説明

液体の定量吐出方法およびその装置

【課題】液体の高速かつ高精度な定量吐出にかかるこれら問題を解消し、液体を高速に高精度に吐出する吐出方法およびその装置の提供。
【解決手段】プランジャロッドの後退動作により貯留容器から液体をシリンダに吸引し、前記プランジャロッドの進出動作により前記液体をシリンダからノズルに排出する液体の定量吐出方法であって、一回の吐出を、プランジャロッドの一回の吸入動作および一回の排出動作で行うことを特徴とする方法。吐出する液体を所望量に計量するポンプ部と、吸引および排出の液体流路を切り替えるバルブ部と、バルブ部の位置によりポンプ部と連通可能な、液体を貯留する貯留部と、液体を吐出する吐出口をそなえる吐出部と、による構成において、ポンプ部とバルブ部を連接して配設したことを特徴とする液体の定量吐出装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、あらゆる粘度の液体、たとえば、水、アルコールといった低粘性物質から、接着剤、ペースト状もしくはクリーム状の工業用材料といった高粘調流体にいたるまでの、液体を高速に高精度に吐出する方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液体を定量に吐出する装置においては、(1)調圧された圧縮空気を貯留容器内の液体に所望時間だけ適用して、ノズル先端の吐出口から所望量の液体を吐出する、Air式吐出装置、(2)貯留容器内の液体に液密に配設したプランジャを移動させて前記液体を加圧し、ノズル先端の吐出口から所望量の液体を吐出する、プランジャ式吐出装置、(3)貯留容器とノズルとの間にシリンダを設け、このシリンダ内に設けられた複数の貫通孔は一の貫通孔に一のプランジャが進退するよう施されており、プランジャの退行移動により貯留容器から液体がシリンダ内に吸入され、プランジャの進行移動により液体がシリンダからノズルへ排出される機構において、前記複数のプランジャが順に液体に作用して液体を加圧することにより、ノズル先端の吐出口から所望量の液体を吐出する、多連プランジャポンプ式吐出装置、など種々のものが開発されている。
【特許文献1】特開平10−146559号公報
【特許文献2】特開平9−175501号公報
【特許文献3】特開平7−103136号公報
【特許文献4】特開平10−299644号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、これらの技術では、現在求められているような高速なタクトタイムで、高精度にかつ定量性を維持して吐出することは不可能であった。
例えば、半導体製造におけるダイボンディング工程などにおいては、サイズの高機能を有する大きなデバイスの出現と、生産性を向上させるためのさらなる高タクト化の要求から、短時間に多量を吐出することが求められており、一方で高品質な製品が要求されることから高精度な吐出および精細な塗布が求められている。
このような要求を満たすために、前記従来技術にはいずれにも問題があった。
【0004】
たとえば、(1)Air式吐出装置は、液体を吐出する圧力源に空気圧を利用するが、空気圧は圧縮性に富んでいるため、短い時間に大きく圧力を変化させることが非常に難しく、従って高速なタクトで吐出することは不向きであった。
また、短時間に多量の液体を吐出する場合および特に吐出する液体が高粘度液剤である場合のように、液体に高い圧力を適用する必要がある場合においても、急激な貯留容器内の圧力変化が必要であるため、吐出時間を短くするには限界があり、また高速なタクトで吐出することができない問題があった。
【0005】
(2)のプランジャ式吐出装置は、貯留容器内の液体水頭付近に液密に配設されたプランジャが、貯留されている液体すべてを加圧して吐出する方式である。ここで、加圧される液体量は貯留容器内の残液量に依存されるから、液剤を加圧して所望圧力とするときの所望圧力到達時間は残液量が少量である場合は速く、残液量が多量である場合は遅くなる。このように、吐出時の圧力変化が貯留容器内の残液量によって異なるから、これに起因して吐出量のばらつきが生じる問題がある。
予め貯留する液体量を少量とすると、短い周期で貯留容器を交換する作業が必要となり作業効率が悪くなる問題が生じる。
【0006】
(3)多連プランジャポンプ式吐出装置においては、複数のプランジャが順に連続して液体を加圧動作する方式であるから、一のプランジャから他の一のプランジャに制御が移行する場合、液体は同時に2本のプランジャにより加圧されるために、与える力が均一とならず、よって吐出される液体には脈動が発生し流速が均一とならないという問題がある。
このため、この装置でワーク上に液体を線形状に塗布描画すると、線の幅および線高にムラ、歪みが発生し均一な塗布形状を形成させることができないから、高精細なパターン形状を描画する場合には、塗布形成させることが実質的に不可能である。
【0007】
本発明の目的は、液体の高速かつ高精度な定量吐出にかかるこれら問題を解消し、液体を高速に高精度に吐出する吐出方法およびその装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、プランジャロッドの後退動作により貯留容器から液体をシリンダに吸引し、前記プランジャロッドの進出動作により前記液体をシリンダからノズルに排出する液体の定量吐出方法であって、一回の吐出を、プランジャロッドの一回の吸入動作および一回の排出動作で行うことを特徴とする方法を要旨としている。
【0009】
一回に吐出する量だけシリンダ内に液体を吸引しており、その場合、本発明は、プランジャロッドの後退動作により貯留容器から一回に吐出する量だけシリンダ内に液体を吸引し、前記プランジャロッドの進出動作により前記液体をシリンダからノズルに排出する液体の定量吐出方法であって、一回の吐出を、プランジャロッドの一回の吸入動作および一回の排出動作で行うことを特徴とする方法を要旨としている。
【0010】
