消波ブロック及び消波ブロック工法
【課題】支持用ブロックと消波ブロックとの係止力を増大させて該消波ブロックの安定性及び消波性能を向上させる。
【解決手段】胴体部11外周面の一端部及び他端部に夫々、胴体部11の軸方向視で互いに120度の角度をなす3本の脚部12,13,14及び15,16,17が突設された消波ブロック10であって、前記一端側の脚部12,13,14は前記他端側の脚部115,16,17に対して位相が60度変位するように配設されている。依って、消波ブロック10と支持用ブロック18との係止力(拘束力)が増大するように構成されている。
【解決手段】胴体部11外周面の一端部及び他端部に夫々、胴体部11の軸方向視で互いに120度の角度をなす3本の脚部12,13,14及び15,16,17が突設された消波ブロック10であって、前記一端側の脚部12,13,14は前記他端側の脚部115,16,17に対して位相が60度変位するように配設されている。依って、消波ブロック10と支持用ブロック18との係止力(拘束力)が増大するように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は消波ブロック及び消波ブロック工法に関するものであり、特に、防波堤や護岸の消波工及び突堤工、離岸堤工、根固工などにおいて既設のブロック(支持用基礎ブロック)に積み上げて使用される消波ブロック及び消波ブロック工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
此種消波ブロックは、所定の消波効果を得るために、港湾、海岸の防波堤などの前面において多数個使用して設置される。従来の消波ブロックとしては、例えば胴体部(本体中心部)に棒状、V字状又は角形の脚部を複数方向に突設したものが知られている。
【0003】
従来タイプの消波ブロックの形態例を図13に示す。該消波ブロック1は、棒状の胴体部2の両端部にI字形の脚部3,4が夫々突設され、且つ、一端側の脚部3は他端側の脚部4に対して位相が90度だけ変位している。そして、消波ブロック1を使用して消波構造体を構築する場合は、海岸等の水底に多数個の支持用ブロックを据え付けた後に、該支持用ブロックの上に前記消波ブロック1を積み重ねて消波構造体を構築している(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−74224号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の消波ブロック1では、各脚部3,4がI字形に形成されている。依って、図14に示すように、該脚部3,4が支持用ブロック5の上に水平に載置され、支持用ブロック5間の空隙部Sに脚部3,4が嵌入または係合せずに構築される。したがって、支持用ブロック5と消波ブロック1との係止力(拘束力)が小さくなる。その結果、消波ブロック1の設置安定性が低下し、特に、海面に生じる波浪や掃流力などの外力によって消波ブロック1が可動して、消波構造体の消波性能が低減するという問題があった。
【0005】
そこで、支持用ブロックと消波ブロックの係止力を増大させて該消波ブロックの安定性及び消波性能を向上させるために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明は該課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、胴体部の一端部及び他端部に夫々、該胴体部の軸方向視で互いに120度の角度をなす3本の脚部が突設された消波ブロックであって、前記一端側の脚部は前記他端側の脚部に対して位相が60度変位するように配設されている消波ブロックを提供する。
【0007】
この発明によれば、消波ブロックの胴体部に突設した3本の一端側脚部と3本の他端側脚部とは互いに位相が60度変位しているので、消波ブロックを支持用ブロックの上に設置した場合、3本の一端側脚部のうちの1本、並びに、3本の他端側脚部のうちの2本は、下側の支持用ブロック間の空隙部に嵌入して係合するか、或いは、支持用ブロックの胴体部(軸部)や脚部に嵌合して係止される。
【0008】
請求項2記載の発明は、胴体部の一端部及び他端部に夫々、胴体部11の軸方向視で互いに120度の角度をなす2本の脚部が突設された消波ブロックであって、前記一端側の脚部は前記他端側の脚部に対して位相が60度、120度又は180度変位するように配設されている消波ブロックを提供する。
【0009】
この発明によれば、消波ブロックの胴体部に突設した2本の一端側脚部と、2本の他端側脚部とは互いに位相が60度、120度又は180度変位しているので、消波ブロックを支持用ブロックの上に設置した場合、2本の一端側脚部の少なくとも1本、並びに、2本の他端側脚部の少なくとも1本は、下側の支持用ブロック間の空隙部に嵌入して係合するか、或いは、支持用ブロックの胴体部や脚部に絡み合って係止される。
【0010】
請求項3記載の発明は、上記胴体部の横断面形状は正六角形に形成され、且つ、該脚部の根元部分の幅寸法が前記正六角形の一辺の長さに一致している請求項1又は2記載の消波ブロックを提供する。
【0011】
この発明によれば、上記脚部の根元部分の幅寸法が、前記胴体部の横断面正六角形の一辺の長さと等しいので、3本の一端側の脚部及び3本の他端側の脚部の合計6本又は4本は、胴体部の軸方向視で互いに60度又は120度をなす。依って、消波ブロックを支持用ブロックの上に乱雑に設置した場合でも、前記脚部のうちの少なくとも4本又は2本は、下側の支持用ブロック間の空隙部、胴体部又は脚部に嵌入若しくは絡まって係止される。
