説明

液体または液圧ブロー成形

プラスチック容器の形成および充填を同時に行う装置および方法が提供される。金型キャビティは内面を画定し、プリフォームを受け入れるように構成される。圧力源は入口およびピストン状デバイスを含む。ピストン状デバイスは、入口を通して圧力源に液体を引き込む第1の方向、およびプリフォームに向かって液体を付勢する第2の方向に動作可能である。ブローノズルは、圧力源から液体を受け、液体を高圧でプリフォーム内に送出し、それによって金型キャビティの内面に向かってプリフォームを膨張させ、結果として得られる容器を作成するように構成することができる。液体は最終製品として容器内に残る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2008年12月4日出願の米国特許出願第12/328,578号および2007年12月6日出願の米国仮特許出願第61/005,655号に対する優先権を主張する。上記出願の全開示は、参照により本明細書に組み込むものとする。
【0002】
本開示は、概して、プラスチック容器を形成し、充填する装置および方法に関する。より詳細には、本発明は、プラスチック容器の形成および充填を同時に行う装置および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
環境およびその他への関心の結果として、以前はガラスの容器に入れて供給された多数の商品を包装するために、プラスチック容器、より詳細にはポリエステル、より詳細にはポリエチレンテレフタレート(PET)容器が現在、これまで以上に使用されている。製造業者および充填業者、並びに消費者も、PET容器が軽量、安価で、リサイクル可能であり、大量に製造可能であることを認識している。
【0004】
ブロー成形のプラスチック容器は、多数の商品を包装する際に普通のものになっている。PETは結晶性ポリマーである。すなわち、非晶質形態または半結晶質形態で入手可能である。PET容器がその材料の完全性を維持する能力は、結晶質形態のPET容器のパーセンテージに関し、これはPET容器の「結晶化度」としても周知である。
【0005】
下式は、体積含有率としての結晶化度のパーセンテージを定義する。
【数1】


ここで、ρはPET材料の密度であり、ρは純粋な非晶質PET材料の密度であり(1.333g/cc)、ρは純粋な結晶質材料の密度である(1.455g/cc)。容器をブロー成形すれば、商品を容器に充填することができる。
【0006】
従来のブロー成形および充填は、2つの独立した工程として開発されており、多くの場合、異なる会社によって行なわれている。ボトルの充填のコスト効果を上げるために、一部の充填業者はブロー成形を社内で行ない、多くの場合でブロー成形機をその充填ラインに直接統合している。機器の製造業者はその利点に気づき、確実にブロー成形機と充填機が完全に同期するように設計された「統合」システムを販売している。2つの工程をさらに近づけようとする努力にもかかわらず、ブロー成形と充填とは2つの独立した別個の工程のままである。その結果、これらの2つの工程を別個に実行している間に、かなりのコストを要することがある。それ故、1つの操作で容器の形成および充填を実行するのに適切な液体または液圧ブロー成形システムに対する要求がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明によれば、ホットプリフォームを膨張させ、金型の形状をとるために必要な圧力を与え、容器の形成および充填を同時に行うために最終液体製品を使用するシステムおよび方法が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一例では、システムは内面を画定し、プリフォームを受けるように構成される金型キャビティを含む。システムは、また、入口、充填シリンダおよびピストン状デバイスを有する圧力源を含む。ピストン状デバイスは充填シリンダ内で、入口を通して充填シリンダ内に液体を引き込むように第1の方向に、およびプリフォームに向かって液体を押し出すように第2の方向に動作可能である。ブローノズルは、圧力源から液体を受け、液体を高圧でプリフォーム内に送出し、それによりプリフォームに押し出して金型キャビティの内面に向かって膨張させ、その結果として得られる容器を作成するように構成することができる。液体は、最終商品として容器内に残る。
