説明

浮き桟橋

【課題】 熱膨張により浮桟橋の体積が変動した場合でも、浮桟橋の機能を低下させることがなく、しかも破損しにくい浮桟橋を提供する。
【解決手段】 水面に浮遊する複数の浮遊ブロック3を、隣り合う2つの浮遊ブロック3,3間に、隙間5をあけて並んで配置して浮遊ブロック列7を構成し、複数の浮遊ブロック3に沿って連結機構9を配置して複数の浮遊ブロック3を順番に機械的に連結し、複数本のガイド用杭25を隣り合う2本のガイド用杭25,25間に2以上の浮遊ブロック3が位置し得る間隔寸法をあけて配置し、予め定めた温度範囲を超える温度上昇により発生した浮遊ブロック3及び前記連結機構9の膨張分を吸収する膨張吸収機構41を連結機構9に配置し、膨張吸収機構41が配置された2本のガイド用杭25、25間で対向する2つの浮遊ブロック3,3間の隙間5を小さくすることにより膨張分を吸収するように膨張吸収機構41を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湾岸等の護岸に沿って設置される浮桟橋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
実公平6−1609号公報(特許文献1)の図1〜図4には、水面に浮遊する複数の浮体が護岸に沿って並んで配置され、これら複数の浮体の両側面に側板を固定することにより構成された浮桟橋が開示されている。この浮桟橋では、特開平10−204827号公報(特許文献2)の図1〜図4に示されているように、H鋼からなる複数の杭が所定の間隔をあけて護岸に固定されており、複数の杭に対応して設けられて浮桟橋をガイドする複数のガイド部材が浮桟橋の護岸側の側面(一方の側板)に固定されている。そして、複数のガイド部材が複数の杭に取り付けられることにより、浮桟橋が護岸に設置される。このような構造を採用することにより、潮の干満等による水面の上昇及び下降に伴って上下方向に移動可能に浮桟橋を護岸に設置することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平6−1609号公報
【特許文献2】特開平10−204827号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の浮桟橋の構造では、護岸に固定された複数の杭によって、浮桟橋を構成する複数の浮体が並ぶ方向に浮桟橋の移動が規制される。そのため、気温の変化による膨張または収縮によって浮桟橋の体積が変動した場合に、浮桟橋のガイド部材が複数の杭に当接し、浮桟橋が上下方向に移動できなくなるなど浮桟橋の機能が低下し、最悪の場合は浮桟橋および護岸側の杭が破損する問題がある。この問題は、特に夏場のような気温が高くなる季節に顕著になり、また浮桟橋の構造が大規模になるほど顕著になる。
【0005】
本発明の目的は、浮桟橋の体積が変動した場合でも、浮桟橋の機能を低下させることがなく、しかも破損しにくい浮桟橋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明が改良の対象とする浮き桟橋は、浮遊ブロック列、連結機構、複数本のガイド用杭および複数のガイド機構を備える。浮遊ブロック列は、海面等の水面に浮遊する複数の浮遊ブロックが、隣り合う2つの浮遊ブロック間に、隙間をあけて並んで配置されて構成されている。浮遊ブロックは、浮き桟橋の甲板を人が通行できる形状および寸法を有する。浮遊ブロックの材質は、水(海水)よりも比重が小さい素材(例えば、コンクリートの内部に発泡スチロールを充填した素材)が用いられている。
【0007】
連結機構は、複数の浮遊ブロックに沿って配置されて複数の浮遊ブロックを順番に機械的に連結する。連結機構の材質は、比較的比重が小さくかつ機械強度が高いアルミ等の金属材料またはポリエチレン等の樹脂材料を用いる。連結機構は、複数の浮遊ブロックの少なくとも片側の側面に設けることができるが、複数の浮遊ブロックを確実に連結するためには複数の浮遊ブロックの両側面に設けるのが好ましい。この連結機構により、複数の浮遊ブロックが連結されることにより浮遊ブロック列が構成される。
【0008】
2つの浮遊ブロック間の隙間の寸法は、浮遊ブロックの熱膨張を考慮して、予め定めた温度範囲内の温度変化によって浮遊ブロック列を構成する浮遊ブロックが膨張した際に、浮遊ブロック列が延びる方向へ浮遊ブロックの膨張を吸収することを許容するように定められている。例えば、予め定めた温度を40℃とした場合に、浮遊ブロックの温度が40℃を超えるまでは浮遊ブロック列を構成する各浮遊ブロックが相互に当接しないように各浮遊ブロック間に隙間が設けられている。
【0009】
複数本のガイド用杭は、上下方向に延び且つ浮遊ブロック列に沿って間隔をあけて並ぶように配置されている。例えば、複数本のガイド用杭を、浮遊ブロック列の片側に沿って間隔をあけて並ぶように水面下の水底または護岸に配置することができる。すなわち複数本のガイド用杭は、水面と直交する方向に延びて、浮遊ブロック列が延びる方向に並んで水底または護岸に設置されている。このガイド用杭は、後述のガイド機構を介して連結機構で連結された浮遊ブロック列を係留する。ガイド用杭としては、さび止め処理がなされたH鋼等の鋼材が用いられる。
