説明

液中磨砕装置、液中磨砕システム、及び、液中磨砕方法

【課題】 特に豆乳・豆腐製造等において、消泡剤を必要以上に用いる必要がなく、さらには無消泡剤化(有機農産物加工食品規格対応への一部)にも対応し易く、豆乳や豆腐の風味や保存性を改善する。
【解決手段】 固体原料6と液体原料8が投入供給されるホッパー5と、固体原料6を液体原料8とともに磨砕部において磨砕する磨砕室12備え、前記ホッパー5と磨砕室12の間に、かつ、液面下に制流手段S,107が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば穀物や医薬原料等の固体原料を液中磨砕装置によって粉砕・磨砕する際に使用される液中磨砕装置に関するものであり、特に、空気の混入を防ぐための液中磨砕装置に関する。さらには、固形原料と液体原料を長時間安定して供給し、排出する装置を備えた液中磨砕システム、液中磨砕方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、水漬けした大豆に挽き水を加えながら磨砕してゴ液にして、豆乳や豆腐をつくる伝統的な製法では、そのゴ液に空気が混入しており、その後の煮沸において吹きこぼれを起こしたり、ムラ煮えの原因になるため、消泡剤を使用してそれを防止している。余計な食品添加物の使用は消費者に敬遠されるばかりでなく、生産者にとっても利益を圧迫している面もある。消泡剤はこのように磨砕時に混入する泡を消すために、食品業界に限らず、広く使用されている。
【0003】
このような状況から、大豆等の固体原料を粉砕、あるいは磨砕する磨砕装置の改良がなされ、特許文献1や特許文献2には、空気を混入しない密封容器内で穀物や豆類を微粉砕するポンプミルが開示されている。特許文献3には、真空又は嫌気性ガス雰囲気中における液中磨砕方法が開示されている。特許文献4や特許文献5には浸漬大豆を無酸素雰囲気下(水中磨砕)で磨砕する方法が開示されている。特に特許文献5には水中磨砕方法(装置)として磨砕機の前後に定量ポンプを連結する方法が開示されている。特許文献6には定量ポンプで磨砕機に押し込む方法の開示がなされている。
【特許文献1】実開昭51−74864号公報
【特許文献2】実開昭50−53481号公報
【特許文献3】特開平3−16656号公報
【特許文献4】特開昭48−28656号公報
【特許文献5】特開昭52−154545号公報
【特許文献6】実公平6−42474号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来、考案されていた液中粉砕法では、大がかりで高価な設備と広い設置スペースが必要であり、複数の容積式ポンプ等の高額な付帯設備費用が必要である。また後工程でデアレータ処理を行うこともなされていた。また、従来の方法はいずれも固形原料と液体原料を圧入する技術思想で行われており、液体原料の割合が高まると、粉砕状態が粗くなったり、磨砕機における負担が大きく、必要以上に高馬力のモータを必要として、その分、余分なエネルギーを使用し、原料の発熱劣化による製品品質低下も起き得た。また高濃度の固形原料(例えば液体原料と1:1)では特に長時間の運転中に、固形原料が閉塞するなどの運転上のトラブルに繋がりやすかった。そのため、現状、液中磨砕はあまり普及していない。
【0005】
特に、液体原料が固体原料に対して少ない場合、液体原料だけが先に通過しやすく、固体原料と液体原料をバランスよく1回の通過で連続磨砕することは、処理能力や濃度(固体原料と液体原料の比率)の調整範囲が狭く、安定させることは非常に難しい。そのため従来は、1バッチ毎に循環磨砕処理を断続するバッチ連続処理を行うか、数回繰り返し粉砕を行い磨砕する処理しかないのが実情であった。
【0006】
本発明は、これらの問題点を解消し市場のニーズに応えることを目的に提案されたものであり、従来通りの原料や設備を用いることができ、最小限の初期投資で安定した連続運転と製品の高品質化を実現することが可能な液中磨砕装置、液中磨砕システム、及び、液中磨砕方法を提供することを目的とする。また、本発明は、特に豆乳・豆腐製造等において、消泡剤を必要以上に用いる必要がなく、さらには無消泡剤化によって有機農産物加工食品規格への対応も容易になる。豆乳や豆腐の風味や保存性を改善することが可能で、しかも、磨砕機のような連続的で激しい旋回流の液体中に、空気を混入させずに固形原料を混入させるいかなる場合にも適用できる液中磨砕装置、液中磨砕システム、及び、液中磨砕方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、液中磨砕装置を連続運転するに当たり、固体原料を詰まらせることなく、液体原料とバランスよく供給でき、長時間安定した運転が可能である、安価な供給システムについて追究した結果、特に液中磨砕装置の供給口において固体原料と液体原料の制流を行うことが有効で、十分に空気を噛まない、長時間の連続運転が可能であることを見出し、本願の発明を完成するに至った。また、本発明では泡発生の主たる原因が磨砕工程にあることを重視し、従来の液中磨砕方法の問題(長時間の連続運転不安定、高濃度磨砕が困難、装置が高価等)を解決するに至った。
【0008】
このような知見に基づいて完成されたのが請求項1記載の発明である。すなわち、本願請求項1記載の発明は、固体原料と液体原料が投入供給されるホッパーと、固体原料を液体原料とともに磨砕部において磨砕する磨砕室を備え、前記ホッパーと磨砕室の間に、かつ液面下に制流手段が設けられていることを特徴とする。また、本発明は、固体原料を液体原料とともに磨砕室内の磨砕部において磨砕し、スラリー状とするに際し、ホッパーから供給される固体原料及び液体原料を制流しながら磨砕室内に供給するとともに、前記液体原料の液位が前記磨砕室内を満たし、且つ前記ホッパーの少なくとも一部を満たすように設定し、前記磨砕を行うことを特徴とする。なお、液中磨砕装置の排出側は開放状態で落差によってバランスタンクに受けてもよい。
【0009】
前記請求項に係る本発明の液中磨砕装置では、液中において固体原料の磨砕が行われる。したがって、磨砕された固体原料と液体原料の混合スラリー(磨砕物)が空気を抱き込むことがない。ここで特に、制流手段をホッパーと磨砕室の間に設けることにより、磨砕部の回転によって発生する渦が遮断され、一定レベルまで原料が満たされているホッパー内における渦の発生が防止される。その結果、空気(泡)を噛み込む現象が回避され、消泡剤やエネルギー消費を軽減できる。
【0010】
また、前記制流手段としては、1枚〜複数の平板を設ける手段、2枚の平板を十字に組み合わせた渦巻き防止器を設ける手段等の特別な可動部等がなくても構成でき、固体原料が磨砕室に供給される前に粗粉砕されることもない。また磨砕機は基本的に1連(1ユニットに1台)で構成するシステムである。
【0011】
本発明の液中磨砕装置用の制流手段は、比較的簡易な構成要素の追加で済むことから、設備投資は僅かなもので済む。また、広い設置スペースや高額な付帯設備は不要である。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の液中磨砕装置に設けられる前記制流手段が、液中磨砕装置の供給口付近に、1枚〜複数の平板を設ける手段、2枚の平板を十字に組み合わせた渦巻き防止器を設ける手段、配管内に螺旋を設ける手段、配管を蛇行させる手段、又は、ホッパーから供給口に至る部分を固体原料が十分通過できる程度に狭く構成する手段のいずれかであることを特徴とする。本発明における静的制流手段(非可動式)をホッパーと磨砕室の間に設けることにより、磨砕部の回転によって発生する渦が遮断(制流)され、一定レベルまで原料が満たされているホッパー内における渦の発生が防止され、空気(泡)を噛み込む現象が回避されるとともに、固形原料が比較的スムースに磨砕室に供給され、消泡剤やエネルギー消費を軽減できる。なお本発明のように可動部等がない制流手段では、比較的簡易な構成要素の追加で済むことから、設備投資は軽減できる(図9〜13の各(a)(b)参照)。
【0013】
請求項3記載の発明は 請求項1記載の液中磨砕装置に設けられる前記制流手段が、液中磨砕装置の供給口付近に、流路を拡大する形状を有するものであり、その中央付近に配置された分流体に前記拡大された流路を仕切る形で複数の羽根が取り付けられていることを特徴とする。本発明では、静的制流手段(固定形)をホッパーと磨砕室の間に設けることにより、磨砕室の回転流によって発生する渦が遮断(制流)され、一定レベルまで原料が満たされているホッパー内における渦の発生が防止される。その結果、特に固形原料がスムースに磨砕室に供給され、空気(泡)を噛み込む現象が回避され、消泡剤やエネルギー消費を軽減できる。なお本発明のように可動部等がない制流手段では、比較的簡易な構成要素の追加で済むことから、設備投資は軽減できる(図19、20(a)〜(c)、図21、図22、図14、図16、図47参照)。
【0014】
請求項4記載の発明は請求項1記載の液中磨砕装置に設けられる前記制流手段が、少なくとも一つの羽根車により、ホッパーから供給される固体原料を磨砕室に供給することを特徴とする。該羽根車は1軸回転羽根、2軸回転羽根、またはスクリュー螺旋羽根などが上げられる。本発明では、動的制流手段(可動形)をホッパーと磨砕室の間に設けることにより、磨砕室の回転流によって発生する渦が遮断(制流)され、一定レベルまで原料が満たされているホッパー内における渦の発生が防止され、空気(泡)を噛み込む現象が回避されるとともに、特に固形原料が極めてスムースに磨砕室に供給され、消泡剤やエネルギー消費を軽減できる。なお本発明のように可動部がある制流手段では、固形原料の供給が正確になり、磨砕物の濃度が安定する。若干の構成要素は増えるが、依然、従来技術に比べれば、設備投資は軽減できる。なお、スクリュー螺旋羽根の場合固形原料を押し込むように回転し、磨砕機の回転方向とは逆であった方が効果的である。(図1〜図5、図15、図18、図23、図26〜図46参照)
【0015】
