説明

浮桟橋埋立工法

【課題】護岸際を含む広い範囲の埋立てを可能にし、工事期間の短縮を図る。
【解決手段】護岸1で囲まれた埋立水域A内に主浮桟橋10を護岸法線に対して直角をなすように浮かべ、さらに、この主浮桟橋10に対して直角をなすように第1の副浮桟橋11を、該第1の副浮桟橋11に対して直角をなすように第2の副浮桟橋12をそれぞれ浮かべる。各可動橋4、15を介して車両を護岸1から主浮桟橋10へ、主浮桟橋10から第1の副浮桟橋11へ、第1の副浮桟橋11から第2の副浮桟橋12へ順次乗入れ、第2の副桟橋12を第1の副浮桟橋11に沿って平行移動させながら護岸際の埋立て行う。その後は、主浮桟橋10を矢印F方向へ平行移動させながら該主浮桟橋1の左舷からの埋立てを行い、第1の副浮桟橋11のほぼ長さ分だけ移動した時点で、前記第2の副浮桟橋12からの埋立てを繰返し、以降、主浮桟橋10の平行移動、第2の副浮桟橋の平行移動を繰返して埋立地を拡大する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の乗入れが可能な浮桟橋を利用して水面埋立てを行う浮桟橋埋立工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の浮桟橋埋立工法においては、図6および図7に示すように、護岸1で囲まれた埋立水域A内に浮桟橋2を護岸法線に対して直角をなすように浮かべ、護岸1と浮桟橋2との間は、浮桟橋2の一端の渡橋部3に設けた可動橋4により連絡し、該可動橋4とこれに連接する固定橋5を利用して車両(ダンプトラック)を護岸1から浮桟橋2上に乗入れて、埋立てを行うようにしていた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、浮桟橋2は、多数の台船6を相互に連結してなるもので、その左・右舷側および末端にはダンプトラックから排出された埋立材を水中へ誘導するための土砂シュート7(図6)が所定のピッチで多数配設され、さらにその左・右舷側および末端に沿う部位にはダンプトラックの移動を規制するための車止め8が設けられている。なお、各台船6上にはダンプトラックを走行させるための覆工板が敷設されているが、これについては図示を省略している。一方、渡橋部3の可動橋4は、ガントリー9の上端部を迂回させたワイヤ9aをウインチ(図示略)により操作することにより昇降駆動され、その先端部を護岸1に自重であずけた状態で位置固定されるようになっている。
【0004】
ところで、従来の浮桟橋埋立工法によれば、通常図8に示すように、浮桟橋2を相対向する一方の護岸1aと他方の護岸(対岸)1bとを結ぶように浮かべ、浮桟橋2に沿う1ラインの埋立てを終えるごとに、浮桟橋2を護岸法線の方向(矢印F方向)へ平行移動させて埋立てを繰返すようにしている。しかるに、浮桟橋2は、渡橋部3の周辺への土砂投棄ができない構造となっているため、一度に造成される埋立地Bは渡橋部3の周辺を除く範囲に限定され(図6)、この結果、護岸際である渡橋部3の移動域Cが埋立空白域(デットスペース)となっていた。そこで、従来の浮桟橋埋立工法においては、図8に示すように埋立域Aの終端(図では右端)で浮桟橋2を反転させて、戻り方向F´へ浮桟橋2を平行移動させながら、前記埋立空白域Cの追加埋立てを行うか、あるいは一方の護岸1aからダンプトラックにより護岸際に直接埋立材を水中投棄することを行っていた。
【0005】
しかしながら、上記したように浮桟橋を反転して追加埋立てを行う対策によれば、長尺の浮桟橋2を反転させなければならないため、その反転に多くの時間を要し、追加埋立てに要する時間的な延長もあって、工事期間の大幅な延長が避けられないという問題があった。また、上記したように一方の護岸からダンプトラックにより埋立材を直接投棄する方法によれば、道幅が限られかつ車止めが不完全な護岸1上でダンプトラックを転回および後退させなければならないため、安全面で大きな問題があった。