【0010】
複数のガイド機構は、複数本のガイド用杭と連結機構との間に配置される。ガイド機構は、連結機構で連結された浮遊ブロック列がガイド用杭が延びる方向(海面と直交する方向)に上下動できる範囲で、浮遊ブロック列がガイド用杭に規制されるローラ機構を用いることができる。ガイド機構は、ガイド用杭との間に遊び寸法を有する。遊び寸法は、結合する部品間に外力によって結合部品が破損しないようにゆとりを持たせるために設けられる寸法である。本発明では、遊び寸法は、水面の水位の変化に応じて複数本のガイド用杭に沿って浮遊ブロック列が上下動することを許容し、且つ予め定めた温度範囲内の温度変化によって生じる連結機構の浮遊ブロック列が延びる方向への膨張を吸収することを許容するように定められている。このガイド機構とガイド用杭との間の遊び寸法により、連結機構で連結された浮遊ブロック列は、水面の水位が変化しても複数本のガイド用杭に沿って上下動することができ、しかも予め定めた範囲内で温度変化であれば浮遊ブロック列を構成する浮遊ブロックの膨張分を吸収することができる。
【0011】
本発明では、複数本のガイド用杭が、隣り合う2本のガイド用杭間に2以上の浮遊ブロックが位置し得る間隔寸法をあけて配置されている。すなわち、隣り合うガイド用杭間の距離は、浮遊ブロック列が延びる方向に連結された2以上の浮遊ブロック分の長さとなる。そして連結機構に、予め定めた温度範囲を超える温度上昇により発生した連結機構の浮遊ブロック列が延びる方向への膨張分を吸収する膨張吸収機構が配置されている。上記のように予め定めた温度を40℃とした場合は、浮遊ブロックの温度が40℃を超えると、浮遊ブロック列を構成する各浮遊ブロックが膨張して各浮遊ブロック間の隙間が解消されると同時に連結機構も膨張する。
【0012】
そこで、膨張吸収機構は、この膨張吸収機構が配置された2本のガイド用杭間において対向する2つの浮遊ブロック間の隙間を小さくすることにより膨張分を吸収するように構成されている。すなわち、所定の2つの浮遊ブロック間の隙間の寸法を、予め定めた温度範囲内の温度変化に対応した2つの浮遊ブロック間の隙間の寸法よりも大きい寸法に定めておき、予め定めた温度範囲を超える温度上昇により浮遊ブロック列が延びる方向に浮遊ブロック及び連結機構が膨張した場合でも、膨張吸収機構がこれらの膨張分を吸収することができる。このような膨張吸収機構を設けることによって、各浮遊ブロック間の隙間が解消されるほど浮遊ブロックおよび/または連結機構が許容範囲を超えて膨張した場合でも、浮遊ブロック列の上下動の移動は阻害されることない。また、ガイド機構とガイド用杭との間の遊び寸法を予め大きく取る必要がないため、高波等によりガイド機構とガイド用杭との間に大きな力が加わっても両部材の動きを小さくすることができるので、ガイド機構が破損するのを防ぐことができる。したがって、熱膨張により浮桟橋の体積が変動した場合でも、浮桟橋の機能を低下させることがなく、しかも破損しにくい浮桟橋を提供することができる。
【0013】
膨張吸収機構は、隣り合う2本のガイド用杭間の間隔寸法の2倍以上の間隔寸法をあけて連結機構に配置するのが好ましい。このように連結機構に膨張吸収機構を配置すれば、
連結機構の膨張(浮遊ブロックの膨張に伴う連結機構の膨張および/または連結機構自体の膨張)を連結機構が自ら直接吸収することができるので、膨張吸収機構の設計が容易になる。また、隣り合う2本のガイド用杭間の間隔寸法の2倍以上の間隔寸法をあけて膨張吸収機構を配置すると、膨張吸収機構の数量を最小限にすることができるので、製造コストを小さくすることができる。
【0014】
連結機構の構造は、2種類の連結構造を組み合わせた構造にしてもよい。例えば、浮遊ブロック列において、2n+1番目から2n+3番目まで(nは0以上の整数)の3つの浮遊ブロックを相互に連結する複数の第1の種類の連結構造と、浮遊ブロック列において、2n+2番目から2n+4番目まで(nは0以上の整数)の3つの浮遊ブロックを相互に連結する複数の第2の種類の連結構造とから連結機構を構成することができる。連結機構をこのような構造にすると、第1の種類の連結構造と第2の種類の連結構造とが浮遊ブロック列が延びる方向に互い違いに設けられるため、浮遊ブロック間の連結強度が高い浮遊ブロック列を構成することができる。
【0015】
この場合は、膨張吸収機構を、第1及び第2の伸縮機構で構成し、第1の伸縮機構を第1の種類の連結構造に設け、第2の伸縮機構を第2の種類の連結構造に設ける構成にすればよい。伸縮機構は、第1の種類の連結構造及び第2の種類の連結構造が膨張または収縮するのに応じて第1の種類の連結構造及び第2の種類の連結構造が実質的に伸縮することができる構造となっている。このような2種類の伸縮機構を2種類の連結機構にそれぞれ設けることにより、種類の異なる連結機構ごとに連結機構の膨張分を吸収することができるため、浮遊ブロックの連結強度が高くなった場合でも、浮き桟橋の機能を維持しかつ破損し難い浮き桟橋を得ることができる。
【0016】
