浮揚搬送装置
【課題】フィルム状物が蛇行することを防止する。
【解決手段】浮揚搬送装置10は、ワイヤ16,17を並べて配置して、フィルム状物F1を搬送する搬送面15を形成する。ワイヤ16の側部には、上下方向に延びる複数の切欠き16aが、互いに所定の間隔をおいて形成されている。複数の切欠き16aは、四方八方に拡散する無方向にエアを噴出してフィルム状物F1を浮揚させる開口部として機能する。ワイヤ17は、断面視で菱形を呈する。ワイヤ17の側部には、上下方向に延びる複数の切欠き17aが、互いに所定の間隔をおいて形成されている。複数の切欠き17aは、搬送面15の面方向にエアを噴出してフィルム状物F1を浮揚させる開口部として機能する。
【解決手段】浮揚搬送装置10は、ワイヤ16,17を並べて配置して、フィルム状物F1を搬送する搬送面15を形成する。ワイヤ16の側部には、上下方向に延びる複数の切欠き16aが、互いに所定の間隔をおいて形成されている。複数の切欠き16aは、四方八方に拡散する無方向にエアを噴出してフィルム状物F1を浮揚させる開口部として機能する。ワイヤ17は、断面視で菱形を呈する。ワイヤ17の側部には、上下方向に延びる複数の切欠き17aが、互いに所定の間隔をおいて形成されている。複数の切欠き17aは、搬送面15の面方向にエアを噴出してフィルム状物F1を浮揚させる開口部として機能する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムや、金属箔、織物、紙、テープ、粘着テープなどのフィルム状の物体、あるいはガラス板(液晶用ガラス基板など)や金属板の板状物(シリコン基板やプリント基板なども含む)、更には板厚の厚めの物体(以下、これらをまとめて単にフィルム状物という。)を流体によって浮揚させつつ搬送する浮揚搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、フィルム状物をエアなどの流体によって浮揚させつつ搬送する浮揚搬送装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この浮揚搬送装置は、ワイヤ等の線状体を巻き付けることで形成された搬送面を備えている。この搬送面には、流体を噴出する複数の開口部が、線状体同士の間に形成されている。この浮揚搬送装置によれば、開口部から流体が噴出するので、フィルム状物を浮揚させつつ搬送できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08−245028号公報(図1、図14参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、取付機械精度が悪かったりフィルム状物の精度が悪かったりすることを原因としてフィルム状物が蛇行することを防止した浮揚搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明は、断面視で平行四辺形または菱形を呈する線状体を並べて配置して、フィルム状物を搬送する搬送面を形成し、前記搬送面に、流体を噴出して前記フィルム状物を浮揚させる複数の開口部が設けられていることを特徴とする、浮揚搬送装置である。
【0006】
(2)本発明はまた、前記線状体には、側部に複数の切欠きが形成されており、前記切欠きを前記開口部とすることを特徴とする、上記(1)に記載の浮揚搬送装置である。
【0007】
(3)本発明はまた、前記搬送面は、前記フィルム状物の幅方向中央に対して搬送方向に延びる中央領域と、幅方向において前記中央領域の両脇にそれぞれ位置して搬送方向に延びる一対の脇領域と、を有してなり、前記開口部として、前記一対の脇領域にそれぞれ複数設けられて前記中央領域に向けて流体を面方向に噴出する脇開口部を備えることを特徴とする、上記(1)または(2)に記載の浮揚搬送装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の上記(1)〜(3)に記載の浮揚搬送装置によれば、線状体を所望の姿勢で配置して搬送面を形成しておくことで、フィルム状物が蛇行することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(A)は本発明の第1実施形態に係る浮揚搬送装置の外観斜視図であり、(B)は(A)に示す浮揚搬送装置の部分拡大斜視図であり、(C)は(A)に示す搬送面の断面図である。
【図2】ワイヤを架け渡す補強部材の例を示す外観斜視図である。
【図3】(A)は図1に示す搬送面の分解斜視図であり、(B)は当該搬送面の断面図である。
【図4】(A)は図1に示す搬送面の分解斜視図であり、(B)は当該搬送面の断面図である。
【図5】(A)は第1実施形態の一つ目の変形例に係る浮揚搬送装置の部分拡大斜視図であり、(B)は(A)に示す搬送面の断面図である。
【図6】(A)は第1実施形態の二つ目の変形例に係る浮揚搬送装置の部分拡大斜視図であり、(B)は(A)に示す搬送面の断面図である。
【図7】図1に示す浮揚搬送装置の正面図等であり、(A)〜(C)はフィルム状物の定常状態を示し、(D)はフィルム状物が蛇行した状態を示す。
【図8】図1に示す浮揚搬送装置を適用した乾燥システムに係る概略構成図である。
【図9】図1に示す浮揚搬送装置を適用した洗浄システムに係る概略構成図である。
【図10】(A)〜(E)は、本発明の第2〜第6実施形態に係る浮揚搬送装置における搬送面の断面図である。
【図11】(A)は本発明の第7実施形態に係る浮揚搬送装置の外観斜視図であり、(B)は(A)に示す浮揚搬送装置の側面図である。
【図12】(A)および(B)は、本発明の第8および第9実施形態に係る浮揚搬送装置における搬送面の断面図である。
【図13】本発明の第10実施形態に係る浮揚搬送装置の外観斜視図である。
【図14】本発明の第11実施形態に係る浮揚搬送装置の外観斜視図である。
【図15】(A)は本発明の第12実施形態に係る浮揚搬送装置の正面図であり、(B)は(A)に示す浮揚搬送装置の側面図である。
【図16】本発明の第13実施形態に係る浮揚搬送装置の外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の第1〜第13実施形態に係る浮揚搬送装置について詳細に説明する。
【0011】
[第1実施形態]まず、図1〜図6を用いて第1実施形態に係る浮揚搬送装置10の構成について説明する。図1(A)は、浮揚搬送装置10の外観斜視図である。図1(B)は、浮揚搬送装置10の部分拡大斜視図である。図1(C)は、搬送面15の断面図である。図2は、ワイヤ16,17を架け渡す補強部材19の例を示す外観斜視図である。図3(A)は、搬送面15の分解斜視図であり、図3(B)は、当該搬送面15の断面図である。図4(A)は、搬送面15の分解斜視図であり、図4(B)は、当該搬送面15の断面図である。図5(A)は、第1実施形態の一つ目の変形例に係る浮揚搬送装置10の部分拡大斜視図である。図5(B)は、図5(A)に示す搬送面15の断面図である。図6(A)は、第1実施形態の二つ目の変形例に係る浮揚搬送装置10の部分拡大斜視図である。図6(B)は、図6(A)に示す搬送面15の断面図である。なお、各図において、図面の簡略化のため、一部の構成の図示を適宜省略する。
【0012】
図1に示す浮揚搬送装置10は、所定の幅を有する一のフィルム状物F1をエアによって浮揚させつつ搬送する装置であり、走行するフィルム状物F1の途中に配置される。この浮揚搬送装置10は、ブロア装置11で圧縮されたエアの供給を受けて、当該エアをフィルム状物F1に噴き付ける。フィルム状物F1は、エアチャンバ12における幅方向の中心に全体に満たされるように配置される。浮揚搬送装置10は、本体となるエアチャンバ12と、このエアチャンバ12にブロア装置11からのエアを供給する一対の供給管13,14と、を備えている。なお、フィルム状物F1を走行させる駆動源(図示省略)としては、BELLMATIC株式会社(東京都西多摩郡瑞穂町)が市販するサクションローラなどを採用できる。以下、浮揚搬送装置10の各構成について説明する。
【0013】
エアチャンバ12は、断面視でかまぼこ型をなす長尺形を呈する金属製である。ただし、エアチャンバ12は、金属製であることに限定されず、ポリ塩化ビニル製、ポリエチレン製、ポリプロピレン製などであってもよい。これらの場合、後述する第2の用途例のように水溶液中で用いるときに腐食しない。このエアチャンバ12は、両側面に設けられた一対の供給口(図示省略)と、フィルム状物F1を搬送する搬送面15と、を備えている。
【0014】
一対の供給口には、それぞれ、供給管13または14が接続される。エアチャンバ12内には、一対の供給管13,14を通じて一対の供給口から、ブロア装置11で圧縮されたエアが供給される。なお、供給口の一方を蓋などで閉塞して、一方の供給管13または14を通じてエアの供給を受けるようにしてもよい。例えば、供給管13が接続される供給口を蓋などで閉塞して、供給管14を通じてエアの供給を受けるようにしてもよい。
【0015】
搬送面15は、ワイヤ16または17を補強部材19(図2参照)に巻回することで形成される。すなわち、搬送面15を含めたエアチャンバ12の表面は、補強部材19にワイヤ16,17を巻き付けること(並べて配置すること)で形成される。ワイヤ16,17は、SUS(ステンレス)やAl(アルミニウム)等の金属、あるいはプラスチックからなる線状体である。これらワイヤ16,17は、接着剤(図示省略)により、半田により、ロー付により、あるいは、機械的に固定される。
【0016】
補強部材19としては、図2に示すように、複数の通気孔(符号省略)が形成された金属筒が適用できる。複数の通気孔は、ドリルによって穿孔される。これら複数の通気孔の直径は、特に限定されないが、1mm以上20mm以下であることが好ましい。なお、金属筒の形状は、チャンバの形状に応じて適宜変更できる。また、補強部材19の材質は、金属に限定されず、他の材質であってもよい。
【0017】
図3(A)および図3(B)に示すように、ワイヤ16は、断面視で正方形等の矩形を呈する。ワイヤ16の側部には、上下方向(図3(A)および図3(B)における上下方向)に延びる複数の切欠き16aが、互いに所定の間隔をおいて形成されている。これら複数の切欠き16aは、機械加工、エッチング、またはサンドブラスト等によって形成される。詳しくは後述するが、複数の切欠き16aは、面方向に対する直角方向にエアを噴出してフィルム状物F1を浮揚させる開口部として機能する。なお、ワイヤ16の厚みと幅は、特に限定されないが、厚みが0.1mm以上10mm以下であることが好ましく、幅が0.5mm以上100mm以下であることが好ましい。また、各切欠き16aの形状は、特に限定されないが、V字形、U字形、半円形、半円弧形、角形等が挙げられる。
【0018】
図4(A)および図4(B)に示すように、ワイヤ17は、断面視で菱形を呈する。ワイヤ17の側部には、上下方向(図4(A)および図4(B)における上下方向)に延びる複数の切欠き17aが、互いに所定の間隔をおいて形成されている。これら複数の切欠き17aは、機械加工、エッチング、またはサンドブラスト等によって形成される。詳しくは後述するが、複数の切欠き17aは、搬送面15の面方向にエアを噴出してフィルム状物F1を浮揚させる開口部として機能する。なお、ワイヤ17の幅は、特に限定されないが、各辺が0.5mm以上3mm以下となる幅であることが好ましい。そして、複数の切欠き17aの互いの間隔は、特に限定されないが、1mm以上3mm以下であることが好ましい。また、各切欠き17aの形状は、特に限定されないが、V字形、U字形、半円形、半円弧形、角形等が挙げられる。さらに、ワイヤ17の形状は、断面視で菱形であることに限定されず、断面視で平行四辺形であってもよい。
【0019】
再び図1に戻って説明する。搬送面15は、断面視で半円弧形の曲面15aと、この曲面15aに滑らかに連続する一対の平面15bと、からなり、フィルム状物F1と対向する。この搬送面15は、一方(図面における上側)の平面15b、曲面15a、他方(図面における下側)の平面15bの順に流れる方向を、フィルム状物F1の搬送方向とする。すなわち、搬送面15は、搬送方向を、矢印A1からA2の方向に180°転換する。
【0020】
搬送面15は、フィルム状物F1の幅方向中央に対応して搬送方向(A1→A2)に延びる中央領域Pと、幅方向において中央領域Pの両脇にそれぞれ位置して搬送方向に延びる一対の脇領域Q,Rと、を有してなる。
【0021】
中央領域Pの幅は、フィルム状物F1の幅と比較して狭くなるように設定されている。一対の脇領域Q,Rの幅は、互いに同一となるように設定されている。すなわち、一対の脇領域Q,Rの面積は、互いに同一となるように設定されている。中央領域Pおよび一対の脇領域Q,Rを合わせた幅、すなわち、搬送面15の幅は、フィルム状物F1の幅と比較して広くなるように設定されている。
【0022】
各脇領域Q,Rにおける幅方向の中心は、それぞれ、フィルム状物F1の幅方向における端部と略重なるように設定されている。各脇領域Q,Rにおける幅方向の外側、すなわち、搬送面15の外側には、スペース(符号省略)が設けられている。なお、中央領域Pの幅は、フィルム状物F1の幅の50%以上70%以下となるように設定されていることが好ましい。ただし、中央領域Pおよび一対の脇領域Q,Rの幅は、それぞれ、フィルム状物F1の幅などによって適宜設定される。
【0023】
中央領域Pには、複数の切欠き16aが設けられたワイヤ16が巻回され、当該切欠き16aが中央開口部として機能する。ワイヤ16は、搬送方向に沿うように配置される。なお、ワイヤ16に代えて、断面視で丸形のワイヤを、互いの間に一定の隙間を空けて配置して、当該隙間を中央開口部として機能させてもよい。
【0024】
エアチャンバ12に供給されたエアは、複数の切欠き16aを通じて中央領域Pからフィルム状物F1に噴き付けられる。具体的に、複数の切欠き16aを通ったエアは、フィルム状物F1に対する略直交方向で当該フィルム状物F1を押し上げる方向の流れを形成して、フィルム状物F1を押し上げる。中央開口部の開口率は、全ての中央開口部の面積の合計を中央領域Pの面積で除してから100を乗じた値と定義した場合、3%を超えないことが好ましく、1%以下であることがより好ましい。
【0025】
各脇領域Q,Rには、それぞれ、複数の切欠き17aが設けられたワイヤ17が巻回され、当該切欠き17aが脇開口部として機能すると共に、搬送方向に一の列となるように孔部23が設けられている。ワイヤ17は、搬送方向に沿い、且つ、中央領域Pに向けてエアを噴出するように配置される。
【0026】
エアチャンバ12に供給されたエアは、複数の切欠き17aを通じて各脇領域Q,Rからフィルム状物F1に噴き付けられる。具体的に、複数の切欠き17aを通ったエアは、中央領域Pに向けて搬送方向と直交する流れ(図1(B)における矢印B1方向の流れ)を形成して、搬送面15の面方向に噴出する。すなわち、脇領域Qに設けられる脇開口部と、脇領域Rに設けられる脇開口部とは、互いに対向するエアの流れを形成する。脇領域に設けられる脇開口部からのエアの流量と、脇領域Rに設けられる脇領域からのエアの流量とは、互いに略同一となるように設定されている。
【0027】
各孔部23は、脇領域Q,Rにおける幅方向の中心にそれぞれ設けられ、フィルム状物F1の幅方向における端部と略重なるように設定されている。すなわち、一方の脇領域Qに設けられる孔部23は、他方の脇領域Rに設けられる孔部23との間隔が、フィルム状物F1の幅と略同じになるように設定されている。ただし、各孔部23の互いの間隔は、孔部23における幅方向の中心を基準にする場合、フィルム状物F1の幅と比較して、±5mm以内のズレが許容できる。なお、各孔部23は、搬送面15を形成した後に形成するようにしてもよい。
【0028】
これらの各孔部23は、複数の孔27を備えている。これら複数の孔27は、ワイヤ17に対してドリルやレーザーで穿孔することで形成される。複数の孔27は、それぞれが円形を呈し、互いに所定の間隔を空けて設けられている。各孔部27の大きさは、特に限定されないが、それぞれ、面積が0.025πmm2以上25πmm2以下であること、すなわち、π≒3.14であるから、面積が0.0785mm2以上78.5mm2以下であることが好ましい。あるいは、径の最大値が0.1mm以上10mm以下であることが好ましい。
【0029】
エアチャンバ12に供給されたエアは、孔部23を通じて面外方向(図1(B)における矢印B2方向)に噴出して、フィルム状物F1の幅方向における端部に噴き付けられ、フィルム状物F1が幅方向に位置決めされる。
【0030】
なお、本実施形態では、孔部23は、円形を呈する複数の孔27を備えているが、これに限定されず、楕円その他の丸形、あるいは、三角形、四角形などの多角形を呈する複数の小孔(図示省略)を備えるようにしてもよい。この場合、複数の小孔は、プレス打抜き(パンチング)によって形成される。あるいは、孔部23として、スリット(図示省略)を構成するようにしてもよい。
