説明

消耗品の認証

ワイヤ結束機(18)のような機械に取り付けられる、ワイヤスプール(2)のような、消耗材用の容器は、容器を識別する第1表示手段(6)および第2表示手段(12)を備え、表示手段の1つ(6)は容器から分離できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対応する機械に取り付けたときの消耗品品目の真正を確認する方法及び手段に関するものである。本書で開示される原理の限定されるものではない、1つの特定の用途として、ワイヤ結束機のワイヤスプールがある。
【背景技術】
【0002】
機械の所有者が最初の機械の供給者以外の企業あるいは最初の機械の供給者から認可された企業から供給される消耗材である、真正でない消耗材を使うことを防止するという問題は、多くのさまざまな分野で知られている問題である。そのような真正でない消耗品品目を防止しようとするには多くの正当な理由がある。そのような「アフターマーケット」消耗品は真正の代替品より低品質であることが多いので、真正でない消耗品を用いると機械への損傷や機械により達成される品質が低くなるリスクを高めることが多い。消耗品の販売からの継続的収入は、機械の初期開発コストを取り戻すのに、および/または、さらなる開発資金を供給するのに重要な要素でもある。
【0003】
消耗品の認証に関して、たとえば機械がユーザに取るべきリスクを警告すること、あるいは、機械の運転を完全に停止することをする多くの試みがなされてきた。しかし、本出願人は、純正のあるいは真正の消耗品容器に消耗品を再充填あるいは再取付けして再利用するある種の消耗品の特定の問題を認識している。このことは、このような再充填あるいは再取付けが必ずしも適正な器具で行われないので、損傷や品質低下を受けるさらに大きなリスクを潜在的に生ずる。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、前記の問題に取り組むことにあり、第1の態様で見ると、本発明は機械に取り付けられる消耗材用容器を提供し、当該容器は容器を識別するための第1表示手段および第2表示手段を備え、表示手段のうちの一つは容器から分離できる。
【0005】
本発明は、消耗材用容器を受け入れる機械にも広げられ、当該機械は、容器の第1表示手段および第2表示手段により提供されるそれぞれの識別を検出するための第1検出手段および第2検出手段を備え、第1検出手段および第2検出手段は、容器の表示手段のうちの1つが機械で検出されるより前にその表示手段が容器から分離されなければならないように構成される。
【0006】
よって、本発明が、容器の2つの別々の識別子両方共に機械で読み取られるために分離しなければならない識別子を備える、消耗材容器と対応する機械とを提供することは、当業者にとって明らかである。このことは、容器から消耗材がなくなると、第2検出手段(識別手段)が一旦離れると多くの場合再度取り付け再充填しその後に再利用する工程で最初の容器と取り外された検出手段とを一緒にしておくことが難しいので、再度取り付け再利用することは実際的ではないということを意味する。
【0007】
第1検出手段(識別手段)および第2検出手段で提供される識別は、それらを比較することが単に必要となるように、互いに同じものであってもよい。しかし、好ましい実施の形態では、第1検出手段および第2検出手段で提供される識別は異なり、互いにどのように関係するのかの情報が必要となる。このことにより、その関係を秘密として、適切に関係された識別子を有する真正でない容器を製造することをより難しくするので、セキュリティのレベルをさらに高くする。その関係は、検索表で簡単に定義することができ、機械に記憶しても、リモートデータとのリンクを通じて遠隔に問合せをしてもよい。しかしながら、2つの識別は所定のアルゴリズムで関係付けられるのが好ましい。この方が簡単であり、潜在的に無数の識別が可能となる。たとえば、識別が数字の場合、アルゴリズムは数学的関係を備えてもよい。
【0008】
検出手段はどんな使いやすい形態をとってもよい。いくつかの限定的例を挙げると、バーコード、文字や数字の組合せ、磁場、凹凸造作で形作られたエッジ輪郭(たとえば、鍵のようなもの)、などでよい。このことから、検出手段の精密な形態は本発明にとって本質的ではないことが分かる。同様に、2つの検出手段が互いに同じである必要もない。現在のところ好ましい実施の形態では、容器の検出手段の少なくとも1つ、好ましくは両方とも、周知のような無線周波数識別(RFID)受信機を備える。