【0006】
一方、護岸形式によっては護岸上における車両通行が不能な場合があり、この場合は、護岸に沿って車両通行可能な仮設桟橋を構築し、該仮設桟橋に浮桟橋の渡橋部の可動橋を橋渡しするようにしていた(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
しかしながら、上記した仮設桟橋を構築する対策によれば、埋立水域の延長距離に相当する長さの仮設桟橋が必要になるため、その構築に多大の時間を要し、その上、施工終了後に仮設桟橋を撤去する必要もあって、工事期間の大幅な延長が避けられないという問題があった。
【0008】
【特許文献1】特開2004−353382号公報
【特許文献2】特開2004−353381号公報(図8参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたもので、その第1の課題とするところは、護岸際を含む広い範囲の埋立てを可能にして護岸際に対する追加埋立てを不要にし、もって工事期間の短縮と安全性の向上とに大きく寄与する浮桟橋埋立工法を提供することにある。また、第2の課題とするところは、護岸上における車両通行が不能な場合でも仮設桟橋なしで護岸際を含む広い範囲の埋立てを可能にし、もって工事期間の短縮に大きく寄与する浮桟橋埋立工法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記第1の課題を解決するための第1の発明は、護岸で囲まれた埋立水域内に、護岸法線に対して直角をなすように主浮桟橋を、該主浮桟橋に対して直角をなすように第1の副浮桟橋を、該第1の副浮桟橋に対して直角をなすように第2の副浮桟橋をそれぞれ浮かべ、前記護岸に前記主浮桟橋から延ばした可動橋を、該主浮桟橋に前記第1の副浮桟橋から延ばした可動橋を、該第1の副浮桟橋に前記第2の副浮桟橋から延ばした可動橋をそれぞれ橋渡しし、前記各可動橋を介して車両を護岸から主浮桟橋へ、該主浮桟橋から第1の副浮桟橋へ、該第1の副浮桟橋から第2の副浮桟橋へそれぞれ乗入れて埋立てを行い、前記主浮桟橋を護岸方線の方向へ、前記第1の副浮桟橋を前記主浮桟橋に沿う方向へ、前記第2の副浮桟橋を前記第1の副浮桟橋に沿う方向へそれぞれ平行移動させながら埋立てを繰返すことを特徴とする。
【0011】
本第1の発明においては、第1の副浮桟橋に対して第2の副浮桟橋をその末端が護岸側へ向くように浮べることで、車両を護岸から主浮桟橋を経て第1の副浮桟橋へ、さらに第1の副浮桟橋から第2の副浮桟橋へ乗入れて、護岸際の埋立てを行うことができる。したがって、主浮桟橋を護岸方線の方向へ、前記第1の副浮桟橋を主浮桟橋に沿う方向へ、前記第2の副浮桟橋を第1の副浮桟橋に沿う方向へそれぞれ平行移動させながら埋立てを繰返すことで、護岸際を含む広い範囲の埋立てを行うことができるようになる。
【0012】
本第1の発明は、上記主浮桟橋の末端を対岸近傍まで延ばし、該主浮桟橋の一方向への平行移動により埋立水域の全域の埋立てを完了させることもできる。
【0013】
上記第2の課題を解決するための第2の発明は、護岸で囲まれた埋立水域内に、護岸法線に対して直角をなすように主浮桟橋を、該主浮桟橋に対して直角をなすように第1の副浮桟橋を、該第1の副浮桟橋に対して直角をなすように第2の副浮桟橋をそれぞれ浮かべ、前記護岸に前記主浮桟橋から延ばした可動橋を、該主浮桟橋に前記第1の副浮桟橋から延ばした可動橋を、該第1の副浮桟橋に前記第2の副浮桟橋から延ばした可動橋をそれぞれ橋渡しし、前記各可動橋を介して車両を護岸から主浮桟橋へ、該主浮桟橋から第1の副浮桟橋へ、該第1の副浮桟橋から第2の副浮桟橋へそれぞれ乗入れて埋立てを行い、前記主浮桟橋の位置を固定して、前記第1の副浮桟橋を主浮桟橋に沿う方向へ、前記第2の副浮桟橋を前記第1の副浮桟橋に沿う方向へそれぞれ平行移動させながら、埋立てを繰返すことを特徴とする。
