説明

浮く合成画像を含むユーザーインターフェース

ユーザーインターフェースに対して空間に浮遊しているように観察者によって知覚される、1つ以上の画像を含むユーザーインターフェース。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザーインターフェースに対して空間に浮いているように観察者によって知覚される、1つ以上の画像を含むユーザーインターフェースに関する。
【背景技術】
【0002】
人間視覚システムが少数の視覚要素のみを同時に処理できる理由に関して、様々な文献が発行されてきている。視覚アレイに付加される要素がより多くなるほど、視覚アレイ内の要素を検索するのに必要なより長い時間、及びそのような要素を処理するための集中がより必要になるなど、人間にとって資源の集約がより長くより多くなる。ヒューマンインターフェースは、通常、ユーザーが同時に処理できるよりも多くの要素をインターフェース内に有するのが一般的なので、人間視覚システムの上述の制限は、ヒューマンインターフェースの設計者にとって問題となる。そのため、ユーザーインターフェースの設計者は、多くの場合、ユーザーに負担を強いることと、インターフェースに同時に表示することができる要素の数を厳格に制限することとの間で選択を迫られる。ユーザーが視覚アレイ内の要素を探すのに必要とする時間量を減少させる助けとなる様々な方法が開発され、そのいくつかが次の出版物にて考察されている。ロスロックL.(Rothrock, L.)、バロンK.(Barron, K.)、シンプソンT.W.(Simpson, T. W.)、フレッカーM.(Frecker, M.)、リゲッティC.(Ligetti, C.)、及びバートンR.R.(Barton, R. R.)(2006年)、「工学設計インターフェースへの近接互換性及びコントロール・ディスプレイ互換性原理の適用(Applying the proximity compatibility and the control-display compatibility principles to engineering design interfaces)」、製造におけるヒューマンファクター及び人間工学(Human Factors and Ergonomics in Manufacturing)、16(1)、61〜81;ウィケンズC.D.(Wickens, C. D.)及びカーズウェルC.M.(Carswell, C. M.)(1995年)、「近接互換性原理:その心理学的基礎とディスプレイ設計との関連(The proximity compatibility principle: its psychological foundation and relevance to display design)ヒューマンファクターズ(Human Factors)、37(3)、473〜494;並びに、マッツァV.(Mazza, V.)、チュラットM.(Turatto, M.)、及びウミルタC.(Umilta, C.)(2005年)、「前景と背景のセグメント化及び呼出し:変化の見落としの考察(Foreground-background segmentation and attention: A change blindess study)」、心理学研究(Psychological Research)、69(3)、201〜210。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の一実施形態は、ユーザーインターフェースを提供する。この実施形態では、ユーザーインターフェースは、マイクロレンズの少なくとも1つの層と、この層は、第1の側及び第2の側を有するこのマイクロレンズの層の第1の側に隣接して配置された材料層と、複数のマイクロレンズそれぞれと関連付けられた、材料内に形成された少なくとも部分的に完全な画像と、前記画像はこの材料と対照をなす、を含むシートと、肉眼にはシートより上に第1の距離で浮いているように見える、これら個々の画像によって提供される第1の合成画像と、肉眼にはシートより上に第2の距離で浮いているように見える、これら個々の画像によって提供される第2の合成画像とを含み、第1の距離及び第2の距離がほぼ同じ距離であり、第1の合成画像及び第2の合成画像が同じタスク又は心的操作に関連する。
【0004】
本発明の別の実施形態は、別のユーザーインターフェースを提供する。この実施形態では、ユーザーインターフェースは、マイクロレンズの少なくとも1つの層と、この層は、第1の側及び第2の側を有するマイクロレンズの層の第1の側に隣接して配置された材料層と、複数のマイクロレンズそれぞれと関連付けられた、この材料内に形成された少なくとも部分的に完全な画像と、前記画像はこの材料と対照をなす、を含むシートと、肉眼にはシートより下に第1の距離で浮いているように見える、これら個々の画像によって提供される第1の合成画像と、肉眼にはシートより下に第2の距離で浮いているように見える、これら個々の画像によって提供される第2の合成画像とを含み、第1の距離及び第2の距離がほぼ同じ距離であり、第1の合成画像及び第2の合成画像が同じタスク又は心的操作に関連する。
【0005】
本発明の別の実施形態は、もう1つの別のユーザーインターフェースを提供する。この実施形態では、ユーザーインターフェースは、マイクロレンズのアレイと、このマイクロレンズのアレイに隣接した材料層と、材料層と接触している第1のドナー材料と、第1のドナー材料は、複数のマイクロレンズそれぞれと関連付けられた材料層上に個々の部分的に完全な画像を形成する、を含むシートと、肉眼にはシートより上に第1の距離で浮いているように見える個々の画像によって提供される第1の合成画像と、肉眼にはシートより上に第2の距離で浮いているように見える個々の画像によって提供される第2の合成画像とを含み、第1の距離及び第2の距離がほぼ同じ距離であり、第1の合成画像及び第2の合成画像が同じタスク又は心的操作に関連する。
【0006】
本発明の別の実施形態が、更にもう1つの別のユーザーインターフェースを提供する。この実施形態では、ユーザーインターフェースは、マイクロレンズのアレイと、このマイクロレンズのアレイに隣接した材料層と、材料層と接触している第1のドナー材料と、第1のドナー材料は、複数のマイクロレンズそれぞれと関連付けられた材料層上に個々の部分的に完全な画像を形成する、を含むシートと、肉眼にはシートより下に第1の距離で浮いているように見える、個々の画像によって提供される、第1の合成画像と、肉眼にはシートより下に第2の距離で浮いているように見える、個々の画像によって提供される、第2の合成画像と、を含み、第1の距離及び第2の距離がほぼ同じ距離であり、第1の合成画像及び第2の合成画像が同じタスク又は心的操作に関連する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
以下、添付図面を参照して本発明を本明細書に記載する。
【図1】平凸ベースシートを含むマイクロレンズシートの拡大断面図。
【図2】「露出レンズ型」マイクロレンズシートの拡大断面図。
【図3】「埋込みレンズ型」マイクロレンズシートの拡大断面図。
【図4a】ドナーシートを使用して合成画像を作成する方法の一実施形態を示す概略図。
【図4b】ドナーシートを使用して合成画像を作成する方法の一実施形態を示す概略図。
【図5】個々のマイクロレンズと関連付けられたサンプル画像を描写し、更に、画像が合成画像の完全な複製から部分的な複製に及ぶことを示す、マイクロレンズシートの一部の平面図。
【図6】図4a及び4bに関連して記載した方法と関連する、シートより上又は下に浮いているように見える少なくとも2つの合成画像を示す、マイクロレンズシートの一部分の写真。
【図6A】図6のマイクロレンズシートの裏側の一部分の顕微鏡写真。
【図7】別の「露出レンズ型」マイクロレンズシートの拡大断面図。
【図8】別の「埋込みレンズ型」マイクロレンズシートの拡大断面図。
【図9】平凸ベースシートを含む別のマイクロレンズシートの拡大断面図。
【図10】微小球で構成されたマイクロレンズシート上に衝突する発散エネルギーのグラフ表示。
【図11】全ての視覚要素が同じ面の中にあるユーザーインターフェースの一実施形態の斜視図。
【図12】全ての視覚要素が3つの別個の深度面の中に編成され、視覚要素の分類が深度面によって区別される、本発明のユーザーインターフェースの別の実施形態の斜視図。
【図13】全ての視覚要素が3つの別個の深度面の中に編成されるが、視覚要素の分類は深度面によって区別されない、本発明のユーザーインターフェースのもう1つの実施形態のユーザーインターフェースの斜視図。
【図14】シートより上に浮いているか、その中に浮いているか、並びにその下に浮いているように見える合成画像を含む、本発明のユーザーインターフェースの一実施形態の平面図。
【図15】シートより上に浮いているか、その中に浮いているか、並びにその下に浮いているように見える合成画像を含む、本発明のユーザーインターフェースのもう1つの実施形態の平面図。
【図16】シートより上に浮いているか、その中に浮いているか、並びにその下に浮いているように見える合成画像を含む、本発明のユーザーインターフェースの別の実施形態の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
「背景技術」の項で言及したように、人間視覚システムが同時に処理できる視覚要素の数が比較的少数に過ぎない理由に関して、様々な文献が出版されている。より多くの要素が視覚アレイ又はユーザーインターフェースに付加されるほど、人間がその視覚アレイ又はユーザーインターフェース内の特定の要素を見つけ、そのような要素を処理するのにはより長い時間が掛かり、より集中する必要がある。結果として、ユーザーインターフェースの設計者は、多くの場合、ユーザーに負担を強いることと、インターフェースに同時に表示することができる要素の数を厳格に制限することとの間で選択を迫られる。特許請求の範囲を含めて本明細書で用語「ユーザーインターフェース」を使用する場合、この用語は、人間がそこから情報を受け取り、及び/又は対話できるように設計されたあらゆるインターフェースを意味する。例えば、ユーザーインターフェースは、自動車のダッシュボード、航空機のコックピットの表面、原子力発電の制御室(nuclear control room)、制御タワー、広告、注文、処理などの情報キオスク、電話、携帯情報端末(PDA)、全地球測位システム(GPS)装置、コンピュータの表示画面、音声起動の表示画面、又は、人間がインターフェースから情報を受け取る、若しくはそれと対話する他のあらゆるタイプのインターフェースに含まれる可能性がある。ユーザーインターフェースを有する自動車の計器パネルの例では、表示される情報のいくつかとして、自動車の速度、エンジンと関連する様々な警告灯、自動車の走行距離と関連するマイル数又はキロメートル数、タコメーター、方向指示灯、自動車の内部又はエンジンの温度、燃料計などを挙げることができる。別の例として、ユーザーは、内部の温度が低下しているのを観察することによって、自動車の計器パネルと対話してもよく、その結果、計器パネル上の温度計が上昇する。更にもう1つの例として、ユーザーは、自身の走行速度が速度制限を上回っているのに気づくことにより、自動車の計器パネルと対話してもよく、その結果として、自身の自動車の速度が速度制限内になるまで減少したことを観察するまで、アクセルにかける圧力を減少させる。更にもう1つの例として、ユーザーは、別の車両が運転者の死角にあることを示す浮動画像の形態の警告信号を観察することにより、自動車の計器パネルと対話してもよく、それによって運転者が、車線変更操作に関してより慎重になることで反応できる。そのような浮動画像の警告は、音響による警告が運転者にとって邪魔になり得る場合に便利であろう。
【0009】
本発明を展開する1つの方法は、3M社(3M Company)の浮動画像技術を使用することによるものである。3M社(3M Company)の浮動画像技術は、マイクロレンズの数と関連付けられた、個々の部分的に完全な画像及び/又は個々の完全な画像によって提供される合成画像を有するシートを提供し、個々の画像は、シートより上、その面の中、及び/又はその下に浮遊あるいは浮いているように見える。これらの浮遊した画像は便宜的に浮動画像と呼ばれ、及びそれらは、シートより上又は下に(二次元若しくは三次元のどちらかの画像として)位置することができ、あるいは、シートより上、その面の中、及びその下に見える三次元画像であることができる。画像は白黒又はカラーであることができる。合成画像の見え方は視角によって変わる。例えば、合成画像は、シートを見る角度が変わると、観察者とともに動いて見える場合があり、又は、消え、そして再び現れて見える場合がある。いくつかの立体画像シートとは異なり、本発明のユーザーインターフェースの画像化シートは、それ自体の複製を作成するのに使用することはできない。それに加えて、浮動画像(1つ又は複数)は、観察者によって肉眼で観察することができる。
【0010】
