説明

浴槽浮遊物吸着具およびその製造方法

【課題】
吸着具本体の外被布に施された表示面が倒伏せず常に起立状態で浮かび、湯面や湯中に浮遊する皮脂、垢、毛髪などを吸着すると共に、浴槽に浮かして遊ぶ楽しみのおもちゃとして使用できる。
【解決手段】
親油性繊維材3a、3bからなる中芯材3と、その中芯材3を包皮する親油性繊維でタック編またはメッシュ編みした表示面7の施された外被布2からなる浴槽の浮遊物を吸着する吸着具である。外被布2の底部5を比重1以上の親油性繊維で平編にする。底部重量を、吸着具総重量の1/6〜1/7にする。外被布2に施された表示面7を湯面に対して略直角の状態で浮く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽内に浮かしておくことにより、湯面や湯中に浮遊する皮脂、湯垢の汚れや毛髪などを自然に吸収して浴槽を常に清潔にすることができる浴槽浮遊物吸着具およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般家庭での入浴は、浴槽内に充填した水を適温に沸かすとか、あるいは給湯器から湯を浴槽内に充填した後、入浴することになるが、複数の人が入浴すると、湯が汚れたり少なくなったり、冷めたりするので水を足して追い炊きするとか、給湯器から湯を補充したりすることはあっても、経済性の面から湯の全量を入れ換えるようなことをしないのが普通である。
【0003】
そのため、先に入浴した人の皮脂、垢、毛髪などが湯面や湯中で浮遊したり、浴槽の壁面に付着することから、後から入浴する人にとっては不快感が生じ、浴槽の外から洗面器などを使って湯を掬い取っていたが、浮遊物は微細でうまく掬い上げることが困難であるばかりか、たとえ掬い取ったとしても湯を捨てることになり湯の無駄使いになった。
【0004】
そのような欠点を解消するものとして、浴槽内に吸着具を浮かべて湯垢、毛髪など浮遊物を吸着する吸着具は既に提案されている。その一つとして、例えば、弾力性のあるボールの全面に、長さが異なる何種類かのブラシを混合して設け、ボールの表面に、水面と水中への浮き沈みを調整するための空気穴を複数個設けた浴槽の浮遊物を取り除くボールが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
しかし、この浴槽の浮遊物を取り除くボールは、水面を浮遊しているうちに毛髪はブラシに引っ掛かって取れても、皮脂、湯垢などの油脂成分や臭気成分は吸収除去できず、水面に皮脂が浮き異臭もあって後から入浴する人は快適に入浴することができないといった問題点があった。
【0006】
また、別のものとして、親油性繊維を素材として略長円形または略方形のシート状に形成された湯垢吸着体を浴槽に浮かべることにより、浴槽内を対流して浮遊する湯垢やゴミ、毛髪を吸着するものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
しかしながら、この湯垢吸着シートは、皮脂や湯垢などは取れても、浴槽の略全面を覆う大きさの吸着シートであることから、入浴後、次の人が入るまでの間、水面に被せておくものであるから、入浴中には使用できないと言った不便さがあった。また、吸着シートは比較的大きいからスペースの少ない浴室内での置場所に困ると言った問題点があった。
【0008】
さらに、上記の特許文献1,2とも単に毛髪や湯垢の浮遊物を吸着するだけの使用価値に過ぎず、例えば、浴槽の中に一緒に入って浮かべて遊ぶことができる入浴おもちゃになるなどの付加価値はなく、また、従来の浴槽に浮かべて遊ぶ玩具は、プラスチック製や木製の動物や乗物などのありきたりのものであって面白味がなかった。
【0009】
そこで、上記のような問題点を解決するものとして、本出願人は先に、特願2005−124691号として、親油性繊維で所望形状の中芯材を形成し、その中芯材に適宜の表示面を施した親油性繊維の外被布で包被して吸着具本体を形成し、該吸着具本体を浴槽に浮かべた時、表示面が湯面に対して起立して浮くように構成した浴槽浮遊物吸着具を提供して好評を得ている。
【0010】
【特許文献1】特開2001−258774号公報
