説明

海洋構造物の施工方法及び海洋構造物

【課題】波浪等の海象の影響を小さく抑えて、防波堤、岸壁、護岸等の海洋構造物を効率的に構築することを可能にする海洋構造物の施工方法及び海洋構造物を提供する。
【解決手段】少なくとも側壁版で囲まれた内部空間を備えて上下に積層配置される上段型枠4と下段型枠1を製作する型枠製作工程と、下端20aを海底S1に着底させて立設した複数の支持柱20に、海面S2よりも上方に配した状態で上段型枠4と下段型枠1を昇降可能に支持させる型枠支持工程と、下段型枠1を海底S1に降下させ、下段型枠1の内部空間H1にコンクリート2を打設して下部構造を形成する下部構造形成工程と、上段型枠4を降下させて下部構造の上に積層配置するとともに、上段型枠4の内部空間H2にコンクリートを打設して、下部構造と一体化した上部構造を形成する上部構造形成工程とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防波堤、岸壁、護岸等の海洋構造物の施工方法及び海洋構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、防波堤、岸壁、護岸等の海洋構造物を構築する際には、ケーソン工法が多用されている。ケーソン工法では、陸上の製作ヤードや浮きドック等でコンクリート製の底版と側壁版を備えた箱(函)状のケーソンを製作し、このケーソンを進水させて施工場所まで曳航し、海底を平らに均すように構築した捨石マウンド等の水底基礎上に沈降させる。そして、ケーソン内に砕石等を投入して中詰し、ケーソン前後に根固め工、洗掘防止工を施して、防波堤、岸壁、護岸等の海洋構造物を構築する。
【0003】
しかしながら、ケーソン工法を用いた海洋構造物の施工方法においては、ケーソンがコンクリート製で箱状に形成されているため、ケーソンを浮かべ、施工場所まで曳航する際に安定性を確保することが難しく、波浪等の海象の影響を受けやすい。このため、特に、離島等、曳航に数時間、数日かかる遠距離の海洋構造物の施工に適用することが難しいという問題があった。
【0004】
また、ケーソンを安定して沈設するために、捨石マウンド等によって水底基礎を構築することが必要であり、この水底基礎の構築に多大な労力とコストを要していた。さらに、海象が荒いと、捨石マウンド等が流されてしまう場合もある。
【0005】
また、水底基礎上にケーソンを沈設し中詰するまでの間、水底基礎とケーソンの底面間に大きな揚圧力が作用する。そして、ケーソンを沈設し中詰するまで多くの時間を要し、この間、ケーソンを安定した状態で保持するため、海象の静穏日が連続することが必要になる。この点からも、波浪等の海象によって施工に大きな制約が生じるという問題があった。
【0006】
これに対し、特許文献1には、作業用浮体と成形用枠体を用い、施工場所でケーソンの側壁版(壁面)を順次構築しながら海底面まで吊り降し、後から側壁版の内側に底版コンクリートを打設してケーソンを構築する施工方法が開示されている。この施工方法では、従来のケーソン工法を用いた海洋構造物の施工方法と比較し、箱状のケーソンを曳航する必要がなく、また、順次側壁版を構築し、海底面に吊り降した段階で底版を形成するため、波浪等の海象の影響を低く抑えることが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−214419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示された施工方法においても、作業用浮体の遠距離の輸送は困難であり、また、台船を用いたとしても水切りのための起重機船が必要になる。このため、やはり海象が静穏でないと作業ができないという問題があった。
【0009】
また、波浪等の海象が荒いところでは作業用浮体や成形用枠体が破壊するおそれもある。特に、現地で、成形用枠体を設置し、コンクリートを打設してケーソンの側壁版を構築するようにしているため、側壁版の製作作業に多くの時間を要し、この間に波浪等で成形用枠体に破壊が生じるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、この発明は以下の手段を提供している。
【0011】
本発明の海洋構造物の施工方法は、少なくとも側壁版で囲まれた内部空間を備えて上下に積層配置される上段型枠と下段型枠を製作する型枠製作工程と、下端を海底に着底させて立設した複数の支持柱に、海面よりも上方に配した状態で前記上段型枠と前記下段型枠を昇降可能に支持させる型枠支持工程と、前記下段型枠を海底に降下させ、該下段型枠の内部空間にコンクリートを打設して下部構造を形成する下部構造形成工程と、前記上段型枠を降下させて前記下部構造の上に積層配置するとともに、該上段型枠の内部空間にコンクリートを打設して、前記下部構造と一体化した上部構造を形成する上部構造形成工程とを備えていることを特徴とする。
【0012】