本発明の一実施形態は、浮動画像を含むユーザーインターフェースを提供する。ユーザーインターフェースに浮動画像を使用することによって、ユーザーインターフェースを見るか、又はそこから情報を受け取るとき、深さ若しくは高さが因子として特定の画像に提供される。そのようなユーザーインターフェースは、厚いユーザーインターフェース、高価な表示技術、又はゴーグルなどの侵襲性の用具を必要としない。具体的には、この技術を使用することは、ユーザーが、特定の情報をユーザーインターフェース内でより迅速に検索し、場合によっては、より少ない間違いで情報を処理し、結果として、本発明のユーザーインターフェースと対話する際に観察者の全体的な能力を改善する助けとなる。発明者らは、ユーザーに対して特定の情報が特定の深度範囲で表示された場合、その情報がユーザーインターフェースより上に浮いているように見えるか下に浮いているように見えるかにかかわらず、ユーザーが、表示された情報をより容易に見つけることができ、したがって、そのような情報をより迅速に処理できることを発見している。具体的には、発明者らは、浮動画像が同じタスク又は方法操作(method operation)に関連している場合、それら画像が、ユーザーインターフェースより上又は下のほぼ同じ距離に浮いているように見え、好ましくは立体的に見えることが好ましいことを発見している。それに加えて、浮動画像は、単一面のシート内に作成される(より詳細に後述するように)が、シートより上、その中、又はその下のいずれかに浮いているように見え、それによって、ユーザーインターフェースがいくつかの知覚深度レベルを含むことが可能になるが、実際には、ユーザーインターフェースは、一般に、1つの面に沿っており、その知覚深度に比べて薄い。この構成は、自動車又は航空機の計器パネル内など、表示装置に比べて様々な実際の深度位置で情報を表示するための空間が全体的に制限されているユーザーインターフェースに特に有用である。
【0011】
本発明のユーザーインターフェースに有用な、浮動浮動合成画像を有する画像化シートの一実施形態が、米国特許第6,288,842号(フローチャック(Florczak)ら)に開示されており、該特許を参照により本明細書に組み込む。フローチャック(Florczak)らは、合成画像がシートより上若しくは下、又はその両方に浮動合成画像を含んだマイクロレンズシートを開示している。合成画像は二次元である場合も、又は三次元である場合もある。マイクロレンズに隣接した材料層に放射線を適用することによる方法を含む、そのようなシートを提供する方法も開示されている。この特許は、組成変化、材料の除去若しくはアブレーション、相変化、又はマイクロレンズ層(1つ若しくは複数)の一面に隣接して配置されたコーティングの重合の結果として、合成画像が作成されることを開示している。
【0012】
本発明のユーザーインターフェースに有用な、浮動合成画像を有する画像化シートのもう1つの実施形態が、米国特許出願第11/248950号(エンドル(Endle)ら)に開示されており、該出願を参照により本明細書に組み込む。エンドル(Endle)らは、合成画像がシートより上若しくは下、又はその両方に浮動合成画像を含んだマイクロレンズシートを開示している。合成画像は二次元である場合も、又は三次元である場合もある。そのような画像化シートを提供する方法も開示されている。この特許出願は、放射線源を使用して、ドナー基材の一部分をマイクロレンズ層に転写した結果として作成される合成画像を開示している。
【0013】
本発明のユーザーインターフェースに有用な、マイクロレンズ及びマイクロ画像を有する画像化シートの更に別の実施形態が、米国特許第5,712,731号、「銀行券及びクレジットカードなどの機密文書のための機密保持装置(Security Device for Security Documents Such as Bank Notes and Credit Cards)」(ドリンクウォーター(Drinkwater)ら)に開示されており、該特許を参照により本明細書に組み込む。ドリンクウォーター(Drinkwater)らは、ほぼ球状のマイクロレンズの対応するアレイを通して見たときに拡大画像を生成する、マイクロ画像のアレイを含む機密保持装置を開示している。場合によっては、マイクロレンズのアレイはマイクロ画像のアレイに固着される。
【0014】
本特許出願では、最初に、ユーザーインターフェースに組み込まれてもよいシート内に合成浮動画像を作成する方法の少なくとも2つの実施形態について記載する。2つの代表的な方法を本明細書にて記載するが、合成画像又は類似の画像を作成する他の方法が使用されてもよい。次に、本特許出願では、ユーザーインターフェース内における合成画像の使用について記載する。
【0015】
I.合成浮動画像を作成する方法
本発明のユーザーインターフェースに有用な、合成浮動画像を作成する方法の1つの実施例は、放射線源を使用して、マイクロレンズシートの材料層に隣接して配置された放射線感応性のドナー材料の一部分を転写して、画像を材料層上に形成することを含む。図1〜6Aはこの方法に関する。
【0016】
合成浮動画像をその中に形成することができるマイクロレンズシートは、マイクロレンズ層(1つ又は複数)の一面に隣接した材料層を含んだ、マイクロレンズの1つ以上の別個の層を含む。例えば、図1は、好適なタイプのマイクロレンズシート10aの一実施形態を示す。このシートは、第1の広い面及び第2の広い面を有する透明なベースシートを含み、第2の側2はほぼ平面であり、第1の側11は、球状又は非球状のマイクロレンズ4のアレイを有する。材料層14は、任意に、ベースシート8の第2の側2上に設けられる。材料層14は、より詳細に後述するようなドナー材料を受け入れる第1の側6を含む。
【0017】
別の実施例として、図2は、好適なタイプのマイクロレンズシート10bの別の実施形態を示す。マクロレンズの形状及びベースシートの厚さ、並びにそれらの変動性は、シートを見るのに適切な光が第1の側6付近で集束するように選択される。この実施形態では、マイクロレンズシートは、「露出レンズ」タイプのマイクロレンズシート10bであり、材料層14に部分的に埋め込まれた透明な微小球12の単層を含み、これはまた、典型的には、高分子材料などのビーズ結合剤層である。材料層14は、より詳細に後述するようなドナー材料を受け入れる第1の側6を含む。微小球12は、ドナー基材材料(より詳細に後述する)を画像化するのに使用されてもよい放射線の波長、並びに合成画像を見る光の波長の両方に対して透明である。このタイプのシートは、ビーズ結合層が、例えば、ビーズ結合層がビーズの間にのみ存在する、又はビーズ間の隙間の空間を占める程度まで非常に薄いことを除いて、米国特許第3,801,183号により詳細に記載されている。あるいは、このタイプのシートは、ビーズ結合が米国特許第3,801,183号に教示されている厚さのものである場合、放射線を材料層14の第1の側6付近で集束させるのに適切な光学定数の微小球を使用することによって作ることができる。そのような微小球は、フロリダ州サラソタ(Sarasota)のエスプリックス・テクノロジーズ(Esprix Technologies)から市販されている、ポリメチルメチルアクリレートビーズを含む。
【0018】
更に別の実施例として、図3は、好適なタイプのマイクロレンズシート10cのもう1つの実施形態を示す。この実施形態では、マイクロレンズシートは、「埋込みレンズ」タイプのシート10cであり、微小球レンズ22は、典型的には高分子材料である透明保護被膜24と、やはり典型的には高分子材料などのビーズ結合剤層である材料層14との間に埋め込まれる。材料層14は、より詳細に後述するようなドナー材料を受け入れる第1の側6を含む。このタイプのシートは、反射層及び接着剤が除去され、空隙層14が、微小球の曲率に対する共形性がより低くなるように再配合されることを除いて、米国特許第3,801,183号により詳細に記載されている。
【0019】
シート10のマイクロレンズは、好ましくは、画像形成(より詳細に後述する)を生じさせるため、画像を形成する屈折要素を有する。これは、一般に、球状又は非球状の特徴を形成することによってもたらされる。屈折率傾斜(GRIN)を提供する他の有用な材料は、光を屈折させるために曲面を必ずしも必要としない。マイクロレンズは、実像が屈折面によって形成されるという条件の下に、円筒又は球などのいずれかの対称性を有してもよい。マイクロレンズ自体は、円形平凸レンズレット、円形両凸レンズレット、フレネルレンズレット、回折レンズレット、ロッド、微小球、ビーズ、又は円筒レンズレットなど、別個の形態のものであることができる。マイクロレンズを形成することができる材料としては、ガラス、ポリマー、鉱物、結晶、半導体、並びにこれら及び他の材料の組み合わせが挙げられる。別個ではないマイクロレンズ要素も使用されてよい。したがって、複製又はエンボス加工プロセス(シートの表面の形状が変更されて、画像化特性を含んだ繰り返される断面を生成する)から形成された複数のマイクロレンズも使用することができる。
【0020】
可視波長及び赤外波長にわたって1.4〜3.0、より好ましくは1.4〜2.5の均一な屈折率を有するマイクロレンズが好ましいが、必須ではない。マイクロレンズの屈折力は、個々のマイクロレンズが別個のもの又は複製されたもののどちらであっても、及び、マイクロレンズを作成した材料にかかわらず、好ましくは、光学素子上に入射する光が材料層14の第1の側6上又はその付近で集束するような屈折力である。特定の実施形態では、マイクロレンズは、好ましくは、その層上の適切な位置で、縮小された実像を形成する。マイクロレンズシートの構造によって、必要な集束条件が提供されるので、マイクロレンズシートの前面上に入射するエネルギーは、好ましくは放射線感応性である個別のドナー層上でほぼ集束され、これはより詳細に後述される。
【0021】
15〜275μmの直径を有するマイクロレンズが好ましいが、他のサイズのマイクロレンズが使用されてもよい。マイクロレンズ層から比較的短い距離で離れて見えることになる合成画像については、前述の範囲の下限値に近い直径を有するマイクロレンズを使用することによって、またマイクロレンズ層からより長い距離で離れて見えることになる合成画像については、より大きなマイクロレンズを使用することによって、良好な合成画像の解像度を得ることができる。マイクロレンズに関して示唆したものに相当するレンズレット寸法を有する、平凸、球状、又は非球状のマイクロレンズなど、他のマイクロレンズは、同様の光学上の結果を生み出すことが期待できる。マイクロレンズに関して示唆したものに相当するレンズレット寸法を有する円筒レンズは、同様の光学上の結果を生み出すことが期待できるが、異なるあるいは別の画像化光学縦列(optics train)が必要なことがある。
【0022】
上述したように、図1、2、及び3の材料層14は、マイクロレンズシート10内のマイクロレンズに隣接して設けられてもよい。シート10の材料層14に適した材料としては、シリコーン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、又は、シート状にするか、若しくはベースシート8によって支持することができる他のあらゆるポリマーが挙げられる。一実施形態では、シート10は、異なる材料から作られたマイクロレンズ層及び材料層を含んでもよい。例えば、マイクロレンズ層はアクリレートを含んでもよく、材料層はポリエステルを含んでもよい。他の実施形態では、シート10は、同じ材料から作られたマイクロレンズ層及び材料層を含んでもよい。例えば、シート10のマイクロレンズ及び材料層は、シリコーン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、又は、シート状にすることができる他のあらゆるポリマーで作られてもよく、及び、機械的エンボス加工、複製、又は成形の方法によって形成されてもよい。
【0023】
図4a及び4bを参照してより詳細に後述するように、個々の部分的に完全な画像は、ドナー基材材料を使用して、複数のマイクロレンズと関連付けられた材料層14上に形成され、それは、反射光又は透過光の下でこのマイクロレンズの前で観察者が見たときに、シートより上、その面の中、及び/又はその下に浮遊して、即ち浮いているように見える合成画像を提供する。他の方法を使用してもよいが、そのような画像を提供する好ましい方法は、放射線感応性ドナー材料を提供し、放射線を使用してそのドナー材料を望ましい方法で転写して、個々の部分的に完全な画像を材料層の第1の側上に提供するものである。この転写プロセスとしては、融触(meltstick)、昇華、添加剤アブレーション(ドナーにアブレーションを施すことによる基材への材料転写)、拡散、及び/又は他の物理的材料転写プロセスを挙げることができる。
【0024】
この形態の合成画像に有用な、好適な放射線感応性ドナー材料基材としては、追加の放射線感応性材料を有する又は有さない、結合剤の形の着色剤でコーティングされた基材が挙げられる。ドナー材料は、バルク形態又はロール形態で提供することができる。本明細書で使用するとき、所与のレベルの放射線に暴露する際に、暴露されたドナー材料の一部分が異なる位置に移動するか、又は優先的に付着する場合に、ドナー基材材料は「放射線感応性」である。個々の部分的に完全な画像(図5及び6Aに示される)は、放射線感応性ドナー基材材料若しくは着色剤材料をドナー基材から少なくとも部分的に、又は完全に除去し、それに続くドナー基材材料若しくは着色剤材料をマイクロレンズシート10の材料層に転写した結果として、形成される。
【0025】
