説明

浸炭転がり軸受

【課題】熱処理を中心としたプロセス面を殆ど変更することなく、優れた耐久性と寿命を発揮できる新規な浸炭転がり軸受の提供。
【解決手段】内輪、外輪、転動体のいずれか1つ以上の軸受部材が、C:0.10~0.30質量%、Si:0.10~0.50質量%、Mn:0.60~1.00質量%、Ni:2.00~5.00質量%、Cr:0.50~2.00質量%、Mo:0.10~0.50質量%、Cu:0.3質量%以下、O:0.01質量%以下、Al:0.010~0.050質量%、N:0.010~0.030質量%、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼材から構成され、かつ、当該鋼材のDI値と当該鋼材からなる軸受部材の肉厚tが、DI/t>0.45の関係を満足する。これによって、熱処理を中心としたプロセス面を殆ど変更することなく、優れた耐久性と寿命を発揮できる新規な浸炭転がり軸受を提供するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に鉄鋼・製紙圧延機用転がり軸受や風車ギアボックス用転がり軸受などのように一般に大型で厚肉の浸炭転がり軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
係る大型・厚肉の浸炭転がり軸受は、その肉厚や質量の大きさ故に不完全焼入組織や旧オーステナイト粒径の粗大な組織が存在し易く、それに伴う疲労強度と寿命の低下が懸念されている。すなわち、特に浸炭・浸炭窒化を施した軸受においては浸炭層の切れ目で引っ張りの残留応力が存在するが、このような浸炭層の切れ目に応力集中源となり得る不完全焼入組織が存在するとその部分を起点として破壊が生ずる。また、旧オーステナイト粒径の粗大な組織(介在物)が存在すると、その介在物周りに応力集中が起こり、これを起点として破損に至ることが知られている。
【0003】
そのため、例えば以下の特許文献1では、軸受用肌焼き鋼の成分を規定し、残留オーステナイト量を規定することで寿命特性と圧壊特性を得るようにしている。
また、以下の特許文献2では、平均粒子径3μm以上30μm以下の酸化物系介在物の数や構成比率を限定することで、これらが起点なって発生する内部起点のフレーキングを抑えて大型軸受の寿命を向上させるようにしている。
【特許文献1】特開2004−84869号公報
【特許文献2】特開平3−100142号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、熱処理を中心としたプロセス面から不完全焼入組織の発生を抑制するには、焼入れ時の冷却速度を速めるという方法がある。しかしながら、この方法によると軸受の変形が不均一となり、研削代の増加や焼き割れなどに繋がってしまうため、プロセス変更によらずに不完全焼入組織を抑制できる方法が求められる。
また、同じくプロセス面から旧オーステナイト粒径の粗大化を抑制するには、焼入れ前に焼鈍を行うか、あるいはその回数を増やしたり、相変態点以上の温度の焼鈍を行うなどの方法がある。しかしながら、これらはいずれも変形を大きくする方向に働くため、同じくプロセス変更によらずに旧オーステナイト粒径の粗大化を抑制する手段が望ましい。
そこで、本発明は前記のような従来技術が有する問題点を解決するために案出されたものであり、その目的は、熱処理を中心としたプロセス面を殆ど変更することなく、優れた耐久性と寿命を発揮できる新規な浸炭転がり軸受を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題解決するために第1の発明は、
内輪と外輪との間に複数の転動体を配設してなる浸炭転がり軸受であって、前記内輪、外輪、転動体のいずれか1つ以上の軸受部材が、
C:0.10〜0.30質量%、Si:0.10〜0.50質量%、Mn:0.60〜1.00質量%、Ni:2.00〜5.00質量%、Cr:0.50〜2.00質量%、Mo:0.10〜0.50質量%、Cu:0.3質量%以下、O:0.01質量%以下、Al:0.010〜0.050質量%、N:0.010〜0.030質量%、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼材から構成され、
かつ、当該鋼材のDI値((0.2×C+0.128)(1+0.7Si)(1+3.45Mn)(1+0.07Ni+0.27Ni×Ni)(1+2Cr)(1+2.5Mo)(1+0.35Cu))と当該鋼材からなる軸受部材の肉厚t(mm)が、DI/t>0.45の関係を満足することを特徴とする浸炭転がり軸受である。