【0012】
請求項4記載の発明は、上記脚部は面取り部を有する断面角型に形成され、且つ、該脚部の根元部分から先端部に向かって先細り形状に形成されている請求項1,2又は3記載の消波ブロックを提供する。
【0013】
この発明によれば、上記脚部は先細り形状に形成され、且つ、該先細り形状部の角部が面取りされているので、下側の支持用ブロック間の空隙部が狭隘である場合でも、該空隙部に対する前記脚部の先端部の嵌入が容易になる。
【0014】
請求項5記載の発明は、胴体部の一端部に、該胴体部の軸方向視で互いに120度の角度をなす2本の脚部が突設され、且つ、該胴体部の他端部に、該胴体部の軸方向視で互いに180度の角度をなす2本の脚部が突設されている消波ブロックを提供する。
【0015】
この発明によれば、胴体部に突設した一端側脚部は他端側脚部に対して、該胴体部の軸方向視で互いに異なる角度を有しているので、消波ブロックを支持用ブロックの上に設置した場合、4本の脚部のうちの3本は、支持用ブロック間の空隙部に嵌入するか、或いは、支持用ブロックの胴体部や脚部に嵌合して係止される。
【0016】
請求項6記載の発明は、請求項1,2,3,4又は5記載の消波ブロックを使用して消波構造体を構築する消波ブロック工法であって、港湾、海岸又は河川の水底に複数の支持用ブロックをその上側に空隙部が生じるように据え付けた後に、該支持用ブロックの上に前記消波ブロックを積み重ねることにより、該消波ブロックの脚部を前記支持用ブロック間の空隙部に嵌入させて消波構造体を構築する消波ブロック工法を提供する。
【0017】
この工法によれば、港湾、海岸又は河川に消波構造体を構築する場合、該港湾、海岸又は河川の水底に脚部付きの支持用ブロックを複数並べて据え付ける。その際、隣接する支持用ブロック間の上部側に空隙部が生じるように配置する。その後、支持用ブロックの上に消波ブロックを積み重ねることにより消波構造体が構築される。この場合、前記消波ブロックの脚部は支持用ブロック間の空隙部に嵌入もしくは絡み合うため、該消波ブロックと支持用ブロックの係止力が増大する。
【発明の効果】
【0018】
請求項1記載の発明は、消波ブロックを支持用ブロックの上に設置した場合、上記6本の脚部のうちの3本は、支持用ブロック間の空隙部に嵌入して係合するか、或いは、支持用ブロックの胴体部や脚部に絡み合って係止されるので、消波ブロックと支持用ブロックとの係止力(拘束力)が増大し、波浪や掃流力などの外力に対する消波ブロックの安定性を高めて、従来に比べて消波性能を向上させることができる。
【0019】
請求項2記載の発明は、消波ブロックを支持用ブロックの上に設置した場合、4本の一端側脚部のうちの2本は、支持用ブロック間の空隙部に嵌入して係合するか、或いは、支持用ブロックの胴体部や脚部に絡み合って係止されるので、消波ブロックと支持用ブロックとの係止力が増大し、従来に比べて消波性能を向上させることができる。
【0020】
請求項3記載の発明は、消波ブロックを支持用ブロックの上に乱積みした場合でも、上記複数の脚部のうちの少なくとも3本又は2本は、下側の支持用ブロック間の空隙部、胴体部又は脚部に嵌入若しくは係合するので、請求項1又は2記載の発明の効果に加えて、消波ブロックの乱積み状態における設置安定性が一層向上する。
【0021】
請求項4記載の発明は、前記脚部の先端部が縮径化していることにより、支持用ブロック間の空隙部への脚部の嵌入が容易になるので、請求項1,2又は3記載の発明の効果に加えて、支持用ブロック間の空隙部が狭隘である場合でも、該支持用ブロックに対する消波ブロックの係止力を更に増大させることができる。
【0022】
請求項5記載の発明は、消波ブロックを支持用ブロックの上に設置した場合、上記4本の脚部のうちの3本は、支持用ブロック間の空隙部に嵌入して係合するか、或いは、支持用ブロックの胴体部や脚部に絡み合って係止されるので、請求項2記載の発明の効果と同様に、消波ブロックと支持用ブロックの係止力が増大し、従来に比べて消波性能を向上させることができる。
【0023】
請求項6記載の工法では、支持用ブロックの上に消波ブロックを積み重ねて構築された消波構造体は、前記消波ブロックの脚部が支持用ブロック間の空隙部に嵌入することにより、消波ブロックと支持用ブロックとの係止力が増大するので、港湾、海岸等の波浪や掃流力に対する消波ブロックの設置安定性が向上して、高い消波性能を有する消波構造体を容易に構築することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明は、支持用ブロックと消波ブロック間の係止力を増大させて該消波ブロックの安定性及び消波性能を向上させるという目的を達成するため、胴体部の一端部及び他端部に夫々、該胴体部の軸方向視で互いに120度の角度をなす3本の脚部が突設された消波ブロックであって、前記一端側の脚部は前記他端側の脚部に対して位相が60度変位するように配設されていることにより実現した。
【実施例】
【0025】
以下、本発明の好適な一実施例を図1乃至図6に従って説明する。図1は本実施例に係る消波ブロック10を示す正面図、図2は図1の左側面図である。図において、10は消波ブロック10であって、該消波ブロック10は棒状の胴体部11を備えている。
また、胴体部11の一端部外周面には3本の脚部12,13,14が突設され、該一端側脚部12,13,14は、該胴体部11の軸方向視で互いに120度の角度をなしている。本実施例では、胴体部11の横断面形状は正六角形に形成され、一端側脚部12,13,14の根元部分の幅寸法Wは、前記正六角形の一辺の長さLに一致している。
【0026】