【0009】
出願人は、事実上ユーザが実施することを止めるように言われている再充填や再取付けの工程で、識別子が空の容器から一旦取り外されているのに、空の容器とそれに対応する識別子を一緒にしておくことは産業情勢からして充分に実際的ではないと考えている。しかし、出願人は、必要なときには容器の再充填や再取付けを防ぐために追加の手段が講じられてもよいと考える。考えているいくつかの実施の形態では、たとえば、ある時点で、すなわち、所定の条件が満たされたとき、たとえば、空の容器が機械から取り除かれたとき、あるいは、容器が機械または容器自身によって空であると定義されたとき、検出手段のどちらか一方を変更し、消去し、あるいは無効にしてもよい。このことにより、取り外された検出手段を容器と一緒にしておいても、容器の再充填や再取付けを防止できることが分かるであろう。もちろん、この機能は、容器あるいは取り外された検出手段のある部分から識別子を取り外しあるいは追加することにより達成できる。
【0010】
このような構成はそれ自体で新規であり進歩性があると考えられ、第2の態様で見ると、本発明は消耗材用容器を受け入れる機械を提供し、機械は容器の表示手段により提供される識別子を検出する検出手段を備え、所定の条件が見たされたときに機械は表示手段を無効にする手段をさらに備える。
【0011】
ある実施の形態では、所定の条件には、容器を機械から取り外すことが含まれる。別の実施の形態では、所定の条件には、容器が空になることが含まれる。これは、機械によって、あるいは容器自身によって、判定される。
【0012】
検出手段を無効にする手段は、検出手段を変更しあるいは消去するように構成されてもよい。
【0013】
本発明の前記の態様に従っていれば、検出手段はどんな使いやすい形態をとってもよい。いくつかの限定的例を挙げると、バーコード、文字や数字の組合せ、磁場、凹凸造作で形作られたエッジ輪郭(たとえば、鍵のようなもの)、などでよい。このことから、検出手段の精密な形態は本発明にとって本質的ではないことが分かる。
【0014】
容器は、本発明の第1の態様に従うのが、すなわち、2つの検出手段が提供されてその内の1つが取り外されるのが、好ましい。
【0015】
分離できる検出手段は、ユーザが簡単に折って外せる弱い線で容器の残りの部分に連結されたタブに供給されるのが好ましい。そして、対応する機械は、取り外されたタブを受け入れる、スロットのような対応する開口を有する。
【0016】
両方の検出手段が検出されないとき、あるいは、2つの検出手段により提供される識別が同じ容器に対応しないときに、機械は、ユーザに単に警告するように構成される。しかし、好ましい実施の形態では、機械は、そのような状況では運転を防止するように構成される。
【0017】
これまで説明したように、本発明は一般的に機械用の消耗材の多くに適用される。考えられるいくつかの用途の例には、コンピュータプリンタ用インクカートリッジ、飲料自動販売機用カートリッジ、吸入器用ガス/粉末カートリッジ、血液製剤、あるいは、消耗品が機械で用いられる他のいかなる用途が含まれる。
【0018】
しかし、考えられるもう一つの特定の用途として、ワイヤ結束機用のワイヤのスプールの分野がある。よって少なくともいくつかの実施の形態では、容器はスプールの形態であり、そこにワイヤが巻かれる、または、巻くことができる。対応する機械はワイヤ結束機であり、ワイヤ結束機は、長いワイヤを1つあるいは複数の物の周りにその末端を一緒にねじることにより自動的に結束するのに用いられる。そのような機械において、結束機の信頼性のある運転を確保するのに、正しい種類、サイズ、張力のワイヤを使用することを確保することは非常に重要である。実際、ワイヤの表面あるいはコーティングが正しい摩擦特性を有することを確保することが必要なことさえある。上述の本発明を用いることにより、スプールのユーザが、不適切なワイヤを用いてあるいは不適切な方法でスプールを再巻取りすることを効果的に防止する。
【0019】