この発明においては、例えば、陸上の工場や製作ヤード等で上段型枠と下段型枠を製作し、複数の支持柱を上下に積層配置した上段型枠と下段型枠に取り付けた状態で台船に載せ、施工場所まで運搬することができる。そして、施工場所において、上段型枠と下段型枠に取り付けた状態で、支持柱を海中に降ろして下端を海底に着底させ、このように立設した複数の支持柱によって上段型枠と下段型枠を海面よりも上方に配した状態で支持することができる。
【0013】
これにより、型枠製作工程で製作した上段型枠と下段型枠を施工場所まで運搬する間、波浪等の海象の影響を小さく抑えることができる。また、型枠支持工程において、複数の支持柱により、施工場所の所定位置(据え付け地点)で、且つ海面よりも上方に配した状態で、上段型枠と下段型枠を支持するため、沈設前の上段型枠と下段型枠に波浪等の外力が作用することを抑え、海象の影響を小さく抑えて上段型枠と下段型枠を所定位置に配設することができる。
【0014】
そして、下部構造形成工程において、下段型枠を海底まで降下させ、その内部にコンクリートを打設した際に、例えば底部を開口させて下段型枠を形成しておくことで、コンクリートを海底面上に打設でき、海底面を平坦に均すことなく、すなわち、従来のように捨石マウンド等の水底基礎を設けることなく、下部構造を形成することができる。また、このとき、上段型枠を残し、下段型枠のみを降下させてコンクリートを打設し、施工対象の海洋構造物を分割した形の下部構造を先行して構築することで、下段型枠の波浪等の外力を受ける面積が従来のケーソンと比較して小さくなるため、この下段型枠の沈設時(下部構造の構築時)に、波浪等の海象の影響を小さく抑えることが可能になる。
【0015】
次に、上部構造形成工程において、上段型枠を降下させて下部構造の上に積層配置し、上段型枠の内部空間にコンクリートを打設することによって、下部構造と一体化した上部構造、ひいては海洋構造物を形成することが可能になる。また、このとき、施工対象の海洋構造物を分割した形の上部構造を下部構造の後に構築することで、上段型枠の波浪等の外力を受ける面積が従来のケーソンと比較して小さくなるため、上段型枠の沈設時(上部構造の構築時)においても、波浪等の海象の影響を小さく抑えることが可能になる。
【0016】
これにより、従来のケーソン工法や特許文献1に開示された施工方法と比較し、波浪等の海象の影響を小さく抑えることができ、離島等の遠隔地であっても、防波堤、岸壁、護岸等の海洋構造物を効率的に短期間で施工することが可能になる。
【0017】
また、本発明の海洋構造物の施工方法においては、前記下段型枠がトラス構造のフレーム本体に前記側壁版を取り付けて形成されていることが望ましい。
【0018】
この発明においては、下段型枠がトラス構造のフレーム本体を備えていることによって、強度特性に優れた下段型枠を形成することができるとともに、下段型枠に波浪等の外力が作用した際に、フレーム本体を通じて外力を複数の支持柱に伝達して受けることが可能になる。これにより、より安定した状態で施工を行うことが可能になる。
【0019】
また、強度特性を高めるフレーム本体を側壁版で囲まれた内部空間に配設して下段型枠を構成した場合であっても、フレーム本体がトラス構造であることにより、下段型枠の内部空間にコンクリートを打設する際、コンクリートの流動性、充填性を阻害することがなく、内部空間に好適に(密実に)コンクリートを充填することが可能になる。
【0020】
さらに、本発明の海洋構造物の施工方法においては、前記下段型枠の外周部側に、前記内部空間にコンクリートを打設するとともに該コンクリートに押圧されて前記海底に密着する漏れ防止手段が設けられていることがより望ましい。
【0021】
この発明においては、下段型枠の内部空間に打設したコンクリートに押圧されて、下段型枠の外周部側に設けた漏れ防止シート等の漏れ防止手段が海底に密着することで、海底を平坦に均すことなく、漏れ防止手段を間に下段型枠の内部空間と外部とを遮断することができる。これにより、下段型枠の内部空間に打設したコンクリートが外部に漏れ出すことを防止でき、好適に下部構造ひいては海洋構造物を構築することが可能になる。
【0022】
また、本発明の海洋構造物の施工方法においては、前記上段型枠が少なくとも前記側壁版と底版で囲まれた内部空間を備えて形成され、海面よりも上方に配して前記支持柱に支持された状態の前記上段型枠の内部空間に、海水を汲み上げて注水することがさらに望ましい。
【0023】
上段型枠と下段型枠を複数の支持柱で支持させ、海面よりも上方に配した状態では、主に波浪等の外力が支持柱に作用し、上段型枠と下段型枠と支持柱の自重によってこの外力に抵抗することになる。そして、この発明においては、海面よりも上方に配した状態の上段型枠の内部空間に海水を汲み上げて注水することにより、注水した海水の重さの分、外力に対する抵抗力を増大させることができ、より安定した状態にすることが可能になる。
【0024】
また、本発明の海洋構造物の施工方法においては、上下に積層配置するとともに前記複数の支持柱を取り付けた状態で前記上段型枠と前記下段型枠を着底式台船を用いて施工場所まで運搬することが望ましい。
【0025】
