説明

浄水カートリッジ、当該浄水カートリッジを備えた浄水装置および当該浄水装置を備えた流し台

【課題】水の短絡を抑制しつつ長寿命化を図ることのできる浄水カートリッジ、当該浄水カートリッジを備えた浄水装置および当該浄水装置を備えた流し台を得る。
【解決手段】浄水カートリッジ1は、内周側に両端が開口した空間5が形成された筒状の成形活性炭4を備え、空間5の一方の開口5aを封止部6により封止するとともに、成形活性炭4内に流入した水を空間5に導入して他方の開口5bから流出させるようになっている。そして、封止部6を、一方の開口5aおよび成形活性炭4の内周面4bの一方の開口5a側を閉鎖する閉鎖部7と、開孔8aを有し、一方の開口5a側の端面4cに間隔E1を設けて対向するストレーナ8とで形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浄水カートリッジ、当該浄水カートリッジを備えた浄水装置および当該浄水装置を備えた流し台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浄水カートリッジとして、円筒状に成型した成形活性炭を備え、当該成形活性炭の外周側を上流側通水部とするとともに、内周側の空間を下流側通水部としたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1では、内周側の空間の一方の開口をエンドキャップにより封止するとともに、他方の開口を仕切り板の接続口に接続させることで、成形活性炭内を通過したろ過水を接続口から中空糸膜モジュールに供給するようにしている。
【0004】
このとき、エンドキャップおよび仕切り板によって成形活性炭の端面を塞ぐことで、成形活性炭の端面からの水の流入を防止し、活性炭内に流入した水が短絡してしまうのを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−15199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の技術では、エンドキャップおよび仕切り板によって成形活性炭の端面を塞いでいるため、水の短絡は抑制できるが、成形活性炭を有効に利用することができず、浄水カートリッジの長寿命化を図り難かった。
【0007】
そこで、本発明は、水の短絡を抑制しつつ長寿命化を図ることのできる浄水カートリッジ、当該浄水カートリッジを備えた浄水装置および当該浄水装置を備えた流し台を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかる浄水カートリッジは、内周側に両端が開口した空間が形成された筒状の成形活性炭を備え、前記空間の一方の開口を封止部により封止するとともに、前記成形活性炭内に流入した水を前記空間に導入して他方の開口から流出させるようにした浄水カートリッジであって、前記封止部は、前記一方の開口および前記成形活性炭の内周面の前記一方の開口側を閉鎖する閉鎖部と、開孔を有し、前記一方の開口側の端面に間隔を設けて対向するストレーナと、を備えていることを主要な特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる浄水装置は、上記浄水カートリッジを備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる流し台は、上記浄水装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、一方の開口および成形活性炭の内周面の一方の開口側を閉鎖する閉鎖部と、開孔を有し、一方の開口側の端面に間隔を設けて対向するストレーナと、を備える封止部により空間の一方の開口を封止している。このように、ストレーナを一方の開口側の端面に間隔を設けて対向させることで、一方の開口側の端面を有効利用することができ、成形活性炭の大型化を抑制しつつ、成形活性炭の上流側の表面積を増加させることができる。さらに、閉鎖部により一方の開口および成形活性炭の内周面の一方の開口側を閉鎖することで、端面から流入した水が短絡してしまうのを抑制することができる。