【0009】
本発明が関連する分野の当業者であれば、添付の図面を参照して以下の説明および添付の特許請求の範囲を読めば、本発明の他の利益および利点を理解することができるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】金型ステーション内に通され、任意選択の殺菌ステップにおいて加熱されたプリフォームの略図であり、圧力源は、本発明の教示により上昇し始めて、液体を圧力源内に引き込むピストン状デバイスを含む。
【図2】金型半体がプリフォームの周囲で閉じ、液体が圧力源内に蓄積し続けている、図1に図示したシステムの略図である。
【図3】延伸ロッドがプリフォーム内に延伸して、機械的延伸を開始し、流体が圧力源内に蓄積し続けている、図2に図示したシステムの略図である。
【図4】延伸ロッドがプリフォームを延伸させ、流体が圧力源内に十分に蓄積している、図3のシステムの略図である。
【図5】ピストン状デバイスが液体を圧力源からプリフォームに押しやり、それによりプリフォームを金型キャビティの壁に向かって膨張させる、図4のシステムの略図である。
【図6】ピストン状デバイスが十分に作動し、それにより適切な体積の液体を新しく形成された容器へと完全に送出し、延伸ロッドが後退している、図5のシステムの略図である。
【図7】次のサイクルに備えて、金型半体が分離し、ピストン状デバイスが液体を圧力源内に引き込み始める、図6のシステムの略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の説明は例示としてのものに過ぎず、本発明またはその用途または使用法を限定するものではない。
【0012】
全ての図を参照すると、本発明による金型ステーションが図示され、全体を参照番号10で示す。図1から図7は、本発明による1つの例示的シーケンスを示す。以下の説明から理解されるように、金型ステーション10および関連する方法は、最終液体商品Lを使用してホットプリフォーム12を膨張させて、金型の形状を持たせ、したがって、その結果としての容器の形成および充填を同時に行うために必要な圧力を加える(図7)。
【0013】
最初に図1および図2を参照して、金型ステーション10を詳細に説明する。金型ステーション10は、一般に、金型キャビティ16と、圧力源20と、ブローノズル22と、延伸ロッド26とを含む。図示された例示的金型キャビティ16は、金型半体30、32を含み、これらは協働して、ブロー成形される容器の所望の外部輪郭に対応する内面34を画定する。金型キャビティ16は、プリフォーム12の支持リング38が金型キャビティ16の上端に捕捉されるように、開位置(図1)から閉位置(図2)へと動作可能にすることができる。プリフォーム12は、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル材料で形成し、当業者には周知であるように、ほぼ円筒形の断面、および典型的にはその結果として得られる容器Cの高さの約50%の長さの試験管に類似した形状を有することができる。支持リング38は、製造の様々な段階においてプリフォーム12を担持または配向するために使用することができる。例えば、プリフォーム12を支持リング38で担持することができ、支持リング38は、金型キャビティ16内でプリフォーム12の位置決めを補助するために使用することができ、または製造された後、消費者がプラスチック容器Cを携行するために支持リング38を使用することができる。
【0014】
