説明

浴室換気乾燥機

【課題】長期間、設置運転して、構成部品が劣化してきても、発煙等のリスクをなくした浴室換気乾燥機を提供することを目的とする。
【解決手段】本体6に設けた制御基板10が、記憶手段15と、電源の通電を検知する検知回路13と、電源の通電時間を積算する積算手段14とを有し、検知回路13にて通電が検知された場合に、通電時間を積算手段14によって積算し、定期的に積算した通電時間を記憶手段15に書き込み記憶するとともに、記憶手段15に記憶された通電時間を使用者に知らせる構成としたことにより、使用者は、積算された通電時間により使用期間を把握して製品の使用状況を確認し、適切なメンテナンスを行うことによって、発煙等の発生を未然に防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暖房や換気機能を搭載し、浴室を利用して洗濯物を乾燥させる浴室換気乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一般家庭において浴室の換気装置の設置が多くなるにともない、浴室を利用して洗濯物を乾燥させる乾燥機能を有した浴室換気乾燥機が普及してきている。また、建築基準法が改正され新築住宅にあっては常時換気の機能を有する換気装置の設置が義務付けられ、ますます浴室換気乾燥機の普及が拡大してきている。浴室換気乾燥機は、設備商品としての傾向が強く、浴室を新規にする時に一緒に交換するというケースが非常に多い。そのため、一旦設置されると、浴室が壊れる、もしくは汚れが著しくなる20〜30年近く使用、設置されることが多い。
【0003】
従来の浴室換気乾燥機の一例として、図12に示すものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
以下、その構成について図12を参照しながら説明する。
【0005】
図12に示すように、浴室内の天井に設置された本体101に浴室内の空気を換気する換気手段102と、浴室内の空気を循環させる循環手段103と、循環手段103により生成される循環空気を加熱する加熱手段104とが設けられており、換気手段102は、本体101を構成するハウジング下部に開口した吸気口105と、吸気口105より浴室の空気を吸引する換気ファン106と、換気ファン106の駆動源である換気用モータ107と、本体101内に設けた隔壁によって構成した換気風路108とから構成され、換気風路108の出口は屋外に開口した図示しないダクトに接続される排気口109となっている。
【0006】
また、循環手段103は換気手段102と同様に本体101を構成するハウジングの下部に開口した吸気口105と、吸気口105から吸気した浴室の空気をハウジングの下部に開口している吐出口110から吐出することを繰り返すことによって浴室内の空気を循環させる循環ファン111と、循環ファン111の駆動源である循環用モータ112と、本体101内に設けた隔壁によって構成した循環風路113と、循環風路113の出口を構成する吐出口110とを備えている。
【0007】
また、加熱手段104は、循環風路113中に設けた3個のヒーター114a、114b、114cを備えており、換気用モータ107の駆動、すなわち換気ファン106の作動、循環用モータ112の駆動、すなわち循環ファン111の作動、ヒーター114a、114b、114cの作動を各々選択的に操作し、浴室内の暖房、換気等を行うものである。
【特許文献1】特開2004−93008号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
浴室換気乾燥機は、浴室内に設置されるために、高湿度の空気にさらされる時間が非常に長く、さらに加熱装置を搭載しているため大電流が流れており、部品自体も高温下にさらされるため劣化しやすくなる。そして、特許文献1に記載の浴室換気乾燥機の構成からもわかるように多くの部品が使用され、これらの使用部品も長期間使用されると経年劣化をし、しかも、高湿度空間で使用され、かつ大電流使用機器のため、場合によっては発煙等が起こることもあるという課題がある。
