消火栓装置
【課題】引き出したホースの内巻き状態への巻き戻しが簡単且つ容易にできるようにする。
【解決手段】消火栓装置10は消火時に筐体12の消火栓扉を開いてノズル付きホース44を引き出して消火する。筐体12のホース収納部30には、ホース44を内巻きにて収納したリール34が回転自在に取り付けられ、通常時及びホース引き出し時は、回転固定部38によりリール34の回転固定し、ホース巻き戻し時にはリール34を回転可能とし、リール34を手で回しながらホース44をリール34内に内巻きにて巻き戻す。配管着脱部40はリール34の回転固定時にホース1次接続部に対し消火配管を接続し、リール回転時にはホース1次接続部から消火配管を切り離す。
【解決手段】消火栓装置10は消火時に筐体12の消火栓扉を開いてノズル付きホース44を引き出して消火する。筐体12のホース収納部30には、ホース44を内巻きにて収納したリール34が回転自在に取り付けられ、通常時及びホース引き出し時は、回転固定部38によりリール34の回転固定し、ホース巻き戻し時にはリール34を回転可能とし、リール34を手で回しながらホース44をリール34内に内巻きにて巻き戻す。配管着脱部40はリール34の回転固定時にホース1次接続部に対し消火配管を接続し、リール回転時にはホース1次接続部から消火配管を切り離す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消火時に筐体の消火栓扉を開いてノズル付きホースを引き出して消火する消火栓装置及び操作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車専用道路などのトンネル内には、火災発生時に備えて消火栓装置が設置されている。
【0003】
図11は従来の消火栓装置100の消火栓扉102を開いた状態の説明図であり、消火栓扉102に設けているハンドルレバーを手前に引くことでロックを解除し、消火栓扉102を下側を回転軸に前方に開放することができる。
【0004】
消火栓扉102を開いた筐体のホース収納部104には、先端にノズル106を装着したホース108を内巻きして収納されている。消火の際には、ノズル106を引き出し、扉内に設けている消火栓弁開閉レバー110を操作することで消火ポンプ設備を起動して放水を行うことができる。
【0005】
ホース収納部104に対しては、ホースバケット112の内面、内壁背面によってホース108が内巻き状態に支えられている。
【特許文献1】特許第3637559号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来のホースを内巻きにして収納した消火栓装置にあっては、消火後に引き出したホースをホース収納部に内巻き状態に巻き戻す作業が大変であり、復旧に手間と時間かかかるという問題がある。
【0007】
即ち、ホース収納部104にホース108を収納する際には、ホースバケット112の中央開口部からホース108を送り込みながら、筐体の内壁上面、ホースバケット112の内面、内壁下面、ホースバケット112の内面、内壁上面というように順にホース108がホース収納部104の内部に沿うように巻き取っていく。
【0008】
このときホース108が重量物であるため、巻き取りにくく、また、ホース108がねじれると巻き取りに失敗するため、ホース108を送り込む際にねじれを取るように回しながら巻き取る作業を行う必要があり、手間と時間がかかる問題がある。
【0009】
本発明は、引き出したホースの内巻き状態への巻き戻しが簡単且つ容易にできるようにする消火栓装置及び操作方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(消火栓装置)
本発明は、消火時に筐体からノズル付きホースを引き出して消火する消火栓装置に於いて、
筐体内に回転自在に取り付けられ、ホースを内巻きにて収納したホース収納部と、
ホース収納部の回転を固定する固定位置と、ホース収納部を回転可能とする回転位置とに切替える回転固定部と、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
ここで、ホース収納部は、
扉側に開口を備え、ホースを内巻きするリールと、
リールを筐体内に回転自在に支持する回転軸部と、
操作者が回転させるためにリールに設けた切欠又は手摺などの回転操作部と、
を備える。
【0012】
また、ホース収納部は、
円形または多角形の回転板と、
回転板を筐体内に回転自在に支持する回転軸部と、
回転板の外周側に起立されて先端を中心側に屈曲してホース収納空間を画成する複数のホースガードと、
複数のホースガードに固定されてホース引き出し開口を前記回転板の中央の前方位置に形成するホースガイドと、
を備えた構造としても良い。
【0013】
また、ホース収納部は、
円形または多角形の回転板と、
回転板を筐体内に回転自在に支持する回転軸部と、
回転板の外周側に起立されて先端を中心側に屈曲してホース収納空間を画成する複数のホースガードと、
を備え、
更に、ホース収納部に設けた回転板の中央の前方位置にホース引き出し開口を形成するホースガイドを筐体に固定配置した構造としても良い。
(操作方法)
本発明は、
筐体内に回転自在に取り付けられ、ノズル付きホースを内巻きにて収納したホース収納部と、
ホース収納部の回転を固定する固定位置と、ホース収納部を回転可能とする回転位置とに切替える回転固定部と、
を備えた消火栓装置の操作方法に於いて、
通常時及びホース引き出し時は、回転固定部を固定位置に切替えてホース収納部を固定し、
ホース巻き戻し時は、回転固定部を回転位置に切替えてホース収納部を回転可能とする、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ホースを内巻きするホース収納部を筐体に対し回転自在に取り付け、通常時及びホース引き出し時はホース収納部を回転しないように固定し、一方、ホースを巻き戻す際には、ホース収納部の固定を解除して回転可能とし、ホース収納部を作業者が手で回しながら開口部からホースを送り込むことで、ホースを従来のようにホース収納部の内側に沿って順に送り込む作業が不要となり、ホース送り込み位置を変えることなくホース収納部側を回すことで、簡単且つ容易にホースを内巻き状態に巻き取ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は本発明による消火栓装置の第1実施形態を示した説明図である。図1において、消火栓装置10は架台11上に箱型の筐体12を設置しており、筐体12の前面右側には、下側をヒンジに上部を前方に開放自在な消火栓扉14が設けられている。消火栓扉14の内部には、後の説明で明らかにするように、ノズル式ホースを内巻き状態で収納したホース収納部とバルブ収納部が設けられている。消火栓扉14はハンドル28を引くことでラッチを解除して開くことができる。