請求項5記載の発明は請求項1記載の液中磨砕装置に設けられる前記制流手段が、少なくとも一つの送りロールを有する送り手段を備えるか、又は、少なくとも対向する一対の送りロールを有する送り手段を備えるか、更に、これらのロールの外周に溝が形成されて、ホッパーから供給される固体原料を磨砕室に供給することを特徴とする。本発明によるロールである動的制流手段(可動形)をホッパーと磨砕室の間に設けることにより、磨砕室の回転流によって発生する渦が遮断(制流)され、一定レベルまで原料が満たされているホッパー内における渦の発生が防止され、空気(泡)を噛み込む現象が回避されるとともに、特に固形原料が極めてスムースに均一に磨砕室に供給され、消泡剤やエネルギー消費を軽減できる。また、ロールには固形原料をつかみやく、定量的な送り込み 効果が得られるように、その表面状態(凹凸状態、軸方向と平行な溝や回転方向の溝、軸に対して斜めや螺旋状の溝、滑り止めや高摩擦機能の有する材料を用いてもよい。)であることが望ましい。更にロールの外周の回転方向に沿うように溝が形成されていることにより、水(液体原料)の通り抜けを良くし、大豆(固体原料)だけを磨砕室側に移動させる。なお本発明のように可動部がある制流手段では、固形原料の供給が正確になり、磨砕物の濃度が安定する。若干の構成要素は増えるが、依然、従来技術に比べれば、設備投資は軽減できる(図15、図24、図26、図28、図29、図31〜33、図34(a)〜(d)、図36〜41、図48参照)。
【0016】
請求項6記載の発明は制流手段を有する請求項1〜5記載の液中磨砕装置の排出口に設けられる、磨砕物を送液する送液制御手段を有していることを特徴とする。
本発明では、磨砕装置の排出口に磨砕物の流量や内圧を制御する手段を設けることによって、磨砕室から、前記制流手段を含む、前記ホッパー内の一部までの間に、液体原料(または固形原料)で満たして、気密性を保持しつつ液中磨砕を維持することができる。
【0017】
請求項7記載の発明は制流手段を有する請求項6記載の液中磨砕装置であってその排出口に送液制御手段を有している磨砕装置において、その送液制御手段が、バルブ、背圧弁、自動調節弁のうち少なくとも1つの送液抑制手段であるか、または、定量ポンプ(容積式ポンプ)、遠心式ポンプ、磨砕機回転駆動部材に羽根等を取付けて加圧機能を付与した手段、減圧吸引手段のうち少なくとも1つの送液促進手段を組み合わせた手段の、いずれかであることを特徴とする。本発明では、前項の通り、気密性を保持しつつ液中磨砕を維持できる上、磨砕機の吐出圧がある場合、抑制手段だけでもよく、また、下記のように抑制手段と促進手段を組み合わせてもよい。
【0018】
ここで、送液抑制手段は、手動バルブ(ボールコック、バタフライ弁等)の他、バネを利用した背圧弁や空気圧駆動による自動調整弁などのバルブ類、チャッキ弁、オリフィスなど配管内抵抗の発生する機構であり、いずれか1つ、または2つ以上併用することも特に限定しない。なおサイホン式も抑制・促進手段の両機能を備えて、簡易な方法で利用できる(図8、図37、図38参照)。送液促進手段は、定量ポンプ(容積式ポンプ)、遠心式ポンプ、磨砕機回転駆動部材(例えば回転砥石の円形ベース金属の外周に複数の羽根を溶接取付した形態)に羽根や溝等を設けて加圧機能を付与した手段、減圧吸引手段(デアレータ、真空ポンプ、ブロア、エジェクター等)のうち少なくとも1つの送液促進手段を組み合わせた手段のいずれか1つ、または2つ以上併用することも特に限定しない。また前記抑制手段と任意に組み合わせてもよい。ただし定量ポンプ(容積式ポンプ:ロータリーポンプ、モーノポンプ、チュービングポンプ、ベーンポンプ、ギヤポンプ)との組み合わせは運転中は完全閉塞しないよう制御することはポンプの損傷を避けるため必要である。なお定量ポンプは停止すると密閉性が比較的高いので、抑制手段としても活用することもできる。なお前記磨砕機回転駆動部材はそれ自身回転遠心力があり、磨砕物をある程度吐出する機能があるので、それ加えて抑制手段として、排出口に設けた背圧弁等を設けたりしてもよく、極めて安価なシステムを構築できる。なお本発明のように磨砕機出口に流量制御手段を設けることによって、液中磨砕を実現しやすくなり、能力や磨砕粒度の安定性も向上する。また定量ポンプ等を排出口に連結し、粉砕物を吸い出す(又は粉砕物の吐出を抑える)ように設置しても構わない。すなわち、流体を制御できるバルブであれば特に限定されない(図1、図2、図4、図5、図16、図17、図18、図21、図22、図26、図36、図39、図409、図41〜47参照)。
【0019】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7記載の液中磨砕装置において固体原料と液体原料を投入するホッパー内の前記原料のレベルを液位センサによって検知し、前記磨砕装置の排出口以降に設けられた送液制御手段によって一定に指示調節することを特徴とする。本発明によれば、固形原料の状態や供給量など微小な負荷変動による処理能力の変化によって、液体原料が先走り、固形原料が磨砕機に詰まって、一時的に閉塞したり、運転中断になることを防止できる((図2、図5、図15、図16、図17、図18、図22、図40参照)。
【0020】
請求項9に記載の発明は、前記磨砕装置における液体原料や固体原料の流量を、各原料計量手段によって検知し、または磨砕物の流量を、前記磨砕装置の排出口以降に設けられた流量計で検知し、前記磨砕装置の排出口以降に設けられた送液制御手段によって、一定に調節することを特徴とする。また、本発明によれば、液体原料や固形原料のそれぞれについて、流量計や重量計等によって流量を検知して前記送液制御手段により、液体原料と固形原料の流量を一定にすることができる。また、前記磨砕装置の排出口以降に設けられた流量計で磨砕物の流量を検知して、前記磨砕装置の排出口以降に設けられた送液制御手段によって、一定に調節することを特徴とする。(図14、図21、図39参照)。
【0021】
請求項10に記載の発明は、請求項1〜7、8記載の磨砕装置であって液体原料や固体原料を投入するホッパー内の前記原料のレベルを液位センサによって検知し、前記磨砕装置の回転磨砕部材の回転数を制御することによって、一定に調節することを特徴とする。本発明によれば、固形原料の状態や供給量など負荷の大小や要求される品質によって磨砕機の回転数を変更したり、ホッパー内の液位の調節手段として、他の手段(例えば請求項7や請求項8記載)との組み合わせによって、微小な負荷変動や一時的な閉塞を防止できる(図16))。
【0022】
請求項11に記載の発明は、請求項1〜7、9記載の磨砕装置であって、液体原料や固体原料の流量を、各原料計量手段(流量計や重量計)によって検知し、または磨砕物の流量を、前記磨砕装置の排出口以降に設けられた流量計の信号によって検知し、前記磨砕装置の回転磨砕部材の回転数を制御することによって、一定に指示調節することを特徴とする。
本発明によれば、液体原料や固形原料のそれぞれについて、流量計や重量計等によって流量を検知して前記磨砕装置の回転磨砕部材の回転数を制御することによって、液体原料と固形原料の流量(もしくは磨砕物の流量)を一定にすることができる。また、前記磨砕装置の排出口以降に設けられた流量計で磨砕物の流量を検知して、前記磨砕装置の排出口以降に設けられた送液制御手段によって、磨砕物の流量を一定に調節することを特徴とする(図17)。
【0023】
請求項12に記載の発明は、請求項1〜8、10記載の液中磨砕装置であって、前記ホッパー内の前記原料レベルを液位センサによって検知し、液体原料や固体原料の流量計の信号を、比率設定器を介して、固形原料の供給装置の供給量と、液体原料の供給装置の供給量の比率を一定に指示調節しながら、前記ホッパー内の原料のレベルを一定に調節することを特徴とする。本発明によれば、液体原料と固形原料との比率、すなわち固形原料の濃度を自在に変更できる上、各原料計量器の計量モニターが可能で品質管理にも役立つ。また負荷変動や磨砕部の条件の変動により、固形原料対液体原料比が一定でも、固形原料の粒度が変化することがあり、その後の工程で分離装置がある場合、抽出率に影響することに繋がるが、本発明によって、総流量またはホッパー液位を一定に保ち、固形原料対液体原料比を微調整し、高品質な磨砕を実現できる(図18)。
【0024】
請求項13に記載の発明は、請求項1〜12記載の液中磨砕装置を含むシステムであって、前記磨砕装置の排出口が脱泡装置の流入口、加熱装置の流入口に連結されていることを特徴とする。本発明によれば、液中磨砕装置によって空気を抱き込まない状態の磨砕物を一旦空気に触れさせることなく、連続して、連結された脱泡装置、加熱装置、分離装置に直ちに移送されるので、製品への空気の噛み込みを最小限に抑えることが可能になる(図4)。
【0025】
請求項14記載の発明は固体原料を液体原料とともに磨砕室内の磨砕部において磨砕し、スラリー状とするに際し、前記固体原料を制流手段によって磨砕室内に供給するとともに、液体原料をホッパーから供給し、前記液体原料の液位が前記磨砕室内を満たし、且つ前記ホッパーの少なくとも一部を満たすように設定し、前記磨砕を行うことを特徴とする液中磨砕方法である。本発明では、制流手段を設けることによって、磨砕室付近で発生する、強く激しい旋回流によって、固形原料が流入することが妨げられることを防止し、固形原料が液中下で、磨砕室にスムースに供給でき、長時間安定した連続運転(バッチ運転)が可能になる(図5にバッチ式の液中磨砕システムの代表例を示す。)。また、図3に示すように、排出口13からの配管を液体原料103位置と一旦同じ高さにして配することによっても磨砕物が粉砕中に空気を抱き込むことがなくなる。
【0026】