一例では、圧力源20は、充填シリンダ、マニホールドまたはチャンバ42の形態とすることができるが、これらに限定されない。圧力源20は一般にピストン状デバイス40を含むが、これに限定されず、ピストン、ポンプ(液圧ポンプなど)、または他の同様に適切なデバイスであっても良い。デバイス40は、充填シリンダ、マニホールドとすることもでき、チャンバ42内で動作可能である。圧力源20は、液体商品Lを受け入れる入口46、および液体商品Lをブローノズル22に送出する出口48を有する。入口46および出口48は、自身に内蔵された弁を有してよいことを理解されたい。ピストン状デバイス40は、液体商品Lを入口46から充填シリンダ、マニホールドまたはチャンバ42内に引き込む第1の方向(図で見て上方向)に、および液体商品Lを充填シリンダ、マニホールドまたはチャンバ42からブローノズル22に送出する第2の方向(図で見て下方向)に動作可能にすることができる。ピストン状デバイス40は、例えば空気圧、機械的、または液圧などの任意の適切な方法で動作可能にすることができる。圧力源20の入口46は、管またはパイプなどによって、最終液体商品Lを封入するリザーバまたは容器(図示せず)に接続することができる。圧力源20は異なる構成にしてよいことが理解される。
【0015】
ブローノズル22は、一般に、圧力源20の出口48から液体商品Lを受け入れる入口50、および液体商品Lをプリフォーム12内に送出する出口56(図1)を画定する。出口56は、ブローノズル22が形成/充填工程中にプリフォーム12と容易に嵌合できるように、支持リング38付近でプリフォーム12と相補的な形状とすることができることを理解されたい。一例では、ブローノズル22には、プリフォーム12の機械的延伸を開始するために使用される延伸ロッド26を摺動自在に受け入れる開口58を形成することができる。
【0016】
一例では、熱処理中、通常は高温充填工程中に、液体商品Lをプラスチック容器C内に導入することができる。高温充填ボトル詰め用途では、ボトル詰め装置が、一般に、約185°Fから205°F(約85℃から96℃)の高温で液体または製品をプラスチック容器Cに充填し、冷却前にプラスチック容器Cをクロージャ(図示せず)で密封する。1つの構成では、液体は入口46を通して充填シリンダ、マニホールドまたはチャンバ42内で連続的に循環することができ、それにより液体を事前設定温度に(すなわち入口46の上流の熱源(図示せず)で)加熱することができる。さらに、プラスチック容器Cは、他の高温殺菌処理またはレトルト充填工程に、または他の熱処理にも適切であり得る。別の例では、液体商品Lを周囲温度でまたは低温でプラスチック容器Cに導入することができる。したがって、例示として、プラスチック容器Cは、約32°Fと90°F(約0℃から32℃)の間の周囲温度で又は低温で、より好ましくは約40°F(約4.4℃)で充填することができる。液体商品を周囲温度でまたは低温で充填する例では、本明細書で説明するように、液体商品を導入する前にプリフォームを殺菌処理することができる。
【0017】
次に全部の図を参照し、プラスチック容器Cの形成および充填を同時に行う例示的方法を説明する。一例(図1)によると、蒸気Sをプリフォーム12上におよび/またはその中に誘導し、プリフォーム12を部分的または完全に殺菌することができる。プリフォーム12を(蒸気Sなどにより)殺菌することにより、最終の液体が殺菌媒質である必要がなく、無菌プリフォームおよびその結果として得られる容器を作成することができる。したがって、容器を高温充填工程で形成する必要がない。図1には蒸気Sが示されているが、他の殺菌媒質および/または技術を使用できることが理解される。一例では、殺菌媒質は液体過酸化物などの液体とすることができるが、これに限定されない。
【0018】
プリフォーム12を金型キャビティ16内に配置することができる(図2)。一例では、機械(図示せず)が、約190°Fから250°F(約88℃から約121℃)の温度に加熱したプリフォーム12を金型キャビティ16内に配置する。プリフォーム12が金型キャビティ16内に配置されると、圧力源20のピストン状デバイス40が入口46を通して充填シリンダ、マニホールドまたはチャンバ42内に液体商品Lを引き込み始めることができる。次に、金型キャビティ16の金型半体30、32が閉じ、プリフォーム12を捕捉することができる(図2)。ブローノズル22がプリフォーム12の仕上げ処理においてシールを形成することができる。結果として得られる容器C内の結晶化度レベルを上げるために、金型キャビティ16を約250°Fから350°F(約93℃から177℃)の温度に加熱することができる。別の例では、金型キャビティ16を約32°Fから90°F(約0℃から32℃)の周囲温度でまたは低温とすることができる。ピストン状デバイス40によって液体商品Lを充填シリンダ、マニホールドまたはチャンバ42内に引き込み続けることができる。