【0016】
筐体12の左側には消火器扉18が設けられ、ハンドル20を操作することで扉を横に開いて、内部の消火器を取り出すことができる。消火栓扉14と消火器扉18の間には操作表示部16が設けられる。操作表示部16には、赤色表示灯22、手動発信機24及び応答ランプ26が設けられている。本実施形態の消火栓装置10を設置したトンネル内での火災事故の際には、手動発信機24の釦操作により監視室などに異常を通報することができ、火災通報が行われると応答ランプ26が点灯する。
【0017】
図2は図1の第1実施形態に続いて消火栓扉を外して内部構造を示した説明図である。図2において、消火栓装置10の筐体12の中央内部にはホース収納部30が形成され、その右側にバルブ類収納部32が形成されている。
【0018】
ホース収納部30には、前方に開口したリール34が回転軸部36により筐体12に対し回転自在に取り付けられている。リール34の筐体内壁面側には回転固定部38が例えば3箇所に設けられている。
【0019】
回転固定部38としては、リール34側に設けている固定片をボルトなどにより筐体12側にねじ込み固定し、ボルトを外すことでリール34の回転を可能とする。即ち回転固定部38は、リール34を固定する固定位置と、リール34の回転を可能とする回転位置とに、ボルトなどの着脱により切り替える構造を有する。
【0020】
またホース収納部30を構成するリール34の右側のバルブ類収納部32側からの配管55と、リール34に内巻きしているホース1次接続部との間には、配管着脱部40が設けられている。
【0021】
配管着脱部40はホース1次接続部に対し配管55を接続する装着位置と、ホース1次接続部から配管55を切り離す離脱位置とに切り替える構造を有する。この配管着脱部40により配管55を接続した状態で、リール34は回転固定部38により固定位置に置かれ、一方、回転固定部38を回転位置に切り替える際には配管着脱部40を離脱位置として配管55との接続を切り離す。この配管着脱部40による配管55のリール34側への着脱は、回転固定部38の場合と同様、取扱者の操作により行われる。
【0022】
リール34に対する配管着脱部40側のホース1次接続部に対してはホース44の一端が接続されており、この状態でホース44はリール34の開口部から巻き込まれて内巻き状態に保持されている。
【0023】
リール34は開口側にリング状の鍔部を形成しており、この鍔部には一定間隔で切欠42が設けられている。切欠42は、リール34を回すために手を掛ける回転操作部として設けられている。なお回転操作部としては、切欠42に代え、リール34の開口側外周部に手摺などを設けるようにしてもよい。
【0024】
ホース収納部30の右側のバルブ類収納部32には、給水接続口50に続いて、消火栓弁54、自動排水弁56及び自動調圧弁58が設けられ、自動調圧弁58の2次側を配管55から配管着脱部40を介して、リール34に内巻きしているホース44の1次接続部に接続している。
【0025】
消火栓弁54は、消火栓扉の内側に設けている後の説明で明らかにする消火栓弁開閉レバーとワイヤー接続されており、レバー操作に従って弁の開閉を行うことができる。自動排水弁56は、通常時にあっては2次側を排水するようにしている。自動調圧弁58は、放水時にホース44側からの放水圧力を規定圧に自動調整する。
【0026】
図3は図1の第1実施形態について消火栓扉を開放した状態で内部構造を示した平面断面図である。図3において、消火栓扉14は筐体12に対し下側のヒンジにより開閉自在に取り付けられており、筐体12との間には緩衝用ダンパ62が設けられ、消火栓扉14を滑らかに開放できるようにしている。
【0027】
筐体12のホース収納部30には、回転軸部36により回転自在にリール34が取り付けられており、リール34の内部にはホース44が内巻き状態で収納されており、ホース44の2次側に接続したノズル46がリール34の開口部から取り出され、消火栓扉14側に設けている下向きU字型のホースガイド48を通して、扉内部のノズルホルダに装着されている。
【0028】
消火栓扉14の内側の右側部分には消火栓弁開閉レバー60が設けられ、消火栓弁開閉レバー60を手前に操作することで、ワイヤーで連結された図2の消火栓弁54を放水位置に切り替えることができる。このとき、図示しないレバーの下部に設けているポンプ起動用の連動スイッチがオンし、消火ポンプ設備のポンプ起動を行うようになる。
【0029】
ノズル46からの放水を停止したい場合には、消火栓弁開閉レバー60を図示の初期位置に戻す。この初期位置への戻しにより、ワイヤー連結されている消火栓弁54の給水が停止される。同時に、レバー下部の図示しない連動スイッチがオフとなって消火ポンプ設備を停止できる状態となる。
【0030】
図4は図1の第1実施形態で消火栓扉を開放した状態での側面図であり、前方に下側をヒンジとして開放した消火栓扉14の上部には下向きU字型のホースガイド48が起立しており、その中を通って、図3に示したようにノズル46を装着したホース44が引き出されている。また図4にあっては、消火栓弁開閉レバー60を手前に操作して放水位置に切り替えた状態を示している。
【0031】
図5は図1の第1実施形態におけるリールの回転軸部の構造を取り出して示した断面図である。図5において、回転軸部36は一端にフランジを形成し、他端にねじ部を形成した軸部材36aを有し、軸部材36aに対し固定プレート36dを嵌め入れた後に、間にスラスト針状ころ36cを入れてリール34を嵌め入れ、続いてスラスト針状コロ36cを介して止めリング36bをねじ込んで固定し、これにより軸部材36aに対しリール34側を回転自在に取り付けている。
【0032】
固定プレート36dの背後には取付ホイール36eがボルトにより固定され、取付ホイール36eを筐体12の背面側にボルト36fにより固定し、これによってリール34を筐体12に対し回転自在に取り付けている。
【0033】
このような回転軸部36の構造にあっては、前方に開放した図2に示したリール34を、リール34の筐体背面側の円盤部分の片持ち支持で回転自在に取り付けており、リール34のプレート部分を回転自在に支持する構造として、回転軸部36にリング状に配置している複数のスラスト針状コロ36cによる挟込み支持で回転自在として支持しているため、片持ち構造であっても、面ブレを起こすことなく滑らかにリール34をバランスよく回転させることができる。
【0034】
