説明

液位検出装置

【課題】 異物除去装置を別途設ける必要の無い液位検出装置の提供。
【解決手段】燃料タンク(10)内に設けられた外周電極(13、14)と、燃料タン(10)ク内に外周電極(13、14)に長手方向に対して直交する方向に対向するように設けられ、外周電極(13、14)とともに燃料タンク10内の燃料の液位を検出するための中心電極(15)と、外周電極(14)および中心電極(15)の少なくとも一方に対して摺動して異物を除去するクリーニングブラシ(16)と、を備える液位検出装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液位検出装置にかかり、特に、車両用燃料タンクの液位を検出する液位検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の燃料タンクには液面を検出する液位検出装置が設けられているが、長期間使用すると燃料中の異物が液位検出装置の電極に付着して液面の検出精度が低下することがある。なお、燃料中の異物としては、たとえばガソリンスタンドの地下タンク中に溜まっていた不純物や燃料補給時に混入した空気中の水分や浮遊物などがある。
【0003】
電極に付着した異物を除去する液位検出装置としては、たとえば、誘電性液体を貯留する貯槽内に同心円状に配設された電極棒および金属性筒状電極と、この電極棒および金属筒状電極の下方に配設されたリファレンス電極と、を有する液位検出器において、前記金属性筒状電極と前記貯槽の内面との間、前記電極棒と前記金属筒状電極との間、および前記リファレンス電極の外側に配設された複数の洗浄液噴射ノズルを有するものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−218074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記液面検出器においては、洗浄液噴射ノズルなどの洗浄装置を別途設けているため、構成が複雑化するという問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題を解決すべく成されたものであり、洗浄液噴射ノズルなどの異物除去装置を別途設ける必要の無い液位検出装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、液位検出装置に関し、タンク内に設けられた第1電極と、前記タンク内に前記第1電極の長手方向に対して直交する方向に対向するように設けられ、前記第1電極とともに前記タンク内の液体の液位を検出するための第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に介在され、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方に対して摺動して異物を除去する異物除去部材と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の液位検出装置においては、異物除去部材が前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方に対して摺動することにより、前記第1電極および前記第2電極のうち、前記異物除去部材が摺動する一方又は両方の表面に付着した異物が除去される。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の液位検出装置に関し、前記タンクが燃料タンクとされ、前記第1電極が上下に2つの部分に分割され、前記2つに分割された第1電極の一方が燃料タンクの上壁に、前記2つに分割された第1電極の他方と前記第2電極とが前記燃料タンクの下壁に取り付けられ、前記2つに分割された第1電極の前記一方と前記他方とは、前記一方の少なくとも一部が前記他方に重なり合った状態で相互に移動可能とされているとともに、前記2つに分割された第1電極の前記一方が、前記他方に対して相対移動する動きを前記異物除去部材に伝達することを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の液位検出装置においては、前記燃料タンクが車両上下方向に変形すると、前記2つに分割された第1電極の一方が他方に対して相対移動する。同時に、前記第1電極の前記一方の動きが前記異物除去部材に伝達され、前記異物除去部材が前記第1電極の前記他方および前記第2電極の少なくとも一方に対して摺動する。