一実施形態では、ドナー基材は、色素、染料、インク、又はそれらのいずれか若しくは全ての組み合わせなど、可視スペクトル内の色を提供して、図6に示されるものなどのカラーの合成浮動画像を提供する着色剤を含む。色素又は染料はリン光性若しくは蛍光性であってもよい。あるいは、ドナー材料中の着色剤は金属的にも見えてもよい。転写されたドナー基材成分が熱的に安定であり、転写時に生じる化学的又は組成上の変化がほんのわずかである場合、結果として得られる浮動画像の色は、一般に、ドナー基材中の着色剤の色に類似している。それに加えて、結果として得られる合成浮動画像の色は、ドナー基材中の着色剤の色と同じであってもよい。更に別の実施形態では、ドナー基材は、基材全体を通じて異なる色のストライプ若しくは領域、又は多色基材など、異なる着色剤の巨視的パターンを含んでもよい。別の実施形態では、ドナー基材は、必ずしも、可視スペクトルの色を提供する着色剤を含まなくてもよく、代わりに、結果として得られる合成浮動画像は無色に見えるようになる。そのようなドナー基材は、無色の蛍光染料又はリン光性材料を含有して、特定の波長に暴露している間若しくはその後にのみ、又はリン光性材料の場合、それらの波長に暴露している間及びその後のある持続時間の間しか見えない合成画像を作成することができる。あるいは、そのようなドナー基材は、材料層14とは異なる屈折率を有しても有さなくてもよい無色材料を含有してもよい。そのようなドナー材料から形成される合成画像は、周辺光で見た場合にはほんのわずかしか見えなくてもよく、ただし、表面6にほぼ垂直な光の下で見た場合には、表面6の非画像化範囲からの反射よりも明るく光って見えてもよい。全てのドナー基材は、任意に、画像化放射線に対する基材の感度を増加させ、最終的に材料の転写を助ける添加剤を含んでもよく、又は、基材は、放射線の吸収を増加させるため、少なくとも着色剤の下に反射層及び/又は吸収層を含んでもよい。図4aは、マイクロレンズシート10上に合成画像を形成する方法の一実施形態を概略的に示す。この方法は放射線源30を使用することを含む。所望の強度及び波長の放射線を提供するあらゆるエネルギー源を、放射線源30としてこの方法とともに使用してもよい。一実施形態では、200nm〜11μm、より好ましくは270nm〜1.5μmの波長を有する放射線を提供することができる放射線装置が好ましい。この方法に有用な高ピーク出力の放射線源の例としては、受動Qスイッチマイクロチップレーザー、及びQスイッチネオジム添加レーザー系、並びに、それらのレーザーいずれかの周波数二倍、三倍、及び四倍形のもの、並びにチタン添加サファイア(Ti:サファイア(Ti:sapphire)と短縮される)レーザーが挙げられる。有用な放射線源の他の例としては、半導体レーザー、イオンレーザー、非Qスイッチ固体レーザー、金属蒸気レーザー、ガスレーザー、アークランプ、及び高出力白熱光源など、ピーク出力の低い装置が挙げられる。
【0026】
全ての有用な放射線源について、放射線源30からのエネルギーは、マイクロレンズシート材料10に向けられ、エネルギーの高度に発散したビームを与えるように制御される。電磁スペクトルの紫外部分、可視部分、及び赤外部分のエネルギー源の場合、光は、当該技術分野において既知の適切な光学素子によって制御される。一実施形態では、光学縦列と一般に呼ばれる光学素子のこの配置の要件は、マイクロレンズを所望の角度で照射する、したがってマイクロレンズと一直線に並べられたドナー材料を照射する放射線の「錘」を生じさせるように、光学縦列が、光を適切な発散又は広がりでシート材料に向けることである。この方法によって作成される合成画像は、好ましくは、0.3以上の開口数(最大発散光の半角の正弦として定義される)を有する放射線スプレッダー装置を使用することによって得られるが、より低い開口数の照明が使用されてもよい。より高い開口数を有する光スプレッダーは、より大きな視角、及び画像の仮現運動のより大きな範囲を有する合成画像を生成する。別の実施形態では、光学縦列は、更に、放射線の錘の角度部分(1つ又は複数)の放射を防ぐ要素を含んでもよい。結果として得られる合成画像(1つ又は複数)は、修正された錘の阻害されていない角度区画に対応する角度にわたってのみ見える。所望であれば、修正された錘の別個の角度区画において複数の合成画像が作成されてもよい。修正された錘及びその倒置を使用して、サンプルを傾けると1つの色から別の色に変化する合成画像を生成することができる。あるいは、同じ範囲内に複数の合成画像を生成して、サンプルを傾けると個々の画像が現れ、そして消えるようにすることができる。
【0027】
この方法の一実施形態の代表的な画像化プロセスは、図4a及び4bに示されるような以下の工程を含む。図4aは、放射線源による画像化プロセスを示し、図4bは、画像化プロセス後に得られるシート10を示す。最初に、図1〜3に示されるマイクロレンズシート10a、10b、10cなどのマイクロレンズシート10が提供される。図4aは、マイクロレンズシート10aの使用を示しているが、マイクロレンズシート10b又は10cがプロセスに使用されてもよい。次に、上述のドナー基材などの第1のドナー基材40aが提供される。次に、マイクロレンズシート10は、マイクロレンズシート10が放射線源30とドナー基材40aとの間にあるようにして、ドナー基材40aに隣接して位置決めされるか、又はその隣に整列される。一実施形態では、マイクロレンズシート10及びドナー基材40aは互いに近接している。別の実施形態では、マイクロレンズシート10及びドナー基材40aは、例えば、重力、機械的手段、若しくは図4aに示されるような真空源36によって生じる圧力勾配によって、互いに接触しているか、又は互いに押し付けられている。更に別の実施形態では、ミクロ構造44がマイクロレンズシート10とドナー基材40aとの間にあって、マイクロレンズシート10とドナー基材40aとの間にほぼ均一なギャップ又は空間を提供する。ミクロ構造44は、マイクロレンズシート10とドナー基材40aとの間に位置付けられる独立したミクロ構造であってもよい。そのような独立したミクロ構造44の例としては、ポリメチルメタクリレート球体、ポリスチレン球体、及びシリカ球体が挙げられ、それらは全て、フロリダ州サラソタ(Sarasota)にあるエスプリックス・テクノロジーズ(Esprix Technologies)から市販されている。あるいは、ミクロ構造44は、ドナー基材40aからマイクロレンズシート10に向かって、又はシート10内の材料層14の第1の側6から延びてもよい。そのようなミクロ構造44を含む好適なドナー基材40の例としては、コネチカット州ノーウォーク(Norwalk)にあるコダック・ポリクローム・グラフィックス(Kodak Polychrome Graphics)から市販されている、コダック(商標)アプルーバル媒体及びマッチプリントデジタルハーフトーン媒体が挙げられる。そのようなミクロ構造44を含む好適なマイクロレンズシートは、当業者によって、複製などによって容易に作られる。いずれにしても、好ましくは、マイクロレンズシート10とドナー基材40aとの間には、ほぼ均一な間隔又はギャップがあり、それは、ミクロ構造44のサイズ、間隔、配置、及び被覆面積によって決定され制御される。このほぼ均一なギャップによって、ドナー基材40aの上面41とマイクロレンズ光学素子34の焦点との間がほぼ均一に見当合わせされる。
【0028】
次に、方法は、ドナー材料の部分を、第1のドナー材料基材40aからシート10の材料層14の第1の側6に転写して、図4bに示されるように、個々の部分的に完全な画像を材料層14の第1の側6上に形成する工程を含む。図4a及び4bに示される本発明の方法の一実施形態では、この転写は、平行光を、放射線源30からレンズ32を通してマイクロレンズシート10に向けることによって得られる。放射線源30は、レンズ32を通し、マイクロレンズシート10を通して、ドナー基材40aに集束される。マイクロレンズ4の焦点34は、近似的には、図4aに示されるように、ドナー基材40aとマイクロレンズシート10内の材料層14の第1の側6との境界面にある。基材40aのドナー材料は、シート10a上のマイクロレンズ4の焦点34付近で入射光を吸収する。放射線の吸収によって誘発されて、ドナー基材40aのドナー材料がシート10a上の材料層14の第1の側6に転写されて、図4bに示されるように、シート10aのマイクロレンズ4に対応する部分的に完全な画像を含む、ドナー材料の画素42aが作成される。シート10a上の材料層14の第1の側6がドナー材料40aに近接しているか、又はドナー材料40aに付着されている、このプロセスの別の実施形態では、放射線誘発性の拡散及び優先的付着(メルトスティックプロセス)など、シート10aのマイクロレンズ4に対応する部分的に完全な画像を含むドナー材料の画素42aを生成する転写メカニズムも可能である。転写されたドナー材料42aは、その化学物質又は組成又は成分濃度を変化させてもよい。ドナー材料42aから作られるこれらの個々の部分的に完全な画像は、ともに、更に後述するように、肉眼ではシート10より上若しくは下、又は両方に浮いているように見える合成浮動画像を提供する。
【0029】
個々のマイクロレンズ4はそれぞれ、光軸に対して固有の位置を占めるため、各マイクロレンズ4に衝突する放射線は、他のマイクロレンズそれぞれに入射する放射線に対して固有の入射角を有することになる。したがって、光は、各マイクロレンズ4によって、ドナー基材40a上のその特定のマイクロレンズ4に対して、焦点34に近い固有の位置に透過され、ドナー材料42aの部分的に完全な画像の固有の画素を、各マイクロレンズ4に対応する材料層14の第1の側6上に生成する。より正確には、単一の光パルスは、適切に暴露された各マイクロレンズ4の後方にドナー材料42aの単一の画像化ドットのみを生成するので、部分的に完全な画像は、シート10の材料層14の第1の側6上に、各マイクロレンズに隣接して提供される。複数の放射線パルス、即ち、迅速に横断し連続して照明する放射線ビームが、画像を作るのに使用されてもよい。各パルスについて、レンズ32の焦点は、前のパルスの間のマイクロレンズ化シートに対する焦点34の位置に対して、新しい位置に配置される。マイクロレンズ4に対するレンズ32の焦点32の位置がこのように継続的に変わることで、各マイクロレンズ4に対する入射角がそれに対応して変わり、したがって、そのパルスによってドナー材料42でシート10の材料層14上に作られたドナー材料42aの部分的に完全な画像の画素の位置が変わる。結果として、焦点34付近でドナー材料40a上に入射する放射線によって、放射線感応性ドナー材料42aの選択されたパターンが転写される。各マイクロレンズ4の位置は全ての光軸に対して固有なので、各マイクロレンズについて転写された放射線感応性ドナー材料42aによって形成された部分的に完全な画像は、他の全てのマイクロレンズと関連する画像とは異なるものになる。これは、各マイクロレンズが、入ってくる放射線を異なる位置から「見ている」ためである。したがって、ドナー基材からのドナー材料42aを有する、各マイクロレンズと関連する独自の画像が材料層14上に形成される。
【0030】
浮動合成画像を形成する別の方法は、レンズアレイなどの拡散を作り出す目標を使用して、マイクロレンズ化材料を画像化する高発散光を生成する。例えば、レンズアレイは、平面的な幾何学形状で配置された高い開口数を全て有する、複数の小さなレンズから成ることができる。アレイが光源によって照明されると、アレイは複数の高発散の光錐を生成するが、個々の錐はそれぞれ、アレイ内のそれに対応するレンズを中心としている。アレイの物理的寸法は、合成画像の最大横サイズに適合するように選ばれる。アレイのサイズに基づいて、レンズレットによって形成されたエネルギーの個々の錐は、個々のレンズが、光のパルスを受け取りながらアレイの全ての点に順次位置付けられたかのように、マイクロレンズ化材料を露光する。どのレンズが入射光を受け取るかの選択は、反射性マスク、回折パターン発生器の使用によって、又は、目標の特定位置を低い開口数の放射線光で個々に照明することによって生じることがある。このマスクは、露光すべき合成画像の区画に相当する透明な区域と、画像が露光されるべきでない反射区域とを有する。レンズアレイは横方向に延在しているため、画像を描くために複数の光パルスを使用する必要がないことがある。
【0031】
入射エネルギーによってマスクを完全に照明することにより、エネルギーを通過させるマスクの部分は、画像が単一レンズにより描かれたかのように、浮動画像の輪郭を描く高発散光の多くの個々の錐を形成する。結果として、マイクロレンズシート内に合成画像全体を形成するため、単一の光パルスのみが必要とされる。あるいは、反射マスクの代わりに、電流測定xyスキャナーなどのビーム測位システム(beam positioning system)を使用して、レンズアレイを局所的に照明し、合成画像をアレイ上に描くことができる。この技術によりエネルギーが空間的に局在化されるため、アレイ中の数個のレンズレットのみが所与の時間に照明される。照明されたそれらのレンズレットは、マイクロレンズ化材料を露光するのに必要な高発散の光錐をもたらして、シート内に合成画像を形成する。
【0032】
合成画像の所望の目に見えるサイズに応じて画像化した後、完全な又は部分的に完全な画像が、ドナー材料42aから形成された十分に露光された各マイクロレンズの後方で、シート10の材料層14の第1の側6上に存在する。画像が材料層14の各マイクロレンズ4の後方に形成される程度は、マイクロレンズ上に入射するエネルギーに応じて変わる。意図される画像の部分は、マイクロレンズ上に入射する放射線が、対応するドナー材料42を転写するのに必要な放射線レベルよりも低いエネルギー密度を有するようなマイクロレンズの領域から、十分に離れていてもよい。更に、空間的に拡張された画像の場合、固定のNAレンズを用いて画像化されるときに、意図される画像の全ての部分について、シートの全ての部分が入射放射線に暴露されるわけではない。結果として、意図される画像の部分は転写された放射線感応性材料をもたらさず、意図される画像の部分画像のみが、材料層14上のそれらのマイクロレンズの後方に見えるようになる。
【0033】
図4bでは、第1のドナー基材40aは、シート10上にドナー材料42aの個々の部分的に完全な画像を作成するのに使用される。第1のドナー基材40aを使用してシート10を画像化した後、第1のドナー基材40aは、除去され、第2のドナー基材と置き換えられてもよい。次に、上述し、図4a及び4bに示した方法は、第2のドナーシートに関して繰り返される。第2のドナー基材は、ドナー材料42bの画像をシート10上に作成するのに使用される。一実施形態では、第2のドナー基材は、第1のドナー基材40a中の着色剤とは異なる着色剤を含む。これにより、ユーザーが、2つの異なる色から成る合成画像を形成できるようになる。つまり、合成画像は多色化されるか、又は一色の部分と異なる色の部分とを有する。あるいは、第1のドナー基材40a及び第2のドナー基材40bを使用して、例えば、図6に示されるような、2つの別個の色が異なる合成浮動画像を形成することができる。あるいは、第1のドナー基材及び第2のドナー基材からの着色剤によって、2つの着色剤の混合から形成された合成画像が得られてもよい。別の実施形態では、第1のドナー基材中及び第2のドナー基材中の着色剤は同じ着色剤を含んでもよい。マイクロレンズシート10を画像化するのに、任意の数のドナー基材40を使用して、単一のシート10上で様々な異なる色の組み合わせの任意の数の浮動合成画像を形成してもよい。
