説明

浴室内汚染ガラス面再生処理方法、および再生ガラス面保守方法

【課題】 浴室などの水廻りに設置されて水垢などの汚れが強固に付着してしまったガラスや鏡などのガラス表面から効率的に汚れを除去し、樹脂フィルムで保護するようにして、新品と同等の光沢感と透明感とを得られるように加工可能とする新たな再生処理技術を提供する。
【解決手段】 浴室内に設置して汚れた鏡ガラス1面の表面10に研磨機を用いて万遍なく研磨処理Bを施し、強固に付着しているウロコ状物2,2,……を除去した後、同ガラス面表面10に顕微鏡的には残存してしまうウロコ状物微細凹凸痕20,20,……の凹凸厚み寸法よりも厚い透明接着剤層5を塗布処理するか、または積層処理するかの何れか一方とした耐水垢性の透明樹脂フィルム4の同透明接着剤層5がわをガラス面表面10に積層、貼着処理Eするようにしてなる浴室内汚染ガラス面再生処理方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ガラスや鏡などのガラス表面の汚れを除去して再生する技術に関するものであり、特に、浴室で利用されて汚れたガラスや鏡などを再生処理する技術分野は勿論のこと、その処理作業に必要となる設備、器具、資材、薬剤類を提供、販売する分野から、それら資材や薬剤、機械装置、部品類に必要となる素材、例えば、木材、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野などの外、現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
【背景技術】
【0002】
(着目点)
浴室や洗面台などに設置されたガラスや鏡などは、利用および清掃の頻度によって異なるものの、一般的に使用開始から数ヶ月程度で、表面が白く曇り、拭き掃除などでは落とすことのできない魚のウロコ状シミのような無数の汚れが付着してしまい、見た目が悪いだけではなく、透視性や写し出し効果に問題を生じさせることとなるが、その原因物質である白い汚れの正体は、水に含まれるカルシウムや硅素成分が乾燥し、その上にボディソープやシャンプーなどの石鹸滓や皮脂汚れが飛び散り白く固形化したものであって、一般に「ウロコ汚れ」と呼ばれており、非常に硬く結晶化していて市販のスポンジなどを用いた洗浄程度では、なかなか落とすことができない厄介ものである。
【0003】
このようなガラスや鏡表の面に付着したウロコ汚れは、毎日のこまめな清掃を施していたとしても完全に解消することは不可能のようであり、例えば、スポンジの硬い面や金束子などで擦り洗いしたり、研磨剤入りの洗剤またはサンドペーパーなどを用いて研磨、洗浄するようにしたりするなどと、かなり手荒な手段を併用して実施しないと実質的な効果を得るまでに至らないが、しかし、こうした手荒な手段を漫然とやり過ぎてしまうと、ガラス表面に細かい傷を付けて折角の透明性や光沢性に支障を来してしまうことなって逆にガラス素材としての新たな問題を生じさせてしまうなど、新品同様の透明感あるガラス表面に再生、回復することは実質的に困難となり、結局のところ、新しいガラスや鏡に交換するしか有効な解決手段がないような実態となってしまっているのが実情といえる。
【0004】
一般家庭であれば、10年ないし数十年程度の長期利用後に、水廻りの改装や改築などに伴い、新品のガラスや鏡などに交換可能ではあるものの、それが、例えば、温泉や銭湯、プールなどの大規模施設の水廻りに設置されているガラスや鏡となっくると、その枚数および面積が一般家庭とは比較にならないほど桁外れに大きなものとなってしまうだけではなく、その利用頻度も、多くの来場者によるものとなって日々極めて高く、したがって汚れの蓄積が早期の中に夥しく進行してしまうという特徴がある上、それが公共性の高い施設であれば、特に公衆衛生上の観点からも清潔感が重視されることとなって、その殆どの施設では新品設置後、約1年ほどで再び新品に交換し直さなければならず、毎年多額の経費を繰り返し捻出せざるを得ないことになってしまう。
【0005】
このように、毎年、多くのガラスや鏡を一斉に新品に交換してしまうような管理、運営方法では、大きな経済的負担となって各種施設の経営を次第に圧迫していくだけではなく、撤去したガラスの廃棄、リサイクル処理にも多大な費用とエネルギーとを浪費してしまい、不経済なばかりでなく自然環境にも好ましくない悪影響を及ぼすことが懸念され、できることならば新品への交換サイクルを長期化し、経費の節減と自然環境保護との双方に貢献できるようにするのが望ましいとの考えもあって、設置済みとなっているガラスや鏡が汚れてしまった場合でも、安易に新品に交換することをせず、一定期間毎に専門業者に委託して水垢などのガラス表面に付着した汚れを研磨、洗浄処理し、ガラス表面を清潔感のある新品のような清麗な状態に維持、管理可能とする手段を選択するようにし、その要望に応えようとする技術も現実に存在してきている。
【0006】
(従来の技術)
こうした要望を叶えようとするものとして、例えば、下記の特許文献1(1)に示されている発明に代表されるように、ガラスや水垢と成分が略一致する酸化硅素成分を多量に含む火山灰土を主材とした垢落し具を用い、ガラス表面を摩擦するだけでガラス表面を傷付けることなく、表面に付着した水垢を除去可能とする技術や、同特許文献1(2)および同特許文献1(3)各発明に提案されているものに見られるような、所定の貯蔵弾性率および鏡面光沢度に設定した単層からなる基材フィルムの貼着面に粘着剤層を形成した高光沢粘着シートをガラス表面に貼着し、屋外等で使用した場合にも砂塵等によって凹凸が生じ難く、高い光沢度と良好な外観とを維持可能とするものなどといったものが散見される。
【0007】
しかし、前者特許文献1(1)発明に示されているような水垢などのウロコ汚れを、研磨によって除去する技術は、作業の進め方や、清掃用具や研磨機などの使用の影響を受け易く、ガラス表面に全く傷を付けずにウロコ汚れのみを完全に除去することは非常に困難であり、新品のガラスや鏡と同等の光沢や透明感が得られるように研磨処理するには永年の経験と勘、コツを要することとなり、僅かな処理の誤りでも、一旦ガラス表面に傷付けてしまえば、新品のガラスや鏡に交換せざるを得なくなってしまうという致命的な欠点を抱えており、また、後者の特許文献1(2)や同特許文献1(3)発明に代表するガラス保護用の樹脂製シートのようなものは、専ら新品、無傷のガラス表面に装着して砂塵などの吹き付けによるガラス表面への傷付きを防止可能にするというのが主眼であり、一旦汚染してしまった後のガラス表面に装着して再生処理するのを目的とするものではなく、ウロコ汚れの付着したままの使用済みガラス表面に貼着してしまうと、ガラス表面と樹脂製フィルムとの間に水垢や塵埃、石鹸滓などの異物が入り込み、気泡が発生し易く、新品ガラスと同等の透明感や光沢感を得ることは全く不可能となってしまうものであった。
【特許文献1】(1)特開平11−245168号公報 (2)特開2007−269927号公報 (3)特開2007−269928号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
(問題意識)
