説明

浮遊性セラミックボールの製造方法

【課題】産業廃棄物を含む無機物原料と有機物原料を使用して、水・液に浮遊するセラミックボールを製作、提供すること。
【解決手段】セラミックボールの中を空洞にし、全体の比重を軽くさせる事により、浮遊性とする。効率的な生産方式によりセラミックボールの外径と比重の要求値を満たすよう、随時製作し且つ大量生産も可能となる。このセラミックボールに各種の機能性材料をコートして、浮遊性セラミックボールの機能効果を、最大限発揮させる。構成は、1.核となる小球は有機物又は無機物。 2.外殻部は無機物又は廃棄物を含む無機物(無機物:セラミックス原料・廃棄物原料)。 3.外殻の内部は有機物又は有機物と無機物の混合物(無機物:粘土・ベントナイト・セピオライト・珪酸ソーダ・珪藻土・その他廃棄物等、有機物:クルミ殻・活性炭・石炭・コーンスターチ・樹脂片・木片・木炭・CMC・PVA等)。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
「産業上の利用分野」
外殻内部の有機物原料と外殻部の無機物原料には、産業廃棄物の使用が可能である。機能性の浮遊性セラミックボールは液面上に浮かせ、その機能を有効に発揮する。浮遊性セラミックボール並びに非酸化焼成での浮遊性セラミックボールに、光触媒酸化チタンをコートしたものは、大気・水面・水中の汚染浄化に利用する。浮遊性セラミックボールに無機蛍光材料をコートしたものは、水面の景観材として利用する。浮遊性セラミックボールにグラフト重合酸化エチレン系脱臭剤をコートしたものは、液の臭い・水中からの悪臭を捕捉するのに利用する。
【0002】
「従来の技術」
一般的な浮遊性セラミックボールは比重を1以下にする必要性から、ボール全体を軽石の如く、内部に多数の独立気泡を形成し浮遊性とする。又、従来の浮遊性中空セラミックボールは金型成形法・鋳込み成形法にて製作される。光触媒酸化チタンをコートした一般のセラミックボールは、比重が重く、水底に固定設置して使用する。
【0003】
「発明が解決しようとする課題」
従来の製法では、中空成形をするためには成形過程で形の保持の為、一定の強度となるよう殻部を肉厚としなければならない。本発明の製造方法では基材表面にコートを行うので強度は必要なく、肉薄であっても良い。同様に従来の製法では、外径寸法に合わせた金型・石膏型にて製作するので、その寸法の製品しか製作出来ない。原料の切り換えが容易に出来ない。又、金型・石膏型の個数に限定して製作されるので、大量生産には向いていない。
本発明の製造方法では、要求される寸法のものを任意に製作し、費用を掛けずに量産が可能なので、製造コストを大幅に下げる事が出来る。又、原料の切り換えが容易で、小ロット多品種に対応出来る。ボールの比重を、殻材料の量を変えるだけで要求数値に製作出来るので、水面上の浮きの位置決めも可能になり、利用範囲が広がる。セラミックボールにコートされた光触媒酸化チタンは、太陽光・蛍光灯の光の照射により活性化し、有機汚染物質を分解する。比重が重く、固定設置される従来のものは照射面が限定される。ボールを動き易くして、全面に光が照射される浮遊性セラミックボールとする。
【0004】
「発明が解決しようとする手段」
中心核として任意の小球を得る。材質、外観、品質を問わない。必要数の小球を回転しながら、率として多い有機物粒子又は有機物細片と無機物粒子とを混合し、水を媒介として目的とする寸法までコートする。外殻部には無機物原料を、水を媒介としてコートする。その後乾燥を行う。焼成過程において全体量を200〜450℃にて加温を続ければ、内部の有機物の一部又は大部分はガス化し空洞となる。更に外殻部を無機物原料に最適の温度まで昇温する。仕上がったボールは軽量となり、浮遊性のセラミックボールの製作を完了する。
【0005】
「発明の効果」
機能性セラミックボールは液面上に浮かせ、その機能により液に対して有効に働く。酸化チタンをコートしたセラミックボールは太陽光・蛍光灯の光の照射により、大気浄化を行う。又、水面・水中の有機汚染物質を分解浄化する。非酸化焼成で製作したボールは、木炭による吸着機能と光触媒作用を兼ね備えている。蛍光材料をコートしたセラミックボールは、ブラックライトの照射で景観材としての利用がある。グラフト重合酸化エチレン系の脱臭剤をコートしたセラミックボールは、液の臭い、水底で発生し浮き出てきたガス類を捕捉する。これらのセラミックボールは、製作工程上、比重を容易に調整出来るので、水面の浮きの位置を適宜設定出来る。以上の浮遊性セラミックボールは、僅かな風、水の流れ、動きによって球体が活発に動き回り、それらの持つ機能の効力を充分に発揮する。利用場所は河川・池・用水路・屋外プール・上水場・下水処理場・養殖池・浴槽等がある。球体の径・材料を変えての製作が容易なので小ロット多品種に対応が出来る。繊維状の網袋に平面的に充填した球体は一度に回収交換出来、作業性が良い。
【図面の簡単な説明】
「図1」 本発明の浮遊性セラミックボールの製品の断面図である。
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機物原料又は有機物原料にて核となる小球を作成し、回転させながら有機物原料と無機物原料との混合物を、水を媒体として均一にコートする。目的とする寸法まで同様の作業を行い、基材を製作する。その後、無機物原料を基材表面に均一にコートし、外殻部を製作する。乾燥した後、焼成を行う。この焼成過程では、200〜450℃の範囲で内部の有機物の一部又は大部分をガス化して、その部分を空洞にする。その後、外殻部の無機物原料に最適な温度まで昇温を行って、浮遊性のセラミックボールの製作を完了する。
【請求項2】
「請求項1」の無機物原料を基材表面に均一にコートし、外殻部を製作した後、600〜700℃にて非酸化焼成を行い、浮遊性セラミックボールを製作する。
【請求項3】
「請求項1」のボールの表面に機能性材料をコートする。
I.光触媒酸化チタンをコートし、600〜700℃にて焼成を行う。
II.調整された無機蛍光材料をコートし、600〜800℃にて焼成を行う。
III.グラフト重合酸化エチレン系脱臭剤を溶融コートする。

【公開番号】特開2006−188030(P2006−188030A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−29712(P2005−29712)
【出願日】平成17年1月7日(2005.1.7)
【出願人】(599034480)山増電機製陶株式会社 (2)
【Fターム(参考)】