【0034】
図5は、マイクロレンズ化シートのマイクロレンズ化側から見た、個々の微小球4に隣接した材料層14上に放射線感応性ドナー材料42によって形成されたサンプルの個々の部分的に完全な画像46を示し、及び更に、記録画像が完全な複製から部分的な複製までに及ぶことを示す、マイクロレンズシート10の一部の斜視図である。
【0035】
図6及び6Aは、2つの放射線感応性ドナー基材40を使用して、異なる色の複数の合成画像を作成する、方法の一実施形態に従って画像化したマイクロレンズシート10を示す。図6Aは、図6に示されるシート10上の材料層14の第1の側6の拡大光学プロファイルである。シート10は、黒色の二重円として見える、シートより下に浮いている第1の合成画像60aと、シートより上に浮いている、二重円の内側に位置するやはり黒色である「3M」の輪郭の第2の合成画像60bとを含む。シート10はまた、紫色の二重円として見える、シートより下に浮いている第3の合成画像60cと、シートより上に浮いている、二重円の内側に位置する同じ色である「3M」の輪郭の第4の合成画像60dとを含む。シート10は、黒色の着色剤を有する第1のドナー基材を用いて画像化したものである。シート10は、紫色の着色剤を有する第2のドナー基材を用いて次に画像化したものである。
【0036】
図6に示される区画Aの部分は、図6Aのシート10の底面図(即ち、材料層14の第1の側6)に相当する。具体的には、図6Aは、個々の部分的に完全な画像46の拡大図を示し、それら画像は併せて、シートより下に浮いているように見える、合成画像60a及び60cの黒色と紫色の二重円の交点を提供する(図6の部分Aに示される)。
【0037】
画像46は、黒色のドナー材料42aの第1の部分64と、紫色のドナー材料42bの第2の部分66との2つの部分を有する。各画像46は、一般に、個々のマイクロレンズに対応する。図6Aの画像46のサイズは24.5〜27μmに及ぶが、他のサイズの範囲が可能である。図6Aは、材料層14の表面より上におけるドナー材料の隆起、並びに、転写されたドナー材料42に直に隣接した材料層14の隆起レベルに対する影響を説明するのに便利である。ドナー材料42a及び42bの部分64及び66の周りの暗い部分は、それらの部分の周りの材料層14が融解しているか、又はその温度がそのガラス転移温度を超えて上昇したことを示し、結果として、それに関連する隆起は、材料層14の第1の側6の平面より下0.1〜0.2μmである。これらの「ディボット」は、作成方法の結果として、ドナー材料42a及び42bの周りに作られ、場合によっては、画像60を強調する助けとなる役目を果たしてもよい。ドナー材料42a及び42bの全高は、シート10の材料14の第1の側6の平面より上約0.1〜0.75μmに及ぶが、他の高さ範囲が可能である。
【0038】
これらの合成浮動画像60は、全て実在のオブジェクトの異なる視点による多数の画像46をともに合計した結果としても考えることができる。全てが異なる視点からオブジェクト又は画像を「見ている」ミニチュアレンズのアレイを通して、多くの固有の画像が形成される。個々のミニチュアレンズの後方には、画像の形状、及び画像化エネルギー源が受け取られる方向に応じて、材料層上のドナー材料によって画像の透視図が作成される。方法のいくつかの実施形態では、放射線感応性ドナー材料の一部の転写を得るのに十分なエネルギーを有するレンズによって見える、画像又はオブジェクトの部分のみが記録される。相応してより大きなエネルギーレベルに暴露されるレンズに相関する画像又はオブジェクトの部分は、一般に、転写されるドナー材料の量がより多くなり、即ち、画像46は、シート10の材料層14の第1の側6より上でより高い隆起を有するものとなることがある。
【0039】
画像化すべき「オブジェクト」は、「オブジェクト」の輪郭を描くか又はマスクを使用するかのどちらかによって、強い光源を使用して形成される。このように複合的な観点を有するように記録された画像の場合、オブジェクトからの光は広範囲の角度にわたって放射しなければならない。オブジェクトからの放射が、オブジェクトの単一点から来ており、及び広い角度範囲にわたって放射している場合、全ての放射光線は、オブジェクトに関する、ただしその単一点のみからの情報を伝えているが、情報は、放射光線の角度の視点からのものである。ここで、放射光線によって伝えられるようなオブジェクトに関する比較的完全な情報を有するため、光は、オブジェクトを構成する点の集まりから広い角度範囲にわたって放射しなければならないことを考慮されたい。オブジェクトから発する放射光線の角度範囲は、放射線源とマイクロレンズシートとの間に差し挟まれた光学素子によって制御される。これらの光学素子は、合成画像を生成するために必要な最適な角度範囲を与えるように選ばれる。光学素子の最良の選択により、それによって錐の頂点がオブジェクトの位置で終了するような放射線の錐が得られる。
【0040】
様々な合成画像の形成を説明するのに使用される様々な幾何学形状の光学素子が、米国特許出願第11/248950号(エンドル(Endle)ら)、例えば図10〜16に開示されており、該特許出願を参照により本明細書に組み込む。上述したように、本明細書に記載される浮動合成画像を作成するための画像化プロセスは、好ましい実施形態であるが、排他的なものではない。
【0041】
本発明のユーザーインターフェースに有用な合成浮動画像を作成する方法の別の実施例は、シート内のマイクロレンズに隣接した材料層に放射線を適用することを含む。合成画像は、組成変化、材料の除去又はアブレーション、相変化、又はマイクロレンズ層(1つ若しくは複数)の一面に隣接して配置されたコーティングの重合の結果として作成される。図5及び7〜10はこの方法の考察に関する。
【0042】
この方法によって合成画像が形成されるマイクロレンズシートは、材料(好ましくは、後述されるような放射線感応性材料又はコーティング)の層がマイクロレンズ層(1つ又は複数)の一面に隣接して配置された、マイクロレンズの1つ以上の別個の層を含む。例えば、図7は、典型的には高分子材料である結合剤層114に部分的に埋め込まれた透明微小球112の単層を含む、「露出レンズ」タイプのマイクロレンズシート110を示す。微小球は、材料層を画像化するために使用されてもよい放射線の波長、及び合成画像が見られる光の波長の両方に対して透明である。材料層116は、各微小球の後面に配置され、図示される実施形態では、典型的には、微小球112それぞれの表面の一部分のみに接触する。このタイプのシートは、米国特許第2,326,634号により詳細に記載されており、現在、スコッチライト8910シリーズ反射布地(Scotchlite 8910 series reflective fabric)の表記で3Mから入手可能である。
【0043】
図8は、別の好適なタイプのマイクロレンズシートを示す。このマイクロレンズシート120は、微小球レンズ122が、典型的には高分子材料である透明な保護被膜124に埋め込まれている、「埋込みレンズ」タイプのシートである。材料層126は、やはり典型的には高分子材料である透明なスペーサー層128層の裏側で、微小球の後方に配置される。このタイプのシートは、米国特許第3,801,183号により詳細に記載されており、現在、スコッチライト3290シリーズエンジニア等級再帰反射シート(Scotchlite 3290 series Engineer grade retroreflective sheeting)の表記で3Mから入手可能である。別の好適なタイプのマイクロレンズシートは、封入レンズシートと呼ばれ、その一例が、米国特許第5,064,272号に記載されており、現在、スコッチライト3870シリーズ高強度等級再帰反射シート(Scotchlite 3870 series High Intensity grade retroreflective sheeting)の表記で3Mから入手可能である。
【0044】
図9は、更に別の好適なタイプのマイクロレンズシートを示す。このシートは、第1の広い面及び第2の広い面を有する透明な平凸又は非球面ベースシート130を含み、第2の側132はほぼ平面であり、第1の側は、ほぼ半球状又は非半球状のマイクロレンズのアレイ134を有する。マイクロレンズの形状及びベースシートの厚さは、アレイに入射する平行光がほぼ第2の側で集束するように選択される。材料層136は第2の側上に設けられる。このタイプのシートは、例えば、米国特許第5,254,390号に記載されており、現在、2600シリーズ3Mセキュア・カード・レセプター(2600 series 3M Secure Card receptor)の表記で3Mから入手可能である。
【0045】
図7〜9を参照して記載されるシートのマイクロレンズは、好ましくは、画像形成を生じさせるため、画像形成屈折面を有し、これは一般に湾曲したマイクロレンズ表面によって提供される。曲面について、マイクロレンズは好ましくは均一の屈折率を有する。屈折率傾斜(GRIN)を提供する他の有用な材料は、光を屈折させるために曲面を必ずしも必要としない。マイクロレンズ表面は好ましくは本来球面であるが、非球面の表面も容認できる。マイクロレンズは、実像が屈折面によって形成されるという条件の下に、円筒又は球などのいずれかの対称性を有してもよい。マイクロレンズ自体は、円形平凸レンズレット、円形両凸レンズレット、ロッド、微小球、ビーズ、又は円筒レンズレットなど、別個の形態のものであることができる。マイクロレンズを形成することができる材料としては、ガラス、ポリマー、鉱物、結晶、半導体、並びにこれら及び他の材料の組み合わせが挙げられる。別個ではないマイクロレンズ要素も使用されてもよい。したがって、複製又はエンボス加工プロセス(シートの表面の形状が変更されて、画像化特性を含んだ繰り返される断面を生成する)から形成された複数のマイクロレンズも使用することができる。
【0046】
図7〜9を参照して記載されるシートのマイクロレンズは、好ましくは、可視波長及び赤外波長にわたって1.5〜3.0の均一な屈折率を有する。好適なマイクロレンズ材料は、可視光の吸収が最小であり、エネルギー源が放射線感応層を画像化するために使用される実施形態では、材料が呈するエネルギー源の吸収も最小であるべきである。マイクロレンズの屈折力は、マイクロレンズが別個のもの又は複製されたもののどちらであっても、また、マイクロレンズを作成した材料にかかわらず、好ましくは、屈折面上に入射する光が屈折し、マイクロレンズの反対側上で集束するような屈折力である。より具体的には、光はマイクロレンズの裏面上又はマイクロレンズに隣接した材料上のどちらかに集束される。材料層が放射線感応性である実施形態では、マイクロレンズは、好ましくは、その層上の適切な位置で、縮小された実像を形成する。約100〜800分の1の画像縮小は、良好な解像度を有する画像を形成するために特に有用である。マイクロレンズシートの前面上に入射するエネルギーが、好ましくは放射線感応性である材料層上に集束されるように、必要な集束条件を提供するためのマイクロレンズシートの構造。
【0047】
図7〜9を参照して記載されるシートの微小球は、15μm〜275μmに及ぶ直径を有することが好ましいが、他のサイズの微小球が使用されてもよい。微小球層から比較的短い距離で離れて見えることになる合成画像については、前述の範囲の下限値に近い直径を有する微小球を使用することによって、及び、微小球層からより長い距離で離れて見えることになる合成画像については、より大きな微小球を使用することによって、良好な合成画像の解像度を得ることができる。微小球に関して示唆したものに相当するレンズレット寸法を有する、平凸、円筒、球状、又は非球状のマイクロレンズなど、他のマイクロレンズは、同様の光学上の結果を生み出すことが期待できる。
【0048】
上述したように、合成画像を形成するこの特定の方法の場合、材料層はマイクロレンズに隣接して提供される。複数のマイクロレンズと関連付けられた材料中に形成される個々の画像は、反射光又は透過光の下で観察者が見たときに、シートより上、その面の中、及び/又はその下に浮遊して、即ち浮いているように見える合成画像を提供する。他の方法が使用されてもよいが、このような画像を提供する好ましい方法は、放射線感応性材料を材料層として提供し、放射線を使用してその材料を所望の方法で変更して画像を提供するものである。したがって、それによって限定されるものではないが、マイクロレンズに隣接した材料層についての以下の考察は、主に放射線感応性材料層との関連において提供される。
【0049】
本発明に有用な放射線感応性材料としては、金属、ポリマー、及び半導体材料、並びにそれらの混合物のコーティング及びフィルムが挙げられる。本明細書で使用するとき、所与のレベルの可視又は他の放射線に暴露する際、暴露された材料の外観が変化して、その放射線に暴露されなかった材料とのコントラストを提供する場合、材料は「放射線感応性」である。したがって、それによって作成された画像は、組成変化、材料の除去若しくはアブレーション、相変化、又は放射線感応性コーティングの重合の結果である可能性がある。いくつかの放射線感応性金属フィルム材料の例としては、アルミニウム、銀、銅、金、チタン、亜鉛、スズ、クロム、バナジウム、タンタル、及びこれらの金属の合金が挙げられる。これらの材料は、典型的には、金属の自然の色と放射線に暴露した後の金属の変性された色との間の違いによるコントラストを提供する。上述したように、画像はまた、アブレーションによって、又は材料の光学変性によって画像が提供されるまで、材料を放射線加熱することによって提供されてもよい。例えば、米国特許第4,743,526号は、金属合金を加熱して色の変化をもたらすことを記載している。