上述したとおり、従前までに提案のあるガラス用の各種研磨剤は、浴室などに設置したガラス表面に強固に付着したウロコ汚れを、同ガラス表面への傷付きを防止しながら効果的に除去可能とするものであったが、研磨処理に熟練の高度な技術を要するだけではなく、研磨処理後は、再び新たな水垢や油汚れなどの付着を避けられないという致命的な欠点があり、また、屋外に向けられたガラス表面に予め樹脂フィルムを貼着して吹き付ける砂塵などによる傷を防止しようとするような処理にも、汚れや異物に起因する気泡を発生したり、傷や油汚れによる光の散乱を発生したりする可能性は高く、新品同様の透明感と光沢感とを維持し続けることも難しく、さらに、汚れの付着したガラス表面を研磨して単に樹脂フィルムを単に貼着処理しただけのものでは、研磨処理痕や薄いウロコ汚れなどが残存して高品質な外観を得られないという欠点があることから、浴室など水廻りへの設置によって水垢が強固に付着してしまったガラスや鏡を撤去することなく、新品と同等の品質に再生処理可能とする技術については未だ有効なものが存在していない。
【0009】
(発明の目的)
そこで、この発明は、浴室などの水廻りに設置されて水垢などの汚れが強固に付着してしまったガラスや鏡などのガラス表面から効率的に汚れを除去し、樹脂フィルムで保護するようにして、新品と同等の光沢感と透明感とを得られるように加工可能とする新たな再生処理技術の開発はできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造の浴室内汚染ガラス面再生処理方法を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の構成)
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明の浴室内汚染ガラス面再生処理方法は、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、水に含まれるカルシウムや硅素成分が乾燥、堆積したものの上に、ボディソープ、シャンプーの石鹸滓や皮脂汚れなどが飛び散って白く結晶化して不規則なウロコ状物で見難くなっている浴室内の鏡ガラスや窓ガラス面の表面に対し、パッドに研磨液を付けた研磨機の万遍ない押し当て操作の繰り返し処理により、当該ガラス面表面に頑固に付着していたウロコ状物を研磨、除去して外観上で見え辛い現象を解消した後、当該ガラス面表面を十分に乾燥させた上で、外観上では支障ないものの顕微鏡的には残存してしまうウロコ状物微細凹凸痕を有する同ガラス面表面に、耐水垢性の透明樹脂フィルムが、当該微細凹凸痕の凹凸厚み寸法よりも厚い透明接着剤層を塗布処理するか、予め同凹凸厚み寸法よりも厚い透明接着剤層を積層処理しておくかの何れ一方とした同透明接着剤層がわを、気泡や水分、塵埃などの異物を侵入、残存させることなく積層、貼着処理されるようにし、それらガラス面表面と透明樹脂フィルムとの間を、当該透明接着剤による分子間結合と堆積物微細凹凸痕内への錨着構造とによって強固な積層、一体化を達成すると共に、同積層境界部分を、未使用ガラス板と同等程度の透明度ならびに屈折率を達成して光学的に一体状となるようにした構成を要旨とする浴室内汚染ガラス面再生処理方法である。
【0011】
この基本的な構成からなる浴室内汚染ガラス面再生処理方法を、より具体的に示すと、水に含まれるカルシウムや硅素成分が乾燥、堆積したものの上に、ボディソープ、シャンプーの石鹸滓や皮脂汚れなどが飛び散って白く結晶化して不規則なウロコ状物で見難くなっている浴室内の鏡ガラスや窓ガラス面の表面に対し、パッドに研磨液を付けた研磨機の万遍ない押し当て操作の繰り返し処理により、当該ガラス面表面に頑固に付着していたウロコ状物を研磨、除去して外観上で見え辛い現象を解消した後、当該ガラス面表面を十分に洗浄、乾燥させた上で、顕微鏡的には残存してしまうウロコ状物微細凹凸痕および/または研磨凹凸痕を有する同ガラス面表面に、耐水垢性の透明樹脂フィルムが、当該微細凹凸痕および/または研磨凹凸痕の凹凸厚み寸法よりも厚い透明接着剤層を塗布処理するか、予め同凹凸厚み寸法よりも厚い透明接着剤層を積層処理しておくかの何れ一方とした同透明接着剤層がわを、気泡や水分、塵埃などの異物を侵入、残存させることなく積層、貼着処理されるようにし、それらガラス面表面と透明樹脂フィルムとの間を、当該透明接着剤による分子間結合と堆積物微細凹凸痕内への錨着構造とによって強固に積層、一体化すると共に、当該微細凹凸痕および/または研磨凹凸痕に起因する光の散乱現象の消去を達成可能とした上、同積層境界部分を、未使用ガラス板と同等程度の透明度ならびに屈折率を達成して光学的に一体状となるようにした構成からなる浴室内汚染ガラス面再生処理方法となる。
【0012】
表現を変えて示すと、水に含まれるカルシウムや硅素成分が乾燥、堆積したものの上に、ボディソープ、シャンプーの石鹸滓や皮脂汚れなどが飛び散って白く結晶化して不規則なウロコ状物で見難くなっている浴室内の鏡ガラスや窓ガラス面の表面に対し、食用酢と食塩を2:1の割合で混合したものを塗布するか、濃度10%以下の塩酸溶液を塗布するか、汚れの付着がより強い場合には、濃度20%以下のフッ化水素酸を塗布するか、または、非常に強く付着した汚れの場合には、何れの濃度も10%以下のフッ化水素酸と塩酸とを1:1の割合で混合したものを塗布するかの何れか1つか、もしくは、それら何れか適宜選択した溶液塗布の間に濯ぎ洗いを挟み、互いに前後するよう順次、組み合わせた作業工程かの何れか一方からなる化学的洗浄処理を行うと共に、それら化学的処理のみで不十分な場合にのみブラッシングなどの物理的、補助洗浄処理を付加した後、充分に濯ぎ洗いしてから当該ガラス面表面を十分に乾燥させた上で、顕微鏡的には残存してしまうウロコ状物微細凹凸痕を有する同ガラス面表面に、耐水垢性の透明樹脂フィルムが、当該微細凹凸痕の凹凸厚み寸法よりも厚い透明接着剤層を塗布処理するか、予め同凹凸厚み寸法よりも厚い透明接着剤層を積層処理しておくかの何れ一方とした同透明接着剤層がわを、気泡や水分、塵埃などの異物を侵入、残存させることなく積層、貼着処理されるようにし、それらガラス面表面と透明樹脂フィルムとの間を、当該透明接着剤による分子間結合と堆積物微細凹凸痕内への錨着構造とによって強固に積層、一体化すると共に、当該微細凹凸痕に起因する光の散乱現象の消去を達成可能とした上、同積層境界部分を、未使用ガラス板と同等程度の透明度ならびに屈折率を達成して光学的に一体状となるようにした構成からなる浴室内汚染ガラス面再生処理方法となる。
【0013】