プランジャロッドの液体吸入開始位置と液体排出終了位置を等しくしており、その場合、本発明は、プランジャロッドの後退動作により貯留容器から液体をシリンダに吸引し、好ましくは一回に吐出する量だけシリンダ内に液体を吸引し、前記プランジャロッドの進出動作により前記液体をシリンダからノズルに排出する液体の定量吐出方法であって、一回の吐出を、プランジャロッドの一回の吸入動作および一回の排出動作で行うこと、ならびに、プランジャロッドの液体吸入開始位置と液体排出終了位置を等しくすることを特徴とする方法を要旨としている。
【0011】
プランジャロッドの液体排出終了時にシリンダ内液体残量をほぼ無にしており、その場合、本発明は、プランジャロッドの後退動作により貯留容器から液体をシリンダに吸引し、好ましくは一回に吐出する量だけシリンダ内に液体を吸引し、前記プランジャロッドの進出動作により前記液体をシリンダからノズルに排出し、その際、プランジャロッドの液体排出終了時にシリンダ内液体残量をほぼ無にする液体の定量吐出方法であって、一回の吐出を、プランジャロッドの一回の吸入動作および一回の排出動作で行うこと、好ましくはさらにプランジャロッドの液体吸入開始位置と液体排出終了位置を等しくすることを特徴とする方法を要旨としている。
【0012】
吐出毎のプランジャロッドの液体吸入開始位置を同一の位置に、かつ、吐出毎のプランジャロッドの液体吸入終了位置を同一の位置にしており、その場合、本発明は、プランジャロッドの後退動作により貯留容器から液体をシリンダに吸引し、好ましくは一回に吐出する量だけシリンダ内に液体を吸引し、前記プランジャロッドの進出動作により前記液体をシリンダからノズルに排出する、好ましくはその際、プランジャロッドの液体排出終了時にシリンダ内液体残量をほぼ無にする液体の定量吐出方法であって、一回の吐出を、プランジャロッドの一回の吸入動作および一回の排出動作で行うこと、ならびに、吐出毎のプランジャロッドの液体吸入開始位置を同一の位置に、かつ、吐出毎のプランジャロッドの液体吸入終了位置を同一の位置にすることを特徴とする、好ましくはさらにプランジャロッドの液体吸入開始位置と液体排出終了位置を等しくすること、ならびに、吐出毎のプランジャロッドの液体吸入開始位置を同一の位置にすることを特徴とする方法を要旨としている。
【0013】
吐出毎のプランジャロッドの液体吐出開始位置を同一の位置に、かつ、吐出毎のプランジャロッドの液体吐出終了位置を同一の位置にしており、その場合、本発明は、プランジャロッドの後退動作により貯留容器から液体をシリンダに吸引し、好ましくは一回に吐出する量だけシリンダ内に液体を吸引し、前記プランジャロッドの進出動作により前記液体をシリンダからノズルに排出する、好ましくはその際、プランジャロッドの液体排出終了時にシリンダ内液体残量をほぼ無にする液体の定量吐出方法であって、一回の吐出を、プランジャロッドの一回の吸入動作および一回の排出動作で行うこと、ならびに、吐出毎のプランジャロッドの液体吐出開始位置を同一の位置に、かつ、吐出毎のプランジャロッドの液体吐出終了位置を同一の位置にすること、好ましくはさらに、吐出毎のプランジャロッドの液体吸入開始位置を同一の位置に、かつ、吐出毎のプランジャロッドの液体吸入終了位置を同一の位置にすること、プランジャロッドの液体吸入開始位置と液体排出終了位置を等しくすること、ならびに、吐出毎のプランジャロッドの液体吸入開始位置を同一の位置にすることを特徴とする方法を要旨としている。
【0014】
また、本発明は、吐出する液体を所望量に計量するポンプ部と、吸引および排出の液体流路を切り替えるバルブ部と、バルブ部の位置によりポンプ部と連通可能な、液体を貯留する貯留部と、液体を吐出する吐出口をそなえる吐出部と、による構成において、ポンプ部とバルブ部を連接して配設したことを特徴とする液体の定量吐出装置を要旨としている。
【0015】
上記のバルブ部をボールバルブとしており、その場合、本発明は、吐出する液体を所望量に計量するポンプ部と、吸引および排出の液体流路を切り替えるバルブ部と、バルブ部の位置によりポンプ部と連通可能な、液体を貯留する貯留部と、液体を吐出する吐出口をそなえる吐出部と、による構成において、バルブ部をボールバルブとしたこと、ならびに、ポンプ部とバルブ部を連接して配設したことを特徴とする液体の定量吐出装置を要旨としている。
【0016】
プランジャロッドを備えたシリンダが装着されたシリンダブロックで上記のポンプ部を構成しており、その場合、本発明は、吐出する液体を所望量に計量するポンプ部と、吸引および排出の液体流路を切り替えるバルブ部と、バルブ部の位置によりポンプ部と連通可能な、液体を貯留する貯留部と、液体を吐出する吐出口をそなえる吐出部と、による構成において、プランジャロッドを備えたシリンダが装着されたシリンダブロックで上記のポンプ部を構成したこと、ならびに、ポンプ部とバルブ部を連接して配設したことを特徴とする液体の定量吐出装置を要旨としている。
【0017】
上記のバルブ部を、貯留容器に連通する第一孔および吐出部に連通する第二孔とを有するバルブブロックを具える切換弁としており、その場合、本発明は、吐出する液体を所望量に計量するポンプ部と、吸引および排出の液体流路を切り替えるバルブ部と、バルブ部の位置によりポンプ部と連通可能な、液体を貯留する貯留部と、液体を吐出する吐出口をそなえる吐出部と、による構成において、プランジャロッドを備えたシリンダが装着されたシリンダブロックで上記のポンプ部を構成したこと、上記のバルブ部を、貯留容器に連通する第一孔および吐出部に連通する第二孔とを有するバルブブロックを具える切換弁としたこと、ならびに、ポンプ部とバルブ部を連接して配設したことを特徴とする液体の定量吐出装置を要旨としている。
【0018】
上記の切換弁を、スライド型、一方向回転型、または往復動回転型の切換弁としており、その場合、本発明は、吐出する液体を所望量に計量するポンプ部と、吸引および排出の液体流路を切り替えるバルブ部と、バルブ部の位置によりポンプ部と連通可能な、液体を貯留する貯留部と、液体を吐出する吐出口をそなえる吐出部と、による構成において、プランジャロッドを備えたシリンダが装着されたシリンダブロックで上記のポンプ部を構成したこと、上記のバルブ部を、貯留容器に連通する第一孔および吐出部に連通する第二孔とを有するバルブブロックを具えるスライド型、一方向回転型、または往復動回転型の切換弁としたこと、ならびに、ポンプ部とバルブ部を連接して配設したことを特徴とする液体の定量吐出装置を要旨としている。