これにより、前記第1電極の前記他方および前記第2電極のうち、前記異物除去部材が摺動する側の電極において異物が除去される。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の液位検出装置に関し、前記異物除去部材が前記第1電極および前記第2電極に対して摺動可能に設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の液位検出装置においては、前記燃料タンクが車両上下方向に変形することにより、前記第1電極の2つに分割された一方が他方に対して摺動し、異物除去部材も前記第1電極および前記第2電極の両方の表面を摺動する。これによって前記第1電極および前記第2電極の表面に付着した異物が除去される。
【0013】
請求項4の発明は、請求項2または3に記載の液位検出装置において、前記第1電極の前記2つに分割された一方および他方は何れも円筒状であって前記一方の内側に前記他方が挿通されているとともに、前記第2電極が前記第1電極の内側に同心に配置された円筒状または円柱状の電極であることを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の液位検出装置においては、燃料タンクが変形すると、前記第1電極の前記2つに分割された他方と前記第2電極は、前記第1電極の前記2つに分割された一方および前記異物除去部材に案内されて前記第1電極の長手方向に沿って移動する。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の液位検出装置において、前記第1電極および前記第2電極が相対移動すると、前記異物除去部材を前記移動方向回りに回転させる異物除去部材回転手段を有することを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の液位検出装置においては、燃料タンクが変形すると、前記異物除去部材は、前記第1電極および前記第2電極の表面上を摺動するだけでなく、移動方向回りに回転運動もする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、前記異物除去部材が前記第1電極および前記第2電極に対して相対移動することにより、前記第1電極および前記第2電極のうち、前記異物除去部材が摺動する電極上の異物が除去されるから、洗浄液噴射ノズルなどの異物除去装置を前記第1電極および前記第2電極の近傍に別途設ける必要の無い液位検出装置が提供される。
【0018】
請求項2の発明によれば、前記燃料タンクが車両上下方向に変形することにより、前記2つに分割された第1電極の一方が他方に対して相対移動するため、異物除去部材を前記第1電極および前記第2電極に対して摺動させるための機構が不要であり、構成が簡素な液位検出装置が提供される。
【0019】
請求項3の発明によれば、前記第1電極および前記第2電極の両方の表面の異物を一度に除去できる液位検出装置が提供される。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、前記第1電極の一方および前記異物除去部材が前記第1電極の他方と前記第2電極を案内する案内部を兼ねているため、前記第2電極を前記第1電極に対して案内するための案内機構を別途設ける必要がない液位検出装置が提供される。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、前記燃料タンクが上下方向に変形すると、前記異物除去部材は、前記第1電極および前記第2電極の表面上を摺動するだけでなく、回転運動もするから、前記異物除去部材が前記第1電極および前記第2電極の表面上を摺動のみする形態の液位検出装置と比較してより高い異物除去効果の得られる液位検出装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、実施形態1に係る燃料タンクの構成を示す断面図である。
【図2】図2は、図1に示す燃料タンクにおけるサブタンクの部分の構成を示す拡大図である。
【図3】図3は、図1に示す燃料タンクにおける液位検出装置が備える液位検出センサの構成を示す拡大図であり、(A)は、前記液位検出センサが装着されたサブタンクを燃料タンクから脱着したときの前記液位検出センサの状態を示し、(B)は前記サブタンクを前記燃料タンクに装着したときの前記液位検出センサの状態を示す。