さらに、別の表現で示すと、水に含まれるカルシウムや硅素成分が乾燥、堆積したものの上に、ボディソープ、シャンプーの石鹸滓や皮脂汚れなどが飛び散って白く結晶化して不規則なウロコ状物で見難くなっている浴室内の鏡ガラスや窓ガラス面の表面に対し、パッドに研磨液を付けた研磨機の万遍ない押し当て操作の繰り返し処理により、当該ガラス面表面に頑固に付着していたウロコ状物を研磨、除去して外観上で見え辛い現象を解消した後、当該ガラス面表面を十分に洗浄する研磨処理作業の前後何れか一方にて、食用酢と食塩を2:1の割合で混合したものを塗布するか、濃度10%以下の塩酸溶液を塗布するか、汚れの付着がより強い場合には、濃度20%以下のフッ化水素酸を塗布するか、または、非常に強く付着した汚れの場合には、何れの濃度も10%以下のフッ化水素酸と塩酸とを1:1の割合で混合したものを塗布するかの何れか1つか、もしくは、それら何れか適宜選択した溶液塗布の間に濯ぎ洗いを挟み、互いに前後するよう順次、組み合わせた作業工程かの何れか一方からなる化学的洗浄処理を行うと共に、それら化学的処理のみで不十分な場合にのみブラッシングなどの物理的、補助洗浄処理を付加した後、充分に濯ぎ洗いするものとし、それら研磨処理作業と化学的洗浄処理とを終えてから、当該ガラス面表面を十分に乾燥させた上で、顕微鏡的には残存してしまうウロコ状物微細凹凸痕および/または研磨凹凸痕を有する同ガラス面表面に、耐水垢性の透明樹脂フィルムが、当該微細凹凸痕および/または研磨凹凸痕の凹凸厚み寸法よりも厚い透明接着剤層を塗布処理するか、予め同凹凸厚み寸法よりも厚い透明接着剤層を積層処理しておくかの何れ一方とした同透明接着剤層がわを、気泡や水分、塵埃などの異物を侵入、残存させることなく積層、貼着処理されるようにし、それらガラス面表面と透明樹脂フィルムとの間を、当該透明接着剤による分子間結合と堆積物微細凹凸痕内への錨着構造とによって強固に積層、一体化すると共に、当該微細凹凸痕および/または研磨凹凸痕に起因する光の散乱現象の消去を達成可能とした上、同積層境界部分を、未使用ガラス板と同等程度の透明度ならびに屈折率を達成して光学的に一体状となるようにした構成からなる浴室内汚染ガラス面再生処理方法となる。
【0014】
(関連する発明)
上記した浴室内汚染ガラス面再生処理方法に関連し、この発明には、同再生処理方法によって再生したガラス面が、老朽化または破損、汚損などした場合に効率的なメンテナンスを可能とする再生ガラス面保守方法も包含している。
即ち、この発明の基本をなす前記浴室内汚染ガラス面再生処理方法にて浴室内の鏡ガラスや窓ガラスのガラス面表面に貼着した透明樹脂フィルムが老朽化、または、破損、汚損などした場合に、当該既存の透明樹脂フィルムをその透明粘着剤層諸共、完全に剥脱した後、当該ガラス面表面を充分に洗浄してから乾燥させた上で、顕微鏡的には残存しているウロコ状物微細凹凸痕および/または研磨凹凸痕を有する同ガラス面表面に、新たな耐水垢性の透明樹脂フィルムが、当該微細凹凸痕および/または研磨凹凸痕の凹凸厚み寸法よりも厚い透明接着剤層を塗布処理するか、予め同凹凸厚み寸法よりも厚い透明接着剤層を積層処理しておくかの何れ一方とした同透明接着剤層がわを、気泡や水分、塵埃などの異物を侵入、残存させることなく積層、貼着処理されるようにし、それらガラス面表面と新たな透明樹脂フィルムとの間を、当該透明接着剤による分子間結合と堆積物微細凹凸痕内への錨着構造とによって強固な積層、一体化すると共に、当該微細凹凸痕および/または研磨凹凸痕に起因する光の散乱現象の消去を達成可能とした上、同積層境界部分を、未使用ガラス板と同等程度の透明度ならびに屈折率を達成して光学的に一体状となるようにし、再度透明樹脂フィルムが老朽化、または、破損、汚損などを来したときには、同様の作業工程を再現、実施するようにした構成からなる再生ガラス面保守方法である。
【発明の効果】
【0015】
以上のとおり、この発明の浴室内汚染ガラス面再生処理方法によれば、従前までのものとは違い、上記したとおりの固有の特徴ある構成から、浴室内の汚れた鏡ガラスや窓ガラス面の表面に研磨機を用いて万遍なく研磨処理を施し、強固に付着しているウロコ状物を除去した後、同ガラス面表面に顕微鏡的には残存してしまうウロコ状物微細凹凸痕の凹凸厚み寸法よりも厚い透明接着剤層を塗布処理するか、または積層処理するかの何れか一方とした耐水垢性の透明樹脂フィルムの同透明接着剤層がわをガラス面表面に積層、貼着処理するようにしたことにより、それらガラス面表面と透明樹脂フィルムとの間を、当該透明接着剤による分子間結合と堆積物微細凹凸痕内への錨着構造とによって強固な積層、一体化を達成すると共に、該微細凹凸痕に起因する光の散乱現象の消去を達成可能とした上、同積層境界部分を、未使用ガラス板と同等程度の透明度ならびに屈折率を達成して光学的に一体状となるようにし、従前までのガラス面再生技術に比較して、各段に効率的な作業で、ガラス表面を清潔感のある新品同様の清麗な状態に維持、管理でき、長期に渡って水廻りに設置された各種ガラスの廃棄およびリサイクル処分の頻度を大幅に削減し、各段に経済的で、自然環境にも優しい保守、管理を実現化できるという秀れた特徴が得られるものである。
【0016】
加えて、研磨機の万遍ない押し当て操作の繰り返し処理によっても残存するウロコ状物微細凹凸痕、および/または該研磨処理の過程で研磨凹凸痕を発生してしまった場合にあっても、当該微細凹凸痕および/または研磨凹凸痕の凹凸厚み寸法よりも厚い透明接着剤層を塗布処理するか、または積層処理するかの何れか一方とした耐水垢性の透明樹脂フィルムの同透明接着剤層がわをガラス面表面に積層、貼着処理するようにしたことにより、該透明接着剤層が、ウロコ状物微細凹凸痕のみに留まらず、研磨処理で発生した研磨凹凸痕に起因する光の散乱現象をも消去することができ、高い熟練を要さずとも、より確実に新品ガラス表面と同様の綺麗な表面品質に再生処理することができるという効果を発揮するものとなる。
【0017】
また、研磨機による研磨処理の他にも、ガラス表面の汚れの強さに応じて、各種調合した溶液を塗布して白く結晶化したウロコ状物を消去することが可能であり、こうした化学的処理は、少人数の作業者であっても、多数枚および/または大面積のガラス表面を同時に処理することが可能であり、特に大規模施設の多数枚、大面積のガラス面再生の場合には、研磨機を利用した物理的処理に比較して各段に作業効率を高めることができる上、ウロコ状物による汚れの度合いに応じて、必要となる洗浄能力のレベルに応じた溶液を選択、使用することができ、ガラス表面に悪影響を及ぼさないよう合理的に処理することができるという利点がある。
【0018】
そして、研磨機による研磨処理作業の前後何れか一方にて、ガラス表面の汚れの強さに応じた各種溶液を塗布するという化学的処理を行うことにより、物理的、化学的処理の相乗的な洗浄効果を得ることができ、研磨処理だけでは容易に落とせなかった汚れや、化学的処理のみでは落とすことができなかった汚れを、効率的且つ効果的に除去可能とすることができるものとなるという秀れた効果を発揮できる。
【0019】
透明接着剤が、光、熱または湿気などの外的条件に硬化反応を示すものか、または、経時的に硬化してしまうものかの何れか1つの性質を有しており、硬化後には、未使用ガラス板と同等程度の透明度ならびに屈折率を達成可能とするものを選択、使用するようにした場合には、透明樹脂フィルムをガラス面表面に対し、より強固にに密着することができ、しかも硬化後には、樹脂フィルムと同等か、またはそれ以上の硬度を呈して、未使用ガラス板と同等程度の透明度ならびに屈折率により、一段と高品質な仕上がりを達成できるという秀れた利点が得られる。
【0020】
透明接着剤が、貼着した後も、貼着前と同等の粘着力を維持可能な粘着剤を選択、使用するようにした場合には、長期に渡って安定した貼着力を得ることができると共に、透明樹脂フィルムが老朽化したり破損したりした場合などには、ガラス面表面に損傷を与えることなく、簡便に剥がし取ることが可能となり、透明樹脂フィルム撤去後にガラス面表面に残存する粘着剤も、水や中性洗剤、または専用の洗剤などを併用するなどして簡単に洗浄、除去できるという特徴が得られる。
【0021】