【特許文献2】特開2002−355185号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記の出願は、外被布の表示面を湯面に対して起立して浮くようにするには、中芯材を比重1以下の繊維不織布と、比重1以下のプラスチックパイプを所定の割合で混合して中層部から上層部に配置すると共に、比重1以上の繊維不織布を下層に配置しなければならず、特定された材料を特定位置に配する必要があり、その配合量と配置位置に手間どり、中芯材を形成するのが難しいばかりでなく、浴槽浮遊物吸着具の製作に時間がかかりすぎ効率的に生産できないと言った問題点があった。
【0012】
本発明は、上記のような問題点を解決することを課題として研究開発されたもので、中芯材を包被する外被布を親油性の比重1以下の繊維糸だけでなく、親油性の比重1以上の繊維糸で底部を編成し、その底部の重量を、吸着具全体の総重量の1/6〜1/7にすることにより、外被布に施された表示面が倒伏せず常に起立状態で浮かび、湯面や湯中に浮遊する皮脂、垢、毛髪などを吸着すると共に、浴槽に浮かして遊ぶ楽しみのおもちゃとして使用できる浴槽浮遊物吸着具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決し、その目的を達成する手段として、本発明は、親油性繊維材からなる所望形状の中芯材と、その中芯材を包皮する比重1以下の親油性繊維でタック編またはメッシュ編みした表示面の施された外被布とからなる浴槽の浮遊物を吸着する吸着具であって、前記外被布の底部を比重1以上の親油性繊維で平編にし、その底部重量を、吸着具総重量の1/6〜1/7にし、外被布に施された表示面を湯面に対して略直角の状態で浮くように構成したことをと特徴とする浴槽浮遊物吸着具を開発し、採用した。
【0014】
また、上記のように構成した浴槽浮遊物吸着具において、前記の比重1以上の繊維がポリエステル繊維またはポリ塩化ビニル繊維であることを特徴とする浴槽浮遊物吸着具、および前記外被布に施された表示面が四足獣類、鳥類、魚類、想像動物あるいは植物、乗物、器物から選ばれた一種の表示面であることを特徴とする浴槽浮遊物吸着具、および前記表示面の一部を踵編により立体的な突出部にしてあることを特徴とする浴槽浮遊物吸着具を開発し、採用した。
【0015】
また、本発明は、親油性繊維材で所望形状の中芯材を形成する工程と、比重1以下の親油性繊維で有底筒状の外被布をタック編またはメッシュ編すると共に、比重1以上の親油性繊維で上端部と底部を平編に編成し、底部重量を、吸着具総重量の1/6〜1/7にする工程と、外被布の上部筒状に表示面を施す工程と、外被布の有底筒状の底部に中芯材を挿入する工程と、中芯材の上端部に相当する位置の外被布の箇所で緊締する工程と、上部筒状を反転させて中芯材を被覆する下部筒状に重合する工程と、下端部を寄せ合わせて緊締材で緊締して開口部を閉塞すると共に、端部を余端布にする工程とからなることを特徴とする浴槽浮遊物吸着具の製造方法を開発し、採用した。
【発明の効果】
【0016】
製品出来上がり時の底部分を除いて比重1以下の親油性繊維でタック編またはメッシュ編にし、底部分を比重1以上の親油性繊維で平編し、吸着具全体の総重量の1/6〜1/7にすることにより、重量のバランスがとれて外被布に施された表示面が湯面に対して略直角に浮くことになり、吸着具本体の全体が親油性の繊維で形成されているから、浴槽に浮かべておくだけで皮脂、湯垢、毛髪などの浮遊物を吸着できる。特に体内から分泌される汗や皮脂などの油脂成分や臭気成分を効率的に吸着して浄化するため、後から入浴する人がきれいな湯に入ることができる。また、浮遊する皮脂、湯垢などを積極的に吸着するので、浴槽の内壁面に付着して汚すのが少なくなり清掃が簡単にできると共に、洗濯水としても充分に使うことができる。
【0017】
また、従来のように、比重1以下の親油性繊維材と、比重1以上の親油性繊維材と、浮力材とを所定の割合で混合し、かつ所定の位置に中芯材を配置する必要がなくなり、重量だけを検知しておけばよくなる。さらに、表示面は四足獣類、鳥類、魚類、想像動物あるいは植物、乗物、器物などどのような形態にも対応でき、例えば、表示部の一部を踵編で立体的に形成できるから、よりリアルなものになる。さらに、従来にない繊維製の浮きおもちゃにもなり、浴槽の中に一緒に入って遊ぶことができ子供が風呂場で楽しく遊べる入浴おもちゃとしても使用できる。
【0018】