【0012】
このように、本発明によれば、水の短絡を抑制しつつ長寿命化を図ることのできる浄水カートリッジ、当該浄水カートリッジを備えた浄水装置および当該浄水装置を備えた流し台を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態にかかる浄水カートリッジを示す断面図である。
【図2】図2は、本発明の第1実施形態にかかるストレーナを示す平面図である。
【図3】図3は、図2のA−A断面図である。
【図4】図4は、本発明の第2実施形態にかかるストレーナを示す断面図である。
【図5】図5は、本発明の第3実施形態にかかる浄水カートリッジを示す断面図である。
【図6】図6は、本発明の第3実施形態にかかる浄水カートリッジを一部分解して示す断面図である。
【図7】図7は、本発明の第3実施形態にかかるストレーナを示す平面図である。
【図8】図8は、図7のB−B断面図である。
【図9】図9は、本発明の第4実施形態にかかる浄水装置を模式的に示す断面図である。
【図10】図10は、本発明の第4実施形態にかかる流し台を復式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、それら同様の構成要素には共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
【0015】
(第1実施形態)
本実施形態にかかる浄水カートリッジ1は、図1に示すように、中空の円筒状(筒状)に成型した成形活性炭4をろ材とした活性炭吸着部2と、複数の多孔質中空繊維を束ねた中空糸膜12をろ材とした中空糸膜モジュール3と、を備えている。
【0016】
この活性炭吸着部2と中空糸膜モジュール3は、後述するキャップ9を介して一体に取り付けられており、このキャップ9によって活性炭吸着部2と中空糸膜モジュール3とが仕切られている。本実施形態では、浄水カートリッジ1の上流側に活性炭吸着部2を配置するとともに、下流側に中空糸膜モジュール3を配置している。すなわち、本実施形態にかかる浄水カートリッジ1は、原水を活性炭吸着部2でろ過した後、中空糸膜モジュール3で更にろ過して浄水を生成するものである。
【0017】
成形活性炭4は、上述したように、中空の円筒状をしており、中心軸Cに対して同心上に配置される外周面4aと内周面4bとを備えている。そして、この内周面4bの内側(成形活性炭4の内周側)には、中心軸C方向両端に開口(一方の開口)5a、開口(他方の開口)5bを有する空間5が形成されている。
【0018】
すなわち、この開口(一方の開口)5a、開口(他方の開口)5bは、それぞれ、成形活性炭4の中心軸C方向両端に配置される端面(一方の端面)4c、端面(他方の端面)4dの中央部に形成されている。
【0019】
そして、本実施形態では、成形活性炭4の少なくとも外周面4aおよび開口(一方の開口)5a側の端面4cから水が流入するとともに、内周面4bから内周の空間5にろ過した水が流出するようにしている。
【0020】
具体的には、空間5の一方の開口である開口5aを封止キャップ(封止部)6により封止することで、成形活性炭4を通過しない水が内周の空間5に流出しないようにしている。
【0021】
本実施形態では、封止キャップ6は、開口(一方の開口)5aおよび成形活性炭4の内周面4bの開口5a側を閉鎖する閉鎖部7と、開孔8aを有し、開口5a側の端面4cに間隔E1を設けて対向するストレーナ8と、を備えている。
【0022】
そして、閉鎖部7は、開口(一方の開口)5aを上方から覆う略円板状の天壁7aと、当該天壁7aの中央部から下方に向けて所定量D1だけ突出するように延設した略円筒状の側壁7bと、を備えている。
【0023】