なお、前記DI値の各元素記号で表される変数には、それら元素記号に対応する各成分の含有量(質量%)が代入される。
【0006】
すなわち、本発明は、軸受部材を構成する鋼材の組成と、そのDI値と、この鋼材からなる軸受部材の肉厚tとの関係に着目して案出されたものであり、その軸受部材の肉厚tが、DI/t>0.45の条件を満足するようにすれば、熱処理を中心としたプロセス面を殆ど変更することなく、優れた耐久性と寿命を発揮することができる。
ここで、鋼材(浸炭鋼)の構成をC:0.10〜0.30質量%、Si:0.10〜0.50質量%、Mn:0.60〜1.00質量%、Ni:2.00〜5.00質量%、Cr:0.50〜2.00質量%、Mo:0.10〜0.50質量%、Cu:0.3質量%以下、O:0.01質量%以下、Al:0.010〜0.050質量%、N:0.010〜0.030質量%、残部Feおよび不可避的不純物としたのは以下の理由による。
【0007】
(C:0.10〜0.30質量%)
C(炭素)は、焼入後の鋼に必要な芯部強度を付与すると共に、浸炭後に十分な表面硬さを確保するのに有効な元素である。そして、その添加量が0.1質量%より少ないと十分な強度および硬さを得ることができず、反対に0.30質量%を超えると靭性ならびに被削性が低下するため、Cの添加量はこの範囲とする。
【0008】
(Si:0.10〜0.50質量%)
Si(ケイ素)は、焼入れ以後の組織の緻密化、靭性、耐疲労性および焼入れ性の向上に有効な元素である。そして、その添加量が0.1質量%より少ないとこれらの効果を得ることができず、反対に0.50質量%を超えると靭性ならびに加工性が低下するため、Siの添加量はこの範囲とする。
【0009】
(Mn:0.60〜1.00質量%)
Mn(マンガン)は、溶解時における脱酸ならびに脱硫の効果があると共に、焼入れ性の向上に有効な元素である。そして、その添加量が0.60質量%より少ないとこれらの効果を得ることができず、反対に1.00質量%を超えると加工性ならびに被削性が低下するため、Mnの添加量はこの範囲とする。
【0010】
(Ni:2.00〜5.00質量%)
Ni(ニッケル)は、鋼の焼入れ性および焼入れ焼戻し後の靭性を向上させるのに有効な元素である。焼入れ性において、十分な効果を得るためにはその添加量は3質量%であるが、その添加量が多すぎると加工性ならびに被削性が低下するため、その上限は5.00質量%とする。
【0011】
(Cr:0.50〜2.00質量%)
Cr(クロム)は、鋼の焼入れ性および焼入れ焼戻し後の強度および靭性を向上させるのに有効な元素である。焼入れ性において十分な効果を得るためには、その添加量は0.50質量%であるが、その添加量が多すぎると複炭化物が形成されて焼入れ性および被削性を害するので、その上限は2.00質量%とする。
【0012】
(Mo:0.10〜0.50質量%)
Mo(モリブデン)もCrと同様に、鋼の焼入れ性および焼入れ焼戻し後の強度および靭性を向上させるのに有効な元素である。焼入れ性において十分な効果を得るためには、その添加量は0.10質量%であるが、その添加量が多すぎると複炭化物が形成されて焼入れ性および被削性を害するので、その上限は0.50質量%とする。
【0013】
(Cu:0.3質量%以下)
Cu(銅)は、焼入れ性および耐候性向上に有効な元素であるが、その添加量が多すぎると加工性、靭性を害してしまう上に、効果であるため、その添加量の上限は0.3質量%とする。
(O:0.01質量%以下)
O(酸素)が多すぎると、鋼の清浄度が悪くなり、特にSiO系の大型介在物が増加して疲れ強さの低下をきたすので0.01質量%以下とする。
【0014】
(Al:0.010〜0.050質量%)
Al(アルミニウム)は溶解時における脱酸の効果があると共に、AlNとして微細分散することで粒径の微細化に有効な元素である。そして、その添加量が0.010質量%より少ないとこれらの効果を得ることができず、反対に0.050質量%を超えるとAlNが粗大化し、結晶粒微細化の効果が得られなくなるのでAlの添加量はこの範囲とする。
【0015】
(N:0.010〜0.030質量%)
N(窒素)は、AlNとして微細分散することで粒径の微細化に有効な元素である。そして、その添加量が0.010質量%より少ないとこれらの効果を得ることができず、反対に0.030質量%を超えると加工性ならびに被削性が劣化させるのでNの添加量はこの範囲とする。望ましくは、Nの添加量は0.015〜0.020質量%である。
