説明

浄水器

【課題】電源部に収納した電池の消耗状態を一目で確認することができる浄水器を提供する。
【解決手段】本発明の浄水器は、フィルタと、外部ケースと、各種情報の変化を表示する表示部と、その内部に収納された電池から表示部に電力を供給する電源部と、を備えた浄水器であって、表示部80が、円形状81と、円形状81に隣接して一方向に複数配列された三日月形状82と、これらの形状の周りを囲う点線の長円形状83とを点灯して表示可能な表示面85を有する液晶基板84から構成され、各種情報が変化する前には、表示面85の円形状81、及び三日月形状82の全てが点灯し、各種情報の変化に伴い、三日月形状82が円形状81から遠い順に徐々に消灯し、最終的に、円形状81も消灯し、長円形状83の点線の一部が、点灯部位が長円形状に沿って移動するように点灯して、各種情報の変化の経緯を表示するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浄水器に関する。さらに詳しくは、その内部に収納した電池から電力を供給する電源部を有し、電源部に配設された陽極端子の変形に起因する電池の接触不良が有効に防止された浄水器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、化学工業、食品工業等の分野におけるプロセス機器や水道水の家庭用の浄水器において、原液をその内部に透過させて除菌、濾過等の浄化を行うフィルタとして、セラミックス製膜や活性炭等のフィルタエレメントをケースに収納したフィルタカートリッジを用いたものが使用されている。
【0003】
このようなフィルタカートリッジを備えた浄水器としては、例えば、少なくとも活性炭を含む濾過層を有するフィルタカートリッジとケースに内蔵されたセラミックス製膜フィルタとを備えたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この浄水器は、交換が簡易で、メンテナンス性の面において一定の効果を発揮するとともに、セラミックス製膜フィルタの目詰まりや圧力損失の上昇を抑えることができる点で優れたものである。
【0005】
また、現在、その内部に収納された電池から電力を供給する電源部と、液晶基板等の表示部とを備え、例えば、浄水器の積算流量やフィルタカートリッジの交換時期等を表示することが可能な浄水器が提案されている(例えば、特許文献2及び3参照)。
【0006】
このような浄水器は、例えば、図11に示すように、コイン型電池91を保持する電池ケース92と、電池ケース92と着脱可能な蓋93とを有する電源部90を備えてなり、この蓋93には、その電池ケース92との接触部分94に、電源部90の陽極端子95に対応した溝96が設けられている。このように構成された浄水器は、蓋93を、その溝96に陽極端子95が挿入されるようにして電池ケース92に装着することによって、電源部90の省スペース化が実現されるとともに、液密性を向上させることができる。
【0007】
【特許文献1】特許第3124627号公報
【特許文献2】特開2000−176446号公報
【特許文献3】特開2002−210459号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、図11に示したような電源部90を備えた浄水器においては、電源部90の電池ケース92にコイン型電池91を収納し、その電池ケース92に上述したように構成された蓋93を取りつける際に、図12に示すように、蓋93がずれた状態や偏った状態で取り付けられることがあるために、蓋93の電池ケース92との接触部分94によって陽極端子95が押し曲げられて変形し、収納したコイン型電池91が接触不良を起こすという問題があった。また、コイン型電池91を電池ケース92に収納する際にも、コイン型電池91自体で陽極端子95を変形させてしまうことがあり、この場合もまたコイン型電池91が接触不良を起こすという問題があった。また、電源部90の構造上、この陽極端子95の形状を変更することは困難であり、上述した問題に対して有効な対策が講じられていないという現状があった。
【0009】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、その内部に収納した電池から電力を供給する電源部を有し、電源部に配設された陽極端子の変形に起因する電池の接触不良が有効に防止された浄水器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上述の課題を解決するべく、以下の浄水器を提供するものである。
【0011】