【0031】
また、本実施形態では、孔27は、ワイヤ17に対してドリルで穿孔することで形成されているが、これに限定されず、図5(A)および図5(B)に示すように、ワイヤ17と共に並べられたリボン状の長尺プレート18や断面視で角形のワイヤ(図示省略)に穿孔されていてもよい。あるいは、図6(A)および図6(B)に示すように、複数の孔27からなる孔部23を備えなくてもよい。
【0032】
次に、浮揚搬送装置10におけるフィルム状物F1のセンタリング動作について、図7に基づいて説明する。図7は、浮揚搬送装置10の正面図等であり、(A)〜(C)はフィルム状物F1の定常状態を示し、(D)はフィルム状物F1が蛇行した状態を示す。
【0033】
図7(A)〜図7(C)に示すように、浮揚搬送装置10によって浮揚されつつ搬送されるフィルム状物F1は、定常状態において、幅方向における両端部が、脇領域Q,Rにおける幅方向の中心、すなわち、孔部23に重なるように位置する。各脇領域Q,Rは、それぞれ、そのうちの略50%の領域がフィルム状物F1と重なる。この定常状態において、脇領域Qに設けられた脇開口部からのエアの力は、脇領域Rに設けられた脇開口部からのエアの力との間で均衡が保たれる。各脇領域Q,Rに設けられた孔部23からのエアの力は、定常状態に維持する力としてフィルム状物F1に作用する。
【0034】
一方、図7(D)に示すように、浮揚搬送装置10によって浮揚されつつ搬送されるフィルム状物F1は、何らかの原因により蛇行した状態において、幅方向における両端部が、脇領域Q,Rにおける幅方向の中心からズレるように位置する。各脇領域Q,Rは、それぞれ、そのうちの50%より多い領域、またはそのうちの50%より少ない領域がフィルム状物F1と重なる。例えば、脇領域Qは、そのうちの略80%の領域がフィルム状物F1と重なり、脇領域Rは、そのうちの略20%の領域がフィルム状物F1と重なる。このフィルム状物F1が蛇行した状態において、脇領域Qに設けられた脇開口部からのエアの力は、脇領域Rに設けられた脇開口部からのエアの力との間で均衡が崩れている。
【0035】
フィルム状物F1が脇領域Qの方向に蛇行している場合、脇領域Qに設けられた脇開口部からのエアの力が、脇領域Rに設けられた脇開口部からのエアの力と比較して大きい。脇領域Q,Rに設けられた脇開口部全体としてのエアの力は、脇領域Qから脇領域Rの方向、すなわち、フィルム状物F1が定常状態に復帰する方向に作用する。この力は、フィルム状物F1のズレが大きいほど大きく、定常状態に近いほど小さい。脇領域Qの方向に蛇行していたフィルム状物F1は、定常状態に復帰し、あるいは、さらに脇領域Rの方向に蛇行する。脇領域Q,Rに設けられた脇開口部全体としてのエアの力は、定常状態に近付くにつれて漸次小さくなるので、最終的に定常状態に復帰する。
【0036】
フィルム状物F1が脇領域Rの方向に蛇行している場合、脇領域Rに設けられた脇開口部からのエアの力が、脇領域Qに設けられた脇開口部からのエアの力と比較して大きい。脇領域Q,Rに設けられた脇開口部全体としてのエアの力は、脇領域Rから脇領域Qの方向、すなわち、フィルム状物F1が定常状態に復帰する方向に作用する。脇領域Rの方向に蛇行していたフィルム状物F1は、定常状態に復帰し、あるいは、さらに脇領域Qの方向に蛇行する。脇領域Q,Rに設けられた脇開口部全体としてのエアの力は、定常状態に近付くにつれて漸次小さくなるので、最終的に定常状態に復帰する。
【0037】
各脇領域Q,Rに設けられた孔部23からのエアの力は、定常状態に復帰した後にさらに他方の脇領域Q,Rの方向に蛇行することを防止する力としてフィルム状物F1に作用する。
【0038】
次に、浮揚搬送装置の用途例について説明する。
【0039】
[第1の用途例]まず、浮揚搬送装置の第1の用途例について、図8に基づいて説明する。図8は、浮揚搬送装置10を適用した乾燥システム29に係る概略構成図である。なお、浮揚搬送装置10,31へのエアの供給経路の図示は適宜省略する。
【0040】
図8に示す乾燥システム29は、フィルム状物F1をエアによって浮揚搬送しつつ乾燥させるシステムであり、本発明に係る浮揚搬送装置10,31を適用している。この乾燥システム29は、システムの中核をなす乾燥炉30と、この乾燥炉30内に適宜配置された複数の浮揚搬送装置10と、これら複数の浮揚搬送装置10と共に乾燥炉30内に適宜配置された二つの浮揚搬送装置31と、乾燥炉30からエアを回収し、回収したエアを圧縮してから各浮揚搬送装置10,31に供給するブロア装置11と、このブロア装置11が回収するエアを濾過するフィルタ32と、各浮揚搬送装置10,30に供給されるエアを加熱するヒーター33と、各浮揚搬送装置10,20に供給されるエアの圧力を計測する圧力計34と、を備えている。
【0041】
複数の浮揚搬送装置10は、乾燥炉30内に、上下に平行に、かつ、上下が互い違いとなるようにそれぞれ配置されている。これら複数の浮揚搬送装置10には、フィルム状物F1がS字形を描くように巻き掛けられる。これにより、乾燥炉30の省スペースを実現する。二つの浮揚搬送装置31は、乾燥炉30におけるフィルム状物F1の入口30aまたは出口30bの傍らに、それぞれ配置されている。これら二つの浮揚搬送装置31は、それぞれ、断面視で90°の円弧形を呈する曲面からなる搬送面(符号省略)を備えている。各浮揚搬送装置31には、フィルム状物F1がL字形を描くように巻き掛けられる。各浮揚搬送装置10,31に供給されたエアは、フィルム状物F1に噴き付けられる。
【0042】
[第2の用途例]次に、浮揚搬送装置36の第2の用途例について、図9に基づいて説明する。図9は、浮揚搬送装置10を適用した洗浄システム37に係る概略構成図である。なお、浮揚搬送装置31へのエアの供給経路の図示は適宜省略する。
【0043】
図9に示す洗浄システム37は、フィルム状物F1を、酸性やアルカリ性を示す水溶液などの液体Lによって浮揚搬送しつつ洗浄するシステムであり、本発明に係る浮揚搬送装置36,31を適用している。浮揚搬送装置36は、所定の幅を有する一のフィルム状物F1を液体Lによって浮揚させつつ搬送する装置であり、ポンプ39で圧縮された液体Lの供給を受けて、当該液体Lをフィルム状物F1に噴き付ける。なお、浮揚搬送装置36の基本構成は、浮揚搬送装置10と同様である。
【0044】
洗浄システム37は、システムの中核をなす液槽38と、この液槽38内に適宜配置され、液体に浸された複数の浮揚搬送装置36と、液槽38から液体Lを回収し、回収した液体Lを各浮揚搬送装置36に供給するポンプ39と、液槽38内の液体面上方に適宜配置された二つの浮揚搬送装置31と、液槽38外に適宜配置された二つの浮揚搬送装置31と、各浮揚搬送装置31にエアを供給するブロア装置(図示省略)と、を備えている。
【0045】
複数の浮揚搬送装置36は、液槽38内に、上下に平行に、かつ、上下が互い違いとなるようにそれぞれ配置されている。これら複数の浮揚搬送装置36には、フィルム状物F1がS字形を描くように巻き付けられる。これにより、液槽38の省スペースを実現する。各浮揚搬送装置36に供給された液体Lは、フィルム状物F1に噴き付けられる。
【0046】
液槽38内の二つの浮揚搬送装置31、および液槽38外の二つの浮揚搬送装置31は、液槽38におけるフィルム状物F1の入口38aまたは出口38bの傍らに、それぞれ配置されている。各浮揚搬送装置31には、フィルム状物F1がL字形を描くように巻き付けられる。各浮揚搬送装置31に供給されたエアは、フィルム状物F1に噴き付けられる。
【0047】
このように、浮揚搬送装置10によれば、開口部として機能する切欠き16a,17aが設けられた搬送面15を安価で高精度に形成できる。また、脇領域Q,Rを構成するワイヤ17は、断面視で菱形を呈し、隣接するワイヤ17同士で締め付け合うので、強固な搬送面15が形成できる。これにより、フィルム状物F1が蛇行することが防止される。
【0048】
さらに、孔部23を備えているので、フィルム状物F1のセンタリング性能を向上させられる。具体的には、フィルム状物F1の寸法や材質、あるいは搬送する速度などによって異なるが、フィルム状物F1の幅方向の蛇行量を、従来の10分の1以下である±0.3mm程度に収められる。
【0049】
[第2実施形態]次に、図10(A)を用いて、第2実施形態に係る浮揚搬送装置65の構成について説明する。図10(A)は、浮揚搬送装置65における搬送面67の断面図である。
【0050】
なお、第2実施形態に係る浮揚搬送装置65の特徴部分のみを説明し、第1実施形態に係る浮揚搬送装置10と同様の構成、作用、および効果についての説明は省略する。後述する第3〜第13実施形態についても、特徴部分のみを説明し、他の実施形態と同様の構成、作用、および効果についての説明は、図面に符号を付すなどして省略する。
【0051】
図10(A)に示す浮揚搬送装置65は、互いに異なる所定の幅を有する二つのフィルム状物F1,F2から選択された一のフィルム状物F1またはF2を、エアによって浮揚させつつ搬送する装置である。各フィルム状物F1,F2は、エアチャンバ66における幅方向の中心に配置される。なお、相対的に幅が狭いフィルム状物をF1とし、相対的に幅が広いフィルム状物をF2として説明する。
【0052】
浮揚搬送装置65は、エアチャンバ66などを備えている。エアチャンバ66は、一対の供給口(図示省略)と、フィルム状物F1またはF2を搬送する搬送面67と、を備えている。搬送面67は、フィルム状物F1,F2の幅方向中央に対応して搬送方向(A1→A2)に延びる中央領域Pと、幅方向において中央領域Pの両脇にそれぞれ位置して搬送方向に延びる一対の脇領域Q,Rと、搬送方向に延びて脇領域Qを二つの脇領域Q1,Q2に分ける中間領域Tと、搬送方向に延びて脇領域Rを二つの脇領域R1,R2に分ける中間領域Uと、を有してなる。
【0053】
中央領域Pの幅は、フィルム状物F1の幅と比較して狭くなるように設定されている。一対の脇領域Q1,R1の幅は、互いに同一となるように設定されている。すなわち、一対の脇領域Q1,R1の面積は、互いに同一となるように設定されている。中央領域Pおよび一対の脇領域Q1,R1を合わせた幅は、フィルム状物F1の幅と比較して広くなるように設定されている。
【0054】
一対の中間領域T,Uの幅は、互いに同一となるように設定されている。すなわち、一対の中間領域T,Uの面積は、互いに同一となるように設定されている。中央領域P、一対の脇領域Q1,R1、および一対の中間領域T,Uを合わせた幅は、フィルム状物F2の幅と比較して狭くなるように設定されている。
【0055】
一対の脇領域Q2,R2の幅は、互いに同一となるように設定されている。すなわち、一対の脇領域Q2,R2の面積は、互いに同一となるように設定されている。中央領域P、一対の脇領域Q1,R1、一対の中間領域T,U、および一対の脇領域Q2,R2を合わせた幅、すなわち、搬送面67の幅は、フィルム状物F2の幅と比較して広くなるように設定されている。
【0056】
各脇領域Q1,R1における幅方向の中心は、それぞれ、フィルム状物F1の幅方向における端部と略重なるように設定されている。各脇領域Q2,R2における幅方向の中心は、それぞれ、フィルム状物F2の幅方向における端部と略重なるように設定されている。各脇領域Q2,R2における幅方向の外側、すなわち、搬送面67の外側には、スペース(符号省略)が設けられている。
【0057】
なお、中央領域Pの幅は、フィルム状物F1の幅の50%以上70%以下となるように設定されていることが好ましい。また、中央領域P、一対の脇領域Q1,R1、および一対の中間領域T,Uを合わせた幅は、フィルム状物F2の幅の50%以上70%以下となるように設定されていることが好ましい。ただし、中央領域P、一対の脇領域Q1,R1、一対の中間領域T,U、および一対の脇領域Q2,R2の幅は、それぞれ、フィルム状物F1,F2の幅などによって適宜設定される。
【0058】
中央領域Pには、第1実施形態に係る浮揚搬送装置10と異なり、中央開口部として機能する切欠き16aが設けられていない。すなわち、中央領域Pを形成するワイヤ16には、切欠き16aが形成されていない。ワイヤ16は、搬送方向に沿うように配置される。エアチャンバ66に供給されたエアは、中央領域Pからフィルム状物F1またはF2に噴き付けられることはない。
【0059】
各脇領域Q1,R1には、それぞれ、ワイヤ17が配置されて複数の切欠き17aが設けられ、当該切欠き17aが脇開口部として機能すると共に、搬送方向に一の列となるように孔部23が設けられている。ワイヤ17は、中央領域Pに向けてエアを噴出するように、搬送方向に沿うように配置される。各孔部23は、脇領域Q1,R1における幅方向の中心にそれぞれ設けられ、フィルム状物F1の幅方向における端部と略重なるように設定されている。すなわち、一方の脇領域Q1に設けられる孔部23は、他方の脇領域R1に設けられる孔部23との間隔が、フィルム状物F1の幅と略同じになるように設定されている。ただし、各孔部23の互いの間隔は、孔部23における幅方向の中心を基準にする場合、フィルム状物F1の幅と比較して、±5mm以内のズレが許容できる。
【0060】
エアチャンバ66に供給されたエアは、複数の切欠き17aを通じて中央領域Pに向けて搬送方向と直交する流れを形成して、各脇領域Q1,R1からフィルム状物F1またはF2に噴き付けられると共に、孔部23を通じてフィルム状物F1の幅方向における端部に噴き付けられ、フィルム状物F1が幅方向に位置決めされる。
【0061】
脇領域Q1における脇開口部の開口率は、脇領域Q1における全ての脇開口部の面積の合計を脇領域Q1の面積で除してから100を乗じた値と定義した場合、3%を超えないことが好ましく、1%以下であることがより好ましい。脇領域R1における脇開口部の開口率は、脇領域Q1における脇開口部の開口率と同様に定義した場合、3%を超えないことが好ましく、1%以下であることがより好ましい。
【0062】
各中間領域T,Uには、後述する第4実施形態に係る浮揚搬送装置73と異なり、中間開口部として機能する切欠き16aが設けられていない。すなわち、中間領域T,Uを形成するワイヤ16には、切欠き16aが形成されていない。ワイヤ16は、搬送方向に沿うように配置される。エアチャンバ66に供給されたエアは、各中間領域T,Uからフィルム状物F2に噴き付けられることはない。
【0063】
各脇領域Q2,R2には、それぞれ、ワイヤ17が配置されて複数の切欠き17aが設けられ、当該切欠き17aが脇開口部として機能すると共に、搬送方向に一の列となるように孔部23が設けられている。ワイヤ17は、中央領域Pに向けてエアを噴出するように、搬送方向に沿うように配置される。各孔部23は、脇領域Q2,R2における幅方向の中心にそれぞれ設けられ、フィルム状物F2の幅方向における端部と略重なるように設定されている。すなわち、一方の脇領域Q2に設けられる孔部23は、他方の脇領域R2に設けられる孔部23との間隔が、フィルム状物F2の幅と略同じになるように設定されている。ただし、各孔部23の互いの間隔は、孔部23における幅方向の中心を基準にする場合、フィルム状物F2の幅と比較して、±5mm以内のズレが許容できる。
【0064】
エアチャンバ66に供給されたエアは、複数の切欠き17aを通じて中央領域Pに向けて搬送方向と直交する流れを形成して、各脇領域Q2,R2からフィルム状物F2に噴き付けられると共に、孔部23を通じてフィルム状物F2の幅方向における端部に噴き付けられ、フィルム状物F2が幅方向に位置決められる。
【0065】
脇領域Q2,R2における脇開口部の開口率は、それぞれ、脇領域Q1における脇開口部の開口率と同様に定義した場合、3%を超えないことが好ましく、1%以下であることがより好ましい。
【0066】
なお、浮揚搬送装置65におけるフィルム状物F1,F2のセンタリング動作は、第1実施形態に係る浮揚搬送装置10におけるフィルム状物F1のセンタリング動作に準ずる。
【0067】
フィルム状物F2を浮揚させつつ搬送する場合、何らかの原因によりフィルム状物F2が蛇行したときであっても、脇領域Q1に設けられた脇開口部からのエアの力は、脇領域R1に設けられた脇開口部からのエアの力との間で均衡が保たれている。すなわち、各脇領域Q1,R1に設けられた脇開口部からのエアがフィルム状物F2に影響を及ぼすことはない。
【0068】
[第3実施形態]次に、図10(B)を用いて、第3実施形態に係る浮揚搬送装置69の構成について説明する。図10(B)は、浮揚搬送装置69における搬送面71の断面図である。
【0069】
図10(B)に示す浮揚搬送装置69は、二つのフィルム状物F1,F2から選択された一のフィルム状物F1またはF2を、エアによって浮揚させつつ搬送する装置である。この浮揚搬送装置69は、エアチャンバ70などを備えている。エアチャンバ70は、一対の供給口(図示省略)と、搬送面71と、を備えている。搬送面71は、中央領域Pと、一対の脇領域Q,Rと、を有してなる。