【0014】
本第2の発明においては、第1の発明と同様、第1の副浮桟橋に対して第2の副浮桟橋をその末端が護岸側へ向くように浮べることで、車両を護岸から主浮桟橋を経て第1の副浮桟橋へ、さらに第1の副浮桟橋から第2の副浮桟橋へ乗入れて、護岸際の埋立てを行うことができる。また、主浮桟橋の位置を固定して、第1の副浮桟橋を主浮桟橋に沿う方向へ、第2の副浮桟橋を第1の副浮桟橋に沿う方向へそれぞれ平行移動させながら埋立てを繰返すことで、車両乗入口が限定される場合でも、該車両乗入口に主浮桟橋を連絡することで、護岸際を含む広い範囲の埋立てを行うことができる。
【0015】
本第2の発明は、上記主浮桟橋および第1の副浮桟橋の末端を対岸近傍まで延ばし、前記第1の副浮桟橋の一方向への平行移動により埋立水域の全域の埋立てを完了させることもできる。
【発明の効果】
【0016】
第1の発明としての浮桟橋埋立工法によれば、護岸際に対する追加埋立てが不要になるので、工事期間の大幅な短縮と安全性の向上とを達成できる。
また、第1の発明において、主浮桟橋の末端を対岸近傍まで延ばし、該主浮桟橋の一方向への平行移動により埋立水域の全域の埋立てを完了させる場合は、より効率よく埋立水域の埋立てを行なうことができ、工事期間のさらなる短縮を達成できる。
【0017】
第2の発明として浮桟橋埋立工法によれば、護岸上における車両通行が不能な場合でも仮設桟橋なしで護岸際を含む広い範囲を埋立てできるので、工事期間の大幅な短縮を達成できる。
また、第2の発明において、主浮桟橋および第1の副浮桟橋の末端を対岸近傍まで延ばし、該第1の副浮桟橋の一方向への平行移動により埋立水域の全域の埋立てを完了させる場合は、より効率よく埋立水域の埋立てを行なうことができ、工事期間のさらなる短縮を達成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための最良の形態を添付図面に基いて説明する。
【0019】
図1〜4は、本発明に係る浮桟橋埋立工法の第1の実施形態を示したものである。本第1の実施形態においては、護岸1で囲まれた埋立水域A内に、護岸法線に対して直角をなすように主浮桟橋10を浮べると共に、この主浮桟橋10に対して直角をなすように第1の副浮桟橋11を、この第1の副浮桟橋11に対して直角をなすように第2の副浮桟橋12をそれぞれ浮かべる。
【0020】
主浮桟橋10は、前出図6〜8に示した従来の浮桟橋2と同じものであり、その一端側に配された渡橋部3上の可動橋4をウインチの操作で一方の護岸1aに橋渡しすることで該一方の護岸1aに対して連絡されている。主浮桟橋10の末端は、ここでは他方の護岸(対岸)1bの近傍まで延ばされており、これにより主浮桟橋10は、相対向する一方の護岸1aと他方の護岸1bとを結ぶように埋立水域A内に浮かべられている。なお、主浮桟橋10を構成する他の要素については従来の浮桟橋2と全く変わるところがないので、同一構成要素に同一符号を付して、それらの説明を省略する。
【0021】
上記第1の副浮桟橋11および第2の副浮桟橋12は、長さが異なる以外は実質同じ構造となっており、第1の副浮桟橋11の一端側には主浮桟橋10との連絡に供する渡橋部13が、第2の副桟橋12の一端側には第1の副浮桟橋11との連絡に供する渡橋部14がそれぞれ配設されている。各渡橋部13、14には、可動橋15と固定橋16とが連続して設けられるほか、前記可動橋15を昇降動させるジャッキ17が設けられている。第1、第2の副桟橋11、12は、主浮桟橋10を構成する台船6と同じサイズの台船18を連結してなっており、したがって、各副浮桟橋11、12の喫水は主浮桟橋10と同じレベルとなっている。そして、喫水が同じレベルとなっていることから、各副桟橋11、12側の可動橋15は、主浮桟橋10側の可動橋4のようにガントリー9を利用して大きく昇降させる必要がなく、前記したジャッキ17の使用で十分に足りる。また、勾配を考慮する必要がないので、可動橋15の長さを主浮桟橋10側の可動端4と比べて大幅に短かくすることができる。なお、第1、第2の副浮桟橋11、12における渡橋部13、14を除く基本構造は、主浮桟橋10と同じであるので、同一構成要素には同一符号にダッシュ(´)を付して示している。