【0009】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、発煙等が起こるリスクをなくした浴室換気乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の浴室換気乾燥機は、上記目的を達成するために、浴室から吸い込んだ空気を循環ファンにて加熱装置を介して再び浴室内に吹き出す循環風路と、浴室の空気を換気ファンにて吸い込んで屋外に排出する換気風路とを本体内に形成し、前記換気風路における浴室からの通風を切り換えるダンパーと、壁面等に取り付けたリモートコントローラーと信号線によって電気的に接続され、前記循環ファン、前記加熱装置、前記換気ファン、前記ダンパーの動作を制御する制御基板とを前記本体内に設け、前記制御基板に前記本体に設けた電源ターミナルを介して電源を供給する浴室換気乾燥機であって、前記制御基板は、記憶手段と、前記電源の通電を検知する検知回路と、前記電源の通電時間を積算する積算手段とを有し、前記検知回路にて電源の通電が検知された場合に、その通電時間を前記積算手段によって積算し、定期的に前記積算した通電時間を記憶手段に書き込み記憶するとともに、前記記憶手段に記憶された通電時間を使用者に知らせるものである。
【0011】
また、他の手段は、記憶手段に記憶された積算通電時間が所定の時間に達した旨を使用者に知らせる構成としたものである。
【0012】
また、他の手段は、記憶手段に記憶された積算通電時間が所定の時間に達した旨を、本体の下面を覆い浴室の天井面に取り付けられるルーバー部に設けた表示部によって表示するものである。
【0013】
また、他の手段は、記憶手段に記憶された積算通電時間が所定の時間に達した旨を、リモートコントローラーの操作状態を示す表示部に表示するものである。
【0014】
また、他の手段は、記憶手段に記憶された積算通電時間が所定の時間に達した旨を、リモートコントローラーの音声ガイドによる報知手段によって知らせるものである。
【0015】
また、他の手段は、記憶手段に記憶された積算通電時間が所定の時間に達するまでに、複数回にわたって所定の時間に近づいたことを知らせるものである。
【0016】
また、他の手段は、積算通電時間に係るお知らせを、リモートコントローラーにおいて所定の操作をすることにより消去できる構成としたものである。
【0017】
また、他の手段は、積算通電時間に係るお知らせが所定時間経過すると自動的に消去されるものである。
【0018】
また、他の手段は、所定の時間を複数個設定しておき、所定の時間に達した旨のお知らせが消去されても次の所定の時間に達したことを知らせる構成としたものである。
【0019】
また、他の手段は、記憶手段に記憶された積算通電時間を、リモートコントローラーにおいて所定の操作をすることにより表示させることができる構成としたものである。
【0020】
また、他の手段は、記憶手段に記憶された積算通電時間をリモートコントローラーの表示部に表示させるものである。
【0021】
また、他の手段は、記憶手段に記憶されている積算通電時間を任意に書き換え自在としたものである。
【0022】
また、他の手段は、本体への非通電時間を積算し、この積算非通電時間を積算通電時間に加えた経過時間を記憶手段に記憶するものである。
【0023】
また、他の手段は、本体への通電が停止されると、本体への通電電源から非通電時間積算用の電源回路に切り換える構成としたものである。
【0024】
また、他の手段は、本体へ通電されると、非通電時間を積算する電源回路から本体への通電電源の使用に切り換える構成としたものである。
【0025】
また、他の手段は、記憶手段に、積算通電時間が入力されていない場合、および、積算通電時間に係る所定の時間が入力されていない場合、本体は動作を開始しない構成としたものである。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、検知回路にて電源の通電が検知された場合に、その通電時間を積算手段によって積算し、定期的に積算した通電時間を記憶手段に書き込み記憶するとともに、記憶手段に記憶された通電時間を使用者に知らせることにより、使用者は、積算された通電時間によって使用時間を把握し、製品の使用状況を確認し、適切なメンテナンスを行うことによって発煙等の発生を未然に防止することができるという効果のある浴室換気乾燥機を提供することができる。
【0027】
また、記憶手段に記憶された積算通電時間が所定の時間に達した旨を使用者に知らせる構成としたことにより、点検時期としてあらかじめ設定した所定の時間に達したことを使用者が知ることができ、重要な点検を気づかなかったり遅れることなく実施することができる。