【0019】
次に図3を参照すると、延伸ロッド26がプリフォーム12内に延在して、機械的延伸を開始することができる。この時点で、液体商品Lを充填シリンダ、マニホールドまたはチャンバ42内に引き込み続けることができる。図4を参照すると、延伸ロッド26はプリフォーム12を延伸し続け、それによりプリフォーム12の側壁を薄くする。充填シリンダ、マニホールドまたはチャンバ42内の液体商品Lの体積は、結果として得られる容器Cの形成および充填に適した適切な体積に到達するまで増加することができる。この時点で、圧力源20の入口46に配置された弁を閉じることができる。
【0020】
特に図5を参照すると、次にピストン状デバイス40が、充填シリンダ、マニホールドまたはチャンバ42からプリフォーム12への液体商品Lの迅速な送出を開始するために、下方向に駆動し始めることができる(駆動相)。この場合も、ピストン状デバイス40は、空気圧、機械的圧力および/または液圧などの任意の適切な手段で作動させることができる。一例では、プリフォーム12内の液圧は約100PSIから600PSIに到達してもよい。液体商品Lは、プリフォーム12を金型キャビティ16の内面34に向かって膨張させる。残留空気は、延伸ロッド26内に画定された通路70を通して排気することができる(図5)。図6に示すように、ピストン状デバイス40は、その駆動相を終了し、それにより適切な体積の液体商品Lを新しく形成されたプラスチック容器Cに完全に送出する。次に、残留空気を排気し続けている間に、延伸ロッド26を金型キャビティ16から後退させることができる。延伸ロッド26は、金型キャビティ16から後退する時に所定の体積の液体商品Lを移動させることによって結果として得られるプラスチック容器C内で液体商品Lの所望の充填レベルを可能にするように設計することができる。一般に、所望の充填レベルは、プラスチック容器Cの支持リング38のレベルに、またはその付近に相当する。
【0021】
あるいは、成形サイクル中に液体商品Lを一定の圧力で、または様々な圧力で供給することができる。例えば、プリフォーム12が軸方向に延伸する間に、金型キャビティ16の内面34と実質的に一致するようにプリフォーム12をブロー成形する場合に適用される圧力より低い圧力で、液体商品Lを供給し、プラスチック容器Cの最終形状を画定することができる。この低い方の圧力Pは、周囲圧力と同じまたは周囲圧力より高いが、その後の工程で加えられる高圧Pより低くてよい。プリフォーム12は、金型キャビティ16内で結果として得られるプラスチック容器Cの最終的な長さに近い長さまで軸方向に延伸する。プリフォーム12の延伸中またはその直後に、プリフォーム12は低圧Pで半径方向外側に全体的に膨張する。この低圧Pは、約100PSIと150PSIの間の範囲であることが好ましい。その後、プリフォーム12が金型半体30、32の内面34に接触し、それにより結果として得られるプラスチック容器Cを形成するように、プリフォーム12が高圧P下でさらに膨張する。高圧Pは、約500PSIから600PSIの範囲であることが好ましい。以上の方法の結果、結果として得られるプラスチック容器Cの基部および接触リングが、周方向に十分に形成される。
【0022】
任意選択で、結果として得られるプラスチック容器Cの形成中に、複数のピストン状デバイスを使用することができる。例えば、第1のピストン状デバイスを使用して低圧Pを発生させ、最初にプリフォーム12を膨張させ、第2のピストン状デバイスを使用して、その後の高圧Pを発生させ、プリフォーム12が金型半体30、32の内面34に接触し、それにより結果として得られるプラスチック容器Cを形成するように、プリフォーム12をさらに膨張させることができる。