【0022】
本浮桟橋埋立工法の実施に際しては、図1に示すように、相対向する一方の護岸1aと他方の護岸(対岸)1bとを結ぶように浮桟橋2を浮かべ、その渡橋部3の可動橋4をウインチにより操作して一方の護岸1aに橋渡す。また、同埋立水域A内に第1、第2の副浮桟橋11、12を浮かべ、比較的長さの長い第1の副桟橋11は主浮桟橋10に対して直角をなすように位置決めしてその渡橋部13の可動橋15をジャッキ17により操作して主浮桟橋10に橋渡す。一方、比較的長さの短い第2の副浮桟橋12は、第1の副桟橋11に対し、一方の護岸1a側へ末端が向くように直角に位置決めして、その渡橋部14の可動橋15をジャッキ17により操作して第1の副浮桟橋11に橋渡す。このように各浮桟橋を配置することで、主浮桟橋10は護岸法線方向F−F´へ、第1の副浮桟橋11は主浮桟橋10に沿う方向a−a´へ、第2の浮桟橋12は第1の浮桟橋11に沿う方向b−b´へそれぞれ往復移動(平行移動)できるようになる。
【0023】
埋立てに際しては、図1、4に示すように、はじめに、護岸1で囲まれた埋立水域Aの左端側(図の左端側)に位置して主浮桟橋10を浮かべ、その渡橋部3の可動橋4をウインチにより操作して護岸1(1a)に橋渡す。また、第1の副浮桟橋11は、第2の副浮桟橋12の末端が一方の護岸1aの近傍に届く位置を選択して主浮桟橋10に対して位置決めし、その渡橋部13の可動橋15を主浮桟橋10に橋渡す。一方、第2の副浮桟橋11は、第1の副浮桟橋11の渡橋部13に近い側の待機位置に位置決めし、その渡橋部14の可動橋15を第1の副浮桟橋11に橋渡す。
【0024】
そして、ダンプトラックを護岸1(1a)から可動橋4を介して主浮桟橋10に乗入れ、さらに、可動橋15を介して主浮桟橋10から第1の副浮桟橋11へ、第1の副浮桟橋11から第2の副浮桟橋12へ順次乗入れ、該第2の副浮桟橋12の周りに埋立材を埋立てる。この第2の副桟橋12からの埋立ては、該第2の副桟橋12を第1の副浮桟橋11に沿う方向すなわち護岸法線に沿う一方向bへ所定のピッチで平行移動させながら繰返し、これによって護岸際には、図4に示すように、第1の副浮桟橋1のほぼ全長に相当する範囲の埋立地B1が造成される。
【0025】
次に、主浮桟橋10の左舷から護岸1に沿う領域に埋立材を水中投棄し、その後、主浮桟橋10を護岸法線に沿う一方向Fへ所定のピッチで平行移動させながらその左舷からの埋立てを繰返し、これにより主浮桟橋1の移動跡には埋立地Bが造成される。この主浮桟橋10からの埋立ては、上記した護岸際の埋立地B1の先端とほぼ同じ位置まで埋立地Bが拡大した段階で一旦中止する。そして、この位置で第2の副浮桟橋12を第1の浮桟橋11に対する待機位置に戻し、その後、ダンプトラックを主浮桟橋10から第1の副浮桟橋11へ、さらに第1の副浮桟橋11から第2の副浮桟橋12へと乗入れて第2の副浮桟橋12からの埋立てを再開する。この再開時の埋立ては、最初の埋立てと同様、第2の副浮桟橋12を護岸法線に沿う一方向bへ平行移動させながら繰返し、これによって護岸際に沿って上記埋立地B1とほぼ同じ大きさの埋立地が新たに造成される。
【0026】
以降、上記した主浮桟橋10からの埋立て並びに第2の副浮桟橋12からの埋立てを繰返し、埋立水域Aの右端側へ埋立地B(B1)の造成範囲を拡大する(図4)。そして、埋立水域Aの右端側では、先ず、第2の副浮桟橋12を平行移動させながら護岸際の埋立てを完了させ、次いで、第1の副浮桟橋11を対岸1bの方向a(図1参照)へ所定のピッチ(第2の副浮桟橋12の長さ分)で平行移動させながら、前記第2の副浮桟橋12からの埋立てを繰返し、最終的に第1の浮桟橋11の片舷側から埋立材を水中投棄して、対岸1bに沿う領域への埋立てを行う。これにより、主浮桟橋10の渡橋部3の移動域C(図8)である護岸際を含む埋立水域Aの全域の埋立てが完了する。