【0028】
また、記憶手段に記憶された積算通電時間が所定の時間に達した旨を、ルーバー部に設けた表示部によって表示することにより、点検時期を気づきやすくして、点検の実施率を高めることができる。
【0029】
また、記憶手段に記憶された積算通電時間が所定の時間に達した旨を、リモートコントローラーの操作状態を示す表示部に表示することにより、点検時期をより気づきやすくして、点検の実施率をより高めることができる。
【0030】
また、記憶手段に記憶された積算通電時間が所定の時間に達した旨を、音声ガイドによる報知手段によって知らせることにより、点検時期をさらに気づきやすくなり、点検の実施率をさらに高めることができる。
【0031】
また、記憶手段に記憶された積算通電時間が所定の時間に達するまでに、複数回にわたって所定の時間に近づいたことを知らせることにより、点検時期がくることを前もって知ることができ、点検の準備等が可能となる。
【0032】
また、積算通電時間に係るお知らせを、リモートコントローラーにおいて所定の操作をすることにより消去できる構成としたことにより、次のお知らせは、新たなお知らせとして意識して見ることができるようにすることができる。
【0033】
また、積算通電時間に係るお知らせが所定時間経過すると自動的に消去されることにより、次のお知らせは、かならず新たなお知らせとして見ることができる。
【0034】
また、所定の時間を複数個設定しておき、所定の時間に達した旨のお知らせが消去されても次の所定時間に達したことを知らせる構成としたことにより、消去しても何回か点検時期に達したことを知らせて、点検を実施する意識を持つように強調することができる。
【0035】
また、記憶手段に記憶された積算通電時間を、リモートコントローラーにおいて所定の操作をすることにより表示させることができる構成としたことにより、点検の時期を使用者自ら把握することができ、点検の準備等をしてメンテナンス性を高めることができる。
【0036】
また、記憶手段に記憶された積算通電時間をリモートコントローラーの表示部に表示させることにより、表示を確認しながら、容易に操作できることとなる。
【0037】
また、記憶手段に記憶されている積算通電時間を任意に書き換え自在としたことにより、たとえば、製品使用期間の途中で制御基板だけをメンテナンスした場合に、積算通電時間をそれまでの積算通電時間を継続するように書き換えることができることとなる。
【0038】
また、本体への非通電時間を積算し、この積算非通電時間を積算通電時間に加えた経過時間を記憶手段に記憶することにより、通電時だけでなく非通電時も含めて経過時間を積算して記憶し、経年劣化も考慮した点検時期を使用者に知らせることができる。
【0039】
また、本体への通電が停止されると、本体への通電電源から非通電時間積算用の電源回路に切り換える構成としたことにより、本体への通電が停止されても、非通電時間を積算して経過時間を積算することができる。
【0040】
また、本体へ通電されると、非通電時間を積算する電源回路から本体への通電電源の使用に切り換える構成としたことにより、非通電時間積算用の電源は、その使用時間を長くならないようにして、長寿命に保護することができる。
【0041】
また、記憶手段に、積算通電時間が入力されていない場合、および、積算通電時間に係る所定の時間が入力されていない場合、本体は動作を開始しない構成としたことにより、点検時期を知らせない状態のまま運転が継続されていくことを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
本発明の請求項1記載の浴室換気乾燥機は、制御基板は、記憶手段と、電源の通電を検知する検知回路と、前記電源の通電時間を積算する積算手段とを有し、前記検知回路にて電源の通電が検知された場合に、その通電時間を前記積算手段によって積算し、定期的に前記積算した通電時間を記憶手段に書き込み記憶するとともに、前記記憶手段に記憶された通電時間を使用者に知らせる構成としたものであり、本体への積算した通電時間が定期的に記憶手段に記憶され、記憶された積算通電時間を使用者に知らせることによって、使用者は製品の使用時間を把握することができるという作用を有する。
【0043】