この発明においては、着底式台船で上段型枠と下段型枠を施工場所に運搬し、着底式台船の船体に海水を注水し船底を海底に着底させることによって施工場所の所定位置に上段型枠と下段型枠を位置決めして保持することができる。そして、支持柱を海中に降ろして下端を海底に着底させ、立設した複数の支持柱によって上段型枠と下段型枠を昇降可能に支持させることで、確実且つ容易に上段型枠と下段型枠を施工場所の所定位置(据え付け地点)に、且つ海面よりも上方に配した状態で配設することが可能になる。
【0026】
また、本発明の海洋構造物の施工方法においては、上下に積層配置するとともに前記複数の支持柱を取り付けた状態で前記上段型枠と前記下段型枠を半潜水式台船を用いて施工場所まで運搬するようにしてもよい。
【0027】
この発明においては、例えば、半潜水式台船で上段型枠と下段型枠を施工場所に運搬し、半潜水式台船の船体に海水を注水し、上段型枠及び下段型枠が海面に浮き上がるまで半潜水式台船を沈める。そして、浮き上がった上段型枠と下段型枠を曳船によって施工場所の所定位置まで曳航し、支持柱を海中に降ろして下端を海底に着底させ、立設した複数の支持柱によって上段型枠と下段型枠を昇降可能に支持させる。また、上段型枠と下段型枠を海面から上方に昇降させる。これにより、確実且つ容易に上段型枠と下段型枠を施工場所の所定位置(据え付け地点)に、且つ海面よりも上方に配した状態で配設することが可能になる。
【0028】
本発明の海洋構造物は、上記の海洋構造物の施工方法を用いて構築されていることを特徴とする。
【0029】
この発明においては、上記の海洋構造物の施工方法を用いて海洋構造物が構築されるため、上記した海洋構造物の施工方法による作用効果を得ることが可能になる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の海洋構造物の施工方法及び海洋構造物によれば、上段型枠と下段型枠を用い、施工対象の海洋構造物を分割した形の上部構造と下部構造を順に構築してゆくことにより、波浪等の海象の影響を小さく抑えることができ、離島等の遠隔地であっても、防波堤、岸壁、護岸等の海洋構造物を効率的に短期間で施工することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態に係る海洋構造物を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る海洋構造物の施工方法で用いる上段型枠、下段型枠、支持柱、第一昇降ジャッキを示す図である。
【図3】図2のX1−X1線矢視図である。
【図4】図2のX2−X2線矢視図であり、本発明の一実施形態に係る海洋構造物の施工方法で用いる下段型枠を示す平面視図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る海洋構造物の施工方法で用いる下段型枠に取り付けた漏れ防止シート(漏れ防止手段)を示す図である。
【図6】図2のX3−X3線矢視図であり、本発明の一実施形態に係る海洋構造物の施工方法で用いる上段型枠を示す平面視図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る海洋構造物の施工方法において、上段型枠と下段型枠を製作した状態を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る海洋構造物の施工方法において、上段型枠と下段型枠を積層配置するとともに、支持柱、第一昇降ジャッキ、第二昇降ジャッキを取り付けて、一体化した状態を示す図である。
【図9】支持柱、第一昇降ジャッキ、第二昇降ジャッキを示す図である。
【図10】上段型枠(下段型枠)を支持柱に支持させて昇降させた状態を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る海洋構造物の施工方法において、一体化した上段型枠と下段型枠を着底式台船に積み込んだ状態を示す図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る海洋構造物の施工方法において、上段型枠と下段型枠を着底式台船で運搬している状態を示す図である。
【図13】本発明の一実施形態に係る海洋構造物の施工方法において、上段型枠と下段型枠を施工場所に運搬した着底式台船を係留している状態を示す図である。
【図14】本発明の一実施形態に係る海洋構造物の施工方法において、着底式台船を海底に着底させた状態を示す図である。
【図15】本発明の一実施形態に係る海洋構造物の施工方法において、支持柱の下端を海底に着底した状態を示す図である。
【図16】本発明の一実施形態に係る海洋構造物の施工方法において、上段型枠と下段型枠を昇進させた状態を示す図である。
【図17】本発明の一実施形態に係る海洋構造物の施工方法において、着底式台船が移動している状態を示す図である。
【図18】本発明の一実施形態に係る海洋構造物の施工方法において、下段型枠を海底に降下させた状態示す図である。