【0027】
なお、埋立水域が広い場合は、主浮桟橋10を反転して残りの水域の埋立てを行うことになるが、この場合においても、上記した主浮桟橋10と、第1の副浮桟橋11と第2の副浮桟橋12との接続関係を維持するようにする。
【0028】
図5は、本発明に係る浮桟橋埋立工法の第2の実施形態を示したものである。なお、本第2の実施形態で用いる主浮桟橋10、第1の副浮桟橋11および第2の副浮桟橋12の基本構造並びにそれらの接続関係は上記第1の実施形態と同じであるので、ここでは、同一部分に同一符号を付し、重複する説明を省略する。本第2の実施形態は、護岸1上での車両通行が不能で、かつ埋立水域Aの片隅の一箇所にしか車両乗入口20がないことを前提にしており、主浮桟橋10は該車両乗入口20に連絡可能な埋立水域Aの左端側に位置固定されている。また、第1の副浮桟橋11は、埋立水域Aの左端側に位置固定した主浮桟橋10から埋立水域Aの右端近傍まで届くようにその全長が設定されている。
【0029】
埋立てに際しては、埋立水域Aの左端側に主浮桟橋10を位置固定した後、その渡橋部3の可動橋4をウインチにより操作して上記車両乗入口20に通じる箇所に橋渡す。一方、第1の副浮桟橋11は、第2の副浮桟橋12の末端が一方の護岸1aの近傍に届く位置を選択して、主浮桟橋10に対して位置決めし、その渡橋部13の可動橋15を主浮桟橋10に橋渡す。また、第2の副浮桟橋12は、第1の副浮桟橋11の渡橋部13に近い側の待機位置に位置決めし、その渡橋部14の可動橋15を第1の副浮桟橋11に橋渡す。
【0030】
そして、ダンプトラックを前記車両乗入口20から可動橋4を介して主浮桟橋10に乗入れ、さらに、可動橋15を介して主浮桟橋10から第1の副浮桟橋11へ、第1の副浮桟橋11から第2の副浮桟橋12へ順次乗入れ、該第2の副浮桟橋12の周りに埋立材を埋立てる。この第2の副桟橋12からの埋立ては、該第2の副桟橋12を第1の副浮桟橋11に沿う方向すなわち護岸法線に沿う一方向bへ所定のピッチで平行移動させながら繰返し、これによって護岸際には、第1の副浮桟橋11のほぼ全長に相当する範囲の埋立地が造成される。この場合、第1の副浮桟橋11は、その末端が埋立水域Aの右端近傍まで延ばされているので、護岸1aに沿う全域の埋立てが完了する。なお、この第2の副浮桟橋12からの埋立てと前後してまたは並行して、主浮桟橋10の左舷から埋立材を水中投棄して、埋立水域Aの左端側の埋立てを完了させる。
【0031】
次に、主浮桟橋10の位置を固定したまま、第1の副浮桟橋11を対岸1bの方向へ所定のピッチ(第2の副浮桟橋12の長さ分)だけ平行移動させ、その位置で第2の副浮桟橋12を第1の浮桟橋11に対する待機位置に戻す。そして、ダンプトラックを主浮桟橋10から第1の副浮桟橋11へ、さらに第1の副浮桟橋11から第2の副浮桟橋12へと乗入れて第2の副浮桟橋12からの埋立てを再開する。この再開時の埋立ては、最初の埋立てと同様、第2の副浮桟橋12を護岸法線に沿う一方向bへ平行移動させながら繰返し、これによって護岸際に沿って上記埋立地とほぼ同じ大きさの埋立地が新たに造成される。以降、第1の副浮桟橋11を平行移動させるごとに、第2の副浮桟橋12からの埋立てを繰返し、最終的に第1の浮桟橋11の片舷側から対岸1bに沿う領域への埋立材の水中投棄を行う。これにより、主浮桟橋10の渡橋部3の移動域C(図8)である護岸際を含む埋立水域Aの全域の埋立てが完了する。
【0032】