次に図1〜図5に示した第1実施形態におけるホースの巻戻し作業を説明する。まず通常の監視状態にあっては、図2に示したように、ホース収納部30に回転軸部36により回転自在に設けているリール34は、回転固定部38を回転固定位置に切り替えている。具体的には回転固定部38の固定片に対しボルトなどをねじ込んでリール34の回転を固定している。同時に配管着脱部40によりバルブ類収納部32側からの配管55をリール34側のホース1次接続部に接続する装着位置に切り替えた状態としている。
【0035】
このようなリール34の回転固定状態で本実施形態の消火栓装置10を設置しているトンネル内で火災事故が発生した場合には、図3に示すように消火栓扉14を開いた後にノズル46を取り出してホース44を引き出し、消火栓弁レバー60を図4に示すように手前に操作することで、ポンプ設備を起動して、ノズル46から消火用水を放水することになる。
【0036】
このノズル46からの放水のためにホース44を引き出す際には、リール34は回転が固定されているため、リール34が回転することなく、内巻き状態にあるホース44を十分に軽い力でホース収納部30から引き出すことができる。
【0037】
ノズル46による放水を消火栓弁レバー60を初期位置に戻すことにより停止した後は、ホース44をホース収納部30に戻す復旧作業を行うことになる。この復旧作業の際には、図2のリール34の3箇所に設けている回転固定部38によるリール34の固定を解除してリール34を回転可能にすると同時に、配管着脱部40をリール34側のホース1次接続部から取り外す。
【0038】
この状態でリール34は、作業者により自由に回すことができる。作業者は、リール34の開放側外周に形成されている切欠42に手を掛けてホース44をリール34内に送り込みながらリール34を例えば右方向に回転させることで、簡単且つ容易にリール34の内部にホース44を内巻き状態で収納することができる。
【0039】
即ち図11に示した従来の消火栓装置にあっては、ホースをホース収納部104を形成しているホースバケット112で囲まれた空間内に内部空間に沿って1方向に回転させるようにホースを順次崩さないように引き込む作業を必要としていたが、本実施形態にあっては、ホース44の引込み位置はほとんど動かす必要がなく、ホースを動かさない代わりにリール34を回すことで、ホース44のねじれを取りながら容易にリール34の中にホース44を巻き戻して内巻き状態に収納することができる。
【0040】
リール34に対するホース44の巻戻しが終了したならば、回転固定部38によりリール34を回転固定位置に切り替え、更に配管着脱部40により配管55をリール34側のホース1次接続部に接続し、このホース収納が済んだならば、消火栓扉14を図1に示すような閉鎖位置に戻すことで、消火栓装置10の復旧作業を完了する。
【0041】
図6は本発明による消火栓装置の第2実施形態を示した説明図であり、消火栓扉を外した状態で内部構造を示している。また図7は消火栓扉を開放した状態で示した平面断面図である。
【0042】
図6において、第2実施形態にあっては、筐体12のホース収納部30に、ほぼ八角形の外形を持つ回転板64を、その中心部に設けた回転軸部66により回転自在に取り付けている。
【0043】
回転板64は上下2箇所に回転固定部70を設けており、回転固定部70としては、取付片に対しボルトにより筐体12の背面部の壁面に取り付けることで回転を固定する固定位置となり、ボルトを外すことで回転盤64を回転可能とする回転位置に切り替える。
【0044】
回転盤64の外周側の直交する4箇所にはホースガード68が設けられている。ホースガード68は、回転板64の外周側から起立した後に図7に示すように先端部を扉面と平行な方向に屈曲したL字型に屈曲したフレーム部材である。このホースガード68を回転板64の4箇所に取り付けることで、4箇所の外側から回転板64の前方部分を包み込んで、ホース収納空間を画成している。
【0045】
更にホースガード68により囲まれた回転板64の前方の空間の中心部分には、中央のリング部から十字方向に取付片を延在したホースガイド72が、ホースガード68のそれぞれに対するボルトなどによる取付け固定で支持されており、ホースガード68の先端側にホース引出し用の開口を形成している。
【0046】
また回転盤64の右側のバルブ類収納部32側からの配管55と回転盤64側に設けているホース1次接続部との間には配管着脱部73が設けられている。配管着脱部73は、回転盤64を回転固定部70により固定位置に設定している際には、配管55をホース1次接続部に接続する装着位置となり、回転固定部70を外して回転位置に設定した場合には、配管55を回転盤64のホース1次接続部から切り離して離脱位置とする。
【0047】
図8は図6のホース収納部を取り出して示した説明図であり、図8(A)に正面図、図8(B)に平面図を示している。
【0048】
図8において、ホース収納部30は、ほぼ八角形の回転板64の中心部分を回転軸部66により筐体12の壁面に回転自在に取り付けており、この回転軸部66の構造は図5に示した第1実施形態と同じ構造である。
【0049】
回転板64の4箇所にはホースガード68が外周側をボルト固定により取り付けられており、ホースガード68は外周側で手前側に起立した後に中心方向に屈曲し、これによって回転盤64の前方部分にホースを収納する空間を画成している。
【0050】
更に回転板64から起立した4つのホースガード68の先端で囲まれた空間には、ホース引出し開口を形成するため、ホースガイド72がリング部に対する十字方向の取付け片のホースガード68の先端に対するボルト締めで固定配置されている。
【0051】
また回転板64の右側のホースガード68の部分にはホース1次接続部74が取り付けられており、ここにホース収納部に引き込むホースの1次側を接続し、更にホース接続部74の外部からはバルブ類収納部に設けている配管55が、図6に示した配管着脱部72により着脱自在に装着されることになる。
【0052】
この図6〜図8に示した第2実施形態にあっては、ホース収納部30の構造が回転盤64、ホースガード68及びホースガイド72の組立体として構成され、図1の第1実施形態におけるリール34に比べ構造的に簡単で、また重量的にも軽くすることができ、重量が軽ければ回転軸部70の支持構造としても強度の低いものが使用でき、全体として軽量でコスト的に安価な回転自在なホース収納部30を実現することができる。
【0053】
図9は本発明による消火栓装置の第3実施形態を示した説明図であり、消火栓扉を外して内部構造を示しており、図10は消火栓扉を開いた状態で示した平面断面図である。
【0054】