なお、2種類の連結構造を採用する場合は、第1の種類の連結構造が第1及び第2のフレームを備え、第2の種類の連結構造が第3及び第4のフレームを備える構造にするのが好ましい。この場合は、第1及び第2のフレームは、2n+1番目から2n+3番目まで(nは0以上の整数)の3つの浮遊ブロックにそれぞれ連結し、第3及び第4のフレームは、2n+2番目から2n+4番目まで(nは0以上の整数)の3つの浮遊ブロックにそれぞれ連結する。フレームは、浮遊ブロックの側面に機械的に固定される側板である。すなわち、2n+1番目から2n+3番目まで(nは0以上の整数)の3つの浮遊ブロック
の一方の側面に第1のフレームが固定され、他方の側面に第2のフレームが固定される。また、2n+2番目から2n+4番目まで(nは0以上の整数)の3つの浮遊ブロックの一方の側面に第3のフレームが固定され、他方の側面に第4のフレームが固定される。そして、第1の伸縮機構は第1の種類の連結構造を構成する第1及び第2のフレームに設けられ、第2の伸縮機構は第2の種類の連結構造を構成する第3及び第4のフレームに設けられている。このようにすると、浮遊ブロックの両側面ともに2種類のフレームが互い違いに固定され、しかも各フレームにはそれぞれ伸縮機構が設けられているため、連結機構の膨張分を確実に吸収しながら浮遊ブロックの連結強度をさらに高くすることができる。
【0017】
第1及び第2の伸縮機構は、嵌合部と被嵌合部とからなる嵌合構造としてもよい。このような構造としては、例えば、第1及び第2のフレームに、第1の嵌合部と第1の被嵌合部とを設け、第3及び第4のフレームには、第2の嵌合部と第2の被嵌合部とを設けることができる。これらの嵌合部及び被嵌合部の形状は任意であるが、被嵌合部を鞘状の形状にし、嵌合部をこの被嵌合部にスライド可能に嵌合されるロッド状の形状にすると、連結機構を構成する第1〜第4のフレームの強度に対して、第1〜第4のフレームの第1及び第2の伸縮機構が設けられた部分の強度が低下するのを防ぐことができる。その上、連結機構を構成する第1〜第4のフレームの外観と第1〜第4のフレームの第1及び第2の伸縮機構が設けられた部分の外観との差異を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態の浮き桟橋が護岸に設置された状態を説明する図である。
【図2】図1の浮き桟橋を拡大した図である。
【図3】(A)は図1の浮き桟橋の一部を拡大して上から見た図であり、(B)は(A)を手前側から透視した図であり、(C)は(A)を左側から透視した図である。
【図4】(A)は浮遊ブロックと連結機構との結合状態を示す概念図であり、(B)は連結機構を構成する第1乃至第4のフレームの構造を示す図である。
【図5】(A)はガイド用杭の構造及び設置態様を説明する図であり、(B)は(A)の右側面図である。
【図6】(A)はガイド機構の平面図であり、(B)は(A)の正面図であり、(C)は(A)の左側面図である。
【図7】浮遊ブロック列が、水面の水位の変化に応じてガイド用杭に沿って上下動する態様を説明する図である。
【図8】(A)及び(B)は、膨張吸収機構が連結機構に配置された態様を説明する図である。
【図9】膨張吸収機構の嵌合構造(嵌合部)の端部を示す図である。
【図10】膨張吸収機構の嵌合構造を説明する図(図8(B)のA−A線断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の浮き桟橋の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態の浮き桟橋が護岸に設置された状態を説明する図である。図2は、図1の浮き桟橋を拡大した図であり、図3(A)は、図1の浮き桟橋の一部を拡大して上から見た図であり、図3(B)は、図3(A)を手前側から透視した図であり、図3(C)は、図3(A)を左側から透視した図である。図1では、浮き桟橋1は、海面S上に浮いた状態で陸地Lの護岸Rに沿って係留されている。浮き桟橋1は、海面Sに浮遊する複数の浮遊ブロック3が、隣り合う2つの浮遊ブロック3,3間に、隙間5をあけて並んで配置されて構成された浮遊ブロック列7を備える。浮遊ブロック3は、浮き桟橋1の甲板1a上を人が通行できるように、縦が2.3m、横が2.98m、高さ1.65mの直方体形状を有する。浮遊ブロック3は、海水よりも比重が小さくなるように、コンクリート4の内部に発泡スチロール6を充填した構造を有する。浮遊ブロック3の比重は、浮遊ブロック3の乾舷(浮遊ブロック3が海面Sに浮いた状態で海面Sから浮遊ブロック3の甲板3aまでの高さ)が、約0.8mになるように設定されている。
【0020】
2つの浮遊ブロック3,3間の隙間5の寸法Mは、浮遊ブロック3の熱膨張を考慮して、予め定めた温度範囲内の温度変化によって浮遊ブロック列7を構成する浮遊ブロック3が膨張した際に、浮遊ブロック列7が延びる方向LDへ浮遊ブロック3の膨張を吸収することを許容するように定められている。本例では、予め定めた温度を40℃と設定し、浮遊ブロック3の温度が40℃を超えるまでは浮遊ブロック列7を構成する各浮遊ブロック3が相互に当接しないように各浮遊ブロック3,3間の隙間5が定められている。具体的には、各浮遊ブロック3,3間の隙間5の寸法Mは、浮遊ブロック列7が延びる方向LDに各浮遊ブロック3,3間の距離が20mmとなる寸法に定められている。