[1] フィルタと、各種情報の変化を表示する表示部と、その内部に収納された電池から前記表示部に電力を供給する電源部と、を備えた浄水器であって、前記表示部が、円形状と、前記円形状に隣接して一方向に複数配列された三日月形状と、これらの形状の周りを囲う点線の長円形状とを点灯して表示可能な表示面を有する液晶基板から構成され、前記各種情報が変化する前には、前記表示面の前記円形状、及び前記三日月形状の全てが点灯し、前記各種情報の変化に伴い、前記三日月形状が前記円形状から遠い順に徐々に消灯し、最終的に、前記円形状も消灯し、前記長円形状の点線の一部が、点灯部位が前記長円形状に沿って移動するように点灯して、前記各種情報の変化の経緯を表示するものであることを特徴とする浄水器。
【0012】
[2] 前記各種情報が、前記電源部に収納された前記電池の残りの電力であり、前記電源部に収納された前記電池の電力が最大のときには、前記表示面の前記円形状、及び前記三日月形状の全てが点灯し、前記電池の電力の消費とともに、前記三日月形状が前記円形状から遠い順に徐々に消灯し、前記電池の交換時期には、前記円形状も消灯し、前記長円形状の点線の一部が、点灯部位が前記長円形状に沿って移動するように点灯して、前記電池の交換時期を表示する前記[1]に記載の浄水器。
【0013】
[3] 前記電池が、コイン型電池である前記[1]又は[2]に記載の浄水器。
【0014】
[4] 前記各種情報が、積算流量、浄水の鉛含有量、時刻、pH及び導電率からなる群から選択される少なくとも一の情報を含む前記[1]〜[3]のいずれかに記載の浄水器。
【0015】
[5] 前記フィルタがセラミックスフィルタである前記[1]〜[4]のいずれかに記載の浄水器。
【0016】
[6] 前記フィルタが、その端部側から浄化液を取り出す構造を有するものである前記[1]〜[5]のいずれかに記載の浄水器。
【0017】
[7] 前記フィルタが、その外周壁側から浄化液を取り出す構造を有するものである前記[1]〜[5]のいずれかに記載の浄水器。
【発明の効果】
【0018】
本発明の浄水器は、電源部に収納した電池の消耗状態を一目で確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の浄水器の実施の形態を、図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0020】
まず、浄水器の一例について説明する。図1に示すように、この浄水器1は、浄化すべき原液21を取り入れる取り入れ口22、浄化すべき原液21をその内部を透過させることによって浄化するフィルタ本体23、及び浄化液24を取り出す取り出し口25を有するフィルタ20と、フィルタ20をその中に収納する収納室41、取り入れ口22に連なる導入配管42、及び取り出し口25から取り出された浄化液24を外部に導出する導出配管43を有する外部ケース40と、その内部に収納されたコイン型電池6から電力を供給する電源部2と、を備えた浄水器1であって、図2及び図3に示すように、上述した電源部2が、コイン型電池6を保持する電池ケース3、コイン型電池6の陰極6aと電気的に接続可能な陰極端子5、及びコイン型電池6を保持した状態でコイン型電池6の陽極6bと電気的に接続可能な陽極端子4を有し、電池ケース3が、その正面部となる、高さが陽極端子4の高さと略同一の板状部材10aと、その両側面部となる、高さが陽極端子4の高さよりも高い二枚の板状部材10b,10cとから構成された中空箱型形状の補強リブ10を有し、陽極端子4が、補強リブ10及び電池ケース3の側面の一部で形成される空間の内部に、電池ケース3の底面から上方に向けて配設されるとともに、補強リブ10の正面部となる板状部材10aを覆うようにして折れ曲がり、補強リブ10の正面部となる板状部材10aの表面に沿って再度電池ケース3の底面に向けて配設されてなり、補強リブ10の正面部となる板状部材10aが、陽極端子4の上方からの応力による変形を防止するとともに、補強リブ10の両側面部となる板状部材10b,10cが、陽極端子4の側方からの応力による変形を防止することが可能である。この浄水器1においては、陰極端子5は電池ケース3の底面部に、コイン型電池6の陰極6aと電気的に接続可能な状態で配設されている。また、陽極端子4及び陰極端子5のそれぞれは、IC基板(図示せず)や液晶パネル(図示せず)等に配線12によって電気的に接続されている。この配線12は、電池ケース3の底面部に設けられた防水用のゴムキャップ11を通して電池ケース3の外部に配設されることが好ましい。
【0021】
このように構成された浄水器1(図1参照)は、電源部2に配設された陽極端子4の、その上方及び/又は側方からの応力による変形が防止されていることから、陽極端子4の変形に起因するコイン型電池6の接触不良が有効に防止される。