【0019】
シリンダブロックとバルブブロックとを密着かつ滑合するように配設することによりポンプ部とバルブ部を連接して配設しており、その場合、本発明は、吐出する液体を所望量に計量するポンプ部と、吸引および排出の液体流路を切り替えるバルブ部と、バルブ部の位置によりポンプ部と連通可能な、液体を貯留する貯留部と、液体を吐出する吐出口をそなえる吐出部と、による構成において、プランジャロッドを備えたシリンダが装着されたシリンダブロックで上記のポンプ部を構成したこと、上記のバルブ部を、貯留容器に連通する第一孔および吐出部に連通する第二孔とを有するバルブブロックを具えるスライド型、一方向回転型、または往復動回転型の切換弁としたこと、ならびに、シリンダブロックとバルブブロックとを密着かつ滑合するように配設することによりポンプ部とバルブ部を連接して配設したことを特徴とする液体の定量吐出装置を要旨としている。
【発明の効果】
【0020】
このように、ポンプ部とバルブ部を連接して配設し、かつプランジャロッドがバルブに接合する面で吸入開始しおよび吐出完了することができるから、余剰量の液体を圧縮させること無く、つまり必要最低限の液体を加圧することが可能となり、液体を高い応答性で制御することができ、従って、高速なタクトで吐出することができる。
また、プランジャロッド先端位置が吐出毎に常に一定であるから、高精度に吐出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
プランジャロッドの後退動作により貯留容器から液体をシリンダに吸引し、前記プランジャロッドの進出動作により前記液体をシリンダからノズルに排出する液体の定量吐出方法において、一回の吐出をプランジャロッドの一回の吸入動作および一回の排出動作で行うことを特徴とする。液体は同時に複数本のプランジャにより加圧させることが無いから、液体に適用する加圧力が一定となり、よって吐出される液体に脈動が発生せず、流速が均一となる。このため、ワーク上に液体を線形状に塗布描画しても、線の幅および線高にムラ、歪みが発生せず、均一な塗布形状を形成させることができ、高精細がパターン形状を塗布形成させることができる。さらに、一回の吐出を一回のプランジャロッドの移動で行うので、吐出される液体に脈動が無く、一定した流速で液体を吐出させることが可能であることから、所望する描画形状を均一かつ高精細に塗布形成させることができる。
【0022】
また、吐出とは、液体を加圧して誘起された液体と大気圧との圧力差によってノズルから液体が流出することであるから、圧力差を効果的に誘起するためには、加圧される液体の体積は少量であるほど好ましく、より急峻に液体圧力を上昇させることができ、短時間に多量の液体を吐出する場合および特に吐出する液体が高粘度液剤である場合に効果的である。したがって、複数回の吐出量に相当する液体量を加圧することよりも、一回の吐出量をシリンダ内に液体を吸引して加圧することが好ましい。より好ましくは、プランジャロッドの液体排出終了後のシリンダ内には液体残量が無いことである。一回に吐出する量の液体をシリンダに吸入し、シリンダ内の前記液体をプランジャロッドの移動により圧力を適用させて吐出することから、加圧する液体量を最小限にすることが可能であり、よって液体に起因する影響を効果的に排除ならしめ、さらには液体を加圧してから液体がノズルより吐出されるまでの時間を大幅に短縮することが可能であり、高速な吐出を可能とする。
【0023】
ここで、プランジャロッドの液体吸入開始位置と液体排出終了位置を吐出毎で等しくすることが好ましい。吐出毎の加圧する液体量を常に一定ならしめることは、加圧される液体量が貯留容器内の残液量に依存されることが無く、吐出時のプランジャロッドが液体を加圧するときの液体圧力が上昇するプロセスを吐出毎に等しくすることができるから、貯留容器内の残液量に依存する吐出量のばらつきが無い。より好ましくは、さらに吐出毎のプランジャロッドの液体吐出開始位置を同一の位置に、かつ吐出毎のプランジャロッドの液体吐出終了位置を同一の位置にする。吐出毎の吐出開始および吐出終了におけるプランジャロッドの位置が常に一定であることから、液体圧縮量が容器に貯留された液体量に依存されず常に一定となり、安定した高精度な吐出が行うことができる。さらに好ましくは、さらに吐出毎のプランジャロッドの液体吸入開始位置を同一の位置に、かつ吐出毎のプランジャロッドの液体吸入終了位置を同一の位置にする。
【0024】
具体的な装置構成は、液体を吐出するノズルと、液体を貯留する貯留容器と、内部に空間を有するシリンダと、前記シリンダに内接して進退するプランジャロッドと、プランジャロッドを駆動する駆動手段と、シリンダと貯留容器またはノズルとを連通する切換弁と、を具える液体定量吐出装置である。この装置では、駆動手段に連結されたプランジャロッドが内壁に接して進退移動し、プランジャロッドが吐出量に等しい量だけ退行移動して貯留容器よりシリンダに液体を吸入し、プランジャロッドが吐出量に等しい量だけ進行移動してシリンダからノズルへ液体を排出することにより吐出を行う。このとき切換弁は、プランジャロッドが後退移動してシリンダに液体を吸入するときはシリンダと貯留容器を連通し、プランジャロッドが進出移動してシリンダから液体を排出するときはシリンダとノズルを連通するよう作動する。
【0025】
貯留容器と切換弁とを液送管を介して連通することにより、液剤貯留部と吐出機構部とを分離することができるため、取る扱いやすい場所に貯留容器を配置することが可能であり、たとえば、貯留容器内の液体の残量が少なくなった場合に、液体貯留容器に液体を補充する、または予め液体が充填されている貯留容器ごと交換する作業を容易に行うことが可能となる。さらには、容器内に貯留する液体量は使用する液体のポットライフや一日の作業量から考察して、計画的に適切な量を貯留しておくことができるため、一日の作業における液体の補充作業を不用とすることも、適宜補充することも可能である。
【0026】