また、本発明の浴槽浮遊物吸着具の製造方法によれば、外被布の底部を除いた部分を、比重1以下の親油性繊維でタック編またはメッシュ編とし、底部を比重1以上の親油性繊維で編成し、その部分の重量を吸着具総重量の1/6〜1/7にすれば、湯面に対して略直角に起立して浮くことになり、その製作が極めて容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明すると、図1は本発明の浴槽浮遊物吸着具を示しており、その吸着具本体1は、親油性の繊維糸で編まれた外被布2と、その外被布2で包皮される中芯材3および吊紐4とで構成されている。
【0020】
上記の外被布2は、油脂成分に対して親和性あるいは吸着性を持つ親油性繊維糸で編成されている。親油性の繊維糸としては、比重0.91のポリプロピレン、比重0.94のポリエチレンが好適であり、図2に示すように、縦長の有底長筒状に編成されており、製品出来上がり時に底部分となる上端開口周辺部5aと上端正面部5bおよび底部5cが平編5に編成され、その他の部分はタック編またはメッシュ編6で編成されている。
【0021】
その外被布2の上部筒状2aの正面部には、例えば、四足獣類、鳥類、魚類、想像動物あるいは植物、乗物、器物など適宜の表示面7が施されている。その表示面7は外被布2の糸と異なる色の糸で、平編された編成部8や踵編で編まれた突出部9などで表示面7を構成している。
【0022】
中芯材3は、比重1以下のポリプロピレンやポリエチレン、比重1以上のポリエステルやポリ塩化ビニルなどの親油性の合成繊維材3a,3bと、比重1以下で、長さ4〜8mmのプラスチックパイプの浮力材3cを混合して球状に形成されている。ポリプロピレンやポリエチレン3a、ポリエステルやポリ塩化ビニル3bは編布、織布、不織布あるいはそれらの裁断屑布などを用いることができ、特に裁断屑布を使用すると、生地のロスが無くなると共にゴミの発生も少なくなる。より好ましいのは、被覆が容易で吸着性の良い、比重0.91で水中に浮遊する浮力材機能を併せて持つポリプロピレンの不織布3aと、比重1.39のポリ塩化ビニルの不織布3bと、ポリエチレンパイプの浮力材3cを混合して形成したものである。
【0023】
このポリプロピレンの不織布3a、ポリ塩化ビニルの不織布3bは油脂成分の吸着能力が自重の15〜25倍有していることから、主として皮脂、汗など油性の汚れを積極的に吸着するが、他の浮遊物も吸着する。
【0024】
吊紐4は、一端部を中芯材3内に埋設した細幅のループ状のものであり、使用後、掛け具に引っ掛けて乾かすようになっている。
【0025】
上記のように構成した浴槽浮遊物吸着具の製造方法を説明すると、図2に示すように、比重1以下の親油性繊維糸でタック編またはメッシュ編6して有底長筒状の外被布2を編成する。その外被布2の上端開口周辺部5aと上部正面部5bおよび底部5cの3箇所、すなわち製品出来上がり時の底部分を比重1以上の親油性繊維糸で平編5にする。この外被布2の上部筒状2aには適宜の表示面7が施されている。
【0026】
図6に示すように、比重1以下の親油性の合成繊維材3aと、比重1以上の親油性の合成繊維材3bと、比重1以下で、長さ4〜8mmのプラスチックパイプの浮力材3cとを混合して球状の中芯材3を形成する。そして、その中芯材3の中に吊紐4の一端部を埋設して上部をループ状にする。
【0027】
図7に示すように、有底長筒状の外被布2を表裏反転させた状態、すなわち表示面7が内面になった状態の外被布2の底部に中芯材3を入れる。その後、中芯材3の上端部となる外被布2の所を絞り緊締バンド10で緊張する。その後、図8に示すように、上部筒状2aを反転させて中芯材3の外形に沿わせ下部筒状2bに重ね上端開口周辺部5aと上部正面部5bが下方になる。
【0028】
図9に示すように、下端部を寄せ合わせて緊締バンド11で緊締して開口部12を閉塞することにより、比重1以上の親油性繊維糸で平編された上端開口周辺部の余端布13が形成されて吸着具本体1が得られる。この時、外被布2の外面には表示面7が現れる。
【0029】
このようにして製造された浴槽浮遊物吸着具の使用例を説明すると、図10に示すように、浴槽内に入れると、吸着具本体1は湯面を浮遊することになり、湯面に浮遊する皮脂、湯垢、毛髪を外被布2で吸着する。特に外被布2は親油性繊維材で構成されているから、油脂成分の皮脂を積極的に吸着すると共に、臭気成分も除去することから清潔な湯になる。この吸着具本体1は、浴槽の中に入れても、邪魔になることなく使用できる。
【0030】