又、胴体部11の他端部外周面は、該胴体部11の前記一端部と同様に形成されている。即ち、胴体部11の他端部には3本の脚部15,16,17が突設され、該他端側脚部15,16,17は、胴体部11の軸方向視で互いに120度の角度をなしている。
更に、他端側脚部15,16,17の根元部分の幅寸法Wは前記正六角形の一辺の長さLに一致している。更に又、他端側脚部15,16,17は前記一端側脚部12,13,14に対して位相が60度変位するように配設されている。このため、前記6本の脚部12〜17は胴体部11の軸方向視で60度の等ピッチを有している。
上記6本の各脚部12〜17は先細り形状に形成されている。即ち、各脚部12〜17の根元部分から先端部に向かって漸次縮径している。本実施例では、各脚部12〜17は断面四角型に形成されていると共に、4つの角部には面取りが施されている。又、該面取り部Rの幅寸法は、脚部12〜17の根元部分から先端部に向かって次第に拡大している。
【0027】
次に、本発明に係る消波ブロック10を複数使用して、図3又は図4に示す消波構造体19を構築する場合について説明する。先ず、港湾、海岸の水底に脚部付きの支持用ブロック18,18…を多数個並べて据え付ける。その際、隣接する支持用ブロック18,18…間の上部に空隙部S(図5参照)が生じるように配設してある。尚、図3又は図4は支持用ブロック18,18…として4脚状ブロック((登録商標名:テトラポット)又は6脚状ブロックを使用した例を示す。
【0028】
次に、支持用ブロック18,18…の上に多数個の消波ブロック10,10…を乱雑に積み上げる。斯くして、多数の支持用ブロック18,18…の上に消波ブロック10,10…を嵩上げ方式にて載置係合して成る消波構造体19が構築される。
【0029】
この場合、前記消波ブロック10,10…の一端側脚部12,13又は14は、図5に示すように、支持用ブロック18,18…間の上側の空隙部Sに突き刺さるように嵌り込み、且つ、他端側脚部15,16又は17は、支持用ブロック18,18…の胴体部や脚部に絡み合って拘束される。
【0030】
従って、消波ブロック10,10…と支持用ブロック18,18…との一体的な拘束力が飛躍的に増大する。
【0031】
特に、上記6本の各脚部12〜17は、胴体部11の軸方向視で60度の等ピッチを有しているので、消波ブロック10,10…を支持用ブロック18,18…の上に乱積みした場合、3本の一端側脚部12,13,14うちの1本と、3本の他端側脚部15,16,17のうちの2本との合計3本は同時に、支持用ブロック18,18…の空隙部Sに嵌入するか、或いは、支持用ブロック18,18…の胴体部や脚部に絡み合う。斯くして、港湾、海岸に打ち寄せる波浪や掃流力などの外力に対する消波構造体19の設置安定性が一層向上し、消波構造体19の消波性能が著しく高くなる。
【0032】
また、上記6本の各脚部12〜17は先細り形状に形成され、且つ、各脚部12〜17の外周には面取り部Rが加工されているので、支持用ブロック18,18…の上部間の空隙部Sが狭隘である場合でも、該空隙部Sの奥方まで各脚部12〜17の先端部がスムーズに嵌入し、支持用ブロック18,18…に対する消波ブロック10,10…の係止力が更に増大する。
更に、上記消波ブロック10は、胴体部11の軸方向中心を通る平面に関して左右対称な立体形状を有している。従って、消波ブロック10の型枠を製作する際は、左側の型枠と右側の型枠を同一の形状のものを使用でき、型枠の製作コストが安価になるメリットを有する。
尚、図1に示した消波ブロック10では、胴体部11の軸方向中心部の径を軸方向両端部の径よりも大に形成したが、同径に形成してもよい(図6参照)。
【0033】
図7乃至図10は、本発明の他の実施例に係る消波ブロック20を示す。本実施例は、横断面六角形の胴体部21の一端部外周面に2本の脚部22,23を突設し、且つ、胴体部21の他端部外周面に2本の脚部24,25を突設したことを特徴とする。なお、前記実施例と同様の部材にはそれと同一の符号を付して、説明を省略するものとする。
【0034】
図7は本実施例に係る消波ブロック20の基本形を示す。同図に示すように、胴体部21の一端側の脚部22,23は胴体部21の軸方向視で互いに120度の角度をなしている。同様に、胴体部21の他端側の脚部24,25も胴体部21の軸方向視で互いに120度の角度をなしている。又、図8、図9又は図10はそれぞれ、前記一端側脚部22,23に対して他端側脚部24,25の位相を60度、120度又は180度だけ変位させた形態例を示す。
【0035】
前記位相が0度の場合、胴体部21の軸方向視で一端側脚部22、23と他端側脚部24、25は胴体部21の周方向にて互いに同一箇所に位置する(図7参照)。これに対して、前記位相が60度の場合は、図8に示すように、胴体部21の軸方向視で一端側脚部22と他端側脚部24とのなす角度、並びに一端側脚部23と他端側脚部25とのなす角度は夫々60度になる。
【0036】
又、前記位相が120度の場合は、図9に示すように、胴体部21の軸方向視で一端側脚部23と他端側脚部25とのなす角度は120度になる。更、前記位相が180度の場合は、図10に示すように、胴体部21の軸方向視で一端側脚部22と他端側脚部25とのなす角度、並びに一端側脚部23と他端側脚部24とのなす角度は夫々60度になる。
【0037】
上記4本の各脚部22,23,24,25は、その根元部分から先端部に向かって漸次縮径している。更に、各脚部22,23,24,25は断面四角形に形成されていると共に、各脚部22,23,24,25の4つの角部には面取りが施されている。又、該面取り部の幅寸法は、各脚部22,23,24,25の根元部分から先端部に向かって次第に拡大している。