さらに、ノズルと切換弁とを液送管を介して連通することにより、吐出機構部と吐出口を分離することができるため、吐出機構部は固定部に設置し、ノズルを可動部、たとえばロボットに搭載して作業することが可能となるため、可動部を極めて軽量に構成することができる。これにより塗布作業、たとえばワーク表面上に所望するパターン形状に塗布する描画作業を極めて高速に行うことが可能となる。
【0027】
貯留容器内の液体が高粘性流体である場合、またはシリンダ内に速やかに液体を吸引させる場合などには、貯留容器の液体をシリンダに液送するためにプランジャロッドの後退移動による吸引力を補助するために貯留容器内の液体を加圧する加圧装置を具えることが好ましい。
【0028】
また、ピストン内部に滑りこむプランジャロッド径はシリンダ内径とはほぼ等しいことが好ましい。より好ましくは、プランジャロッドがシリンダに内接する。 また、プランジャロッド径のシリンダに内接する外郭断面形状を円形状とすることもできる。
【0029】
切換弁はボールバルブとすることができる。好ましくは、切換弁を、貯留容器とを連通する第一孔およびノズルとを連通する第二孔とを有しスライドして連通する部位を切換えるバルブブロックを具えるスライド弁とする。前記第一孔と第二孔は隣接するほど、切換時のロスタイムを短縮することができ高速なタクトタイムで吐出することができる。
【0030】
駆動手段および/または切換弁が、制御部の信号に基づいて動作することができる。好ましくは、吐出時においてはプランジャロッドがノズルに連通するよう切換弁を制御し、さらに駆動手段を制御して液体を加圧し、また吸引時においてはプランジャロッドが貯留容器と連通するよう切換弁を制御し、さらに駆動手段を制御して液体を吸引する。
【0031】
プランジャロッドの本数は複数とすることができる。このとき、複数回の吐出においては、毎回異なったプランジャロッドで行うことができるから、プランジャロッドのいずれか一の吐出動作にあたって、他のプランジャロッドが吸引または停止動作することにより、次の吐出時には、液体を吸引したプランジャロッドが液体を速やかに吐出することができるから、効果的に液体の吸引にかかる時間を不用ならしめ、より高速なタクトタイムができる。
【0032】
さらには、駆動手段をプランジャロッドの数と等しくすることが可能である。 また、プランジャロッドを独立して制御を可能とすることができる。このとき、一のプランジャロッドが液体を吐出するときのプランジャロッドの吐出作動速度と、他のプランジャロッドが液体をシリンダ内に吸引するときの吸引作動速度と、を異なる速度に容易に調整可能であるから、複数のプランジャロッドのうち一のプランジャロッドが吐出に携わるときには吐出に好適な、吸引に携わるときには吸引に好適な速度とすることが可能であり好ましい。
【0033】
さらに、本発明の、液体吐出装置は、液体を吐出するノズルと、液体を貯留する貯留容器と、プランジャポンプと、プランジャポンプを駆動する駆動手段と、シリンダと貯留容器またはノズルとを連通する切替弁とを具え、プランジャポンプを構成するシリンダブロックと切替弁を構成するバルブブロックとを密着かつ滑合するように配設したことを特徴とする。ポンプ部とバルブ部を連接して配設し、かつ、プランジャロッドがバルブに接合する面で吸入開始および吐出完了することができるから、余剰量の液体を圧縮させることなく、必要最低限の液体を加圧することが可能となり、液体を高い応答性で制御することができ、従って、高速なタクトで吐出することができ、また、プランジャロッド先端位置が吐出毎に常に一定であるから、高精度に吐出することができる。
【0034】
したがって、ポンプ部の構成部品であるプランジャロッドの進退移動、およびそれに伴うバルブ部の構成部品であるバルブブロックの移動で液体の排出および吸引を切替え、詳しくはポンプ部の構成部品であるバルブブロックの位置がポンプ部と液体貯留部が連通する位置にあるときに、プランジャロッドが吐出量に相当する位置まで退行移動して貯留容器から液体をシリンダ内に移動させ、プランジャロッドを前記退行移動を開始した位置まで退出移動させてノズル先端から液体を吐出させるべく構成し、このとき、退行開始時および吐出完了時のプランジャロッドの先端位置を、バルブブロックとシリンダブロックの接合する面とする。
【0035】
ここで、液体はわずかではあるが圧縮性があり、加圧すると体積を減少させる。つまり、液体を加圧するには、液体を圧縮させる必要があり、加圧する液体量が多ければ多いほど急峻な圧力上昇を起こすことが難しくなる。例えば、当該装置においては加圧すべき液体量が多ければ多いほどピストンロッドの移動速度を上げなければ圧力上昇プロセスが等しくならない。つまり、圧縮すべき液体量が少なければ僅かなピストンロッドの進退移動量で圧量上昇が可能である。したがって、前記退行開始時および吐出完了時のプランジャロッドの先端位置を、バルブブロックとシリンダブロックの接合する面とする位置からプランジャロッドが退行するから、余剰の液体をピストン内に貯留することがなく、必要最低量の液体を加圧することが可能となる。
【0036】
また、必要最低量の液体量に圧力を作用させるから、プランジャロッドの動作に応じてノズル先端から液体が吐出され、たとえば吐出完了後プランジャロッドが停止しているにもかかわらずノズル吐出口よりだらだらと液体が吐出され続けるようなことがなく、圧縮した液体の膨張に起因する吐出完了の遅れ、ひいては液ダレを排除することができ、高応答性で液体を制御することが可能となる。
また、このように常にピストンロッド先端の液体吸引開始位置、および液体吐出完了位置を一定の位置とすることで、加圧される液体も、ピストンロッド先端からノズル先端までの液体量が一定の量になるから、圧力バッファの圧縮量が常に一定した量となり、従って、吐出毎の液体量が安定し、精度良い吐出が可能となる。
【0037】
さらに、一回の吐出は一つのピストンロッドの一回の進出移動で行われるから、ノズル先端より吐出される液体には脈動が無い。また、ピストン無いに吸入された液体はすべてピストン内から排出されるから、ピストンロッド付近に対流する液体がなく、長時間対流した液体がピストン内で変性してしまうことがない。例えば接着剤では固化してしまいピストンロッドとピストンが固定されてしまう、といったことがない。
【0038】
(作用)