【図19】本発明の一実施形態に係る海洋構造物の施工方法において、海底に降下させた下段型枠の内部空間にコンクリートを打設している状態を示す図である。
【図20】本発明の一実施形態に係る海洋構造物の施工方法において、上段型枠を降下させて下段型枠上に積層配置した状態示す図である。
【図21】本発明の一実施形態に係る海洋構造物の施工方法において、降下させた上段型枠の内部空間にコンクリートを打設している状態を示す図である。
【図22】本発明の一実施形態に係る海洋構造物の施工方法の変更例であり、一体化した上段型枠と下段型枠を半潜水式台船に積み込んで施工場所近傍まで運搬している状態を示す図である。
【図23】本発明の一実施形態に係る海洋構造物の施工方法の変更例であり、半潜水式台船で施工場所近傍まで運搬した上段型枠と下段型枠を曳船で施工場所の所定位置に曳航している状態を示す図である。
【図24】本発明の一実施形態に係る海洋構造物の施工方法の変更例であり、曳船で施工場所の所定位置に曳航した上段型枠と下段型枠を昇降可能に支持する支持柱の下端を海底に着底させた状態を示す図である。
【図25】本発明の一実施形態に係る海洋構造物の施工方法の変更例であり、上段型枠と下段型枠を昇進させた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図1から図21を参照し、本発明の一実施形態に係る海洋構造物の施工方法及び該施工方法によって構築された海洋構造物について説明する。
【0033】
はじめに、本実施形態の海洋構造物は、防波堤、岸壁、護岸等であり、波浪等の外力に対し、自重(重力)による抵抗力で抵抗する重力式の海洋構造物である。そして、この海洋構造物Aは、図1に示すように、海底S1に接地して配設される下段型枠1及びこの下段型枠1の内部空間H1に打設したコンクリート2からなる下部構造3と、下部構造3(下段型枠1)の上方に積層配置される上段型枠4及びこの上段型枠4の内部空間H2に打設したコンクリート5からなる上部構造6とを一体にして構築されている。
【0034】
本実施形態において、下段型枠1は、図2から図4に示すように、平面視方形状に形成され、H型鋼などの縦材と横材と斜材を適宜組み合わせて形成したトラス構造のフレーム本体7と、フレーム本体7の4つの側面にそれぞれ一体に取り付けられて、コンクリート2が打設される内部空間H1を形成する平板状の側壁版8とを備えて構成されている。これにより、この下段型枠1は、側壁版8で囲まれた内部空間H1が上面及び下面で開口して形成されている。
【0035】
また、下段型枠1は、図2及び図3に示すように、側壁版8としてプレキャストコンクリート板が用いられ、各側壁版8の高さ寸法をフレーム本体7の高さ寸法よりも大きくし、各側壁版8の下端とフレーム本体7の下端とを上下方向の略同位置にして形成されている。これにより、下段型枠1の上端側には、側壁版8の上端側で囲まれ、フレーム本体7が配されていない部分(以下、上部空間H3という)が形成されている。なお、側壁版8は、必ずしもプレキャストコンクリート板に限定しなくてもよく、金属製の板など他の材質で形成されていてもよい。
【0036】
さらに、下段型枠1は、図2から図4に示すように、フレーム本体7の4つの角部側の所定位置にそれぞれ、筒状部材9が中心軸方向を上下方向に向けて一体に設けられており、これら筒状部材9の内空によって支持柱挿通孔10が形成されている。また、図4及び図5に示すように、下段型枠1の下端側の外周部には、一側端側をフレーム本体7の下端側に、他側端側を側壁版8の下端側にそれぞれ固着し、下段型枠1の外周部に沿って環状に配設された漏れ防止シート(漏れ防止手段)11が設けられている。さらに、漏れ防止シート11は、一側端から他側端の間の部分に弛みをもたせて取り付けられている。すなわち、漏れ防止シート11は、一側端から他側端の間の部分が下段型枠1の下端よりも下方に垂れ下がるようにして設けられている。
【0037】
一方、本実施形態において、上段型枠4は、図2、図3、図6に示すように、金属製の天版15と底版16と側壁版17を備え、これら天版15と底版16と側壁版17で囲まれ、コンクリート5が打設される内部空間H2を備えて平面視方形状の箱(函)状に形成されている。また、4つの角部側の所定位置にそれぞれ、筒状部材18が中心軸方向を上下方向に向け、且つ天版15と底版16に開口して一体に設けられている。そして、これら筒状部材18の内空によって支持柱挿通孔19が形成されている。さらに、天版15には、内部空間H2にコンクリート5を打設するためのコンクリート打設口(不図示)が形成され、底版16には、打設したコンクリート5を下段型枠1側に導入するためのコンクリート導入口(不図示)が例えば開閉可能に形成されている。また、この上段型枠4は、平面視で下段型枠1よりも僅かに小さな方形状で形成されている。なお、上段型枠4は、必ずしも金属製でなくてもよく、プレキャストコンクリートなど他の材質で形成されていてもよい。
【0038】
次に、上記構成からなる本実施形態の海洋構造物Aの施工方法について説明する。この施工方法では、図7に示すように、はじめに、陸上の工場や製作ヤード等で、上段型枠4と下段型枠1を製作する(型枠製作工程)。