さらなる態様から見ると、本発明は機械に取り付けられるワイヤ用スプールを提供し、そのスプールは、スプールを識別する第1表示手段および第2表示手段を備え、表示手段の内の1つはスプールから分離される。
【0020】
本発明はワイヤスプールを受け入れるワイヤ結束機にも広げられ、ワイヤ結束機は、スプールの第1表示手段および第2表示手段により提供されるそれぞれの識別を検出する第1検出手段および第2検出手段を備え、第1検出手段および第2検出手段は、スプールの表示手段の内の1つが機械で検出されるより前にその表示手段がスプールから分離されなければならないように構成される。
【0021】
本発明の特定の好ましい実施の形態を、例示として、添付の図面を参照して、説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明を具体化するワイヤスプールの平面図と端部立面図を示す。
【図2】図2は、ワイヤを巻いた図1のスプールの斜視図を示す。
【図3】図3は、図2のスプールが取り付けられた後のワイヤ結束機を示す。
【図4】図4は、スプールから分離され機械の中に挿入されたタブを示す部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、ワイヤ結束機で用いられるワイヤが周りに巻かれるスプール2を示す。スプール2は、広く一般的な形状と構造を有し、典型的にはプラスチックで成型される。しかし、スプールの上部フランジ4は、いくつかの新規な特徴を示す。第1に、タブ6がフランジ4のある領域に一連の細長いスロットにより画定され、3つのウェブ部8でフランジの残りの部分に結合されたままである。タブがスプールから折り取られさえすれば、すなわち永久に取り外されさえすれば、タブの詳細な結合は重要ではない。タブ6は浮き彫りにされたコード10をその面に有する。しかし、タブ6は、このコードあるいはそれから派生したもののいずれかを有する埋め込まれたRFIDチップをも含む。
【0024】
一方、上部フランジ4は第2の浮き彫りにされたコード12と、第2のコード12あるいはそれから派生したものを有する第2RFIDチップとを有する。上部フランジ4には、タブを折り取るための方向が浮き彫りにされている。
【0025】
2つのコード10、12は、互いにいかなる直接的な関係がないように見える。しかし、それらが同じスプールに属していたことをチェックするのに比較できるように1つを他の方に変換するアルゴリズムの形式で(逆方向にできる必要はないが)、それらの間には所定の関係がある。
【0026】
図2は、ワイヤ14が巻かれたスプール2を示す。図3では、スプール2がワイヤ結束機18のスプール区画16に取り付けられて示される。スプールが見えるように、区画カバー20が開けたままで示される。これから、スプールの挿入前に、タブ6が折り取られ、下のワイヤが曝されることが分かる。図4の差込図に示されるように、タブ6がスプール2から分離されて、機械18の後部の適切なスロット22にはめ込まれる。
【0027】
スプール区画16とタブスロット22は共に、スプールとタブそれぞれに埋め込まれたRFIDチップのコードを読む、きわめて短距離のRFID送信機(質問機)を含む。そして、それらは機械のマイクロプロセッサあるいはASIC(不図示)と通信し、マイクロプロセッサあるいはASICはコードに所定のアルゴリズムを適用して、コードが適合するかを判定する。タブ6が機械のスプール区画16に現在取り付けられているスプール2に由来しさえすれば、これらのコードは適合し、制御エレクトロニクスは機械が通常運転することを許可する。コードが適合しなかったり、両方のコードが得られないときには、たとえば、真正でないスプールが取り付けられたりスプールが再巻取りされたりして最初のタブを有していなかったときには、エラーLED24あるいは警告LED26が点灯する。その後は、機械は全く動かないか、あるいは、たとえば低速で運転して、低品質のワイヤや巻き方が正しくないスプールから生ずる損傷リスクを最小とする。
【0028】