【0023】
図7を参照すると、充填サイクルが終了した状態が示されている。金型半体30、32を分離して、ブローノズル22が後退することができる。これにより、充填済みのプラスチック容器Cは、蓋締め、ラベル貼りおよび包装などの形成後のステップに対する準備が整う。この時点で、ピストン状デバイス40は、次の充填/形成サイクルに備えて圧力源20の入口46を通して液体商品Lを引き込むことにより次のサイクルを開始することができる。特に図示されていないが、金型ステーション10は、様々な構成要素に信号を通信する制御装置を含んでよいことが理解される。この方法で、金型キャビティ16、ブローノズル22、延伸ロッド26、ピストン状デバイス40および様々な弁などの構成要素が、制御装置によって通信される信号に従って動作することができるが、動作できるものはこれらに限定されない。制御装置を使用して、所与の用途に従ってこれらの構成要素に関連する様々なパラメータを調節できることも想定される。
【0024】
次に、本発明により実現される幾つかの他の利点についてさらに検討する。
【0025】
1つの利点によると、処理パラメータの幾つかを低くすることができ、それでも所望の結果に到達する。例えば、結晶化度の要件を下げることができるので、プリフォームの調整の要件を軽減することができる。また、金型調整の要件を軽減することができ、金型キャビティ16の内面34上で使用する油および/または他の表面処理材料の量を減少させることができる。
【0026】
一例によると、本明細書で説明する統合されたブロー成形および充填工程を使用して、炭酸飲料(すなわちソーダなど)を有する容器を形成することができる。このような例では、同時に行なわれるブロー成形および充填工程中に、液体商品の一部として、またはそれに加えて、液体二酸化炭素の溶液を使用することができる。液体二酸化炭素は、気体状二酸化炭素を有する液体商品でブロー成形する場合に、他の方法では生じ得る発泡を防止する。二酸化炭素は、所与の圧力および温度で液体の形態で存在することができる。
【0027】
1つの機器(金型ステーション10)によってブロー成形工程と充填工程の両方を行なうと、取り扱い部品を削減することができ、したがって結果として得られるプラスチック容器C1つ当たりの資本コストの削減につながり得る。さらに、結果として得られるプラスチック容器Cのブロー成形および充填を同時に行う工程によって必要となる空間は、工程が別個である場合に必要な空間より有意に削減することができる。これは、インフラ費の低下ももたらすことができる。
【0028】
2つの工程を統合して1つのステップにすると、生産した後、および充填する前のボトルの取り扱いに伴う労務費および追加の費用(資本とコストの両方)を削減することができる。
【0029】
ブロー成形工程と充填工程を統合して1つの工程にすると、ボトルを輸送する必要がなくなる。ボトルの輸送は本質的に非効率的で費用がかかる。他方で、プリフォームの輸送は、はるかに効率的である。一例では、500mlの水が入る空のボトルのトレーラ積載量は、約100,000本のボトルである。500mlの水が入るボトルを作成するために必要なプリフォームを積載した同じサイズのトレーラは、約1,000,000個の個々のプリフォームを運搬し、10:1の改良となる。
【0030】
圧縮空気は、エネルギー伝達の非効率的な手段として周知である。容器をブロー成形する液圧を供給するために最終製品を使用すると、容積式ポンプと同等の物が必要となる。その結果、これはエネルギーを伝達するために、はるかに効率的な方法である。
【0031】
本明細書で説明する例示的方法では、プリフォームが212°F(100℃)を超える炉を通過し、即座に充填され、蓋締めすることができる。このようにして、空の容器が汚染されるかもしれない環境に曝される機会が大幅に低減される。その結果、無菌充填の費用および複雑性が大幅に低減される。
【0032】