【0039】
そして、図2、図3、図8に示すように、下段型枠1の上に上段型枠4を積層配置する。このとき、上段型枠4は、平面視で下段型枠1よりも僅かに小さな方形状で形成され、下段型枠1は、その上端側に、側壁版8の上端側で囲まれ、フレーム本体7が配されていない上部空間H3を備えて形成されている。このため、下段型枠1の上部空間H3に上段型枠4を挿入してフレーム本体7上に設置することで、上段型枠4が下段型枠1上の所定位置に確実に配設される。そして、このように上段型枠4が下段型枠1上の所定位置に配設されて一体に固定することで安定性が高まるため、後述の台船による運搬時に安定した状態を確保し、好適に運搬することが可能になる。
【0040】
また、このように上段型枠4を下段型枠1上の所定位置に配設すると、上段型枠4と下段型枠1の4つの角部側にそれぞれ設けられた筒状部材9、18同士が上下方向に重なり、互いの支持柱挿通孔10、19が上下方向に連通する。そして、上下に連通する一対の支持柱挿通孔10、19に、支持柱(レグ)20を挿通する。
【0041】
さらに、図2、図3、図8から図10に示すように、各支持柱20に第一昇降ジャッキ21が取り付けられ、且つ第一昇降ジャッキ21が上段型枠4の天版15に固定して設けられ、第一昇降ジャッキ21を介して上段型枠4が昇降可能に各支持柱20に取り付けられる。また、上段型枠4の天版15に第二昇降ジャッキ22(図8から図10参照)が取り付けられ、この第二昇降ジャッキ22を介し、下段型枠1が上段型枠4や各支持柱20に対して昇降可能に設けられる。
【0042】
また、図8から図10に示すように、本実施形態では、第二昇降ジャッキ22としてストランドジャッキが使用されている。上段型枠4の天版15上の4つの角部側にそれぞれ第二昇降ジャッキ22が設置され、各第二昇降ジャッキ22のワイヤ(PC鋼線)23の先端側が下段型枠1のフレーム本体7に固定されている。そして、第二昇降ジャッキ22を駆動操作し、各第二昇降ジャッキ22のワイヤ23を縮めて上段型枠4と下段型枠1を互いに引き付け合うようにし、上段型枠4と下段型枠1が上下に一体に積層配置される。
【0043】
次に、図3及び図11に示すように、複数の支持柱20、第一昇降ジャッキ21、第二昇降ジャッキ22を取り付けて一体にした上段型枠4と下段型枠1を、起重機船25等を用いて台船26に積み込む(載せる)。このとき、本実施形態では、台船として、海水を船体に注水することによって船底26aを海底S1に着底させることができる着底式台船26を使用する。また、台船26の幅方向(横方向)外側に各支持柱20が配されるようにして、一体にした上段型枠4と下段型枠1を台船26に積み込むようにする。
【0044】
次に、図12及び図13に示すように、複数の支持柱20を取り付け、一体にした上段型枠4と下段型枠1を台船26で施工場所の所定位置(据え付け地点)まで運搬し、係留する。そして、本実施形態では、着底式台船26を用いているため、図14(a)、(b)に示すように、施工場所の所定位置に到達した段階で、台船26の船体に海水を注水し、船底26aを海底S1に着底させる。
【0045】
このとき、まず、上段型枠4と下段型枠1を台船26に積み込んで施工場所まで運搬するため、従来のようにケーソンを海に浮かべた状態で曳航する場合のように、運搬時に波浪等の海象の影響を大きく受けることがない。また、海象の影響が小さいことで、従来のケーソンと比較し、施工場所が離島等の遠距離であっても上段型枠4と下段型枠1の運搬が行えることになる。さらに、上段型枠4と下段型枠1が上下に積層配置して一体に固定されているため、安定した状態で運搬が行える。また、着底式台船26を使用し、施工場所の所定位置で着底させることによって、台船26の動揺がなくなり、上段型枠4と下段型枠1が確実に所定の据え付け地点で位置決め保持される。これにより、正確な位置に上段型枠4と下段型枠1と支持柱20が配され、波浪等の海象の影響をさらに小さく抑えて施工(施工準備)が行えることになる。なお、台船26に設けた水平ジャッキによって上段型枠4と下段型枠1と支持柱20の水平位置を調整することで、正確に位置合わせが行える。
【0046】
次に、図15(a)、(b)に示すように、第一昇降ジャッキ21を駆動操作し、各支持柱20を海中に降ろして下端20aを海底S1に着底させ、複数の支持柱20を海底S1から海上に立設させる。また、図16(a)、(b)に示すように、第一昇降ジャッキ21を駆動操作して各支持柱20の上方に昇進させ、これら第一昇降ジャッキ21を介して複数の支持柱20に支持させつつ上段型枠4と、さらに第二昇降ジャッキ22を介して上段型枠4に一体にした下段型枠1を上方に昇進させる。
【0047】
これにより、上段型枠4と下段型枠1が台船26から離れ、海面S2よりも上方に配された状態で昇降可能に複数の支持柱20に支持される(型枠支持工程)。また、この状態において、上段型枠4と下段型枠1が海面S2よりも上方に配されているため、上段型枠4と下段型枠1に波浪等の外力が作用することがなく(作用する外力が小さく抑えられ)、上段型枠4と下段型枠1が安定した状態で配設される。