あまり実際的ではないが、上記の保護システムは、スプールが再巻取りされるが、スプール2とその最初のタブ6とを一緒にしておくことにより理論的には打ち破られる。しかし、このことも、検出手段の、すなわちスプールあるいはタブ6のRFIDチップのどちらか一方を変更しあるいは動かなくするように機械を構成することだけで防止することができる。このことは、コードが最初に読まれた後あるいはスプールが空になったことが検出されてからである(後者では、いかなる理由でも必要ならば、使用中にスプールを取り外し、再取付けすることができる)。もう一つの代替として、機械が、適切な不揮発性メモリで読み取られたスプール、タブの詳細を記憶し、既に確認されたコードを拒絶することである。
【0029】
本発明のワイヤスプールへの使用が示されたが、たとえば、2つだけを挙げると、芝刈り機用プラスチックワイヤのスプールやプリンタのインクまたはトナーカートリッジなど、どんな様式の消耗品にも広げられる。
【図1A】

【図1B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械に取り付けられる消耗材用容器であって:
前記容器を識別するための第1表示手段と第2表示手段とを備え;
前記表示手段の1つは前記容器から分離される;
消耗材用容器
【請求項2】
消耗材用容器を受け入れる機械であって:
前記容器の第1表示手段および第2表示手段により提供されるそれぞれの識別を検出する第1検出手段と第2検出手段とを備え;
前記第1検出手段と第2検出手段とは、前記容器の前記表示手段の1つが、前記機械により検出される前に、前記表示手段が前記容器から分離されなければならないように構成された;
機械。
【請求項3】
第1検出手段と第2検出手段とで提供された前記識別が異なっている;
請求項1の容器または請求項2の機械。
【請求項4】
前記2つの識別が所定のアルゴリズムで関係付けられる;
請求項3の容器または機械。
【請求項5】
前記容器の前記検出手段の少なくとも1つは無線周波数識別を備える;
請求項1ないし請求項4の容器または機械。
【請求項6】
前記分離できる検出手段が、弱部の線で容器の残りの部分に接続されるタブに提供される;
請求項1ないし請求項5の容器または機械。
【請求項7】
前記容器は、ワイヤが巻かれる、あるいは、巻くことができるスプールの形態である;
請求項1ないし請求項6の容器または機械。
【請求項8】
所定の条件が満たされると前記検出手段の1つを無効にするように構成された;
請求項2ないし請求項7の機械。
【請求項9】
消耗材用容器を受け入れる機械であって:
容器の表示手段により提供される識別を検出する検出手段を備え;
所定の条件が満たされると前記表示手段を無効にする手段をさらに備える;
機械。
【請求項10】
前記所定の条件は、前記機械から前記容器が取り外されることを含む;
請求項8または請求項9の機械。
【請求項11】
前記所定の条件は、前記容器が空になることを含む;
請求項8または請求項9の機械。
【請求項12】
両方の検出手段が検出されないと、あるいは、2つの検出手段により提供される識別が同じ容器に対応しないと、運転を防止するように構成された;
請求項2ないし請求項11の機械。
【請求項13】
機械に取り付けられるワイヤ用スプールであって:
前記スプールを識別するための第1表示手段と第2表示手段とを備え;
前記表示手段の1つは前記スプールから分離される;
スプール。
【請求項14】
ワイヤスプールを受け入れるワイヤ結束機であって;
前記スプールの第1表示手段および第2表示手段により提供されるそれぞれの識別を検出する第1検出手段と第2検出手段とを備え;
前記第1検出手段と第2検出手段とは、前記スプールの前記検出手段の1つが、前記ワイヤ結束機により検出される前に前記スプールから分離されなければならないように構成された;
ワイヤ結束機。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−521376(P2010−521376A)
【公表日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533945(P2009−533945)
【出願日】平成19年10月29日(2007.10.29)
【国際出願番号】PCT/GB2007/004102
【国際公開番号】WO2008/050143
【国際公開日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(509120702)タイマティック・リミテッド (4)
【Fターム(参考)】