ポンプ部の構成部品であるプランジャロッドの進退移動、およびそれに伴うバルブ部の構成部品であるバルブブロックの移動で液体の排出および吸引を切替え、詳しくはバルブブロックの位置がポンプ部と液体貯留部が連通する位置にあるときに、プランジャロッドが吐出量に相当する位置まで退行移動して貯留容器から液体をシリンダ内に吐出する量だけ吸引し、その後バルブブロックをポンプ部とノズル部とが連通する位置に移動させ、プランジャロッドを前記退行移動を開始した位置まで進出移動させてノズル先端から液体を吐出させる。このとき、退行開始時および吐出完了時のプランジャロッドの先端位置を、バルブブロックとシリンダブロックの接合する面とする。ここで、液体にはわずかではあるが圧縮性があり、加圧すると体積を減少させる。つまり、液体を加圧するには液体を収縮させる必要があり、加圧する液体量が多ければ多いほど急峻な圧力上昇を起こすことが難しくなる。例えば、当該装置においては加圧すべき液体量が多ければ多いほどピストンロッドの移動速度を上げなければ圧力上昇プロセスが等しくならない。つまり、圧縮すべき液体量が少なければ僅かなピストンロッドの進出移動量で圧力上昇が可能である。
したがって、前記退行開始時および吐出完了時のプランジャロッドの先端位置を、バルブブロックとシリンダブロックの接合する面とする位置からプランジャロッドが退行するから、余剰の液体をピストン内に貯留することがなく、必要最低量の液体を加圧することが可能となる。
また、必要最低限の液体量に圧力を作用させるから、プランジャロッドの動作に応じてノズル先端から液体が吐出され、たとえば吐出完了後プランジャロッドが停止しているにもかかわらずノズル吐出口よりだらだらと液体が吐出され続けるようなことがなく、圧縮した液体の膨張に起因する吐出完了の遅れ、ひいては液ダレを排除することができ、高応答性で液体を制御することが可能となる。
また、このように常にピストンロッド先端の液体吸引開始位置、および液体吐出完了位置を一定の位置とすることで、加圧される液体も、ピストンロッド先端からノズル先端までの液体量が一定の量になるから、圧力バッファの圧縮量が常に一定した量となり、従って、吐出毎の液体量が安定し、精度良い吐出が可能となる。
さらに、一回の吐出は一のピストンロッドの一回の進出移動で行われるから、ノズル先端より吐出される液体には脈動が無い。
また、ピストン内に吸入された液体はすべてピストン内から排出されるから、ピストンロッド付近に滞留する液体がなく、長時間滞留した液体がピストン内で変性してしまうようなことがない。例えば接着剤では固化してしまいピストンロッドとピストンが固定されてしまう、といったことがない。
【0039】
このように、ポンプ部とバルブ部を連接して配設し、かつプランジャロッドがバルブに接合する面で吸入開始しおよび吐出完了することができるから、余剰量の液体を圧縮させること無く、つまり必要最低限の液体を加圧することが可能となり、液体を高い応答性で制御することができ、従って、高速なタクトで吐出することができる。
また、プランジャロッド先端位置が吐出毎に常に一定であるから、高精度に吐出することができる。
【0040】
本願発明の詳細を実施例で説明する。本願発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0041】
図1とともに説明する。ボールバルブ7は、貯留容器6、ノズル9およびシリンダ5と接続されている。ボールバルブ7内の弁体8の回転動作により、シリンダ5がノズル9とまたは貯留容器6と連通するよう制御される。ボールバルブ7はAir駆動であり、エア制御手段10から供給されるAirにより行われる。貯留容器6へは適宜液体を補充することができる。この容器の液量は吐出量に影響を与えることは無い。プランジャロッド4はプランジャロッド取付板3に接続されており、モータ1の回転駆動がプランジャロッド取付板3の進退運動に変換されて、プランジャロッド4がシリンダ5に内接して進退動作する。
エア制御手段10とモータ1は制御部11によって制御されており、制御部11からの信号に基づいて動作する。
【0042】
吐出作業は、以下の(1)〜(2)の順番に行われる。
(1)貯留容器6とシリンダ5とを連通するようボールバルブ7の弁体8の位置を制御する。
(2)シリンダ5内に所望する液体量が吸入されるようモータ1を制御してプランジャロッド4を後退移動させる。(吸入開始)
このとき、吸入を開始するときのプランジャロッド4の位置は、シリンダ5のボールバルブ7の弁体8に近いほど好ましい。
(3)プランジャロッド4を後退移動させて所望する液体量がシリンダ5内に吸入されると(充填完了)、シリンダ5とノズル9とが連通するようボールバルブ7の弁体位置を変位する。
(4)吸入した液体量をシリンダ5から排出するようモータ1を制御してプランジャロッド4を前進移動させる。プランジャロッド4が進出移動するとシリンダ5内の液体が加圧され、ノズル9先端の吐出口から液体が吐出される。ボールバルブ7は貯留容器6と連通していないから、シリンダ5内の液体が加圧されても貯留容器6へ液体が逆流することは無い。このとき、プランジャロッド4は液体をシリンダ5内に吸引したときの吸引開始位置まで前進移動させる。(吸引開始位置と排出終了位置を同位置とする)これで、所望量の液体がノズル9先端から吐出される。(吐出終了)
(5)次の吐出は、再び上記1と同様にボールバルブ7の弁体位置を貯留容器6とシリンダ5が連通する位置に変位して上記1〜4までの作業を繰り返す。プランジャロッド4は排出終了位置から次の吐出の吸引を開始する。
【0043】
このように、吐出毎に、同じ位置からプランジャロッド4が吸引を開始し、さらに同じ量がシリンダ5内に吸入され、同じ位置からシリンダ5内の液体が加圧され、同じ位置で吐出が終了するといった一連の動作を繰り返すことで、ノズル9先端からプランジャロッド4先端までに満たされている液体量を常に一定とすることができるから、安定した一定の吐出量を得ることができ、さらに、吐出する液体量と同量をシリンダ5内に充填することは、吐出に必要な最小量の液を充填することにほかならないから、液体の充填および吐出にかかる外乱因子等による吐出量を不安定とする作用をも最小限に抑えることができ、安定した吐出量を得ることができる。
【実施例2】
【0044】
図2(a)、(b)とともに説明する〔図2(a)は貯留容器6とエア制御手段10と制御部11とこれらをつなぐ線を省略している〕。
シリンダブロック31には、シリンダA29とシリンダB30とが立設され、シリンダA29およびB30の内径と同径でかつ連続する貫通孔が穿たれており、該孔はプランジャ室を形成する。プランジャ室には、プランジャロッドA27とプランジャロッドB28が進退自在に嵌装されており、各プランジャロッドの行程は、最前進位置におけるプランジャロッドの前端面がシリンダブロック31の一側面と面一になるように設定されている。シリンダブロック31の前記貫通孔の開口を有する一側面には、バルブブロック34が密着かつ滑合するように配設されており、バルブブロック34は押部材35によりシリンダブロック31に圧接されており、両ブロック間の液体の漏洩を防止している。
【0045】
バルブブロック34は、図示のように流路が形成されていて、シリンダブロック31とでスライド弁を構成し、貯留容器6とノズル9との間の流路の開閉して、ノズル9に供給する液体の制御をする。また、バルブブロック34のシリンダブロック31に圧接する面の流路が開口していない部分は、シリンダヘッドとして機能する。すなわち、スライド弁はバルブブロック34およびシリンダブロック35により構成されており、シリンダA29と貯留容器が連結するにあたってシリンダB30とノズル9が連通するように、またシリンダA29とノズル9が連通するにあたってはシリンダB30と貯留容器6が連通するように、エア制御手段10からの信号に基づいてシリンダブロック31に対してバルブブロック34がスライドして切替作動する。
また、バルブブロック34は、前記押部材と前記シリンダブロック31との間で圧接しているから、バルブブロック34の摺動を円滑ならしめるため、バルブブロック34の、押部材35との接触面およびシリンダブロック31との接触面は摩擦係数が低くすることが好ましく、具体的には、接触する面積を小さくすることで行うことができる。
【0046】
モータA20は、ボールネジA23とギアA21を介して接続されている。 プランジャロッドA27はモータA20の回転動作によりシリンダA29に内接して進退動作するよう、プランジャロッド取付板A25に付けられている。 プランジャロッドB28はボールネジB24の回転によりシリンダB30に内接して進退動作するよう、プランジャロッド取付板B26に取りつけられており、プランジャロッドA27が進出移動するときにはプランジャロッドB28が退行移動するように、プランジャロッドA27が退行移動するときにはプランジャロッドB28が進出移動するように、ボールネジB24に連結したギアB22はギアA21と連結している。
【0047】
エアシリンダA36先端の押部材35は、シリンダブロックをエア制御手段10から供給されるエア圧力により加圧固定しているから、バルブブロック34は、シリンダブロック31および押部材35に密接して、相対的にスライド動作することができ、不要な液体の漏出を防止することができる。
エア制御手段10から常に一定のエア加圧力が供給されると、エアシリンダA先端の押部材35は常に所望の力でバルブブロック34とシリンダブロック31を当接させることができる。加圧力としてバネ等を使用すると、材料等の変質および変形等により、バルブブロックを抑えつける力が変位するため好ましくない。 さらに、エアシリンダを使用することは、万が一バルブブロック34とシリンダブロック31の接触面が磨耗してバルブブロック34の幅が小さくなっても、一定の加圧力に調圧されたエア圧力がエアシリンダに供給されていることから、磨耗前と同じ大きさの力でバルブブロック34をシリンダブロック31に当接可能であり、バルブブロック34とシリンダブロック31との接触面に間隙が発生せず、不要な液体の漏出を防止することができる。
【0048】
エアシリンダA36にはストッパーを取り付けて、バルブブロック34にシリンダブロック31と離れる方向の力がかかった場合に、エアシリンダA36が引っ込むのを防ぎ、バルブブロック34とシリンダブロック31とが離れないようにすることもできる。
バルブブロック34は、シリンダブロック31との接触面と平行にスライド動作し、シリンダA29がノズル9と連通するときシリンダB30が貯留容器6と連通するように、またシリンダB30がノズル9と連通するときシリンダA29が貯留容器6と連通するように、位置制御される。
このスライド動作は、エアシリンダB37をエア制御手段10が制御することにより行うことができる。
【0049】
エアシリンダB37の両端に接続された2本のバルブブロック支持アーム33の、アーム間の距離幅と同じ幅に形成されているバルブブロック34を前記2本の支持アーム33の間に挟み込んで、バルブブロック34をスライド動作させる。
【0050】
前記バルブブロック34は、接着固定されたものではなく、エアシリンダB37のバルブブロック支持アーム33と、エアシリンダA36の押部材35と、に加圧固定されているに過ぎないから、エアシリンダA36に圧力供給を断ち押し部材35がバルブブロック34の加圧を低下させると、簡単にバルブブロック34を取り外すことができ、バルブブロック34が磨耗したときの交換を容易とする。
【0051】
モータB38はボールネジC39と連結しており、モータB38の回転動作によりベースブロック49とサブブロック50との相対距離をボールネジC39の軸方向に変えることができる。
【0052】
ベースブロック49には、モータA20、ボールネジA23、ボールネジB24、プランジャロッドA27、プランジャロッドB28、プランジャロッド取付板A25、プランジャロッド取付板B26が固定されており、サブブロック50にはシリンダA29、シリンダB30、シリンダブロック31、ノズル9およびバルブブロック34が固定されているから、ベースブロック49とサブブロック50との相対距離をボールネジC39の回転方向に移動できることは、プランジャロッドA27およびプランジャロッドB28の相対距離を一定としたまま、プランジャロッドA27およびプランジャロッドB28とバルブブロック34との相対距離を調節できるから、微量吐出を行うようなプランジャロッドが僅かにしか変位しない場合には、プランジャロッド位置をバルブブロック34に近づけることが可能となり、不要な液体をシリンダ内に残留することを効果的に除去することができる。
【0053】
プランジャロッドの進退移動する最大ストローク量の中央が、プランジャロッドA27先端およびプランジャロッドB28先端が揃う位置であるとしたとき、最大ストロークを必要としない量を吐出する場合、例えば微量を吐出する場合には、プランジャロッドの最大ストローク量と比べて僅かな量しか進退動作をしない。このとき吐出終了時のプランジャロッド先端位置からバルブブロック34までの液体はバッファとして働くため、高速タクトで吐出を行う場合には特にバッファとなる液体は排除されることが好ましい。
【0054】
貯留容器6へは適宜液体を補充することができる。また、液体が貯留された別の貯留容器6に交換することも可能である。
エアシリンダA36およびエアシリンダB37はエア制御手段10に接続されていて、必要に応じてエアを供給することができる。また、エア制御手段10とモータA20とモータB38とは、制御部11に接続されており、制御部11の信号に基づいて動作する。
【0055】
吐出作業は、
(1)プランジャロッドA27およびプランジャロッドB28の先端がシリンダブロックから等距離にある位置(揃う位置)に調節する。この位置を基礎位置とする。
(2)プランジャロッドA27を所望吐出量の半分の体積量だけモータA1を駆動して進出移動させる。このときモータA1の回転は、プランジャロッドB28が所望吐出量の半分の体積量だけ後退移動するように、ギアA21を介してギアB22に伝わる。
(3)このときのプランジャロッドA27の基準位置からの進出量は、前記所望とする量を吐出する場合においては最大であるから、前記プランジャロッドA27の先端位置をバルブブロック34に近づけるようにモータB38を駆動して、シリンダA29内の液体残量が最小となるよう、好ましくはゼロとなるようにベースブロック49とサブブロック50の相対距離を調節する。
モータBの駆動により、プランジャロッドA27およびプランジャロッドB28は一体的に並進移動するから、前記プランジャロッドA27および前記プランジャロッドB28の相対距離は変わらない。
【0056】
(4)ここで、貯留容器とシリンダA29とを連通するように、すなわちノズル9とシリンダB30が連通するようにバルブブロック34の位置を調節する。 (5)次に、シリンダB30を所望吐出体積量だけモータA20を駆動して進出移動させる。このときモータA20の回転は、プランジャロッドA27が所望吐出体積量だけ後退移動するから、貯留容器6の液体がシリンダ内に吸引される。 (6)さらに、貯留容器6とシリンダB30とを連通するように、すなわちノズル9とシリンダA29が連通するようにバルブブロック34の位置を調節する。 (7)シリンダA29を所望吐出体積量だけモータA20を駆動して進出移動させる。シリンダA29には所望量の液体が充填されていたから、前記モータA20の駆動によりノズル9先端の吐出口から液体が吐出される。また、貯留容器6とシリンダB30が連通しており、このときモータA20の回転によりプランジャロッドB28は所望吐出体積量だけ後退移動するから、貯留容器6の液体がシリンダB30内に吸引される。
(8)以下4〜7の動作で液体が吐出される。
【0057】
このように、一のプランジャの進出により吐出が行われると同時に、他の一のプランジャが液体をシリンダ内に吸引されるから、高速なタクトで吐出作業を行うことができる。
【実施例3】
【0058】
実施例3は、2つのプランジャロッド27,28それぞれにモータ60,61が接続され、さらに貯留容器6からシリンダ29,30に液体が速やかに充填できるよう、貯留容器6内の液体に空圧を適用した例である。〔図3(a)と(b)はともに実施例3を表す装置図であり、同じ装置を、角度を変えて記してある。図3(a)には、貯留容器6とエア制御手段10とノズル9が描かれてなく、また、図3(b)には、制御部11が記されていないが、本来は、図3(a)、図3(b)ともに、貯留容器6、エア制御手段10、ノズル9、制御部11が取り付けられてある。また、エア制御手段10も制御部11につながれていて、制御部11によって制御される。これらの図では角度によって、わかりにくくならないようにするために、省略した。〕
主な特徴は以下の通りである。
【0059】
(1)2つボールネジ23,24のそれぞれに、モータ60,61を接続しているので、2本のプランジャロッド27,28をそれぞれ独立して動かすことができる。これにより、吐出と吸入の速度を変化させることができるので、吸入に時間がかかるような液体において、吐出速度を変化させずに、充填速度を遅くすることが可能であり、液体に不適な吸引力を作用させることがなく、キャビテーションなどが発生するのを抑えることができる。
【0060】
(2)独立している2つのモータ60,61を同じ方向に回転させることによって、プランジャロッドA27とプランジャロッドB28との相対距離を一定にしたまま、プランジャロッドA27およびプランジャロッドB28とバルブブロック34との相対距離を調整できるから、本実施例3においては、実施例2のような、ベースブロックとサブブロックにわけてこれをモータによってスライドさせることを不用とする。
【0061】
(3)貯留容器6からシリンダ29,30に液体が速やかに吸入できるよう、貯留容器6内部の空気をエア制御手段10によって加圧することができることから、シリンダへの液体の供給を高速とすることが可能となり、より高速なタクトタイムで吐出作業を行うことができる。高粘度液体を吐出する場合に効果が大きい。貯留容器6とシリンダブロック31とが液送チューブ64でつながれている。また、バルブブロック34とノズル9とが液送チューブ40でつながれている。このため、貯留容器6と、ポンプ本体とノズル9とを離れた位置に置くことができる。ポンプ本体が手の届かない場所に設置しなければならない場合においても、貯留容器6を手元に設置することができるので、液体がなくなったりして貯留容器6を交換するときに便利である。
【実施例4】
【0062】
この実施例は、実施例3の装置をXYZロボット(塗布ロボット)72に使用する実施例である。
