。流量特性は、流量調節弁1の弁体の形状等により、図2に示すように、リニア特性(図中の直線a)と、イコールパーセント特性(図中の曲線b)と、クイックオープン特性(図中の曲線c)に分類される。一般的に、流量制御用としてはリニア特性、イコールパーセント特性、又はこの中間の特性の調節弁が用いられ、弁開度から流量を算出することができる。
【0021】
図1に示すように、流量算出手段13には、流路20内の流体の流量及び流量調節弁1の流量特性を表示する表示手段としてモニタ15を設けてある。また、流量算出手段13には、各流量調節弁1の流量を表示する指示計16を設けてある。指示計16は、中央制御装置10に設置して集中管理することができ、又、各流量調節弁1の近くに設置して現場で流量を確認しながら弁開度を調節することも可能である。
【0022】
図1に示すように、中央制御装置10には、弁開度検出手段3から出力される弁開度信号に基づいて流量調節弁1の弁開度を制御する制御手段14を設けることも可能である。制御手段14は、要求される流量に対応する弁開度と弁開度信号を比較し、一致しないときは一致するように駆動部2を駆動して弁開度を制御することができるようにしてある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る流量調節弁の流量検出システムの一実施例を示す構成図。
【図2】流量調節弁の流量特性を示す図。
【符号の説明】
【0024】
1 流量調節弁
2 駆動部
3 弁開度検出手段
4 圧力計
10 中央制御装置
11 流量特性作成手段
12 記憶手段
13 流量算出手段
14 制御手段
15 モニタ
16 指示計
20 流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路内の流体の流量を調節する流量調節弁において、前記流量調節弁の弁開度を検出して弁開度信号を出力する弁開度検出手段と、前記流量調節弁の流量特性を記憶する記憶手段と、前記弁開度信号と流量特性から前記流路内の流体の流量を算出する流量算出手段とからなる流量調節弁の流量検出システム。
【請求項2】
前記流量調節弁の上流側流路及び下流側流路に圧力計を設けてあり、前記圧力計で複数の弁開度における差圧を測定して前記流量調節弁の流量特性を求める流量特性作成手段を備えた請求項1に記載の流量調節弁の流量検出システム。
【請求項3】
前記流量特性作成手段が複数の流量調節弁の流量特性を求めるようにした請求項2に記載の流量調節弁の流量検出システム。
【請求項4】
前記流路内の流体の流量又は前記流量調節弁の流量特性を表示する表示手段を備えた請求項1乃至3の何れかに記載の流量調節弁の流量検出システム。
【請求項5】
前記弁開度信号に基づいて前記流量調節弁の弁開度を制御する制御手段を備えた請求項1乃至4の何れかに記載の流量調節弁の流量検出システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−169904(P2008−169904A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−3062(P2007−3062)
【出願日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】