【0050】
金属合金に加えて、金属酸化物及び金属亜酸化物を放射線感応性媒体として使用することができる。この部類の材料としては、アルミニウム、鉄、銅、スズ、及びクロムから形成された酸化物の化合物が挙げられる。硫化亜鉛、セレン化亜鉛、二酸化ケイ素、酸化インジウムスズ、酸化亜鉛、フッ化マグネシウム、及びケイ素などの非金属材料も、有用な色又はコントラストを提供することができる。
【0051】
薄膜材料の多層も、固有の放射線感応性材料を提供するのに使用できる。これらの多層材料は、着色剤又は造影剤の出現と除去によって、コントラストの変化を提供するように構成することができる。代表的な構造としては、放射線の特定波長によって画像化される(例えば、色の変化によって)ように設計された、光学スタック又は同調キャビティ(tuned cavities)が挙げられる。1つの具体例が、米国特許第3,801,183号に記載されており、該特許は、誘電体ミラーとしてクライオライト/硫化亜鉛(NaAlF/ZnS)を使用することを開示している。別の実施例は、クロム/重合体(プラズマ重合ブタジエンなど)/二酸化ケイ素/アルミニウムで構成された光学スタックであり、層の厚さは、クロムについては4nm、重合体については20nm〜60nm、二酸化ケイ素については20nm〜60nm、及びアルミニウムについては80nm〜100nmの範囲であり、個々の層の厚さは可視スペクトル中で特定の色反射率を提供するように選択される。薄膜の同調キャビティ(tuned cavity)は、上述した単層の薄膜のいずれかとともに使用することができる。例えば、約4nm厚のクロムの層及び約100nm〜300nmの二酸化ケイ素の層を有する同調キャビティ(tuned cavity)では、二酸化ケイ素の層の厚さは、放射線の特定波長に応答して着色された画像化(an colored imaged)を提供するように調整されている。
【0052】
この方法に有用な放射線感応性材料としては、また、サーモクロミック材料が挙げられる。「サーモクロミック」は、温度の変化に暴露された場合に色が変わる材料を表す。この方法に有用なサーモクロミック材料の例が、米国特許第4,424,990号に記載されており、チオール、チオエーテル、スルホキシド、及びスルホンなどの化合物を含有する、炭酸銅、チオ尿素を含む硝酸銅、及びイオウを含む炭酸銅が挙げられる。他の好適なサーモクロミック化合物の例が、米国特許第4,121,011号に記載されており、ホウ素、アルミニウム、及びビスマスの水和硫酸塩及び窒化物、並びにホウ素、鉄、及びリンの酸化物及び水和酸化物が挙げられる。
【0053】
言うまでもなく、材料層が、放射線源を使用して画像化されるのではない場合、材料層は放射線感応性であることができるが、必須ではない。しかしながら、製造の容易さのためには放射線感応性材料が好ましく、したがって、好適な放射線源も好ましくは使用される。
【0054】
上述したように、マイクロレンズに隣接した材料層上に画像パターンを提供する好ましい方法は、放射線源を使用して放射線感応性材料を画像化することである。所望の強度及び波長の放射線を提供するあらゆるエネルギー源を、この方法とともに使用することができる。200nm〜11μmの波長を有する放射線を提供できる装置は、特に好ましいと考えられている。この方法に有用な高ピーク出力の放射線源の例としては、エキシマフラッシュランプ、受動Qスイッチマイクロチップレーザー、及びQスイッチネオジム添加イットリウムアルミニウムガーネット(Nd:YAGと短縮される)レーザー、ネオジム添加イットリウムリチウムフロライド(Nd:YLFと短縮される)レーザー、及びチタン添加サファイア(Ti:サファイア(Ti:sapphire)と短縮される)レーザーが挙げられる。これらの高ピーク出力源は、アブレーション、即ち材料の除去によって、又は多光子吸収プロセスで画像を形成する放射線感応性材料の場合に最も有用である。有用な放射線源の他の例としては、半導体レーザー、イオンレーザー、非Qスイッチ固体レーザー、金属蒸気レーザー、ガスレーザー、アークランプ、及び高出力白熱光源など、ピーク出力の低い装置が挙げられる。これらの源は、放射線感応性媒体がアブレーションによらない方法によって画像化される場合に特に有用である。
【0055】
全ての有用な放射線源について、放射線源からのエネルギーは、マイクロレンズシート材料に向けられ、エネルギーの高度に発散したビームを与えるように制御される。電磁スペクトルの紫外部分、可視部分、及び赤外部分のエネルギー源の場合、光は、適切な光学素子によって制御される。一実施形態では、光学縦列と一般に呼ばれる光学素子のこの配置の要件は、マイクロレンズを、ひいては材料層を所望の角度で照射するように、光学縦列が、光を適切な発散又は広がりでシート材料に向けることである。合成画像は、好ましくは、0.3以上の開口数(最大発散光の半角の正弦として定義される)を有する光スプレッダー装置を使用することによって得られる。より高い開口数を有する光スプレッダー装置は、より大きな視角、及び画像の仮現運動のより大きな範囲を有する合成画像を生成する。
【0056】
合成画像を作成するこの方法による代表的な画像化プロセスは、レーザーからの平行光を、レンズを通して、図7〜9に示されるマイクロレンズシートに向けることを含む。以下に更に記載されるように、浮動画像を有するシートを作成するため、光は、高開口数(NA)を有する発散レンズを通して透過されて、高度に発散した光錐を生成する。高NAレンズは0.3以上のNAを有するレンズである。微小球の放射線感応性コーティング面はレンズから離れて位置付けられるので、光錐の軸(光軸)はマイクロレンズシートの面に対して垂直である。
【0057】
個々のマイクロレンズはそれぞれ、光軸に対して固有の位置を占めるので、各マイクロレンズに衝突する光は、他のマイクロレンズそれぞれに入射する光に対して固有の入射角を有することになる。したがって、光は、各マイクロレンズによって材料層上の固有の位置に透過され、固有の画像を生成する。より正確には、単一の光パルスは、材料層上に単一の画像化ドットのみを生成するので、各マイクロレンズに隣接した画像を提供するためには、光の複数のパルスを使用して、複数の画像化ドットからその画像を作成する。各パルスについて、光軸は、前のパルスの間の光軸の位置に対して新しい位置にある。マイクロレンズに対する光軸の位置がこのように継続的に変わることで、各マイクロレンズに対する入射角がそれに対応して変わり、したがって、そのパルスによって材料層内に作成される画像化ドット位置が変わる。結果として、微小球の裏側に集束する入射光は、放射線感応性層内に選択されたパターンを画像化する。各微小球の位置は全ての光軸に対して固有なので、各微小球について放射線感応性材料中に形成される画像は、他の全ての微小球と関連する画像とは異なるものになる。
【0058】
浮動合成画像を形成する別の方法は、レンズアレイを使用して高発散光を生成して、マイクロレンズ化材料を画像化する。レンズアレイは、平面的幾何学形状で配置された、全て高開口数を有する複数の小レンズから成る。アレイが光源によって照明されると、アレイは複数の高発散の光錐を生成するが、個々の錐はそれぞれ、アレイ内のそれに対応するレンズを中心としている。アレイの物理的寸法は、合成画像の最大横サイズに適合するように選ばれる。アレイのサイズに基づいて、レンズレットによって形成されたエネルギーの個々の錐は、個々のレンズが、光のパルスを受け取りながらアレイの全ての点に順次位置付けられたかのように、マイクロレンズ化材料を露光する。どのレンズが入射光を受け取るかの選択は、反射性マスクの使用によって生じる。このマスクは、露光すべき合成画像の区画に相当する透明な区域と、画像が露光されるべきでない反射区域とを有する。レンズアレイは横方向に延在しているため、画像を描くために複数の光パルスを使用する必要はない。
【0059】
入射エネルギーによってマスクを完全に照明することにより、エネルギーを通過させるマスクの部分は、画像が単一レンズにより描かれたかのように、浮動画像の輪郭を描く高発散光の多くの個々の錐を形成する。結果として、マイクロレンズシート内に合成画像全体を形成するため、単一の光パルスのみが必要とされる。あるいは、反射マスクの代わりに、電流測定(galvometric)xyスキャナーなどのビーム測位システム(beam positioning system)を使用して、レンズアレイを局所的に照明し、合成画像をアレイ上に描くことができる。この技術によりエネルギーが空間的に局在化されるため、アレイ中の数個のレンズレットのみが所与の時間に照明される。照明されたそれらのレンズレットは、マイクロレンズ化材料を露光するのに必要な高発散の光錐をもたらして、シート内に合成画像を形成する。
【0060】
レンズアレイ自体は、別個のレンズレットから、又はレンズのモノリシックアレイを生成するエッチングプロセスによって製作することができる。レンズに適した材料は、入射エネルギーの波長において非吸収性のものである。アレイ内の個々のレンズは、好ましくは、0.3超過の開口数、及び30μmを超えるが10mm未満の直径を有する。これらのアレイは、レンズ材料の内部損傷を生じることがある背面反射の影響を低減するため、反射防止コーティングを有してもよい。それに加えて、レンズアレイに等しい有効な負の焦点距離及び寸法を有する単レンズも、アレイを離れる光の発散を増加させるために使用されてもよい。モノリシックアレイ内の個々のレンズレットの形状は、高開口数を有するように、及び約60%を超える大きな曲線因子を提供するように選ばれる。
【0061】
図10は、マイクロレンズシートに衝突する発散エネルギーの概略図である。各マイクロレンズは異なる視点から入射エネルギーを「見る」ため、画像Iが上又は中に形成される材料層の部分は各マイクロレンズによって異なる。したがって、各マイクロレンズと関連した固有の画像が材料層内に形成される。
【0062】
拡張されたオブジェクトのサイズに応じて画像化した後、完全な又は部分的な画像が、各微小球の後方の放射線感応性材料内に存在する。実際のオブジェクトが画像として微小球の後方に再生される程度は、微小球上に入射するエネルギー密度に応じて変わる。拡張されたオブジェクトの部分は、それらの微小球上に入射する放射線が、その材料を変性するのに必要な放射線レベルよりも低いエネルギー密度を有するようなマイクロレンズの領域から、十分に離れていてもよい。更に、空間的に拡張された画像の場合、固定のNAレンズを用いて画像化されるときに、拡張されたオブジェクトの全ての部分について、シートの全ての部分が入射放射線に暴露されるわけではない。結果として、オブジェクトのそれらの部分は放射線感応性媒体中において変性されず、オブジェクトの部分画像のみが微小球の後方に見えるようになる。
【0063】
この項の冒頭で記載した、放射線感応性ドナー材料方法によって形成されるサンプルの個々の部分的に完全な画像46を示す、マイクロレンズシートの部分の斜視図を提供することに加えて、図5は、また、個々の微小球に隣接した放射線感応性材料中に形成されるサンプル画像46を示し、更に、記録画像が合成画像の完全な複製から部分的な複製にまで及ぶことを示す、マイクロレンズシートの部分の斜視図である。
【0064】
これらの合成画像は、全て実オブジェクトの異なる視点による、部分的及び完全なもの両方の多数の画像を互いに合計した結果としても考えることができる。全てが異なる視点からオブジェクト又は画像を「見ている」ミニチュアレンズのアレイを通して、多くの固有の画像が形成される。個々のミニチュアレンズの後方には、画像の形状、及び画像化エネルギー源が受け取られる方向に応じて、材料層中に画像の透視図が作成される。しかしながら、レンズが見る全てのものが放射線感応性材料中に記録されるわけではない。放射線感応性材料を変性するのに十分なエネルギーを有するレンズによって見える、画像又はオブジェクトの部分のみが記録される。
【0065】
画像化すべき「オブジェクト」は、「オブジェクト」の輪郭を描くか又はマスクを使用するかのどちらかによって、強い光源を使用して形成される。このように複合的な観点を有するように記録された画像の場合、オブジェクトからの光は広範囲の角度にわたって放射しなければならない。オブジェクトからの放射光が、オブジェクトの単一点から来ており且つ広い角度範囲にわたって放射しているとき、たとえ情報が光線の角度の視点からであるとしても、全ての光線は、しかし単一点からのみであるが、そのオブジェクトに関する情報を伝えている。ここで、光線によって伝えられるようなオブジェクトに関する比較的完全な情報を有するため、光は、オブジェクトを構成する点の集まりから広い角度範囲にわたって放射しなければならないことを考慮されたい。オブジェクトから発する光線の角度範囲は、オブジェクトとマイクロレンズ材料との間に差し挟まれた光学素子によって制御される。これらの光学素子は、合成画像を生成するために必要な最適な角度範囲を与えるように選ばれる。光学素子の最良の選択により、それによって錐の頂点がオブジェクトの位置で終了するような光錐が得られる。最適な円錐角は約40度超過である。
【0066】
オブジェクトはミニチュアレンズによって縮小され、オブジェクトからの光は、ミニチュアレンズの裏側に接しているエネルギー感応性コーティング上に集束する。レンズの裏側の集束スポット又は画像の実際の位置は、オブジェクトから発生する入射光線の方向に応じて変わる。オブジェクト上の点から発する各光錐は、ミニチュアレンズの一部を照明し、十分なエネルギーで照明されたミニチュアレンズのみが、オブジェクトのその点の永続的画像を記録する。