【0038】
このように前記消波ブロック20は、胴体部21の一端部及び他端部に夫々、軸方向視で互いに120度の角度をなす2本の各脚部22,23及び2本の脚部25,24を突設したので、上記実施例と同様の作用効果が奏される。
【0039】
即ち、支持用ブロックの上に多数個の消波ブロック20,20…を乱雑に積み上げて消波構造体を構築した場合、該消波ブロック20,20…の一端側脚部22,23は支持用ブロック間の空隙部に突き刺さるように嵌り込み、且つ、前記消波ブロック20,20…の他端側脚部24,25は支持用ブロックの胴体部や脚部に絡み合って拘束される。
【0040】
従って、消波ブロック20,20…と支持用ブロックの係止力が飛躍的に増大するため、消波構造体19の設置安定性が向上する。又、支持用ブロック間の空隙部が狭隘である場合でも、該空隙部に各脚部22,23,24,25の先端側縮径部が円滑に嵌入する。
【0041】
図11又は図12は、本発明の更に他の実施例に係る消波ブロック30を示す。本実施例は、胴体部31の一端部外周面に、該胴体部31の軸方向視で互いに120度の角度をなす2本の脚部32,33が突設され、且つ、該胴体部31の他端部外周面に、該胴体部31の軸方向視で互いに180度の角度をなす2本の脚部34,35が突設されていることを特徴とする。尚、図11の形態例と図12の形態例とでは、一端側脚部32,33の組の位相が他端側の脚部34,35の組に対して180度だけ逆転しているが、その作用効果は同一である。
【0042】
この発明によれば、上記2本の一端側脚部32,33と上記2本の他端側脚部34,35とは、該胴体部31の軸方向視で互いに異なる角度(60度又は120度)を有している。依って、消波ブロック30を支持用ブロックの上に乱積みした場合、4本の脚部32,33、34,35のうちの3本は、支持用ブロック間の空隙部に嵌入するか、或いは、支持用ブロックの胴体部や脚部に絡み合って拘束される。斯くして、消波ブロック30と支持用ブロックの係止力が増大し、消波ブロック30の設置安定性が著しく向上する。
【0043】
上記実施例では、支持用ブロックの上に消波ブロックを乱雑に積み上げたが、消波ブロックは整然と積み上げてもよい。なお、本発明の消波ブロックは、既設の消波工、被覆工又は根固め工などの嵩上げ用ブロックとして好適に使用でき、港湾、海岸又は護岸などにおいて各種の工法に適用可能である。
【0044】
本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施例を示し、消波ブロックの正面図。
【図2】図1の左側面図。
【図3】一実施例に係る消波ブロックを支持用ブロック(4脚状ブロック)に積み上げたときの状態を示す斜視図。
【図4】一実施例に係る消波ブロックを他の形態の支持用ブロック(6脚状ブロック)に積み上げたときの状態を示す斜視図。
【図5】一実施例に係る消波ブロックの使用状態を説明する解説図。
【図6】一実施例に係る消波ブロックの他の形態例の正面図。
【図7】本発明の他の実施例を示し、一端側脚部と他端側脚部の位相が0度である消波ブロックの斜視図。
【図8】本発明の他の実施例を示し、一端側脚部と他端側脚部の位相が60度である消波ブロックの斜視図。
【図9】本発明の他の実施例を示し、一端側脚部と他端側脚部の位相が120度である消波ブロックの斜視図。
【図10】本発明の他の実施例を示し、一端側脚部と他端側脚部の位相が180度である消波ブロックの斜視図。
【図11】本発明の他の実施例に係る消波ブロックの斜視図。
【図12】図11の消波ブロックとは一端側脚部と他端側脚部の位相が異なる消波ブロックの斜視図。
【図13】従来例を示し、消波ブロックの斜視図。
【図14】図13の消波ブロックの使用状態を示す解説図。
【符号の説明】
【0046】
10 消波ブロック
11 胴体部
12〜14 一端側脚部
15〜17 他端側脚部
18 支持用ブロック
19 消波構造体
【技術分野】
【0001】
本発明は消波ブロック及び消波ブロック工法に関するものであり、特に、防波堤や護岸の消波工及び突堤工、離岸堤工、根固工などにおいて既設のブロック(支持用基礎ブロック)に積み上げて使用される消波ブロック及び消波ブロック工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
此種消波ブロックは、所定の消波効果を得るために、港湾、海岸の防波堤などの前面において多数個使用して設置される。従来の消波ブロックとしては、例えば胴体部(本体中心部)に棒状、V字状又は角形の脚部を複数方向に突設したものが知られている。
【0003】
従来タイプの消波ブロックの形態例を図13に示す。該消波ブロック1は、棒状の胴体部2の両端部にI字形の脚部3,4が夫々突設され、且つ、一端側の脚部3は他端側の脚部4に対して位相が90度だけ変位している。そして、消波ブロック1を使用して消波構造体を構築する場合は、海岸等の水底に多数個の支持用ブロックを据え付けた後に、該支持用ブロックの上に前記消波ブロック1を積み重ねて消波構造体を構築している(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−74224号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の消波ブロック1では、各脚部3,4がI字形に形成されている。依って、図14に示すように、該脚部3,4が支持用ブロック5の上に水平に載置され、支持用ブロック5間の空隙部Sに脚部3,4が嵌入または係合せずに構築される。したがって、支持用ブロック5と消波ブロック1との係止力(拘束力)が小さくなる。その結果、消波ブロック1の設置安定性が低下し、特に、海面に生じる波浪や掃流力などの外力によって消波ブロック1が可動して、消波構造体の消波性能が低減するという問題があった。