【0048】
また、上段型枠4と下段型枠1を複数の支持柱20で支持し、海面S2よりも上方に配した状態では、主に支持柱20に作用する波浪等の外力に対し、上段型枠4と下段型枠1と支持柱20の自重(重力)で抵抗することになる。このため、本実施形態では、図17(a)、(b)に示すように、海面S2よりも上方に配した状態の上段型枠4の内部空間H2に、揚排水装置27を用いて海水を汲み上げ、注水する。これにより、注水した海水の重さの分、外力に対する抵抗力が増大し、複数の支持柱20で支持された上段型枠4と下段型枠1がより安定した状態で配設されることになる。
【0049】
次に、船体から海水を排出して着底状態を解除し、上段型枠4と下段型枠1の直下から支持柱20の間を通じて据え付け地点の外部に台船26を移動させる。そして、図18に示すように、第二昇降ジャッキ22を駆動操作し、ワイヤ23を伸ばして、上段型枠4に吊り下げ支持させつつ下段型枠1を海底S1まで降下させる。このように下段型枠1を海底S1の所定位置に設置した段階で、図19に示すように、下段型枠1の内部空間H1にコンクリートプラント船28からコンクリート2を打設する。
【0050】
このとき、図5に示すように、先行して、下段型枠1の外周部に沿って環状に配設された漏れ防止シート11の上にコンクリート2を打設する。このように漏れ防止シート11の上にコンクリート2を打設すると、漏れ防止シート11が一側端から他側端の間の部分に弛みをもたせて取り付けられているため、コンクリート2の重みで押圧され、海底面S1の凹凸になじんで密着する。これにより、漏れ防止シート11が、下段型枠1の内部空間H1と外部との間を遮断することになる。このため、下段型枠1の内部空間H1に、フレーム本体7を埋設されるようにコンクリート2を打設すると、漏れ防止シート11によってコンクリート2が下段型枠1の外部に漏れ出すことがなく、確実に下段型枠1の内部空間H1にコンクリート2が充填される。
【0051】
さらに、図1、図4及び図5に示すように、下段型枠1が、トラス構造のフレーム本体7と平板状の側壁版8とを備え、上端側と下端側が開口して形成されている。このため、下段型枠1の内部空間H1に打設したコンクリート2が下端側の開口から海底面S1上に打設される。このようにコンクリート2が海底面S1上に打設されることで、海底面S1を平坦に均すことを不要にし、すなわち、従来のように捨石マウンド等の水底基礎を設けることを不要にし、下段型枠1とこれに打設したコンクリート2からなる下部構造3の構築が行える(下部構造形成工程)。また、下段型枠1の下端側が開口していることで、揚圧力が発生しないため、安定した状態で下部構造3の施工が行える。
【0052】
また、このとき、上段型枠4を残し、下段型枠1のみを降下させてコンクリート2を打設し、施工対象の海洋構造物Aを分割した形の下部構造3を先行して構築することで、下段型枠1の波浪等の外力を受ける面積が従来のケーソンと比較して小さくなる。この点からも、下段型枠1の沈設時(下部構造3の構築時)に、波浪等の海象の影響が小さく抑えられる。
【0053】
さらに、本実施形態では、下段型枠1がトラス構造のフレーム本体7を備えて強度特性に優れるため、下段型枠1に波浪等の外力が作用した場合であっても、フレーム本体7を通じて外力が確実に複数の支持柱20に伝達され、安定した状態が確保される。また、強度特性を高めるフレーム本体7を側壁版8で囲まれた内部空間H1に配設して下段型枠1を構成した場合であっても、フレーム本体7がトラス構造であることで、打設したコンクリート2の流動性、充填性を阻害することがなく、下段型枠1の内部空間H1に密実にコンクリート2が充填されることになる。
【0054】
次に、図20に示すように、第一昇降ジャッキ21を駆動操作して上段型枠4を降下させ、下段型枠1上に設置する。その後、支持柱20、第一昇降ジャッキ21、第二昇降ジャッキ22等を撤去する。そして、図21に示すように、コンクリートプラント船28等を用い、天版15に形成したコンクリート打設口から上段型枠4の内部空間H2にコンクリート5を打設して充填し、上部構造6を形成する(上部構造形成工程)。このとき、本実施形態では、上段型枠4の底版16に形成したコンクリート導入口を通じて、打設したコンクリート5が下部構造3のコンクリート2と一体化する。そして、打設したコンクリート5(2)が硬化した段階で、上部構造3と下部構造6が一体化してなる海洋構造物Aが構築され、施工が完了する。
【0055】
したがって、本実施形態の海洋構造物Aの施工方法及び海洋構造物Aにおいては、陸上の工場や製作ヤード等で上段型枠4と下段型枠1を製作し、複数の支持柱20を上下に積層配置した上段型枠4と下段型枠1に取り付けた状態で台船26に載せ、施工場所まで運搬することができる。そして、施工場所において、上段型枠4と下段型枠1に取り付けた状態で、支持柱20を海中に降ろして下端20aを海底S1に着底させ、このようにして立設した複数の支持柱20によって上段型枠4と下段型枠1を海面S2よりも上方に配した状態で支持することができる。