なお、上記第2の実施形態においては、埋立水域Aの片隅に車両乗入口20が存在する場合について説明したが、埋立水域Aの中間位置(護岸1aの中間位置)に車両乗入口が存在する場合は、該車両乗入口に対して連絡させるように位置固定した主浮桟橋の両側に、上記のように組合せた第1、第2の副浮桟橋11、12の対を配設することで、同様に埋立水域の全域の埋立てを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る浮桟橋埋立工法の第1の実施形態を示す平面図である。
【図2】本第1の実施形態における主浮桟橋と副浮桟橋との接続状態を示す平面図である。
【図3】本第1の実施形態における主浮桟橋と副浮桟橋との接続状態を示す側面図である。
【図4】本第1の実施形態の全体的な施工状況を示す平面図である。
【図5】本発明に係る浮桟橋埋立工法の第2の実施形態を示す平面図である。
【図6】従来の浮桟橋埋立工法の実施形態を示す平面図である。
【図7】従来の浮桟橋の渡橋部の構造を示す側面図である。
【図8】従来の浮桟橋埋立工法による全体的な施工状況を示す平面図である。
【符号の説明】
【0034】
1(1a,1b) 護岸
3 主浮桟橋の渡橋部
4 主浮桟橋の可動橋
10 主浮桟橋
11 第1の副浮桟橋
12 第2の副浮桟橋
13 第1の副浮桟橋の渡橋部
14 第2の副浮桟橋の渡橋部
15 副浮桟橋の渡橋部の可動橋
17 ジャッキ
20 車両乗入口
A 埋立水域
B 埋立地

【特許請求の範囲】
【請求項1】
護岸で囲まれた埋立水域内に、護岸法線に対して直角をなすように主浮桟橋を、該主浮桟橋に対して直角をなすように第1の副浮桟橋を、該第1の副浮桟橋に対して直角をなすように第2の副浮桟橋をそれぞれ浮かべ、前記護岸に前記主浮桟橋から延ばした可動橋を、該主浮桟橋に前記第1の副浮桟橋から延ばした可動橋を、該第1の副浮桟橋に前記第2の副浮桟橋から延ばした可動橋をそれぞれ橋渡しし、前記各可動橋を介して車両を護岸から主浮桟橋へ、該主浮桟橋から第1の副浮桟橋へ、該第1の副浮桟橋から第2の副浮桟橋へそれぞれ乗入れて埋立てを行い、前記主浮桟橋を護岸方線の方向へ、前記第1の副浮桟橋を前記主浮桟橋に沿う方向へ、前記第2の副浮桟橋を前記第1の副浮桟橋に沿う方向へそれぞれ平行移動させながら埋立てを繰返すことを特徴とする浮桟橋埋立工法。
【請求項2】
前記主浮桟橋の末端を対岸近傍まで延ばし、該主浮桟橋の一方向への平行移動により埋立水域の全域の埋立てを完了させることを特徴とする請求項1に記載の浮桟橋埋立工法。
【請求項3】
護岸で囲まれた埋立水域内に、護岸法線に対して直角をなすように主浮桟橋を、該主浮桟橋に対して直角をなすように第1の副浮桟橋を、該第1の副浮桟橋に対して直角をなすように第2の副浮桟橋をそれぞれ浮かべ、前記護岸に前記主浮桟橋から延ばした可動橋を、該主浮桟橋に前記第1の副浮桟橋から延ばした可動橋を、該第1の副浮桟橋に前記第2の副浮桟橋から延ばした可動橋をそれぞれ橋渡しし、前記各可動橋を介して車両を護岸から主浮桟橋へ、該主浮桟橋から第1の副浮桟橋へ、該第1の副浮桟橋から第2の副浮桟橋へそれぞれ乗入れて埋立てを行い、前記主浮桟橋の位置を固定して、前記第1の副浮桟橋を主浮桟橋に沿う方向へ、前記第2の副浮桟橋を前記第1の副浮桟橋に沿う方向へそれぞれ平行移動させながら、埋立てを繰返すことを特徴とする浮桟橋埋立工法。
【請求項4】
前記主浮桟橋および第1の副浮桟橋の末端を対岸近傍まで延ばし、前記第1の副浮桟橋の一方向への平行移動により埋立水域の全域の埋立てを完了させることを特徴とする請求項3に記載の浮桟橋埋立工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−74290(P2009−74290A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−244000(P2007−244000)
【出願日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(000222668)東洋建設株式会社 (131)
【Fターム(参考)】