また、請求項2記載の浴室換気乾燥機は、記憶手段に記憶された積算通電時間が所定の時間に達した旨を使用者に知らせる構成としたものであり、記憶された通電時間が、あらかじめ加熱装置等の重要構成要素の点検時期として設定した時間に達したことを使用者に知らせることとなる。
【0044】
また、請求項3記載の浴室換気乾燥機は、記憶手段に記憶された積算通電時間が所定の時間に達した旨を、本体の下面を覆い浴室の天井面に取り付けられるルーバー部に設けた表示部によって表示するものであり、積算通電時間が所定の時間に達したことを、浴室内で目に触れるルーバー部に設けた表示部に表示することによって、使用者が点検時期の表示に気づきやすくなる。
【0045】
また、請求項4記載の浴室換気乾燥機は、記憶手段に記憶された積算通電時間が所定の時間に達した旨を、リモートコントローラーの操作状態を示す表示部に表示するものであり、製品の運転時に使用するリモートコントローラーの表示部は運転時に見る確率が高く、使用者が点検時期の表示により気づきやすくなる。
【0046】
また、請求項5記載の浴室換気乾燥機は、記憶手段に記憶された積算通電時間が所定の時間に達した旨を、リモートコントローラーの音声ガイドによる報知手段によって知らせるものであり、積算通電時間が所定の時間に達したことを、使用者が意識して見なくても、音声ガイドによって無意識のうちに知らされることとなる。
【0047】
また、請求項6記載の浴室換気乾燥機は、記憶手段に記憶された積算通電時間が所定の時間に達するまでに、複数回にわたって所定の時間に近づいたことを知らせるものであり、積算通電時間が所定の時間に達したことを突然知らせるのではなく、徐々に近づいていることを知らせる。
【0048】
また、請求項7記載の浴室換気乾燥機は、積算通電時間に係るお知らせを、リモートコントローラーにおいて所定の操作をすることにより消去できる構成としたものであり、積算通電時間に係るお知らせを確認後、消去しておくことができる。
【0049】
また、請求項8記載の浴室換気乾燥機は、積算通電時間に係るお知らせが所定時間経過すると自動的に消去されるものであり、お知らせがあった都度、消去する操作をしなくても、自動的に消去されることとなる。
【0050】
また、請求項9記載の浴室換気乾燥機は、所定の時間を複数個設定しておき、所定の時間に達した旨のお知らせが消去されても次の所定の時間に達したことを知らせる構成としたものであり、一つの所定の時間に係るお知らせが消去されると、次の所定の時間に係るお知らせをし、この動作が繰り返されることとなる。
【0051】
また、請求項10記載の浴室換気乾燥機は、記憶手段に記憶された積算通電時間を、リモートコントローラーにおいて所定の操作をすることにより表示させることができる構成としたものであり、使用者が、その時の使用期間を把握するためにリモートコントローラーを操作して、積算通電時間を容易に知ることができる。
【0052】
また、請求項11記載の浴室換気乾燥機は、記憶手段に記憶された積算通電時間をリモートコントローラーの表示部に表示させるものであり、上記リモートコントローラーの操作による積算通電時間の表示を、リモートコントローラー自体に表示させる。
【0053】
また、請求項12記載の浴室換気乾燥機は、記憶手段に記憶されている積算通電時間を任意に書き換え自在としたものであり、記憶されている積算通電時間を、その時の実状に応じて書き換えることができる。
【0054】
また、請求項13記載の浴室換気乾燥機は、本体への非通電時間を積算し、この積算非通電時間を積算通電時間に加えた経過時間を記憶手段に記憶するものであり、本体への非通電時の時間も積算し、たとえば製品製造時からの経過時間を積算して記憶手段に記憶する。
【0055】
また、請求項14記載の浴室換気乾燥機は、本体への通電が停止されると、本体への通電電源から非通電時間積算用の電源回路に切り換える構成としたものであり、本体への通電が停止されても、本体への通電とは別の電源回路に切り換えて非通電時間を積算することとなる。
【0056】
また、請求項15記載の浴室換気乾燥機は、本体へ通電されると、非通電時間を積算する電源回路から本体への通電電源の使用に切り換える構成としたものであり、本体への通電時には、非通電時間積算用の電源回路を断電して使用しない。
【0057】