【0022】
この浄水器においては、上述した電源部2が、電池ケース3に着脱可能な蓋7を有し、この蓋7が、その電池ケース3の内側面と接触する部分8に陽極端子4及び補強リブ10が挿入可能な溝9を有している。
【0023】
このように構成することによって、電源部2の液密性を向上させることができるとともに、省スペース化を実現することができる。
【0024】
また、この浄水器においては、電池ケース3と蓋7との間に、防水用のOリング13が配設されることが好ましい。このOリング13の材料としては、防水性に優れたものであることが好ましく、例えば、フッ素系樹脂、シリコンゴム、ニトリルゴム(NBR)及びエチレンプロピレンゴム(EPDM)等を好適例として挙げることができる。
【0025】
通常、浄水器は、水の飛散し易い場所に設置されて用いられることから、従来の浄水器のように電源部の液密性が十分でない場合は、その内部に水や水蒸気等が浸入して、電源部を構成する陽極端子及び陰極端子等の金属部分やコイン型電池自体が錆び、浄水器が故障することがある。また、電源部の内部まで水が浸入した浄水器に触れた場合には、感電等の事故を起こすこともある。この浄水器1(図1参照)は、電池ケース3と蓋7との間に、防水用のOリング13が配設されたものであることから、電源部2の液密性に優れ、上述した故障や感電等の事故が有効に防止されたものである。
【0026】
陽極端子4及び陰極端子5の材料としては、常温で固体であり導電性を有するものであれば特に制限はなく、例えば、アルミニウム、チタン、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、銀、錫、タンタル、タングステン、イリジウム、白金、金、鉛等を任意の組み合わせで含有する金属又は合金を挙げることができる。中でも、導電性の観点からは、白金、ロジウム、パラジウム等の白金族金属又はこれらを含有する銀−白金、白金−パラジウム等の合金を主成分とするものが好ましく、耐久性の観点からは銅、銀及び金が好ましい。
【0027】
また、電池ケース3の材料としては、常温で固体であり電気絶縁性を有するものであれば特に制限はなく、例えば、ABS樹脂、POM樹脂、ナイロン樹脂、PP樹脂及びPE樹脂を挙げることができる。補強リブ10の材料としては、上述した電池ケース3の材料として例に挙げた材料を好適に用いることができ、中でも、機械的強度に優れることから、特に、ABS樹脂、POM樹脂が好ましい。
【0028】
また、この浄水器においては、電池ケース3と補強リブ10とが一体成形されてなるものであることが好ましい。このように構成することによって、補強リブ10の機械的強度をさらに向上させることができるとともに、電源部2を安価なものとすることができる。
【0029】
また、図4に示すように、浄水器1においては、電池ケース3及び蓋7の、それぞれの外部から観察可能な外周面上の所定の位置に、蓋7の着脱位置を表示する表示マーク14が設けられていることが好ましい。
【0030】
上述したように、電源部2を構成する陽極端子4(図2参照)を変形させる原因の一つとしては、この蓋7の着脱時のずれや偏り等が挙げられており、これまでに説明した浄水器は、図2に示すように、電池ケース3に補強リブ10を設けて陽極端子4の変形を防止するだけでなく、図4に示すように、電池ケース3及び蓋7の、それぞれの外部から観察可能な外周面上の所定の位置、即ち、蓋7の溝9(図2参照)に陽極端子4(図2参照)及び補強リブ10(図2参照)が挿入されるように着脱される位置に表示マーク14を設け、表示マーク14に合わせて蓋7を着脱することで正常な位置での着脱が常に実現され、陽極端子4(図2参照)の変形がさらに防止される。
【0031】
この表示マーク14は、電池ケース3及び蓋7のそれぞれ外周面上に、印刷されて設けられたものであってもよく、また、シール等を貼付したものであってもよい。また、電池ケース3及び蓋7のそれぞれの外周面上の所定の位置に凹凸状の表示マーク14が設けられるように、電池ケース3及び蓋7を成形してもよい。
【0032】
また、図5(a)及び(b)に示すように、陽極端子4は、補強リブ10の正面部となる板状部材10aと、補強リブ10の両側面部となる板状部材10b,10cと、電池ケース3の側面の一部とで形成される空間の内部に、略コの字状に折り曲げた陽極端子4を挿入することによって配設することができる。
【0033】