製品を高温充填する幾つかの事例では、パッケージは、充填中に曝される高温、および製品を冷却する結果として曝される結果の内部真空に対応するように設計しなければならない。このような状態に対応する設計は、追加の容器重量を必要とすることがある。液体/液圧ブロー成形は、高温充填工程をなくし、その結果、パッケージ重量を低下させる可能性を提供する。
【0033】
本明細書で説明する工程は、工程の中間作業をなくすことができ、したがって倉庫および/または容器サイロおよび/またはフォークリフトおよび/または製品の損傷などに関連する費用を回避することができる。さらに、仕掛品の在庫がないので、全体的な運転資本を削減することができる。
【0034】
ブロー成形工程と充填工程が統合されて時間的に接近して行なわれるが、それでも(形成し、その後に充填する従来の方法のように)2つの別個の工程であるので、このようなシステムの全体的な効率は2つの部分の個々の効率の積である。個々の効率は、部品が機械内で移動する回数によってほぽ決定される。2つの工程を統合して1つにすると、移動する回数を最小化し、したがって全体的な工程の効率を上げる可能性を提供することができる。
【0035】
ジュース、茶、ビールなどを含む多くの飲料は酸素に対し感受性が高く、包装時に保護する必要がある。多くのプラスチックは、包装された製品の消費可能期間の間に内容物を酸素から保護するのに十分なバリア性を有していない。追加のバリア性を容器に与えて、酸素の透過を遅らせ、したがって包装された内容物を保護するために使用される幾つかの技術がある。最も一般的な技術の1つは、容器の壁の中に脱酸素剤を使用することである。このような脱酸素剤をプリフォーム内に直接成形することができる。プリフォームの比較的厚い壁は、脱酸素剤が容器内にブロー成形される前に消費されるのを防止する。しかし、容器がブロー成形されると、壁の表面積が増大し、厚さが減少する。したがって、酸素が活性脱除剤と接触し、反応するために移動しなければならない経路がはるかに短くなる。容器がブロー成形されるとすぐに、脱酸素剤の有意の消費が開始することがある。容器の形成および充填が同時に行われると、脱除剤がその有効寿命期間の全体を通して製品を保護し、容器が充填を待って空のままである間に消費されることがない。
【0036】
本明細書で説明する方法は、生物汚染しやすいアイソトニック、ジュース、茶およびその他の商品などの充填用途に特に有用であり得る。特に、任意選択で上述したようにプリフォームを殺菌することにより、最後の液体が殺菌媒質であることを必要とせずに、無菌プリフォームおよび結果として得られる容器を作成することができる。これらの商品は、通常、制御された無菌環境で充填される。商業的には、必要な無菌環境を得るために通常は2つの方法が使用される。欧州では、これらのタイプの飲料を充填する1つの主な方法は、無菌充填環境で行うことである。充填作業をクリーンルームで実行する。充填する前に、包装を含む製品の全構成要素を殺菌しなければならない。充填すれば、製品は消費されるまで密封することができ、細菌の侵入の可能性を全て防止する。工程は、設置および操作に費用がかかる。また、細菌汚染物質が作業時の防御手段を突破し、製品を汚染する危険が常にある。
【0037】
北米では、汚染物質に影響されやすい飲料を充填する1つの有力な方法は高温充填である。この工程では、細菌が存在すれば全て消滅させる温度で、飲料を容器に導入する。容器は、製品が高温である間に密封することができる。この技術の1つの欠点は、高温の充填温度、および製品が冷却する結果容器内で生じる真空に耐えるために、通常は容器を重くする必要があることである。また、ブロー成形工程は、熱硬化のブロー成形以外より多少複雑であり、したがってより費用がかかる。本明細書で説明した本発明は、感受性の高い食品および飲料の充填の費用および複雑性を劇的に低減する可能性を提供する。ブロー成形工程と充填工程を組み合わせることにより、生物汚染物質を全て消滅させるために必要な十分な期間にわたって、プリフォームを212°F(100℃)より高い温度に加熱することができる。容器を形成する媒質として無菌製品を使用し、次に即座に密封する場合、工程は、汚染の可能性が非常に小さく、非常に安価な無菌充填工程をもたらすことができる。
【0038】