さらに、透明樹脂フィルムのフィルム自体が無色透明なものを使用する場合には、貼着の対象となるガラス面表面の新品当初の色や透明度などを忠実に再生することができ、また、有色透明なものを使用する場合には、貼着対象のガラス面表面に所望の着色を施してカラーガラス(商品名)状の仕上がりを得たり、透過率を100%未満に設定した磨りガラス状の仕上がりを得たりすることができ、さらにまた、ミラータイプのものを使用すると、ガラス面表面に鏡の機能を付与したり、あるいは、光の反射率を100%未満に設定したハーフミラーの機能を与えたりすることが可能となり、利用条件や顧客ニーズに応じて様々なガラス面表面処理を施すことができる。
【0022】
そして、この発明の再生ガラス面保守方法によれば、前記この発明の基本をなす浴室内汚染ガラス面再生処理方法にて浴室内の鏡ガラスや窓ガラスのガラス面表面に貼着した透明樹脂フィルムが、長期使用などによって老朽化、または、破損、汚損などした場合であっても、劣化した既存の透明樹脂フィルムをその透明粘着剤層諸共ガラス面表面から簡単に剥がし取り、該ガラス面表面を充分に洗浄、乾燥した上、新しい透明樹脂フィルムを前回の再生処理と同様に貼着して、新品同様のガラス表面の品質を得るようにすることができ、さらに、再度透明樹脂フィルムが老朽化、または、破損、汚損などを来したときには、同様の作業工程を再現、実施できるから、一枚の鏡ガラスや窓ガラスを、浴室内のような劣悪な環境下にあっても長期間に渡って新品同様の清潔な外観のままに保守、管理しながら使い続けることができ、従前までは不可能であった秀れた経済性と自然環境保護効果とを発揮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
この発明の浴室内汚染ガラス面再生処理方法、および再生ガラス面保守方法の実施対象は、浴室内の鏡ガラスや窓ガラスの表面とすべきであるが、水に含まれるカルシウムや硅素成分が乾燥、堆積したものの上に、ボディソープ、シャンプーの石鹸滓や皮脂汚れなどが飛び散って白く結晶化して不規則なウロコ状物で見難くなってしまうような汚れを生ずる可能性のある水廻りの環境下に設置されたガラス面表面であれば、何れの設置場所のものであっても同等の効果を得ることができ、例えば、洗面台の鏡やプールの窓などに設置された鏡ガラスや窓ガラスの表面とすることが可能である。
【0024】
ガラス面表面に対する、パッドに研磨液を付けた研磨機の万遍ない押し当て操作の繰り返し処理は、それのみによる研磨作業に留めることが可能である外、その作業に前後して、各種磨き粉を用いた研磨や、各種コンパウンドを利用した研磨、または、各種耐水ペーパーによる研磨などを行うことが可能であり、その順番は汚れの具合や作業効率を考慮して作業者が任意に決定して実施することが可能であり、それらの研磨作業の前後に、水や洗剤その他の溶液などに加え、スポンジやブラシなどを用いて洗浄したり、乾燥処理したりすることも可能である。
【0025】
研磨機は、自動的にガラス面表面を研磨可能とする器具類であり、電動モータを駆動源とするものや圧縮空気や油圧で駆動可能な研磨用の工具類などとすることができ、より具体的には、各種ポリッシャーや各種サンダーなどとすることができ、それらに使用するパッドは、実質的にガラス面表面のウロコ状物に物理的に接触し、摩擦して除去可能とするものであり、不織布タイプ、スエードタイプ、耐水ペーパータイプ、サンドペーパータイプ、紙シートタイプ、フィルムタイプなどの研磨パッドとすることができ、ダイヤモンドシート(登録商標)などを用いることが可能であり、研磨液は、ガラス面表面とパッドとの摩擦熱を冷却し、ガラス面表面を保護すると共に、パッドの目詰まりを防止可能とする機能を果たすものであり、各種研削液、各種研削油、各種切削油、各種研磨用クーラント、各種コンパウンドなど、ガラス面表面を保護し、過熱を防止すると共にウロコ状物を効果的に除去可能とする液体、半個体などとすべきである。
【0026】
ガラス面表面に対する化学的処理は、浴室内の鏡ガラスや窓ガラス面の表面に塗布すると化学的反応を生じて、水に含まれるカルシウムや硅素成分が乾燥、堆積したものの上に、ボディソープ、シャンプーの石鹸滓や皮脂汚れなどが飛び散って白く結晶化して不規則なウロコ状物で見難くなっているような頑固な汚れを効率的に除去可能とするものであり、例えば、後述する実施例に示すような、食用酢と食塩を2:1の割合で混合したものを塗布する処理や、濃度10%以下の塩酸溶液を塗布する処理、汚れの付着がより強い場合には、濃度20%以下のフッ化水素酸を塗布する処理、また、非常に強く付着した汚れの場合には、何れの濃度も10%以下のフッ化水素酸と塩酸とを1:1の割合で混合したものを塗布する処理を行うことができる外、それら何れか適宜選択した溶液塗布処理の間に濯ぎ洗いを挟み、互いに前後するよう順次、組み合わせた処理作業工程とすることが可能であり、さらにまた、市販のガラス専用の処理溶液を利用することも可能である。
【0027】
浴室内汚染ガラス面再生処理方法は、前述したように、浴室内の鏡ガラスや窓ガラス面の表面に対し、パッドに研磨液を付けた研磨機の万遍ない押し当て操作の繰り返し処理にする物理的表面処理の外、汚れの強弱に応じて洗浄効果の異なる溶液を塗布してウロコ状物を化学反応させて除去する化学的表面処理を採用することが可能であり、さらに、それら物理的表面処理工程と化学的表面処理工程とを、時間的に前後させて実施することによってウロコ状物の洗浄、除去効果を相乗的に高めるよう作業を進めるようにすることが可能である。
【0028】
透明接着剤は、ガラス面表面に対して透明樹脂フィルムを充分な強度と密着性とをもって貼着可能なものとしなければならず、それによる分子間結合と堆積物微細凹凸痕内への錨着構造、つまり恰も錨を降ろして絡まりつくような状態の接着構造によって強固且つ安定した積層、一体化を達成すると共に、同積層境界部分を、未使用ガラス板と同等程度の透明度ならびに屈折率を達成して光学的に一体化可能なものとしなければならず、ガラス面表面に透明樹脂フィルムを貼着した後に、光、熱または湿気などの外的条件に硬化反応を示すものか、または、経時的に硬化してしまうものかの何れか1つの性質を有しており、硬化後に、未使用ガラス板と同等程度の透明度ならびに屈折率を達成可能とするものを選択、使用することができる外、後述する実施例に示すように、ガラス面表面に透明樹脂フィルムを貼着した後も、貼着前と同等の粘着力を維持可能であって、貼着後に、未使用ガラス板と同等程度の透明度ならびに屈折率を達成可能とする粘着剤を選択、使用することが可能である。
【0029】
透明樹脂フィルムは、水に含まれるカルシウムや硅素成分が乾燥、堆積したものの上に、ボディソープ、シャンプーの石鹸滓や皮脂汚れなどが飛び散って白く結晶化して不規則なウロコ状物の汚れが付着し難い耐水垢性の合成樹脂製のものとしなければならず、そのフィルム自体が無色透明か、または有色透明かの何れか一方からなるものとし、光の透過率を100%未満に設定した磨りガラス状のものとすることか可能であり、鏡面状の仕上げとする場合には、その裏面がわに高反射率の金属蒸着層を形成したミラータイプのもか、または、反射率を100%未満に設定したハーフミラータイプのもかの何れか一方を選択、使用することが可能であり、表裏面の少なくとも何れか一方に、傷付きを防止可能な透明硬質保護膜や、油汚れの付着を防止可能とする防汚皮膜、撥水被膜、または、紫外光および/または赤外線などの透過を阻止する紫外線および/または赤外線などの吸収膜あるいは反射膜を形成したものなど、機能性皮膜層を形成したものを選択、使用することができる。
【0030】