また、陽極端子4が、補強リブ10及び電池ケース3の側面の一部で形成される空間の内部に配設された部位の両側部に、その両側部の少なくとも一部が垂直に折れ曲がることによって形成された補強部15を有することが好ましい。この補強部15により、陽極端子4自体の機械的強度をさらに向上させることができる。このような補強部15を有する陽極端子4は、例えば、図6(a)に示すような形状に切り出された略十字型の形状の金属板状部材16を、所望の形状となるように、例えば、図6(b)に示すような形状に折り曲げることによって容易に形成することができる。この陽極端子4の補強部15の大きさは、補強リブ10(図2参照)及び電池ケース3(図2参照)の側面の一部で形成される空間の大きさに応じて適宜決定される。
【0034】
また、図1に示すように、浄水器1に用いられるフィルタ20としては、浄化すべき原液を有効に浄化することができ、メンテナンスが容易であるものであれば特に制限はないが、例えば、浄化すべき原液21を取り入れる取り入れ口22と、浄化すべき原液21をその内部を透過させることによって浄化するフィルタ本体23と、浄化液24を取り出す取り出し口25と、このフィルタ本体23をその中に収納すべくフィルタ本体23を囲繞するようにして配設された、原液取り入れ口22及び浄化液取り出し口25以外は密閉されたフィルタケース26とを備えたフィルタカートリッジであることが好ましい(図1に示す浄水器1においては、フィルタ20としてフィルタカートリッジを用いた場合を示す)。
【0035】
また、フィルタ20としては、その端部30側から浄化液24を取り出す構造を有するものであってもよく、その外周壁31側から浄化液24を取り出す構造を有するものであってもよい。
【0036】
このようなフィルタ20としては、例えば、中空糸製、セラミックス製(その形状としては交互に目封じしたハニカム形状のものやモノリス型形状のもの等がある)、繊維状や粒状の活性炭製等を挙げることができる。中でも、耐熱性や耐食性に優れるセラミックスフィルタを備えたものを好適に用いることができる。また、セラミックスフィルタと活性炭とを組み合わせたものであってもよい。
【0037】
また、上述したフィルタケース26の材料としては、例えば、成形性が容易で、かつ、使用後の回収リサイクルが容易な、PP樹脂、ABS樹脂及びPVDF樹脂等の合成樹脂を挙げることができる。
【0038】
また、外部ケース40の材料としては、例えば、ステンレス等の金属、ABS樹脂及びアクリル樹脂等のプラスチック等を挙げることができる。
【0039】
なお、浄水器1で浄化される原液21としては特に制限はなく、例えば、水道水、化学工業、食品工業等で用いられる各種液体等を挙げることができる。
【0040】
また、図示は省略するが、この浄水器においては、各種情報を検出する検出器や、各種情報の変化を表示する表示部等をさらに備えたものであってもよい。上述した検出器としては、例えば、積算流量計、稼動中の浄水器から流出する浄化液の浄化度合い(水の清浄度)を測定する検出器、例えば、pH計等を挙げることができる。
【0041】
次に、浄水器の他の例について説明する。図7に示すように、浄水器51は、フィルタ20と、外部ケース40と、各種情報の変化を表示する表示部60と、を備えた浄水器51であって、図8に示すように、表示部60が、表示を行う液晶基板61と、その表面に配線用の複数の孔63が穿設された、液晶基板61に電気信号を送信するIC基板62と、液晶基板61及びIC基板62を収納する透明な表示ケース64と、を有し、IC基板62の孔63が封止されてなるとともに、液晶基板61とIC基板62とが、この順に表示ケース64の内部に積層されてなり、表示ケース64の内部に積層されたIC基板62上に、IC基板62の表面全体を密着して覆うように、防水用のシール層65がさらに積層されてなるものである。
【0042】
この表示部60は、耐水性の低い液晶基板61とIC基板62とを有するものであることから、その内部に水が浸入すると、液晶基板61の表示面が曇ったり、IC基板62がショートしてしまう等の問題があったが、この浄水器51(図7参照)においては、表示ケース64内に積層されたIC基板62上に、IC基板62の表面全体を密着して覆うように、例えば、ボンド等の樹脂を含む溶剤を流し込むことによって形成されたシール層65が積層されていることから、液晶基板61の表示面の曇りやIC基板62のショート等を防止することができる。
【0043】
液晶基板61及びIC基板62としては、ガラスエポキシ(FR−4)で構成されたものを好適に用いることができる。
【0044】
また、上述したシール層65の材料としては、例えば、二液混合硬化樹脂、熱硬化樹脂、又は光硬化樹脂等を好適に用いることができる。
【0045】