【図4】図4は、図3に示す液位検出センサを軸線に直交する面で切断した断面を示す断面図である。
【図5】図5は、燃料タンクが上下方向に変形する様子を示す説明図である。
【図6】図6は、実施形態2に係る液位検出センサの構成を示す全体断面図である。
【図7】図7は、図6に示す液位検出センサにおける上端部近傍の構成の詳細を示す拡大断面図である。
【図8】図8は、実施形態3に係る液位検出センサの構成を示す全体断面図である。
【図9】図9は、図8に示す液位検出センサにおける上端部近傍の構成の詳細を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
1.実施形態1
以下、本発明の液位測定装置を備える燃料タンクの一例について図面を用いて説明する。図1以下において矢印UPは車体上方を示す。
【0024】
燃料タンク10は、図1に示すように略箱形形状とされた容器であり、設置される車体などの形状や部品配置によってその形状が決定される。また燃料タンク10は燃料(ガソリンなど)による腐食への耐性、機械的強度、耐衝撃性や衝突の際の安全性などを考慮して素材が選定される。
【0025】
燃料タンク10の車体上方の面である天井面30にはポンプモジュール等の取付口22が設けられており、取付口22を外側から閉塞する蓋部28で、内部の燃料が外へ漏れ出さないように密閉される。車両上方に筒状に突出した取付口22は蓋部28で密閉される。なお、蓋部28は、取付口22を密閉した状態において、天井面30とともに燃料タンク10の上側面を構成する。
【0026】
このとき、取付口22が箱状の燃料タンク10から突出していると、車体に組み付ける際にスペース効率が低下する虞があるので、取付口22を燃料タンク10の内側に沈めるように設ける方が望ましい。この場合、取付口22および蓋部28をクリアできる空間を燃料タンク10の内部に設ける必要がある。
【0027】
これにより燃料タンク10の車体上方面は外面が凹んだ凹部24が形成されており、天井面30における凹部24の内側の部分は燃料タンク10内部の車体下側に向けて突出した凸部26として形成されている。このため燃料タンク10の内部に燃料を充填していくと液面Fは凸部26の高さを超え、凸部26は燃料に浸漬する。
【0028】
燃料タンク10は一般的に樹脂または鋼板で形成されているが、剛体ではないタンクであればよく、ここでは樹脂製とされている。図1に示すように車体上方面に凹凸を設けるなどの方法でベーパー層を確保している。すなわち、揮発性を備えた燃料は外気温やエンジンなどの熱により蒸発し、燃料タンク10内の空隙に揮発ガス(ベーパー)となって充満する。このとき燃料をタンク全体に満たしてしまった場合、発生した燃料の揮発ガスは逃げ場を失い、燃料タンク10内が加圧される。これを防ぐため、ある程度の空隙(ベーパー層)を燃料タンク10内の上部に設定することで、揮発ガスの圧力の逃げ場を確保している。
【0029】
また、上記のようにベーパー層を確保している燃料タンク10では、燃料温度の上下(気温、路面や排気管などからの熱の影響)と燃料消費により、加圧と減圧が絶えず繰り返され、機械的ストレスが印加され続ける。このため、燃料タンク10の上面を複雑な凹凸形状にする事は燃料タンク10自体の機械的強度を増し、内部圧力の変化に対する対策とする意味も備わっている。
【0030】
燃料タンク10の内部には、上面が開口した有底容器であるサブタンク31が設けられ、サブタンク31にはポンプユニット32が収容されている。燃料タンク10内部の燃料は、ポンプユニット32でくみ出され、燃料ホース(図示せず。)で外部へ送り出す構成とされている。
【0031】
図1および図2に示すように、蓋部28の下面から燃料タンク10の底面20に向かってガイド柱34が延在している。ガイド柱34は、サブタンク31に設けられた円筒状のガイド筒36に挿通されている。サブタンク31は、ガイド柱34とガイド筒36とによって燃料タンク10の上下方向、言い換えれば車両上下方向に沿って案内される。なお、サブタンク31は、ガイド柱34に挿通されたコイルばね38によって底面20に向かう方向、言い換えれば車両下方に向かって付勢され、これにより、サブタンク31の底面は燃料タンク10の下側面である底面20に向かって押圧されている。
【0032】
以下、燃料タンク10の備える液位検出装置1の構成について説明する。図1および図2に示すように、液位検出装置1は、蓋部28の上面に固定されているとともに、燃料タンク10外部のコンピュータ(図示せず。)に接続されたセンサ回路11と、センサ回路11に接続されているとともに、蓋部28の下面からサブタンク31の底面に向かって延在する液位検出センサ12と、を備える。
【0033】
図1〜図4に示すように、液位検出センサ12は、蓋部28の下側の面に固定された外周電極13と、外周電極13に挿入され、外周電極13の内面上を外周電極13の長手方向に沿って摺動可能とされている外周電極14と、外周電極14の軸線に沿って設けられた棒状の電極である中心電極15と、を備える。外周電極14と中心電極15との間には、本発明の異物除去部材の一例としてのクリーニングブラシ16が介在している。外周電極13および14は本発明の第1電極の一例であり、中心電極15は、本発明の第2電極の一例である。中心電極15の下端には絶縁材からなるディスク状のエンド部材17が固定され、外周電極14は、下端においてエンド部材17に当接する。これにより、中心電極15と外周電極14との短絡が防止される。クリーニングブラシ16とエンド部材17との間にはコイルばね19が介装されている。なお、前述のように、外周電極14は外周電極13の内側を摺動するために、外周電極14と外周電極13とは互いに電気的に接触した一体の電極として機能するが、図3以下の図面においては、判りやすいように恰も外周電極14と外周電極13との間に間隙が設けられているように表現されている。
【0034】
外周電極13は、図3(A)及び図3(B)に示すように天井面13Aを有する有底円筒状とされている。
【0035】
図1〜図3に示すように、外周電極14はリード線18Aによって、中心電極15はリード線18Bによってセンサ回路11に接続されている。なお、中心電極15は本実施形態では棒状であるが円筒状であってもよい。
【0036】
クリーニングブラシ16は、図3および図4に示すように、全体として外周電極14および中心電極15と同心な円筒状とされ、円筒状の本体16Aと、本体16Aに植毛されたブラシ毛16Bとを備える。ブラシ毛16Bのうち、本体16Aの内周面に植毛されたものは、先端が中心電極15の外周面に当接し、本体16Aの外周面に植毛されたものは、先端が外周電極14の内週面に当接する。ブラシ毛16Bは、ポリアセタール樹脂やナイロン(登録商標)樹脂などが使用される。本体16Aはブラシ毛16Bと同一の材質であってもよく、金属材料を使用してもよい。なお、クリーニングブラシ16に代えて、本体16Aと同様の円筒状の部材の内週面と外周面とにスポンジ層を設けた形態のクリーニング部材も本発明における異物除去部材として使用される。クリーニングブラシ16の頂部にはパッド16Cが設けられ、図3(B)に示すように、外周電極14が外周電極13の内側に挿入されたときにパッド16Cが外周電極13の天井面13Aに当接する。
【0037】
以下、液位検出装置1において燃料タンク10の液位を求める手順について説明する。外周電極14は、外周電極13の内側に嵌装された状態で外周電極13の内周面上を摺動するから、外周電極14と電気的に導通した状態にある。
【0038】
センサ回路11においては高周波電流を発生させる。センサ回路11で発生した高周波電流は、リード線18Aを通して外周電極13および14に、リード線18Bを通じて中心電極15に入力され、外周電極13および14と中心電極15との間のインピーダンスが測定される。測定されたインピーダンスはセンサ回路11から前記コンピュータに入力され、外周電極13および14と中心電極15との間の静電容量が求められる。
【0039】
ここで、燃料タンク10の燃料が消費されると、外周電極13および14と中心電極15との間の空間は、それまで燃料によって占められていたものが空気によって占められるようになるため、静電容量は減少する。従って、静電容量の減少を検出することにより、燃料の液位を検出できる。
【0040】
コンピュータは、外周電極13および14と中心電極15との間の静電容量に基づいて燃料タンク10の液位を計算する。更に、前記コンピュータには、液位と燃料残量との関係を示すマップが記憶されており、コンピュータは前記液位のデータとこのマップとを用いて燃料タンク10内の燃料残量を求める。
【0041】
サブタンク31が燃料タンク10の外部にあるときは、図2に示すように、コイルばね38の付勢力によってガイド柱34とガイド筒36とは伸びきった状態にあるから、図3(A)に示すように外周電極13および外周電極14も伸びきった状態にある。
【0042】
一方、サブタンク31を燃料タンク10に装入し、蓋部28で取り付け口22を覆蓋すると、サブタンク31の底面が燃料タンク10の底面20に当接した状態になるから、図3(B)に示すように、エンド部材17がサブタンク31の底面によって車両上方に押し上げられ、外周電極14が外周電極13の内部に押し込まれ、クリーニングブラシ16のパッド16Cが外周電極13の天井面13Aに当接する。
【0043】
燃料タンク10の燃料の液面Fよりも車両上方の空間は、は気温や気圧の変化によって膨張、収縮するから、図5に示すように天井面30および底面20も変形する。この現象は、燃料タンク10が樹脂製の場合に特に顕著に見られる。
【0044】
ここで、前述のように、液位検出センサ12においては、クリーニングブラシ16のパッド16Cが外周電極13の天井面13Aに当接した状態にあるから、天井面30および底面20が互いに近接する方向に変形したときは、クリーニングブラシ16は外周電極13から車両下方に向かう力を受け、天井面30および底面20が互いに遠ざかる方向に変形したときは、クリーニングブラシ16はコイルばね19から車両上方に向かう力を受ける。これによって、図3(B)において矢印aに示すように、天井面30および底面20が変形する度毎に、クリーニングブラシ16は外周電極14および中心電極15に対して車両上下方向に相対移動するから、外周電極14の内周面および中心電極15の外周面に付着した異物は、クリーニングブラシ16のブラシ毛16Bによって掻き落とされる。
したがって、実施形態1の燃料タンクにおいては、洗浄液噴射ノズルのような異物除去装置を別途も受ける必要が無いから、構成が簡略化でき、また、特に異物除去操作を行う必要もない。
【0045】
2.実施形態2
以下、実施形態1の燃料タンクが備える液位検出装置に使用される液位検出センサの別の例について図面を用いて説明する。図1〜図5と同一の符号は特に説明がない限り、これらの符号が図1〜図5において示すのと同一の構成要素を示す。
【0046】
実施形態2に係る液位検出センサ112においては、図6および図7(A)、図7(B)に示すように、中心電極15の頂部における外周面にはピン状のボス15Aが突設されている。
【0047】
一方、クリーニングブラシ16における本体16Aの頂部近傍には回転ガイド16Dが設けられている。回転ガイド16Dの内周面には、ボス15Aに係合する螺旋状の溝であるガイド溝16Eが設けられている。なお、ボス15Aおよび回転ガイド16Dは、本発明の異物除去部材回転手段の一例である。
【0048】
実施形態2の液位検出センサ112においては、クリーニングブラシ16のパッド16Cが外周電極13の天井面13Aに当接した状態で燃料タンク10の天井面30が車両下方に変形すると、クリーニングブラシ16もまた外周電極13によって車両下方に押圧され、その結果、中心電極15に対して車両下方に向かって相対移動する。一方、天井面30が車両上方に変形すると、クリーニングブラシ16はコイルばね19からの付勢力によって車両上方に押圧され、その結果、中心電極15に対して車両上方に向かって相対移動する。その結果、燃料タンク10が車両上下方向に変形すると、図7(A)において矢印aに示すように、クリーニングブラシ16もまた、中心電極15に対して車両上下方向に相対移動する。
【0049】
ここで、中心電極15に突設されたボス15Aは、回転ガイド16Cのガイド溝16Eに係合しているから、クリーニングブラシ16が中心電極15に対して車両上下方向に相対移動することによるボス15Aの上下運動は、図7(A)において矢印bに示すように回転運動に変換される。したがって、クリーニングブラシ16は、中心電極15に対して車両上下方向に相対移動するだけでなく、回転運動もする。
【0050】
また、外周電極14もまた下端において、中心電極15の下端のエンド部材17に当接しているから、クリーニングブラシ16は、中心電極15に対してだけでなく、外周電極14に対しても車両上下方向への相対移動および回転運動をする。
【0051】
したがって、クリーニングブラシ16が中心電極15および外周電極14に対して車両上下方向に直線的に相対移動するが回転運動しない実施形態1の液位検出センサ12と比較して、外周電極14の内周面および中心電極15の外周面に付着した異物を更に効果的に除去できる。
【0052】
3.実施形態3
以下、実施形態1の燃料タンクが備える液位検出装置に使用される液位検出センサの別の例について図面を用いて説明する。図1〜図5と同一の符号は特に説明がない限り、これらの符号が図1〜図6において示すのと同一の構成要素を示す。