さらに、本実施形態では、天壁7aの径を成形活性炭4の内周面4bの径よりも大きくすることで、閉鎖部7の成形活性炭4への取付時に位置決めがなされるようにしている。また、側壁7bの外径を成形活性炭4の内周面4bの径とほぼ同一か若干大きくなるようにすることで、側壁7bを空間5に圧入させるようにしている。すなわち、側壁7bを空間5に圧入させつつ天壁7aの外周縁部を端面4cに当接させるように閉鎖部7を成形活性炭4に取り付けることで、成形活性炭4の内周面4bの開口5a側を閉鎖部7によって閉鎖している。本実施形態では、開口5a側を天壁7aによって閉鎖するとともに、成形活性炭4の内周面4bを、側壁7bによって開口5a側から所定量D1だけ閉鎖している。このように、成形活性炭4の内周面4bを、側壁7bによって開口5a側から所定量D1だけ閉鎖することで、端面4cから成形活性炭4内に流入した原水は、閉鎖部7の内周側に臨む先端まで空間5内に流出することができなくなる。すなわち、閉鎖部7を取り付けることによって、一端側の端面4cから流入した原水中の塩素を確実に除去するための流動距離を確保することができる。
【0024】
なお、本実施形態では、側壁7bを空間5に圧入させるものを例示したが、接着剤等の接着部材で閉鎖部7と成形活性炭4を接着して閉鎖したり、閉鎖部7と成形活性炭4の間に溶融樹脂等の封止部材を介在させて固着することで閉鎖するようにしてもよい。
【0025】
そして、天壁7aの上側には、略円板状のストレーナ8が一体に設けられている。なお、天壁7aとストレーナ8とは、別個に形成したものを溶着や接着等により一体化してもよいし、閉鎖部7とストレーナ8とを一体成形により成形してもよい。
【0026】
ストレーナ8は、成形活性炭4の内周面4bの径よりも大きい径の略円板状をしており、中心部が天壁7aに取り付けられるとともに、外周部が平面視で成形活性炭4の端面(一方の端面)4cの全面を覆うように天壁7aから径外方向に突出している。このとき、端面4cとストレーナ8とは完全密着させることなく天壁7aの厚さE1分だけ間隙Eを隔てて対向配置している。すなわち、ストレーナ8は、開口5a側の端面4cに間隔E1を設けて対向するように配置されている。
【0027】
さらに、本実施形態では、ストレーナ8の端面4cに対向する外周部に、周方向に延びるメッシュ状またはスリット状の開孔8aが複数形成されている。この開孔8aは、図3に示すように、上方から下方までほぼ一定幅Wとなるように形成されている。
【0028】
そして、本実施形態では、端面4cとストレーナ8とを、ストレーナ8に形成される開孔サイズ(開孔8aの幅W)以上の間隙E1を隔てて対向配置している。このストレーナ8は、浄水カートリッジ1の上流側から流入した原水に含まれる水道配管由来異物を成形活性炭4の端面8に溜まる前に捕捉するとともに浄水カートリッジ1に導入する原水を整流するためのものである。
【0029】
このように、本実施形態では、開孔8がスリット状もしくはメッシュ状の通水部となっており、図1および図3の上側が、当該通水部の流入側となっており、図1および図3の下側が、当該通水部の流出側となっている。
【0030】
一方、キャップ9は、成形活性炭4の端面(他方の端面)4dと略同一形状をした環状の仕切板9aと、当該仕切板9aの内側に上方に向けて所定量D2だけ突出するように延設した略円筒状の側壁9bと、当該仕切板9aの略中央に位置する開口9cと、を備えている。そして、開口9cが活性炭吸着部2でろ過したろ過水を中空糸膜モジュール3に供給する接続口となっている。本実施形態では、側壁9bの外径を成形活性炭4の内周面4bの径とほぼ同一か若干大きくなるようにすることで、側壁9bを空間5に圧入させるようにしている。具体的には、側壁9bを空間5に圧入させつつ仕切板9aの外周縁部を端面4dに当接させるようにキャップ9を成形活性炭4に取り付けることで、成形活性炭4の内周面4bの開口5b側を側壁9bによって所定量D2分だけ閉鎖している。
【0031】
そのため、外周面4aの他方側(図1の下側)および端面4dから流入した原水は、側壁9bの内周側に臨む先端まで空間5内に流出することができなくなる。すなわち、側壁9bを取り付けることによって、外周面4aの他方側(図1の下側)および端面4dから流入した原水中の塩素を確実に除去するための流動距離を確保することができる。
【0032】