【0005】
そこで、支持用ブロックと消波ブロックの係止力を増大させて該消波ブロックの安定性及び消波性能を向上させるために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明は該課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、胴体部の一端部及び他端部に夫々、該胴体部の軸方向視で互いに120度の角度をなす3本の脚部が突設された消波ブロックであって、前記一端側の脚部は前記他端側の脚部に対して位相が60度変位するように配設されている消波ブロックを提供する。
【0007】
この発明によれば、消波ブロックの胴体部に突設した3本の一端側脚部と3本の他端側脚部とは互いに位相が60度変位しているので、消波ブロックを支持用ブロックの上に設置した場合、3本の一端側脚部のうちの1本、並びに、3本の他端側脚部のうちの2本は、下側の支持用ブロック間の空隙部に嵌入して係合するか、或いは、支持用ブロックの胴体部(軸部)や脚部に嵌合して係止される。
【0008】
請求項2記載の発明は、胴体部の一端部及び他端部に夫々、胴体部11の軸方向視で互いに120度の角度をなす2本の脚部が突設された消波ブロックであって、前記一端側の脚部は前記他端側の脚部に対して位相が60度、120度又は180度変位するように配設されている消波ブロックを提供する。
【0009】
この発明によれば、消波ブロックの胴体部に突設した2本の一端側脚部と、2本の他端側脚部とは互いに位相が60度、120度又は180度変位しているので、消波ブロックを支持用ブロックの上に設置した場合、2本の一端側脚部の少なくとも1本、並びに、2本の他端側脚部の少なくとも1本は、下側の支持用ブロック間の空隙部に嵌入して係合するか、或いは、支持用ブロックの胴体部や脚部に絡み合って係止される。
【0010】
請求項3記載の発明は、上記胴体部の横断面形状は正六角形に形成され、且つ、該脚部の根元部分の幅寸法が前記正六角形の一辺の長さに一致している請求項1又は2記載の消波ブロックを提供する。
【0011】
この発明によれば、上記脚部の根元部分の幅寸法が、前記胴体部の横断面正六角形の一辺の長さと等しいので、3本の一端側の脚部及び3本の他端側の脚部の合計6本又は4本は、胴体部の軸方向視で互いに60度又は120度をなす。依って、消波ブロックを支持用ブロックの上に乱雑に設置した場合でも、前記脚部のうちの少なくとも4本又は2本は、下側の支持用ブロック間の空隙部、胴体部又は脚部に嵌入若しくは絡まって係止される。
【0012】
請求項4記載の発明は、上記脚部は面取り部を有する断面角型に形成され、且つ、該脚部の根元部分から先端部に向かって先細り形状に形成されている請求項1,2又は3記載の消波ブロックを提供する。
【0013】
この発明によれば、上記脚部は先細り形状に形成され、且つ、該先細り形状部の角部が面取りされているので、下側の支持用ブロック間の空隙部が狭隘である場合でも、該空隙部に対する前記脚部の先端部の嵌入が容易になる。
【0014】
請求項5記載の発明は、胴体部の一端部に、該胴体部の軸方向視で互いに120度の角度をなす2本の脚部が突設され、且つ、該胴体部の他端部に、該胴体部の軸方向視で互いに180度の角度をなす2本の脚部が突設されている消波ブロックを提供する。
【0015】
この発明によれば、胴体部に突設した一端側脚部は他端側脚部に対して、該胴体部の軸方向視で互いに異なる角度を有しているので、消波ブロックを支持用ブロックの上に設置した場合、4本の脚部のうちの3本は、支持用ブロック間の空隙部に嵌入するか、或いは、支持用ブロックの胴体部や脚部に嵌合して係止される。
【0016】
請求項6記載の発明は、請求項1,2,3,4又は5記載の消波ブロックを使用して消波構造体を構築する消波ブロック工法であって、港湾、海岸又は河川の水底に複数の支持用ブロックをその上側に空隙部が生じるように据え付けた後に、該支持用ブロックの上に前記消波ブロックを積み重ねることにより、該消波ブロックの脚部を前記支持用ブロック間の空隙部に嵌入させて消波構造体を構築する消波ブロック工法を提供する。
【0017】
この工法によれば、港湾、海岸又は河川に消波構造体を構築する場合、該港湾、海岸又は河川の水底に脚部付きの支持用ブロックを複数並べて据え付ける。その際、隣接する支持用ブロック間の上部側に空隙部が生じるように配置する。その後、支持用ブロックの上に消波ブロックを積み重ねることにより消波構造体が構築される。この場合、前記消波ブロックの脚部は支持用ブロック間の空隙部に嵌入もしくは絡み合うため、該消波ブロックと支持用ブロックの係止力が増大する。
【発明の効果】
【0018】
請求項1記載の発明は、消波ブロックを支持用ブロックの上に設置した場合、上記6本の脚部のうちの3本は、支持用ブロック間の空隙部に嵌入して係合するか、或いは、支持用ブロックの胴体部や脚部に絡み合って係止されるので、消波ブロックと支持用ブロックとの係止力(拘束力)が増大し、波浪や掃流力などの外力に対する消波ブロックの安定性を高めて、従来に比べて消波性能を向上させることができる。
【0019】