また、請求項16記載の浴室換気乾燥機は、記憶手段に、積算通電時間が入力されていない場合、および、積算通電時間に係る所定の時間が入力されていない場合、本体は動作を開始しない構成としたものであり、点検時期を知らせるための状態になっていない場合には、正規の状態になるまで待機して、本体への通電時間を確実に入力する旨を使用者に知らしめる。
【0058】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図11を参照しながら説明する。
【0059】
(実施の形態1)
図1は本体6の浴室側下面を覆うルーバー部を取り外した内部の循環風路3と換気風路5のブロック構成図である。
【0060】
図に示すように、電動機(図示せず)の駆動により回転されて浴室内の空気を吸込み、その浴室から吸い込んだ空気を加熱装置2に流し、加熱装置2の間で熱交換を行って加温した空気を再び浴室内に吹き出す循環ファン1と加熱装置2を連通してなる循環風路3と、電動機(図示せず)を駆動させて換気ファン4を回転させ浴室内の空気を吸込み、その浴室から吸い込んだ空気を屋外に排出する換気風路5とを本体6内に形成し、換気風路5における浴室からの通風をなくすために閉にしたり、浴室からの吸込み空気を多くするために開にしたりすることが可能なダンパー7を換気ファン4の上流側に配置し、ダンパー7を電動機(図示せず)を用いて、その開度を調整することにより、換気ファン4に吸い込まれる排気する空気の量を調整している。ここで、循環ファン1および換気ファン4は具体的形状としてシロッコファン形状が適切であり、低騒音化ということではクロスフローファン、高静圧ということではターボファンといったものを使用することもある。
【0061】
また加熱装置2に関しても、具体的には輻射熱を放出するハロゲンヒーターや遠赤外線ヒーター、PTCヒーターなどの電気的なヒーターを使用しても、他の熱源機(図示せず)から温水を供給してもらい、温水を中に流す温水コイルのようなものでも同一の効果を発揮することができる。
【0062】
次に図2を参照して、本体6の動作を制御するための構成について説明する。
【0063】
浴室外の壁面等に取り付けたリモートコントローラー8と本体6を信号線9によって電気的に接続し、リモートコントローラー8からの指令により本体6の動作の指令を行う。ここでいう動作の指令とは暖房運転をするために循環ファン1と加熱装置2を運転させる、または、換気を行うために換気ファン4を運転させるといった指令のことである。そして、循環ファン1、加熱装置2、換気ファン4、ダンパー7の動作を制御する制御基板10を本体6内に設け、制御基板10に本体6に設けた電源ターミナル11を介して外部の分電盤から電源を供給している。電源ターミナル11は施工のしやすさ、安全性からすれば温度ヒューズ付きの速結端子を用いるケースが多い。電源ターミナル11から電源線12によって制御基板10に電源が供給される。電源への通電を電子部品の回路形成により検知する検知回路13と、電源の通電時間を積算する電子部品の積算手段14とを有し、図3のフローチャートに示すように、検知回路13にて電源の通電が検知された場合に、その通電時間を積算手段14によって積算し、定期的に積算した通電時間を電子部品の記憶手段15に書き込み記憶するとともに、記憶手段15に記憶された通電時間を使用者に知らせる構成としている。記憶手段15は、通電が断電された場合でも、記憶された情報は初期化されないものとする。具体的にはEEPROMと呼ばれるような電子部品記憶装置がここでいう電子部品に該当する。
【0064】
図4のフローチャートに示すように、記憶手段15に記憶された積算通電時間が所定の時間に達すると、その旨を使用者に知らせる。所定の時間とは、具体的に製品を製造し出荷する時に設定しておく場合もあれば、製品を設置して、その設置された環境により、設置後にリモートコントローラー8を操作することにより設定する場合があり、この場合、所定の時間が製品出荷時に設定されていれば変更する。設定されていない場合は入力する。また、所定の時間は1個とはかぎらず、当然複数個の所定の時間を持つこともある。
【0065】
図5に示すように、浴室からの空気を吸込む吸込口16と浴室内に温風等を吹き出す吹出口17を備え、本体6を覆うように浴室側に装着されたルーバー部18の浴室内から容易に確認できる位置に、通電時間が所定の時間に達した旨を表示する表示部19を配設している。
【0066】
通電時間が所定の時間に達した旨を表示する具体的な手段は、アルファベットのCを表示する場合や、所定の時間を数字そのもので表示する場合があり、いずれの場合も同一の効果をもたらす。