【0016】
また、第2の発明は、
第1の発明において、前記鋼材からなる軸受部材の芯部平均硬度Hv(ビッカース硬度)と硬度の分散σが、Hv−4σ>400の関係を満足することを特徴とする浸炭転がり軸受である。
このような構成によれば、さらに優れた耐久性と長寿命を発揮することができる。
【0017】
また、第3の発明は、
第1の発明において、1観察範囲6.25mm、全被検面積200mmを観察し、各視野における旧オーステナイト結晶粒の最大面積の平方根より極値統計を行い、1300000mmに換算して求める最大粒径dが、140μm未満であることを特徴とする浸炭転がり軸受である。
このような構成によれば、さらに優れた耐久性と長寿命を発揮することができる。
【0018】
また、第4の発明は、
第1の発明において、前記鋼材からなる軸受部材の芯部平均硬度Hv(ビッカース硬度)と硬度の分散σと最大粒径dが、Hv−4σ+2500/(粒径dの平方根)>650の関係を満足することを特徴とする浸炭転がり軸受である。
このような構成によれば、さらに優れた耐久性と長寿命を発揮することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、肉厚や質量の大きさ故に不完全焼入組織や旧オーステナイト粒径の粗大な組織が存在し易い大型の軸受であっても、鋼材の合金組成を最適にすることで熱処理を中心としたプロセス面を殆ど変更することなく、優れた耐久性と寿命を発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、本発明に係る大型の浸炭転がり軸受の実施の一形態を添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明に係る大型の浸炭転がり軸受100のうち、鉄鋼設備用圧延機のバックアップロールなどに適用される4列円錐ころ軸受の構成を示した部分断面図である。
図示するように、この4列円錐ころ軸受100は、内輪10と外輪20との間に、円錐台形状のころ30をその周方向に沿って複数、保持器40によって等間隔かつ回転自在に配設すると共に、さらに、このころ列50をその幅方向に沿って4つ配列した構造となっている。
【0021】
そして、例えばこの内輪10に図示しない軸を取り付けるとともに、外輪20を図示しないハウジングなどに取り付けた状態で各円錐ころ30を内輪10および外輪20の各軌道面に沿って転動させることで前記軸のラジアル荷重とアキシアル荷重とを同時に負担できるようになっている。
そして、この4列円錐ころ軸受100を構成する軸受部材、すなわち内輪10、外輪20、円錐ころ30、保持器40のうち少なくとも1つは、以下の4つの条件を全て満たすようになっている。
【0022】
(1)内輪10、外輪20、円錐ころ30、保持器40のうち少なくとも1つは、C:0.10〜0.30質量%、Si:0.10〜0.50質量%、Mn:0.60〜1.00質量%、Ni:2.00〜5.00質量%、Cr:0.50〜2.00質量%、Mo:0.10〜0.50質量%、Cu:0.3質量%以下、O:0.01質量%以下、Al:0.010〜0.050質量%、N:0.010〜0.030質量%、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼材から構成され、かつ、この鋼材のDI値((0.2×C+0.128)(1+0.7Si)(1+3.45Mn)(1+0.07Ni+0.27Ni×Ni)(1+2Cr)(1+2.5Mo)(1+0.35Cu))とこの鋼材からなる軸受部材の肉厚tが、DI/t>0.45の関係を満足する。
【0023】
(2)また、さらに、前記鋼材からなる軸受部材は、その芯部平均硬度Hv(ビッカース硬度)と硬度の分散σが、Hv−4σ>400の関係を満足する。
(3)また、前記鋼材からなる軸受部材は、1観察範囲6.25mm、全被検面積200mmを観察し、各視野における旧オーステナイト結晶粒の最大面積の平方根より極値統計を行い、1300000mmに換算して求める最大粒径dが、140μm未満である。
(4)また、前記鋼材からなる軸受部材の芯部平均硬度Hv(ビッカース硬度)と硬度の分散σと最大粒径dが、Hv−4σ+2500/(粒径dの平方根)>650の関係を満足する。
【0024】
そして、このような条件を全て満足した本発明の4列円錐ころ軸受(浸炭転がり軸受)100にあっては、以下の実施例からもわかるように、熱処理を中心としたプロセス面を変えなくとも優れた耐久性と長寿命を発揮することができる。このため、本発明の4列円錐ころ軸受100のような肉厚や質量の大きな大型の軸受であっても、その機能を長期に亘って維持することができる。