【0021】
浮遊ブロック列7は、連結機構9が、複数の浮遊ブロック3に沿って配置されて複数の浮遊ブロック3を順番に機械的に連結することにより構成される。連結機構9は、複数の浮遊ブロック3の片側の側面のみに設けてもよいが、この例では、複数の浮遊ブロック3を確実に連結するため、連結機構9が複数の浮遊ブロック3の両側面3b,3cに設けられている。本例の浮遊ブロック列7は、上記の浮遊ブロック3が55個連結されて、後述の浮き桟橋として全長約170mの寸法を有する。なお本例では、図1に示されているように、護岸Rの形状はくの字状に形成されており、浮遊ブロック列7の右端は護岸Rに接している。
【0022】
連結機構9は、さらに2種類の連結構造を組み合わせた構造となっている。図4に示すように、連結機構9は、浮遊ブロック列7において、2n+1番目から2n+3番目まで(nは0以上の整数)の3つの浮遊ブロック3,3,3を相互に連結する複数の第1の種類の連結構造11と、浮遊ブロック列7において、2n+2番目から2n+4番目まで(nは0以上の整数)の3つの浮遊ブロック3,3,3を相互に連結する複数の第2の種類の連結構造13とから構成されている。具体的には図4に示すように、第1の種類の連結構造11として第1及び第2のフレーム15,17を用い、第2の種類の連結構造13としては第3及び第4のフレーム19,21を用いる。第1〜第4のフレーム15,17,19,21は、板状の形状を有し、比較的比重が小さくかつ機械強度が高い金属材料で形成されている。本例では、第1〜第4のフレーム15,17,19,21は、アルミ板で形成されている。そして、第1及び第2のフレーム15,17は、浮遊ブロック列の端を基準に1番目から3番目まで、3番目から5番目まで、・・・、2n+1番目から2n+3番目までの順に3つの浮遊ブロック3,3,3をそれぞれ連結する。一方、第3及び第4のフレーム19,21は、浮遊ブロック列の端を基準に2番目から4番目まで、4番目から6番目まで、・・・、2n+2番目から2n+4番目までの順に3つの浮遊ブロック3,3,3をそれぞれ連結する。第1〜第4のフレーム15,17,19,21のうち、第1のフレーム15及び第2のフレーム19は、海面Sの沖合に面した3つの浮遊ブロック3,3,3の一方の側面3bに固定され、第1のフレーム17及び第2のフレーム21は、3つの浮遊ブロック3,3,3の護岸Rに面した他方の側面3cに固定されている。
【0023】
第1〜第4のフレーム15,17,19,21は、浮遊ブロック3に機械的に固定されている。本例では、図3(A)の点線で示すように、浮遊ブロック3に対してブロック列7が延びる方向LDに等間隔に配置され、浮遊ブロック3の幅方向CD(ブロック列7が延びる方向LDと直交する方向)に向かって貫通する複数のボルト23によりボルト締めされている。なお、ボルト23が配置される間隔寸法に合わせて、浮遊ブロック3には浮遊ブロック3の幅方向CDに向かってボルト23が貫通可能な貫通孔3dが設けられており、また第1〜第4のフレーム15,17,19,21にはボルト23が貫通可能な貫通孔15a,17a,19a,21aが設けられている。本例では、複数のボルト23は、約30cm間隔に配置されており、この間隔寸法に合わせて、浮遊ブロック3の貫通孔3dの間隔寸法及び第1〜第4のフレーム15,17,19,21の貫通孔15a,17a,19a,21aの間隔寸法が決められている。連結機構9をこのような構造にすると、第1の種類の連結構造11(第1及び第2のフレーム15,17)と第2の種類の連結構造13(第3及び第4のフレーム19,21)とが浮遊ブロック列7が延びる方向LDに互い違いに設けられるため、浮遊ブロック3,3間の連結強度が高い浮遊ブロック列7を構成することができる。
【0024】
浮遊ブロック3が連結機構9で連結されて形成されたブロック列7は、図3(C)に示すように、連結機構9に固定された後述のガイド機構31を介して複数本のガイド用杭25に係留される。ガイド用杭25としては、溶融亜鉛メッキによるさび止め処理がなされたH鋼が用いられている。ガイド用杭25を構成するH鋼は、図5(A)及び(B)に示すように、2つのフランジ部25a,25bとフランジ部25a及び25bを結合するウエブ部25cとを備える。本例では、図5に示されているように、H鋼の一方のフランジ部25aが樹脂アンカ27によりプレート29を介して護岸Rに固定されることにより、ガイド用杭25が護岸Rに設置される。
【0025】
複数本のガイド用杭25は、鉛直方向(海面Sと直交する上下方向、すなわち後述のガイド用杭25が延びる方向PD)に延び且つ浮遊ブロック列7に沿って間隔をあけて並ぶように配置されている。本例では、16本のガイド用杭25が、浮遊ブロック列7の護岸Rと対向する側に沿って等間隔に並んで護岸Rに配置されている。なお、16本のガイド用杭25は、隣り合う2本のガイド用杭25,25間に2以上の浮遊ブロックが位置し得る間隔寸法をあけて配置されている。本例では、隣り合うガイド用杭25,25間の間隔寸法は、浮遊ブロック列7が延びる方向LDに連結された浮遊ブロック3の2個分の長さよりも大きく4個分の長さよりも小さい長さになっている。