また、シール層65の表面に、透明な表面層66がさらに積層されてなることが好ましい。このように構成することによって、表示部60の防水効果をさらに向上させることができる。
【0046】
また、表示ケース64の内部に積層された液晶基板61とIC基板62との間に、液密性を有するシール部材68が配設されてなることが好ましい。これにより、仮にIC基板62内に水が浸入した場合であっても、液晶基板61までの水の浸入を防ぎ、液晶基板61の表示面の曇りが有効に防止される。
【0047】
また、表示ケース64の内部に積層されたIC基板62上の少なくとも一部に、IC基板62を表示ケース64に固定するための固定部材67が配設されてなることが好ましい。
【0048】
浄水器51に用いられるフィルタ20(図7参照)及び外部ケース40(図7参照)は、図1に示す浄水器にて説明したフィルタ20(図1参照)及び外部ケース40(図1参照)と同様に構成されたものを好適に用いることができる。
【0049】
また、図示は省略するが、この浄水器は、各種情報を検出する検出器をさらに備え、その検出器からの情報を上述した表示部60にて表示するように構成されたものであってもよい。また、図1に示した電源部2を備えてなるものであってもよい。
【0050】
次に、本発明の浄水器の一の実施の形態について説明する。図9に示すように、本実施の形態の浄水器71は、フィルタ20と、外部ケース40と、各種情報の変化を表示する表示部80と、その内部に収納された電池72から表示部80に電力を供給する電源部73と、を備えた浄水器71であって、図10に示すように、表示部80が、円形状81と、円形状81に隣接して一方向に複数配列された三日月形状82と、これらの形状の周りを囲う点線の長円形状83とを点灯して表示可能な表示面85を有する液晶基板84から構成され、各種情報が変化する前には、表示面85の円形状81、及び三日月形状82の全てが点灯し、各種情報の変化に伴い、三日月形状82が円形状81から遠い順に徐々に消灯し、最終的に、円形状81も消灯し、長円形状83の点線の一部が、点灯部位が長円形状に沿って移動するように点灯して、各種情報の変化の経緯を表示するものであることを特徴とする。
【0051】
本実施の形態においては、各種情報として、図9に示すように、電源部73に収納された電池72の残りの電力を表示する浄水器71を例として説明する。即ち、本実施の形態の浄水器71は、電源部73に収納された電池72の電力が最大のときには、図10に示すように、表示面85の円形状81、及び三日月形状82の全てが点灯し、電池72(図9参照)の電力の消費とともに、三日月形状82が円形状81から遠い順に徐々に消灯し、電池72(図9参照)の交換時期には、円形状81も消灯し、長円形状83の点線の一部が、点灯部位が長円形状に沿って移動するように点灯して、電池72(図9参照)の交換時期を表示するものである。
【0052】
このように構成することによって、電源部73(図9参照)に収納した電池72(図9参照)の消耗状態を一目で確認することができる。
【0053】
図10においては、三日月形状82が三つのものを示しているが、その数はこれに限定されることはなく、何個であってもよい。
【0054】
また、本実施の形態に用いられる表示部80は、その表示面85に、電池72(図9参照)の消耗量が数値的に分かるような表示、例えば、図10においては、100%、50%、0%等の数値表示を、円形状81及び三日月形状82の上下のいずれかの位置に表示可能に構成されたものであってもよい。
【0055】
また、本実施の形態の浄水器71(図9参照)は、各種情報を検出する検出器をさらに備え、その検出器からの情報を、これまでに説明した電池72(図9参照)の消耗状態を示す円形状81、三日月形状82及び長円形状83と同一表示面85上に表示するように構成されていてもよい。
【0056】
また、本実施の形態の浄水器71(図9参照)においては、電源部71(図9参照)が、図1に示した電源部2と同様に構成されたものであってもよく、また、表部部80が、図8に示した表示部60と同様に構成されたものであってもよい。また、本実施の形態に用いられるフィルタとしては、図1に示す浄水器の一例において説明したフィルタを好適に用いることができる。
【実施例】
【0057】
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によっていかなる制限を受けるものではない。
【0058】
(参考例1)