再生ガラス面保守方法は、浴室内の鏡ガラスや窓ガラスのガラス面表面に、当該浴室内汚染ガラス面再生処理方法にて既に貼着済みとなっている透明樹脂フィルムが老朽化、または、破損、汚損などした場合に、当該既存の透明樹脂フィルムをその透明粘着剤層諸共、完全に剥脱し、新たな透明樹脂フィルムを再装着して、再び新品同様のガラス面表面を得るようにすることにあるが、透明樹脂フィルムの貼り換えに際し、新たに貼着する透明樹脂フィルムの色や厚さ、材質などを、既存のもとは異なるものを選択、使用することができる外、透明接着剤層についても貼着後に硬化するものや柔軟性を保持するもの、防黴、防腐性能を有するものなど、使用環境や顧客のニーズに応じて適宜自由に選択、使用可能である。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成について詳述することとする。
【実施例1】
【0031】
図1の浴室内汚染ガラス面再生処理方法のフローチャート、図2の物理的処理によるウロコ状物除去工程サブルーチンのフローチャート、図3の浴室内の汚れた鏡ガラスの断面図、図4の物理的処理後の鏡ガラスの断面図、図5の透明樹脂フィルム貼着済み鏡ガラスの断面図、図6の物理的処理後に傷が残った鏡ガラスの断面図、図7の透明樹脂フィルム貼着済み鏡ガラスの断面図、および、図8の化学的処理によるウロコ状物除去工程サブルーチンのフローチャートに示す事例は、浴室内に設置して汚れた鏡ガラス1面の表面10に研磨機を用いて万遍なく研磨処理Bを施し、強固に付着しているウロコ状物2,2,……を除去した後、同ガラス面表面10に顕微鏡的には残存してしまうウロコ状物微細凹凸痕20,20,……の凹凸厚み寸法よりも厚い透明接着剤層5を塗布処理するか、または積層処理するかの何れか一方とした耐水垢性の透明樹脂フィルム4の同透明接着剤層5がわをガラス面表面10に積層、貼着処理Eするようにした、この発明の浴室内汚染ガラス面再生処理方法における代表的な一実施例を示すものである。
【0032】
それら各図からも明確に把握できるとおり、この発明の浴室内汚染ガラス面再生処理方法は、以下のような作業手順で実施可能であり、図3中に示すように、浴室内に既に設置、利用されている鏡ガラス1の銀引き層、銅鍍金層および裏止め塗装層からなる反射皮膜層11が形成された背面とは反対がわの、浴室内に向けて露出状となっているガラス面表面10に、水に含まれるカルシウムや硅素成分が乾燥、堆積したものの上に、ボディソープ、シャンプーの石鹸滓や皮脂汚れなどが飛び散って白く結晶化して不規則なウロコ状物2,2,……が強固に付着し、見難くなったものを、以下のような工程で再生処理することが可能である。
【0033】
図1中に示すように、ガラス面表面10に付着した埃や簡単に洗い流すことができる汚れを、軟らかいスポンジなどを用いた水洗いや、中性洗剤またはエチルアルコールなどを用いるなどして前洗浄Aしてから、当該ウロコ状物2,2,……の除去作業Bを行うようにし、該ウロコ状物2,2,……除去工程Bは、図2中に示すように、市販の硅酸鉱物などを研磨材としたクレンザー、または、炭酸カルシウムを主成分とする磨き粉に水や合成洗剤、その他の界面活性剤など混ぜ合わせたものをナイロン束子や研磨パッドに付けて、ポリッシャーやサンダーなどの(図示せず)例えば研磨機(リョービ株式会社製 S−550M)を用いてガラス面表面10全体に対し、均質な粗研磨を伴う洗浄B1を行い、充分に濯ぎ洗いした後、中目または仕上げ用のコンパウンドをナイロン束子や研磨パッドに付け、ポリッシャーやサンダーなどを用いてガラス面表面10全体に対して均質な中研磨B2を行い、充分に濯ぎ洗いした上、100〜1000番の耐水ペーパーにポリッシャーやサンダーなどを用いてガラス面表面10全体に均質な細研磨B3を施し、充分に濯ぎ洗いしてから、ダイヤモンドシート(登録商標)、ダイヤモンドパッド(商品名)などに、ハイシャインHS02(商品名)や「研・研 鏡・ガラス」鱗落とし(商品名)などの研磨液を、ポリッシャーやサンダーなどを用いてガラス面表面10全体に、均質な仕上げ研磨B4を行うこととすし、各研磨工程B1ないしB4毎に、ガラス面表面10全体が均質に研磨されているか否かを確実にチェックしながら作業を進める必要がある。
【0034】
図1中に示すように、水、中性洗剤、エチルアルコールなどを用いるなどして研磨材や洗剤などが残らないよう充分に後洗浄Cして、自然乾燥させるか、または圧縮エアの吹き付けや、ドライヤーなどを用いて強制的に充分乾燥Dさせ、該乾燥工程D後のガラス面表面10全体には、図4中に示すように、ウロコ状物微細凹凸痕20,20,……が顕微鏡的に残存したままとなっているが、それら微細凹凸痕20,20,……は、無色透明な凹凸であるから、そのままの状態で、図1および図5中に示すように、裏面全体に透明接着剤層5が積層処理された耐水垢性の透明樹脂フィルム4を、該透明接着剤層5とガラス面表面10との間に気泡や水分、塵埃などの異物を侵入、残存させることなく積層、貼着処理Eする。
【0035】
当該透明樹脂フィルム4は、表面基材がポリエチレンテレフタレート、アクリル樹脂、ポリエステル、塩化ビニル、その他の合成樹脂製とすることができ、透明接着剤層5の粘着剤がアクリル酸エステル共重合体であって紫外線吸収剤を含むものとすることが可能であり、より具体的には、サンマイルド(登録商標)CL−50HD・クリア(リンテック株式会社製)を選択することが可能である。
【0036】
当該透明接着剤層5は、図4中に示す、ウロコ状物微細凹凸痕20,20,……の凹凸厚み寸法よりも厚く寸法設定されたものとしてあり、図5中に示すように、それらガラス面表面10と透明樹脂フィルム4との間を、当該透明接着剤4による分子間結合にて結合するものとなり、しかも堆積物微細凹凸痕20,20,……内への錨着構造をも形成可能なものであって、同積層境界部分50を未使用ガラス板と同等程度の透明度ならびに屈折率を達成可能なものとしてある。
【0037】
また、図1および図2中に示した、ウロコ状物除去工程Bの過程で、図6中に示すように、ガラス面表面10に研磨凹凸痕3が発生してしまった場合であっても、当該透明接着剤層5の厚み寸法を、微細凹凸痕20,20,……および研磨凹凸痕3の凹凸厚み寸法よりも厚く設定したものを選択して、図1および図7中に示すように、透明樹脂フィルム4を貼着Eし、それらガラス面表面10と透明樹脂フィルム4との間を、当該透明接着剤4による分子間結合にて結合し、且つ堆積物微細凹凸痕20,20,……および研磨凹凸痕3内への錨着構造をも形成可能として、同積層境界部分50を未使用ガラス板と同等程度の透明度ならびに屈折率を達成可能なものとすることが可能である。
【0038】
また、この発明の浴室内汚染ガラス面再生処理方法は、図1中に示すウロコ状物除去工程Bを化学的処理に置き換えることが可能であり、以下には、図8を参照しながら、化学的処理によるウロコ状物除去工程Bについて示し、既に図1中に示した、その前後の各工程を省略して説明の重複を避けることとする。
【0039】