外被布2に吸着された皮脂など汚れの一部は、外被布2の内部に侵入していき中芯材3の親油性の繊維材に吸着される。さらに、汚れの一部は内部に侵入していき次第に汚れや臭気が吸着される。また、中芯材3は繊維材3a,3bと、浮力材3cだけでなく、銀片を入れることもあり、その場合には汚れ物質の除菌が一層図れて衛生的になる。
【0031】
吸着具本体1は、外被布2の底部分となる比重1以上の繊維重量と、吸着具本体1の総重量バランスが取れているので、常に表示面7が湯面に対して起立した状態になり、繊維製でありながら水面に浮かぶ面白味があっておもちゃとしての機能を有すると共に、浴槽の中に一緒に入ることにより癒された気分になる。
【0032】
さらに、入浴中は勿論、入浴後においても、湯面に浮かせておけば、汚れを吸収して残り湯がきれいになり洗濯水として利用できる。そして、湯を抜く際に取り出して、吊紐4を掛け具などに引っ掛けて乾かして次回使用できるようにしてある。
【0033】
さらに、本発明の具体的実施例を述べる。
(実施例1)
黄色のポリプロピレン糸でタック編みして長さ21cmの円筒状外被布2を編成し、一端開口部を縫着閉止して有底長筒状とした。その外被布2の上部開口周辺部5aと上部正面部5bおよび底部5cをポリエステル糸で平編5にし、この平編5の重さは6〜7gである。この外被布2の上部筒状2aに虎の顔を示す表示面7を施した。すなわち、外被布2の黄色より一段と濃い黄色のポリプロピレン糸で踵編みして外方に突出する耳9を編成すると共に、目8、鼻8などを黒糸で平編、口8を白糸で平編として虎を示す表示面7を形成した。
【0034】
一方、ポリプロピレン不織布3aを50グラム、浮力材として長さ4〜8mmの炭粉末を含有するポリエチレンパイプ3cを10グラム混合して中部から上層部に配置すると共に、ポリ塩化ビニル不織布3bを10グラム下層部に配して直径8cmの球状の中芯材3を形成した。この結果、外被布2とポリプロピレン不織布3aと浮力材3cを合わして 87重量%、ポリ塩化ビニル不織布3bが13重量%の比率で仕上がった。
【0035】
この中芯材3を、図7に示すように、外被布2の下部筒状2bに入れ、その上端部を緊締バンド10で緊締した後、図8に示すように、上部筒状2aの外面を反転させて下部筒状2bの外周面に重合して二重に被覆し、上端開口周辺部5aと上部正面部5bが下方になる。この時、外被布2の外面には表地面7が現れる。そして、図9に示すように、下端部2bを寄せ合わせて緊締バンド11で緊締して開口部12を閉塞することにより、比重1以上の親油性繊維糸で平編された上端開口周辺部5aの余端布13が形成されて吸着具本体1を得た。
(実施例2)
【0036】
上記実施例1の中芯材3のポリ塩化ビニル不織布3bを、ポリエステル不織布3bとした以外は全て実施例1と同様とした。
(比較例1)
【0037】
上記実施例1の中芯材3のポリ塩化ビニル不織布3bの10グラムを、5グラムにした以外は全て上記実施例1と同様とした。この結果、外被布2とポリプロピレン不織布3aと浮力材3cを合わして93重量%、ポリ塩化ビニル不織布3bが7重量%の比率からなる浴槽浮遊物吸着具本体1を得た。
(比較例2)
【0038】
上記実施例1の中芯材3のポリプロピレン不織布3aの50グラムを、40gにした以外は全て上記実施例1と同様とした。この結果、外被布2とポリプロピレン不織布3aと浮力材3cを合わして93重量%、ポリ塩化ビニル不織布3bが7重量%の比率からなる浴槽浮遊物吸着具本体1を得た。
【0039】
上記の実施例1、2と比較例1、2で得られた吸着具本体1の浮き状態と皮脂吸着実験を行った。試験条件として、口径25cm,深さ15cmの円形プラスチック容器を4個用意した。4個の容器に41度の湯を2リットル入れ、そこに皮脂の代用品として、食用油(日清製油株式会社製)を60cc投入し、水面の一面に食用油が広がった状態として、1番目の容器に実施例1の吸着具本体1を入れ、2番目の容器に実施例2の吸着具本体1を入れ、3番目の容器に比較例1の吸着具本体1を入れ、4番目の容器に比較例2の吸着具本体1を入れた。
【0040】
その結果、実施例1と実施例2の吸着具本体1は、虎の表示面7が水面に対して常に起立した状態で、水面をプカプカ浮いて食用油を吸着した。水面に浮いた食用油の吸収除去率を目視で測定した処、凡そ5分経過で約20%,10分経過で約40%,15分後で約60%,20分経過で80%、30分経過で水面に浮いた油がほとんどなくなっているのが確認できた。
【0041】