図9の第3実施形態にあっては、基本的には図6〜図8の第2実施形態と同じであり、ホース収納部30としては、図8に示したと同じ回転板64に4つのホースガード68を設けた構造であるが、ホースガード68の先端中心部に設けているホースガイド72を廃止し、このホースガイド72に代えて、図9に示すように、ホース収納部30の中心部の前方に取付部78により筐体12に固定支持する形で独立した配置としてホースガイド76を設けるようにしたことを特徴とする。
【0055】
このようにホース収納部30からホースガイド76を分離して筐体側に独立して配置することで、ホース収納部30の構造を更に簡単にして、軽量化とコスト低減を図ることができる。
【0056】
次に図6〜図8に示した第2実施形態の操作としては、通常時及びホース引出し時にあっては、回転固定部70により回転盤64を固定位置とし、且つ配管着脱部72により配管55をホース1次接続部に装着した状態としており、この状態で消火栓扉を図7のように開き、ノズル46を持って、ホース44を固定されている回転軸部66のホースガード68の内側から軽い力で引き出すことができる。
【0057】
ホースを引き出して消火した後の復旧作業の際には、回転固定部70による固定を外し、同時に配管着脱部72によりホース1次接続部を配管55側から切り離し、回転板64を回転可能とする。
【0058】
この状態で、ホース44をホースガイド72の開口を通して内部に送り込みながら回転板64を回すことで、ホース44の送り込み位置を変えることなく、回転板64を回すことで、ホースガード68の内側にホースを簡単且つ容易に巻き取ることができる。
【0059】
なお上記の実施形態にあっては、ホース収納部として図1の第1実施形態にあってはリールを使用し、また図6あるいは図9の第2実施形態及び第3実施形態にあっては回転板64にL字型に屈曲したホースガードを取り付けた籠型構造のものを使用しているが、筐体に対し回転自在な構造であれば適宜のホース収納部の構造を採用することができる。
【0060】
また、ホース収納部を構成するリールや回転板を回転位置と固定位置とに切り替える回転固定部70としても、固定片をボルトの着脱で切り替える構造以外に、適宜のワンタッチ構造による固定と回転の切替えを可能にしてもよい。
【0061】
また、配管着脱部40は、上記実施形態の位置に限らず、たとえばリール34の背後の回転軸部36まで配管55がのびて回転軸部36の内部を通ってホース44の1次側と回転自在に接続するようにしても良い。
【0062】
また、図6の第2実施形態のホースガイド72は着脱自在として、消火後のホースの復旧時はホースガイド72を取り外して図2のように前方開口部をひろくしてホースを収納させても良い。図9のホースガイド76も取付部材78から前方に倒れてホース収納を容易にしても良い。
【0063】
図6や図9のホースガイド72,76の円の内径は、図のように限らず、ホース収納部30周囲のホースガイド68の位置まで広げた径であっても良い。
また本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明による消火栓装置の第1実施形態を示した断面図
【図2】図1について消火栓扉を外して内部構造を示した説明図
【図3】図1の消火栓扉を開放した状態で内部構造を示した平面断面図
【図4】図1の消火栓扉を開放した状態で示した側面図
【図5】図1の実施形態におけるリールの回転軸部の構造を取り出して示した断面図
【図6】本発明による消火栓装置の第2実施形態を示した断面図
【図7】図6について消火栓扉を開放した状態で内部構造を示した平面断面図
【図8】図6のホース収納部を取り出して示した説明図
【図9】本発明による消火栓装置の第3実施形態を示した断面図
【図10】図9について消火栓扉を開放した状態で内部構造を示した平面断面図
【図11】従来の消火栓装置を示した説明図
【符号の説明】
【0065】
10:消火栓装置
11:架台
12:筐体
14:消火栓扉
16:操作表示部
18:消火器扉
22:赤色表示灯
24:手動発信機
26:応答ランプ
28:ハンドル
30:ホース収納部
32:バルブ類収納部
34:リール
36,66:回転軸部
36a:軸部材
36b:止めリング
36c:スラスト針状ころ
36d:固定プレート
36e:取付ホイール
36f:ボルト
38,70:回転固定部
40:配管着脱部
42:切欠
44:ホース
46:ノズル
48,72,76:ホースガイド
50:給水接続口
52:給水弁
54:消火栓弁
56:自動排水弁
58:自動調圧弁
60:消火栓弁開閉レバー
62:ショックアブソーバ
64:回転板
68:ホースガード
74:ホース1次接続部
78:取付部
【技術分野】
【0001】
本発明は、消火時に筐体の消火栓扉を開いてノズル付きホースを引き出して消火する消火栓装置及び操作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車専用道路などのトンネル内には、火災発生時に備えて消火栓装置が設置されている。
【0003】
図11は従来の消火栓装置100の消火栓扉102を開いた状態の説明図であり、消火栓扉102に設けているハンドルレバーを手前に引くことでロックを解除し、消火栓扉102を下側を回転軸に前方に開放することができる。
【0004】
消火栓扉102を開いた筐体のホース収納部104には、先端にノズル106を装着したホース108を内巻きして収納されている。消火の際には、ノズル106を引き出し、扉内に設けている消火栓弁開閉レバー110を操作することで消火ポンプ設備を起動して放水を行うことができる。
【0005】
ホース収納部104に対しては、ホースバケット112の内面、内壁背面によってホース108が内巻き状態に支えられている。
【特許文献1】特許第3637559号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来のホースを内巻きにして収納した消火栓装置にあっては、消火後に引き出したホースをホース収納部に内巻き状態に巻き戻す作業が大変であり、復旧に手間と時間かかかるという問題がある。
【0007】
即ち、ホース収納部104にホース108を収納する際には、ホースバケット112の中央開口部からホース108を送り込みながら、筐体の内壁上面、ホースバケット112の内面、内壁下面、ホースバケット112の内面、内壁上面というように順にホース108がホース収納部104の内部に沿うように巻き取っていく。
【0008】
このときホース108が重量物であるため、巻き取りにくく、また、ホース108がねじれると巻き取りに失敗するため、ホース108を送り込む際にねじれを取るように回しながら巻き取る作業を行う必要があり、手間と時間がかかる問題がある。