セラミックスからなるフィルタと、電池ケース、陽極端子、陰極端子、及び蓋を有する電源部と、演算部を有するIC基板と、を備えた浄水器(参考例1)を製造した。この電池ケースは、ABS樹脂を材料とし、その内部にコイン型電池(型式:CR2354)を保持することができるような、外周の半径が18mm、内周の半径が15mm、高さが15mmの円筒形状となるように形成した。また、この電池ケースには、その正面部となる、高さが陽極端子の高さと略同一の板状部材と、その両側面部となる、高さが陽極端子の高さよりも1mm高い二枚の板状部材とから構成された中空箱型形状の補強リブを配設した。また、蓋は、ABS樹脂を材料とし、その電池ケースの内側面と接触する部分に、陽極端子及び補強リブが挿入可能な溝を有し、電池ケースと液密に着脱可能となるような形状に形成した。
【0059】
また、陽極端子及び陰極端子は、リン青銅を材料として形成した。陽極端子は、まず、補強リブ及び電池ケースの側面の一部で形成される空間の内部に、電池ケースの底面から上方に向けた状態で配設した後、補強リブの正面部となる板状部材を覆うようにして折り曲げ、補強リブの正面部となる板状部材の表面に沿って再度電池ケースの底面に向けた状態で配設した。また、陰極端子は、電池ケースの底面に配設した。この陽極端子及び陰極端子は演算部を有するIC基板にリード線を用いて電気的に接続した。
【0060】
(比較例1)
電池ケースの補強リブが、正面部となる、高さが陽極端子の高さと略同一の一枚の板状部材のみからなり、陽極端子を、この板状部材と電池ケースの側面との間の空間に、電池ケースの底面から上方に向けた状態で配設した後、板状部材を覆うようにして折り曲げ、板状部材の表面に沿って再度電池ケースの底面に向けた状態で配設した以外は、参考例1の浄水器と同様に構成された浄水器を製造した。
【0061】
(比較例2)
電池ケースの補強リブが、両側面部となる、高さが陽極端子の高さと略同一の二枚の板状部材のみからなる以外は、参考例1の浄水器と同様に構成された浄水器を製造した。
【0062】
(比較例3)
電池ケースの補強リブが、その正面部となる、高さが陽極端子の高さと略同一の板状部材と、その両側面部となる、高さが陽極端子の高さと略同一の二枚の板状部材とから構成された中空箱型形状のものである以外は、参考例1の浄水器と同様に構成された浄水器を製造した。
【0063】
(比較例4)
電池ケースの補強リブが、その正面部となる、高さが陽極端子の高さと略同一の板状部材と、その両側面部となる、高さが陽極端子の高さと略同一の二枚の板状部材とから構成された中空箱型形状であり、陽極端子が、補強リブ及び電池ケースの側面の一部で形成される空間の内部に配設された部位に、その両端部から垂直に折れ曲がる補強板を有する以外は、参考例1の浄水器と同様に構成された浄水器を製造した。
【0064】
参考例1及び比較例1〜4の浄水器において、電池ケースへのコイン型電池の収納及び蓋の着脱の操作を100回繰り返して行い、陽極端子の変形によるコイン型電池の接触不良が生じるまでの回数を測定した。結果を表1に示す。
【0065】
【表1】

【0066】
表1に示すように、本参考例の浄水器は、100回の操作を終了した時点で、コイン型電池の接触不良は生じなかった。比較例1及び2の浄水器は14回、比較例3の浄水器は46回、そして比較例4の浄水器は85回の着脱操作で陽極端子が折れ曲がり接触不良を生じた。
【0067】
次に、参考例1及び比較例1〜3の浄水器において、陽極端子の上方又は側方からの応力耐久試験を行った。試験方法は、電源部の蓋を正常の着脱位置からずれた状態で電池ケースに装着し、陽極端子に対して、上方又は側方からの応力を加え、その後に、正常な着脱位置にて蓋を再度装着した状態でコイン型電池の通電の有無を確認した。結果を表2に示す。
【0068】
【表2】

【0069】
参考例1の浄水器は、上方及び側方いずれからの応力を加えた場合であっても通電が確認された。比較例1及び2の浄水器は、いずれの場合においてもコイン型電池は通電不可となり、比較例3の浄水器においては、上方からの応力を加えた場合にコイン型電池は通電不可となった。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明の浄水器は、例えば、水道水、化学工業、食品工業等で用いられる各種液体等を浄化する浄水器として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】浄水器の一例を模式的に示す断面図である。
【図2】図1の浄水器に用いられる電源部を模式的に示す断面図である。
【図3】図1の浄水器に用いられる電源部を模式的に示す斜視図である。
【図4】図1の浄水器を模式的に示す斜視図である。
【図5】図5(a)及び図5(b)は、図1の浄水器に用いられる電源部の陽極端子を補強リブに配設する工程を模式的に示す斜視図である。
【図6】図6(a)は、図1の浄水器に用いられる電源部の陽極端子を形成するための金属板状部材を模式的に示す平面図であり、図6(b)は、図1の浄水器に用いられる電源部の陽極端子を模式的に示す斜視図である。
【図7】浄水器の他の例を模式的に示す断面図である。
【図8】図7の浄水器に用いられる表示部を模式的に示す断面図である。
【図9】本発明の浄水器の一の実施の形態を模式的に示す断面図である。
【図10】本発明の浄水器の一の実施の形態に用いられる表示部を模式的に示すである平面図である。
【図11】従来の浄水器に用いられる電源部を模式的に示す断面図である。
【図12】従来の浄水器に用いられる電源部を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0072】
1:浄水器、2:電源部、3:電池ケース、4:陽極端子、5:陰極端子、6:コイン型電池、6a:陰極、6b:陽極、7:蓋、8:電池ケースの内側面と接触する部分、9:溝、10:補強リブ、11:ゴムキャップ、12:配線、13:Oリング、14:表示マーク、15:補強部、16:金属板状部材、20:フィルタ、21:原液、22:取り入れ口、23:フィルタ本体、24:浄化液、25:取り出し口、26:フィルタケース、30:端部、31:外周壁、40:外部ケース、41:収納室、42:導入配管、43:導出配管、51:浄水器、60:表示部、61:液晶基板、62:IC基板、63:孔、64:表示ケース、65:シール層、66:表面層、67:固定部材、68:シール部材、71:浄水器、72:電池、73:電源部、80:表示部、81:円形状、82:三日月形状、83:長円形状、84:液晶基板、85:表示面、90:電源部、91:コイン型電池、92:電池ケース、93:蓋、94:接触部分、95:陽極端子、96:溝。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタと、各種情報の変化を表示する表示部と、その内部に収納された電池から前記表示部に電力を供給する電源部と、を備えた浄水器であって、
前記表示部が、円形状と、前記円形状に隣接して一方向に複数配列された三日月形状と、これらの形状の周りを囲う点線の長円形状とを点灯して表示可能な表示面を有する液晶基板から構成され、
前記各種情報が変化する前には、前記表示面の前記円形状、及び前記三日月形状の全てが点灯し、前記各種情報の変化に伴い、前記三日月形状が前記円形状から遠い順に徐々に消灯し、最終的に、前記円形状も消灯し、前記長円形状の点線の一部が、点灯部位が前記長円形状に沿って移動するように点灯して、前記各種情報の変化の経緯を表示するものであることを特徴とする浄水器。
【請求項2】
前記各種情報が、前記電源部に収納された前記電池の残りの電力であり、
前記電源部に収納された前記電池の電力が最大のときには、前記表示面の前記円形状、及び前記三日月形状の全てが点灯し、前記電池の電力の消費とともに、前記三日月形状が前記円形状から遠い順に徐々に消灯し、前記電池の交換時期には、前記円形状も消灯し、前記長円形状の点線の一部が、点灯部位が前記長円形状に沿って移動するように点灯して、前記電池の交換時期を表示する請求項1に記載の浄水器。
【請求項3】
前記電池が、コイン型電池である請求項1又は2に記載の浄水器。
【請求項4】
前記各種情報が、積算流量、時刻、pH及び導電率からなる群から選択される少なくとも一の情報を含む請求項1〜3のいずれかに記載の浄水器。
【請求項5】
前記フィルタがセラミックスフィルタである請求項1〜4のいずれかに記載の浄水器。
【請求項6】
前記フィルタが、その端部側から浄化液を取り出す構造を有するものである請求項1〜5のいずれかに記載の浄水器。
【請求項7】
前記フィルタが、その外周壁側から浄化液を取り出す構造を有するものである請求項1〜5のいずれかに記載の浄水器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−119691(P2008−119691A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−332597(P2007−332597)
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【分割の表示】特願2002−342026(P2002−342026)の分割
【原出願日】平成14年11月26日(2002.11.26)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【出願人】(000149309)ジョプラックス株式会社 (19)
【Fターム(参考)】