一方、比較例1の吸着具本体1は、虎の表示面7が水面に伏せた状態で浮かんでおり表示面7を見ることができなかった。また、比較例2の吸着具本体1は、水中に沈んだ状態となり、虎の表示面7は水中で起立している状態であった。また、食用油の吸収除去率においては、実施例1、2と比較例1、2とにおいて大差はなかったが、水面に浮いた油がほとんどなくなるまでの時間は比較例1、2の方が少し時間を要した。
【0042】
上記から明らかなように、実施例1、2ともに正常な状態で浮くと共に、食用油であったが充分吸着することが認められた。このことから、入浴すれば身体の皮膚から少しずつ出ている皮脂についても油成分であることから、同様の吸着効果が期待できることが明らかである。
【0043】
以上、本発明の主要な実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成でき、かつ本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能であるのは勿論のことである。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、浴槽の水面に浮遊する皮脂、湯垢、毛髪などを吸着する浴槽浮遊物吸着具にかぎらず、洗濯機の洗濯槽内に入れて、衣類等に付着した汚れを洗濯物に付着させることなく、吸着して汚染を防ぐための洗濯用汚れ吸着具としても利用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の吸着具の正面図である。
【図2】外被布の正面図である。
【図3】平編の組織図である。
【図4】タック編の組織図である。
【図5】中芯材の正面図である。
【図6】中芯材の繊維材と浮力材と吊紐の斜視図である。
【図7】外被布の底部に中芯材を入れた断面図である。
【図8】外被布の上部筒状を反転して下部筒状に重合した断面図である。
【図9】外被布の下端部を緊締した断面図である。
【図10】使用状態を示す簡略断面図である。
【符号の説明】
【0046】
1 吸着具本体
2 外被布
3 中芯材
5 平編
6 タック編又はメッシュ編
7 表示面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親油性繊維材からなる所望形状の中芯材と、その中芯材を包皮する比重1以下の親油性繊維でタック編またはメッシュ編みした表示面の施された外被布とからなる浴槽の浮遊物を吸着する吸着具であって、前記外被布の底部を比重1以上の親油性繊維で平編にし、その底部重量を、吸着具総重量の1/6〜1/7にし、外被布に施された表示面を湯面に対して略直角の状態で浮くように構成したことをと特徴とする浴槽浮遊物吸着具。
【請求項2】
前記の比重1以上の繊維がポリエステル繊維またはポリ塩化ビニル繊維であることを特徴とする請求項1に記載の浴槽浮遊物吸着具。
【請求項3】
前記外被布に施された表示面が四足獣類、鳥類、魚類、想像動物あるいは植物、乗物、器物から選ばれた一種の表示面であることを特徴とする請求項1または2に記載の浴槽浮遊物吸着具。
【請求項4】
前記表示面の一部を踵編により立体的な突出部にしてあることを特徴とする請求項3に記載の浴槽浮遊物吸着具。
【請求項5】
親油性繊維材で所望形状の中芯材を形成する工程と、比重1以下の親油性繊維で有底筒状の外被布をタック編またはメッシュ編すると共に、比重1以上の親油性繊維で上端部と底部を平編に編成し、底部重量を、吸着具総重量の1/6〜1/7にする工程と、外被布の上部筒状に表示面を施す工程と、外被布の有底筒状の底部に中芯材を挿入する工程と、中芯材の上端部に相当する位置の外被布の箇所で緊締する工程と、上部筒状を反転させて中芯材を被覆する下部筒状に重合する工程と、下端部を寄せ合わせて緊締材で緊締して開口部を閉塞すると共に、端部を余端布にする工程とからなることを特徴とする浴槽浮遊物吸着具の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−93132(P2008−93132A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−277275(P2006−277275)
【出願日】平成18年10月11日(2006.10.11)
【出願人】(505152642)恵川商事株式会社 (2)
【出願人】(505152907)
【Fターム(参考)】