【0070】
中央領域Pおよび一対の脇領域Q,Rを合わせた幅、すなわち、搬送面71の幅は、フィルム状物F2の幅と比較して広くなるように設定されている。
【0071】
中央領域Pには、第2実施形態に係る浮揚搬送装置65と同様、中央開口部として機能する切欠き16aが設けられていない。すなわち、中央領域Pを形成するワイヤ16には、切欠き16aが形成されていない。ワイヤ16は、搬送方向に沿うように配置される。
【0072】
各脇領域Q,Rには、それぞれ、ワイヤ17が配置されて複数の切欠き17aが設けられ、当該切欠き17aが脇開口部として機能すると共に、搬送方向に二の列となるように孔部23が設けられている。ワイヤ17は、中央領域Pに向けてエアを噴出するように、搬送方向に沿うように配置される。幅方向における内側の各孔部23は、脇領域Q,Rにおける幅方向の内側にそれぞれ設けられ、フィルム状物F1の幅方向における端部と略重なるように設定されている。幅方向における外側の各孔部23は、脇領域Q,Rにおける幅方向の外側にそれぞれ設けられ、フィルム状物F2の幅方向における端部と略重なるように設定されている。
【0073】
なお、浮揚搬送装置69におけるフィルム状物F1,F2のセンタリング動作は、第2実施形態に係る浮揚搬送装置65におけるフィルム状物F1,F2のセンタリング動作に準ずる。
【0074】
[第4実施形態]次に、図10(C)を用いて、第4実施形態に係る浮揚搬送装置73の構成について説明する。図10(C)は、浮揚搬送装置73における搬送面63の断面図である。
【0075】
図10(C)に示す浮揚搬送装置73は、二つのフィルム状物F1,F2から選択された一のフィルム状物F1またはF2を、エアによって浮揚させつつ搬送する装置である。この浮揚搬送装置73は、エアチャンバ74などを備えている。エアチャンバ74は、一対の供給口(図示省略)と、搬送面63と、を備えている。搬送面63は、中央領域Pと、一対の脇領域Q1,R1と、一対の中間領域T,Uと、一対の脇領域Q2,R2と、を有してなる。
【0076】
各脇領域Q1,R1における幅方向の中心は、それぞれ、フィルム状物F1の幅方向における端部と略重なるように設定されている。各脇領域Q2,R2における幅方向の中心は、それぞれ、フィルム状物F2の幅方向における端部と略重なるように設定されている。
【0077】
中央領域Pには、ワイヤ16が配置されて複数の切欠き16aが設けられ、当該切欠き16aが中央開口部として機能する。ワイヤ16は、搬送方向に沿うように配置される。エアチャンバ74に供給されたエアは、中央領域Pからフィルム状物F1またはF2に噴き付けられる。
【0078】
各脇領域Q1,R1には、それぞれ、ワイヤ17が配置されて複数の切欠き17aが設けられ、当該切欠き17aが脇開口部として機能すると共に、搬送方向に一の列となるように孔部23が設けられている。ワイヤ17は、中央領域Pに向けてエアを噴出するように、搬送方向に沿うように配置される。各孔部23は、脇領域Q1,R1における幅方向の中心にそれぞれ設けられ、フィルム状物F1の幅方向における端部と略重なるように設定されている。
【0079】
各中間領域T,Uには、それぞれ、ワイヤ16が配置されて複数の切欠き16aが設けられ、当該切欠き16aが中間開口部として機能する。ワイヤ16は、搬送方向に沿うように配置される。エアチャンバ74に供給されたエアは、複数の切欠き16aを通じて、各中間領域T,Uからフィルム状物F2に噴き付けられる。
【0080】
中間領域Tにおける中間開口部の開口率は、中間領域Tにおける全ての中間開口部の面積の合計を中間領域Tの面積で除してから100を乗じた値と定義した場合、3%を超えないことが好ましく、1%以下であることがより好ましい。中間領域Uにおける中間開口部の開口率は、中間領域Tにおける中間開口部の開口率と同様に定義した場合、3%を超えないことが好ましく、1%以下であることがより好ましい。
【0081】
各脇領域Q2,R2には、それぞれ、ワイヤ17が配置されて複数の切欠き17aが設けられ、当該切欠き17aが脇開口部として機能すると共に、搬送方向に一の列となるように孔部23が設けられている。ワイヤ17は、中央領域Pに向けてエアを噴出するように、搬送方向に沿うように配置される。各孔部23は、脇領域Q2,R2における幅方向の中心にそれぞれ設けられ、フィルム状物F2の幅方向における端部と略重なるように設定されている。
【0082】
なお、浮揚搬送装置73におけるフィルム状物F1,F2のセンタリング動作は、第2実施形態に係る浮揚搬送装置65におけるフィルム状物F1,F2のセンタリング動作に準ずる。
【0083】
フィルム状物F1を浮揚させつつ搬送する場合、各中間領域T,Uに設けられた中間開口部からのエアは、各脇領域Q2,R2に設けられた脇開口部からのエアをフィルム状物F1から遮蔽する。これにより、各脇領域Q2,R2に設けられた脇開口部からのエアがフィルム状物F1に作用することを防止する。
【0084】
[第5実施形態]次に、図10(D)を用いて、第5実施形態に係る浮揚搬送装置89の構成について説明する。図10(D)は、浮揚搬送装置89における搬送面91の断面図である。
【0085】
図10(D)に示す浮揚搬送装置89は、一のフィルム状物F1をエアによって浮揚させつつ搬送する装置である。この浮揚搬送装置89は、エアチャンバ90などを備えている。エアチャンバ90は、一対の供給口(図示省略)と、搬送面91と、を備えている。搬送面91は、中央領域Pと、一対の脇領域Q,Rと、を有してなる。
【0086】
中央領域Pには、第3実施形態に係る浮揚搬送装置69と同様、中央開口部として機能する切欠き16aが設けられていない。すなわち、中央領域Pを形成するワイヤ16には、切欠き16aが形成されていない。ワイヤ16は、搬送方向に沿うように配置される。
【0087】
各脇領域Q,Rには、それぞれ、ワイヤ17が配置されて複数の切欠き17aが設けられ、当該切欠き17aが脇開口部として機能すると共に、搬送方向に一の列となるよう孔部23が設けられている。ワイヤ17は、中央領域Pに向けてエアを噴出するように、搬送方向に沿うように配置される。各孔部23は、脇領域Q,Rにおける幅方向の中心に設けられ、フィルム状物F1の幅方向における端部と略重なるように設定されている。
【0088】
なお、浮揚搬送装置89におけるフィルム状物F1のセンタリング動作は、第3実施形態に係る浮揚搬送装置69におけるフィルム状物F2のセンタリング動作に準ずる。
【0089】
[第6実施形態]次に、図10(E)を用いて、第6実施形態に係る浮揚搬送装置174の構成について説明する。図10(E)は、浮揚搬送装置174における搬送面176の断面図である。
【0090】
図10(E)に示す浮揚搬送装置174は、選択された一のフィルム状物F1またはF2を、エアによって浮揚させつつ搬送する装置であり、各フィルム状物F1,F2は、エアチャンバ175における幅方向の一端を基準に配置される。この浮揚搬送装置174は、グラビア印刷等に用いられる。浮揚搬送装置174は、エアチャンバ175などを備えている。
【0091】
エアチャンバ175は、一対の供給口(図示省略)と、フィルム状物F1またはF2を搬送する搬送面176と、を備えている。搬送面176は、中央領域Pと、一対の脇領域Q1,Rと、中間領域Tと、脇領域Q2と、を有してなる。
【0092】
脇領域Q1における幅方向の中心は、脇領域Rにおける幅方向の中心と共に、フィルム状物F1の幅方向における端部と重なるように設定されている。脇領域Q2における幅方向の中心は、脇領域Rにおける幅方向の中心と共に、フィルム状物F2の幅方向における端部と重なるように設定されている。
【0093】
中央領域Pには、第2実施形態に係る浮揚搬送装置65と同様、中央開口部として機能する切欠き16aが設けられていない。すなわち、中央領域Pを形成するワイヤ16には、切欠き16aが形成されていない。ワイヤ16は、搬送方向に沿うように配置される。
【0094】
各脇領域Q1,Rには、それぞれ、ワイヤ17が配置されて複数の切欠き17aが設けられ、当該切欠き17aが脇開口部として機能すると共に、搬送方向に一の列となるように孔部23が設けられている。各孔部23は、脇領域Q1,Rにおける幅方向の中心にそれぞれ設けられ、フィルム状物F1の幅方向における端部と略重なるように設定されている。
【0095】
中間領域Tには、第2実施形態に係る浮揚搬送装置65と同様、中間開口部として機能する切欠き16aが設けられていない。すなわち、中間領域Tを形成するワイヤ16には、切欠き16aが形成されていない。ワイヤ16は、搬送方向に沿うように配置される。
【0096】
脇領域Q2には、ワイヤ17が配置されて複数の切欠き17aが設けられ、当該切欠き17aが脇開口部として機能すると共に、搬送方向に一の列となるように孔部23が設けられている。孔部23は、脇領域Q2における幅方向の中心に設けられ、脇領域Rにおける孔部23と共に、フィルム状物F2の幅方向における端部と略重なるように設定されている。
【0097】
なお、浮揚搬送装置174におけるフィルム状物F1,F2のセンタリング動作は、第2実施形態に係る浮揚搬送装置65におけるフィルム状物F1,F2のセンタリング動作に準ずる。
【0098】
[第7実施形態]次に、図11を用いて、第7実施形態に係る浮揚搬送装置76の構成について説明する。図11(A)は、浮揚搬送装置76の外観斜視図である。図11(B)は、浮揚搬送装置76の側面図である。
【0099】
図11(A)および図11(B)に示す浮揚搬送装置76は、一のフィルム状物F1をエアによって浮揚させつつ搬送する装置である。この浮揚搬送装置76は、本体となる第1エアチャンバ77と、この第1エアチャンバ78と対をなす第2エアチャンバ78と、第1エアチャンバ77にブロア装置11からのエアを供給する一対の供給管13,14と、第2エアチャンバ78にブロア装置11からのエアを供給する供給管79と、を備えている。
【0100】
第1エアチャンバ77は、断面視で凸となる略底浅茶碗形を呈する。この第1エアチャンバ77は、一対の供給口(図示省略)と、搬送面80と、を備えている。
【0101】
搬送面80は、断面視で凸となる円弧形の曲面80aと、この曲面80aに滑らかに連続する一対の平面80bと、からなり、フィルム状物F1と対向する。この搬送面80は、一方(図面における右側)の平面80b、曲面80a、他方(図面における左側)の平面80bの順に流れる方向を、フィルム状物F1の搬送方向とする。すなわち、搬送面80は、搬送方向を、矢印A1からA2の方向に約120°転換する。
【0102】
搬送面80は、中央領域Pと、一対の脇領域Q,Rと、を有してなる。
【0103】
中央領域Pには、第4実施形態に係る浮揚搬送装置69と同様、中央開口部として機能する切欠き16aが設けられていない。すなわち、中央領域Pを形成するワイヤ16には、切欠き16aが形成されていない。ワイヤ16は、搬送方向に沿うように配置される。
【0104】
各脇領域Q,Rには、それぞれ、ワイヤ17が配置されて複数の切欠き17aが設けられ、当該切欠き17aが脇開口部として機能すると共に、搬送方向に一の列となるように孔部23が設けられている。ワイヤ17は、中央領域Pに向けてエアを噴出するように、搬送方向に沿うように配置される。各孔部23は、脇領域Q,Rにおける幅方向の中心にそれぞれ設けられ、フィルム状物F1の幅方向における端部と略重なるように設定されている。
【0105】
第2エアチャンバ78は、断面視で凹となる略底浅茶碗形を呈する。この第2エアチャンバ78は、上面に設けられた供給口(図示省略)と、搬送面81と、を備えている。
【0106】
搬送面81は、断面視で凹となる円弧形の曲面81aと、この曲面81aに滑らかに連続する一対の平面81bと、からなる。この第2エアチャンバ78の搬送面81は、第1エアチャンバ77の搬送面80と対向して、その搬送面80と共に、フィルム状物F1が通る隙間を形成する。搬送面81は、一方(図面における右側)の平面81b、曲面81a、他方(図面における左側)の平面81bの順に流れる方向を、フィルム状物F1の搬送方向とする。
【0107】
搬送面81は、中央領域Pと、一対の脇領域Q,Rと、を有してなる。
【0108】
中央領域Pには、第3実施形態に係る浮揚搬送装置69と同様、中央開口部として機能する切欠き16aが設けられていない。すなわち、中央領域Pを形成するワイヤ16には、切欠き16aが形成されていない。ワイヤ16は、搬送方向に沿うように配置される。
【0109】
各脇領域Q,Rには、それぞれ、ワイヤ17が配置されて複数の切欠き17aが設けられ、当該切欠き17aが脇開口部として機能すると共に、搬送方向に一の列となるように孔部23が設けられている。ワイヤ17は、中央領域Pに向けてエアを噴出するように、搬送方向に沿うように配置される。各孔部23は、脇領域Q,Rにおける幅方向の中心にそれぞれ設けられ、フィルム状物F1の幅方向における端部と略重なるように設定されている。すなわち、第2エアチャンバ78の各孔部23は、第1エアチャンバ77の孔部23と対向するように設けられている。
【0110】
なお、浮揚搬送装置76におけるフィルム状物F1のセンタリング動作は、第3実施形態に係る浮揚搬送装置69におけるフィルム状物F1のセンタリング動作に準ずる。
【0111】
[第8実施形態]次に、図12(A)を用いて、第8実施形態に係る浮揚搬送装置83の構成について説明する。図12(A)は、浮揚搬送装置83における搬送面86,87の断面図である。
【0112】
図12(A)に示す浮揚搬送装置83は、二つのフィルム状物F1,F2から選択された一のフィルム状物F1またはF2を、エアによって浮揚させつつ搬送する装置である。この浮揚搬送装置83は、第1エアチャンバ84と、第2エアチャンバ85と、などを備えている。第1エアチャンバ84は、一対の供給口(図示省略)と、搬送面86と、を備えている。搬送面86は、凸となる曲面と一対の平面(いずれも図示省略)とからなり、フィルム状物F1またはF2と対向する。この搬送面86は、中央領域Pと、一対の脇領域Q1,R1と、一対の中間領域T,Uと、一対の脇領域Q2,R2と、を有してなる。
【0113】
中間領域Pには、ワイヤ16が配置されて複数の切欠き16aが設けられ、当該切欠き16aが中央開口部として機能する。ワイヤ16は、搬送方向に沿うように配置される。各脇領域Q1,R1には、それぞれ、ワイヤ17が配置されて複数の切欠き17aが設けられ、当該切欠き17aが脇開口部として機能すると共に、搬送方向に一の列となるように孔部23が設けられている。ワイヤ17は、中央領域Pに向けてエアを噴出するように、搬送方向に沿うように配置される。
【0114】
各中間領域T,Uには、それぞれ、ワイヤ16が配置されて複数の切欠き16aが設けられ、当該切欠き16aが中間開口部として機能する。ワイヤ16は、搬送方向に沿うように配置される。各脇領域Q2,R2には、それぞれ、ワイヤ17が配置されて複数の切欠き17aが設けられ、当該切欠き17aが脇開口部として機能すると共に、搬送方向に一の列となるように孔部23が設けられている。ワイヤ17は、中央領域Pに向けてエアを噴出するように、搬送方向に沿うように配置される。
【0115】
第2エアチャンバ85は、供給口(図示省略)と、搬送面87と、を備えている。搬送面87は、凹となる曲面と一対の平面(いずれも図示省略)とからなる。この第2エアチャンバ85の搬送面87は、第1エアチャンバ84の搬送面86と対向して、その搬送面86と共に、フィルム状物F1またはF2が通る隙間を形成する。搬送面87は、中央領域Pと、一対の脇領域Q1,R1と、一対の中間領域T,Uと、一対の脇領域Q2,R2と、を有してなる。
【0116】
中間領域Pには、ワイヤ16が配置されて複数の切欠き16aが設けられ、当該切欠き16aが中央開口部として機能する。ワイヤ16は、搬送方向に沿うように配置される。各脇領域Q1,R1には、それぞれ、ワイヤ17が配置されて複数の切欠き17aが設けられ、当該切欠き17aが脇開口部として機能すると共に、搬送方向に一の列となるように孔部23が設けられている。ワイヤ17は、中央領域Pに向けてエアを噴出するように、搬送方向に沿うように配置される。
【0117】
各中間領域T,Uには、それぞれ、ワイヤ16が配置されて複数の切欠き16aが設けられ、当該切欠き16aが中間開口部として機能する。ワイヤ16は、搬送方向に沿うように配置される。各脇領域Q2,R2には、それぞれ、ワイヤ17が配置されて複数の切欠き17aが設けられ、当該切欠き17aが脇開口部として機能すると共に、搬送方向に一の列となるように孔部23が設けられている。ワイヤ17は、中央領域Pに向けてエアを噴出するように、搬送方向に沿うように配置される。
【0118】
なお、浮揚搬送装置83におけるフィルム状物F1,F2のセンタリング動作は、第4実施形態に係る浮揚搬送装置73におけるフィルム状物F1,F2のセンタリング動作に準ずる。
【0119】