【実施例】
【0025】
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
先ず以下の表1に示すような組成(C、Si、Mn、Ni、Cr、Mo、Cu、Al、N+残部Fe+不可避的不純物)をした鋼材からなる3種類の肉厚(14.5mm、29mm、45mm)の試験片(比較例1,2、7,8、13,14,19,23および実施例3〜6、9〜12、15〜18、21〜22)を作成し、これら各試験片を用いて疲労試験、硬さ測定、粒径の極値統計と強度、軸受寿命試験を行い、その結果を以下の表2に示した。
【0026】
表2には、これら各試験片のDI値((0.2×C+0.128)(1+0.7Si)(1+3.45Mn)(1+0.07Ni+0.27Ni×Ni)(1+2Cr)(1+2.5Mo)(1+0.35Cu))と、DI値/肉厚、平均硬度、平均硬度の標準偏差、これらより求めたHv−4σ(組織の硬度)の値、疲労限度、最大粒径、パラメータX(X=Hv−4σ+2500/(粒径dの平方根))、さらに軸受寿命試験における寿命比(比較例1を1とした)を示した。
【0027】
なお、これら各試験片には、図2に示すように、所定形状に鍛造した後、浸炭(850〜1050℃)→焼鈍(600〜700℃)→焼入れ(780〜900℃)→焼戻し(150〜240℃)といった従来から行われている一連の熱処理を施した。
また、本実施例で用いた疲労試験方法としては、これら各試験片の試験部直径8mmの回転曲げを行った。
【0028】
また、硬さ測定方法としては、疲労試験の試験部に相当する部分の硬さ測定を行った。試験荷重は4900Nで少なくとも30点以上の測定を行い、平均と標準偏差を求めた。
また、最大粒径は極値統計により算出したが、1観察範囲6.25mm、全被検面積200mmを観察し、各視野における粒子の最大面積の平方根より極値統計を行い、1300000mmに換算したときに予想される最大粒径を計算した。
【0029】
また、寿命試験方法としては、表1に示す鋼材から試験用の軸受(NU228)を形成し、この軸受(NU228)を用いて以下の条件で軸受寿命試験を行った。なお、焼入れを行うときには、予め大型軸受の焼入れ時の芯部冷却速度を測定しておき、その冷却速度と同じになるように、冷媒の温度・攪拌条件などを変え、大型軸受の芯部組織を再現した。
・軸受:NU228
・ラジアル荷重:P/C=0.6
・回転数:1000min−1
・潤滑:Ro58
【0030】
【表1】

【0031】
【表2】

【0032】
図3〜図5は、表2に示した結果のうち、各試験片の肉厚14.5mm、29mm、45mmの各場合について疲労強さ(疲労限度/MP)と寿命比(L10寿命比)との関係をプロットしたものである。
図示するようにいずれの肉厚の場合でも、約600MPa以上で寿命比が大きくなることがわかる。
また、図6〜図8は、各試験片の肉厚14.5mm、29mm、45mmの各場合についてDI値/肉厚tと寿命比(L10寿命比)との関係をプロットしたものである。
図示するようにいずれの肉厚の場合でも、DI値/肉厚が、0.45以上であれば、比較例1に比べて2倍以上の寿命比を発揮できることがわかる。
【0033】
次に、図9は、比較例1〜実施例18までの18個の試験片の疲労強度(疲労限度)をHv−4σ(組織の硬度)に対して表したものである。
この図からもわかるように、Hv−4σが大きくなるにしたがって疲労強度も大きくなり、両者は比例関係になっている。そして、Hv−4σが約400以上で十分な疲労強度が得られることがわかる。
【0034】
また、図10は、比較例19〜実施例22までの4個の試験片の、極値統計に由来する最大粒径(μm)と寿命比との関係を示したものである。
この図からもわかるように最大粒径(μm)が小さくなるに従って寿命比が大きくなり、両者は反比例関係になっている。そして、最大粒径(μm)が約140μm以下で優れた寿命比が得られることがわかる。
【0035】
また、図11は、パラメータXと寿命比との関係を示したものである。
図からもわかるようにパラメータXが、約650以上で顕著な寿命比を発揮できることがわかる。