【0026】
複数本のガイド用杭25と浮遊ブロック3を連結する連結機構9との間にはガイド用杭25の本数と同じ数のガイド機構31が配置されている。すなわち、ブロック列7は、図3(C)に示すように、連結機構9に固定された複数のガイド機構31を介してガイド用杭25に係留されている。このガイド機構31は、連結機構9で連結された浮遊ブロック列7がガイド用杭25が延びる方向PD(海面Sと直交する方向)に上下動できる範囲で、浮遊ブロック列7がガイド用杭25に規制されるローラ機構33が用いられている。
【0027】
ローラ機構33は、図6(A)乃至(C)に示すように、3つのローラ部材(第1のローラ部材35、第2のローラ部材37及び第3のローラ部材39)で構成されている。第1のローラ部材35は、第1のローラ半部35aと第2のローラ半部35bとを備え、これらの第1のローラ35aと第2のローラ35bとが、ガイド用杭25を構成するH鋼のウエブ部25cを挟んで、ウエブ部25cに当接しながらウエブ部25c上を回転するように配置されて構成されている。第2のローラ部材37は、第3のローラ37aと第4のローラ37bとを備え、これらの第3のローラ37aと第2のローラ37bとが、ガイド用杭25を構成するH鋼のウエブ部25cを挟んで、いずれもフランジ部25bの内側(フランジ部25aと対向する側)に当接しながらフランジ部25b上を回転するように配置されて構成されている。第3のローラ部材39は、第5のローラ39aを備え、この第5のローラ39aがフランジ部25bの外側(ブロック列7と対向する側)に当接しながらフランジ部25b上を回転するように配置されて構成されている。
【0028】
ガイド機構31は、ガイド用杭25との間に遊び寸法PMを有する。遊び寸法PMは、外力によってガイド用杭25及び/またはガイド機構31が破損しないようにガイド用杭25とガイド機構31との間にゆとりを持たせるために設けられている。本例では、遊び寸法PMは、水面(海面S)の水位の変化に応じて複数本のガイド用杭25に沿って浮遊ブロック列7が上下動することを許容し、且つ予め定めた温度範囲内(本例では40℃まで)の温度変化によって生じる連結機構9の浮遊ブロック列7が延びる方向LDへの膨張を吸収することを許容するように定められている。具体的には、第1のローラ機構35では、第1のローラ35aとウエブ部25cとの間に距離L1の遊びP1が設けられており、第2のローラ35bとウエブ部25cと間に距離L2の遊びP2が設けられている。また、第2のローラ機構37では、第3のローラ37aとフランジ部25bの内側との間に距離L3の遊びP3が設けられており、第4のローラ37bとフランジ部の内側25bと間に距離L4(L4=L3)の遊びP4(P4=P3)が設けられている。そして、第3のローラ機構39では、第5のローラ39aとフランジ部25bの外側との間に距離L5の遊びP5が設けられている。遊び寸法PMは、第1乃至第3のローラ機構に設けられたこれらの遊びP1〜P5により構成されている。
【0029】
ガイド機構31とガイド用杭25との間にこのような遊び寸法PMを設けることにより、連結機構9で連結された浮遊ブロック列7は、図7に示すように、水面(海面S)の水位が潮の干満により海面Shから海面Slまでの間で変化しても複数本のガイド用杭25に沿って上下動することができる。その上、遊び寸法PM(特に第1のローラ機構35の遊びP1)が、予め定めた範囲内(本例では浮遊ブロックの温度が40℃まで)の温度変化であれば浮遊ブロック列7を構成する浮遊ブロック3の膨張分を吸収することができる。
【0030】
なお本例のガイド機構31は、図3(C)に示すように、ガイド用杭25のウエブ部25cの浮遊ブロック列7と対向する面上を回転するキャスタ部材40を備えている。ガイド機構31を構成する第1乃至第3のローラ機構35,37,39が浮遊ブロック列7の上部に設けられているのに対して、キャスタ部材40は浮遊ブロック列7の上部に設けられている。このキャスタ部材40により、浮遊ブロック列7の水平状態を維持することができる。また、図2及び図7に示されているように、本例では、複数の階段42が設けられており、海面Sの水位が低くなった場合(海面Slに近い場合)でも、複数の階段42によって、陸地Lと浮き桟橋1との間を人が往来できるようになっている。
【0031】
本発明の実施の形態では、図8に示すように、予め定めた温度範囲(本例では浮遊ブロックの温度が40℃)を超える温度上昇により発生した連結機構9の浮遊ブロック列7が延びる方向LMへの膨張分を吸収する膨張吸収機構41が連結機構9に配置されている。膨張吸収機構41は、第1及び第2の伸縮機構43,45で構成し、第1の伸縮機構43が第1の種類の連結構造11に設けられ、第2の伸縮機構45が第2の種類の連結構造13に設けられた構成になっている。具体的には、第1の伸縮機構45が第1の種類の連結構造11を構成する第1及び第2のフレーム15,17に設けられ、第2の伸縮機構45が第2の種類の連結構造13を構成する第3及び第4のフレーム19,21に設けられている。このような伸縮機構41により、第1の種類の連結構造11及び第2の種類の連結構造13が膨張または収縮するのに応じて第1の種類の連結構造11及び第2の種類の連結構造13が実質的に伸縮することができる。