【0056】
これにより、型枠製作工程で製作した上段型枠4と下段型枠1を施工場所まで運搬する間、波浪等の海象の影響を小さく抑えることができる。また、型枠支持工程において、複数の支持柱20により、施工場所の所定位置で、且つ海面S2よりも上方に配した状態で、上段型枠4と下段型枠1を支持するため、沈設前の上段型枠4と下段型枠1に波浪等の外力が作用することを抑え、海象の影響を小さく抑えて上段型枠4と下段型枠1を所定位置に配設することができる。
【0057】
そして、下部構造形成工程において、下段型枠1を海底S1まで降下させ、その内部空間H1にコンクリート2を打設した際に、底部(下面)を開口させて下段型枠1を形成しておくことで、コンクリート2を海底面S1上に打設でき、海底面S1を平坦に均すことなく(従来のように捨石マウンド等の水底基礎を設けることなく)、下部構造3を形成することができる。また、このとき、上段型枠4を残し、下段型枠1のみを降下させてコンクリート2を打設し、施工対象の海洋構造物Aを分割した形の下部構造3を先行して構築することで、下段型枠1の波浪等の外力を受ける面積が従来のケーソンと比較して小さくなるため、この下段型枠1の沈設時(下部構造3の構築時)に、波浪等の海象の影響を小さく抑えることが可能になる。
【0058】
さらに、上部構造形成工程において、上段型枠4を降下させて下部構造3の上に積層配置し、上段型枠4の内部空間H2にコンクリート5を打設することによって、下部構造3に一体化した上部構造6、ひいては海洋構造物Aを形成することが可能になる。このとき、施工対象の海洋構造物Aを分割した形の上部構造6を下部構造3の後に構築することで、上段型枠4の波浪等の外力を受ける面積が従来のケーソンと比較して小さくなるため、上段型枠4の沈設時(上部構造6の構築時)においても、波浪等の海象の影響を小さく抑えることが可能になる。
【0059】
よって、本実施形態の海洋構造物Aの施工方法及び海洋構造物Aによれば、上段型枠4と下段型枠1を用い、施工対象の海洋構造物Aを分割した形の上部構造6と下部構造3を順に構築してゆくことにより、波浪等の海象の影響を小さく抑えることができ、離島等の遠隔地であっても、防波堤、岸壁、護岸等の海洋構造物Aを効率的に短期間で施工することが可能になる。
【0060】
また、本実施形態の海洋構造物Aの施工方法及び海洋構造物Aにおいては、着底式台船26で上段型枠4と下段型枠1を施工場所に運搬し、着底式台船26の船体に海水を注水し船底26aを海底S1に着底させることによって施工場所の所定位置に上段型枠4と下段型枠1を位置決めして保持することができる。そして、支持柱20を海中に降ろして下端20aを海底S1に着底させ、立設した複数の支持柱20によって上段型枠4と下段型枠1を昇降可能に支持させることで、確実且つ容易に上段型枠4と下段型枠1を施工場所の所定位置に、且つ海面S2よりも上方に配した状態で配設することが可能になる。
【0061】
さらに、海面S2よりも上方に配した状態の上段型枠4の内部空間H2に海水を汲み上げて注水することにより、注水した海水の重さの分、外力に対する抵抗力を増大させることができ、より安定した状態にすることが可能になる。
【0062】
また、下段型枠1がトラス構造のフレーム本体7を備えていることによって、強度特性に優れた下段型枠1を形成することができるとともに、下段型枠1に波浪等の外力が作用した際に、フレーム本体7を通じて外力を複数の支持柱20に伝達して受けることが可能になる。これにより、より安定した状態で施工を行うことが可能になる。
【0063】
さらに、強度特性を高めるフレーム本体7を側壁版8で囲まれた内部空間H1に配設して下段型枠1を構成した場合であっても、フレーム本体7がトラス構造であることにより、下段型枠1の内部空間H1にコンクリート2を打設する際、コンクリート2の流動性、充填性を阻害することがなく、内部空間H1に好適に(密実に)コンクリート2を充填することが可能になる。
【0064】
また、下段型枠1の内部空間H1に打設したコンクリート2に押圧されて、下段型枠1の外周部側に設けた漏れ防止シート11が海底S1に密着することで、海底S1を平坦に均すことなく、漏れ防止シート11を間に下段型枠1の内部空間H1と外部とを遮断することができる。これにより、下段型枠1の内部空間H1に打設したコンクリート2が外部に漏れ出すことを防止でき、好適に下部構造3ひいては海洋構造物A1を構築することが可能になる。
【0065】
以上、本発明に係る海洋構造物の施工方法及び海洋構造物の一実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0066】
例えば、海底面S1の傾斜に合わせて下段型枠1(下段型枠1の下端の形状)を形成することも可能である。
【0067】
また、本実施形態では、海底S1に捨石マウンド等の水中基礎を設けることなく施工を行うものとして説明を行ったが、海底S1に水中基礎を構築し、海底S1を平坦に均した上で、本発明を適用するようにしてもよい。