[第9実施形態]次に、図12(B)を用いて、第9実施形態に係る浮揚搬送装置104の構成について説明する。図12(B)は、浮揚搬送装置104における搬送面107,108の断面図である。
【0120】
図12(B)に示す浮揚搬送装置104は、一のフィルム状物F1をエアによって浮揚させつつ搬送する装置である。この浮揚搬送装置104は、第1エアチャンバ105と、第2エアチャンバ106と、などを備えている。第1エアチャンバ105は、一対の供給口(図示省略)と、搬送面107と、を備えている。搬送面107は、凸となる曲面と一対の平面(いずれも図示省略)とからなり、フィルム状物F1と対向する。この搬送面107は、中央領域Pと、一対の脇領域Q,Rと、を有してなる。
【0121】
中間領域Pには、ワイヤ16が配置されて複数の切欠き16aが設けられ、当該切欠き16aが中央開口部として機能する。ワイヤ16は、搬送方向に沿うように配置される。各脇領域Q,Rには、それぞれ、ワイヤ17が配置されて複数の切欠き17aが設けられ、当該切欠き17aが脇開口部として機能すると共に、搬送方向に一の列となるように孔部23が設けられている。ワイヤ17は、中央領域Pに向けてエアを噴出するように、搬送方向に沿うように配置される。各孔部23は、脇領域Q,Rにおける幅方向の中心にそれぞれ設けられ、フィルム状物F1の幅方向における端部と略重なるように設定されている。
【0122】
第2エアチャンバ106は、一対の供給口(図示省略)と、搬送面108と、を備えている。搬送面108は、凹となる曲面と一対の平面(いずれも図示省略)とからなる。この第2エアチャンバ106の搬送面108は、第1エアチャンバ105の搬送面107と対向して、その搬送面107と共に、フィルム状物F1が通る隙間を形成する。搬送面108は、中央領域Pと、一対の脇領域Q,Rと、を有してなる。
【0123】
中間領域Pには、ワイヤ16が配置されて複数の切欠き16aが設けられ、当該切欠き16aが中央開口部として機能する。ワイヤ16は、搬送方向に沿うように配置される。各脇領域Q,Rには、それぞれ、ワイヤ17が配置されて複数の切欠き17aが設けられ、当該切欠き17aが脇開口部として機能すると共に、搬送方向に一の列となるように孔部23が設けられている。ワイヤ17は、中央領域Pに向けてエアを噴出するように、搬送方向に沿うように配置される。各孔部23は、脇領域Q,Rにおける幅方向の中心にそれぞれ設けられ、フィルム状物F1の幅方向における端部と略重なるように設定されている。
【0124】
なお、浮揚搬送装置104におけるフィルム状物F1のセンタリング動作は、第7実施形態に係る浮揚搬送装置76におけるフィルム状物F1のセンタリング動作に準ずる。
【0125】
[第10実施形態]次に、図13を用いて、第10実施形態に係る浮揚搬送装置109の構成について説明する。図13は、浮揚搬送装置109の外観斜視図である。
【0126】
図13に示す浮揚搬送装置109は、螺旋状に巻き付けた一のフィルム状物F1をエアによって浮揚させつつ搬送する装置であり、ブロア装置110,111で圧縮されたエアの供給を受けて、当該エアをフィルム状物F1に噴き付ける。
【0127】
この浮揚搬送装置109は、本体となる一対の第1エアチャンバ112と、これら一対の第1エアチャンバ112と共に本体となる一対の第2エアチャンバ113と、一対の第1エアチャンバ112にブロア装置110からのエアを供給する二対の供給管13,14と、一対の第2エアチャンバ113にブロア装置111からのエアを供給する二つの供給管114と、を備えている。
【0128】
第1エアチャンバ112は、一対の供給口(図示省略)と、搬送面115と、を備えている。搬送面115は、曲面115aと一対の平面115bとからなり、フィルム状物F1と対向する。
【0129】
搬送面115は、曲面領域Vを有してなる。この曲面領域Vには、ワイヤ16が配置されて複数の切欠き16aが設けられ、当該切欠き16aが曲面開口部として機能すると共に、搬送方向に対の列となるように孔部23が幅方向に繰り返して設けられている。ワイヤ16は、搬送方向に沿うように配置される。第1エアチャンバ112に供給されたエアは、複数の切欠き16aを通じて無方向の流れを形成して、曲面領域Vからフィルム状物F1に噴き付けられる。
【0130】
第2エアチャンバ113は、側面に設けられた供給口(図示省略)と、搬送面116と、を備えている。搬送面116は、平行四辺形(略長方形)の平面116aからなり、フィルム状物F1と対向する。平面116aは、中央領域Pと、一対の脇領域Q,Rと、を一つのセットとして、当該セットを幅方向に繰り返して有する。本実施形態では、五つのセットを繰り返す。各中央領域Pおよび各脇領域Q,Rは、それぞれ、平行四辺形(略長方形)を呈する。
【0131】
各中央領域Pには、ワイヤ16が配置されて複数の切欠き16aが設けられ、当該切欠き16aが中央開口部として機能する。ワイヤ16は、搬送方向に沿うように配置される。各脇領域Q,Rには、それぞれ、ワイヤ17が配置されて複数の切欠き17aが設けられ、当該切欠き17aが脇開口部として機能すると共に、搬送方向に一の列となるように孔部23が設けられている。ワイヤ17は、中央領域Pに向けてエアを噴出するように、搬送方向に沿うように配置される。
【0132】
一対の第1エアチャンバ112と、一対の第2エアチャンバ113とは、各第1エアチャンバ112の平面115bと、各第2エアチャンバ113の平面116aと、が連続し、すなわち、各第1エアチャンバ112の搬送面115と、各第2エアチャンバ113の搬送面116と、が連続して周面をなすように配置される。これにより、中央領域Pを基準としてフィルム状物F1を螺旋状に巻き付けることが可能となる。
【0133】
なお、浮揚搬送装置109におけるフィルム状物F1のセンタリング動作は、第1実施形態に係る浮揚搬送装置10におけるフィルム状物F1のセンタリング動作に準ずる。
【0134】
[第11実施形態]次に、図14を用いて、第11実施形態に係る浮揚搬送装置160の構成について説明する。図14は、浮揚搬送装置160の外観斜視図である。
【0135】
図14に示す浮揚搬送装置160は、螺旋状に巻き付けた一のフィルム状物F1をエアによって浮揚させつつ搬送する装置である。この浮揚搬送装置160は、本体となる一対の第1エアチャンバ157と、これら一対の第1エアチャンバ157と共に本体となる一対の第2エアチャンバ121と、二対の供給管13,14と、二つの供給管114と、を備えている。
【0136】
第1エアチャンバ157は、一対の供給口(図示省略)と、搬送面158と、を備えている。搬送面158は、曲面158aと一対の平面158bとからなり、フィルム状物F1と対向する。搬送面158は、中央領域Pと、一対の脇領域Q,Rと、を一つのセットとして、当該セットを幅方向に繰り返して有する。各中央領域Pおよび各脇領域Q,Rは、それぞれ、平面展開視で平行四辺形(略長方形)を呈する。
【0137】
各中央領域Pには、ワイヤ16が配置されて複数の切欠き16aが設けられ、当該切欠き16aが中央開口部として機能する。ワイヤ16は、搬送方向に沿うように配置される。各脇領域Q,Rには、それぞれ、ワイヤ17が配置されて複数の切欠き17aが設けられ、当該切欠き17aが脇開口部として機能すると共に、搬送方向に一の列となるように孔部23が設けられている。ワイヤ17は、中央領域Pに向けてエアを噴出するように、搬送方向に沿うように配置される。
【0138】
第2エアチャンバ121は、側面に設けられた供給口(図示省略)と、搬送面122と、を備えている。搬送面122は、平面122aからなり、フィルム状物F1と対向する。
【0139】
平面122aは、平面領域Wを有してなる。この平面領域Wには、ワイヤ16が配置されて複数の切欠き16aが設けられ、当該切欠き16aが平面開口部として機能すると共に、搬送方向に対の列となるように孔部23が幅方向に繰り返して設けられている。ワイヤ16は、搬送方向に沿うように配置される。第2エアチャンバ121に供給されたエアは、複数の切欠き16aを通じて無方向の流れを形成して、平面領域Wからフィルム状物F1に噴き付けられる。
【0140】
一対の第1エアチャンバ157と、一対の第2エアチャンバ121とは、各第1エアチャンバ157の平面158bと、各第2エアチャンバ121の平面122aと、が連続し、すなわち、各第1エアチャンバ157の搬送面158と、各第2エアチャンバ121の搬送面122と、が連続して周面をなすように配置される。これにより、中央領域Pを基準としてフィルム状物F1を螺旋状に巻き付けることが可能となる。
【0141】
なお、浮揚搬送装置160におけるフィルム状物F1のセンタリング動作は、第10実施形態に係る浮揚搬送装置109におけるフィルム状物F1のセンタリング動作に準ずる。本実施形態の浮揚搬送装置160は、一対の第2エアチャンバ121を備えているが、これら一対の第2エアチャンバ121を備えないようにしてもよい。
【0142】
[第12実施形態]次に、図15を用いて、第12実施形態に係る浮揚搬送装置125の構成について説明する。図15(A)は、浮揚搬送装置125の正面図である。図15(B)は、浮揚搬送装置125の側面図である。
【0143】
図15(A)および図15(B)に示す浮揚搬送装置125は、一のフィルム状物F1をエアによって浮揚させつつ搬送する装置である。この浮揚搬送装置125は、本体となるエアチャンバ126と、このエアチャンバ126にブロア装置11からのエアを供給する供給管127と、を備えている。
【0144】
エアチャンバ126は、直方体の形を呈する。このエアチャンバ126は、供給口(図示省略)と、搬送面128と、を備えている。供給口には、供給管127が接続される。エアチャンバ126内には、供給管127を通じて供給口から、ブロア装置11で圧縮されたエアが供給される。搬送面128は、平面128aからなり、フィルム状物F1と対向する。この搬送面128は、中央領域Pと、一対の脇領域Q,Rと、を有してなる。
【0145】
中央領域Pには、ワイヤ16が配置されて複数の切欠き16aが設けられ、当該切欠き16aが中央開口部として機能する。ワイヤ16は、搬送方向に沿うように配置される。各脇領域Q,Rには、それぞれ、ワイヤ17が配置されて複数の切欠き17aが設けられ、当該切欠き17aが脇開口部として機能すると共に、搬送方向に一の列となるように孔部23が設けられている。ワイヤ17は、中央領域Pに向けてエアを噴出すうように、搬送方向に沿うように配置される。各孔部23は、脇領域Q,Rにおける幅方向の中心にそれぞれ設けられ、フィルム状物F1の幅方向における端部と略重なるように設定されている。
【0146】
なお、浮揚搬送装置125におけるフィルム状物F1のセンタリング動作は、第1実施形態に係る浮揚搬送装置10におけるフィルム状物F1のセンタリング動作に準ずる。
【0147】
[第13実施形態]次に、図16を用いて、第13実施形態に係る浮揚搬送装置163の構成について説明する。図16は、浮揚搬送装置163の外観斜視図である。
【0148】
図16に示す浮揚搬送装置163は、螺旋状に巻き付けた一のフィルム状物F1をエアによって浮揚させつつ搬送する装置であり、ブロア装置164,165,166で圧縮されたエアの供給を受けて、当該エアをフィルム状物F1に噴き付ける。
【0149】
この浮揚搬送装置163は、本体となる第1エアチャンバ167と、この第1エアチャンバ167と共に本体となる一対の第2エアチャンバ168と、第1エアチャンバ167にブロア装置164からのエアを供給する一対の供給管13,14と、一対の第2エアチャンバ168にブロア装置165,166からのエアを供給する二対の供給管169,170と、を備えている。
【0150】
第1エアチャンバ167は、円柱形を呈する。この第1エアチャンバ167は、一対の供給口(図示省略)と、搬送面171と、を備えている。搬送面171は、円柱面171aからなり、フィルム状物F1と対向する。円柱面171aは、中央領域Pと、一対の脇領域Q,Rと、を一つのセットとして、当該セットが螺旋状を呈するように幅方向に繰り返して有する。
【0151】
中央領域Pには、ワイヤ16が配置されて複数の切欠き16aが設けられ、当該切欠き16aが中央開口部として機能する。ワイヤ16は、搬送方向に沿うように配置される。各脇領域Q,Rには、それぞれ、ワイヤ17が配置されて複数の切欠き17aが設けられ、当該切欠き17aが脇開口部として機能すると共に、搬送方向に一の列となるように孔部23が設けられている。ワイヤ17は、中央領域Pに向けてエアを噴出するように、搬送方向に沿うように配置される。各孔部23は、脇領域Q,Rにおける幅方向の中心に設けられ、フィルム状物F1の幅方向における端部と略重なるように設定されている。
【0152】
第2エアチャンバ168は、円柱形を呈する。この第2エアチャンバ168は、一対の供給口(図示省略)と、搬送面172と、を備えている。搬送面172は、円柱面172aからなり、フィルム状物F1と対向する。円柱面172aは、中央領域Pと、一対の脇領域Q,Rと、を有する。中央領域Pおよび一対の脇領域Q,Rは、それぞれ、環状を呈する。
【0153】
中央領域Pには、ワイヤ16が配置されて複数の切欠き16aが設けられ、当該切欠き16aが中央開口部として機能する。ワイヤ16は、搬送方向に沿うように配置される。各脇領域Q,Rには、それぞれ、ワイヤ17が配置されて複数の切欠き17aが設けられ、当該切欠き17aが脇開口部として機能すると共に、搬送方向に一の列となるように孔部23が設けられている。ワイヤ17は、中央領域Pに向けてエアを噴出するように、搬送方向に沿うように配置される。各孔部23は、脇領域Q,Rにおける幅方向の中心に設けられ、フィルム状物F1の幅方向における端部と略重なるように設定されている。
【0154】
第1エアチャンバ167には、中央領域Pを基準としてフィルム状物F1を螺旋状に巻き付けることが可能である。各第2エアチャンバ168には、中央領域Pを基準としてフィルム状物F1を巻き付けることが可能であり、各第2エアチャンバ168は、フィルム状物F1の搬送方向を90°転換する。
【0155】
なお、浮揚搬送装置163におけるフィルム状物F1のセンタリング動作は、第1実施形態に係る浮揚搬送装置10におけるフィルム状物F1のセンタリング動作に準ずる。
【0156】
本発明は、上記各実施形態および上記用途例に限られるものではなく、その趣旨および技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0157】
すなわち、上記各実施形態において、搬送面は、流体を噴出する複数の開口部が設けられた平面、または、断面視で円弧形をなす曲面からなるが、円柱面、楕円柱面、または、断面視で楕円弧形をなす曲面からなるようにしてもよい。
【0158】
あるいは、上記各実施形態において、互いに異なる所定の幅を有する三つ以上のフィルム状物から選択された一のフィルム状物を、浮揚させつつ搬送するようにしてもよい。この場合、各フィルム状物に対応して、孔部23を複数の列となるように設ければよい。
【0159】
あるいは、上記各実施形態において、フィルム状物F1,F2を、エアによって浮揚させつつ搬送することに代えて、水などの液体、その他の流体によって浮揚させつつ搬送するようにしてもよい。この場合、洗浄、改質、または鍍金を行う装置などに適用できる。
【0160】
あるいは、上記各実施形態および上記各用途例の構成を、可能な範囲で他の実施形態または他の用途例に適用してもよい。
【符号の説明】
【0161】
10,31,36,65,69,73,76,83,89,104,109,125,160,163,174 浮揚搬送装置
15,63,67,71,80,81,86,87,91,107,108,115,116,128,158,171,172,176 搬送面
15a,63a,67a,71a,80a,81a,86a,87a,91a,107a,108a,115a,158a,176a 曲面
15b,63b,67b,71b,80b,81b,86b,87b,91b,107b,108b,115b,116a,128a,158b,176b 平面
16,17 ワイヤ
16a,17a 切欠き
23 孔部
27 孔
F1,F2 フィルム状物
A1,A2 搬送方向
P 中央領域
Q,Q1,Q2,R,R1,R2 脇領域
W 平面領域
T,U 中間領域
V 曲面領域
L 液体