【0067】
様々な合成画像の形成を説明するのに使用される様々な幾何学形状の光学素子が、米国特許第7,068,434号(フローチャック(Florczak)ら)、例えば図8〜16に開示されており、該特許を参照により本明細書に組み込む。上述したように、本明細書に記載される画像化プロセスは、好ましい実施形態であるが、排他的なものではない。
【0068】
浮動合成画像を作成する2つの方法のみを本明細書に記載しているが、本発明はそれらによって限定されない。その代わりに、本発明は、当業者には既知の他の方法によって作成される合成画像又は他の類似の画像を含む。
【0069】
II.ユーザーインターフェースにおける合成浮動画像
この「発明を実施するための形態」の項の冒頭で言及したように、本発明は、合成浮動画像を含むユーザーインターフェースを記載している。上述したように、特許請求の範囲を含めて本明細書で用語「ユーザーインターフェース」を使用するとき、この用語は、人間がそこから情報を受け取り、又は対話できるように設計されたあらゆるインターフェースを意味する。情報は視覚的に受け取ることができるが、聴覚又は触覚手段を介して受け取ることもできる。例えば、ユーザーインターフェースとしては、自動車のダッシュボード、航空機のコックピットの表面、原子力発電の制御室(nuclear control room)、制御タワー、広告、注文、処理などの情報キオスク、電話、PDA、GPS装置、コンピュータの表示画面、音声起動の表示画面、又は、人間がユーザーインターフェースから情報を受け取る、若しくはそれと対話する他のあらゆるタイプのインターフェースを挙げることができる。合成浮動画像を含むユーザーインターフェースは、特定の情報を求めてユーザーインターフェースをより迅速に検索し、場合によっては、より少ない間違いで情報を処理し、結果として、本発明のユーザーインターフェースと対話するときの観察者の全体的な能力を改善する助けとなる。本発明の一実施形態では、そのようなユーザーインターフェースは、異なる重要度を有する異なるタイプの情報をユーザーに対して表示してもよい、浮動画像を含む。そのような浮動画像は、異なる距離でユーザーインターフェース内のシートより上に浮いているか、又はその下に浮いているように見え、詳細に後述するように、浮く距離は、それが属する情報の重要度に優先的に依存してもよい。
【0070】
ヒューマンインターフェースの設計者の間では、ヒューマンユーザーインターフェースを用いて観察者の能力を改善するのに深度が有用であり得るということは「常識」ではない。ほとんどのヒューマンインターフェースの設計者は、人間の視覚について広範囲の専門知識を有さず、また、視覚を研究する科学者の間では、巨視的な深度情報を使用して観察者の能力を改善できることは常識ですらない。例えば、2003年に、プハッカ(Puhakka)、ハッキネン(Hakkinen)、及びラーニ(Laarni)が、自身の出版物で、目標深度の予備知識によって視覚的処理が影響されたことを実証するまでは常識ではなかった。(例えば、プハッカM.(Puhakka, M)、ハッキネンJ.(Hakkinen, J.)、及びラーニJ.(Laarni, J.)(2003年)「目標深度の予備知識は視覚的処理に影響するか(Does preknowledge of target depth affect visual processing)」、ジャーナル・オブ・ビジョン(Journal of Vision)3(9)、559を参照。)実際には、ある出版物によれば、深度が、人間視覚探索の能力及び視覚的注意に影響する因子であるか否かは、当業者には知られていない。(例えば、ウルフJ.M.(Wolfe, J.M.)及びホロウィッツT.S.(Horowitz, T.S.)(2004年)、「視覚的注意の展開を誘導するのはどの属性か、またそれらはどのように誘導するか?(What attributes guide the deployment of visual attention and how do they do it?)」、ネイチャー・レビュー・ニューロサイエンス(Nature Reviews Neuroscience)、5(6)、495〜501を参照。)
【0071】
発明者らは、深度を使用して、以下の実施例に実証するように、特に深度の体裁を作り出す浮動合成画像を使用して、ユーザーインターフェースにおける視覚的注意及び探索性能を改善することができると考える。本発明の結果として、ユーザーインターフェース内における視覚要素の深度は、ユーザーが重要情報に注目するのを助けるように操作することができる。例えば、浮動画像として前景に提示されているように見える情報は、背景に提示されているように見える情報に比べて、優先的に注目される。例えば、計器パネルにおける特定の表示情報の深度は、自動車の運転者又は航空機の操縦士が、燃料、対気速度、又は高度など、安全上重要な情報に注目するのを助けることができる。しかしながら、表示装置に対して様々な実際の深度位置で情報を表示するためには、空間が一般に限定されているので、深度は、自動車又は航空機のコックピットの計器パネルには使用されない場合が多い。本発明のユーザーインターフェースは、厚いユーザーインターフェース、高価な表示技術、又はゴーグルなどの侵襲性の用具を必要とせずに、計器面より上に浮いているか、その下又はその面の中で浮いているように見える合成浮動画像を含む。本質的に、ユーザーインターフェースは、様々な深度又は高さで表示されているように見える情報を提示するが、実際には、ユーザーインターフェースは、1つの面にほぼ沿ったシートを含み、それによって、異なる深度位置が制限されている場合に特に有用になっている。
【0072】
自動車の計器パネルにおけるユーザーインターフェースを具体的に参照すると、関連する運転事象に対する注意の欠如が交通事故の主要原因の1つであることが調査によって示されている。(例えば、ルーマーK.(Rumar, K.)(1990年)「基本的運転者、検出の遅れ(The basic driver: Late detection)」人間工学、33(10〜11)、1281〜1290を参照)。そのため、自動車設計技術者の主な目標は、運転者に対する認知的負荷を軽減することである。認知的負荷を軽減することで、運転者は、安全上重要な運転のタスクに注意を向けることができる。合成浮動画像が、自動車の計器パネルなどの本発明のユーザーインターフェースに組み込まれるという点で、そのようなユーザーインターフェースは、少なくとも次の4つの観点において、運転者の安全及び状況認識を改善する助けとしてもよい。
【0073】
第一に、浮動合成画像は、ユーザーの深度認知を活用して、本発明のユーザーインターフェースにおける視覚的グループ化の手掛りとして深度を使用できるようにするのに使用されてもよい。そのようなグループ化は、視覚的探索性能を改善し、観察者がグループ内を探索するための認知的負荷を軽減し、したがってグループ外の項目に注意を配分しない助けとなる。
【0074】
第二に、浮動合成画像は、ユーザーの深度認知を活用して、様々な深度での情報の表示を使用して視覚的探索を改善するのに使用してもよい。浮動画像を有する様々な深度面を作成することで、運転者が、本発明のユーザーインターフェースを視覚的に走査する能力を促進し、したがって視覚的探索性能を改善し、そのようなユーザーインターフェースによって提示される情報に選択的に注目することが可能になる。人間視覚システムは、深度面間よりも深度面の中の情報を探索するのにより向いている。そのため、観察者が、特定のタイプの視覚情報が本発明のユーザーインターフェースの特定の深度面の中で見つかることを学習すれば、ユーザーは、その後はより効率的にこの情報を見つけられる。
【0075】
第三に、浮動合成画像は、ユーザーの深度認知を利用して、本発明のユーザーインターフェースにおいて直接の視覚的注意に深度を使用できるようにするのに使用されてもよい。深度情報を使用して、計器パネル中の安全上最も重要な情報に視覚的注意をガイドすることができる。つまり、前景の深度情報は背景の深度情報に対して優先的に注目されるので、技術者は恐らく、安全上重要な情報を本発明のユーザーインターフェースの前景に配置し、安全上の重要度が低い情報は前景以外に提示されるようにし、結果として、安全上重要な情報に対する注意の配分を改善したいと考えるであろう。
【0076】
第四に、もう1つの実施例として、関連する又は類似の視覚要素は、本発明のユーザーインターフェースの同じ深度面上でグループ化された浮動画像の形態で提示されてもよい。関連する又は類似の視覚要素が同じ深度面の中でともにグループ化されると、人間がユーザーインターフェース内の情報を探索するのに掛かる時間は少なくなり、集中があまり必要ではなくなるので、特に、視覚要素が同じタスク又は金属操作(metal operation)に関する場合、ユーザーがインターフェースを使用し、必要であれば情報により迅速に反応することがより容易になる。例えば、第1の合成画像及び第2の合成画像が同じ又は類似のタスク若しくは心的操作に関する場合、両方の画像が、ほぼ同じ「面」内で、ユーザーインターフェースのシートより上又は下のどちらかのほぼ同じ距離に浮いているように見えることが好ましい。ほぼ同じ面の中にあるというのは、第1の合成画像及び第2の合成画像が正確に同じ面の中にない場合であっても、人間視覚システムがそれらがわずかに異なる面の中にあるという事実を処理できないほど、それらが深度に関して互いに十分に近いという状況を含むことを意味する。また、第1の合成画像及び第2の合成画像は互いに近接していることが好ましい。近接性を判断する際、ユーザーインターフェースの相対的サイズ、並びに浮動画像の数及びサイズ、並びに他の注意を逸らすものの数など、様々な因子を考慮に入れるべきである。好ましい一実施形態では、同じ若しくは類似のタスク又は心的操作に関する2つの浮動画像間の最大距離は、所与のユーザーインターフェースの長さ又は幅の4分の1以内であることが好ましい。しかしながら、当業者は、近接性が、所与のインターフェースに応じて、互いに最も近接しているいずれかの視覚要素によって決定されると考える。いずれにしても、本発明の少なくとも1つの実施形態では、同じ若しくは類似のタスク又は心的操作に関する浮動画像が、同じ面の中で浮いているように見えるか、又はユーザーインターフェースから類似の浮く距離を有し、互いに近接して位置して、ユーザーがそれらを互いに関連付けることができることが好ましい。異なる面の中で提示される浮動画像の場合、それらの異なる面の間の距離は少なくとも1mmであることが好ましいが、それは、ユーザーとインターフェースとの間の距離、及び注意を逸らすものがいくつ存在するかなど、所与のユーザーインターフェースにどのような条件が存在するかに応じて変わる。一実施形態では、ユーザーインターフェースは、三次元画像である第1の合成画像と二次元画像である第2の合成画像とを含むことができる。この実施形態では、第2の合成画像の知覚高さは、三次元の第1の合成画像の高さと同程度であることが好ましい。
【0077】
説明の助けとするため、本発明の一実施形態では、航空機のコックピット内において、エンジン速度及び電気出力の表示器を、航空機の計器パネルの面より下に浮いている浮動画像の形態で表示することができ、高度、対気速度、及び燃料を、航空機の計器パネルの面より上に浮いている浮動画像の形態で表示することができる。エンジン速度及び電気出力は、高度、対気速度、及び燃料に比べて、安全の観点から重要ではない。したがって、安全上より重要な構成成分を有する情報が、ユーザーにとってより容易に確かめられることが求められ、情報を操作者の近傍に配置することによって達成される。結果として、高度、対気速度、及び燃料は、計器パネルの面に対するそれらの相対位置において、ユーザーにとってより容易に確かめられる。そのような情報を操作者に近接して配置することによって。高度、対気速度、及び燃料は全て安全上重要な情報であり、したがって、同じタスク又は心的操作、即ち航空機の安全な飛行に関連する。したがって、3つの浮動画像が全て、航空機の計器パネルより上に同じ距離で浮いているように見えることが好ましい。
【0078】
本発明の別の実施形態では、自動車の場合、エンジンのタコメーターを、計器パネルの面より下に浮いている浮動画像の形態で表示することができ、速度計及び「エンジン確認」灯又は他の警告灯を、計器パネルの面より上に浮いている浮動画像の形態で表示することができる。速度計及び「エンジン確認」灯又は他の警告灯は、操縦者にとって重要度がより高い情報であり、したがって、計器パネルの面に対するその相対位置において、ユーザーがより容易に確かめることができる。もう1つの実施形態では、タコメーター又は他のそのような情報は、車が走行しているほとんどの時間の間、計器パネルの面より下の浮動画像の形で表示することができる。警告を示すべきであるような条件が存在する場合、計器パネルのタコメーター又は他のそのような情報より上にある浮動画像の形態の警告灯は、その選択された条件が生じた場合、操縦者の注意を引くように「突然現れる(pop on)」ことができる。
【0079】
図11〜13は、浮動合成画像が、どのようにして、ユーザーインターフェースの面より上、下、若しくは面の中で浮いているように見える深度又は高さを使用して、観察者がユーザーインターフェースを、この場合は自動車のダッシュボードの計器パネルを視覚的に処理することができる容易さを改善し、速度及び燃料などの計器パネルの2つの要素に観察者の注意を向ける助けとすることができるかを示す。
【0080】