請求項2記載の発明は、消波ブロックを支持用ブロックの上に設置した場合、4本の一端側脚部のうちの2本は、支持用ブロック間の空隙部に嵌入して係合するか、或いは、支持用ブロックの胴体部や脚部に絡み合って係止されるので、消波ブロックと支持用ブロックとの係止力が増大し、従来に比べて消波性能を向上させることができる。
【0020】
請求項3記載の発明は、消波ブロックを支持用ブロックの上に乱積みした場合でも、上記複数の脚部のうちの少なくとも3本又は2本は、下側の支持用ブロック間の空隙部、胴体部又は脚部に嵌入若しくは係合するので、請求項1又は2記載の発明の効果に加えて、消波ブロックの乱積み状態における設置安定性が一層向上する。
【0021】
請求項4記載の発明は、前記脚部の先端部が縮径化していることにより、支持用ブロック間の空隙部への脚部の嵌入が容易になるので、請求項1,2又は3記載の発明の効果に加えて、支持用ブロック間の空隙部が狭隘である場合でも、該支持用ブロックに対する消波ブロックの係止力を更に増大させることができる。
【0022】
請求項5記載の発明は、消波ブロックを支持用ブロックの上に設置した場合、上記4本の脚部のうちの3本は、支持用ブロック間の空隙部に嵌入して係合するか、或いは、支持用ブロックの胴体部や脚部に絡み合って係止されるので、請求項2記載の発明の効果と同様に、消波ブロックと支持用ブロックの係止力が増大し、従来に比べて消波性能を向上させることができる。
【0023】
請求項6記載の工法では、支持用ブロックの上に消波ブロックを積み重ねて構築された消波構造体は、前記消波ブロックの脚部が支持用ブロック間の空隙部に嵌入することにより、消波ブロックと支持用ブロックとの係止力が増大するので、港湾、海岸等の波浪や掃流力に対する消波ブロックの設置安定性が向上して、高い消波性能を有する消波構造体を容易に構築することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明は、支持用ブロックと消波ブロック間の係止力を増大させて該消波ブロックの安定性及び消波性能を向上させるという目的を達成するため、胴体部の一端部及び他端部に夫々、該胴体部の軸方向視で互いに120度の角度をなす3本の脚部が突設された消波ブロックであって、前記一端側の脚部は前記他端側の脚部に対して位相が60度変位するように配設されていることにより実現した。
【実施例】
【0025】
以下、本発明の好適な一実施例を図1乃至図6に従って説明する。図1は本実施例に係る消波ブロック10を示す正面図、図2は図1の左側面図である。図において、10は消波ブロック10であって、該消波ブロック10は棒状の胴体部11を備えている。
また、胴体部11の一端部外周面には3本の脚部12,13,14が突設され、該一端側脚部12,13,14は、該胴体部11の軸方向視で互いに120度の角度をなしている。本実施例では、胴体部11の横断面形状は正六角形に形成され、一端側脚部12,13,14の根元部分の幅寸法Wは、前記正六角形の一辺の長さLに一致している。
【0026】
又、胴体部11の他端部外周面は、該胴体部11の前記一端部と同様に形成されている。即ち、胴体部11の他端部には3本の脚部15,16,17が突設され、該他端側脚部15,16,17は、胴体部11の軸方向視で互いに120度の角度をなしている。
更に、他端側脚部15,16,17の根元部分の幅寸法Wは前記正六角形の一辺の長さLに一致している。更に又、他端側脚部15,16,17は前記一端側脚部12,13,14に対して位相が60度変位するように配設されている。このため、前記6本の脚部12〜17は胴体部11の軸方向視で60度の等ピッチを有している。
上記6本の各脚部12〜17は先細り形状に形成されている。即ち、各脚部12〜17の根元部分から先端部に向かって漸次縮径している。本実施例では、各脚部12〜17は断面四角型に形成されていると共に、4つの角部には面取りが施されている。又、該面取り部Rの幅寸法は、脚部12〜17の根元部分から先端部に向かって次第に拡大している。
【0027】
次に、本発明に係る消波ブロック10を複数使用して、図3又は図4に示す消波構造体19を構築する場合について説明する。先ず、港湾、海岸の水底に脚部付きの支持用ブロック18,18…を多数個並べて据え付ける。その際、隣接する支持用ブロック18,18…間の上部に空隙部S(図5参照)が生じるように配設してある。尚、図3又は図4は支持用ブロック18,18…として4脚状ブロック((登録商標名:テトラポット)又は6脚状ブロックを使用した例を示す。
【0028】
次に、支持用ブロック18,18…の上に多数個の消波ブロック10,10…を乱雑に積み上げる。斯くして、多数の支持用ブロック18,18…の上に消波ブロック10,10…を嵩上げ方式にて載置係合して成る消波構造体19が構築される。
【0029】
この場合、前記消波ブロック10,10…の一端側脚部12,13又は14は、図5に示すように、支持用ブロック18,18…間の上側の空隙部Sに突き刺さるように嵌り込み、且つ、他端側脚部15,16又は17は、支持用ブロック18,18…の胴体部や脚部に絡み合って拘束される。
【0030】
従って、消波ブロック10,10…と支持用ブロック18,18…との一体的な拘束力が飛躍的に増大する。
【0031】
特に、上記6本の各脚部12〜17は、胴体部11の軸方向視で60度の等ピッチを有しているので、消波ブロック10,10…を支持用ブロック18,18…の上に乱積みした場合、3本の一端側脚部12,13,14うちの1本と、3本の他端側脚部15,16,17のうちの2本との合計3本は同時に、支持用ブロック18,18…の空隙部Sに嵌入するか、或いは、支持用ブロック18,18…の胴体部や脚部に絡み合う。斯くして、港湾、海岸に打ち寄せる波浪や掃流力などの外力に対する消波構造体19の設置安定性が一層向上し、消波構造体19の消波性能が著しく高くなる。