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムや、金属箔、織物、紙、テープ、粘着テープなどのフィルム状の物体、あるいはガラス板(液晶用ガラス基板など)や金属板の板状物(シリコン基板やプリント基板なども含む)、更には板厚の厚めの物体(以下、これらをまとめて単にフィルム状物という。)を流体によって浮揚させつつ搬送する浮揚搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、フィルム状物をエアなどの流体によって浮揚させつつ搬送する浮揚搬送装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この浮揚搬送装置は、ワイヤ等の線状体を巻き付けることで形成された搬送面を備えている。この搬送面には、流体を噴出する複数の開口部が、線状体同士の間に形成されている。この浮揚搬送装置によれば、開口部から流体が噴出するので、フィルム状物を浮揚させつつ搬送できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08−245028号公報(図1、図14参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、取付機械精度が悪かったりフィルム状物の精度が悪かったりすることを原因としてフィルム状物が蛇行することを防止した浮揚搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明は、断面視で平行四辺形または菱形を呈する線状体を並べて配置して、フィルム状物を搬送する搬送面を形成し、前記搬送面に、流体を噴出して前記フィルム状物を浮揚させる複数の開口部が設けられていることを特徴とする、浮揚搬送装置である。
【0006】
(2)本発明はまた、前記線状体には、側部に複数の切欠きが形成されており、前記切欠きを前記開口部とすることを特徴とする、上記(1)に記載の浮揚搬送装置である。
【0007】
(3)本発明はまた、前記搬送面は、前記フィルム状物の幅方向中央に対して搬送方向に延びる中央領域と、幅方向において前記中央領域の両脇にそれぞれ位置して搬送方向に延びる一対の脇領域と、を有してなり、前記開口部として、前記一対の脇領域にそれぞれ複数設けられて前記中央領域に向けて流体を面方向に噴出する脇開口部を備えることを特徴とする、上記(1)または(2)に記載の浮揚搬送装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の上記(1)〜(3)に記載の浮揚搬送装置によれば、線状体を所望の姿勢で配置して搬送面を形成しておくことで、フィルム状物が蛇行することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(A)は本発明の第1実施形態に係る浮揚搬送装置の外観斜視図であり、(B)は(A)に示す浮揚搬送装置の部分拡大斜視図であり、(C)は(A)に示す搬送面の断面図である。
【図2】ワイヤを架け渡す補強部材の例を示す外観斜視図である。
【図3】(A)は図1に示す搬送面の分解斜視図であり、(B)は当該搬送面の断面図である。
【図4】(A)は図1に示す搬送面の分解斜視図であり、(B)は当該搬送面の断面図である。
【図5】(A)は第1実施形態の一つ目の変形例に係る浮揚搬送装置の部分拡大斜視図であり、(B)は(A)に示す搬送面の断面図である。
【図6】(A)は第1実施形態の二つ目の変形例に係る浮揚搬送装置の部分拡大斜視図であり、(B)は(A)に示す搬送面の断面図である。
【図7】図1に示す浮揚搬送装置の正面図等であり、(A)〜(C)はフィルム状物の定常状態を示し、(D)はフィルム状物が蛇行した状態を示す。
【図8】図1に示す浮揚搬送装置を適用した乾燥システムに係る概略構成図である。
【図9】図1に示す浮揚搬送装置を適用した洗浄システムに係る概略構成図である。
【図10】(A)〜(E)は、本発明の第2〜第6実施形態に係る浮揚搬送装置における搬送面の断面図である。
【図11】(A)は本発明の第7実施形態に係る浮揚搬送装置の外観斜視図であり、(B)は(A)に示す浮揚搬送装置の側面図である。
【図12】(A)および(B)は、本発明の第8および第9実施形態に係る浮揚搬送装置における搬送面の断面図である。
【図13】本発明の第10実施形態に係る浮揚搬送装置の外観斜視図である。
【図14】本発明の第11実施形態に係る浮揚搬送装置の外観斜視図である。
【図15】(A)は本発明の第12実施形態に係る浮揚搬送装置の正面図であり、(B)は(A)に示す浮揚搬送装置の側面図である。
【図16】本発明の第13実施形態に係る浮揚搬送装置の外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の第1〜第13実施形態に係る浮揚搬送装置について詳細に説明する。
【0011】
[第1実施形態]まず、図1〜図6を用いて第1実施形態に係る浮揚搬送装置10の構成について説明する。図1(A)は、浮揚搬送装置10の外観斜視図である。図1(B)は、浮揚搬送装置10の部分拡大斜視図である。図1(C)は、搬送面15の断面図である。図2は、ワイヤ16,17を架け渡す補強部材19の例を示す外観斜視図である。図3(A)は、搬送面15の分解斜視図であり、図3(B)は、当該搬送面15の断面図である。図4(A)は、搬送面15の分解斜視図であり、図4(B)は、当該搬送面15の断面図である。図5(A)は、第1実施形態の一つ目の変形例に係る浮揚搬送装置10の部分拡大斜視図である。図5(B)は、図5(A)に示す搬送面15の断面図である。図6(A)は、第1実施形態の二つ目の変形例に係る浮揚搬送装置10の部分拡大斜視図である。図6(B)は、図6(A)に示す搬送面15の断面図である。なお、各図において、図面の簡略化のため、一部の構成の図示を適宜省略する。
【0012】
図1に示す浮揚搬送装置10は、所定の幅を有する一のフィルム状物F1をエアによって浮揚させつつ搬送する装置であり、走行するフィルム状物F1の途中に配置される。この浮揚搬送装置10は、ブロア装置11で圧縮されたエアの供給を受けて、当該エアをフィルム状物F1に噴き付ける。フィルム状物F1は、エアチャンバ12における幅方向の中心に全体に満たされるように配置される。浮揚搬送装置10は、本体となるエアチャンバ12と、このエアチャンバ12にブロア装置11からのエアを供給する一対の供給管13,14と、を備えている。なお、フィルム状物F1を走行させる駆動源(図示省略)としては、BELLMATIC株式会社(東京都西多摩郡瑞穂町)が市販するサクションローラなどを採用できる。以下、浮揚搬送装置10の各構成について説明する。
【0013】
エアチャンバ12は、断面視でかまぼこ型をなす長尺形を呈する金属製である。ただし、エアチャンバ12は、金属製であることに限定されず、ポリ塩化ビニル製、ポリエチレン製、ポリプロピレン製などであってもよい。これらの場合、後述する第2の用途例のように水溶液中で用いるときに腐食しない。このエアチャンバ12は、両側面に設けられた一対の供給口(図示省略)と、フィルム状物F1を搬送する搬送面15と、を備えている。
【0014】
一対の供給口には、それぞれ、供給管13または14が接続される。エアチャンバ12内には、一対の供給管13,14を通じて一対の供給口から、ブロア装置11で圧縮されたエアが供給される。なお、供給口の一方を蓋などで閉塞して、一方の供給管13または14を通じてエアの供給を受けるようにしてもよい。例えば、供給管13が接続される供給口を蓋などで閉塞して、供給管14を通じてエアの供給を受けるようにしてもよい。
【0015】
搬送面15は、ワイヤ16または17を補強部材19(図2参照)に巻回することで形成される。すなわち、搬送面15を含めたエアチャンバ12の表面は、補強部材19にワイヤ16,17を巻き付けること(並べて配置すること)で形成される。ワイヤ16,17は、SUS(ステンレス)やAl(アルミニウム)等の金属、あるいはプラスチックからなる線状体である。これらワイヤ16,17は、接着剤(図示省略)により、半田により、ロー付により、あるいは、機械的に固定される。
【0016】
補強部材19としては、図2に示すように、複数の通気孔(符号省略)が形成された金属筒が適用できる。複数の通気孔は、ドリルによって穿孔される。これら複数の通気孔の直径は、特に限定されないが、1mm以上20mm以下であることが好ましい。なお、金属筒の形状は、チャンバの形状に応じて適宜変更できる。また、補強部材19の材質は、金属に限定されず、他の材質であってもよい。
【0017】
図3(A)および図3(B)に示すように、ワイヤ16は、断面視で正方形等の矩形を呈する。ワイヤ16の側部には、上下方向(図3(A)および図3(B)における上下方向)に延びる複数の切欠き16aが、互いに所定の間隔をおいて形成されている。これら複数の切欠き16aは、機械加工、エッチング、またはサンドブラスト等によって形成される。詳しくは後述するが、複数の切欠き16aは、面方向に対する直角方向にエアを噴出してフィルム状物F1を浮揚させる開口部として機能する。なお、ワイヤ16の厚みと幅は、特に限定されないが、厚みが0.1mm以上10mm以下であることが好ましく、幅が0.5mm以上100mm以下であることが好ましい。また、各切欠き16aの形状は、特に限定されないが、V字形、U字形、半円形、半円弧形、角形等が挙げられる。
【0018】
図4(A)および図4(B)に示すように、ワイヤ17は、断面視で菱形を呈する。ワイヤ17の側部には、上下方向(図4(A)および図4(B)における上下方向)に延びる複数の切欠き17aが、互いに所定の間隔をおいて形成されている。これら複数の切欠き17aは、機械加工、エッチング、またはサンドブラスト等によって形成される。詳しくは後述するが、複数の切欠き17aは、搬送面15の面方向にエアを噴出してフィルム状物F1を浮揚させる開口部として機能する。なお、ワイヤ17の幅は、特に限定されないが、各辺が0.5mm以上3mm以下となる幅であることが好ましい。そして、複数の切欠き17aの互いの間隔は、特に限定されないが、1mm以上3mm以下であることが好ましい。また、各切欠き17aの形状は、特に限定されないが、V字形、U字形、半円形、半円弧形、角形等が挙げられる。さらに、ワイヤ17の形状は、断面視で菱形であることに限定されず、断面視で平行四辺形であってもよい。
【0019】
再び図1に戻って説明する。搬送面15は、断面視で半円弧形の曲面15aと、この曲面15aに滑らかに連続する一対の平面15bと、からなり、フィルム状物F1と対向する。この搬送面15は、一方(図面における上側)の平面15b、曲面15a、他方(図面における下側)の平面15bの順に流れる方向を、フィルム状物F1の搬送方向とする。すなわち、搬送面15は、搬送方向を、矢印A1からA2の方向に180°転換する。
【0020】
搬送面15は、フィルム状物F1の幅方向中央に対応して搬送方向(A1→A2)に延びる中央領域Pと、幅方向において中央領域Pの両脇にそれぞれ位置して搬送方向に延びる一対の脇領域Q,Rと、を有してなる。
【0021】
中央領域Pの幅は、フィルム状物F1の幅と比較して狭くなるように設定されている。一対の脇領域Q,Rの幅は、互いに同一となるように設定されている。すなわち、一対の脇領域Q,Rの面積は、互いに同一となるように設定されている。中央領域Pおよび一対の脇領域Q,Rを合わせた幅、すなわち、搬送面15の幅は、フィルム状物F1の幅と比較して広くなるように設定されている。
【0022】
各脇領域Q,Rにおける幅方向の中心は、それぞれ、フィルム状物F1の幅方向における端部と略重なるように設定されている。各脇領域Q,Rにおける幅方向の外側、すなわち、搬送面15の外側には、スペース(符号省略)が設けられている。なお、中央領域Pの幅は、フィルム状物F1の幅の50%以上70%以下となるように設定されていることが好ましい。ただし、中央領域Pおよび一対の脇領域Q,Rの幅は、それぞれ、フィルム状物F1の幅などによって適宜設定される。
【0023】
中央領域Pには、複数の切欠き16aが設けられたワイヤ16が巻回され、当該切欠き16aが中央開口部として機能する。ワイヤ16は、搬送方向に沿うように配置される。なお、ワイヤ16に代えて、断面視で丸形のワイヤを、互いの間に一定の隙間を空けて配置して、当該隙間を中央開口部として機能させてもよい。
【0024】
エアチャンバ12に供給されたエアは、複数の切欠き16aを通じて中央領域Pからフィルム状物F1に噴き付けられる。具体的に、複数の切欠き16aを通ったエアは、フィルム状物F1に対する略直交方向で当該フィルム状物F1を押し上げる方向の流れを形成して、フィルム状物F1を押し上げる。中央開口部の開口率は、全ての中央開口部の面積の合計を中央領域Pの面積で除してから100を乗じた値と定義した場合、3%を超えないことが好ましく、1%以下であることがより好ましい。
【0025】
各脇領域Q,Rには、それぞれ、複数の切欠き17aが設けられたワイヤ17が巻回され、当該切欠き17aが脇開口部として機能すると共に、搬送方向に一の列となるように孔部23が設けられている。ワイヤ17は、搬送方向に沿い、且つ、中央領域Pに向けてエアを噴出するように配置される。
【0026】
エアチャンバ12に供給されたエアは、複数の切欠き17aを通じて各脇領域Q,Rからフィルム状物F1に噴き付けられる。具体的に、複数の切欠き17aを通ったエアは、中央領域Pに向けて搬送方向と直交する流れ(図1(B)における矢印B1方向の流れ)を形成して、搬送面15の面方向に噴出する。すなわち、脇領域Qに設けられる脇開口部と、脇領域Rに設けられる脇開口部とは、互いに対向するエアの流れを形成する。脇領域に設けられる脇開口部からのエアの流量と、脇領域Rに設けられる脇領域からのエアの流量とは、互いに略同一となるように設定されている。
【0027】
各孔部23は、脇領域Q,Rにおける幅方向の中心にそれぞれ設けられ、フィルム状物F1の幅方向における端部と略重なるように設定されている。すなわち、一方の脇領域Qに設けられる孔部23は、他方の脇領域Rに設けられる孔部23との間隔が、フィルム状物F1の幅と略同じになるように設定されている。ただし、各孔部23の互いの間隔は、孔部23における幅方向の中心を基準にする場合、フィルム状物F1の幅と比較して、±5mm以内のズレが許容できる。なお、各孔部23は、搬送面15を形成した後に形成するようにしてもよい。
【0028】
これらの各孔部23は、複数の孔27を備えている。これら複数の孔27は、ワイヤ17に対してドリルやレーザーで穿孔することで形成される。複数の孔27は、それぞれが円形を呈し、互いに所定の間隔を空けて設けられている。各孔部27の大きさは、特に限定されないが、それぞれ、面積が0.025πmm2以上25πmm2以下であること、すなわち、π≒3.14であるから、面積が0.0785mm2以上78.5mm2以下であることが好ましい。あるいは、径の最大値が0.1mm以上10mm以下であることが好ましい。
【0029】
エアチャンバ12に供給されたエアは、孔部23を通じて面外方向(図1(B)における矢印B2方向)に噴出して、フィルム状物F1の幅方向における端部に噴き付けられ、フィルム状物F1が幅方向に位置決めされる。
【0030】
なお、本実施形態では、孔部23は、円形を呈する複数の孔27を備えているが、これに限定されず、楕円その他の丸形、あるいは、三角形、四角形などの多角形を呈する複数の小孔(図示省略)を備えるようにしてもよい。この場合、複数の小孔は、プレス打抜き(パンチング)によって形成される。あるいは、孔部23として、スリット(図示省略)を構成するようにしてもよい。
【0031】
また、本実施形態では、孔27は、ワイヤ17に対してドリルで穿孔することで形成されているが、これに限定されず、図5(A)および図5(B)に示すように、ワイヤ17と共に並べられたリボン状の長尺プレート18や断面視で角形のワイヤ(図示省略)に穿孔されていてもよい。あるいは、図6(A)および図6(B)に示すように、複数の孔27からなる孔部23を備えなくてもよい。
【0032】
次に、浮揚搬送装置10におけるフィルム状物F1のセンタリング動作について、図7に基づいて説明する。図7は、浮揚搬送装置10の正面図等であり、(A)〜(C)はフィルム状物F1の定常状態を示し、(D)はフィルム状物F1が蛇行した状態を示す。
【0033】
図7(A)〜図7(C)に示すように、浮揚搬送装置10によって浮揚されつつ搬送されるフィルム状物F1は、定常状態において、幅方向における両端部が、脇領域Q,Rにおける幅方向の中心、すなわち、孔部23に重なるように位置する。各脇領域Q,Rは、それぞれ、そのうちの略50%の領域がフィルム状物F1と重なる。この定常状態において、脇領域Qに設けられた脇開口部からのエアの力は、脇領域Rに設けられた脇開口部からのエアの力との間で均衡が保たれる。各脇領域Q,Rに設けられた孔部23からのエアの力は、定常状態に維持する力としてフィルム状物F1に作用する。
【0034】
一方、図7(D)に示すように、浮揚搬送装置10によって浮揚されつつ搬送されるフィルム状物F1は、何らかの原因により蛇行した状態において、幅方向における両端部が、脇領域Q,Rにおける幅方向の中心からズレるように位置する。各脇領域Q,Rは、それぞれ、そのうちの50%より多い領域、またはそのうちの50%より少ない領域がフィルム状物F1と重なる。例えば、脇領域Qは、そのうちの略80%の領域がフィルム状物F1と重なり、脇領域Rは、そのうちの略20%の領域がフィルム状物F1と重なる。このフィルム状物F1が蛇行した状態において、脇領域Qに設けられた脇開口部からのエアの力は、脇領域Rに設けられた脇開口部からのエアの力との間で均衡が崩れている。