図11は、シート152を含むユーザーインターフェース150の一実施形態を示す。シートは、複数の様々な浮動合成画像154を含む。この図では、ユーザーインターフェース150内の全ての視覚要素は浮動合成画像154bの形態であり、それらは全て同じ面の中に、具体的にはシート152の面の中に浮いている。視覚要素としては、速度計160、燃料162、「エンジン確認」灯164、タコメーター166、方向指示灯168、並びに、ハイビーム、エアバッグ、オイル、バッテリー、冷却液温度、及びエンジン温度などの様々な車両診断170が挙げられる。
【0081】
図12は、浮動合成画像の形態で提示される全ての視覚要素が3つの別個の深度面に編成され、視覚要素の分類が深度面によって区別される、本発明のユーザーインターフェースのもう1つの実施形態を示す。速度160、燃料162、及び「エンジン確認」灯164の視覚要素は、シート152より上に浮いているように見える合成画像154aの形態で前景の深度面の中にある。タコメーター166、方向指示灯168、及び走行距離計172など、即時の運転タスクに関連する視覚要素は、シート152の面の中で浮いているように見える浮動合成画像154bの形態で、ユーザーインターフェース150のシート152の面の中である中間の深度面の中にある。車両診断170などの重要度が低いタスクに関連する視覚要素は、シート152より下に浮いているように見える合成画像154cの形態で背景の深度面の中にある。そのような合成画像154a、154b、及び154cの形態の視覚要素のそのような配置は、運転者のより多くの視覚的注意を速度、燃料、及びエンジン状態の要素に向ける。更に、観察者が各深度面の中の情報のタイプを学習すると、観察者は、探している情報を含む深度面に優先的に注目するので、視覚的探索タスクについてより良好に実行すべきである。この特定の実施形態では、合成画像は、それらが同じ若しくは類似のタスク又は心的操作にどのように関連するかに従って、具体的には情報が運転者にとってどの程度重要かに関連して配置される。また、同じ面の中で浮いていることに加えて、速度160、燃料162、及び「エンジン確認」灯164の浮動画像が、ユーザーインターフェース150の中央に向かってどのように互いに近接して配置されているかに留意されたい。最後に、この特定の実施形態では、燃料の浮動画像162が、「F」、「E」、曲線部分、及びガソリンポンプの記号を含む表示器の4つの浮動画像構成要素でどのように作られているかに留意されたい。4つの部分は全て、燃料レベルを示す同じタスク又は心的操作に全て関連すると見なされ、したがって、全ての部分は、好ましくは、ほぼ同じ距離でユーザーインターフェース150より上に浮いているように見える。
【0082】
図13は、浮動合成画像の形態の視覚要素が全て、3つの別個の深度面の中に編成されているが、視覚要素の分類は深度面によって区別されていない、本発明のユーザーインターフェースのもう1つの実施形態を示す。この場合、いくつかの速度計要素(10、30、50、70、90、110)及びいくつかのタコメーター要素(1、3、5、7)のラベルは、シート152より上に浮いているように見える浮動画像154aの形態である。他の速度計要素(0、20、40、60、80、100、120)及び他のタコメーター要素(0、2、4、6、8)のラベルは、シート152の面より下に浮いているように見える浮動画像154cの形態である。他の速度計要素並びに他のタコメーター要素のゲージ位置及びラベルは、シート152の面の中に浮いているように見える浮動画像154bの形態である。警告灯及び他の車両診断170は3つの面の中に分布される。例えば、「エンジン確認」灯164、燃料計162の「F」及び「E」、冷却液温度計の「C」部分、オイル灯は、シート152の面より上に浮いているように見える浮動画像154aの形態である。別の例として、冷却液計の「H」部分は、シート152の面の中に浮いているように見える浮動画像154bの形態である。別の例として、燃料系162の表示器部分、シートベルト表示器、エアバッグ表示器、及びバッテリー表示器、冷却液レベル、無鉛燃料は、シート152より下に浮いているように見える浮動画像154cの形態である。結果として、観察者は、このユーザーインターフェースを視覚的に処理することが大幅に困難であるはずであることが予想される。視覚的注意は、例えば、速度の数字を、タコメーター166、速度計160、及び燃料162のダイヤル上の表示器の印又はハッチの印と組み合わせるなど、1つの深度面から選択した情報と別の深度面からの情報を組み合わせなければならないことによって減少する。しかしながら、いくつかの視覚要素の少なくとも部分は、例えば、全て自動車の速度という同じタスクに関連するいくつかの速度計要素(10、30、50、70、90、110)のラベルは、同じ面に沿って浮動画像として見えて配置されることに留意されたい。
【0083】
発明者らは、異なる視覚的深度において合成浮動画像の形態で情報を単に付加することによっては、視覚的能力は自動的に改善されないことを発見している。その代わりに、同じタスク又は心的操作に関連する浮動画像は、シートより上又は下のどちらかの同じ面の中に浮いているように見えるはずであることが好ましい。対照的に、同じタスク又は心的操作に関連する画像が、ユーザーインターフェース表示装置の面より上又は下のどちらかの異なる面の中に見える場合、ユーザーが情報を処理することはより難しくなる。図14及び15はこの概念を説明する助けとなる。図14では、ユーザーインターフェース150はシート152を含む。シート152は、毎時マイル数(「mph」)及び毎時キロメートル数(「kph」)の両方の形態で情報を提示する、速度計を構成する複数の浮動画像154を含む。kph機能に関連する浮動画像154aは、シート152より上に浮いているように見える。mph機能に関連する浮動画像154cは、シート152より下に浮いているように見える。速度表示器は、浮動画像154bの形態であり、シート152の面の中に浮いているように見える。mph機能に関連する数字及び曲線並びにハッチマークは全て、シート152より下の同じ面の中に浮いているように見えている。kph機能に関連する数字及び曲線並びにハッチマークは全て、シート152より上の同じ面の中に浮いているように見えている。これは、浮動画像154a、154b、154cがそれぞれ同じタスク又は心的操作に関連する、具体的にはこの場合はkph機能に関連する一例である。浮動画像154cは、同じタスク又は心的操作に関連し、具体的にはこの場合はmph機能に関連する。
【0084】
対照的に、図15は、同じタスク又は心的操作に関連する浮動画像が同じ面の中に浮いているように見えない場合を示す。図15は、mphと関連する数字10、20、40、60、90、及び100に関連する浮動画像154a、mphと関連する曲線及びハッチマークに関連する浮動画像、並びにkphと関連する数字0、40、60、140が全て、シート152より上の同じ面の中に浮いているように見えることを示す。mphと関連する数値0、30、50、70、及び80に関連する浮動画像154c、kphと関連する曲線及びハッチマークに関連する浮動画像、並びにkphと関連する数値20、80、100、120、及び160は全て、シート152より下の同じ面の中に浮いているように見えている。図15に示されるユーザーインターフェースのユーザーは、図14に示されるユーザーインターフェースに比べて、自身の自動車が走行している速度について情報を処理するのがより困難であろう。
【0085】
開示された実施形態の種々の変更及び組み合わせは、当業者には自明であり、及びそれらの変更は、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の範囲内にあるものとする。
【実施例】
【0086】
(実施例1)
シートの面に対して様々な深度又は高さにある合成浮動画像の様々な組み合わせの、16枚の実施例シート(即ち、刺激)を作成した。実施例シートは、参照により本明細書に組み込む、米国特許第6,288,842号(フローチャック(Florczak)ら)に記載されているプロセスに従って準備した。16枚の実施例シートを作成するのに使用したシート材料は、黒色のスコッチライト(Scotchlite)(商標)反射グラフィックフィルムシリーズ680(Reflective Graphic film Series 680)(ミネソタ州セントポール(St. Paul)の3M社(3M Company)から入手可能)であった。このフィルムは、小さなガラスビーズ、即ちマイクロレンズの層と、マイクロレンズの後方に不透明層とを含む。実施例シートに書かれた浮動画像は、シートの面より上に6mm浮いている面と、シートの面より下に6mm沈んでいる面との2つの面の一方の中で見えるように書かれた。画像化シートを裏側から、即ち不透明層の方向から白色光源で照明した場合、浮動画像は黒色の背景上でほぼ白色の画像として見えた。着色刺激を得るため、着色した透明フィルムを、白色光源と、浮動合成画像及び沈んでいる合成画像を含むシートとの間に配置した。
【0087】
各刺激は、図16に示されるように、19列×9行で配置したX及びOから成っていた。刺激それぞれにおけるXは青色又は赤色のどちらかであった。各刺激について、1つのみの青色のOがあった(以下、SBOと呼ぶ)。以下、非固有の目標刺激と呼ぶ刺激のうち8個は、SBOが、刺激中の他の文字と同じ面の中に見えるように書かれるように作成した。非固有の目標刺激のうち4個は、文字が全てシートより下に沈んでいるように見えるように作成し、非固有の刺激の他の4個は、文字がシートより上に浮いているように見えるように作成した。以下、固有の目標刺激と呼ぶ刺激のうち8個は、SBOが他の文字とは反対側の面の中に浮いているように見えて書かれるように作成した。固有の目標刺激のうち4個は、SBOがシートより下に沈んでいるように見え、他の文字がシートより上に浮いているように見えるように作成し、固有の目標刺激の他の4個は、SBOがシートより上に浮いているように見え、他の文字がシートより下に沈んでいるように見えるように作成した。
【0088】
人間視覚探索能力に対する本発明の影響の見積もりは次のように評価した。正常な又は矯正した通常の視力を有する、この実験の目的を知らない8人の人間(被験者)を、刺激が上に配置された背面光表示装置の正面に個別に座らせ、それぞれ、目が背面光表示装置上の刺激から正確に40.6cm(16インチ)離れ、それに垂直になるように、頭部を顎当てによって位置付けるようにした。刺激の提示は各自のペースで行わせた。被験者に、目を開けて、ボタンボックス上のキーを押して各試験を始めるように指示した。各被験者には、刺激のSBOを見つけたらすぐにボタンボックス上の第2のボタンを押すようにタスクを課した。
【0089】
被験者は、適正な実験に先だって2回の練習を完了した。練習は、ランダムに選択された刺激を各被験者に1回表示することから成った。一方の練習について、刺激は固有の目標刺激から選択された。他方の練習について、刺激は非固有の目標刺激から選択された。被験者の半数が、固有の目標刺激の練習を最初に完了し、被験者の他方の半数が、非固有の目標刺激の練習を最初に完了した。実験1は、それぞれ16個の刺激が一度提示される16回の試験から成った。
【0090】
実験の提示順序はランダムに選ばれ、各被験者は異なる提示順序で見た。あらゆる順序による影響の可能性を低減するため、被験者1〜4に対する刺激の提示順序は被験者5〜8に対するものと逆にした。
【0091】
非固有の目標刺激及び固有の目標刺激における被験者がSBOを見つけるための平均視覚探索時間を表1に示す。
【0092】
【表1】

【0093】
固有の目標刺激に対する平均視覚探索時間(1782msec)は、非固有の目標刺激に対するもの(4385msec)よりも短く、p<0.01であった。[p値は、条件における平均間の差が偶然起こった可能性の基準である。結果は、結果が偶然起こった確率が5%未満(即ち、p値が<0.05)の場合に、科学団体によって、信頼性が高いと見なされている。]
【0094】
(実施例2)
各刺激が、図14に示されるような、速度計などの典型的な自動車のダッシュボード要素をモデルにした、単色(白色)の速度計タイプのダイヤルと、白色の表示器(針)とから成ることを除いて、8枚の実施例シート(刺激)を実施例1と同様に準備した。これら8個の刺激を、単一面、層状面、及び混合面の3つの画像提示形式に分割した。単一面条件として特定した一対の刺激について、アートワーク全体を単一面の中に書いた。一方の単一面刺激は、画像(アートワーク)が全てシートの面より下に沈んでいるように見えるように書き、他の単一面刺激は、アートワークが全てシートの面より上に浮いているように見えるように書いた。更に、アートワーク中の数字ラベル及びダイヤルマークを、基準の単位に従って、毎時マイル数のラベル及びそれに関連するダイヤルマーク(以下、「mph機能」と呼ぶ)と、毎時キロメートル数のラベル及びそれに関連するダイヤルマーク(以下、「kph機能」と呼ぶ)との2つの特徴グループに分割した。層状面条件として特定した刺激について、一方の刺激は、図14に示されるユーザーインターフェースと同様に、mph機能がシートの面より上に浮いているように見えるように書かれ、kph機能がシートの面より下に沈んでいるように見えて書かれるように作成した。層状面条件の他方の刺激について、mph機能はシートの面より下に沈んでいるように見えるように書き、kph機能はシートの面より上に浮いているように見えるように書いた。混合面として特定した刺激のグループについて、mph機能及びkph機能の数字のラベル及びダイヤルマークは、図15に示されるユーザーインターフェースと同様に、シートの面より上に浮いている位置と、シートの面より下に沈んでいるように見える位置とのランダムな混合で見えるように書いた。
【0095】