このように、本実施形態にかかる活性炭吸着部2は、ストレーナ8を介して外周面4aおよび中心軸C方向の両端面4c、4dから原水を成形活性炭4内に流入した後、閉鎖部7および側壁9bの間に位置する閉鎖されていない内周面4bから空間5内にろ過水を流出するようになっている。そして、ろ過水は、接続口(開口9c)を介して中空糸膜モジュール3に供給される。なお、外周から内周に向けて凹んだ環状の段部を仕切板9aの端面4dとの当接面側に設け、当該当接面と成形活性炭4の端面4dとの間に環状の隙間を形成することで、二面の間に侵入する原水の通水抵抗を低減し、他方の端面4dに原水が流入し易くなるようにしてもよい。
【0033】
また、中空糸膜モジュール3は、仕切板9aの裏面を底部とした有底の円筒伏の枠体10の内部に中空糸膜12を配置したものであり、中空糸膜12は複数本の多孔質中空繊維を端部で束ねたものである。枠体10は底部の反対側に位置する端部が開口した開口端10aとなっており、開口端10aの開口は集水キヤップ11により覆われている。そして、開口端10aには中空糸膜12が微維端部を開口に面一で並べた状態で固定されており、各端部の間の隙間および開口端10aとの隙間がモールド樹脂(図示せず)で埋められている。
【0034】
集水キヤップ11は、枠体10と略同芯同径の環状の板からなる本体11aと、本体11aの外周端から開口端10aに向けて突出した固定用の環伏突起11bと、本体11aの内周の開口に連通した円筒状の連結管11cと、を備えている。
【0035】
枠体10の他端側には、環状の接合部10bが突設されており、当該接合部10bに環伏突起11bを溶着等により接合することで集水キヤップ11が枠体10に液密に取り付けられている。そして、本体11aと開口端10aの開口面との間には中空糸膜12でろ過され浄水となったろ過水を集める集水空間部13が形成されており、集水空間部13内の浄水は本体11aの略中央の開口を介して連結管11c内の流出路11dに導入される。
【0036】
この連結管11cは本体11aから中心軸C方向他端側に突出しており、連結管11cの外周には、シール部14を嵌め込む嵌合溝11eが形成されている。
【0037】
以上説明したように、本実施形態では、開口(一方の開口)5aおよび成形活性炭4の内周面4bの開口5a側を閉鎖する閉鎖部7と、開孔8aを有し、開口5a側の端面4cに間隔E1を設けて対向するストレーナ8と、を備える封止キャップ(封止部)6により空間5の一方の開口5aを封止している。このように、ストレーナ8を一方の開口5a側の端面4cに間隔E1を設けて対向させることで、一方の開口5a側の端面4cを有効利用することができ、成形活性炭4の大型化を抑制しつつ、成形活性炭4の上流側(外周面4aおよび両端面4c、4d)の表面積を増加させることができる。さらに、閉鎖部7により一方の開口5aおよび成形活性炭4の内周面4bの一方の開口5a側を閉鎖することで、端面4cから流入した水が短絡してしまうのを抑制することができる。
【0038】
このように、本実施形態によれば、成形活性炭4を大型化せずにろ過性能の低下を抑制することができ、活性炭吸着部2の寿命を延ばすことができるようになる。
【0039】
また、本実施形態によれば、活性炭吸着部2と中空糸膜モジュール3を仕切る仕切板9aの側壁9bにより成形活性炭4の内周面4bの開口5b側を所定量D2分だけ閉鎖している。そのため、外周面4aの他方側(図1の下側)および端面4dから流入した原水は、側壁9bの内周側に臨む先端まで空間5内に流出することができなくなり、端面4dから流入した原水の短絡を抑制することができる。その結果、成形活性炭4の他方の端面4dも上流側通水部とすることができ、上流通水部の表面積がより一層増大して、浄水力−トリッジ1のさらなる長寿命化を図ることがでできる。
【0040】
さらに、ストレーナ8を成形活性炭4の端面4cの上流側に対向配置することで、原水に含まれる水道配管由来異物を除去できる上、端面を完全密閉させたものと比較して、導入される原水の整流性を安定化させることができ、不純物が付着し易い活性炭吸着部2を長寿命化させることができる。その結果、活性炭吸着部2の寿命による交換作業の回数を低減することができ、使い勝手を向上させることのできる浄水カートリッジ1を得ることができる。