【0009】
本発明は、引き出したホースの内巻き状態への巻き戻しが簡単且つ容易にできるようにする消火栓装置及び操作方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(消火栓装置)
本発明は、消火時に筐体からノズル付きホースを引き出して消火する消火栓装置に於いて、
筐体内に回転自在に取り付けられ、ホースを内巻きにて収納したホース収納部と、
ホース収納部の回転を固定する固定位置と、ホース収納部を回転可能とする回転位置とに切替える回転固定部と、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
ここで、ホース収納部は、
扉側に開口を備え、ホースを内巻きするリールと、
リールを筐体内に回転自在に支持する回転軸部と、
操作者が回転させるためにリールに設けた切欠又は手摺などの回転操作部と、
を備える。
【0012】
また、ホース収納部は、
円形または多角形の回転板と、
回転板を筐体内に回転自在に支持する回転軸部と、
回転板の外周側に起立されて先端を中心側に屈曲してホース収納空間を画成する複数のホースガードと、
複数のホースガードに固定されてホース引き出し開口を前記回転板の中央の前方位置に形成するホースガイドと、
を備えた構造としても良い。
【0013】
また、ホース収納部は、
円形または多角形の回転板と、
回転板を筐体内に回転自在に支持する回転軸部と、
回転板の外周側に起立されて先端を中心側に屈曲してホース収納空間を画成する複数のホースガードと、
を備え、
更に、ホース収納部に設けた回転板の中央の前方位置にホース引き出し開口を形成するホースガイドを筐体に固定配置した構造としても良い。
(操作方法)
本発明は、
筐体内に回転自在に取り付けられ、ノズル付きホースを内巻きにて収納したホース収納部と、
ホース収納部の回転を固定する固定位置と、ホース収納部を回転可能とする回転位置とに切替える回転固定部と、
を備えた消火栓装置の操作方法に於いて、
通常時及びホース引き出し時は、回転固定部を固定位置に切替えてホース収納部を固定し、
ホース巻き戻し時は、回転固定部を回転位置に切替えてホース収納部を回転可能とする、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ホースを内巻きするホース収納部を筐体に対し回転自在に取り付け、通常時及びホース引き出し時はホース収納部を回転しないように固定し、一方、ホースを巻き戻す際には、ホース収納部の固定を解除して回転可能とし、ホース収納部を作業者が手で回しながら開口部からホースを送り込むことで、ホースを従来のようにホース収納部の内側に沿って順に送り込む作業が不要となり、ホース送り込み位置を変えることなくホース収納部側を回すことで、簡単且つ容易にホースを内巻き状態に巻き取ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は本発明による消火栓装置の第1実施形態を示した説明図である。図1において、消火栓装置10は架台11上に箱型の筐体12を設置しており、筐体12の前面右側には、下側をヒンジに上部を前方に開放自在な消火栓扉14が設けられている。消火栓扉14の内部には、後の説明で明らかにするように、ノズル式ホースを内巻き状態で収納したホース収納部とバルブ収納部が設けられている。消火栓扉14はハンドル28を引くことでラッチを解除して開くことができる。
【0016】
筐体12の左側には消火器扉18が設けられ、ハンドル20を操作することで扉を横に開いて、内部の消火器を取り出すことができる。消火栓扉14と消火器扉18の間には操作表示部16が設けられる。操作表示部16には、赤色表示灯22、手動発信機24及び応答ランプ26が設けられている。本実施形態の消火栓装置10を設置したトンネル内での火災事故の際には、手動発信機24の釦操作により監視室などに異常を通報することができ、火災通報が行われると応答ランプ26が点灯する。
【0017】
図2は図1の第1実施形態に続いて消火栓扉を外して内部構造を示した説明図である。図2において、消火栓装置10の筐体12の中央内部にはホース収納部30が形成され、その右側にバルブ類収納部32が形成されている。
【0018】
ホース収納部30には、前方に開口したリール34が回転軸部36により筐体12に対し回転自在に取り付けられている。リール34の筐体内壁面側には回転固定部38が例えば3箇所に設けられている。
【0019】
回転固定部38としては、リール34側に設けている固定片をボルトなどにより筐体12側にねじ込み固定し、ボルトを外すことでリール34の回転を可能とする。即ち回転固定部38は、リール34を固定する固定位置と、リール34の回転を可能とする回転位置とに、ボルトなどの着脱により切り替える構造を有する。
【0020】
またホース収納部30を構成するリール34の右側のバルブ類収納部32側からの配管55と、リール34に内巻きしているホース1次接続部との間には、配管着脱部40が設けられている。
【0021】
配管着脱部40はホース1次接続部に対し配管55を接続する装着位置と、ホース1次接続部から配管55を切り離す離脱位置とに切り替える構造を有する。この配管着脱部40により配管55を接続した状態で、リール34は回転固定部38により固定位置に置かれ、一方、回転固定部38を回転位置に切り替える際には配管着脱部40を離脱位置として配管55との接続を切り離す。この配管着脱部40による配管55のリール34側への着脱は、回転固定部38の場合と同様、取扱者の操作により行われる。
【0022】
リール34に対する配管着脱部40側のホース1次接続部に対してはホース44の一端が接続されており、この状態でホース44はリール34の開口部から巻き込まれて内巻き状態に保持されている。
【0023】
リール34は開口側にリング状の鍔部を形成しており、この鍔部には一定間隔で切欠42が設けられている。切欠42は、リール34を回すために手を掛ける回転操作部として設けられている。なお回転操作部としては、切欠42に代え、リール34の開口側外周部に手摺などを設けるようにしてもよい。
【0024】
ホース収納部30の右側のバルブ類収納部32には、給水接続口50に続いて、消火栓弁54、自動排水弁56及び自動調圧弁58が設けられ、自動調圧弁58の2次側を配管55から配管着脱部40を介して、リール34に内巻きしているホース44の1次接続部に接続している。
【0025】