本明細書で説明するブロー成形と充填を同時に行う工程は、超軽量容器の形成も促進することができる。上述したように、従来の高温充填容器では、容器は通常、真空圧に対応するために適切な肉厚を有する必要がある。液体商品を導入する前にプリフォーム12を殺菌する(すなわち図1のように蒸気Sにかけたりする)ことにより、肉厚を、従来の高温充填容器と比較してはるかに薄くすることができる。超軽量容器では、液体自体が容器に構造的支持を与えることができる。したがって、超軽量容器の壁は極めて柔軟にすることができる。
【0039】
この技術を適用可能な多くの他のボトル詰め製品がある。乳製品、アルコール飲料、サラダドレッシング、ソース、スプレッド、ケチャップ、シロップ、食用油、およびその他の消耗品は、このような方法を使用してボトル詰めすることができる。さらに、本明細書で使用する液体商品Lという用語は、家庭用洗浄剤、洗剤、および練り歯磨きなどのパーソナルケア用品などのような非消耗品も含むことができる。これらの製品の多くは現在、ブロー成形したPET容器入りで見られるが、押出成形プラスチック容器、ガラス瓶および/または缶入りもある。この技術は、パッケージ製造および充填の経済を劇的に変化させる可能性を有する。
【0040】
説明の多くはPET容器の生産に焦点を絞ってきたが、他のポリオレフィン材料(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルなど)、さらに幾つかの他のプラスチックを、本明細書で検討した技術を使用して処理できることを想定している。
【0041】
上記説明は現時点における開示であり、この開示は、添付の特許請求の範囲の適正範囲および公正な意味から逸脱することなく種々に修正、変形および変更することができることを理解されたい。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の形成および充填を同時に行うシステムであって、
内面を画定し、プリフォームを受け入れるように構成される金型キャビティと、
前記プリフォームを殺菌する殺菌装置と、
入口、チャンバ、および前記入口を通して液体を前記チャンバに引き込む第1の方向、および前記プリフォームに向かって前記液体を押し出す第2の方向に前記チャンバ内で動作可能なピストン状デバイスを有する圧力源と、
前記圧力源から前記液体を受け、一定の圧力で前記液体を前記プリフォーム内に送出し、それによって前記プリフォームを前記金型キャビティの前記内面に向かって膨張させ、結果として得られる容器を作成するように構成されるブローノズルと、
を備え、前記液体が最終製品として前記容器内に残るシステム。
【請求項2】
前記ピストン状デバイスがピストン、およびポンプおよびアキュムレータのうちの1つである、請求項1に記載の容器の形成および充填を同時に行うシステム。
【請求項3】
前記ブローノズルが、前記プリフォームの仕上げ材料でシールを形成するように構成される形状を画定する、請求項1に記載の容器の形成および充填を同時に行うシステム。
【請求項4】
前記液体が高温充填工程中に前記プリフォーム内に送出される、請求項1に記載の容器の形成および充填を同時に行うシステム。
【請求項5】
前記液体が、約185°F(85℃)と約205°F(96℃)の間の温度で前記プリフォーム内に送出される、請求項4に記載の容器の形成および充填を同時に行うシステム。
【請求項6】
前記液体が周囲温度で前記プリフォーム内に送出される、請求項1に記載の容器の形成および充填を同時に行うシステム。
【請求項7】
前記液体が、約32°F(0℃)と約90°F(32℃)の間の温度で前記プリフォーム内に送出される、請求項6に記載の容器の形成および充填を同時に行うシステム。
【請求項8】
前記殺菌装置が、前記プリフォーム上および/または内に蒸気を放出する、請求項7に記載の容器の形成および充填を同時に行うシステム。
【請求項9】
前記殺菌装置が前記プリフォーム上および/または内に殺菌液を放出する、請求項7に記載の容器の形成および充填を同時に行うシステム。
【請求項10】
前記殺菌液が過酸化物を含む、請求項9に記載の容器の形成および充填を同時に行うシステム。