該ウロコ状物除去工程Bは、作業者が目視にて当該ガラス面表面10への汚れの付着状態を判断した後に着手するようにし、その汚れ付着力が弱いと判断した場合には、食用酢と食塩を2:1の割合で混合した溶液を塗布B5し、汚れ付着力が中程度と判断した場合には、濃度10%以下の塩酸水溶液を塗布B6し、汚れ付着力がより強いと判断した場合には、濃度20%以下のフッ化水素酸溶液を塗布B7し、また、汚れの付着力が非常に強いと判断した場合には、何れの濃度も10%以下のフッ化水素酸と塩酸とを1:1の割合で混合した溶液を塗布B8し、充分な反応を待ってから、ウロコ状物2,2,……の除去具合を判断し、汚れの多くが残存している場合には、物理的にブラッシングして補助洗浄処理B9を行った後、濯ぎ洗いし、まだ充分にウロコ状物2,2,……が除去されていないと判断した場合は再度、汚れ付着力の程度に応じた溶液を塗布B5(B6,B7またはB8)し、必要に応じて再度、ブラッシングによる物理的補助洗浄処理B9を施して、ウロコ状物2,2,……が充分に除去されたことを確認して、その作業を停止することとする。
【0040】
さらに、図2および図8に示した、物理的または化学的なウロコ状物除去工程Bの何れか一方にて、図3中に示すウロコ状物2,2,……を、図4または図6中に示す状態まで充分に除去できなかった場合には、図2に示した、物理的なウロコ状物除去工程Bと、図8に示した、化学的なウロコ状物除去工程Bとを時間的に前後させて、何れが先か、後かの順所を問わずに連続的に実施することが可能であり、物理的または化学的なウロコ状物除去工程Bの何れか一方の工程途中段階で中止し、何れか他方の工程を始めから開始するか、あるいは、何れか他方の工程途中から開始するかの何れかの作業を実施するなど、汚れの状況、変化に応じて作業工程を自由に変更することが可能である。
【実施例2】
【0041】
図9の再生ガラス面保守方法のフローチャートに示す事例は、実施例1に示した浴室内汚染ガラス面再生処理方法にて浴室内の鏡ガラス1ガラス面表面10に貼着した透明樹脂フィルム4が老朽化した場合に、当該既存の透明樹脂フィルム4をその透明粘着剤層5諸共、完全に剥脱して洗浄、乾燥させた上、新たな透明樹脂フィルム4を貼着するようにし、再度透明樹脂フィルム4が老朽化、または、破損、汚損などを来したときには、同様の作業工程を再現、実施するようにしたこの発明の再生ガラス面保守方法における一実施例を示すものである。
【0042】
実施例1において、浴室内汚染ガラス面再生処理方法により施工した透明樹脂フィルム4が老朽化したり、破損、汚損するなどしたときには、図9および図5または図7中に示すように、既存の透明樹脂フィルム4を、その透明粘着剤層5諸共、ガラス面表面10から完全に剥脱Fした後、同ガラス面表面10に残存する透明粘着剤5や、作業中に新たに付着してしまった塵埃や汚れなどを水、中性洗剤、エチルアルコールなどを適宜用いて充分に洗浄、乾燥Gし、同図4または図6の状態に戻した後、図1のフィルム貼着工程Eと同様に、図9中に示すよう耐水垢性の新たな透明樹脂フィルム4を貼着Hし、実施例1の浴室内汚染ガラス面再生処理方法を実施した直後と同様の外観、品質を得るように仕上げる。
当該新たな透明樹脂フィルム4は、顧客ニーズに応じて、色、光反射率、光透過率などを変更したものや、透明接着剤層5に防黴剤や防腐剤などを添加したものなど、様々な性能を有したものに自由に変更可能である。
【0043】
(実施例1の作用)
以上のとおりの構成からなるこの発明の浴室内汚染ガラス面再生処理方法は、図1ないし図7中に示すよう前洗浄Aしてから、当該ウロコ状物2,2,……の除去作業Bを行うことで、ガラス面表面10に異物による不要な傷付きを防止し、図2中に示すように、クレンザーや磨き粉を研磨パッドに付けた研磨機(リョービ株式会社製 S−550M)などを用いてガラス面表面10全体に、均質な粗研磨を伴う洗浄B1を行うと、図1中に示すような、ウロコ状物2,2,……の大部分を効率的に除去することが可能となる。
【0044】
次に、同図2中に示すように、研磨機のパッドに中目または仕上げ用のコンパウンドを用いて中研磨B2を行い、続いて100〜1000番の耐水ペーパーを装着した研磨機によって細研磨B3を施すと、頑固に残存する硬質なウロコ状物2,2,……部分を迅速に除去することが可能となり、最後に、ダイヤモンドシート(登録商標)に水垢除去用の研磨液などを付けた研磨機で仕上げ研磨B4を行うと、短時間且つ効率的な作業のうちに、ウロコ状物2,2,……の凹凸が、見る角度によって殆ど見えなくなる程度にまで除去することが可能となる。
【0045】
図1中に示すように、後洗浄Cおよび充分な乾燥Dを行った後、図4または図6のとおり、顕微鏡的には残存しているウロコ状物微細凹凸痕20,20,……および/または研磨凹凸痕3,3,……を有する同ガラス面表面10に、図5または図7に示すように、サンマイルド(登録商標)CL−50HD・クリア(リンテック株式会社製)の新たな透明樹脂フィルム4を貼着E(図1)すると、ガラス面表面10と透明樹脂フィルム4との間に透明接着剤層5以外の異物が進入せず、当該透明接着剤5による分子間結合と堆積物微細凹凸痕20,20,……および/または研磨凹凸痕3,3,……内への錨着構造とによって強固な積層、一体化して光りの散乱を消去すると共に、同積層境界部分50を、未使用ガラス板と同等程度の透明度ならびに屈折率を達成して光学的に一体状となるようにすることが可能となり、新品の鏡ガラス1と同等の外観、品質を得る上、透明樹脂フィルム4が、水に含まれるカルシウムや硅素成分の付着乾燥、堆積を阻止し、ボディソープ、シャンプーの石鹸滓や皮脂汚れなどが飛び散って白く結晶化して不規則なウロコ状物2,2,……が形成されるのを確実に阻止するものとなる。
【0046】
また、図1中のウロコ状物除去工程Bを、図8中のB5ないしB9に示すような、化学的処理による工程に変更した場合であっても、ガラス面表面10に付着している汚れの強さを事前に判断した上で、汚れの状態に適合した溶液を選択、使用するようにし、ガラス面表面10に不要な汚損や損傷を生じないよう作業を進めることが可能となり、透明樹脂フィルム4を貼着E(図1)後には、図5または図7に示すように、物理的な除去作業を行った場合と略同等の品質であって、新品の鏡ガラス1と同等の外観、品質を得ることが可能である。
【0047】
さらに、図2に示す、物理的処理によって充分にウロコ状物2,2,……を除去できなかった場合や、図8に示す、化学的処理によって充分にウロコ状物2,2,……を除去できなかった場合には、その処理工程の途中か、その処理工程を終えた後かの何れでも実行中の作業を中止するなどして、直ちに、他方の処理工程を、始めからか、または、途中から開始することが可能であり、汚れの具合や性質に応じて自由に作業を進めることで、何れか一方の処理作業のみで終えてしまう場合に比較し、より高い洗浄、除去作用を得ることが可能となる。
【0048】
(実施例2の作用)
以上のとおりの構成からなるこの発明の再生ガラス面保守方法は、実施例1の浴室内汚染ガラス面再生処理方法にて新品同様に再生した鏡ガラス1が、再び老朽化したり、破損、汚損するなどした場合に、そのまま廃棄処分してしまうのではなく、図9および図4ないし図7中に示す作業工程に従って、既存の透明樹脂フィルム4を、その透明接着剤層5諸共撤去Fしまい、新たな透明樹脂フィルム4と交換して貼り替えHることにより、再度新品同様の鏡ガラス1に蘇らせることが可能となり、また、新たな透明樹脂フィルム4は、顧客のニーズに応じて、色や光反射率、光透過率、防黴、防腐性能など変更したものを自由に選択して貼着Hすることが可能である。
【0049】
(実施例1の効果)