【0035】
フィルム状物F1が脇領域Qの方向に蛇行している場合、脇領域Qに設けられた脇開口部からのエアの力が、脇領域Rに設けられた脇開口部からのエアの力と比較して大きい。脇領域Q,Rに設けられた脇開口部全体としてのエアの力は、脇領域Qから脇領域Rの方向、すなわち、フィルム状物F1が定常状態に復帰する方向に作用する。この力は、フィルム状物F1のズレが大きいほど大きく、定常状態に近いほど小さい。脇領域Qの方向に蛇行していたフィルム状物F1は、定常状態に復帰し、あるいは、さらに脇領域Rの方向に蛇行する。脇領域Q,Rに設けられた脇開口部全体としてのエアの力は、定常状態に近付くにつれて漸次小さくなるので、最終的に定常状態に復帰する。
【0036】
フィルム状物F1が脇領域Rの方向に蛇行している場合、脇領域Rに設けられた脇開口部からのエアの力が、脇領域Qに設けられた脇開口部からのエアの力と比較して大きい。脇領域Q,Rに設けられた脇開口部全体としてのエアの力は、脇領域Rから脇領域Qの方向、すなわち、フィルム状物F1が定常状態に復帰する方向に作用する。脇領域Rの方向に蛇行していたフィルム状物F1は、定常状態に復帰し、あるいは、さらに脇領域Qの方向に蛇行する。脇領域Q,Rに設けられた脇開口部全体としてのエアの力は、定常状態に近付くにつれて漸次小さくなるので、最終的に定常状態に復帰する。
【0037】
各脇領域Q,Rに設けられた孔部23からのエアの力は、定常状態に復帰した後にさらに他方の脇領域Q,Rの方向に蛇行することを防止する力としてフィルム状物F1に作用する。
【0038】
次に、浮揚搬送装置の用途例について説明する。
【0039】
[第1の用途例]まず、浮揚搬送装置の第1の用途例について、図8に基づいて説明する。図8は、浮揚搬送装置10を適用した乾燥システム29に係る概略構成図である。なお、浮揚搬送装置10,31へのエアの供給経路の図示は適宜省略する。
【0040】
図8に示す乾燥システム29は、フィルム状物F1をエアによって浮揚搬送しつつ乾燥させるシステムであり、本発明に係る浮揚搬送装置10,31を適用している。この乾燥システム29は、システムの中核をなす乾燥炉30と、この乾燥炉30内に適宜配置された複数の浮揚搬送装置10と、これら複数の浮揚搬送装置10と共に乾燥炉30内に適宜配置された二つの浮揚搬送装置31と、乾燥炉30からエアを回収し、回収したエアを圧縮してから各浮揚搬送装置10,31に供給するブロア装置11と、このブロア装置11が回収するエアを濾過するフィルタ32と、各浮揚搬送装置10,30に供給されるエアを加熱するヒーター33と、各浮揚搬送装置10,20に供給されるエアの圧力を計測する圧力計34と、を備えている。
【0041】
複数の浮揚搬送装置10は、乾燥炉30内に、上下に平行に、かつ、上下が互い違いとなるようにそれぞれ配置されている。これら複数の浮揚搬送装置10には、フィルム状物F1がS字形を描くように巻き掛けられる。これにより、乾燥炉30の省スペースを実現する。二つの浮揚搬送装置31は、乾燥炉30におけるフィルム状物F1の入口30aまたは出口30bの傍らに、それぞれ配置されている。これら二つの浮揚搬送装置31は、それぞれ、断面視で90°の円弧形を呈する曲面からなる搬送面(符号省略)を備えている。各浮揚搬送装置31には、フィルム状物F1がL字形を描くように巻き掛けられる。各浮揚搬送装置10,31に供給されたエアは、フィルム状物F1に噴き付けられる。
【0042】
[第2の用途例]次に、浮揚搬送装置36の第2の用途例について、図9に基づいて説明する。図9は、浮揚搬送装置10を適用した洗浄システム37に係る概略構成図である。なお、浮揚搬送装置31へのエアの供給経路の図示は適宜省略する。
【0043】
図9に示す洗浄システム37は、フィルム状物F1を、酸性やアルカリ性を示す水溶液などの液体Lによって浮揚搬送しつつ洗浄するシステムであり、本発明に係る浮揚搬送装置36,31を適用している。浮揚搬送装置36は、所定の幅を有する一のフィルム状物F1を液体Lによって浮揚させつつ搬送する装置であり、ポンプ39で圧縮された液体Lの供給を受けて、当該液体Lをフィルム状物F1に噴き付ける。なお、浮揚搬送装置36の基本構成は、浮揚搬送装置10と同様である。
【0044】
洗浄システム37は、システムの中核をなす液槽38と、この液槽38内に適宜配置され、液体に浸された複数の浮揚搬送装置36と、液槽38から液体Lを回収し、回収した液体Lを各浮揚搬送装置36に供給するポンプ39と、液槽38内の液体面上方に適宜配置された二つの浮揚搬送装置31と、液槽38外に適宜配置された二つの浮揚搬送装置31と、各浮揚搬送装置31にエアを供給するブロア装置(図示省略)と、を備えている。
【0045】
複数の浮揚搬送装置36は、液槽38内に、上下に平行に、かつ、上下が互い違いとなるようにそれぞれ配置されている。これら複数の浮揚搬送装置36には、フィルム状物F1がS字形を描くように巻き付けられる。これにより、液槽38の省スペースを実現する。各浮揚搬送装置36に供給された液体Lは、フィルム状物F1に噴き付けられる。
【0046】
液槽38内の二つの浮揚搬送装置31、および液槽38外の二つの浮揚搬送装置31は、液槽38におけるフィルム状物F1の入口38aまたは出口38bの傍らに、それぞれ配置されている。各浮揚搬送装置31には、フィルム状物F1がL字形を描くように巻き付けられる。各浮揚搬送装置31に供給されたエアは、フィルム状物F1に噴き付けられる。
【0047】
このように、浮揚搬送装置10によれば、開口部として機能する切欠き16a,17aが設けられた搬送面15を安価で高精度に形成できる。また、脇領域Q,Rを構成するワイヤ17は、断面視で菱形を呈し、隣接するワイヤ17同士で締め付け合うので、強固な搬送面15が形成できる。これにより、フィルム状物F1が蛇行することが防止される。
【0048】
さらに、孔部23を備えているので、フィルム状物F1のセンタリング性能を向上させられる。具体的には、フィルム状物F1の寸法や材質、あるいは搬送する速度などによって異なるが、フィルム状物F1の幅方向の蛇行量を、従来の10分の1以下である±0.3mm程度に収められる。
【0049】
[第2実施形態]次に、図10(A)を用いて、第2実施形態に係る浮揚搬送装置65の構成について説明する。図10(A)は、浮揚搬送装置65における搬送面67の断面図である。
【0050】
なお、第2実施形態に係る浮揚搬送装置65の特徴部分のみを説明し、第1実施形態に係る浮揚搬送装置10と同様の構成、作用、および効果についての説明は省略する。後述する第3〜第13実施形態についても、特徴部分のみを説明し、他の実施形態と同様の構成、作用、および効果についての説明は、図面に符号を付すなどして省略する。
【0051】
図10(A)に示す浮揚搬送装置65は、互いに異なる所定の幅を有する二つのフィルム状物F1,F2から選択された一のフィルム状物F1またはF2を、エアによって浮揚させつつ搬送する装置である。各フィルム状物F1,F2は、エアチャンバ66における幅方向の中心に配置される。なお、相対的に幅が狭いフィルム状物をF1とし、相対的に幅が広いフィルム状物をF2として説明する。
【0052】
浮揚搬送装置65は、エアチャンバ66などを備えている。エアチャンバ66は、一対の供給口(図示省略)と、フィルム状物F1またはF2を搬送する搬送面67と、を備えている。搬送面67は、フィルム状物F1,F2の幅方向中央に対応して搬送方向(A1→A2)に延びる中央領域Pと、幅方向において中央領域Pの両脇にそれぞれ位置して搬送方向に延びる一対の脇領域Q,Rと、搬送方向に延びて脇領域Qを二つの脇領域Q1,Q2に分ける中間領域Tと、搬送方向に延びて脇領域Rを二つの脇領域R1,R2に分ける中間領域Uと、を有してなる。
【0053】
中央領域Pの幅は、フィルム状物F1の幅と比較して狭くなるように設定されている。一対の脇領域Q1,R1の幅は、互いに同一となるように設定されている。すなわち、一対の脇領域Q1,R1の面積は、互いに同一となるように設定されている。中央領域Pおよび一対の脇領域Q1,R1を合わせた幅は、フィルム状物F1の幅と比較して広くなるように設定されている。
【0054】
一対の中間領域T,Uの幅は、互いに同一となるように設定されている。すなわち、一対の中間領域T,Uの面積は、互いに同一となるように設定されている。中央領域P、一対の脇領域Q1,R1、および一対の中間領域T,Uを合わせた幅は、フィルム状物F2の幅と比較して狭くなるように設定されている。
【0055】
一対の脇領域Q2,R2の幅は、互いに同一となるように設定されている。すなわち、一対の脇領域Q2,R2の面積は、互いに同一となるように設定されている。中央領域P、一対の脇領域Q1,R1、一対の中間領域T,U、および一対の脇領域Q2,R2を合わせた幅、すなわち、搬送面67の幅は、フィルム状物F2の幅と比較して広くなるように設定されている。
【0056】
各脇領域Q1,R1における幅方向の中心は、それぞれ、フィルム状物F1の幅方向における端部と略重なるように設定されている。各脇領域Q2,R2における幅方向の中心は、それぞれ、フィルム状物F2の幅方向における端部と略重なるように設定されている。各脇領域Q2,R2における幅方向の外側、すなわち、搬送面67の外側には、スペース(符号省略)が設けられている。
【0057】
なお、中央領域Pの幅は、フィルム状物F1の幅の50%以上70%以下となるように設定されていることが好ましい。また、中央領域P、一対の脇領域Q1,R1、および一対の中間領域T,Uを合わせた幅は、フィルム状物F2の幅の50%以上70%以下となるように設定されていることが好ましい。ただし、中央領域P、一対の脇領域Q1,R1、一対の中間領域T,U、および一対の脇領域Q2,R2の幅は、それぞれ、フィルム状物F1,F2の幅などによって適宜設定される。
【0058】
中央領域Pには、第1実施形態に係る浮揚搬送装置10と異なり、中央開口部として機能する切欠き16aが設けられていない。すなわち、中央領域Pを形成するワイヤ16には、切欠き16aが形成されていない。ワイヤ16は、搬送方向に沿うように配置される。エアチャンバ66に供給されたエアは、中央領域Pからフィルム状物F1またはF2に噴き付けられることはない。
【0059】
各脇領域Q1,R1には、それぞれ、ワイヤ17が配置されて複数の切欠き17aが設けられ、当該切欠き17aが脇開口部として機能すると共に、搬送方向に一の列となるように孔部23が設けられている。ワイヤ17は、中央領域Pに向けてエアを噴出するように、搬送方向に沿うように配置される。各孔部23は、脇領域Q1,R1における幅方向の中心にそれぞれ設けられ、フィルム状物F1の幅方向における端部と略重なるように設定されている。すなわち、一方の脇領域Q1に設けられる孔部23は、他方の脇領域R1に設けられる孔部23との間隔が、フィルム状物F1の幅と略同じになるように設定されている。ただし、各孔部23の互いの間隔は、孔部23における幅方向の中心を基準にする場合、フィルム状物F1の幅と比較して、±5mm以内のズレが許容できる。
【0060】
エアチャンバ66に供給されたエアは、複数の切欠き17aを通じて中央領域Pに向けて搬送方向と直交する流れを形成して、各脇領域Q1,R1からフィルム状物F1またはF2に噴き付けられると共に、孔部23を通じてフィルム状物F1の幅方向における端部に噴き付けられ、フィルム状物F1が幅方向に位置決めされる。
【0061】
脇領域Q1における脇開口部の開口率は、脇領域Q1における全ての脇開口部の面積の合計を脇領域Q1の面積で除してから100を乗じた値と定義した場合、3%を超えないことが好ましく、1%以下であることがより好ましい。脇領域R1における脇開口部の開口率は、脇領域Q1における脇開口部の開口率と同様に定義した場合、3%を超えないことが好ましく、1%以下であることがより好ましい。
【0062】
各中間領域T,Uには、後述する第4実施形態に係る浮揚搬送装置73と異なり、中間開口部として機能する切欠き16aが設けられていない。すなわち、中間領域T,Uを形成するワイヤ16には、切欠き16aが形成されていない。ワイヤ16は、搬送方向に沿うように配置される。エアチャンバ66に供給されたエアは、各中間領域T,Uからフィルム状物F2に噴き付けられることはない。
【0063】
各脇領域Q2,R2には、それぞれ、ワイヤ17が配置されて複数の切欠き17aが設けられ、当該切欠き17aが脇開口部として機能すると共に、搬送方向に一の列となるように孔部23が設けられている。ワイヤ17は、中央領域Pに向けてエアを噴出するように、搬送方向に沿うように配置される。各孔部23は、脇領域Q2,R2における幅方向の中心にそれぞれ設けられ、フィルム状物F2の幅方向における端部と略重なるように設定されている。すなわち、一方の脇領域Q2に設けられる孔部23は、他方の脇領域R2に設けられる孔部23との間隔が、フィルム状物F2の幅と略同じになるように設定されている。ただし、各孔部23の互いの間隔は、孔部23における幅方向の中心を基準にする場合、フィルム状物F2の幅と比較して、±5mm以内のズレが許容できる。
【0064】
エアチャンバ66に供給されたエアは、複数の切欠き17aを通じて中央領域Pに向けて搬送方向と直交する流れを形成して、各脇領域Q2,R2からフィルム状物F2に噴き付けられると共に、孔部23を通じてフィルム状物F2の幅方向における端部に噴き付けられ、フィルム状物F2が幅方向に位置決められる。
【0065】
脇領域Q2,R2における脇開口部の開口率は、それぞれ、脇領域Q1における脇開口部の開口率と同様に定義した場合、3%を超えないことが好ましく、1%以下であることがより好ましい。
【0066】
なお、浮揚搬送装置65におけるフィルム状物F1,F2のセンタリング動作は、第1実施形態に係る浮揚搬送装置10におけるフィルム状物F1のセンタリング動作に準ずる。
【0067】
フィルム状物F2を浮揚させつつ搬送する場合、何らかの原因によりフィルム状物F2が蛇行したときであっても、脇領域Q1に設けられた脇開口部からのエアの力は、脇領域R1に設けられた脇開口部からのエアの力との間で均衡が保たれている。すなわち、各脇領域Q1,R1に設けられた脇開口部からのエアがフィルム状物F2に影響を及ぼすことはない。
【0068】
[第3実施形態]次に、図10(B)を用いて、第3実施形態に係る浮揚搬送装置69の構成について説明する。図10(B)は、浮揚搬送装置69における搬送面71の断面図である。
【0069】
図10(B)に示す浮揚搬送装置69は、二つのフィルム状物F1,F2から選択された一のフィルム状物F1またはF2を、エアによって浮揚させつつ搬送する装置である。この浮揚搬送装置69は、エアチャンバ70などを備えている。エアチャンバ70は、一対の供給口(図示省略)と、搬送面71と、を備えている。搬送面71は、中央領域Pと、一対の脇領域Q,Rと、を有してなる。
【0070】
中央領域Pおよび一対の脇領域Q,Rを合わせた幅、すなわち、搬送面71の幅は、フィルム状物F2の幅と比較して広くなるように設定されている。
【0071】
中央領域Pには、第2実施形態に係る浮揚搬送装置65と同様、中央開口部として機能する切欠き16aが設けられていない。すなわち、中央領域Pを形成するワイヤ16には、切欠き16aが形成されていない。ワイヤ16は、搬送方向に沿うように配置される。
【0072】
各脇領域Q,Rには、それぞれ、ワイヤ17が配置されて複数の切欠き17aが設けられ、当該切欠き17aが脇開口部として機能すると共に、搬送方向に二の列となるように孔部23が設けられている。ワイヤ17は、中央領域Pに向けてエアを噴出するように、搬送方向に沿うように配置される。幅方向における内側の各孔部23は、脇領域Q,Rにおける幅方向の内側にそれぞれ設けられ、フィルム状物F1の幅方向における端部と略重なるように設定されている。幅方向における外側の各孔部23は、脇領域Q,Rにおける幅方向の外側にそれぞれ設けられ、フィルム状物F2の幅方向における端部と略重なるように設定されている。
【0073】
なお、浮揚搬送装置69におけるフィルム状物F1,F2のセンタリング動作は、第2実施形態に係る浮揚搬送装置65におけるフィルム状物F1,F2のセンタリング動作に準ずる。
【0074】
[第4実施形態]次に、図10(C)を用いて、第4実施形態に係る浮揚搬送装置73の構成について説明する。図10(C)は、浮揚搬送装置73における搬送面63の断面図である。
【0075】
図10(C)に示す浮揚搬送装置73は、二つのフィルム状物F1,F2から選択された一のフィルム状物F1またはF2を、エアによって浮揚させつつ搬送する装置である。この浮揚搬送装置73は、エアチャンバ74などを備えている。エアチャンバ74は、一対の供給口(図示省略)と、搬送面63と、を備えている。搬送面63は、中央領域Pと、一対の脇領域Q1,R1と、一対の中間領域T,Uと、一対の脇領域Q2,R2と、を有してなる。