以上、本発明の液中磨砕装置、液中磨砕方法では、液体原料が磨砕室内を満たし、且つホッパーの少なくとも一部を満たすように設定することにより、いわゆる液中粉砕が実現し、磨砕物が粉砕中に空気を抱き込むことがなくなる。その結果、消泡剤の使用も必要最低限で済む。ここで特に、制流手段をホッパーと磨砕室の間に設けることにより、磨砕部の回転によって発生する渦が遮断され、ホッパー内における渦の発生が防止される。その結果、固体原料の流入を妨げる現象や、気泡を噛み込む現象が回避される。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、従来通りの原料や設備を用いることができ、最小限の初期投資で安定した連続運転と製品の高品質化を実現することが可能な液中磨砕装置、液中磨砕システム及び液中磨砕方法を提供することが可能である。また、本発明によれば、特に豆乳・豆腐製造等において、消泡剤を必要以上に用いる必要がなく、さらには無消泡剤化(有機農産物加工食品規格対応への一部)にも対応し易く、豆乳や豆腐の風味や保存性を改善することが可能な液中磨砕装置、液中磨砕システム及び液中磨砕方法を提供することが可能である。すなわち、本発明は特に粉砕・磨砕をする際、特に、原料と空気との接触を防いで泡の噛み込みを防止し、余計な消泡剤を加えたり、脱気処理が必要なく、安価で効率の良い、簡易なシステムの構築が可能になる。豆腐製造の場合、消泡剤を余分に使わず、全く消泡剤を使わないことも可能になり(高価な消泡剤を使わなくて済み、豆腐製造原価低減に貢献できる。)、ゴ液の比重が高く、その後のポンプ搬送において送液効率が高くなる。ただし消泡剤については品質改良剤として製品品質上、有益である場合があり、その場合、本発明においては、ホッパー内の水面下から、それ以降の任意の部位に液体状の消泡剤を圧入することは可能である。その消泡剤は粉体状では扱えないので、液状のものや、粉体の製剤を食用油などに分散または溶解・乳化させたものを利用することができる。
【0028】
また本発明によれば、例えば豆乳・豆腐製造において磨砕物(いわゆる生ゴ)に空気が噛まない状態であるため、その後の加熱工程においては熱の伝達が効率よく行われ、蛋白質の均質な熱変性を起こすことになり、これが最終製品である豆乳や豆腐の品質に好ましい効果を与える。例えば、ムラ煮えが防止され保存性が向上する。泡を多く噛み込んだ生ゴ液を煮沸する場合、煮沸時の吹き上がり(気泡の膨張)やムラ煮え等の原因ともなり、味や品質への悪影響を防ぐことができる。さらにゴ液が吹きこぼれたりすると、機械装置を汚すばかりでなく、様々な計器や機器類の故障にもつながり、機械装置のメンテナンス費用が増大し、そのまま放置されれば、作業安全上、危険な状態にも陥りやすい。
【0029】
さらに、本発明の液中磨砕システムによれば、固形原料:液体原料比が1:1〜1:5等の高濃度であっても、1:7〜1:10等の低濃度であっても、空気を噛み込ませず、長時間、安定した供給を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明を適用した液中磨砕装置、液中磨砕システム、及び液中磨砕方法について、図面を参照して詳細に説明する。
【0031】
(第1の実施形態)
本発明の液中磨砕装置の基本構成は、固体原料と液体原料が投入されるホッパーと、固体原料を液体原料とともに磨砕部において磨砕する磨砕室を備える。図1は、液中磨砕装置2を示すものであり、本例では、縦型の液中磨砕装置2の上方に設けられた原料供給口3に接続する形で制流手段Sが取り付けられている。図2と図3から図7は、上記制流手段Sを有する液中磨砕装置2を使用した液中磨砕システムの例を示すもので、図5では、ホッパー5に設けた液位センサ10によって検知される液体原料8の液位に基づいて、調節計33及びインバータ34によってポンプ14の回転数(流量)を制御し、ホッパー5内の液体原料8の液位が一定に保たれるようにしている。図1〜図5では、上記制流手段Sは、移送パイプPi内に対向する2軸ロール(送りロール)23,24が回転可能に軸支され、これら送りロール23,24間で固体原料6を予め粗粉砕することなく、適度にクリアランスの広い状態し、磨砕装置2内へ供給するようにした例であるが、この制流手段S、107としては、後述するものが適用可能である。図6、図7では静止型制流手段の例を示すものである。いずれも磨砕機の原料供給口3の内部に発生している強力な渦流Uを防止しながら、固形原料と液体原料を分離させずに均等に磨砕室12に送り込むことができる。
【0032】
ホッパー5は、固体原料と液体原料が投入されるものであれば、特に限定されない。そして、ホッパー5には、液体原料8を導入するための液体原料導入管9がホッパーの底部側(液体原料8の水面下)に設けられている。ホッパー5に供給された液体原料8は、ホッパー5内から固体原料6とともに原料供給口3から液中磨砕装置2内へと投入される。
【0033】
ホッパー5には、ホッパー5内の液体原料8の液位を検知する液位センサ10が設置されている。後述の通り、液中磨砕装置2においては液中粉砕が行われるが、このとき、ホッパー5内において液体原料8の液位が低下し過ぎると、液中磨砕装置2に供給される原料中に空気が混入するおそれがある。そこで、前記液位センサ10によって液体原料8の液位を監視し、空気の混入を防止する。液位センサ10としては、圧力センサ、磁歪式センサ、フロート式センサ、超音波式センサ、レーザ式センサ、レーダ波式センサ、複数の電極等、任意のセンサを用いることができる。液位の調整は、例えば液位センサ10の信号を調節計に入力し、後述の排水口に設けられたポンプやバルブ等の流量制御装置に対して、オン−オフ制御やPID制御を行う。なお、固体原料のレベルも、同様にレベルセンサを用いてコントロールすることも可能であり、有効である。液中磨砕装置2の回転砥石11bの回転数や前記排出側の調節弁やポンプ回転数を手動で調整するか、自動で変速して、固体原料6と液体原料8の微妙なレベルのバランスを調整することもできる。
【0034】
一方、液中磨砕装置2は、供給(投入)された固体原料6を磨砕する石臼状の砥石(磨砕部)11を備えた磨砕室12を有し、ここで固体原料6を磨り潰し、スラリー状にする。液中磨砕装置2は、図1に示す例では縦型構造が採用されているが、これに限らず、横型構造の液中磨砕装置であってもよい(図8参照)。ただし、縦型構造を採用した場合の方が、設置スペースが小さくて済むが、シール漏れによる漏電の危険性がある。横型構造は、液中磨砕条件を得やすく、装置高さも低く洗浄やモータの交換等メンテナンスし易いという利点があり、好ましい。
【0035】
液中磨砕装置2においては、例えば原料供給口3及び排出口13を塞げば、磨砕室12内は気密で漏れがない構造であることが必要条件であるが、多少漏れがあっても適用可能である。このような液中磨砕装置2の気密構造と、制流手段Sの組み合わせにより、液中粉砕を安定して実現することができ、空気の混入を十分抑えることが可能である。
【0036】
本発明における液中磨砕装置2は、連続運転を前提としているが、バッチ式運転又はバッチ連続運転でも適用できる。本発明における液中磨砕装置2の運転の際、液体原料8や固体原料6は一定流量で計量され、磨砕装置2のクリアランス(運転初期に調整し、固定)の変化がなく一定であれば、数時間〜1日程度〜数ヶ月間の連続運転中、終始、十分に安定している。
【0037】
液中磨砕装置2の磨砕室12に設けられる砥石11は、例えば固定砥石11aと回転砥石11bとから構成され、固定砥石11aの中央に設けられた孔11cから固定砥石11aと回転砥石11bの間に固体原料6が導入されて磨り潰される。固定砥石11a及び回転砥石11bには、金属製の砥石やセラミック製の砥石、多孔質な砥石等、任意の砥石を用いることができるが、これら固定砥石11aや回転砥石11bは、液体原料8が浸み込まないように、非浸透性材料により構成されていることが好ましい。これは、固定砥石11aや回転砥石11bが多孔質で透水性、通水性がある場合には、磨砕時、回転砥石11aの遠心力や内圧によって、固定砥石11aや回転砥石11bを液体原料8が通り抜け、固体原料6と液体原料8のバランスが崩れるおそれがあるからである。固定砥石11aや回転砥石11bを非浸透性材料により構成することにより、前記バランスの崩れを防止することができる。
【0038】
したがって、固定砥石11aや回転砥石11bの材質としては、ステンレス、金属、ダイヤモンドやアルミナなどの自然石、多孔質な砥石に樹脂やセラミック等を含浸させて非浸透性とした砥石等が好適である。前記含浸により非浸透性とする場合、含浸の方法としては、例えば減圧下で多孔質砥石に液状樹脂等を含浸させ、これを焼結、加温(例えば、常温〜2000℃程度)によって硬化させる。使用する樹脂としては、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリエチレン樹脂(PE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、塩化ビニリデン樹脂(PVDC)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、フッ素樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド樹脂(PA)、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂(MF)、フェノール樹脂(PF)、ユリア樹脂(UF)、ABS樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、オキシベンソイールポリエステル樹脂、ポリ乳酸樹脂等の生分解性プラスティック類、天然ゴム、合成ゴム等から適宜選択して用いることができ、特に磨砕対象が食品である場合には、食品衛生法上の規格に適合する樹脂を用いる必要がある。
【0039】
前述の液中磨砕装置2では、特にバッチ運転で継続稼働する場合(バッチ連続時)、排出口13側を密閉し、最低限、空気の侵入を遮断することが必要である。例えば排出口13を密閉せず空気の侵入を許すと、磨砕室12内で磨砕中に泡が発生してしまうおそれがある。これに対して、図2に示すように、スラリーの排出口13を密閉しながら遠心ポンプ14を連結し、その下流に調節弁などのバルブ15を接続し、空気の侵入ルートを断つことにより、ホッパー5から遠心ポンプ14やバルブ15までが液体原料8で満たされ、空気が侵入しなくなって液中粉砕が実現される。
【0040】
液中磨砕装置2の排出口13を密閉するための手段としては、前記バルブ15に限らず、簡易なものとしては、図8に示すような背圧弁15や、図3に示すようなサイホン16等とすることも可能である。
【0041】
あるいは、固体原料6と液体原料8の比率を一定に、且つ連続運転においても安定に保ちながら液中で磨砕することを目的に、前記液中磨砕装置2の排出口13に連結した流量制御装置によって、前記ホッパー5内の液位を一定に調節するようにしてもよい。この場合、送液流量制御装置としては、ボールコック、バタフライバルブのようなバルブやオリフィス等、簡易なものでもよい。好ましくは、自吸力のある容積式ポンプ(ロータリーポンプ、ギヤポンプ、ベーンポンプ、チューブ式ポンプ、モーノポンプ等)を設け、前記ホッパー5に設けた液位センサ10の検出信号に基づいて前記ポンプの回転数(吸引量)やバルブ開度を制御する。
【0042】
前記制御を行った場合、後工程が例えば連続煮沸装置による工程の場合、煮沸時間や濃度が多少は変動するが、液中粉砕の効果を重視する。バッチ式煮沸装置の場合は1バッチ分だけ混合して、全体で一定比率になれば問題ない。前記送液流量制御装置は、流量制御の他、稼動の初期段階には磨砕室12内の空気の排出、スラリーの充満に用いる。
【0043】
前記のようにホッパー5内の液位に連動して容積ポンプの吸引量を調整し得る送液制御手段を設けることにより、容積ポンプの吸引量が多すぎたり少なすぎたりして、ホッパー5内の液位が低下し過ぎたり、逆に溢れ出すことを防止することができる。その結果、安定した運転を行うことができる。
【0044】
以上のような構成を有する制流手段S及びこれを備えた液中磨砕装置2においては、液中磨砕装置2の原料供給口3に強力な押し込み装置が不要であり、固体原料の圧入による閉塞の心配もない。また、液体原料が固体原料に対して少ない場合でも、供給側には特別なポンプや押し込み装置が不要であり、固形原料だけを送るための簡易の送り機能さえあればよく、液体原料は隙間から自由に連通する簡単で安価な装置でよい。市販のロータリーポンプやモーノポンプ等のように液体原料を送るための精度の高いポンプ(シール性の高い、静止時でも液体原料を保持できる。)はあえて必要としない。
【0045】
本発明の制流手段、液中磨砕装置の構成は、前記のものに限らず、種々の変更が可能である。そこで次に、本発明を適用した制流手段、液中磨砕装置の様々な形態について説明する。
【0046】
図9〜図13は、供給される固体原料6(液体原料を含むこともある)と前記ホッパー5により供給される液体原料8が合流した後、原料供給口3に至るまでの間に制流手段Sを設けた例である。制流手段Sを設けることで、液中磨砕装置の磨砕室において砥石や粗砕羽根等が回転することによって発生する渦流が固体原料の流入を妨げる現象、及び空気を噛み込む現象を解消することができる。制流手段Sは、磨砕装置の供給口付近(液中)に、例えば1〜複数の平板を設ける手段S1(図9)、2枚の平板を十字に組み合わせた渦巻き防止器を設ける手段S2(図10)、配管内に螺旋を設ける手段S3(図11)、配管を蛇行させる手段S4(図12)、ホッパーから供給口に至る部分を固体原料6が十分通過できる程度に狭く構成する手段S5(図13)等であるが、これらに限定されるものではない。このように、磨砕室12は、気密構造であるとともに、ホッパー5にある固形原料6とある液体原料8を磨砕装置2に移送する移送パイプPiを備え、この移送パイプPi内部において、上記ホッパー下部開口部からこの移送パイプPiの間に旋回流又は渦流を抑制する上記制流手段(該固形原料や該液体原料の流通は最小限妨げない)S(と後述する符号107)を備えている。
【0047】
ここで、制流手段S(と後述する符号107)は、機内の渦流状態が供給口から連通するホッパー5上の原料(液体・固体原料6)に影響して、特に原料が共回りして下方向の供給口に入りにくくなることを防ぐ目的とするとともに、渦流を制止させるために配される手段であり、制流することによって、その渦流状態である機内に原料である液体・固体原料を分離することなく、均一に長時間安定して供給することができる。特に固形原料6と液体原料が体積比で1:1であるような比較的高濃度の原料でも適用できる。また、定量ポンプまたはそれに類似した固形原料送り装置:液体搬送用に精度のよい、吐出圧力の高い定量ポンプはあえて必要ではなくなる利点を有する。固形原料6をスムースに搬送できればよく、液体原料については特に高精度な搬送は要求されず、簡易な構造でかまわない。つまりホッパー内の原料に働く重力を主として利用する固定式の制流手段や、2軸ロール式送り装置のように特に固形原料を補助的に利用(移送)するものである。磨砕装置2の供給口(激しい渦流が発生している)にスムースに供給されるよう、その発生している渦流をホッパー内の原料にまで影響させない、縁を切る形で、2軸ロールを配し、場合によっては(粗粉砕しない;固形原料の品質劣化を進行させることがあるため)そのロールには窪みを形成させて、固形原料を上のホッパーから、下の磨砕装置供給口にスムースに移送するのである。また、図12に示すように、配管上の変形、渦流の中心軸を外すような形態もとることができる。
【0048】
図14は、液中磨砕システムの他の例を示すものである。前述の通り、制流手段Sや液中磨砕装置2の構成は図1に示すものと同様であり、制流手段S及びホッパー5を備え、液中磨砕装置2は固定砥石11a及び回転砥石11bを備える。なお、図14においては、回転砥石11bを回転するためのモータ31が図示されている。
図15は、対向する2軸ロール式制流手段23,24間で固体原料6を予め粗粉砕することなく、適度にクリアランスの広い状態し、磨砕装置2内へ供給するようにした例である。本発明ではロール間やロールと器壁間の隙間は固体原料の粒子サイズより若干ないし狭く調整する。その調整幅と固体原料の弾力特性によって、粉砕がほとんど起きず、固体原料をそのまま噛み込んでホッパーに送り込む定量機能を発揮させることが可能である。2軸ロール型の場合、互いの回転数は同一の方が定量効果を得やすい。例えば、吸水した漬大豆について、その粒度にもよるが、余程の大粒でなければ、最小径10mm以下の漬大豆では、2mm以上10mm以下で粗粉砕をせずに送り機能と共に制流効果を発揮する(図47)。
【0049】
ポンプ14の下流位置には、流量計32が設置されており、この流量計32により計測される流量に基づいてポンプ14の回転数(流量)を制御する調節計33及びインバータ34が設けられている。ここで、ポンプ14の代わりにバルブを設ける場合には、前記インバータ34は省略可能であり、調節計33によってバルブの開度を調節する。ポンプ14の代わりに、バルブ、背圧弁、調節弁、遠心ポンプ、磨砕機回転体に遠心ポンプ機能を付与した手段等の送液制御手段を設けることが可能である。つまり、従来の特許文献5に記載されているような定量ポンプでなくとも、上記送液制御手段を用いることによって液中磨砕が可能になる。
【0050】
本発明において、前記液体原料は、水、温水、熱水、加圧熱水、飲料、液体油、乳化剤、有機溶媒、液体状食品から選ばれる少なくとも1種である。
固体原料6は、例えば、穀類、豆類(大豆、小豆など)野菜、果実、茶葉、薬草から選ばれる少なくとも1種であり、これらに限定されるものではなく、湿った固体も含み、固形分含量1〜100%で予め別途粗粉砕されていてもよい。
【0051】
液体原料8は、例えば、水、飲料、液体油、乳化剤、有機溶媒、液体状食品や水とは冷水(0以上15℃未満)、温水(15以上60℃未満)、熱水(60以上100℃未満)、クエン酸やアスコルビン酸(ビタミンC)等の有機酸を含んだ酸性水、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ性水、塩化ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム等を含む各種塩溶液、軟水、水道水、地下水、海水(希釈品)、海洋深層水(脱塩処理品等)、やそれらの脱気または脱酸素処理、脱金属イオン処理(例えば陽イオン交換樹脂処理、陰イオン交換樹脂処理、逆浸透膜処理等)したもの、アルカリイオン水、酸性イオン水、蒸留水などでこれらに限定されるものではない。飲料や液体状食品とは豆乳、牛乳、果実ジュース飲料、タンパク質や糖を含む溶液等、大豆・豆乳・ゴ液やオカラや豆腐粕等を超臨界水または亜臨界水処理(高温高圧短時間処理)した液体(スラリー)であってもよく、食酢、しょうゆ、ソース、酒類等であるが、これらに限定されるものではない。液体油とは大豆油や菜種油等の食用油(サラダ油、白絞油、やビタミンEを含む油)、乳化剤は液油状のジアシルグリセロール等融点が磨砕温度以下のものである。また、食塩、硫酸ナトリウム、塩化カリウム等の無機塩を含む液体でも効果的な場合がある。固体原料6が胡麻や落花生、あるいはそれらの焙煎物等の場合には、大豆油や菜種油、胡麻油等の使用温度で液状の食用油(融点が低い)等を用いれば、ペースト状の練り胡麻やピーナッツペーストとなる。食用以外であれば、様々な液状の物質を用いることもできる。場合によっては、水以外の有機化合物(エタノール水溶液、焼酎、酒等等)も使用できる。液体原料8についても、これらに限定されるものではない。
【0052】
本発明を利用できる製品は、固形原料が大豆の場合、豆乳や豆腐類、油揚類である。例えば、豆乳であれば、調整豆乳、豆乳飲料、豆乳ゼリー、豆乳アイスクリーム、豆乳ヨーグルト等、豆腐類であれば、絹豆腐(絹ごし豆腐)、充填豆腐、木綿豆腐、寄せ豆腐(おぼろ豆腐)等の豆腐類(冷凍製品も含む)、厚揚げ、生揚げ、薄揚げ、寿司揚げ、がんもどき、豆腐ステーキ、豆腐ハンバーグ等の生地類(冷凍半製品も含む)、凍り豆腐やその凍結前後の生地、揚げ物であれば、寿司揚げ、厚揚げ、生揚げ、薄揚げ、がんもどき等の油揚類、湯葉や湯葉豆腐、大豆タンパク質ゲル・豆乳ヨーグルト、豆乳ゼリー、豆花等の大豆加工食品について有効に適用される。原料大豆は、国産大豆、輸入大豆で浸漬大豆、無浸漬大豆でもよい。またリポキシゲナーゼ遺伝子欠損種や、それらの脱皮大豆・圧偏大豆・生大豆粉、荒割大豆等、分離大豆タンパク質、濃縮大豆タンパク質等を含む。これらに限定されるものでないことは言うまでもない。