【0067】
図6のフローチャートに示すように、記憶手段15に記憶された積算通電時間が所定の時間のA時間前、B時間前に達したことを複数回にわたって、使用者に知らせる。知らせ方については、ある特定の時間の数字ごとに知らせる方法もあれば、数字がカウントダウン方式のように連続的に減算させて表示をする方法もある。
【0068】
図7のフローチャートに示すように、積算通電時間に係るお知らせを、リモートコントローラー8において所定の操作をすることにより消去できる。もしくは、積算通電時間に係るお知らせが表示を開始してから所定時間経過すると自動的に消去される。
【0069】
所定の操作とは具体的には押しボタンを長押しする方法などがある。
【0070】
積算通電時間の所定の時間は、長さが少しずつ異なる時間を複数個設定しておき、所定の時間に達した旨のお知らせが消去されても、次の所定の時間に達した場合に再び表示をして知らせる構成としている。
【0071】
次の所定の時間に達した場合の表示方法は、その前の表示方法と同じ方法にて表示をする。
【0072】
上記構成により、積算通電時間に係るお知らせを確認後、消去しておくことができ、次のお知らせを新たなお知らせとして意識して見ることができるようになり、消去を自動的になされるようにすることにより、次のお知らせはかならず新たなお知らせとして見ることができるようになる。さらに、一つの所定の時間に係るお知らせが消去されると、次の所定の時間に係るお知らせをし、この動作が繰り返され、消去しても何回か点検時期に達したことを知らせて、点検を実施する意識を持つように強調することができるようになる。
【0073】
また、記憶手段15に記憶されている積算通電時間は、リモートコントローラー8を操作することにより任意に書き換えることができる。
【0074】
これは、下記のような場合が市場にて起こることが容易に想定できるため、その対応である。
【0075】
製品を設置して数年後に、制御基板10が故障し、現場にて交換が必要となった場合に、新しい制御基板10は当然初めての通電のため、積算通電時間の積算が交換後に開始されるが、制御基板10以外の構成部品は当然交換までの数年間の通電時間があるはずである。そのため、製品自体が通電を始めた数年前からの積算通電時間を記憶手段15の初期値として、新たな制御基板10の積算通電時間に書き換え可能としている。
【0076】
また、図8のフローチャートに示すように、記憶手段15に記憶されている数字を読み込みにいった時に、積算通電時間が読み取れた場合(数字上、運転をしていない時の0時間を含む)、本体6は動作待機状態に移行するが、積算通電時間が入力されていない場合には、本体6を停止し、積算通電時間が入力されていない旨の異常表示をし、積算通電時間を入力してもらうように本体6を停止させた状態のまま待機状態となる。
【0077】
この後、上記のようにリモートコントローラー8を使用し、その時の実状に応じて任意に積算通電時間を初期値として入力し、動作させるようにする。
【0078】
また、点検時期を知らせる積算通電時間の所定の時間が記憶手段15に入力されていない場合も、同様にして、リモートコントローラー8を使用して入力する。
【0079】
上記構成により、点検時期を知らせるための状態になっていない場合には、正規の状態になるまで待機して、点検時期を知らせない状態のまま運転が継続されていくことを防止できる。
【0080】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2の浴室換気乾燥機は、上記実施の形態1の浴室換気乾燥機に対し、図9に示すように、記憶手段15に記憶された積算通電時間が所定の時間に達した旨を、リモートコントローラー8の操作状態を示す表示部20に表示する点が相違する。
【0081】
表示手段はLEDを点灯、点滅させる手段や、7セグLEDにアルファベット数字を点灯、点滅させる手段や、所定の時間の数字そのものを表示する手段がある。これはリモートコントローラー8を操作する時に容易に確認することができるし、操作する時に、普段停止中は何も表示がされていないのに、積算通電時間において所定の時間に達した旨が表示されていると、普段とは違う何かが表示されており、意外性の点で使用者の気を引き、気付きやすくなる利点がある。
【0082】