消火栓弁54は、消火栓扉の内側に設けている後の説明で明らかにする消火栓弁開閉レバーとワイヤー接続されており、レバー操作に従って弁の開閉を行うことができる。自動排水弁56は、通常時にあっては2次側を排水するようにしている。自動調圧弁58は、放水時にホース44側からの放水圧力を規定圧に自動調整する。
【0026】
図3は図1の第1実施形態について消火栓扉を開放した状態で内部構造を示した平面断面図である。図3において、消火栓扉14は筐体12に対し下側のヒンジにより開閉自在に取り付けられており、筐体12との間には緩衝用ダンパ62が設けられ、消火栓扉14を滑らかに開放できるようにしている。
【0027】
筐体12のホース収納部30には、回転軸部36により回転自在にリール34が取り付けられており、リール34の内部にはホース44が内巻き状態で収納されており、ホース44の2次側に接続したノズル46がリール34の開口部から取り出され、消火栓扉14側に設けている下向きU字型のホースガイド48を通して、扉内部のノズルホルダに装着されている。
【0028】
消火栓扉14の内側の右側部分には消火栓弁開閉レバー60が設けられ、消火栓弁開閉レバー60を手前に操作することで、ワイヤーで連結された図2の消火栓弁54を放水位置に切り替えることができる。このとき、図示しないレバーの下部に設けているポンプ起動用の連動スイッチがオンし、消火ポンプ設備のポンプ起動を行うようになる。
【0029】
ノズル46からの放水を停止したい場合には、消火栓弁開閉レバー60を図示の初期位置に戻す。この初期位置への戻しにより、ワイヤー連結されている消火栓弁54の給水が停止される。同時に、レバー下部の図示しない連動スイッチがオフとなって消火ポンプ設備を停止できる状態となる。
【0030】
図4は図1の第1実施形態で消火栓扉を開放した状態での側面図であり、前方に下側をヒンジとして開放した消火栓扉14の上部には下向きU字型のホースガイド48が起立しており、その中を通って、図3に示したようにノズル46を装着したホース44が引き出されている。また図4にあっては、消火栓弁開閉レバー60を手前に操作して放水位置に切り替えた状態を示している。
【0031】
図5は図1の第1実施形態におけるリールの回転軸部の構造を取り出して示した断面図である。図5において、回転軸部36は一端にフランジを形成し、他端にねじ部を形成した軸部材36aを有し、軸部材36aに対し固定プレート36dを嵌め入れた後に、間にスラスト針状ころ36cを入れてリール34を嵌め入れ、続いてスラスト針状コロ36cを介して止めリング36bをねじ込んで固定し、これにより軸部材36aに対しリール34側を回転自在に取り付けている。
【0032】
固定プレート36dの背後には取付ホイール36eがボルトにより固定され、取付ホイール36eを筐体12の背面側にボルト36fにより固定し、これによってリール34を筐体12に対し回転自在に取り付けている。
【0033】
このような回転軸部36の構造にあっては、前方に開放した図2に示したリール34を、リール34の筐体背面側の円盤部分の片持ち支持で回転自在に取り付けており、リール34のプレート部分を回転自在に支持する構造として、回転軸部36にリング状に配置している複数のスラスト針状コロ36cによる挟込み支持で回転自在として支持しているため、片持ち構造であっても、面ブレを起こすことなく滑らかにリール34をバランスよく回転させることができる。
【0034】
次に図1〜図5に示した第1実施形態におけるホースの巻戻し作業を説明する。まず通常の監視状態にあっては、図2に示したように、ホース収納部30に回転軸部36により回転自在に設けているリール34は、回転固定部38を回転固定位置に切り替えている。具体的には回転固定部38の固定片に対しボルトなどをねじ込んでリール34の回転を固定している。同時に配管着脱部40によりバルブ類収納部32側からの配管55をリール34側のホース1次接続部に接続する装着位置に切り替えた状態としている。
【0035】
このようなリール34の回転固定状態で本実施形態の消火栓装置10を設置しているトンネル内で火災事故が発生した場合には、図3に示すように消火栓扉14を開いた後にノズル46を取り出してホース44を引き出し、消火栓弁レバー60を図4に示すように手前に操作することで、ポンプ設備を起動して、ノズル46から消火用水を放水することになる。
【0036】
このノズル46からの放水のためにホース44を引き出す際には、リール34は回転が固定されているため、リール34が回転することなく、内巻き状態にあるホース44を十分に軽い力でホース収納部30から引き出すことができる。
【0037】
ノズル46による放水を消火栓弁レバー60を初期位置に戻すことにより停止した後は、ホース44をホース収納部30に戻す復旧作業を行うことになる。この復旧作業の際には、図2のリール34の3箇所に設けている回転固定部38によるリール34の固定を解除してリール34を回転可能にすると同時に、配管着脱部40をリール34側のホース1次接続部から取り外す。
【0038】
この状態でリール34は、作業者により自由に回すことができる。作業者は、リール34の開放側外周に形成されている切欠42に手を掛けてホース44をリール34内に送り込みながらリール34を例えば右方向に回転させることで、簡単且つ容易にリール34の内部にホース44を内巻き状態で収納することができる。
【0039】
即ち図11に示した従来の消火栓装置にあっては、ホースをホース収納部104を形成しているホースバケット112で囲まれた空間内に内部空間に沿って1方向に回転させるようにホースを順次崩さないように引き込む作業を必要としていたが、本実施形態にあっては、ホース44の引込み位置はほとんど動かす必要がなく、ホースを動かさない代わりにリール34を回すことで、ホース44のねじれを取りながら容易にリール34の中にホース44を巻き戻して内巻き状態に収納することができる。
【0040】
リール34に対するホース44の巻戻しが終了したならば、回転固定部38によりリール34を回転固定位置に切り替え、更に配管着脱部40により配管55をリール34側のホース1次接続部に接続し、このホース収納が済んだならば、消火栓扉14を図1に示すような閉鎖位置に戻すことで、消火栓装置10の復旧作業を完了する。
【0041】
図6は本発明による消火栓装置の第2実施形態を示した説明図であり、消火栓扉を外した状態で内部構造を示している。また図7は消火栓扉を開放した状態で示した平面断面図である。
【0042】
図6において、第2実施形態にあっては、筐体12のホース収納部30に、ほぼ八角形の外形を持つ回転板64を、その中心部に設けた回転軸部66により回転自在に取り付けている。
【0043】