【0076】
各脇領域Q1,R1における幅方向の中心は、それぞれ、フィルム状物F1の幅方向における端部と略重なるように設定されている。各脇領域Q2,R2における幅方向の中心は、それぞれ、フィルム状物F2の幅方向における端部と略重なるように設定されている。
【0077】
中央領域Pには、ワイヤ16が配置されて複数の切欠き16aが設けられ、当該切欠き16aが中央開口部として機能する。ワイヤ16は、搬送方向に沿うように配置される。エアチャンバ74に供給されたエアは、中央領域Pからフィルム状物F1またはF2に噴き付けられる。
【0078】
各脇領域Q1,R1には、それぞれ、ワイヤ17が配置されて複数の切欠き17aが設けられ、当該切欠き17aが脇開口部として機能すると共に、搬送方向に一の列となるように孔部23が設けられている。ワイヤ17は、中央領域Pに向けてエアを噴出するように、搬送方向に沿うように配置される。各孔部23は、脇領域Q1,R1における幅方向の中心にそれぞれ設けられ、フィルム状物F1の幅方向における端部と略重なるように設定されている。
【0079】
各中間領域T,Uには、それぞれ、ワイヤ16が配置されて複数の切欠き16aが設けられ、当該切欠き16aが中間開口部として機能する。ワイヤ16は、搬送方向に沿うように配置される。エアチャンバ74に供給されたエアは、複数の切欠き16aを通じて、各中間領域T,Uからフィルム状物F2に噴き付けられる。
【0080】
中間領域Tにおける中間開口部の開口率は、中間領域Tにおける全ての中間開口部の面積の合計を中間領域Tの面積で除してから100を乗じた値と定義した場合、3%を超えないことが好ましく、1%以下であることがより好ましい。中間領域Uにおける中間開口部の開口率は、中間領域Tにおける中間開口部の開口率と同様に定義した場合、3%を超えないことが好ましく、1%以下であることがより好ましい。
【0081】
各脇領域Q2,R2には、それぞれ、ワイヤ17が配置されて複数の切欠き17aが設けられ、当該切欠き17aが脇開口部として機能すると共に、搬送方向に一の列となるように孔部23が設けられている。ワイヤ17は、中央領域Pに向けてエアを噴出するように、搬送方向に沿うように配置される。各孔部23は、脇領域Q2,R2における幅方向の中心にそれぞれ設けられ、フィルム状物F2の幅方向における端部と略重なるように設定されている。
【0082】
なお、浮揚搬送装置73におけるフィルム状物F1,F2のセンタリング動作は、第2実施形態に係る浮揚搬送装置65におけるフィルム状物F1,F2のセンタリング動作に準ずる。
【0083】
フィルム状物F1を浮揚させつつ搬送する場合、各中間領域T,Uに設けられた中間開口部からのエアは、各脇領域Q2,R2に設けられた脇開口部からのエアをフィルム状物F1から遮蔽する。これにより、各脇領域Q2,R2に設けられた脇開口部からのエアがフィルム状物F1に作用することを防止する。
【0084】
[第5実施形態]次に、図10(D)を用いて、第5実施形態に係る浮揚搬送装置89の構成について説明する。図10(D)は、浮揚搬送装置89における搬送面91の断面図である。
【0085】
図10(D)に示す浮揚搬送装置89は、一のフィルム状物F1をエアによって浮揚させつつ搬送する装置である。この浮揚搬送装置89は、エアチャンバ90などを備えている。エアチャンバ90は、一対の供給口(図示省略)と、搬送面91と、を備えている。搬送面91は、中央領域Pと、一対の脇領域Q,Rと、を有してなる。
【0086】
中央領域Pには、第3実施形態に係る浮揚搬送装置69と同様、中央開口部として機能する切欠き16aが設けられていない。すなわち、中央領域Pを形成するワイヤ16には、切欠き16aが形成されていない。ワイヤ16は、搬送方向に沿うように配置される。
【0087】
各脇領域Q,Rには、それぞれ、ワイヤ17が配置されて複数の切欠き17aが設けられ、当該切欠き17aが脇開口部として機能すると共に、搬送方向に一の列となるよう孔部23が設けられている。ワイヤ17は、中央領域Pに向けてエアを噴出するように、搬送方向に沿うように配置される。各孔部23は、脇領域Q,Rにおける幅方向の中心に設けられ、フィルム状物F1の幅方向における端部と略重なるように設定されている。
【0088】
なお、浮揚搬送装置89におけるフィルム状物F1のセンタリング動作は、第3実施形態に係る浮揚搬送装置69におけるフィルム状物F2のセンタリング動作に準ずる。
【0089】
[第6実施形態]次に、図10(E)を用いて、第6実施形態に係る浮揚搬送装置174の構成について説明する。図10(E)は、浮揚搬送装置174における搬送面176の断面図である。
【0090】
図10(E)に示す浮揚搬送装置174は、選択された一のフィルム状物F1またはF2を、エアによって浮揚させつつ搬送する装置であり、各フィルム状物F1,F2は、エアチャンバ175における幅方向の一端を基準に配置される。この浮揚搬送装置174は、グラビア印刷等に用いられる。浮揚搬送装置174は、エアチャンバ175などを備えている。
【0091】
エアチャンバ175は、一対の供給口(図示省略)と、フィルム状物F1またはF2を搬送する搬送面176と、を備えている。搬送面176は、中央領域Pと、一対の脇領域Q1,Rと、中間領域Tと、脇領域Q2と、を有してなる。
【0092】
脇領域Q1における幅方向の中心は、脇領域Rにおける幅方向の中心と共に、フィルム状物F1の幅方向における端部と重なるように設定されている。脇領域Q2における幅方向の中心は、脇領域Rにおける幅方向の中心と共に、フィルム状物F2の幅方向における端部と重なるように設定されている。
【0093】
中央領域Pには、第2実施形態に係る浮揚搬送装置65と同様、中央開口部として機能する切欠き16aが設けられていない。すなわち、中央領域Pを形成するワイヤ16には、切欠き16aが形成されていない。ワイヤ16は、搬送方向に沿うように配置される。
【0094】
各脇領域Q1,Rには、それぞれ、ワイヤ17が配置されて複数の切欠き17aが設けられ、当該切欠き17aが脇開口部として機能すると共に、搬送方向に一の列となるように孔部23が設けられている。各孔部23は、脇領域Q1,Rにおける幅方向の中心にそれぞれ設けられ、フィルム状物F1の幅方向における端部と略重なるように設定されている。
【0095】
中間領域Tには、第2実施形態に係る浮揚搬送装置65と同様、中間開口部として機能する切欠き16aが設けられていない。すなわち、中間領域Tを形成するワイヤ16には、切欠き16aが形成されていない。ワイヤ16は、搬送方向に沿うように配置される。
【0096】
脇領域Q2には、ワイヤ17が配置されて複数の切欠き17aが設けられ、当該切欠き17aが脇開口部として機能すると共に、搬送方向に一の列となるように孔部23が設けられている。孔部23は、脇領域Q2における幅方向の中心に設けられ、脇領域Rにおける孔部23と共に、フィルム状物F2の幅方向における端部と略重なるように設定されている。
【0097】
なお、浮揚搬送装置174におけるフィルム状物F1,F2のセンタリング動作は、第2実施形態に係る浮揚搬送装置65におけるフィルム状物F1,F2のセンタリング動作に準ずる。
【0098】
[第7実施形態]次に、図11を用いて、第7実施形態に係る浮揚搬送装置76の構成について説明する。図11(A)は、浮揚搬送装置76の外観斜視図である。図11(B)は、浮揚搬送装置76の側面図である。
【0099】
図11(A)および図11(B)に示す浮揚搬送装置76は、一のフィルム状物F1をエアによって浮揚させつつ搬送する装置である。この浮揚搬送装置76は、本体となる第1エアチャンバ77と、この第1エアチャンバ78と対をなす第2エアチャンバ78と、第1エアチャンバ77にブロア装置11からのエアを供給する一対の供給管13,14と、第2エアチャンバ78にブロア装置11からのエアを供給する供給管79と、を備えている。
【0100】
第1エアチャンバ77は、断面視で凸となる略底浅茶碗形を呈する。この第1エアチャンバ77は、一対の供給口(図示省略)と、搬送面80と、を備えている。
【0101】
搬送面80は、断面視で凸となる円弧形の曲面80aと、この曲面80aに滑らかに連続する一対の平面80bと、からなり、フィルム状物F1と対向する。この搬送面80は、一方(図面における右側)の平面80b、曲面80a、他方(図面における左側)の平面80bの順に流れる方向を、フィルム状物F1の搬送方向とする。すなわち、搬送面80は、搬送方向を、矢印A1からA2の方向に約120°転換する。
【0102】
搬送面80は、中央領域Pと、一対の脇領域Q,Rと、を有してなる。
【0103】
中央領域Pには、第4実施形態に係る浮揚搬送装置69と同様、中央開口部として機能する切欠き16aが設けられていない。すなわち、中央領域Pを形成するワイヤ16には、切欠き16aが形成されていない。ワイヤ16は、搬送方向に沿うように配置される。
【0104】
各脇領域Q,Rには、それぞれ、ワイヤ17が配置されて複数の切欠き17aが設けられ、当該切欠き17aが脇開口部として機能すると共に、搬送方向に一の列となるように孔部23が設けられている。ワイヤ17は、中央領域Pに向けてエアを噴出するように、搬送方向に沿うように配置される。各孔部23は、脇領域Q,Rにおける幅方向の中心にそれぞれ設けられ、フィルム状物F1の幅方向における端部と略重なるように設定されている。
【0105】
第2エアチャンバ78は、断面視で凹となる略底浅茶碗形を呈する。この第2エアチャンバ78は、上面に設けられた供給口(図示省略)と、搬送面81と、を備えている。
【0106】
搬送面81は、断面視で凹となる円弧形の曲面81aと、この曲面81aに滑らかに連続する一対の平面81bと、からなる。この第2エアチャンバ78の搬送面81は、第1エアチャンバ77の搬送面80と対向して、その搬送面80と共に、フィルム状物F1が通る隙間を形成する。搬送面81は、一方(図面における右側)の平面81b、曲面81a、他方(図面における左側)の平面81bの順に流れる方向を、フィルム状物F1の搬送方向とする。
【0107】
搬送面81は、中央領域Pと、一対の脇領域Q,Rと、を有してなる。
【0108】
中央領域Pには、第3実施形態に係る浮揚搬送装置69と同様、中央開口部として機能する切欠き16aが設けられていない。すなわち、中央領域Pを形成するワイヤ16には、切欠き16aが形成されていない。ワイヤ16は、搬送方向に沿うように配置される。
【0109】
各脇領域Q,Rには、それぞれ、ワイヤ17が配置されて複数の切欠き17aが設けられ、当該切欠き17aが脇開口部として機能すると共に、搬送方向に一の列となるように孔部23が設けられている。ワイヤ17は、中央領域Pに向けてエアを噴出するように、搬送方向に沿うように配置される。各孔部23は、脇領域Q,Rにおける幅方向の中心にそれぞれ設けられ、フィルム状物F1の幅方向における端部と略重なるように設定されている。すなわち、第2エアチャンバ78の各孔部23は、第1エアチャンバ77の孔部23と対向するように設けられている。
【0110】
なお、浮揚搬送装置76におけるフィルム状物F1のセンタリング動作は、第3実施形態に係る浮揚搬送装置69におけるフィルム状物F1のセンタリング動作に準ずる。
【0111】
[第8実施形態]次に、図12(A)を用いて、第8実施形態に係る浮揚搬送装置83の構成について説明する。図12(A)は、浮揚搬送装置83における搬送面86,87の断面図である。
【0112】
図12(A)に示す浮揚搬送装置83は、二つのフィルム状物F1,F2から選択された一のフィルム状物F1またはF2を、エアによって浮揚させつつ搬送する装置である。この浮揚搬送装置83は、第1エアチャンバ84と、第2エアチャンバ85と、などを備えている。第1エアチャンバ84は、一対の供給口(図示省略)と、搬送面86と、を備えている。搬送面86は、凸となる曲面と一対の平面(いずれも図示省略)とからなり、フィルム状物F1またはF2と対向する。この搬送面86は、中央領域Pと、一対の脇領域Q1,R1と、一対の中間領域T,Uと、一対の脇領域Q2,R2と、を有してなる。
【0113】
中間領域Pには、ワイヤ16が配置されて複数の切欠き16aが設けられ、当該切欠き16aが中央開口部として機能する。ワイヤ16は、搬送方向に沿うように配置される。各脇領域Q1,R1には、それぞれ、ワイヤ17が配置されて複数の切欠き17aが設けられ、当該切欠き17aが脇開口部として機能すると共に、搬送方向に一の列となるように孔部23が設けられている。ワイヤ17は、中央領域Pに向けてエアを噴出するように、搬送方向に沿うように配置される。
【0114】
各中間領域T,Uには、それぞれ、ワイヤ16が配置されて複数の切欠き16aが設けられ、当該切欠き16aが中間開口部として機能する。ワイヤ16は、搬送方向に沿うように配置される。各脇領域Q2,R2には、それぞれ、ワイヤ17が配置されて複数の切欠き17aが設けられ、当該切欠き17aが脇開口部として機能すると共に、搬送方向に一の列となるように孔部23が設けられている。ワイヤ17は、中央領域Pに向けてエアを噴出するように、搬送方向に沿うように配置される。
【0115】
第2エアチャンバ85は、供給口(図示省略)と、搬送面87と、を備えている。搬送面87は、凹となる曲面と一対の平面(いずれも図示省略)とからなる。この第2エアチャンバ85の搬送面87は、第1エアチャンバ84の搬送面86と対向して、その搬送面86と共に、フィルム状物F1またはF2が通る隙間を形成する。搬送面87は、中央領域Pと、一対の脇領域Q1,R1と、一対の中間領域T,Uと、一対の脇領域Q2,R2と、を有してなる。
【0116】
中間領域Pには、ワイヤ16が配置されて複数の切欠き16aが設けられ、当該切欠き16aが中央開口部として機能する。ワイヤ16は、搬送方向に沿うように配置される。各脇領域Q1,R1には、それぞれ、ワイヤ17が配置されて複数の切欠き17aが設けられ、当該切欠き17aが脇開口部として機能すると共に、搬送方向に一の列となるように孔部23が設けられている。ワイヤ17は、中央領域Pに向けてエアを噴出するように、搬送方向に沿うように配置される。
【0117】
各中間領域T,Uには、それぞれ、ワイヤ16が配置されて複数の切欠き16aが設けられ、当該切欠き16aが中間開口部として機能する。ワイヤ16は、搬送方向に沿うように配置される。各脇領域Q2,R2には、それぞれ、ワイヤ17が配置されて複数の切欠き17aが設けられ、当該切欠き17aが脇開口部として機能すると共に、搬送方向に一の列となるように孔部23が設けられている。ワイヤ17は、中央領域Pに向けてエアを噴出するように、搬送方向に沿うように配置される。
【0118】
なお、浮揚搬送装置83におけるフィルム状物F1,F2のセンタリング動作は、第4実施形態に係る浮揚搬送装置73におけるフィルム状物F1,F2のセンタリング動作に準ずる。
【0119】
[第9実施形態]次に、図12(B)を用いて、第9実施形態に係る浮揚搬送装置104の構成について説明する。図12(B)は、浮揚搬送装置104における搬送面107,108の断面図である。
【0120】
図12(B)に示す浮揚搬送装置104は、一のフィルム状物F1をエアによって浮揚させつつ搬送する装置である。この浮揚搬送装置104は、第1エアチャンバ105と、第2エアチャンバ106と、などを備えている。第1エアチャンバ105は、一対の供給口(図示省略)と、搬送面107と、を備えている。搬送面107は、凸となる曲面と一対の平面(いずれも図示省略)とからなり、フィルム状物F1と対向する。この搬送面107は、中央領域Pと、一対の脇領域Q,Rと、を有してなる。
【0121】
中間領域Pには、ワイヤ16が配置されて複数の切欠き16aが設けられ、当該切欠き16aが中央開口部として機能する。ワイヤ16は、搬送方向に沿うように配置される。各脇領域Q,Rには、それぞれ、ワイヤ17が配置されて複数の切欠き17aが設けられ、当該切欠き17aが脇開口部として機能すると共に、搬送方向に一の列となるように孔部23が設けられている。ワイヤ17は、中央領域Pに向けてエアを噴出するように、搬送方向に沿うように配置される。各孔部23は、脇領域Q,Rにおける幅方向の中心にそれぞれ設けられ、フィルム状物F1の幅方向における端部と略重なるように設定されている。
【0122】
第2エアチャンバ106は、一対の供給口(図示省略)と、搬送面108と、を備えている。搬送面108は、凹となる曲面と一対の平面(いずれも図示省略)とからなる。この第2エアチャンバ106の搬送面108は、第1エアチャンバ105の搬送面107と対向して、その搬送面107と共に、フィルム状物F1が通る隙間を形成する。搬送面108は、中央領域Pと、一対の脇領域Q,Rと、を有してなる。
【0123】