実施例1と同様に、人間視覚探索能力に対する本発明の影響の見積もりは次のように評価した。正常な又は矯正した通常の視力を有する、この実験の目的を知らない実施例1と同じ8人の人間(被験者)を、刺激が上に配置された背面光表示装置の正面に個別に座らせ、それぞれ、目が背面光表示装置上の刺激から正確に40.6cm(16インチ)離れ、それに垂直になるように、頭部を顎当てによって位置付けるようにした。刺激の提示は各自のペースで行わせた。被験者に、目を開けて、ボタンボックス上のキーを押して各試験を始めるように指示した。
【0096】
各試験の開始直前に、各被験者に、kph又はmphどちらかで指示された速度を報告するように指示し、その目盛の位置に関して教えた(例えば、mphで報告する試験の場合、被験者は、mph目盛がkph目盛より上に浮いているか、kph目盛より下に沈んでいるか、kph目盛と同じ面上にあるか、又は2つの面の中で混ざっているかについて知らされ、その場合、kph目盛も面の間で混ざっていた。所与の試験で示される速度はランダムに選んだ。被験者に、目を開けて、ボタンボックス上のキーを押して各試験を始めるように指示した。各被験者には、要求された目盛に示された速度をできるだけ迅速及び正確に口頭で報告するようにタスクを課した。
【0097】
実験は、単一面刺激ブロック、層状面刺激ブロック、及び混合面刺激ブロックの3つのブロックに分割した。各ブロックの提示順序はランダムに選んだ。被験者は各ブロックに先だって2回の練習を完了した。練習の刺激は、そのタイプの実験の刺激からランダムに選んだ。実験の提示順序は、各参加者が異なる提示順序で見るようにランダムに選んだ。あらゆる順序の影響の可能性を低減するため、被験者1〜4に対する刺激の提示順序は被験者5〜8に対するものと逆にした。
【0098】
単一面刺激、層状面刺激、及び混合面刺激に示された速度を報告する平均視覚探索時間を表2に示す。
【0099】
【表2】

【0100】
層状面刺激についての平均反応時間(1486msec)は、単一面刺激についての平均反応時間(1812msec)よりも短く、混合面刺激は最も高い平均刺激時間(3004msec)を有していた。p<0.0001。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロレンズの少なくとも1つの層と、
前記層は、第1の側及び第2の側を有する
前記マイクロレンズの層の前記第1の側に隣接して配置された材料層と、
複数の前記マイクロレンズそれぞれと関連付けられた前記材料内に形成された少なく
とも部分的に完全な画像と
前記画像は、前記材料と対照をなす、
を含むシートと、
肉眼には前記シートより上に第1の距離で浮いているように見える、前記個々の前記画像によって提供される第1の合成画像と、
肉眼には前記シートより上に第2の距離で浮いているように見える、前記個々の前記画像によって提供される第2の合成画像と
を含み、
前記第1の距離及び第2の距離がほぼ同じ距離であり、前記第1の合成画像及び第2の合成画像が同じタスク又は心的操作に関連する、
ユーザーインターフェース。
【請求項2】
前記第1の合成画像及び第2の合成画像が、互いに近接している、請求項1に記載のユーザーインターフェース。
【請求項3】
前記シート内の前記個々の画像によって提供され、肉眼には、前記シートより上に浮いているか、前記シートより下に浮いているか、又は前記シートの面の少なくとも一部の中に浮いているように見える複数の合成画像を、前記ユーザーインターフェースが更に含む、請求項1に記載のユーザーインターフェース。
【請求項4】
前記同じタスク又は心的操作に関連する前記合成画像が、前記シートより上若しくは下でほぼ同じ距離にあり、又は前記シートの面の少なくとも一部の中にある、請求項2に記載のユーザーインターフェース。
【請求項5】
前記合成画像が、反射光の下で、前記シートより上に浮いているように見える、請求項1に記載のユーザーインターフェース。
【請求項6】
前記合成画像が、透過光の中で、前記シートより上に浮いているように見える、請求項1に記載のユーザーインターフェース。
【請求項7】
前記合成画像の少なくとも1つがまた、肉眼には前記シートの面の少なくとも一部の中にあるように見える、請求項1に記載のユーザーインターフェース。
【請求項8】
前記合成画像の少なくとも1つが、前記シートに対して見る位置を変えるにつれて、前記シートに対して動いているように見える、請求項1に記載のユーザーインターフェース。
【請求項9】
前記合成画像の少なくとも1つが、前記シートを見る角度を変えた場合、消え、そして再び現れる、請求項1に記載のユーザーインターフェース。
【請求項10】
前記合成画像の少なくとも1つが、二次元画像である、請求項1に記載のユーザーインターフェース。
【請求項11】
前記第1の合成画像が、選択された条件が生じた場合に、ユーザーに対して見える、請求項1に記載のユーザーインターフェース。
【請求項12】
マイクロレンズの少なくとも1つの層と、
前記層は、第1の側及び第2の側を有する、
前記マイクロレンズの層の前記第1の側に隣接して配置された材料層と、
複数の前記マイクロレンズそれぞれと関連付けられた前記材料内に形成された少なく
とも部分的に完全な画像と、
前記画像は、前記材料と対照をなす、
を含むシートと、
肉眼には前記シートより下に第1の距離で浮いているように見える、個々の前記画像によって提供される第1の合成画像と、
肉眼には前記シートより下に第2の距離で浮いているように見える、個々の前記画像によって提供される第2の合成画像と
を含み、
前記第1の距離及び第2の距離がほぼ同じ距離であり、前記第1の合成画像及び第2の合成画像が同じタスク又は心的操作に関連する、
ユーザーインターフェース。
【請求項13】
前記第1の合成画像及び第2の合成画像が、互いに近接している、請求項12に記載のユーザーインターフェース。
【請求項14】
前記シート内の前記個々の画像によって提供され、肉眼には前記シートより上に浮いているか、前記シートより下に浮いているか、又は前記シートの面の少なくとも一部の中に浮いているように見える複数の合成画像を前記シートが更に含む、請求項12に記載のユーザーインターフェース。
【請求項15】
前記同じタスク又は心的操作に関連する前記合成画像が、前記シートより上若しくは下でほぼ同じ距離にあり、又は前記シートの面の中にある、請求項14に記載のユーザーインターフェース。
【請求項16】
前記合成画像が、反射光の下で、前記シートより下に浮いているように見える、請求項12に記載のユーザーインターフェース。
【請求項17】
前記合成画像が、透過光の中で、前記シートより下に浮いているように見える、請求項12に記載のユーザーインターフェース。
【請求項18】
前記合成画像の少なくとも1つがまた、肉眼には前記シートの面の少なくとも一部の中にあるように見える、請求項12に記載のユーザーインターフェース。
【請求項19】
前記合成画像の少なくとも1つが、前記シートに対して見る位置を変えるにつれて、前記シートに対して動いているように見える、請求項12に記載のユーザーインターフェース。
【請求項20】
前記合成画像の少なくとも1つが、前記シートを見る角度を変えた場合、消え、そして再び現れる、請求項12に記載のユーザーインターフェース。
【請求項21】
前記合成画像の少なくとも1つが、二次元画像である、請求項12に記載のユーザーインターフェース。
【請求項22】
前記第1の合成画像が、選択された条件が生じた場合に、ユーザーに対して見える、請求項12に記載のユーザーインターフェース。
【請求項23】
マイクロレンズのアレイと、
前記マイクロレンズのアレイに隣接した材料層と、
前記材料層と接触している第1のドナー材料と、
前記第1のドナー材料は、複数の前記マイクロレンズそれぞれと関連付けられた前
記材料層上に個々の部分的に完全な画像を形成する
を含むシートと、
肉眼には前記シートより上に第1の距離で浮いているように見える、個々の前記画像によって提供される第1の合成画像と、
肉眼には前記シートより上に第2の距離で浮いているように見える、個々の前記画像によって提供される第2の合成画像と
を含み、
前記第1の距離及び第2の距離がほぼ同じ距離であり、前記第1の合成画像及び第2の合成画像が同じタスク又は心的操作に関連する、
ユーザーインターフェース。
【請求項24】
前記第1の合成画像及び第2の合成画像が、互いに近接している、請求項23に記載のユーザーインターフェース。
【請求項25】
前記シート内の前記個々の画像によって提供され、肉眼には前記シートより上に浮いているか、前記シートより下に浮いているか、又は前記シートの面の中に浮いているように見える複数の合成画像を、前記ユーザーインターフェースが更に含む、請求項23に記載のユーザーインターフェース。
【請求項26】
前記同じタスク又は心的操作に関連する前記合成画像が、前記シートより上若しくは下でほぼ同じ距離にあり、又は前記シートの面の中にある、請求項25に記載のユーザーインターフェース。
【請求項27】
前記合成画像が、反射光の下で、前記シートより上に浮いているように見える、請求項23に記載のユーザーインターフェース。
【請求項28】
前記合成画像が、透過光の中で、前記シートより上に浮いているように見える、請求項23に記載のユーザーインターフェース。
【請求項29】
前記合成画像の少なくとも1つがまた、肉眼には前記シートの面の少なくとも一部の中にあるように見える、請求項23に記載のユーザーインターフェース。
【請求項30】
前記第1のドナー材料が着色剤を含み、そして前記合成画像の少なくとも一部分が前記ドナー材料中の前記着色剤に類似の色を呈する、請求項23に記載のユーザーインターフェース。
【請求項31】
前記合成画像の少なくとも1つが、前記シートに対して見る位置を変えるにつれて、前記シートに対して動いているように見える、請求項23に記載のユーザーインターフェース。
【請求項32】
前記合成画像の少なくとも1つが、前記シートを見る角度を変えた場合、消え、そして再び現れる、請求項23に記載のユーザーインターフェース。
【請求項33】
前記合成画像の少なくとも1つが、二次元画像である、請求項23に記載のユーザーインターフェース。
【請求項34】
前記第1の合成画像が、選択された条件が生じた場合に、ユーザーに対して見える、請求項23に記載のユーザーインターフェース。
【請求項35】
マイクロレンズのアレイと、
前記マイクロレンズのアレイに隣接した材料層と、
前記材料層と接触している第1のドナー材料と、
前記第1のドナー材料は、複数の前記マイクロレンズそれぞれと関連付けられた前
記材料層上に個々の部分的に完全な画像を形成する、
を含むシートと、
肉眼には前記シートより下に第1の距離で浮いているように見える、個々の前記画像によって提供される第1の合成画像と、
肉眼には前記シートより下に第2の距離で浮いているように見える、個々の前記画像によって提供される第2の合成画像と、
を含み、
前記第1の距離及び第2の距離がほぼ同じ距離であり、前記第1の合成画像及び第2の合成画像が同じタスク又は心的操作に関連する、
ユーザーインターフェース。
【請求項36】
前記第1の合成画像及び第2の合成画像が互いに近接している、請求項35に記載のユーザーインターフェース。
【請求項37】
前記シート内の前記個々の画像によって提供され、肉眼には前記シートより上に浮いているか、前記シートより下に浮いているか、又は前記シートの面の中に浮いているように見える複数の合成画像を、前記シートが更に含む、請求項35に記載のユーザーインターフェース。
【請求項38】
前記同じタスク又は心的操作に関連する前記合成画像が、前記シートより上若しくは下でほぼ同じ距離にあり、又は前記シートの面の中にある、請求項37に記載のユーザーインターフェース。
【請求項39】
前記合成画像が、反射光の下で、前記シートより下に浮いているように見える、請求項35に記載のユーザーインターフェース。
【請求項40】
前記合成画像が、透過光の中で、前記シートより下に浮いているように見える、請求項35に記載のユーザーインターフェース。
【請求項41】
前記合成画像の少なくとも1つがまた、肉眼には前記シートの面の少なくとも一部の中にあるように見える、請求項35に記載のユーザーインターフェース。
【請求項42】
前記第1のドナー材料が着色剤を含み、そして前記合成画像の少なくとも一部分が前記ドナー材料中の前記着色剤に類似の色を呈する、請求項35に記載のユーザーインターフェース。
【請求項43】
前記合成画像の少なくとも1つが、前記シートに対して見る位置を変えるにつれて、前記シートに対して動いているように見える、請求項35に記載のユーザーインターフェース。
【請求項44】
前記合成画像の少なくとも1つが、前記シートを見る角度を変えた場合、消え、そして再び現れる、請求項35に記載のユーザーインターフェース。
【請求項45】
前記合成画像の少なくとも1つが、二次元画像である、請求項35に記載のユーザーインターフェース。
【請求項46】
前記第1の合成画像が、選択された条件が生じた場合に、ユーザーに対して見える、請求項35に記載のユーザーインターフェース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6】
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【図6A】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2010−511916(P2010−511916A)
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−540363(P2009−540363)
【出願日】平成19年11月9日(2007.11.9)
【国際出願番号】PCT/US2007/084192
【国際公開番号】WO2008/070401
【国際公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】