【0053】
また、磨砕に際しては、液面制御が重要であり、本システムにおいても、排出口13を密閉しながらポンプ14を連結し、空気の侵入を断つようにしている。さらに、流量計32により計測される流量に基づいて調節計33及びインバータ34によってポンプ14の回転数(流量)を制御し、ホッパー5内の液体原料8の液位が一定に保たれるようにしている。
【0054】
これらによって、ホッパー5からポンプ14までの経路全体が液体原料8で満たされることになり、いわゆる液中粉砕となっている。さらに、流量が適正になるようにポンプ14の回転数を制御しているので、前記液中粉砕を安定して行うことができる。
【0055】
図15は、液中磨砕システムの他の2の例を示すものである。本例の液中磨砕システムも、基本的には先の図14に示す例と同様の構成を有するが、ホッパー5に設けた液位センサ10によって検知される液体原料8の液位に基づいて、調節計33及びインバータ34によってポンプ14の回転数(流量)を制御し、ホッパー5内の液体原料8の液位が一定に保たれるようにしている。
【0056】
本例のように、ホッパー5内の液位に連動してポンプ14の吸引量を調整することにより、ポンプ14の吸引量が多すぎたり少なすぎたりして、ホッパー5内の液位が低下し過ぎたり、逆にホッパー5から液体原料8が溢れ出すことを防止することができる。その結果、安定して液中粉砕を行うことができる。
【0057】
図16は、液中磨砕システムの他の例を示すものである。本例では、ポンプ14を容積式ポンプとするとともに、固体原料6及び液体原料8の供給量を適正に制御するような構成となっている。なお、容積式ポンプの代わりに、外部からの信号で動作する調節弁や、背圧調整弁等を用いることもできる。
【0058】
ここで、固体原料6は計量機41により計量され、制流手段107に供給される。計量機41における固体原料6の供給量は、インバータ42によって制御される。一方、液体原料8は、原料タンク43内の液体原料8がポンプ44、バルブ45、及び流量計46を介してホッパー5へと供給される。バルブ45には調節計47が設けられ、流量計46における計測結果に基づいて、適正な開度となるように制御される。
【0059】
また、液中磨砕装置2の回転砥石11bを回転駆動するモータ31には、調節計48及びインバータ49が設けられており、液位センサ10による検知結果に基づいて、回転数が制御される。これらの機構により、固体原料6や液体原料8が安定供給されるとともに、その供給量に応じて磨砕速度が調整され、安定して液中粉砕が行われる。
【0060】
図17は、液中磨砕システムの他の例を示すものである。本例では、ポンプ14を容積式ポンプとするとともに、固体原料6及び液体原料8の供給比率を適正に制御するような構成となっている。なお、本例の場合にも、容積式ポンプの代わりに、外部からの信号で動作する調節弁や、背圧調整弁等の送液制御手段を用いることができる。また、磨砕装置2の回転砥石側に羽根(加圧力を有する羽根、遠心ポンプのようなインペラ等)を備え、液中磨砕装置2の排出口に接続される送液制御手段がバルブ、背圧弁または調整弁のいずれか1または2以上の組み合わせであって、背圧弁は適度なバネ定数を有するバネによる開口調整するか、または電動調整弁や空動調整弁の場合、磨砕装置出口の内圧の微少な変化を圧力センサで検知し、開口調整することによって、微調整しながら、全体の平均流量をほぼ一定に保つよう調整することができるようになっている。
【0061】
本システム(図16、図17)においても、固体原料6は計量機41により供給量が計量され、ホッパー5に供給される。液体原料8も、原料タンク43内の液体原料8がポンプ44、バルブ45、及び流量計46を介してホッパー5へと供給される。ここで、固体原料6を計量する計量機41は、モータ51によって駆動され、当該モータ51は、予め求められた時間当たりの計量値を基に、インバータ42によってその回転数が制御される。液体原料8の供給量を調整するバルブ45には、調節計47が設けられ、流量計46における計測結果に基づいて、適正な開度となるように制御される。
【0062】
さらに、図18に示すように本例の液中磨砕システムでは、固体原料6と液体原料8の比率が適正なものとなるよう制御する比率設定器55及びその調節計56が設けられている。液位センサ10からの検出信号に基づいて、調節計56によって比率設定器55が制御され、さらにこの比率設定器55は、前記固体原料6の調節計53及び液体原料8の調節計47を制御して、固体原料6と液体原料8の比率が一定且つ適正なものとなるように制御する。これにより、安定に液中粉砕が行われるだけでなく、均一なスラリーの製造が可能になる。なお、流量計にて測定された磨砕物の流量の変化に応じて、調節計53及びインバータ49を介して磨砕機モータ31の回転数を制御することもできる。
【0063】
前記液中磨砕システムにおいては、前述の液中磨砕装置を連続的に運転し、その排出口を脱泡装置の流入口に連結することにより、一連の工程を連続的に行うことが可能である。連続運転される液中磨砕装置における排出口に磨砕処理液(スラリー状、ペースト状、乳液状等)を空気に触れることなく、次工程の脱泡装置に連結することによって、磨砕処理液の変質等を効果的に抑制・低減できる。該脱泡装置は、連続式、バッチ式いずれでもよいが、連続式の方がシステムとして合理的で望ましい。即ち定置洗浄(CIP)洗浄性も良く、大量生産に向く。
【0064】
前記連結とは如何なる連結手段でもよく、特に限定しないが、気密に連結することが望ましく、図3のように、解放前にタンクに一旦受ける場合、若干空気に触れたり、先入れ先出しが不十分になるので、液中磨砕効果はあるものの、低減する。
【0065】
あるいは、液中磨砕装置を間欠的に運転し、その排出口を脱泡装置の流入口に連結することも可能である。間欠運転される液中磨砕装置における排出口に磨砕処理液(スラリー状、ペースト状、乳液状等)を空気に触れさせることなく、次工程の脱泡装置の流入口に連結することによって、磨砕処理液の変質等を効果的に抑制・低減できる。該脱泡装置は、連続式、バッチ式いずれでもよいが、本発明ではバッチ式の方がシステムとして望ましい。即ち、小規模または少量多品種生産に向く。
【0066】
前記連続運転に比べて、停止中は磨砕室12やホッパー5等に滞留する磨砕処理液の変質の危険があるが、液中磨砕装置2が気密であり、また毎回液体原料で磨砕室12が置き換わるように使用することによって、液中磨砕効果の低減を抑えることができる。該磨砕処理液は磨砕前に比べて、変質が非常に起こりやすい状態にあるので、液中磨砕による効果を維持する上で、気密な連結は重要である。該磨砕処理液は磨砕前に比べて、不安定な状態にあるので、液中磨砕による効果を維持する上で、気密構造は重要である。さらに次工程が脱泡装置である場合、わずかに噛み込んだ気泡や溶存空気を除去できる。
【0067】
以上の液中磨砕システムにより、例えば大豆、野菜、果実、薬草を磨砕するときに、水を挽き水として用い、液中磨砕を行うことによって、大豆、野菜(根菜類も含む)、果実、薬草(ハーブ、漢方薬草等)を原料とする加工製品は、気泡の抱きこみが抑えられ、見栄えも良くなる。固体原料を胡麻または落花生とし、液体原料を液状食用油脂として液中磨砕を行うことによって、気泡を含まない艶のある滑らかな胡麻ペースト(練り胡麻)、ピーナッツペーストを得ることができる。
【0068】
(第2の実施形態)
本実施形態の液中磨砕装置101は、先の実施形態の液中磨砕装置と同様、原料供給口に設置され固体原料102及び液体原料103を投入するためのホッパー104と、前記ホッパー104から供給(投入)された固体原料102を磨砕する石臼状の砥石(磨砕部)105を備えた磨砕室106、さらには前記砥石105を回転するためのモータMを備えるものであるが、図18に示すように、さらに前記ホッパー104と磨砕室106の間に制流手段107を備えることが大きな特徴である。図18に示す液中磨砕システムでは、ホッパー5内の前記原料レベルを液位センサ10によって検知し、液体原料8や固体原料6の流量計(重量計)46の信号を、比率設定器55を介して、固形原料6の供給量と、液体原料8の供給装置43の供給量の比率を一定に保持(または微調節)するよう、指示調節しながら、固体原料6と液体原料8を投入および貯留する前記ホッパー5内の前記原料のレベルを一定に調節する。
【0069】
前記制流手段107は、例えば図19、図20(a)(b)(c)に示すように、円環状に流路を拡大する形状を有するものあり、その中央付近に配置された分流体107aに前記円環状の流路を仕切る形で複数(本例の場合、6枚)の羽根107bが放射状に取り付けられている。分流体107aは駒形形状したものや塊状体、駒状体、円錐状、多角錘状等、下方の渦流を遮り、上方からの原料流入路を分岐する機能であれば、形状には特に限定されない。その分流路の断面は環状・円状のほか、三角、四角、多角形の流路も取り得る。また前記流路仕切板は放射線状のほか格子状、平行状などの配置や枚数は上記機能を有すれば特に限定されない。
【0070】
液中磨砕装置101において、液体原料103が前記磨砕室106内を満たすとともに、ホッパー104の少なくとも一部を満たすように設定し、いわゆる液中磨砕を行う場合、例えば図6から図8、更には図19に示すように前記制流手段107が設けられていないと、液面は前記磨砕室106内の砥石105の回転により発生する渦Uの影響を受け、前記固体原料102及び液体原料103を磨砕室106内に供給する際に空気を巻き込む可能性が高い。したがって、磨砕物も泡を噛むことになり、製品品質に悪影響を受けるおそれがある。
【0071】
これに対して、前記のように制流手段107を設けることで、前記渦の影響を解消することができ、空気の巻き込みによる製品品質の低下を回避することができる。具体的には、前記構造の制流手段107を設けた場合には、砥石105の回転により発生する渦は、前記6枚の羽根107bによって遮られ、ホッパー104まで到達することがない。このため、ホッパー104内の液体原料103の液面が前記渦の影響を受けることがなく、穏やかな状態が保たれる。したがって、原料供給に際して空気を巻き込むことがなく、製品品質が空気を抱き込むことがない。
【0072】
また、前記制流手段107の場合、当該制流手段107のための駆動手段(例えばモータ等の可動手段)は何ら必要としない。したがって、簡略な装置構成で、しかも消費電力等を上昇することなく、十分な効果を得ることが可能である。
【0073】
図21は、前述の制御手段107を備えた液中磨砕システムの例を示すものである。液中磨砕装置101の構成は図18に示すものと同様であり、液中磨砕装置101はホッパー104及び砥石105を備える。ポンプPの下流位置には、流量計108が設置されており、この流量計108により計測される流量に基づいてポンプPの回転数(流量)を制御する調節計109及びインバータ110が設けられている。なお、ポンプPの代わりにバルブを設ける場合には、前記インバータ110は省略可能であり、調節計109によってバルブの開度を調節する。
【0074】
図22は、液中磨砕システムの第2の例を示すものである。本例の液中磨砕システムも、基本的には先の図20に示す例と同様の構成を有するが、ホッパー104に設けた液位センサ111によって検知される液体原料103の液位に基づいて、調節計109及びインバータ110によってポンプPの回転数(流量)を制御し、ホッパー104内の液体原料103の液位が一定に保たれるようにしている。本例のように、ホッパー104内の液位に連動してポンプPの吸引量を調整することにより、ポンプPの吸引量が多すぎたり少なすぎたりして、ホッパー104の液位が低下し過ぎたり、逆にホッパー104から液体原料103が溢れ出すことを防止することができる。その結果、安定して液中粉砕を行うことができる。
【0075】
前記制流手段107の構成としては、前記の例に限らず、種々の変更が可能である。図23〜図27に制流手段107の他の例を示す。図23は、一対の羽根車107cにより、ホッパー104から供給される固体原料102を交互に分配し、磨砕室106に供給するようにした例である。本例の場合、各羽根車107cによって固体原料102がほぼ一定量に分配され、しかも2系統の羽根車107によって制流されるので、円滑な原料供給が可能である。また、前記羽根車107cの存在により、砥石105の回転によって発生する渦が遮られ、原料供給に際して空気を巻き込むこともない。
【0076】
図24は、ローラ107d間に掛け渡されたベルト107e間を原料(固体原料102及び液体原料103)が通過するようにした例である。ベルト107e間の隙間を原料が通過するようにすることで、定量的に固体原料102を磨砕室106へ供給することが可能であり、固体原料102が過剰に供給されることはない。また、砥石105の回転によって発生する渦が前記ベルト107e間の隙間を通してホッパー104まで到達することもない。
【0077】
図25に示す例では、幅広のスリット107fと循環ポンプ107gとによって制流手段107が構成されている。図25(b)は、図25(a)を矢印方向から見た図である。本例の場合、循環ポンプ107gによってホッパー104から磨砕室106に向かう流れが強制的に形成されており、これにより原料の制流と砥石105の回転によって発生する渦の遮断が実現されている。
【0078】
図26は、図23に示す例と類似するものであり、一対のカム107hの組み合わせにより固体原料102をほぼ一定量に分配し、磨砕室106に円滑に供給するものである。本例においても、カム107hの存在により、砥石105の回転によって発生する渦が遮られ、原料供給に際して空気を巻き込むことがない。
【0079】
図27は、ホッパー104上に設置される投入機構112と、制流手段107としてのコンベア107iによって原料供給を安定に行うようにした例である。投入機構112は、固体原料102を所定量ずつ分割して投入する羽根車112aを備えており、ホッパー104内に分割投入された固体原料102は、コンベア107iに設けられた羽根107jによって区画された区画室内を介して次々に磨砕室106へと送り込まれる。本例の場合にも、コンベア107iの羽根107jにより、砥石105の回転によって発生する渦が遮られ、原料供給に際して空気を巻き込むことがない。
【0080】
前記制流手段107は、前記の各例のように制流のみを目的とするのみならず、固体原料102を予め液中粗粉砕する送り手段としての機能を有するようにしてもよいが、これは本発明の副次的寄与はするものの請求項に挙げるほどの効果はない。以下、制流手段として送り手段を設けた例について説明する。
【0081】
図28は、2軸〜多軸ロール式送り手段113を設置した例を示すものであり、本例の液中磨砕装置は、原料供給口に設置され固体原料102及び液体原料103を投入するためのホッパー104と、前記ホッパー104から供給(投入)された固体原料102を磨砕する石臼状の砥石(磨砕部)105を備えた磨砕室106、及びホッパー104と磨砕室106の間に設けられ固体原料102を予め2軸〜多軸ロール式送り手段113とから構成されている。基本的には本発明においては、磨砕装置は1台である。そして、この構成により、供給された固体原料102は、2軸〜多軸ロール式送り手段113によって、磨砕室106内の砥石105(固定砥石105a及び回転砥石105b)によって一段で液中粉砕され、スラリー状の磨砕物が得られる。
【0082】
前記送り手段113は、液中磨砕装置101の原料供給口付近(液中)に設けられ、例えばホッパー104から供給口に至る部分を固形原料が十分通過できる程度に狭く構成する手段の一つである2軸ロール型送り手段が用いられる。この2軸〜多軸ロール式送り手段では、一対のロール113a,113bが対向して配置されており、互いのロール113a,113bはその隙間で固体原料102を噛み込むよう、逆方向に回転する。また、各ロール113a,113bには、固体原料102を噛み込むように、凹凸状、ギヤ状、刻み模様等の表面加工を施すと効果的である(図34(a)(b)(c)(d)。
【0083】
前記送り手段(2軸〜多軸ロール式送り手段)113では、ロール113aとロール113bの間や、これらロール113a,113bと器壁間の隙間は、固体原料102の粒子サイズより若干狭く調整する。その調整幅と固体原料102の弾力特性によって、粉砕がほとんど起きず、固体原料102をそのまま噛み込んで磨砕室106に送り込む定量機能を発揮させることが可能である。例えば吸水した漬大豆はある程度弾力性があり、このカムとケーシングの隙間は必ずしも気密性を必要とせず、特に液体原料よりも固形原料の送り機能を有するものである。ロール間に適度に隙間を調節することによって、ほとんど粉砕することなく、磨砕室106に固形原料102を定量的に押し込むことが可能である。例えば吸水した漬大豆はある程度弾力性があり、その大きさより少し狭いロール間を適度に調整することによって、ほとんど粉砕することなく、磨砕室106に固形原料102を定量的に押し込むことが可能である。
【0084】
また、例えば図29に示すような1軸ロール型送り手段113cであってもよいし、図30に示すような放射状の羽根を有する送り羽根113dであってもよい。また、図31〜図33に示すように、3軸以上のロール113a〜113dを組み合わせた構造でもよい。さらに、図34に示すように、ロールには固形原料をつかみやすいような表面状態(凹凸状態、軸方向と平行な溝、軸に対して斜めや螺旋状の溝、滑り止めや高摩擦機能の有する材料を用いてもよい。)であることが望ましく、ギヤのように組み合う形(図34(a),図34(c))、螺旋系の凹凸を有し互いに噛み合う形(図34(b))、等でもよい。いずれの場合にも、2軸〜多軸ロール式送り手段113を設けることにより、固形原料の定量的な送り込み(押し込み)効果が得られると共に、液中磨砕装置101の磨砕室106において砥石や粗砕羽根等が回転することによって発生する渦流に起因する固体原料102の流入を妨げる現象、及び空気を噛み込む現象を抑えることができる。更に上記送り手段113の外周の回転方向に溝mmが形成されている構成が好ましい(図34(d))。この溝mmとしては、断面形状が角型やU字状やV溝等であるが、水(液体原料)が流通自在な溝mmを有するもので、水(液体原料)の通り抜けを良くし、大豆(固体原料)だけを磨砕室側に移動させることができる。また図48に示すように、磨砕室側には上記溝mmに付着した(挟まった)固体原料を除去する掻き取り部材mbが配され、ローターが回転してホッパー側に戻る時に、溝mmに挟まった豆や皮を櫛歯のようなもので取り除く構成になっている。このような構成にすると、大豆(固体原料)のみを効率よく磨砕室に送り込むことが出来るようになる。実験結果では、浸漬大豆と水の容積比で1:0.7まで水(液体原料)の比率を下げることが可能となった。なお、浸漬大豆の場合、計算上(理論的)は、1:0.55まで可能となる。そして、図28〜図33などのロール回転方式には応用可能である。
【0085】
なお、ロールの材質は火成岩のような自然石、グラインダーの砥石(好ましくは無浸透性材料がよい)、金属、セラミック、樹脂などで、特に限定しない。前記金属は例えばSUS304やSUS316等のステンレス、チタン、アルミニウム等を指すが、特に限定するものではない。
【0086】
また、前記2軸〜多軸ロール式送り手段113は、図35に示すようなスクリュー式でもよく、単なる搬送用スクリューとは異なり、回転軸上の一部に送り方向とは逆方向の螺旋羽根113iを設けた形[図35(c)]等を採ることができる。
【0087】
前述の各例においては、例えば図28に示すように縦型構造が採用されているが、これに限らず、例えば図36に示すような横型構造の液中磨砕装置であってもよい(図8)。縦型構造を採用した場合の方が、設置スペースが小さくて済む。横型構造は、液中磨砕条件を得やすく、モータの交換等メンテナンスし易いという利点がある。
【0088】
前述の液中磨砕装置においては、例えば原料供給口及び排出口を塞げば、磨砕室106内は気密で漏れがない構造であることが必要条件であるが、多少漏れがあっても適用可能である。このような液中磨砕装置の気密構造と、前記2軸〜多軸ロール式送り手段113の組み合わせにより、液中粉砕を安定して実現することができる。したがって、真空・減圧設備や、原則的には2台以上の高価な磨砕装置を連結する等、高額なシステムは不要である。
【0089】
液中磨砕装置の排出側は、開放状態で落差によってバランスタンクに受けてもよい。また、磨砕装置自体に吐出能力があれば、排出口に設けたバルブ(ボールコック、バタフライ弁、コントロールバルブ(調節弁))や、前記ホッパー104内液位以上に排出口を立ち上げたり、流量調整弁、背圧弁(手動、自動)やオリフィスを設けたりしてもよい。また定量ポンプ等を排出口に連結し、粉砕物を吸い出す(又は粉砕物の吐出を抑える)ように設置しても構わない。また、排出口側に接続される配管の径や長さ(配管抵抗)の調節により、流量を制限してもよい。すなわち、流体を制御できる手段であれば特に限定されない。
【0090】
本実施形態における液中磨砕装置は、連続運転を前提としているが、バッチ式運転又はバッチ連続運転でも適用できる。液中磨砕装置の運転の際、液体原料103や固体原料102は一定流量で計量され、液中磨砕装置のクリアランス(運転初期に調整し、固定)の変化がなく一定であれば、数時間〜1日程度〜数ヶ月間の連続運転中、終始、十分に安定している。必要に応じて、液体原料103の液位や、固体原料102のレベルをセンサで感知し、一定に保つよう、レベル制御システムを設けてもよい。レベルセンサは電極式、磁歪式、超音波式、レーザ方式など、特に限定されない。液中磨砕装置の回転数や前記排出側の制御弁やポンプ回転数を手動で調整するか、自動で変速して、固体原料102と液体原料103の微妙なレベルのバランスを調整することもできる。
【0091】
前述の液中磨砕装置では、排出口側を密閉し、最低限、空気の侵入を遮断することが必要である。例えば排出口を密閉せず空気の侵入を許すと、磨砕室106内で磨砕中に泡が発生し、スラリーに細かい気泡が噛み、見かけの体積も増加する。これに対して、例えばスラリーの排出口を密閉しながらポンプPを連結し、空気の侵入ルートを断つことにより、ホッパー104からポンプPまでが液体原料103で満たされ、空気が侵入しなくなって液中粉砕が実現される。
【0092】
液中磨砕装置の排出口を密閉するための手段としては、前記ポンプPに限らず、簡易なものとしては、バルブやサイホン等とすることも可能である。
【0093】
あるいは、固体原料102と液体原料103の比率を一定に、且つ連続運転においても安定に保ちながら液中で磨砕することを目的に、前記液中磨砕装置の排出口に連結した流量制御装置によって、前記ホッパー104内の液位を一定に調節するようにしてもよい。この場合、流量制御装置としては、ボールコック、バタフライバルブのようなバルブやオリフィス等、簡易なものでもよい。好ましくは、自吸力のある容積式ポンプ(ロータリーポンプ、ギヤポンプ、ベーンポンプ、チューブ式ポンプ、モーノポンプ等)を設けるとともに、前記ホッパー104に液位センサを設け、この液位センサの検出信号に基づいて前記ポンプの回転数(吸引量)を制御する。
【0094】
前記制御を行った場合、後工程が例えば連続煮沸装置による工程の場合、煮沸時間や濃度が多少は変動するが、液中粉砕の効果を重視する。バッチ式煮沸装置の場合は問題ない。前記流量制御装置は、流量制御の他、稼動の初期段階には磨砕室106内の空気の排出、スラリーの充満に用いる。
【0095】
前記のようにホッパー104内の液位に連動して容積ポンプの吸引量を調整し得る流量制御装置を設けることにより、容積ポンプの吸引量が多すぎたり少なすぎたりして、ホッパー104内の液位が低下し過ぎたり、逆に溢れ出すことを防止することができる。その結果、安定して作業を行うことができる。
【0096】
以上のような構成を有する液中磨砕装置においては、液中磨砕装置の原料供給口に従来の単なるスクリュー式押し込み装置(搬送目的だけを有するスクリュータイプのコンベア)や固体原料も搬送できる容積ポンプ等の付加設備が不要であり、固体原料102の圧入による閉塞の心配もない。また、液体原料103が固体原料102に対して少ない場合でも、供給側には特別なポンプや押し込み装置が不要であり、排出口に連結したポンプP(通常の市販品でよく、安価である。)による微少、且つ正確な磨砕が可能である。同様に、磨砕部である砥石105の回転数制御、固体原料102と液体原料103のいずれか一方又は両方(両者の比を同じにして)を調整してもよい。
【0097】
図39は、前記制流手段107を有する磨砕装置を備えた液中磨砕装置を備えた液中磨砕システムの一例を示すものである。前述の通り、液中磨砕装置の構成は図28に示すものと同様であり、液中磨砕装置101はホッパー104及び固定砥石105a及び回転砥石105bを備える。なお、図39においては、回転砥石105bを回転するためのモータMが図示されている。
【0098】
ポンプMの下流位置には、流量計116が設置されており、この流量計116により計測される流量に基づいてポンプMの回転数(流量)を制御する調節計117及びインバータ118が設けられている。なお、ポンプMの代わりにバルブを設ける場合には、前記インバータ118は省略可能であり、調節計117によってバルブの開度を調節する。
【0099】
このような液中磨砕システムによって固体原料を液体原料とともに磨砕し、スラリー状とするには、先ず、ホッパー104に固体原料102及び液体原料103を供給する。ホッパー104に投入された固体原料102は、自重によって原料供給口から磨砕室106内へと落下する。それとともに、ホッパー104内の液体原料103も、原料供給口から磨砕室106内へと供給される。磨砕室106内では、前記固体原料102が磨砕部、すなわち固定砥石105aと回転砥石105bの間で磨砕され、スラリー状になって排出口からポンプPによって排出される。
【0100】
磨砕に際しては、液面制御が重要であり、本システムにおいても、排出口を密閉しながらポンプPを連結し、空気の侵入を断つようにしている。さらに、流量計116により計測される流量に基づいて調節計117及びインバータ118によってポンプPの回転数(流量)を制御し、ホッパー104内の液体原料103の液位が一定に保たれるようにしている。
【0101】
これらによって、ホッパー104からポンプPまでの経路全体が液体原料103で満たされることになり、いわゆる液中粉砕ができる。さらに、流量が適正になるようにポンプPの回転数を制御しているので、前記液中粉砕を安定して行うことができる。
【0102】
図40は、液中磨砕システムの他の例を示すものである。本例の液中磨砕システムも、基本的には先の図39に示す例と同様の構成を有するが、ホッパー104に設けた液位センサ119によって検知される液体原料103の液位に基づいて、調節計117及びインバータ118によってポンプPの回転数(流量)を制御し、ホッパー104内の液体原料103の液位が一定に保たれるようにしている。
【0103】
本例のように、ホッパー104内の液位に連動してポンプPの吸引量を調整することにより、ポンプPの吸引量が多すぎたり少なすぎたりして、ホッパー104内の液位が低下し過ぎたり、逆にホッパー104から液体原料103が溢れ出すことを防止することができる。その結果、安定して液中粉砕を行うことができる。
【0104】
以上の制流手段107(送り手段113)を設置した各例では、固体原料102のみの送り装置として機能させる。液体原料103は、例えば図28の例では、前記粗ロール113a,113b間の隙間から流通するので、従来のようなポンプによる強制的な圧入にはならない。
【0105】
本発明者らは、実際に液中磨砕装置を作製し、前述の制流手段107(送り手段113)を設置した効果を確かめるための磨砕実験を行った。具体的には、実施例(図28に示す液中磨砕装置、磨砕面は円盤状)及び比較例1(コニカルグラインダー、従来型円錐型砥石式粉砕機、磨砕面が円錐形、空気抱き込むタイプ)について、大豆の磨砕を行い、生ごの比重(密度)を測定した。
【0106】
大豆(米国産オハイオ)を15℃15時間、井戸水に浸漬した漬大豆(重量で2.2倍に膨潤)を、ミラクルサンダー(高井製作所製)の磨砕部であるクリーングラインダー(高井製作所製)にて磨砕した。大豆計量は生大豆で6俵/時間(6kg/分)、挽き水は12L/分で、一定条件とした。磨砕機出口を開放状態にした「開放磨砕」(比較例)と磨砕機出口にギヤポンプを連結して、磨砕室内の空気を押し出した上で、同様に磨砕した液中磨砕(実施例)した。それぞれの磨砕物(いわゆる生呉)を一定量の容器にとり、体積と重量から比重(密度)を求めた。その結果を表1に示した。
【0107】
【表1】

【0108】
この表1から明らかなように、水の比重は1.0267であった。結果から液中磨砕の場合、1.0357と比重が1以上となり、開放磨砕時の0.9123に比べて、磨砕物に空気が殆ど抱き込まれていないことが明らかになった。その後、両条件の生呉に消泡剤を添加せずに、豆乳製造プラントNS2000S(高井製作所製)(バッチ釜)で、水蒸気を吹き込み、100℃まで加熱したところ、開放磨砕の方は、80℃位で吹きこぼれたのに対して、液中磨砕の方は98〜約100℃になっても吹きこぼれることはなかった。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明の第1の実施の形態の液中磨砕装置の一例を示す模式図である。
【図2】液中磨砕装置を使用した液中磨砕システムの例を示す模式図である。
【図3】液中磨砕装置を使用した液中磨砕システムの他の例を示す模式図である。
【図4】液中磨砕装置を使用した液中磨砕システムの他の例を示す模式図である。
【図5】本発明の他の実施の形態の液中磨砕装置の一例を示す模式図である。