【0068】
また、本実施形態では、複数の支持柱20を取り付け、一体にした上段型枠4と下段型枠1を着底式台船26を用いて施工場所の所定位置(据え付け地点)まで運搬するものとして説明を行った。これに対し、複数の支持柱20を取り付け、一体にした上段型枠4と下段型枠1を半潜水式台船29を用いて施工場所まで運搬するようにしてもよい。
【0069】
そして、この場合には、図22に示すように、半潜水式台船29で上段型枠4と下段型枠1を施工場所に運搬した段階で、半潜水式台船29の船体に海水を注水し、上段型枠4及び下段型枠1が海面S2に浮き上がるまで半潜水式台船29を沈める。次に、図23に示すように、浮き上がった上段型枠4と下段型枠1を曳船によって施工場所の所定位置まで曳航し、図24に示すように、支持柱を海中に降ろして下端を海底に着底させ、立設した複数の支持柱によって上段型枠と下段型枠を昇降可能に支持させる。また、図25に示すように、上段型枠と下段型枠を海面から上方に昇降させる。これにより、確実且つ容易に上段型枠と下段型枠を施工場所の所定位置(据え付け地点)に、且つ海面よりも上方に配した状態で配設することが可能になる。また、このように上段型枠と下段型枠を海面から上方に昇降させた後は、図18から図21に示す本実施形態と同様の操作を行うことにより、海洋構造物を構築することができる。よって、この場合においても、本実施形態と同様の作用効果を得ることが可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 下段型枠
2 コンクリート
3 下部構造
4 上段型枠
5 コンクリート
6 上部構造
7 フレーム本体
8 側壁版
9 筒状部材
10 支持柱挿通孔
11 漏れ防止シート(漏れ防止手段)
15 天版
16 底版
17 側壁版
18 筒状部材
19 支持柱挿通孔
20 支持柱(レグ)
21 第一昇降ジャッキ
22 第二昇降ジャッキ
23 ワイヤ
25 起重機船
26 台船(着底式台船)
26a 船底
27 揚排水装置
28 コンクリートプラント船
29 台船(半潜水式台船)
A 海洋構造物
H1 内部空間
H2 内部空間
H3 上部空間
S1 海底(海底面)
S2 海面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも側壁版で囲まれた内部空間を備えて上下に積層配置される上段型枠と下段型枠を製作する型枠製作工程と、
下端を海底に着底させて立設した複数の支持柱に、海面よりも上方に配した状態で前記上段型枠と前記下段型枠を昇降可能に支持させる型枠支持工程と、
前記下段型枠を海底に降下させ、該下段型枠の内部空間にコンクリートを打設して下部構造を形成する下部構造形成工程と、
前記上段型枠を降下させて前記下部構造の上に積層配置するとともに、該上段型枠の内部空間にコンクリートを打設して、前記下部構造と一体化した上部構造を形成する上部構造形成工程とを備えていることを特徴とする海洋構造物の施工方法。
【請求項2】
請求項1記載の海洋構造物の施工方法において、
前記下段型枠がトラス構造のフレーム本体に前記側壁版を取り付けて形成されていることを特徴とする海洋構造物の施工方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の海洋構造物の施工方法において、
前記下段型枠の外周部側に、前記内部空間にコンクリートを打設するとともに該コンクリートに押圧されて前記海底に密着する漏れ防止手段が設けられていることを特徴とする海洋構造物の施工方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の海洋構造物の施工方法において、
前記上段型枠が少なくとも前記側壁版と底版で囲まれた内部空間を備えて形成され、
海面よりも上方に配して前記支持柱に支持された状態の前記上段型枠の内部空間に、海水を汲み上げて注水することを特徴とする海洋構造物の施工方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の海洋構造物の施工方法において、
上下に積層配置するとともに前記複数の支持柱を取り付けた状態で前記上段型枠と前記下段型枠を着底式台船を用いて施工場所まで運搬することを特徴とする海洋構造物の施工方法。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の海洋構造物の施工方法において、
上下に積層配置するとともに前記複数の支持柱を取り付けた状態で前記上段型枠と前記下段型枠を半潜水式台船を用いて施工場所まで運搬することを特徴とする海洋構造物の施工方法。
【請求項7】
請求項1記載の海洋構造物の施工方法を用いて構築されていることを特徴とする海洋構造物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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