回転板64は上下2箇所に回転固定部70を設けており、回転固定部70としては、取付片に対しボルトにより筐体12の背面部の壁面に取り付けることで回転を固定する固定位置となり、ボルトを外すことで回転盤64を回転可能とする回転位置に切り替える。
【0044】
回転盤64の外周側の直交する4箇所にはホースガード68が設けられている。ホースガード68は、回転板64の外周側から起立した後に図7に示すように先端部を扉面と平行な方向に屈曲したL字型に屈曲したフレーム部材である。このホースガード68を回転板64の4箇所に取り付けることで、4箇所の外側から回転板64の前方部分を包み込んで、ホース収納空間を画成している。
【0045】
更にホースガード68により囲まれた回転板64の前方の空間の中心部分には、中央のリング部から十字方向に取付片を延在したホースガイド72が、ホースガード68のそれぞれに対するボルトなどによる取付け固定で支持されており、ホースガード68の先端側にホース引出し用の開口を形成している。
【0046】
また回転盤64の右側のバルブ類収納部32側からの配管55と回転盤64側に設けているホース1次接続部との間には配管着脱部73が設けられている。配管着脱部73は、回転盤64を回転固定部70により固定位置に設定している際には、配管55をホース1次接続部に接続する装着位置となり、回転固定部70を外して回転位置に設定した場合には、配管55を回転盤64のホース1次接続部から切り離して離脱位置とする。
【0047】
図8は図6のホース収納部を取り出して示した説明図であり、図8(A)に正面図、図8(B)に平面図を示している。
【0048】
図8において、ホース収納部30は、ほぼ八角形の回転板64の中心部分を回転軸部66により筐体12の壁面に回転自在に取り付けており、この回転軸部66の構造は図5に示した第1実施形態と同じ構造である。
【0049】
回転板64の4箇所にはホースガード68が外周側をボルト固定により取り付けられており、ホースガード68は外周側で手前側に起立した後に中心方向に屈曲し、これによって回転盤64の前方部分にホースを収納する空間を画成している。
【0050】
更に回転板64から起立した4つのホースガード68の先端で囲まれた空間には、ホース引出し開口を形成するため、ホースガイド72がリング部に対する十字方向の取付け片のホースガード68の先端に対するボルト締めで固定配置されている。
【0051】
また回転板64の右側のホースガード68の部分にはホース1次接続部74が取り付けられており、ここにホース収納部に引き込むホースの1次側を接続し、更にホース接続部74の外部からはバルブ類収納部に設けている配管55が、図6に示した配管着脱部72により着脱自在に装着されることになる。
【0052】
この図6〜図8に示した第2実施形態にあっては、ホース収納部30の構造が回転盤64、ホースガード68及びホースガイド72の組立体として構成され、図1の第1実施形態におけるリール34に比べ構造的に簡単で、また重量的にも軽くすることができ、重量が軽ければ回転軸部70の支持構造としても強度の低いものが使用でき、全体として軽量でコスト的に安価な回転自在なホース収納部30を実現することができる。
【0053】
図9は本発明による消火栓装置の第3実施形態を示した説明図であり、消火栓扉を外して内部構造を示しており、図10は消火栓扉を開いた状態で示した平面断面図である。
【0054】
図9の第3実施形態にあっては、基本的には図6〜図8の第2実施形態と同じであり、ホース収納部30としては、図8に示したと同じ回転板64に4つのホースガード68を設けた構造であるが、ホースガード68の先端中心部に設けているホースガイド72を廃止し、このホースガイド72に代えて、図9に示すように、ホース収納部30の中心部の前方に取付部78により筐体12に固定支持する形で独立した配置としてホースガイド76を設けるようにしたことを特徴とする。
【0055】
このようにホース収納部30からホースガイド76を分離して筐体側に独立して配置することで、ホース収納部30の構造を更に簡単にして、軽量化とコスト低減を図ることができる。
【0056】
次に図6〜図8に示した第2実施形態の操作としては、通常時及びホース引出し時にあっては、回転固定部70により回転盤64を固定位置とし、且つ配管着脱部72により配管55をホース1次接続部に装着した状態としており、この状態で消火栓扉を図7のように開き、ノズル46を持って、ホース44を固定されている回転軸部66のホースガード68の内側から軽い力で引き出すことができる。
【0057】
ホースを引き出して消火した後の復旧作業の際には、回転固定部70による固定を外し、同時に配管着脱部72によりホース1次接続部を配管55側から切り離し、回転板64を回転可能とする。
【0058】
この状態で、ホース44をホースガイド72の開口を通して内部に送り込みながら回転板64を回すことで、ホース44の送り込み位置を変えることなく、回転板64を回すことで、ホースガード68の内側にホースを簡単且つ容易に巻き取ることができる。
【0059】
なお上記の実施形態にあっては、ホース収納部として図1の第1実施形態にあってはリールを使用し、また図6あるいは図9の第2実施形態及び第3実施形態にあっては回転板64にL字型に屈曲したホースガードを取り付けた籠型構造のものを使用しているが、筐体に対し回転自在な構造であれば適宜のホース収納部の構造を採用することができる。
【0060】
また、ホース収納部を構成するリールや回転板を回転位置と固定位置とに切り替える回転固定部70としても、固定片をボルトの着脱で切り替える構造以外に、適宜のワンタッチ構造による固定と回転の切替えを可能にしてもよい。
【0061】
また、配管着脱部40は、上記実施形態の位置に限らず、たとえばリール34の背後の回転軸部36まで配管55がのびて回転軸部36の内部を通ってホース44の1次側と回転自在に接続するようにしても良い。
【0062】
また、図6の第2実施形態のホースガイド72は着脱自在として、消火後のホースの復旧時はホースガイド72を取り外して図2のように前方開口部をひろくしてホースを収納させても良い。図9のホースガイド76も取付部材78から前方に倒れてホース収納を容易にしても良い。
【0063】
図6や図9のホースガイド72,76の円の内径は、図のように限らず、ホース収納部30周囲のホースガイド68の位置まで広げた径であっても良い。
また本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明による消火栓装置の第1実施形態を示した断面図
【図2】図1について消火栓扉を外して内部構造を示した説明図
【図3】図1の消火栓扉を開放した状態で内部構造を示した平面断面図
【図4】図1の消火栓扉を開放した状態で示した側面図