【0032】
本例では、浮遊ブロック3の温度が40℃を超えると、浮遊ブロック列7を構成する各浮遊ブロック3が膨張して各浮遊ブロック3,3間の隙間5が解消されると同時に連結機構9も膨張する。膨張吸収機構41は、この膨張吸収機構41が配置された2本のガイド用杭25,25間において対向する2つの浮遊ブロック3,3間の隙間5を小さくすることにより膨張分を吸収するように構成されている。具体的には、膨張吸収機構41が配置された2本のガイド用杭25,25間に配置された2つの浮遊ブロック3,3間の隙間5の寸法EMを、予め定めた温度範囲内(本例では浮遊ブロック3の温度が40℃になるまで)の温度変化に対応した2つの浮遊ブロック3,3間の隙間5の寸法Mよりも大きい寸法に定めておき、浮遊ブロック3の温度が40℃を超える温度上昇により浮遊ブロック列7が延びる方向LDに浮遊ブロック3及び連結機構9が膨張した場合でも、膨張吸収機構41にこれらの膨張分を吸収させることができる。なお、膨張吸収機構41(第1の膨張吸収機構47、第2の膨張吸収機構49及び第3の膨張吸収機構51)が配置された2つの浮遊ブロック3,3間には、それぞれ浮遊ブロック3,3間の隙間5を跨ぐフラップを設けてもよい。フラップの寸法は、浮遊ブロック列7が延びる方向LDに向かって、膨張吸収機構41が設けられた浮遊ブロック3,3間の隙間5の寸法EMよりも小さくならないように設定すればよい。このようなフラップを設けることにより、浮遊ブロック3の温度が低い場合(膨張が小さい時または収縮時)でも、浮き桟橋1の甲板を形成することができる。
【0033】
したがって、本例のような膨張吸収機構41を採用すると、浮遊ブロック3の温度が所定の40℃を超えた場合に、各浮遊ブロック3,3間の隙間5が解消されるほど浮遊ブロック3および/または連結機構9(第1の種類の連結構造11及び第2の種類の連結構造13)が許容範囲(浮遊ブロック3の温度が40℃になるまでの膨張分)を超えて膨張することによりガイド機構31とガイド用杭25との間に強い外力が働いても、膨張吸収機構41が許容範囲を超えた膨張分を吸収するため、複数本のガイド用杭25に対して浮遊ブロック列7が上下動できなくなるのを防ぐことができる。また、膨張吸収機構41を設けることにより、ガイド機構31とガイド用杭25との間の遊び寸法PMを予め大きくしておく必要がないため、高波等によりガイド機構31とガイド用杭25との間に大きな力が加わってもガイド機構31とガイド用杭25との動きを互いに小さくすることができるため、ガイド機構31が破損するのを防ぐことができる。特に本例では2種類の伸縮機構43,45を2種類の連結機構11,13にそれぞれ設けることにより、種類の異なる連結機構ごとに連結機構の膨張分を吸収することができるため、浮遊ブロック3の連結強度が高くなった場合でも、浮き桟橋の機能を維持しかつ破損し難い浮き桟橋を得ることができる。さらに、浮遊ブロック3の両側面3b,3cともに2種類のフレームが互い違いに固定され、しかも各フレームにはそれぞれ伸縮機構43,45が設けられているため、連結機構9の膨張分を確実に吸収しながら浮遊ブロックの連結強度をさらに高くすることができる。
【0034】
なお膨張吸収機構41は、隣り合う2本のガイド用杭25,25間の間隔寸法IMの2倍以上の間隔寸法をあけて連結機構9に配置されている。具体的には、本例では3つの膨張吸収機構41(第1の膨張吸収機構47、第2の膨張吸収機構49及び第3の膨張吸収機構51)が設けられている。第1の膨張吸収機構47は、図2の左から4個目のガイド用杭25と5個目のガイド用杭25との間で、かつ図2の左から12個目の浮遊ブロック3と13個目の浮遊ブロック3との間に設けられている。また第2の膨張吸収機構49は、図2の左から7個目のガイド用杭25と8個目のガイド用杭25との間で、かつ図2の左から23個目の浮遊ブロック3と24個目の浮遊ブロック3との間に設けられている。そして、第3の膨張吸収機構51は、図2の左から10個目のガイド用杭25と11個目のガイド用杭25との間で、かつ図2の左から35個目の浮遊ブロック3と36個目の浮遊ブロック3との間に設けられている。なお、本例では、図2の左から35個目の浮遊ブロック3と36個目の浮遊ブロック3との間には、陸地Lからの排水を通す排水溝52が
設けられており、第3の膨張吸収機構51はこの排水溝52を利用して設けられている。第1の膨張吸収機構47、第2の膨張吸収機構49及び第3の膨張吸収機構51は、いずれも上述の膨張吸収機構41(第1及び第2の伸縮機構43,45)が第1の種類の連結構造11(第1及び第2のフレーム15,17)及び第2の種類の連結構造13(第3及び第4のフレーム19,21)に設けられた構造と同じ構造を有する。このような位置に複数の膨張吸収機構41(本例では第1乃至第3の膨張吸収機構43,45,47)を配置すれば、連結機構9の膨張(浮遊ブロック3の膨張に伴う連結機構9の膨張および/または連結機構9自体の膨張)を連結機構9が自ら直接吸収することができ、しかも膨張吸収機構41は規則的に配置されるため、膨張吸収機構41の設計が容易になる上に、膨張吸収機構41の数量を最小限にすることができる。