すなわち、表2に示すように比較例1,2、7,8、13,14は、いずれもDI値/肉厚tが本発明で規定する値(0.45以上)より低く、また、芯部平均硬度Hv(ビッカース硬度)と硬度の分散σの関係を示すHv−4σが本発明で規定する値(400以上)より低く、さらにパラメータX(Hv−4σ+2500/(粒径dの平方根))が本発明で規定する値(650以上)より低いため、いずれも十分な寿命を発揮することができなかった。
【0036】
また、比較例19は、極値統計に由来する測定方法で測定した最大粒径が180μmであり、本発明で規定する値(140μm未満)より低いため、同じく十分な寿命を発揮することができなかった。
また、比較例23は、DI値/肉厚t、Hv−4σ、最大粒径、パラメータXのいずれも本発明の既定値を満足していないため、寿命比が各例のなかで最も低かった(0.6)。
これに対し、本発明の条件を全て満足した実施例3〜6、9〜12、15〜18、21〜22の寿命比は、いずれも比較例1の2倍以上と優れた寿命を発揮した。特に、パラメータXが最も高い実施例6は、比較例1の3倍近い寿命比(2.7)を発揮した。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る浸炭転がり軸受(4列円錐ころ軸受)100の実施の一形態を示す部分断面図である。
【図2】本実施例で採用した熱処理工程を示す工程図である
【図3】疲労限度と寿命比との関係(肉厚14.5mm)を示したグラフ図である。
【図4】疲労限度と寿命比との関係(肉厚29mm)を示したグラフ図である。
【図5】疲労限度と寿命比との関係(肉厚45mm)を示したグラフ図である。
【図6】DI値/肉厚と寿命比との関係(肉厚14.5mm)を示したグラフ図である。
【図7】DI値/肉厚と寿命比との関係(肉厚29mm)を示したグラフ図である。
【図8】DI値/肉厚と寿命比との関係(肉厚45mm)を示したグラフ図である。
【図9】Hv−4σ(組織の硬度)と疲労限度との関係を示したグラフ図である。
【図10】最大粒径と寿命比との関係を示したグラフ図である。
【図11】パラメータXと寿命比との関係を示したグラフ図である。
【符号の説明】
【0038】
100…浸炭転がり軸受(4列円錐ころ軸受)
10…内輪
20…外輪
30…円錐ころ
40…保持器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内輪と外輪との間に複数の転動体を配設してなる浸炭転がり軸受であって、
前記内輪、外輪、転動体のいずれか1つ以上の軸受部材が、
C:0.10〜0.30質量%、Si:0.10〜0.50質量%、Mn:0.60〜1.00質量%、Ni:2.00〜5.00質量%、Cr:0.50〜2.00質量%、Mo:0.10〜0.50質量%、Cu:0.3質量%以下、O:0.01質量%以下、Al:0.010〜0.050質量%、N:0.010〜0.030質量%、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼材から構成され、
かつ、当該鋼材のDI値と当該鋼材からなる軸受部材の肉厚t(mm)が、DI/t>0.45の関係を満足することを特徴とする浸炭転がり軸受。
但し、DI値=(0.2×C+0.128)(1+0.7Si)(1+3.45Mn)(1+0.07Ni+0.27Ni×Ni)(1+2Cr)(1+2.5Mo)(1+0.35Cu)とする。
【請求項2】
請求項1に記載の浸炭転がり軸受において、
前記鋼材からなる軸受部材の芯部平均硬度Hv(ビッカース硬度)と硬度の分散σが、Hv−4σ>400の関係を満足することを特徴とする浸炭転がり軸受。
【請求項3】
請求項1に記載の浸炭転がり軸受において、
1観察範囲6.25mm、全被検面積200mmを観察し、各視野における旧オーステナイト結晶粒の最大面積の平方根より極値統計を行い、1300000mmに換算して求める最大粒径dが、140μm未満であることを特徴とする浸炭転がり軸受。
【請求項4】
請求項1に記載の浸炭転がり軸受において、
前記鋼材からなる軸受部材の芯部平均硬度Hv(ビッカース硬度)と硬度の分散σと最大粒径dが、Hv−4σ+2500/(粒径dの平方根)>650の関係を満足することを特徴とする浸炭転がり軸受。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−287073(P2009−287073A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−140006(P2008−140006)
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】