また、記憶手段15に記憶された積算通電時間が所定の時間に達した旨を使用者に知らしめる別の手段として、音声ガイドによる報知手段21によって使用者に言語や音でわかりやすく知らせる手段がある。
【0083】
また、図10のフローチャートに示すように、記憶手段15に記憶されている積算通電時間を、リモートコントローラー8において所定の操作をすることによりリモートコントローラー8の表示部20に表示させることができる構成としている。
【0084】
リモートコントローラー8の所定の操作として、単操作(例えば、換気ボタンを押す)ではなく、複数操作を組み合わせて行うようにする。これは、リモートコントローラー8の普段の使用時とは明確に区別して操作するためである。
【0085】
上記構成により、使用者がリモートコントローラー8を操作してその表示部20にその時の使用期間を表示させて、自ら点検時期を容易に把握でき、点検の準備等をすることができる。
【0086】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3の浴室換気乾燥機は、上記実施の形態1の浴室換気乾燥機に対し、図11に示すように、本体6への非通電時間を積算し、この積算非通電時間を積算通電時間に加えた経過時間を記憶手段15に記憶する構成とした点に特徴がある。
【0087】
すなわち、電源ターミナル11から本体6への電源の通電が断電された場合に、電子部品にて形成された非通電検知回路22が電源ターミナル11からの非通電を検知して作動し、電源ターミナル11を介した通電電源から非通電時間積算用の電源回路23に切り換えて非通電検知回路22により非通電時間を積算し、この積算非通電時間を記憶手段15に記憶する。そして、電源ターミナル11を介して再び本体6への通電が開始されると、非通電時間積算用の電源回路23から電源ターミナル11からの通電電源に使用を切り換え、通電時間の検知回路13、積算手段14での通電時間の積算を開始する。
【0088】
このように検知して積算していく積算通電時間と積算非通電時間を、加え合わせて経過時間として記憶手段15に記憶する。
【0089】
上記構成により、本体6への非通電時間も積算し、たとえば製品製造時からの経過時間を積算して記憶手段15に記憶し、通電時だけでなく非通電時も含めた経過時間を記憶し、経年劣化も考慮した点検時期を使用者に知らせることができることとなる。
【0090】
本体6への通電が停止されても、非通電時間積算用の電源回路23によって非通電時間を積算することができ、さらに、非通電時間積算用の電源回路23は、本体6への通電時には断電されて、その使用時間が長くならないようにし、寿命が長くなるように保護される。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明に係る浴室換気乾燥機は、点検時期になったことを使用者に知らせて、適切なメンテナンスが実施されることとなるので、大電流が流れ高湿度空間で運転される機器にとって有用である。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の実施の形態1の浴室換気乾燥機における循環風路と換気風路に係るブロック構成図
【図2】同浴室換気乾燥機の制御基板に係るブロック構成図
【図3】同制御基板の記憶手段への積算通電時間記憶のフローチャート
【図4】同積算通電時間が所定の時間に達した旨を知らせるフローチャート
【図5】同浴室換気乾燥機のルーバー部の下面図
【図6】同積算通電時間が所定の時間に達した旨を複数回知らせるフローチャート
【図7】同積算通電時間を一度消去したあと再度表示するフローチャート
【図8】同制御基板の記憶手段における積算通電時間の入力の有無を確認して本体の運転制御をするフローチャート
【図9】本発明の実施の形態2における浴室換気乾燥機のリモートコントローラーの正面図
【図10】同リモートコントローラーによる積算通電時間の表示を示すフローチャート
【図11】本発明の実施の形態3の浴室換気乾燥機の制御基板に係るブロック構成図
【図12】従来の浴室乾燥機の断面図
【符号の説明】
【0093】
1 循環ファン
2 加熱装置
3 循環風路
4 換気ファン
5 換気風路
6 本体
7 ダンパー
8 リモートコントローラー
9 信号線
10 制御基板
11 電源ターミナル
13 検知回路
14 積算手段
15 記憶手段
18 ルーバー部