【0035】
さらに本実施の形態では、図8に示すように、第1及び第2の伸縮機構43,45が、嵌合部53と被嵌合部55とからなる嵌合構造57を有する。嵌合部53は、第1の嵌合部59と第2の嵌合部61とからなり、被嵌合部55は、第1の被嵌合部63と第2の被嵌合部65とからなる。本例では、図8に示すように第1及び第2のフレーム15,17に第1の嵌合部59と第1の被嵌合部63とが設けられ、第3及び第4のフレーム19,21に第2の嵌合部61と第2の被嵌合部65とが設けられている。この嵌合構造57では、被嵌合部55(第1及び第2の被嵌合部63,65)は鞘状の形状を有し、嵌合部53(第1及び第2の嵌合部59,61)が被嵌合部55(第1及び第2の被嵌合部63,65)にスライド可能に嵌合されるロッド状の形状を有する。具体的には、第1乃至第4のフレーム15,17,19,21はいずれも、膨張吸収機構41(第1及び第2の伸縮機構43,45)が設けられた部分で切断されて、それぞれ第1のフレーム半部15a,17a,19a,21aと第2のフレーム半部15b,17b,19b,21bとで構成されている。鞘状の嵌合部53(第1及び第2の嵌合部59,61)は、第1のフレーム半部15a,17a,19a,21aに設けられており、ロッド状の被嵌合部55(第1及び第2の被嵌合部63,65)は、第2のフレーム半部15b,17b,19b,21bに固定されている。本例では、図9及び図10に示すように、嵌合部53(第1及び第2の嵌合部59,61)の内部に第1乃至第3の空間67,69,71からなる3つの空間が設けられており、被嵌合部55(第1及び第2の被嵌合部63,65)は第1乃至第3のロッド73,75,77からなる3つのロッドで形成されている。そして、図8及び図10に示すように、第1乃至第3のロッド73,75,77がそれぞれ第1乃至第3の空間67,69,71に嵌合するように構成されている。
【0036】
このような嵌合構造を設けることにより、連結機構9を構成する第1乃至第4のフレーム15,17,19,21の強度に対して、第1乃至第4のフレーム15,17,19,21の第1及び第2の伸縮機構43,45が設けられた部分の強度が低下するのを防ぐことができる。その上、連結機構9を構成する第1乃至第4のフレーム15,17,19,21の外観と第1乃至第4のフレーム15,17,19,21の第1及び第2の伸縮機構43,45が設けられた部分の外観との差異を小さくすることができる。特に、本例では第1乃至第3のロッド73,75,77がそれぞれ第1乃至第3の空間67,69,71に嵌合するように嵌合構造57が構成されているため、連結機構9(第1乃至第4のフレーム15,17,19,21)の第1及び第2の伸縮機構43,45が設けられた部分の強度低下を確実に防ぐことができる。
【0037】
なお、図8(A)及び(B)に示すように、膨張吸収機構41(第1及び第2の伸縮機構43,45)が設けられた連結機構9に連結された2つの浮遊ブロック3,3間の一方の浮遊ブロック3の端にゴム製のダンパ79を取り付けてもよい。このようなダンパ79を設けることにより、膨張吸収機構41が設けられた2つの浮遊ブロック3,3が当接したときの衝撃を吸収することができるため、膨張吸収機構41が設けられた2つの浮遊ブロック3,3が破損するのを防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明によれば、予め定めた温度範囲を超える温度上昇により浮遊ブロック列が延びる方向に浮遊ブロック及び連結機構が膨張した場合でも、膨張吸収機構がこれらの膨張分を吸収することができるため、各浮遊ブロック間の隙間が解消されるほど浮遊ブロックおよび/または連結機構が許容範囲を超えて膨張した場合でも、浮遊ブロック列の上下動の移動は阻害されることない。また、ガイド機構とガイド用杭との間の遊び寸法を予め大きく取る必要がないため、高波等によりガイド機構とガイド用杭との間に大きな力が加わっても両部材の動きを小さくすることができるので、ガイド機構が破損するのを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0039】
1 浮き桟橋
3 浮遊ブロック
5 隙間
7 浮遊ブロック列
9 連結機構
11 第1の種類の連結構造
13 第2の種類の連結構造
15 第1のフレーム
17 第2のフレーム
19 第3のフレーム
21 第4のフレーム
25 ガイド用杭
31 ガイド機構
PM 遊び寸法
41 膨張吸収機構
43 第1の伸縮機構
45 第2の伸縮機構
59 第1の嵌合部
61 第2の嵌合部
63 第1の被嵌合部