【0032】
また、上記6本の各脚部12〜17は先細り形状に形成され、且つ、各脚部12〜17の外周には面取り部Rが加工されているので、支持用ブロック18,18…の上部間の空隙部Sが狭隘である場合でも、該空隙部Sの奥方まで各脚部12〜17の先端部がスムーズに嵌入し、支持用ブロック18,18…に対する消波ブロック10,10…の係止力が更に増大する。
更に、上記消波ブロック10は、胴体部11の軸方向中心を通る平面に関して左右対称な立体形状を有している。従って、消波ブロック10の型枠を製作する際は、左側の型枠と右側の型枠を同一の形状のものを使用でき、型枠の製作コストが安価になるメリットを有する。
尚、図1に示した消波ブロック10では、胴体部11の軸方向中心部の径を軸方向両端部の径よりも大に形成したが、同径に形成してもよい(図6参照)。
【0033】
図7乃至図10は、本発明の他の実施例に係る消波ブロック20を示す。本実施例は、横断面六角形の胴体部21の一端部外周面に2本の脚部22,23を突設し、且つ、胴体部21の他端部外周面に2本の脚部24,25を突設したことを特徴とする。なお、前記実施例と同様の部材にはそれと同一の符号を付して、説明を省略するものとする。
【0034】
図7は本実施例に係る消波ブロック20の基本形を示す。同図に示すように、胴体部21の一端側の脚部22,23は胴体部21の軸方向視で互いに120度の角度をなしている。同様に、胴体部21の他端側の脚部24,25も胴体部21の軸方向視で互いに120度の角度をなしている。又、図8、図9又は図10はそれぞれ、前記一端側脚部22,23に対して他端側脚部24,25の位相を60度、120度又は180度だけ変位させた形態例を示す。
【0035】
前記位相が0度の場合、胴体部21の軸方向視で一端側脚部22、23と他端側脚部24、25は胴体部21の周方向にて互いに同一箇所に位置する(図7参照)。これに対して、前記位相が60度の場合は、図8に示すように、胴体部21の軸方向視で一端側脚部22と他端側脚部24とのなす角度、並びに一端側脚部23と他端側脚部25とのなす角度は夫々60度になる。
【0036】
又、前記位相が120度の場合は、図9に示すように、胴体部21の軸方向視で一端側脚部23と他端側脚部25とのなす角度は120度になる。更、前記位相が180度の場合は、図10に示すように、胴体部21の軸方向視で一端側脚部22と他端側脚部25とのなす角度、並びに一端側脚部23と他端側脚部24とのなす角度は夫々60度になる。
【0037】
上記4本の各脚部22,23,24,25は、その根元部分から先端部に向かって漸次縮径している。更に、各脚部22,23,24,25は断面四角形に形成されていると共に、各脚部22,23,24,25の4つの角部には面取りが施されている。又、該面取り部の幅寸法は、各脚部22,23,24,25の根元部分から先端部に向かって次第に拡大している。
【0038】
このように前記消波ブロック20は、胴体部21の一端部及び他端部に夫々、軸方向視で互いに120度の角度をなす2本の各脚部22,23及び2本の脚部25,24を突設したので、上記実施例と同様の作用効果が奏される。
【0039】
即ち、支持用ブロックの上に多数個の消波ブロック20,20…を乱雑に積み上げて消波構造体を構築した場合、該消波ブロック20,20…の一端側脚部22,23は支持用ブロック間の空隙部に突き刺さるように嵌り込み、且つ、前記消波ブロック20,20…の他端側脚部24,25は支持用ブロックの胴体部や脚部に絡み合って拘束される。
【0040】
従って、消波ブロック20,20…と支持用ブロックの係止力が飛躍的に増大するため、消波構造体19の設置安定性が向上する。又、支持用ブロック間の空隙部が狭隘である場合でも、該空隙部に各脚部22,23,24,25の先端側縮径部が円滑に嵌入する。
【0041】
図11又は図12は、本発明の更に他の実施例に係る消波ブロック30を示す。本実施例は、胴体部31の一端部外周面に、該胴体部31の軸方向視で互いに120度の角度をなす2本の脚部32,33が突設され、且つ、該胴体部31の他端部外周面に、該胴体部31の軸方向視で互いに180度の角度をなす2本の脚部34,35が突設されていることを特徴とする。尚、図11の形態例と図12の形態例とでは、一端側脚部32,33の組の位相が他端側の脚部34,35の組に対して180度だけ逆転しているが、その作用効果は同一である。
【0042】
この発明によれば、上記2本の一端側脚部32,33と上記2本の他端側脚部34,35とは、該胴体部31の軸方向視で互いに異なる角度(60度又は120度)を有している。依って、消波ブロック30を支持用ブロックの上に乱積みした場合、4本の脚部32,33、34,35のうちの3本は、支持用ブロック間の空隙部に嵌入するか、或いは、支持用ブロックの胴体部や脚部に絡み合って拘束される。斯くして、消波ブロック30と支持用ブロックの係止力が増大し、消波ブロック30の設置安定性が著しく向上する。
【0043】
上記実施例では、支持用ブロックの上に消波ブロックを乱雑に積み上げたが、消波ブロックは整然と積み上げてもよい。なお、本発明の消波ブロックは、既設の消波工、被覆工又は根固め工などの嵩上げ用ブロックとして好適に使用でき、港湾、海岸又は護岸などにおいて各種の工法に適用可能である。
【0044】
本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施例を示し、消波ブロックの正面図。
【図2】図1の左側面図。