19 表示部
20 表示部
21 報知手段
23 非通電時間積算用の電源回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室から吸い込んだ空気を循環ファンにて加熱装置を介して再び浴室内に吹き出す循環風路と、浴室の空気を換気ファンにて吸い込んで屋外に排出する換気風路とを本体内に形成し、前記換気風路における浴室からの通風を切り換えるダンパーと、壁面等に取り付けたリモートコントローラーと信号線によって電気的に接続され、前記循環ファン、前記加熱装置、前記換気ファン、前記ダンパーの動作を制御する制御基板とを前記本体内に設け、前記制御基板に前記本体に設けた電源ターミナルを介して電源を供給する浴室換気乾燥機であって、前記制御基板は、記憶手段と、前記電源の通電を検知する検知回路と、前記電源の通電時間を積算する積算手段とを有し、前記検知回路にて電源の通電が検知された場合に、その通電時間を前記積算手段によって積算し、定期的に前記積算した通電時間を記憶手段に書き込み記憶するとともに、前記記憶手段に記憶された通電時間を使用者に知らせる構成としたことを特徴とする浴室換気乾燥機。
【請求項2】
記憶手段に記憶された積算通電時間が所定の時間に達した旨を使用者に知らせる構成とした請求項1に記載の浴室換気乾燥機。
【請求項3】
記憶手段に記憶された積算通電時間が所定の時間に達した旨を、本体の下面を覆い浴室の天井面に取り付けられるルーバー部に設けた表示部によって表示する請求項2に記載の浴室換気乾燥機。
【請求項4】
記憶手段に記憶された積算通電時間が所定の時間に達した旨を、リモートコントローラーの操作状態を示す表示部に表示する請求項2に記載の浴室換気乾燥機。
【請求項5】
記憶手段に記憶された積算通電時間が所定の時間に達した旨を、リモートコントローラーの音声ガイドによる報知手段によって知らせる請求項2に記載の浴室換気乾燥機。
【請求項6】
記憶手段に記憶された積算通電時間が所定の時間に達するまでに、複数回にわたって所定の時間に近づいたことを知らせる請求項2〜5のいずれかに記載の浴室換気乾燥機。
【請求項7】
積算通電時間に係るお知らせを、リモートコントローラーにおいて所定の操作をすることにより消去できる構成とした請求項1〜6のいずれかに記載の浴室換気乾燥機。
【請求項8】
積算通電時間に係るお知らせが所定時間経過すると自動的に消去される請求項1〜6のいずれかに記載の浴室換気乾燥機。
【請求項9】
所定の時間を複数個設定しておき、所定の時間に達した旨のお知らせが消去されても次の所定の時間に達したことを知らせる構成とした請求項6〜8のいずれかにに記載の浴室換気乾燥機。
【請求項10】
記憶手段に記憶された積算通電時間を、リモートコントローラーにおいて所定の操作をすることにより表示させることができる構成とした請求項1〜6のいずれかに浴室換気乾燥機。
【請求項11】
記憶手段に記憶された積算通電時間をリモートコントローラーの表示部に表示させる請求項10に記載の浴室換気乾燥機。
【請求項12】
記憶手段に記憶されている積算通電時間を任意に書き換え自在とした請求項1に記載の浴室換気乾燥機。
【請求項13】
本体への非通電時間を積算し、この積算非通電時間を積算通電時間に加えた経過時間を記憶手段に記憶する請求項1に記載の浴室換気乾燥機。
【請求項14】
本体への通電が停止されると、本体への通電電源から非通電時間積算用の電源回路に切り換える構成とした請求項13に記載の浴室換気乾燥機。
【請求項15】
本体へ通電されると、非通電時間を積算する電源回路から本体への通電電源の使用に切り換える構成とした請求項14に記載の浴室換気乾燥機。
【請求項16】
記憶手段に、積算通電時間が入力されていない場合、および、積算通電時間に係る所定の時間が入力されていない場合、本体は動作を開始しない構成とした請求項2に記載の浴室換気乾燥機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−121788(P2010−121788A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−293031(P2008−293031)
【出願日】平成20年11月17日(2008.11.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】