【0053】
実施形態3に係る液位検出センサ212においては、図8および図9(A)、図9(B)に示すように、中心電極15の頂部における外周面には螺旋状の溝であるガイド溝15Bが形成されている。
【0054】
一方、クリーニングブラシ16における本体16Aの頂部近傍には回転ガイド16Dが設けられている。回転ガイド16Dの内周面には、ガイド溝15Bに係合するピン状のボス16Fが突設されている。なお、ガイド溝15Bおよびボス16Eもまた、本発明の異物除去部材回転手段の他の一例である。
【0055】
実施形態3の液位検出センサ212においても、実施形態2の液位検出センサ112と同様、燃料タンク10の車両上下方向に沿った変形に伴い、図9(A)において矢印aに示すように、クリーニングブラシ16は、外周電極14および中心電極15に対して車両上下方向に相対移動する。
【0056】
ここで、回転ガイド16Cの内周面に突設されたボス16Fは、中心電極15に形成されたガイド溝15Bに係合しているから、クリーニングブラシ16が中心電極15に対して車両上下方向に相対移動することによるボス16Fの上下運動は、図9(A)において矢印bに示すように回転運動に変換される。したがって、クリーニングブラシ16は、中心電極15および外周電極14に対して車両上下方向に相対移動するだけでなく、回転運動もする。
【0057】
したがって、クリーニングブラシ16が中心電極15および外周電極14に対して車両上下方向に直線的に相対移動するが回転運動しない実施形態1の液位検出センサ12と比較して、外周電極14の内周面および中心電極15の外周面に付着した異物を更に効果的に除去できる。
【符号の説明】
【0058】
1 液位検出装置
10 燃料タンク
12 液位検出センサ
13 外周電極(第1電極)
14 外周電極(第1電極)
15 中心電極(第2電極)
15A ボス(異物除去部材回転手段)
15B ガイド溝(異物除去部材回転手段)
16 クリーニングブラシ(異物除去部材)
16E ガイド溝(異物除去部材回転手段)
16F ボス(異物除去部材回転手段)
112 液位検出センサ
212 液位検出センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンク内に設けられた第1電極と、
前記タンク内に前記第1電極の長手方向に対して直交する方向に対向するように設けられ、前記第1電極とともに前記タンク内の液体の液位を検出するための第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に介在され、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方に対して摺動して異物を除去する異物除去部材と、
を備える液位検出装置。
【請求項2】
前記タンクは燃料タンクとされ、前記第1電極は上下に2つの部分に分割され、前記2つに分割された第1電極の一方が燃料タンクの上壁に、前記2つに分割された第1電極の他方と前記第2電極とが前記燃料タンクの下壁に取り付けられ、前記2つに分割された第1電極の前記一方と前記他方とは、前記一方の少なくとも一部が前記他方に重なり合った状態で相互に移動可能とされているとともに、前記2つに分割された第1電極の前記一方は、前記他方に対して相対移動する動きを前記異物除去部材に伝達する請求項1に記載の液位検出装置。
【請求項3】
前記異物除去部材は、前記第1電極および前記第2電極に対して摺動可能に設けられている請求項2に記載の液位検出装置。
【請求項4】
前記第1電極の前記2つに分割された一方および他方は何れも円筒状であって前記一方の内周に前記他方が挿通されているとともに、前記第2電極は前記第1電極の内側に同心に配置された円筒状または円柱状の電極である請求項2または3に記載の液位検出装置。
【請求項5】
前記第1電極と前記第2電極とが相対移動すると、前記異物除去部材を前記移動方向回りに回転させる異物除去部材回転手段を有する請求項4に記載の液位検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−220298(P2012−220298A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−85222(P2011−85222)
【出願日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】