【図6】上記液中磨砕装置を使用した液中磨砕システムを示す模式図である。
【図7】本発明の他の実施の形態の液中磨砕装置を示す模式図である。
【図8】本発明の他の実施の形態の液中磨砕装置を示す模式図である。
【図9】制流手段の一例を示す模式図である。
【図10】制流手段の一例を示す模式図である。
【図11】制流手段の一例を示す模式図である。
【図12】制流手段の一例を示す模式図である。
【図13】制流手段の一例を示す模式図である。
【図14】液中磨砕装置を用いた液中磨砕システムの他の例を示す模式図である。
【図15】液中磨砕装置を用いた液中磨砕システムの他の例を示す模式図である。
【図16】液中磨砕装置を用いた液中磨砕システムの他の例を示す模式図である。
【図17】液中磨砕装置を用いた液中磨砕システムの他の例を示す模式図である。
【図18】液中磨砕装置を用いた液中磨砕システムの他の例を示す模式図である。
【図19】本発明の第2の実施の形態の制流手段の一例を示すものであり、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は側面図である。
【図20】本発明の第2の実施の形態の液中磨砕装置を模式的に示す図である。
【図21】制流手段を設けた液中磨砕装置を用いた液中磨砕システムの例を示す模式図である。
【図22】制流手段を設けた液中磨砕装置を用いた液中磨砕システムの例を示す模式図である。
【図23】制流手段の他の例を示す模式図である。
【図24】制流手段のさらに他の例を示す模式図である。
【図25】制流手段のさらに他の例を示す模式図である。
【図26】制流手段のさらに他の例を示す模式図である。
【図27】制流手段のさらに他の例を示す模式図である。
【図28】制流手段として送り手段を設けた液中磨砕装置の一例を示す模式図である。
【図29】送り手段の他の例を示す模式図である。
【図30】送り手段のさらに他の例を示す模式図である。
【図31】送り手段のさらに他の例を示す模式図である。
【図32】送り手段のさらに他の例を示す模式図である。
【図33】送り手段のさらに他の例を示す模式図である。
【図34】送り手段のロールの形状例を示す概略斜視図である。
【図35】スクリュー式の送り手段の例を示す模式図である。
【図36】液中磨砕装置を横型とした例を示す模式図である。
【図37】ポンプの代わりにバルブを設けた例を示す模式図である。
【図38】ポンプの代わりにサイホンを設けた例を示す模式図である。
【図39】制流手段として送り手段を設けた液中磨砕装置を用いた液中磨砕システムの第1の例を示す模式図である。
【図40】制流手段として送り手段を設けた液中磨砕装置を用いた液中磨砕システムの第2の例を示す模式図である。
【図41】2軸ロール式制流手段を備えた液状磨砕装置の第1の例を示す模式図である。
【図42】別駆動の螺旋体である制流手段を備えた液状磨砕装置の第2の例を示す模式図である。
【図43】別駆動の螺旋体である制流手段を備えた液状磨砕装置の第3の例を示す模式図である。
【図44】別駆動の螺旋体である制流手段(横軸)を備えた液状磨砕装置の第4の例を示す模式図である。
【図45】別駆動の螺旋体である制流手段を備え、固形原料と液体原料を別々に供給する形の液状磨砕装置の第5の例を示す模式図である。
【図46】別駆動の螺旋体である制流手段を備え、固形原料と液体原料を別々に供給する形の液状磨砕装置の第5の例を示す模式図である。
【図47】静止形制流手段を備え、固形原料が少し変形して供給される液状磨砕装置の第7の例を示す模式図である。
【図48】送り手段のロールの形状例を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
【0110】
1 供給装置、2,101 液中磨砕装置、3 原料供給口、5,104 ホッパー、6,102 固体原料、7 投入口、8,103 液体原料、9 液体原料導入管、10,111,122 液位センサ、11,105 砥石、
11a,105a 固定砥石、11b,105b 回転砥石、12,106 磨砕室、
13 排出口、14 ポンプ、15 バルブ(背圧弁、オリフィス、調節弁を含む)、16 サイホン、
21 固体原料供給管、22 固体原料供給ポンプ、
23,24 送りロール(2軸ロール)、
31 モータ、32 流量計、33 調節計、34 インバータ、41 計量機、
42 インバータ、43 原料タンク、44 ポンプ、45 バルブ、46 流量計、47 調節計、51 モータ、52 重量計、53,109 調節計、
54,110 インバータ、55 比率設定器、56 調節計、
S,107 制流手段、107a 分流体、107b 羽根、
113 送り手段、Pi 移送パイプ、U 渦、mm 溝


【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体原料と液体原料が投入供給されるホッパーと、固体原料を液体原料とともに磨砕部において磨砕する磨砕室を備え、
前記ホッパーと磨砕室の間に、かつ、液面下に制流手段が設けられていることを特徴とする液中磨砕装置。
【請求項2】
前記制流手段は、液中磨砕装置の供給口付近に、1枚〜複数の平板を設ける手段、2枚の平板を十字に組み合わせた渦巻き防止器を設ける手段、配管内に螺旋を設ける手段、配管を蛇行させる手段、又は、ホッパーから供給口に至るホッパーから供給口に至る部分を固体原料が十分通過できる程度に狭く構成する手段のいずれかであることを特徴とする請求項1記載の液中磨砕装置。
【請求項3】
前記制流手段は、液中磨砕装置の供給口付近に、流路を拡大する形状を有するものであり、その中央付近に配置された分流体に前記拡大された流路を仕切る形で複数の羽根が取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の液中磨砕装置。
【請求項4】
前記制流手段は、少なくとも一つの羽根車により、ホッパーから供給される固体原料を磨砕室に供給することを特徴とする請求項1記載の液中磨砕装置。
【請求項5】
前記制流手段は、液中磨砕装置の供給口付近に、少なくとも一つの送りロールを有する送り手段を備えるか、又は、少なくとも対向する一対の送りロールを有する送り手段を備えるか、更に、これらのロールの外周に溝が形成されていることを特徴とする請求項1記載の液中磨砕装置。
【請求項6】
前記磨砕室の排出口に、気密性を保持しつつ送液する送液制御手段が設けられていることを特徴とする請求項1〜5記載の液中磨砕装置。
【請求項7】
前記送液制御手段は、バルブ、背圧弁、自動調節弁のうち少なくとも1つの送液抑制手段であるか、または、定量ポンプ、遠心式ポンプ、磨砕機回転駆動部材に羽根等を設けて加圧機能を付与した手段、減圧吸引手段のうち少なくとも1つの送液促進手段を組み合わせた手段の、いずれかであることを特徴とする請求項6記載の液中磨砕装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項記載の液中磨砕装置を使用して、固体原料と液体原料を投入するホッパー内の前記原料のレベルを液位センサによって検知し、前記磨砕装置の排出口以降に設けられた送液制御手段によって一定に指示調節することを特徴とする液中磨砕システム。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか1項記載の液中磨砕装置を使用して、液体原料や固体原料の流量を、流量計や重量計等の計量手段によって検知し、または磨砕物の流量を、前記磨砕装置の排出口以降に設けられた流量計にて検知し、前記磨砕装置の排出口以降に設けられた送液制御手段によって、一定に調節することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の液中磨砕システム。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか1項記載の液中磨砕装置を使用して、液体原料や固体原料を投入するホッパー内の前記原料のレベルを液位センサによって検知し、前記磨砕装置の回転磨砕部材の回転数を制御することによって、一定に調節することを特徴とする液中磨砕システム。
【請求項11】
請求項1〜7のいずれか1項記載の液中磨砕装置を使用して、液体原料や固体原料の流量を、流量計や重量計等の計量手段によって検知し、または磨砕物の流量を、前記磨砕装置の排出口以降に設けられた流量計の信号によって検知し、
前記磨砕装置の回転磨砕部材の回転数を制御することによって、液体原料や固体原料の流量または磨砕物の流量を一定に指示調節することを特徴とすることを特徴とする液中磨砕システム。
【請求項12】
請求項1〜7のいずれか1項記載の液中磨砕装置を使用して、前記ホッパー内の前記原料レベルを液位センサによって検知し、液体原料や固体原料の流量計の信号を、比率設定器を介して、固形原料の供給装置の供給量と、液体原料の供給装置の供給量の比率を一定に指示調節しながら、前記ホッパー内の原料のレベルを一定に調節することを特徴とする置液中磨砕システム。
【請求項13】
請求項1〜7のいずれか1項記載の液中磨砕装置の排出口が脱泡装置の流入口に連結されていることを特徴とする液中磨砕システム。
【請求項14】
固体原料を液体原料とともに磨砕室内の磨砕部において磨砕し、スラリー状とするに際し、
前記固体原料を制流手段によって磨砕室内に供給するとともに、液体原料をホッパーから供給し、
前記液体原料の液位が前記磨砕室内を満たし、且つ前記ホッパーの少なくとも一部を満たすように設定し、前記磨砕を行うことを特徴とする液中磨砕方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【公開番号】特開2007−69206(P2007−69206A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−220722(P2006−220722)
【出願日】平成18年8月11日(2006.8.11)
【出願人】(591162631)株式会社高井製作所 (32)
【Fターム(参考)】