以上のような構成からなる実施例1の浴室内汚染ガラス面再生処理方法は、前記この発明の効果の項で記載の特徴に加え、図1および図2中に示すように、ウロコ状物除去工程Bを、粗研磨を伴う洗浄B1、中研磨B2、細研磨B3、および仕上げ研磨B4の順序で進めるようにして、ガラス面表面10に過剰な負担を与えることなく、その全面に渡って均質な研磨を実現し、図6中に示すような、研磨凹凸痕3,3,……の発生を最小限度に抑えることができ、より一層高品質な鏡面仕上がりを実現可能とすることができるという利点がある。
【0050】
また、図1および図8中に示すように、ウロコ状物除去工程Bが、汚れの付着力の程度の違いに応じて夫々、食用酢と食塩の溶液を塗布するB5処理か、塩酸溶液を塗布するB6処理か、フッ化水素酸を塗布するB7処理か、または、フッ化水素酸と塩酸とを混合した溶液を塗布するB8処理かの何れか1つを選択して実行した後、必要に応じて付加的にブラッシングB9を行い、ウロコ状物2,2,……の除去具合を確認しながら、必要であれば、繰り返してB5ないしB8およびB9(何れも図8中に示す)の何れか1つの工程を実行するという手順を踏むことにより、より効率的且つ経済的に該ウロコ状物除去工程Bを進めることができると共に、ガラス面表面10への損傷や汚染の発生を最小限度に抑えられ、透明樹脂フィルム4貼着E(図1)後の仕上がり具合を各段に高めることができる特徴が得られる。
【0051】
加えて、図1中のウロコ状物除去工程Bで、図2中に示す物理的処理と、図8中に示す化学的処理との双方を適宜交えて実行すると、夫々単独の処理による場合に比較して更に高い洗浄、除去効果を達成し得ることとなり、強力に付着してしまったウロコ状物2,2,……を各段に効率的に除去できる上、さらに、ウロコ状物除去処理作業B中のガラス面表面10への損傷や汚染などの発生を、一層大幅に減少させることができるという効果を発揮し得るものとなる。
【0052】
(実施例2の効果)
以上のような構成からなる実施例2の再生ガラス面保守方法は、前記この発明の効果の項で記載の特徴に加え、図5、図7および図9中に示すように、老朽化した既存の透明樹脂フィルム4を完全撤去Fした後に、該既存の透明樹脂フィルム4とは異なる色や、光反射率、光透過率、防黴、防腐性能などを有するものに自由に変更して貼着Hすることが可能であり、貼り替えの機会毎に、新開発された最新性能の透明樹脂フィルム4を装着することも可能となるなど、一段と付加価値の高い保守サービスを実現化することができるという秀れた利点が得られる。
【0053】
(結 び)
叙述の如く、この発明の浴室内汚染ガラス面再生処理方法、および再生ガラス面保守方法は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも施工も容易で、従前からのガラス面表面を研磨、洗浄するだけに留まる技術に比較して、各段に高品質で新品同様の輝きと透明感とを達成可能とし、且つ、水垢への耐久性、防汚性をも大幅に改善することができ、ガラスを撤去、リサイクル処理してしまう場合より遙かに効率的で、低廉にて自然環境にも優しく各段に経済的に再生処理できるようになり、通常の清掃では除去できないウロコ状の汚れに辟易していた一般家庭はもとより、それよりも遙かに多数枚、大面積の鏡やガラスを設置し、これまで毎年のように、全ての水廻りのガラス類を交換せざるを得ず、永年に亘り多大な経費を費やしてきた温泉、旅館、ホテルおよびプール業界などにおいても高く評価され、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図面は、この発明の浴室内汚染ガラス面再生処理方法、および再生ガラス面保守方法の技術的思想を具現化した代表的な幾つかの実施例を示すものである。
【図1】浴室内汚染ガラス面再生処理方法を示すフローチャートである。
【図2】物理的処理によるウロコ状物除去工程を示すフローチャートである。
【図3】浴室内の汚れた鏡ガラスを示す断面図である。
【図4】物理的処理後の鏡ガラスを示す断面図である。
【図5】透明樹脂フィルム貼着後の鏡ガラスを示す断面図である。
【図6】物理的処理で傷が残った鏡ガラスを示す断面図である。
【図7】透明樹脂フィルム貼着後の鏡ガラスを示す断面図である。
【図8】化学的処理によるウロコ状物除去工程を示すフローチャートである。
【図9】再生ガラス面保守方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0055】
1 鏡ガラス
10 同 ガラス面表面
11 同 反射皮膜層
2 ウロコ状物
20 同 微細凹凸痕
3 研磨凹凸痕
4 耐水垢性の透明樹脂フィルム
5 透明接着剤層
50 同 積層境界部分
A 前洗浄工程
B ウロコ状物除去工程
B1 同 粗研磨を伴う洗浄
B2 同 中研磨
B3 同 細研磨
B4 同 仕上げ研磨
B5 同 汚れが弱い場合の処理
B6 同 中程度の汚れの処理
B7 同 強い汚れの処理
B8 同 非常に強い汚れの処理
B9 同 物理的補助洗浄処理
C 後洗浄工程
D 乾燥工程
E フィルム貼着工程
F 保守剥脱工程
G 保守洗浄工程
H 保守貼着工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水に含まれるカルシウムや硅素成分が乾燥、堆積したものの上に、ボディソープ、シャンプーの石鹸滓や皮脂汚れなどが飛び散って白く結晶化して不規則なウロコ状物で見難くなっている浴室内の鏡ガラスや窓ガラス面の表面に対し、パッドに研磨液を付けた研磨機の万遍ない押し当て操作の繰り返し処理により、当該ガラス面表面に頑固に付着していたウロコ状物を研磨、除去して外観上で見え辛い現象を解消した後、当該ガラス面表面を十分に乾燥させた上で、外観上では支障ないものの顕微鏡的には残存してしまうウロコ状物微細凹凸痕を有する同ガラス面表面に、耐水垢性の透明樹脂フィルムが、当該微細凹凸痕の凹凸厚み寸法よりも厚い透明接着剤層を塗布処理するか、予め同凹凸厚み寸法よりも厚い透明接着剤層を積層処理しておくかの何れ一方とした同透明接着剤層がわを、気泡や水分、塵埃などの異物を侵入、残存させることなく積層、貼着処理されるようにし、それらガラス面表面と透明樹脂フィルムとの間を、当該透明接着剤による分子間結合と堆積物微細凹凸痕内への錨着構造とによって強固な積層、一体化を達成すると共に、同積層境界部分を、未使用ガラス板と同等程度の透明度ならびに屈折率を達成して光学的に一体状となるようにしたことを特徴とする浴室内汚染ガラス面再生処理方法。
【請求項2】
水に含まれるカルシウムや硅素成分が乾燥、堆積したものの上に、ボディソープ、シャンプーの石鹸滓や皮脂汚れなどが飛び散って白く結晶化して不規則なウロコ状物で見難くなっている浴室内の鏡ガラスや窓ガラス面の表面に対し、パッドに研磨液を付けた研磨機の万遍ない押し当て操作の繰り返し処理により、当該ガラス面表面に頑固に付着していたウロコ状物を研磨、除去して外観上で見え辛い現象を解消した後、当該ガラス面表面を十分に洗浄、乾燥させた上で、顕微鏡的には残存してしまうウロコ状物微細凹凸痕および/または研磨凹凸痕を有する同ガラス面表面に、耐水垢性の透明樹脂フィルムが、当該微細凹凸痕および/または研磨凹凸痕の凹凸厚み寸法よりも厚い透明接着剤層を塗布処理するか、予め同凹凸厚み寸法よりも厚い透明接着剤層を積層処理しておくかの何れ一方とした同透明接着剤層がわを、気泡や水分、塵埃などの異物を侵入、残存させることなく積層、貼着処理されるようにし、それらガラス面表面と透明樹脂フィルムとの間を、当該透明接着剤による分子間結合と堆積物微細凹凸痕内への錨着構造とによって強固に積層、一体化すると共に、当該微細凹凸痕および/または研磨凹凸痕に起因する光の散乱現象の消去を達成可能とした上、同積層境界部分を、未使用ガラス板と同等程度の透明度ならびに屈折率を達成して光学的に一体状となるようにしたことを特徴とする浴室内汚染ガラス面再生処理方法。