【図3】一実施例に係る消波ブロックを支持用ブロック(4脚状ブロック)に積み上げたときの状態を示す斜視図。
【図4】一実施例に係る消波ブロックを他の形態の支持用ブロック(6脚状ブロック)に積み上げたときの状態を示す斜視図。
【図5】一実施例に係る消波ブロックの使用状態を説明する解説図。
【図6】一実施例に係る消波ブロックの他の形態例の正面図。
【図7】本発明の他の実施例を示し、一端側脚部と他端側脚部の位相が0度である消波ブロックの斜視図。
【図8】本発明の他の実施例を示し、一端側脚部と他端側脚部の位相が60度である消波ブロックの斜視図。
【図9】本発明の他の実施例を示し、一端側脚部と他端側脚部の位相が120度である消波ブロックの斜視図。
【図10】本発明の他の実施例を示し、一端側脚部と他端側脚部の位相が180度である消波ブロックの斜視図。
【図11】本発明の他の実施例に係る消波ブロックの斜視図。
【図12】図11の消波ブロックとは一端側脚部と他端側脚部の位相が異なる消波ブロックの斜視図。
【図13】従来例を示し、消波ブロックの斜視図。
【図14】図13の消波ブロックの使用状態を示す解説図。
【符号の説明】
【0046】
10 消波ブロック
11 胴体部
12〜14 一端側脚部
15〜17 他端側脚部
18 支持用ブロック
19 消波構造体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴体部の一端部及び他端部に夫々、該胴体部の軸方向視で互いに120度の角度をなす3本の脚部が突設された消波ブロックであって、前記一端側の脚部は前記他端側の脚部に対して位相が60度変位するように配設されていることを特徴とする消波ブロック。
【請求項2】
胴体部の一端部及び他端部に夫々、該胴体部の軸方向視で互いに120度の角度をなす2本の脚部が突設された消波ブロックであって、前記一端側の脚部は前記他端側の脚部に対して位相が60度、120度又は180度変位するように配設されていることを特徴とする消波ブロック。
【請求項3】
上記胴体部の横断面形状は正六角形に形成され、且つ、該脚部の根元部分の幅寸法が前記正六角形の一辺の長さに一致していることを特徴とする請求項1又は2記載の消波ブロック。
【請求項4】
上記脚部は面取り部を有する断面角型に形成され、且つ、該脚部の根元部分から先端部に向かって先細り形状に形成されていることを特徴とする請求項1,2又は3記載の消波ブロック。
【請求項5】
胴体部の一端部に該胴体部の軸方向視で互いに120度の角度をなす2本の脚部が突設され、且つ、該胴体部の他端部に該胴体部の軸方向視で互いに180度の角度をなす2本の脚部が突設されていることを特徴とする消波ブロック。
【請求項6】
請求項1,2,3,4又は5記載の消波ブロックを使用して消波構造体を構築する消波ブロック工法であって、港湾、海岸又は河川の水底に複数の支持用ブロックを据え付けた後に、該支持用ブロックの上に前記消波ブロックを積み重ねることにより、該消波ブロックの脚部を前記支持用ブロック間の空隙部に嵌入させて消波構造体を構築することを特徴とする消波ブロック工法。
【請求項1】
胴体部の一端部及び他端部に夫々、該胴体部の軸方向視で互いに120度の角度をなす3本の脚部が突設された消波ブロックであって、前記一端側の脚部は前記他端側の脚部に対して位相が60度変位するように配設されていることを特徴とする消波ブロック。
【請求項2】
胴体部の一端部及び他端部に夫々、該胴体部の軸方向視で互いに120度の角度をなす2本の脚部が突設された消波ブロックであって、前記一端側の脚部は前記他端側の脚部に対して位相が60度、120度又は180度変位するように配設されていることを特徴とする消波ブロック。
【請求項3】
上記胴体部の横断面形状は正六角形に形成され、且つ、該脚部の根元部分の幅寸法が前記正六角形の一辺の長さに一致していることを特徴とする請求項1又は2記載の消波ブロック。
【請求項4】
上記脚部は面取り部を有する断面角型に形成され、且つ、該脚部の根元部分から先端部に向かって先細り形状に形成されていることを特徴とする請求項1,2又は3記載の消波ブロック。
【請求項5】
胴体部の一端部に該胴体部の軸方向視で互いに120度の角度をなす2本の脚部が突設され、且つ、該胴体部の他端部に該胴体部の軸方向視で互いに180度の角度をなす2本の脚部が突設されていることを特徴とする消波ブロック。
【請求項6】
請求項1,2,3,4又は5記載の消波ブロックを使用して消波構造体を構築する消波ブロック工法であって、港湾、海岸又は河川の水底に複数の支持用ブロックを据え付けた後に、該支持用ブロックの上に前記消波ブロックを積み重ねることにより、該消波ブロックの脚部を前記支持用ブロック間の空隙部に嵌入させて消波構造体を構築することを特徴とする消波ブロック工法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−249994(P2009−249994A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−102886(P2008−102886)
【出願日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(000226356)日建工学株式会社 (24)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(000226356)日建工学株式会社 (24)
【Fターム(参考)】
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