【0041】
また、本実施形態によれば、成形活性炭4の端面4cと対向するストレーナ8との間に間隙E1を設けたため、ストレーナ8自体により成形活性炭4の端面4cの通水面積を狭めてしまうのが抑制され、流量が低下してしまうのを抑制することができる。
【0042】
(第2実施形態)
本実施形態では、ストレーナ8Aに形成した開孔8aの開孔サイズ(開孔幅)を水の流入側と流出側とで変えている点が上記第1実施形態と主に異なっている。
【0043】
具体的には、図4に示すように、ストレーナ8Aの流入側8bのスリット幅をW1、流出側8cのスリット幅をW2としたとき、W1<W2となるように開孔8aを形成している。
【0044】
ところで、水道配管由来異物をできる限り微細な異物まで捕捉するために単にスリット幅を細くすると通水抵抗が大きくなり流量低下を引き起こしてしまう。そこで、本実施形態では、W1>W2となるように開孔8aのスリット幅を構成することで、水道配管由来異物をできる限り微細な異物まで捕捉しつつ、通水抵抗の増加を極力抑制できるようにした。
【0045】
以上の本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0046】
また、本実施形態によれば、ストレーナ8Aの流入側8bのスリット幅をW1、流出側8cのスリット幅をW2としたとき、W1<W2となるように開孔8aを形成することで、ストレーナによる圧力損失を低減することができる。すなわち、ストレーナ8Aに形成されたスリット状の細孔8aの通水抵抗を抑えることができる。そのため、流量低下を極力抑制しつつ微細な異物まで捕捉することができるようになる。その結果、浄水カートリッジのさらなる長寿命化を図ることができるとともに、使い勝手を向上させることのできる浄水カートリッジ1を得ることができる。
【0047】
(第3実施形態)
本実施形態にかかる浄水カートリッジ1Bは、基本的に上記第2実施形態と同様の構成をしており、中空の円筒状(筒状)に成型した成形活性炭4をろ材とした活性炭吸着部2と、複数の多孔質中空繊維を束ねた中空糸膜12をろ材とした中空糸膜モジュール3と、を備えている。
【0048】
ここで、本実施形態が上記第2実施形態と主に異なる点は、ストレーナ8Bを着脱可能な構造とした点にある。
【0049】
さらに、本実施形態では、成形活性炭4の内周側の空間5に、成形活性炭4を保持するとともに、ストレーナ8Bを着脱可能に係合する係合部7cが形成された閉鎖部7B等の機能部位を一体成型した活性炭ホルダ20を備えている。
【0050】
具体的には、図5に示すように、活性炭ホルダ20は、円管部材(連結部材)21、キャップ9B、係合部7cが形成された閉鎖部7Bと共に一体成型することで形成している。
【0051】
円管部材21は、周面に矩形状の通水口21bを複数有する格子状の側壁21aを備えている。そして、この通水口21bを通って成形活性炭4でろ過されたろ過水を中空部22に流入させている。
【0052】
本実施形態では、円管部材21は、側壁21aの外周面(外面)21cと成形活性炭4の内周面4bとの間に隙間E2が形成されるようにしている。
【0053】
このように、本実施形態では、閉鎖部7Bとキャップ9Bとを、内周側に中空部22を有する側壁21aに成形活性炭4内を通過したろ過水を中空部22に導入する開口21bが形成された円管部材(連結部材)21で接続することで、活性炭ホルダ20を形成している。
【0054】
この閉鎖部7Bに形成された係合部7cは、弾性を有する係合爪状に形成されており、ストレーナ8Bを引っ掛けて固定するものである。そして、ストレーナ8Bは、係合部7cと係合部通過穴8dとを係合させたり、係合を解除したりすることで、閉鎖部7Bに着脱可能に取り付けられる。
【0055】
さらに、本実施形態では、閉鎖部7Bは、空間5を貫通させることができるように形成されている。
【0056】
このように、閉鎖部7Bを、空間5を貫通させることができるように形成するとともに、ストレーナ8Bを着脱可能とすることで、成形活性炭4を活性炭ホルダ30から着脱可能に構成することができ、性能が低下した成形活性炭4のみを交換することができるようになる。
【0057】
なお、円管部材21の外周面21cと成形活性炭4の内周面4bとは少なくとも0.5mm以上の間隙を保持させることが望ましい。
【0058】
また、ストレーナ8Bは、係合部7cを挿通するための係合部通過穴8dと摘み部8eとを備えている。摘み部8eは、ストレーナ8Bの着脱時にハンドリング性を良くするために中心軸C方向の外方(図5の上方)に設けている。そして、この摘み部8eには、中心軸C方向に直交する向きに貫通した挿通孔8fが形成されている。
【0059】
さらに、本実施形態では、係合部通過穴8dが形成される係合部8gを、開孔8aが形成された部位(外周部)よりも肉厚に形成するとともに、当該肉厚部分を成形活性炭4の端面4cに当接させることで、端面4cとストレーナ8との間の間隙E3を確保している。
【0060】
そして、本実施形態においても、上記第2実施形態と同様に、ストレーナ8Bの流入側8bのスリット幅をW1、流出側8cのスリット幅をW2としたとき、W1<W2となるように開孔8aを形成している。なお、上記第1実施形態で示したように、流入側8bのスリット幅と流出側8cのスリット幅がほぼ同一となるように開孔8aを形成してもよい。
【0061】
また、活性炭ホルダ20の中心軸C方向の一端の閉鎖部7Bは、側壁7bを圧接または側壁7bの端部に接着や溶着等を施すことにより接合されており、他端の側壁9bも圧接または側壁9bに接着等を施すことにより接合されている。さらに、天壁7aにより上流側から通水された原水が成形活性炭4内の空間5内に直接流入してしまうのを抑制している。
【0062】
さらに、側壁7bによって内周面4bを開口5a側から所定量D1だけ閉鎖するとともに、側壁9bによって内周面4bの開口5b側から所定量D2だけ閉鎖することで、通水が短絡してしまうのを抑制している。
【0063】
以上の本実施形態によっても、上記第2実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
【0064】
また、本実施形態によれば、閉鎖部7Bを、空間5を貫通させることができるように形成するとともに、ストレーナ8Bを着脱可能とすることで、成形活性炭4を活性炭ホルダ30から着脱可能に構成することができ、性能が低下した成形活性炭4のみを交換することができるようになる。その結果、コストの削減を図ることができる。
【0065】
また、本実施形態によれば、円管部材21の外周面21cと成形活性炭4の内周面4bに間隙E2を持たせているため、円管部材21が成形活性炭4の内周面4bに接触して塞いでしまうのを抑制することができる。その結果、成形活性炭4の内周面4bを有効に使うことができ、流量が低下してしまうのを抑制することができる。
【0066】
また、円管部材21の外周面21cと成形活性炭4の内周面4bとの間に間隙E2を持たせることで、円管部材21に成形活性炭4を挿入する際に、挿入抵抗により円管部材21が歪み外側に膨らんだとしても内周面4bに触れてしまうのを抑制することができるようになる。その結果、成形活性炭4の内周面4bを傷つけてしまうのを抑制することができる。さらに、摩擦力による挿入抵抗の増大を抑制することができ、よりスムーズに成形活性炭4を挿入することができるようになる。
【0067】
また、本実施形態によれば、ストレーナ8Bに摘み部8eを設けているので、ストレーナ8Bの取外し、取り付けの際に浄水カートリッジ1Bが掴みやすくなる。また、浄水カートリッジ1Bの交換時に作業者が成形活性炭4を直接触ることなく浄水カートリッジ1Bを着脱できるようになる。すなわち、浄水カートリッジ1Bを取り付ける際に、作業者の手やペンチ等が成形活性炭4に触れて手の油脂等が付着したり成形活性炭4が破損してしまうのを抑制することができる。さらに、取り外す際に成形活性炭4に付着した不純物に作業者の手やペンチが触れてしまうのを抑制することができ、衛生面の向上を図ることも可能となる。
【0068】
また、ストレーナ8Bに摘み部8eを設けることで、ハンドリング性が良くなるため、着脱操作性だけでなく清掃作業性にも優れ、使用者がメンテナンスしやすくなるという利点もある。
【0069】
さらに、本実施形態によれば、ストレーナ8Bを容易に取外すことができるため、ストレーナ8Bを取外した状態でストレーナ8Bに捕捉された水道配管由来異物を清掃することができ、衛生的な浄水カートリッジ1Bを得ることができる。
【0070】
(第4実施形態)
本実施形態では、本発明にかかる浄水カートリッジを備えた浄水装置および当該浄水装置を備える流し台について説明する。以下では、第3実施形態で示した浄水カートリッジ1Bを備え流ものを例示する。
【0071】
本実施形態にかかる流し台40は、図10に示すように、給水管34から供給された水道水や井戸水等の原水を水路切換弁42によりカラン41と浄水装置30に導入できるように構成されており、原水と浄水装置30で生成した浄水を夫々吐出できるようになっている。
【0072】
そして、流し台40は、原水や浄水装置30で生成した浄水を貯留したり排水口45から排水したりすることができる水槽44を備えている。そして、水槽44の下面に開口した排水口45は、U字状の排水トラップ46を介して排水管47に接続されており、水槽44に吐出した原水や浄水は、排水管47から外部に排水される。
【0073】
浄水装置30は、図9に示すように、給水管34から供給された原水の不純物をろ過して浄水を生成するろ過部31と、ろ過部31で生成された浄水を吐出する吐水管34と、を有している。
【0074】
ろ過部31は、給水管34に連通する給水用連通孔35と吐水管36に巡通する吐水用連通孔35とを備えた外装32の内部に形成されている。本実施形態では、ストレーナ8Bと活性炭吸着部2および中空糸膜モジュール3の三種類のろ材を有した浄水カートリッジ1Bを着脱自在に取り付けることでろ過部31を形成している。
【0075】
すなわち、本実施形態にかかる浄水装置30は、給水管34から供給された原水を浄水カートリッジ1Bの三つのろ材で順にろ過することで、原水から不純物を除去して浄水を生成し、生成した浄水を吐水管36に供給するようにしたものである。また、ストレーナ8Bを介して成形活性炭4の端面4cから原水を導入することができるようになっており、成形活性炭の端面を完全閉塞する構造の浄水カートリッジと比較してろ過部31内の通水抵抗を低く抑えることができる。このとき、ろ過部31の外装32の内径をQ、ストレーナ8Bの外径をP、ストレーナの有するスリット幅または細孔幅をW3とすると、外装32の内径Qの寸法を、P+2×W3=Qの関係で構成するとともに外装32の端部より内側にストレーナ8Bが位置するように配置するのが好適である。こうすれば、水道配管由来異物を最も効果的に補足することができ、ろ過部31の外形寸法を小型化することができる。
【0076】
以上説明したように、本実施形態では、浄水装置30が水の短絡を抑制しつつ長寿命化を図ることのできる浄水カートリッジ1Bを備えているため、浄水装置30の長寿命化を図ることができる。さらに、浄水装置30は、浄水カートリッジ1Bをろ過部31に着説可能に取り付けている。したがって、ろ過により溜まった不純物でろ過性能が低下した際に浄水カートリッジ1Bを交換することで、ろ過性能の低下を容易に解消することができる。また、長寿命の浄水カートリッジ1Bを用いることで、浄水カートリッジ1Bの交換作業の回数を低減することができ、使用者にとって非常に経済的であることに加えて使い勝手についても向上させることができる。
【0077】
さらに、浄水装置30を流し台40に組み込んで使用すれば、生成した浄水を使用することができると共に、ろ過性能の低下時に浄水装置30に備えた浄水カートリッジ1Bを交換するだけで容易にろ過性能の低下を解消することができる。そして、小型でメンテナンス性に優れ、長寿命の浄水カートリッジ1Bを用いた浄水装置30を使用することで、使い勝手を向上させることのできる流し台40を得ることができる。
【0078】
なお、浄水装置30として、上記第1および第2実施形態で示した浄水カートリッジ1を備えた浄水装置を用いることも可能である。この場合にあっても同様の作用、効果を奏することができる。
【0079】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。
【0080】
例えば、流し台および浄水装置は、上記第4実施形態で示したものに限らず、ビルトイン式のものとすることができる。
【0081】
また、浄水装置としては、浄水を電解する電解部を備えアルカリ性や酸性の電解水を生成するものや、浄水にマグネシウムやカルシウム等のミネラル成分と称される物質を添加するものであってもよい。
【0082】
また、ストレーナや成形活性炭、その他細部のスペック(形状、大きさ、レイアウト等)も適宜に変更可能である。
【符号の説明】
【0083】
1,1B 浄水カートリッジ
4 成形活性炭
4a 外周面
4b 内周面
4c 一方の端面
4d 他方の端面
5 空間
5a 一方の開口
5b 他方の開口
6 封止キャップ(封止部)
7 閉鎖部
8,8A,8B ストレーナ
8a 開孔(通水部)
8b 流入側
8c 流出側
9,9B キャップ
21 円管部材(連結部材)
21a 側壁
21b 通水口
21c 外周面
22 中空部
30 浄水装置
40 流し台
E1,E2 間隔
W1,W2 幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周側に両端が開口した空間が形成された筒状の成形活性炭を備え、前記空間の一方の開口を封止部により封止するとともに、前記成形活性炭内に流入した水を前記空間に導入して他方の開口から流出させるようにした浄水カートリッジであって、
前記封止部は、前記一方の開口および前記成形活性炭の内周面の前記一方の開口側を閉鎖する閉鎖部と、開孔を有し、前記一方の開口側の端面に間隔を設けて対向するストレーナと、を備えていることを特徴とする浄水カートリッジ。
【請求項2】
前記一方の開口側の端面と前記ストレーナとの間隔が当該ストレーナの開孔サイズよりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の浄水カートリッジ。
【請求項3】
前記開孔がスリット状もしくはメッシュ状の通水部であり、当該通水部は、流出側の幅が流入側の幅よりも広いことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の浄水カートリッジ。
【請求項4】
前記閉鎖部と前記ストレーナとが着脱可能に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の浄水カートリッジ。
【請求項5】
前記浄水カートリッジは、前記成形活性炭の内周面の前記他方の開口側を閉鎖するとともに、前記成形活性炭内を通過したろ過水を前記他方の開口側から流出させるキャップを備え、
前記閉鎖部は、前記空間を貫通させることができるように形成されており、
前記閉鎖部と前記キャップとが、内周側に中空部を有する側壁に前記成形活性炭内を通過したろ過水を前記中空部に導入する開口が形成された連結部材で接続されていることを特徴とする請求項4に記載の浄水カートリッジ。
【請求項6】
前記連結部材の側壁の外面と前記前記成形活性炭の内周面との間に隙間が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の浄水カートリッジ。
【請求項7】
前記ストレーナに摘み部が設けられていることを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか1項に記載の浄水カートリッジ。
【請求項8】
請求項1〜7のうちいずれか1項に記載の浄水カートリッジを備えることを特徴とする浄水装置。
【請求項9】
請求項8に記載の浄水装置を備えることを特徴とする流し台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−50904(P2012−50904A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−193641(P2010−193641)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】