【請求項3】
水に含まれるカルシウムや硅素成分が乾燥、堆積したものの上に、ボディソープ、シャンプーの石鹸滓や皮脂汚れなどが飛び散って白く結晶化して不規則なウロコ状物で見難くなっている浴室内の鏡ガラスや窓ガラス面の表面に対し、食用酢と食塩を2:1の割合で混合したものを塗布するか、濃度10%以下の塩酸溶液を塗布するか、汚れの付着がより強い場合には、濃度20%以下のフッ化水素酸を塗布するか、または、非常に強く付着した汚れの場合には、何れの濃度も10%以下のフッ化水素酸と塩酸とを1:1の割合で混合したものを塗布するかの何れか1つか、もしくは、それら何れか適宜選択した溶液塗布の間に濯ぎ洗いを挟み、互いに前後するよう順次、組み合わせた作業工程かの何れか一方からなる化学的洗浄処理を行うと共に、それら化学的処理のみで不十分な場合にのみブラッシングなどの物理的、補助洗浄処理を付加した後、充分に濯ぎ洗いしてから当該ガラス面表面を十分に乾燥させた上で、顕微鏡的には残存してしまうウロコ状物微細凹凸痕を有する同ガラス面表面に、耐水垢性の透明樹脂フィルムが、当該微細凹凸痕の凹凸厚み寸法よりも厚い透明接着剤層を塗布処理するか、予め同凹凸厚み寸法よりも厚い透明接着剤層を積層処理しておくかの何れ一方とした同透明接着剤層がわを、気泡や水分、塵埃などの異物を侵入、残存させることなく積層、貼着処理されるようにし、それらガラス面表面と透明樹脂フィルムとの間を、当該透明接着剤による分子間結合と堆積物微細凹凸痕内への錨着構造とによって強固に積層、一体化すると共に、当該微細凹凸痕に起因する光の散乱現象の消去を達成可能とした上、同積層境界部分を、未使用ガラス板と同等程度の透明度ならびに屈折率を達成して光学的に一体状となるようにしたことを特徴とする浴室内汚染ガラス面再生処理方法。
【請求項4】
水に含まれるカルシウムや硅素成分が乾燥、堆積したものの上に、ボディソープ、シャンプーの石鹸滓や皮脂汚れなどが飛び散って白く結晶化して不規則なウロコ状物で見難くなっている浴室内の鏡ガラスや窓ガラス面の表面に対し、パッドに研磨液を付けた研磨機の万遍ない押し当て操作の繰り返し処理により、当該ガラス面表面に頑固に付着していたウロコ状物を研磨、除去して外観上で見え辛い現象を解消した後、当該ガラス面表面を十分に洗浄する研磨処理作業の前後何れか一方にて、食用酢と食塩を2:1の割合で混合したものを塗布するか、濃度10%以下の塩酸溶液を塗布するか、汚れの付着がより強い場合には、濃度20%以下のフッ化水素酸を塗布するか、または、非常に強く付着した汚れの場合には、何れの濃度も10%以下のフッ化水素酸と塩酸とを1:1の割合で混合したものを塗布するかの何れか1つか、もしくは、それら何れか適宜選択した溶液塗布の間に濯ぎ洗いを挟み、互いに前後するよう順次、組み合わせた作業工程かの何れか一方からなる化学的洗浄処理を行うと共に、それら化学的処理のみで不十分な場合にのみブラッシングなどの物理的、補助洗浄処理を付加した後、充分に濯ぎ洗いするものとし、それら研磨処理作業と化学的洗浄処理とを終えてから、当該ガラス面表面を十分に乾燥させた上で、顕微鏡的には残存してしまうウロコ状物微細凹凸痕および/または研磨凹凸痕を有する同ガラス面表面に、耐水垢性の透明樹脂フィルムが、当該微細凹凸痕および/または研磨凹凸痕の凹凸厚み寸法よりも厚い透明接着剤層を塗布処理するか、予め同凹凸厚み寸法よりも厚い透明接着剤層を積層処理しておくかの何れ一方とした同透明接着剤層がわを、気泡や水分、塵埃などの異物を侵入、残存させることなく積層、貼着処理されるようにし、それらガラス面表面と透明樹脂フィルムとの間を、当該透明接着剤による分子間結合と堆積物微細凹凸痕内への錨着構造とによって強固に積層、一体化すると共に、当該微細凹凸痕および/または研磨凹凸痕に起因する光の散乱現象の消去を達成可能とした上、同積層境界部分を、未使用ガラス板と同等程度の透明度ならびに屈折率を達成して光学的に一体状となるようにしたことを特徴とする浴室内汚染ガラス面再生処理方法。
【請求項5】
透明接着剤は、ガラス面表面に透明樹脂フィルムを貼着した後に、光、熱または湿気などの外的条件に硬化反応を示すものか、または、経時的に硬化してしまうものかの何れか1つの性質を有しており、硬化後には、未使用ガラス板と同等程度の透明度ならびに屈折率を達成可能とするものを選択、使用するようにした、請求項1ないし4何れか一項記載の浴室内汚染ガラス面再生処理方法。
【請求項6】
透明接着剤は、ガラス面表面に透明樹脂フィルムを貼着した後も、貼着前と同等の粘着力を維持可能であって、貼着後に、未使用ガラス板と同等程度の透明度ならびに屈折率を達成可能とする粘着剤を選択、使用するようにした、請求項1ないし4何れか一項記載の浴室内汚染ガラス面再生処理方法。
【請求項7】
透明樹脂フィルムは、そのフィルム自体が無色透明か、または有色透明かの何れか一方からなるものとし、鏡面状の仕上げとする場合には、その裏面がわに所定反射率の金属蒸着層を形成してミラータイプのものとした上、透明接着剤層が積層されてなるものを選択、使用するようにした、請求項1ないし4何れか一項記載の浴室内汚染ガラス面再生処理方法。
【請求項8】
請求項1ないし7何れか一項記載の浴室内汚染ガラス面再生処理方法にて浴室内の鏡ガラスや窓ガラスのガラス面表面に貼着した透明樹脂フィルムが老朽化、または、破損、汚損などした場合に、当該既存の透明樹脂フィルムをその透明粘着剤層諸共、完全に剥脱した後、当該ガラス面表面を充分に洗浄してから乾燥させた上で、顕微鏡的には残存しているウロコ状物微細凹凸痕および/または研磨凹凸痕を有する同ガラス面表面に、新たな耐水垢性の透明樹脂フィルムが、当該微細凹凸痕および/または研磨凹凸痕の凹凸厚み寸法よりも厚い透明接着剤層を塗布処理するか、予め同凹凸厚み寸法よりも厚い透明接着剤層を積層処理しておくかの何れ一方とした同透明接着剤層がわを、気泡や水分、塵埃などの異物を侵入、残存させることなく積層、貼着処理されるようにし、それらガラス面表面と新たな透明樹脂フィルムとの間を、当該透明接着剤による分子間結合と堆積物微細凹凸痕内への錨着構造とによって強固な積層、一体化すると共に、当該微細凹凸痕および/または研磨凹凸痕に起因する光の散乱現象の消去を達成可能とした上、同積層境界部分を、未使用ガラス板と同等程度の透明度ならびに屈折率を達成して光学的に一体状となるようにし、再度透明樹脂フィルムが老朽化、または、破損、汚損などを来したときには、同様の作業工程を再現、実施するようにしたことを特徴とする再生ガラス面保守方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−144351(P2010−144351A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−320260(P2008−320260)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【出願人】(504328565)有限会社アイビー (5)
【Fターム(参考)】