中間領域Pには、ワイヤ16が配置されて複数の切欠き16aが設けられ、当該切欠き16aが中央開口部として機能する。ワイヤ16は、搬送方向に沿うように配置される。各脇領域Q,Rには、それぞれ、ワイヤ17が配置されて複数の切欠き17aが設けられ、当該切欠き17aが脇開口部として機能すると共に、搬送方向に一の列となるように孔部23が設けられている。ワイヤ17は、中央領域Pに向けてエアを噴出するように、搬送方向に沿うように配置される。各孔部23は、脇領域Q,Rにおける幅方向の中心にそれぞれ設けられ、フィルム状物F1の幅方向における端部と略重なるように設定されている。
【0124】
なお、浮揚搬送装置104におけるフィルム状物F1のセンタリング動作は、第7実施形態に係る浮揚搬送装置76におけるフィルム状物F1のセンタリング動作に準ずる。
【0125】
[第10実施形態]次に、図13を用いて、第10実施形態に係る浮揚搬送装置109の構成について説明する。図13は、浮揚搬送装置109の外観斜視図である。
【0126】
図13に示す浮揚搬送装置109は、螺旋状に巻き付けた一のフィルム状物F1をエアによって浮揚させつつ搬送する装置であり、ブロア装置110,111で圧縮されたエアの供給を受けて、当該エアをフィルム状物F1に噴き付ける。
【0127】
この浮揚搬送装置109は、本体となる一対の第1エアチャンバ112と、これら一対の第1エアチャンバ112と共に本体となる一対の第2エアチャンバ113と、一対の第1エアチャンバ112にブロア装置110からのエアを供給する二対の供給管13,14と、一対の第2エアチャンバ113にブロア装置111からのエアを供給する二つの供給管114と、を備えている。
【0128】
第1エアチャンバ112は、一対の供給口(図示省略)と、搬送面115と、を備えている。搬送面115は、曲面115aと一対の平面115bとからなり、フィルム状物F1と対向する。
【0129】
搬送面115は、曲面領域Vを有してなる。この曲面領域Vには、ワイヤ16が配置されて複数の切欠き16aが設けられ、当該切欠き16aが曲面開口部として機能すると共に、搬送方向に対の列となるように孔部23が幅方向に繰り返して設けられている。ワイヤ16は、搬送方向に沿うように配置される。第1エアチャンバ112に供給されたエアは、複数の切欠き16aを通じて無方向の流れを形成して、曲面領域Vからフィルム状物F1に噴き付けられる。
【0130】
第2エアチャンバ113は、側面に設けられた供給口(図示省略)と、搬送面116と、を備えている。搬送面116は、平行四辺形(略長方形)の平面116aからなり、フィルム状物F1と対向する。平面116aは、中央領域Pと、一対の脇領域Q,Rと、を一つのセットとして、当該セットを幅方向に繰り返して有する。本実施形態では、五つのセットを繰り返す。各中央領域Pおよび各脇領域Q,Rは、それぞれ、平行四辺形(略長方形)を呈する。
【0131】
各中央領域Pには、ワイヤ16が配置されて複数の切欠き16aが設けられ、当該切欠き16aが中央開口部として機能する。ワイヤ16は、搬送方向に沿うように配置される。各脇領域Q,Rには、それぞれ、ワイヤ17が配置されて複数の切欠き17aが設けられ、当該切欠き17aが脇開口部として機能すると共に、搬送方向に一の列となるように孔部23が設けられている。ワイヤ17は、中央領域Pに向けてエアを噴出するように、搬送方向に沿うように配置される。
【0132】
一対の第1エアチャンバ112と、一対の第2エアチャンバ113とは、各第1エアチャンバ112の平面115bと、各第2エアチャンバ113の平面116aと、が連続し、すなわち、各第1エアチャンバ112の搬送面115と、各第2エアチャンバ113の搬送面116と、が連続して周面をなすように配置される。これにより、中央領域Pを基準としてフィルム状物F1を螺旋状に巻き付けることが可能となる。
【0133】
なお、浮揚搬送装置109におけるフィルム状物F1のセンタリング動作は、第1実施形態に係る浮揚搬送装置10におけるフィルム状物F1のセンタリング動作に準ずる。
【0134】
[第11実施形態]次に、図14を用いて、第11実施形態に係る浮揚搬送装置160の構成について説明する。図14は、浮揚搬送装置160の外観斜視図である。
【0135】
図14に示す浮揚搬送装置160は、螺旋状に巻き付けた一のフィルム状物F1をエアによって浮揚させつつ搬送する装置である。この浮揚搬送装置160は、本体となる一対の第1エアチャンバ157と、これら一対の第1エアチャンバ157と共に本体となる一対の第2エアチャンバ121と、二対の供給管13,14と、二つの供給管114と、を備えている。
【0136】
第1エアチャンバ157は、一対の供給口(図示省略)と、搬送面158と、を備えている。搬送面158は、曲面158aと一対の平面158bとからなり、フィルム状物F1と対向する。搬送面158は、中央領域Pと、一対の脇領域Q,Rと、を一つのセットとして、当該セットを幅方向に繰り返して有する。各中央領域Pおよび各脇領域Q,Rは、それぞれ、平面展開視で平行四辺形(略長方形)を呈する。
【0137】
各中央領域Pには、ワイヤ16が配置されて複数の切欠き16aが設けられ、当該切欠き16aが中央開口部として機能する。ワイヤ16は、搬送方向に沿うように配置される。各脇領域Q,Rには、それぞれ、ワイヤ17が配置されて複数の切欠き17aが設けられ、当該切欠き17aが脇開口部として機能すると共に、搬送方向に一の列となるように孔部23が設けられている。ワイヤ17は、中央領域Pに向けてエアを噴出するように、搬送方向に沿うように配置される。
【0138】
第2エアチャンバ121は、側面に設けられた供給口(図示省略)と、搬送面122と、を備えている。搬送面122は、平面122aからなり、フィルム状物F1と対向する。
【0139】
平面122aは、平面領域Wを有してなる。この平面領域Wには、ワイヤ16が配置されて複数の切欠き16aが設けられ、当該切欠き16aが平面開口部として機能すると共に、搬送方向に対の列となるように孔部23が幅方向に繰り返して設けられている。ワイヤ16は、搬送方向に沿うように配置される。第2エアチャンバ121に供給されたエアは、複数の切欠き16aを通じて無方向の流れを形成して、平面領域Wからフィルム状物F1に噴き付けられる。
【0140】
一対の第1エアチャンバ157と、一対の第2エアチャンバ121とは、各第1エアチャンバ157の平面158bと、各第2エアチャンバ121の平面122aと、が連続し、すなわち、各第1エアチャンバ157の搬送面158と、各第2エアチャンバ121の搬送面122と、が連続して周面をなすように配置される。これにより、中央領域Pを基準としてフィルム状物F1を螺旋状に巻き付けることが可能となる。
【0141】
なお、浮揚搬送装置160におけるフィルム状物F1のセンタリング動作は、第10実施形態に係る浮揚搬送装置109におけるフィルム状物F1のセンタリング動作に準ずる。本実施形態の浮揚搬送装置160は、一対の第2エアチャンバ121を備えているが、これら一対の第2エアチャンバ121を備えないようにしてもよい。
【0142】
[第12実施形態]次に、図15を用いて、第12実施形態に係る浮揚搬送装置125の構成について説明する。図15(A)は、浮揚搬送装置125の正面図である。図15(B)は、浮揚搬送装置125の側面図である。
【0143】
図15(A)および図15(B)に示す浮揚搬送装置125は、一のフィルム状物F1をエアによって浮揚させつつ搬送する装置である。この浮揚搬送装置125は、本体となるエアチャンバ126と、このエアチャンバ126にブロア装置11からのエアを供給する供給管127と、を備えている。
【0144】
エアチャンバ126は、直方体の形を呈する。このエアチャンバ126は、供給口(図示省略)と、搬送面128と、を備えている。供給口には、供給管127が接続される。エアチャンバ126内には、供給管127を通じて供給口から、ブロア装置11で圧縮されたエアが供給される。搬送面128は、平面128aからなり、フィルム状物F1と対向する。この搬送面128は、中央領域Pと、一対の脇領域Q,Rと、を有してなる。
【0145】
中央領域Pには、ワイヤ16が配置されて複数の切欠き16aが設けられ、当該切欠き16aが中央開口部として機能する。ワイヤ16は、搬送方向に沿うように配置される。各脇領域Q,Rには、それぞれ、ワイヤ17が配置されて複数の切欠き17aが設けられ、当該切欠き17aが脇開口部として機能すると共に、搬送方向に一の列となるように孔部23が設けられている。ワイヤ17は、中央領域Pに向けてエアを噴出すうように、搬送方向に沿うように配置される。各孔部23は、脇領域Q,Rにおける幅方向の中心にそれぞれ設けられ、フィルム状物F1の幅方向における端部と略重なるように設定されている。
【0146】
なお、浮揚搬送装置125におけるフィルム状物F1のセンタリング動作は、第1実施形態に係る浮揚搬送装置10におけるフィルム状物F1のセンタリング動作に準ずる。
【0147】
[第13実施形態]次に、図16を用いて、第13実施形態に係る浮揚搬送装置163の構成について説明する。図16は、浮揚搬送装置163の外観斜視図である。
【0148】
図16に示す浮揚搬送装置163は、螺旋状に巻き付けた一のフィルム状物F1をエアによって浮揚させつつ搬送する装置であり、ブロア装置164,165,166で圧縮されたエアの供給を受けて、当該エアをフィルム状物F1に噴き付ける。
【0149】
この浮揚搬送装置163は、本体となる第1エアチャンバ167と、この第1エアチャンバ167と共に本体となる一対の第2エアチャンバ168と、第1エアチャンバ167にブロア装置164からのエアを供給する一対の供給管13,14と、一対の第2エアチャンバ168にブロア装置165,166からのエアを供給する二対の供給管169,170と、を備えている。
【0150】
第1エアチャンバ167は、円柱形を呈する。この第1エアチャンバ167は、一対の供給口(図示省略)と、搬送面171と、を備えている。搬送面171は、円柱面171aからなり、フィルム状物F1と対向する。円柱面171aは、中央領域Pと、一対の脇領域Q,Rと、を一つのセットとして、当該セットが螺旋状を呈するように幅方向に繰り返して有する。
【0151】
中央領域Pには、ワイヤ16が配置されて複数の切欠き16aが設けられ、当該切欠き16aが中央開口部として機能する。ワイヤ16は、搬送方向に沿うように配置される。各脇領域Q,Rには、それぞれ、ワイヤ17が配置されて複数の切欠き17aが設けられ、当該切欠き17aが脇開口部として機能すると共に、搬送方向に一の列となるように孔部23が設けられている。ワイヤ17は、中央領域Pに向けてエアを噴出するように、搬送方向に沿うように配置される。各孔部23は、脇領域Q,Rにおける幅方向の中心に設けられ、フィルム状物F1の幅方向における端部と略重なるように設定されている。
【0152】
第2エアチャンバ168は、円柱形を呈する。この第2エアチャンバ168は、一対の供給口(図示省略)と、搬送面172と、を備えている。搬送面172は、円柱面172aからなり、フィルム状物F1と対向する。円柱面172aは、中央領域Pと、一対の脇領域Q,Rと、を有する。中央領域Pおよび一対の脇領域Q,Rは、それぞれ、環状を呈する。
【0153】
中央領域Pには、ワイヤ16が配置されて複数の切欠き16aが設けられ、当該切欠き16aが中央開口部として機能する。ワイヤ16は、搬送方向に沿うように配置される。各脇領域Q,Rには、それぞれ、ワイヤ17が配置されて複数の切欠き17aが設けられ、当該切欠き17aが脇開口部として機能すると共に、搬送方向に一の列となるように孔部23が設けられている。ワイヤ17は、中央領域Pに向けてエアを噴出するように、搬送方向に沿うように配置される。各孔部23は、脇領域Q,Rにおける幅方向の中心に設けられ、フィルム状物F1の幅方向における端部と略重なるように設定されている。
【0154】
第1エアチャンバ167には、中央領域Pを基準としてフィルム状物F1を螺旋状に巻き付けることが可能である。各第2エアチャンバ168には、中央領域Pを基準としてフィルム状物F1を巻き付けることが可能であり、各第2エアチャンバ168は、フィルム状物F1の搬送方向を90°転換する。
【0155】
なお、浮揚搬送装置163におけるフィルム状物F1のセンタリング動作は、第1実施形態に係る浮揚搬送装置10におけるフィルム状物F1のセンタリング動作に準ずる。
【0156】
本発明は、上記各実施形態および上記用途例に限られるものではなく、その趣旨および技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0157】
すなわち、上記各実施形態において、搬送面は、流体を噴出する複数の開口部が設けられた平面、または、断面視で円弧形をなす曲面からなるが、円柱面、楕円柱面、または、断面視で楕円弧形をなす曲面からなるようにしてもよい。
【0158】
あるいは、上記各実施形態において、互いに異なる所定の幅を有する三つ以上のフィルム状物から選択された一のフィルム状物を、浮揚させつつ搬送するようにしてもよい。この場合、各フィルム状物に対応して、孔部23を複数の列となるように設ければよい。
【0159】
あるいは、上記各実施形態において、フィルム状物F1,F2を、エアによって浮揚させつつ搬送することに代えて、水などの液体、その他の流体によって浮揚させつつ搬送するようにしてもよい。この場合、洗浄、改質、または鍍金を行う装置などに適用できる。
【0160】
あるいは、上記各実施形態および上記各用途例の構成を、可能な範囲で他の実施形態または他の用途例に適用してもよい。
【符号の説明】
【0161】
10,31,36,65,69,73,76,83,89,104,109,125,160,163,174 浮揚搬送装置
15,63,67,71,80,81,86,87,91,107,108,115,116,128,158,171,172,176 搬送面
15a,63a,67a,71a,80a,81a,86a,87a,91a,107a,108a,115a,158a,176a 曲面
15b,63b,67b,71b,80b,81b,86b,87b,91b,107b,108b,115b,116a,128a,158b,176b 平面
16,17 ワイヤ
16a,17a 切欠き
23 孔部
27 孔
F1,F2 フィルム状物
A1,A2 搬送方向
P 中央領域
Q,Q1,Q2,R,R1,R2 脇領域
W 平面領域
T,U 中間領域
V 曲面領域
L 液体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面視で平行四辺形または菱形を呈する線状体を並べて配置して、フィルム状物を搬送する搬送面を形成し、
前記搬送面に、流体を噴出して前記フィルム状物を浮揚させる複数の開口部が設けられていることを特徴とする、
浮揚搬送装置。
【請求項2】
前記線状体には、側部に複数の切欠きが形成されており、
前記切欠きを前記開口部とすることを特徴とする、
請求項1に記載の浮揚搬送装置。
【請求項3】
前記搬送面は、前記フィルム状物の幅方向中央に対応して搬送方向に延びる中央領域と、幅方向において前記中央領域の両脇にそれぞれ位置して搬送方向に延びる一対の脇領域と、を有してなり、
前記開口部として、前記一対の脇領域にそれぞれ複数設けられて前記中央領域に向けて流体を面方向に噴出する脇開口部を備えることを特徴とする、
請求項1または2に記載の浮揚搬送装置。
【請求項1】
断面視で平行四辺形または菱形を呈する線状体を並べて配置して、フィルム状物を搬送する搬送面を形成し、
前記搬送面に、流体を噴出して前記フィルム状物を浮揚させる複数の開口部が設けられていることを特徴とする、
浮揚搬送装置。
【請求項2】
前記線状体には、側部に複数の切欠きが形成されており、
前記切欠きを前記開口部とすることを特徴とする、
請求項1に記載の浮揚搬送装置。
【請求項3】
前記搬送面は、前記フィルム状物の幅方向中央に対応して搬送方向に延びる中央領域と、幅方向において前記中央領域の両脇にそれぞれ位置して搬送方向に延びる一対の脇領域と、を有してなり、
前記開口部として、前記一対の脇領域にそれぞれ複数設けられて前記中央領域に向けて流体を面方向に噴出する脇開口部を備えることを特徴とする、
請求項1または2に記載の浮揚搬送装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−40008(P2013−40008A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177813(P2011−177813)
【出願日】平成23年8月16日(2011.8.16)
【出願人】(505462507)BELLMATIC株式会社 (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月16日(2011.8.16)
【出願人】(505462507)BELLMATIC株式会社 (6)
【Fターム(参考)】
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