ポンプ本体70のバルブブロック34から液送チューブ64を介して接続されているノズル9をXYZロボット72に搭載している。
ポンプ本体70のシリンダブロック31からは、液送チューブ64を介して貯留容器6に接続されている。貯留容器6は、エアチューブ63を介してエア制御機能を有する制御部71に接続される。この制御部71は、ポンプ本体の各モータに接続されていてこのモータを制御することができる。
従来のように貯留容器ごとXYZロボットに搭載していたのに比べ、XYZロボットのヘッドを軽くすることができるので、ノズルとワークテーブルとの相対移動を高速にかつ円滑に行うことができるので、安定した塗布を行うことができる。
【0063】
この図からわかるとおり、ノズル9、ポンプ本体70、制御部71および貯留容器6が異なる場所に配置することができるから、制御部71および貯留容器6など頻繁に取り扱うものは作業のしやすい場所に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】実施例1の概略図である。
【図2】実施例2の概略図である。
【図3】実施例3の概略図である。
【図4】実施例4の概略図である。
【符号の説明】
【0065】
1 モータ
2 ボールネジ
3 プランジャロッド取付板
4 プランジャロッド
5 シリンダ
6 貯留容器
7 ボールバルブ
8 弁体
9 ノズル
10 エア制御手段
11 制御部
12 エアチューブA
13 エアチューブB
20 モータA
21 ギアA
22 ギアB
23 ボールネジA
24 ボールネジB
25 プランジャロッド取付板A
26 プランジャロッド取付板B
27 プランジャロッドA
28 プランジャロッドB
29 シリンダA
30 シリンダB
31 シリンダブロック
32 貯留容器取付口
33 支持アーム
34 バルブブロック
35 押部材
36 エアシリンダA
37 エアシリンダB
38 モータB
39 ボールネジC
40 液送チューブA
41 エアシリンダBエアチューブ取付口1
42 エアシリンダBエアチューブ取付口2
43 エアチューブC
44 エアチューブD
45 エアシリンダAエアチューブ取付口1
46 エアシリンダBエアチューブ取付口2
47 エアチューブE
48 エアチューブF
49 ベースブロック
50 サブブロック
60 モータC
61 モータD
62 モータE
63 エアチューブG
64 液送チューブB
70 ポンプ本体(実施例3のもの)
71 制御手段(エア制御手段を含む)
72 塗布ロボット(XYZロボット)
73 貯留容器保持台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プランジャロッドの後退動作により貯留容器から液体をシリンダに吸引し、前記プランジャロッドの進出動作により前記液体をシリンダからノズルに排出する液体の定量吐出方法であって、一回の吐出を、プランジャロッドの一回の吸入動作および一回の排出動作で行うことを特徴とする方法。
【請求項2】
一回に吐出する量だけシリンダ内に液体を吸引する請求項1の液体の定量吐出方法。
【請求項3】
プランジャロッドの液体吸入開始位置と液体排出終了位置を等しくする請求項1または2の液体の定量吐出方法。
【請求項4】
プランジャロッドの液体排出終了時にシリンダ内液体残量をほぼ無にする請求項1、2または3の液体の定量吐出方法。
【請求項5】
吐出毎のプランジャロッドの液体吸入開始位置を同一の位置に、かつ、吐出毎のプランジャロッドの液体吸入終了位置を同一の位置にする請求項1〜4のいずれかの液体の定量吐出方法。
【請求項6】
吐出毎のプランジャロッドの液体吐出開始位置を同一の位置に、かつ、吐出毎のプランジャロッドの液体吐出終了位置を同一の位置にする請求項1〜5のいずれかの液体の定量吐出方法。
【請求項7】
吐出する液体を所望量に計量するポンプ部と、吸引および排出の液体流路を切り替えるバルブ部と、バルブ部の位置によりポンプ部と連通可能な、液体を貯留する貯留部と、液体を吐出する吐出口をそなえる吐出部と、による構成において、ポンプ部とバルブ部を連接して配設したことを特徴とする液体の定量吐出装置。
【請求項8】
上記のバルブ部をボールバルブとした請求項7の液体の定量吐出装置。
【請求項9】
プランジャロッドを備えたシリンダが装着されたシリンダブロックで上記のポンプ部を構成する請求項7の液体の定量吐出装置。
【請求項10】
上記のバルブ部を、貯留容器に連通する第一孔および吐出部に連通する第二孔とを有するバルブブロックを具える切換弁とした請求項8の液体の定量吐出装置。
【請求項11】
上記の切換弁を、スライド型、一方向回転型、または往復動回転型の切換弁とした請求項10の液体の定量吐出装置。
【請求項12】
シリンダブロックとバルブブロックとを密着かつ滑合するように配設することによりポンプ部とバルブ部を連接して配設した請求項10または11の流体の定量吐出装置。
【請求項13】
貯留容器とバルブ部とを液送管を介して連通すべく構成した請求項7ないし12のいずれかの流体の定量吐出装置。
【請求項14】
吐出部とバルブ部とを液送管を介して連通すべく構成した請求項7ないし13のいずれかの流体の定量吐出装置。
【請求項15】
貯留容器の液体を加圧する加圧手段を具えた請求項7〜14のいずれかの流体の定量吐出装置。
【請求項16】
圧力を作用させて密着させるスライドバルブを有することを特徴とする請求項7〜15のいずれかの液体の定量吐出装置。
【請求項17】
プランジャロッドを複数としたことを特徴とする請求項9〜16のいずれかの液体の定量吐出装置。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−189055(P2006−189055A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−101396(P2006−101396)
【出願日】平成18年4月3日(2006.4.3)
【分割の表示】特願2000−376482(P2000−376482)の分割
【原出願日】平成12年12月11日(2000.12.11)
【出願人】(390026387)武蔵エンジニアリング株式会社 (56)
【Fターム(参考)】