65 第2の被嵌合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水面に浮遊する複数の浮遊ブロックが、隣り合う2つの前記浮遊ブロック間に、隙間をあけて並んで配置されて構成された浮遊ブロック列と、
前記複数の浮遊ブロックに沿って配置されて前記複数の浮遊ブロックを順番に機械的に連結する連結機構と、
上下方向に延び且つ前記浮遊ブロック列に沿って間隔をあけて並ぶように配置された複数本のガイド用杭と、
前記複数本のガイド用杭と前記連結機構との間に配置された複数のガイド機構とを備え、
前記2つの浮遊ブロック間の前記隙間の寸法が、予め定めた温度範囲内の温度変化によって生じる前記浮遊ブロックの前記浮遊ブロック列が延びる方向への膨張を吸収することを許容するように定められ、
前記ガイド機構が、前記水面の水位の変化に応じて前記複数本のガイド用杭に沿って前記浮遊ブロック列が上下動することを許容し、且つ予め定めた温度範囲内の温度変化によって生じる前記連結機構の前記浮遊ブロック列が延びる方向への膨張を吸収することを許容するように前記ガイド用杭との間の遊び寸法が定められている浮き桟橋であって、
前記複数本のガイド用杭は、隣り合う2本の前記ガイド用杭間に2以上の前記浮遊ブロックが位置し得る間隔寸法をあけて配置され、
前記連結機構には、前記予め定めた温度範囲を超える温度上昇により発生した前記浮遊ブロック及び前記連結機構の前記浮遊ブロック列が延びる方向への膨張分を吸収する膨張吸収機構が配置され、
前記膨張吸収機構は、該膨張吸収機構が配置された2本の前記ガイド用杭間において対向する2つの前記浮遊ブロック間の前記隙間を小さくすることにより前記膨張分を吸収するように構成されていることを特徴とする浮き桟橋。
【請求項2】
水面に浮遊する複数の浮遊ブロックが、隣り合う2つの前記浮遊ブロック間に隙間をあけて並んで配置されて構成された浮遊ブロック列と、
前記複数の浮遊ブロックに沿って配置されて前記複数の浮遊ブロックを順番に機械的に連結する連結機構と、
上下方向に延び且つ前記浮遊ブロック列の片側に沿って間隔をあけて並ぶように前記水面下の水底または護岸に配置された複数本のガイド用杭と、
前記複数本のガイド用杭と前記連結機構との間に配置された複数のガイド機構とを備え、
前記2つの浮遊ブロック間の前記隙間の寸法が、予め定めた温度範囲内の温度変化によって生じる前記浮遊ブロックの前記浮遊ブロック列が延びる方向への膨張を吸収することを許容するように定められ、
前記ガイド機構が、前記水面の水位の変化に応じて前記複数本のガイド用杭に沿って前記浮遊ブロック列が上下動することを許容し、且つ予め定めた温度範囲内の温度変化によって生じる前記連結機構の前記浮遊ブロック列が延びる方向への膨張を吸収することを許容するように前記ガイド用杭との間の遊び寸法が定められている浮き桟橋であって、
前記複数本のガイド用杭は、隣り合う2本の前記ガイド用杭間に2以上の前記浮遊ブロックが位置し得る間隔寸法をあけて配置され、
前記連結機構には、隣り合う2本の前記ガイド用杭間の間隔寸法の2倍以上の間隔寸法をあけて膨張吸収機構が配置され、
前記膨張吸収機構は、前記予め定めた温度範囲を超える温度上昇により発生した前記浮遊ブロック及び前記連結機構の前記浮遊ブロック列が延びる方向への膨張分を、該膨張吸収機構が配置された2本の前記ガイド用杭間において対向する2つの前記浮遊ブロック間の前記隙間を小さくすることにより吸収するように構成されていることを特徴とする浮き桟橋。
【請求項3】
前記連結機構は、前記浮遊ブロック列において、2n+1番目から2n+3番目まで(nは0以上の整数)の3つの前記浮遊ブロックを相互に連結する複数の第1の種類の連結構造と、前記浮遊ブロック列において、2n+2番目から2n+4番目まで(nは0以上の整数)の3つの前記浮遊ブロックを相互に連結する複数の第2の種類の連結構造とからなり、
前記膨張吸収機構は、前記第1の種類の連結構造及び前記第2の種類の連結構造にそれぞれ設けられた第1及び第2の伸縮機構からなる請求項1または2に記載の浮き桟橋。
【請求項4】
前記第1の種類の連結構造は、前記2n+1番目から2n+3番目まで(nは0以上の整数)の3つの前記浮遊ブロックにそれぞれ連結された第1及び第2のフレームを備えて、前記第1及び第2のフレームに前記第1の伸縮機構が設けられており、
前記第2の種類の連結構造は、前記2n+2番目から2n+4番目まで(nは0以上の整数)の3つの前記浮遊ブロックにそれぞれ連結された第3及び第4のフレームを備えて、前記第3及び第4のフレームに前記第2の伸縮機構が設けられている請求項3に記載の浮き桟橋。
【請求項5】
前記第1の伸縮機構は、前記第1及び第2のフレームに設けられた鞘状の第1の被嵌合部と、前記第1及び第2のフレームに設けられて前記第1の被嵌合部にスライド可能に嵌合されるロッド状の第1の嵌合部とからなり、
前記第2の伸縮機構は、前記第3及び第4のフレームに設けられた鞘状の第2の被嵌合部と、前記第3及び第4のフレームに設けられて前記第2の被嵌合部にスライド可能に嵌合されるロッド状の第2の嵌合部とからなる請求項4に記載の浮き桟橋。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate