説明

浄水器

【課題】特に据置型浄水器のような比較的大型の浄水器の場合でも、浄水器の設置状況(設置の位置や向きなど)に応じて、常に表示を見やすい状態で見ることができるように、設置位置や設置向きなどが限定されることなく自由度が高く、また使いやすさに優れた浄水器を提供すること。
【解決手段】原水を取り込む操作を行う切換操作部と、交換可能なカートリッジを収納した本体部とから構成される浄水器であって、前記本体部は、架台部と、該架台部に設けられカートリッジ接続部を有するカートリッジ取付台と、該架台部に立設して設けられた吐水部を有し、該吐水部には取換え交換可能な吐水管が回動自在に設置されてなることを特徴とする浄水器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キッチン等に設置して使用する据置型浄水器に関する。
【背景技術】
【0002】
水道水をろ過する浄水器は、蛇口に直接取り付けて使用する蛇口直結型浄水器が普及している。蛇口直結型浄水器は、キッチン等で場所をとらず、手軽に使用することができる。
【0003】
また、水道水中のカルキ臭や鉄錆等のゴミを除去するだけでなく、有害物質の除去にも関心が高まってきており、除去対象物質を増やした浄水器カートリッジの開発も進んでいる。
【0004】
蛇口直結型浄水器は、コンパクトであり、キッチンでの使い勝手が良いものの、カートリッジの大型化には限界があり平均的には数ヶ月程度の定期交換が必要である。
【0005】
このような点から、カートリッジを大型化して寿命を長く保ち、十分な水量を確保できる中〜大型の浄水器も提案され実用化されてきている。
【0006】
例えば、カートリッジをキッチン下に収納して水栓と直結したビルトインタイプのもの、あるいは、蛇口に切換弁のみを取り付けて、カートリッジや吐水部はキッチン周辺に設置する据置型の浄水器などが提案され実用化されてきている。
【0007】
このような据置型浄水器としては、活性炭カートリッジと中空糸膜カートリッジを内部に備えた箱状の浄水器筐体の頭頂部から、可撓性のある吐水管が取り付けられた浄水器が提案され(例えば、特許文献1参照)、あるいは、活性炭と中空糸膜とを一体に内蔵したカートリッジを筒状の浄水器筐体に収納した浄水器の頭頂部に可撓性のある吐水管が取り付けられた浄水器が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
しかし、特許文献1や特許文献2で提案された据置型浄水器の場合には、筐体頭頂部に取り付けられた吐水管は取り外しができないため、ユーザーが吐水位置を変えたい場合には、ろ材を内蔵した据置型浄水器本体ごと移動させる必要がある。また、吐水管の長さが十分に確保されていないと、据置型浄水器本体をキッチンのシンクぎりぎりに置かなくてはならないため、水道水や洗剤等が跳ね返って付着するというような不都合があった。
【0009】
また、原水を取り込む操作を行う切換操作部と、カートリッジを収納する本体部を有し、該本体部は、架台部と該架台部に設けられたカートリッジ接続部を有するカートリッジ取付台と、該架台部に立設して設けられた回動可能な吐水管が接続された吐水部を有した構造の浄水器が提案されている(特許文献3)。
【0010】
しかし、この特許文献3で提案されたものは、主に全体外形の提案にとどまり、実際の使いやすさという点では、いまだ改善の余地があるものであった。
【特許文献1】特開2003−62562号公報
【特許文献2】特開2002−200482号公報
【特許文献3】意匠登録第1251356号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、上述したような点に鑑み、特に据置型浄水器のような比較的大型の浄水器の場合でも、浄水器の設置状況(設置の位置や向きなど)に応じて、常に表示を見やすい状態で見ることができるように、設置位置や設置向きなどが限定されることなく自由度が高く、また使いやすさに優れた浄水器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した目的を達成する本発明の浄水器は、以下の(1)記載の構成を有する。
(1)原水を取り込む操作を行う切換操作部と、交換可能なカートリッジを収納した本体部とから構成される浄水器であって、前記本体部は、架台部と、該架台部に設けられカートリッジ接続部を有するカートリッジ取付台と、該架台部に立設して設けられた吐水部を有し、該吐水部には取換え交換可能な吐水管が回動自在に設置されてなることを特徴とする浄水器。
【0013】
また、かかる本発明の浄水器において、より具体的に好ましくは、以下の(2)または(3)の構成からなるものである。
【0014】
(2)前記吐水部が吐水管接続部を有し、前記吐水管は、前記吐水管接続部から略鉛直方向上向きに延び、途中で湾曲し吐水管先端は下向きに構成されていることを特徴とする上記(1)記載の浄水器。
【0015】
(3)浄水器表面がメッキ塗装されてなることを特徴とする上記(1)または(2)記載の浄水器。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、据置型浄水器のカートリッジ取付箇所と吐水管とを分離した構成にすることによって、カートリッジ取付箇所を汚すことがないように、吐水管の向きや位置を自由に設置することができる。また、吐水管は回動自在に取り付けられており、さらに吐水管も交換可能に構成されているため、キッチン周辺に浄水器の設置場所が限られた場合であっても、吐水管のみを調整することで対応することができる。
【0017】
特に、請求項2にかかる本発明の浄水器によれば、吐水管は架台部から略鉛直方向に延び、吐水口先端はキッチン方向に向けられているので、据置型浄水器本体を高さや位置を調節する必要なくキッチンに吐水することができ、一層便利である。
【0018】
また、特に、請求項3の本発明の浄水器によれば、たとえ汚れが付きやすい位置に設置せざるを得ないこととなった場合でも、汚れの除去や清掃がしやすく、衛生面で優れた浄水器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面等に基づいて、更に詳しく本発明の浄水器について説明する。
図1は、本発明の浄水器の一実施例をモデル的に示した概略斜視図であり、図2は、図1に示した本発明の浄水器に使用することのできる浄水器本体部の態様例をモデル的に説明する概略縦断面図である。
【0020】
本発明にかかる浄水器10は、蛇口20に取り付けられ原水を取り込む操作を行う切換操作部100と、交換可能なカートリッジをその内部に収納した本体部300とから構成される浄水器であって、本体部300は、架台部400と、該架台部400に設けられその内部にカートリッジ接続部520を有するカートリッジ取付台500と、該架台部400に立設して設けられた吐水部800を有し、該吐水部800には取換え交換可能な吐水管810が回動自在に設置されてなることを特徴とする。
【0021】
また、本発明の浄水器10において、好ましくは、吐水部800が吐水管接続部820を有し、吐水管810は、吐水管接続部820から略鉛直方向上向きに延び、途中で湾曲し吐水管先端は下向きに構成されているものである。
【0022】
また、好ましくは、本体部300の外表面がメッキ塗装されてなるものである。本体部300の構成材料は、ABS、AS等の合成樹脂、真鍮、ステンレス、アルミ等の金属を適宜組み合わせて使用することができる。真鍮やステンレス等の金属は、複雑な形状は加工しにくいものの、メッキ塗装を施すと金属光沢を出しやすく、装飾性に富んだ外観が得られる。一方、ABSやAS等の合成樹脂は複雑な形状に加工できる点で好ましい。
【0023】
本体部300へ適用する一例としては、架台部400やカートリッジ取付台500のような、安定して設置するためにある程度の重量が必要な部分には、ステンレスや真鍮を多用すると良く、カートリッジカバー700のように取り外して使用する部材は、合成樹脂とステンレス薄板を組み合わせる方法も好ましい態様である。
【0024】
外表面のメッキ塗装は、ニッケルメッキ、クロムメッキ、ニッケル・クロムメッキ、亜鉛メッキ、アルミを使用した場合におけるアルマイト処理、リン酸マンガン被膜させるリューブライト処理等の方法が用いられる。いずれの方法においても、金属光沢に富み、装飾性を有する、外観上の美観に優れた浄水器が得られる。さらに、これらのメッキ塗装と合わせ、テフロン(登録商標)コーティングを施すと、防水効果や撥水効果を付与することもできるし、梨地処理を施すことにより艶消し効果が得られ、さらに装飾性に富んだ表面に仕上げることもできる。
【0025】
浄水器は、水回りの近くで使用することから、水が跳ねて付着することは避けられず、防錆性に優れた表面とすることが好ましい。従来の浄水器では、防錆性のあるステンレスをそのまま筐体に使用した製品が多い。これに対し、例えばニッケル・クロムメッキのように防錆性を有するメッキを採用すると、ステンレス筐体と同等の防錆性を有しつつ、外観上の美観に優れていることや、汚れの落としやすさ、汚れのつきにくさの点などで好ましい態様である。
【0026】
図1において、200は接続ホースであり、切換操作部100と本体部300とは該接続ホース200で繋がっている。切換操作部100は、蛇口接続部の取付ナットと蛇口固定リングを使って、蛇口20と切替操作部100とが固定されている。そして、切換操作部100の本体右側面に設けた切換レバー120の切換操作によって、原水ストレート、原水シャワー、浄水のそれぞれに切り換えることができるようにされている。
【0027】
浄水器10は、内部にろ材を収納したカートリッジ600が取り付けられたカートリッジ取付台500と、カートリッジ取付台500を積載した架台部400とからなり、該カートリッジ取付台500には、表示ユニット530が設けられ、浄水の累積流量などを表示することができるようにされている。
【0028】
図2に本体部300の内部の構造を示したように、カートリッジ600部分は、カートリッジカバー700で覆われている。810は浄水の吐水管であり、800は浄水を吐出する吐水部である。510は原水流入口、511は接続ナットである。
【0029】
本体部300は、原水や浄水が流れる管路を内部に設けた架台部400、架台部400の上にカートリッジ取付台500と吐水部800がそれぞれ独立して設けられており、架台部400は、原水が流れる原水流路420、浄水が流れる浄水流路430がそれぞれ内部に設けられている。原水流路420には、水温を検知するサーミスタ421が接続されている。521は原水流出口、522は浄水流入口である。560はカバー固定部である。
【0030】
カートリッジ取付台500は、原水流入口510、カートリッジ接続部520、カートリッジ寿命等を表示する表示ユニット530、電池ケース、各種表示の設定やリセットを行うための操作スイッチなどがそれぞれ設けられている。原水流入口510の内部には逆止弁512が設けられており、逆止弁512の下流側で架台部400の原水流路420と接続されている。
【0031】
吐水部800は、吐水管810と吐水管接続部820とから構成されている。吐水管接続部820の内部には、架台部400の浄水流路430に接続し、流量計830を管路内に設けた浄水流路824が設けられている。また、吐水管接続部820の端部には、吐水管ベース821とキャップ823がそれぞれ設けられている。吐水管接続部820と接続させる側の吐水管810の端部付近には、吐水管固定リング811が取り付けられていて、該リングの輪を吐水管が貫通している。
【0032】
吐水管ベース821の内部に設けた浄水流路824には、吐水管810を水密に固定するためのゴムパッキン822と突止部834が設けられており、吐水管810を突止部834まで挿入すると、吐水管固定リング811とゴムパッキン822とを当接することができるようになっている。吐水管固定リング811とゴムパッキン822とを当接させた後、キャップ823を吐水管ベース821に係止することにより、吐水管固定リング811とゴムパッキン822とを水密に固定することができる。図3は、流量計830の設置部付近の概略拡大断面図であり、831は流量計取付管、832は羽根車、833は検出器、834は突止部である。
【0033】
吐水管810を交換する場合には、最初にキャップ823を外し、続いて吐水管810を吐水管ベース821から取り外す。その後、別の吐水管(図示せず)を吐水管ベース821に挿入し、キャップ823を係止させればよい。交換する別の吐水管(図示せず)の端部には、吐水管接続部820と接続させる側の吐水管810の端部と共通する吐水管固定リング811が備えられていることが好ましい。
【0034】
交換可能な吐水管810の態様としては、吐水管ベース821に挿入する部分以外をフレキ管にして、吐水管810の先端部分を使用者の意図に応じて向きを自由に変えられるようにしたもの、あるいは、吐水管810の長さを長く伸ばして、キッチンのシンクから離れた場所に本体部300を設置してもキッチンまで吐水管810を届かせるようにしたものが好ましい。その他にも、吐水管810の長さや高さを自由に設定することができる。
【0035】
吐水管810の素材としては、亜鉛と銅からなる真鍮が水道用途に広く用いられている。しかし、水と長時間接していると、亜鉛が水中に溶出する脱亜鉛現象が起こり、吐水管810の肉厚が薄くなったり、一部が脱落する問題が生じるおそれがある。このため、真鍮の代替として、吐水管810の素材にステンレスを用いることも好ましい態様である。ステンレスは、前述したとおりメッキ塗装が可能な材料であり、吐水管810を交換してもメッキ塗装による外観上の美観を保持することができる。
【0036】
本発明の浄水器では、吐水管接続部820の内部に設けた流量計830で、浄水流路824を通過する浄水の積算流量および/または瞬時流量を計測することができる。この結果をもとに、使用可能な残り総流量を算出したり、あらかじめ設定した瞬時流量よりも大流量である瞬時流量で浄水が通過していることを判定したりすることができ、これらの算出結果や判定結果を、表示ユニット530上に寿命や警告などとして表示することができる。
【0037】
次に、水道水の流れを説明すると、蛇口20からの水道水は、切換操作部100に流入した後、切換レバー120で「浄水」を選択すると、水道水は接続ホース200を経由して、本体部300に設けた原水流入口510から本体部300の内部に流入する。原水流入口520の内部にある逆止弁512は、水道水圧で十分開放するようになっている。水道水は、架台部400の原水流路420を通ってカートリッジ接続部520の原水流出口521に向かう。
【0038】
カートリッジ600の原水受入口670から流入した水道水は、ろ材610と接触して水道水中の残留塩素が分解されたり、有機化合物が吸着されたり、重金属イオンが吸着されたりした後、ろ過膜モジュール620で細菌やゴミ等の不純物が除去される。
【0039】
カートリッジ600で処理された水道水は、浄水となって該カートリッジの浄水吐出口から吐出される。浄水は架台部400内部の浄水流路824を経由し、吐水部800の内部に設けた流量計830を通過して、吐水管810から吐出される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】図1は、本発明の浄水器の一実施例をモデル的に示した概略斜視図である。
【図2】図2は、図1に示した本発明の浄水器に使用することのできる浄水器本体部の態様例をモデル的に説明する概略縦断面図である。
【図3】図3は、流量計830の設置部付近の概略拡大断面図である。
【符号の説明】
【0041】
10:浄水器
20:蛇口
100:切換操作部
110:蛇口接続部
120:切換レバー
200:接続ホース
300:本体部
400:架台部
420:原水流路
421:サーミスタ
430:浄水流路
500:カートリッジ取付台
510:原水流入口
511:接続ナット
512:逆止弁
520:カートリッジ接続部
521:原水流出口
522:浄水流入口
530:表示ユニット
560:カバー固定部
561:支持枠
600:カートリッジ
700:カートリッジカバー
800:吐水部
810:吐水管
811:吐水管固定リング
820:吐水管接続部
821:吐水管ベース
822:ゴムパッキン
823:キャップ
824:浄水流路
830:流量計
831:流量計取付管
832:羽根車
833:検出器
834:突止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水を取り込む操作を行う切換操作部と、交換可能なカートリッジを収納した本体部とから構成される浄水器であって、前記本体部は、架台部と、該架台部に設けられカートリッジ接続部を有するカートリッジ取付台と、該架台部に立設して設けられた吐水部を有し、該吐水部には取換え交換可能な吐水管が回動自在に設置されてなることを特徴とする浄水器。
【請求項2】
前記吐水部が吐水管接続部を有し、前記吐水管は、前記吐水管接続部から略鉛直方向上向きに延び、途中で湾曲し吐水管先端は下向きに構成されていることを特徴とする請求項1記載の浄水器。
【請求項3】
浄水器表面がメッキ塗装されてなることを特徴とする請求項1または2記載の浄水器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−110326(P2008−110326A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−296590(P2006−296590)
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】