【図5】図1の実施形態におけるリールの回転軸部の構造を取り出して示した断面図
【図6】本発明による消火栓装置の第2実施形態を示した断面図
【図7】図6について消火栓扉を開放した状態で内部構造を示した平面断面図
【図8】図6のホース収納部を取り出して示した説明図
【図9】本発明による消火栓装置の第3実施形態を示した断面図
【図10】図9について消火栓扉を開放した状態で内部構造を示した平面断面図
【図11】従来の消火栓装置を示した説明図
【符号の説明】
【0065】
10:消火栓装置
11:架台
12:筐体
14:消火栓扉
16:操作表示部
18:消火器扉
22:赤色表示灯
24:手動発信機
26:応答ランプ
28:ハンドル
30:ホース収納部
32:バルブ類収納部
34:リール
36,66:回転軸部
36a:軸部材
36b:止めリング
36c:スラスト針状ころ
36d:固定プレート
36e:取付ホイール
36f:ボルト
38,70:回転固定部
40:配管着脱部
42:切欠
44:ホース
46:ノズル
48,72,76:ホースガイド
50:給水接続口
52:給水弁
54:消火栓弁
56:自動排水弁
58:自動調圧弁
60:消火栓弁開閉レバー
62:ショックアブソーバ
64:回転板
68:ホースガード
74:ホース1次接続部
78:取付部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
消火時に筐体からノズル付きホースを引き出して消火する消火栓装置に於いて、
前記筐体内に回転自在に取り付けられ、前記ホースを内巻きにて収納したホース収納部と、
前記ホース収納部の回転を固定する固定位置と、前記ホース収納部を回転可能とする回転位置とに切替える回転固定部と、
を備えたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項2】
請求項1記載の消火栓装置に於いて、前記ホース収納部は、
扉側に開口を備え、ホースを内巻きするリールと、
前記リールを筐体内に回転自在に支持する回転軸部と、
操作者が回転させるために前記リールに設けた切欠又は手摺などの回転操作部と、
を備えたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項3】
請求項1記載の消火栓装置に於いて、前記ホース収納部は、
円形または多角形の回転板と、
前記回転板を筐体内に回転自在に支持する回転軸部と、
前記回転板の外周側に起立されて先端を中心側に屈曲してホース収納空間を画成する複数のホースガードと、
前記複数のホースガードに固定されてホース引き出し開口を前記回転板の中央の前方位置に形成するホースガイドと、
を備えたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項4】
請求項1記載の消火栓装置に於いて、前記ホース収納部は、
円形または多角形の回転板と、
前記回転板を筐体内に回転自在に支持する回転軸部と、
前記回転板の外周側に起立されて先端を中心側に屈曲してホース収納空間を画成する複数のホースガードと、
を備え、
更に、前記ホース収納部に設けた前記回転板の中央の前方位置にホース引き出し開口を形成するホースガイドを筐体に固定配置したことを特徴とする消火栓装置。
【請求項5】
筐体内に回転自在に取り付けられ、ノズル付きホースを内巻きにて収納したホース収納部と、
前記ホース収納部の回転を固定する固定位置と、前記ホース収納部を回転可能とする回転位置とに切替える回転固定部と、
を備えた消火栓装置の操作方法に於いて、
通常時及びホース引き出し時は、前記回転固定部を固定位置に切替えて前記ホース収納部を固定し、
ホース巻き戻し時は、前記回転固定部を回転位置に切替えて前記ホース収納部を回転可能とする、
ことを特徴とする消火栓装置の操作方法。
【請求項1】
消火時に筐体からノズル付きホースを引き出して消火する消火栓装置に於いて、
前記筐体内に回転自在に取り付けられ、前記ホースを内巻きにて収納したホース収納部と、
前記ホース収納部の回転を固定する固定位置と、前記ホース収納部を回転可能とする回転位置とに切替える回転固定部と、
を備えたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項2】
請求項1記載の消火栓装置に於いて、前記ホース収納部は、
扉側に開口を備え、ホースを内巻きするリールと、
前記リールを筐体内に回転自在に支持する回転軸部と、
操作者が回転させるために前記リールに設けた切欠又は手摺などの回転操作部と、
を備えたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項3】
請求項1記載の消火栓装置に於いて、前記ホース収納部は、
円形または多角形の回転板と、
前記回転板を筐体内に回転自在に支持する回転軸部と、
前記回転板の外周側に起立されて先端を中心側に屈曲してホース収納空間を画成する複数のホースガードと、
前記複数のホースガードに固定されてホース引き出し開口を前記回転板の中央の前方位置に形成するホースガイドと、
を備えたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項4】
請求項1記載の消火栓装置に於いて、前記ホース収納部は、
円形または多角形の回転板と、
前記回転板を筐体内に回転自在に支持する回転軸部と、
前記回転板の外周側に起立されて先端を中心側に屈曲してホース収納空間を画成する複数のホースガードと、
を備え、
更に、前記ホース収納部に設けた前記回転板の中央の前方位置にホース引き出し開口を形成するホースガイドを筐体に固定配置したことを特徴とする消火栓装置。
【請求項5】
筐体内に回転自在に取り付けられ、ノズル付きホースを内巻きにて収納したホース収納部と、
前記ホース収納部の回転を固定する固定位置と、前記ホース収納部を回転可能とする回転位置とに切替える回転固定部と、
を備えた消火栓装置の操作方法に於いて、
通常時及びホース引き出し時は、前記回転固定部を固定位置に切替えて前記ホース収納部を固定し、
ホース巻き戻し時は、前記回転固定部を回転位置に切替えて前記ホース収納部を回転可能とする、
ことを特徴とする消火栓装置の操作方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−297198(P2009−297198A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−153890(P2008−153890)
【出願日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]