【請求項11】
前記金型キャビティが、約190°F(88℃)と約250°F(121℃)の間の温度に加熱されたプリフォームを受け入れる、請求項1に記載の容器の形成および充填を同時に行うシステム。
【請求項12】
前記金型キャビティが、約250°F(93℃)と約350°F(177℃)の間の温度に加熱される、請求項1に記載の容器の形成および充填を同時に行うシステム。
【請求項13】
前記液体が、約100PSIと約600PSIの間の圧力で前記プリフォーム内に送出される、請求項1に記載の容器の形成および充填を同時に行うシステム。
【請求項14】
前記プリフォーム内に延在し、前記液体が前記プリフォーム内に押し出される前に前記プリフォームを機械的に延伸させるように構成される延伸ロッドをさらに備える、請求項1に記載の容器の形成および充填を同時に行うシステム。
【請求項15】
前記延伸ロッドが大気に通じる排気通路を有する、請求項14に記載の容器の形成および充填を同時に行うシステム。
【請求項16】
前記プリフォームが、最初に第1の圧力で外側に膨張し、その後に第2の圧力で外側に膨張し、前記第2の圧力が前記第1の圧力より大きい、請求項1に記載の容器の形成および充填を同時に行うシステム。
【請求項17】
前記第1の圧力が約100PSIと約150PSIの間であり、前記第2の圧力が約500PSIと約600PSIの間である、請求項16に記載の容器の形成および充填を同時に行うシステム。
【請求項18】
前記ピストン状デバイスが、前記第1の圧力を発生する第1のピストン状デバイス、および前記第2の圧力を発生する第2のピストン状デバイスを備える、請求項17に記載の容器の形成および充填を同時に行うシステム。
【請求項19】
容器の形成および充填を同時に行うシステムであって、
内面を画定し、プリフォームを受け入れるように構成される金型キャビティと、
前記プリフォームに向かって液体を押し出すように構成される圧力源と、
前記圧力源から前記液体を受け、一定の圧力で前記液体を前記プリフォーム内に送出し、それによって前記プリフォームを前記金型キャビティの前記内面に向かって膨張させ、結果として得られる容器を作成するように構成されるブローノズルと、
を備え、前記液体が最終製品として前記容器内に残るシステム。
【請求項20】
前記圧力源が、入口を通して液体を前記圧力源内に引き込む第1の方向、および前記プリフォームに向かって前記液体を押し出す第2の方向に前記圧力源内で動作可能なピストン状デバイスを含む、請求項19に記載の容器の形成および充填を同時に行うシステム。
【請求項21】
前記ピストン状デバイスがピストン、およびポンプおよびアキュムレータのうちの1つである、請求項20に記載の容器の形成および充填を同時に行うシステム。
【請求項22】
前記液体が、部分的に液体二酸化炭素を含む溶液を有する、請求項19に記載の容器の形成および充填を同時に行うシステム。
【請求項23】
容器の形成および充填を同時に行う方法であって、
内面を有する金型キャビティ内にプリフォームを配置することと、
ブローノズルを前記プリフォームの開口上に密封可能な状態で接続することと、
液体をチャンバ内に蓄積させることと、
前記チャンバから前記ブローノズルを通して前記プリフォームの前記開口内に前記液体を送出し、それにより前記金型キャビティの前記内面に向かって前記プリフォームを膨張させ、結果として得られる容器を作成することと、
を含み、前記液体が最終製品として前記容器内に残る方法。
【請求項24】
前記チャンバから前記液体を送出することが、約185°F(85℃)と約205°F(96℃)の間の温度で前記液体を前記プリフォーム内に送出することを含む、請求項23に記載の容器の形成および充填を同時に行う方法。
【請求項25】
前記液体を前記プリフォーム内に送出する前に、前記プリフォームを殺菌することをさらに含み、前記チャンバから前記液体を送出することが、周囲温度で前記液体を前記プリフォーム内に送出することを含む、請求項23に記載の容器の形成および充填を同時に行う方法。
【請求項26】
前記チャンバから前記液体を送出することが、約32°F(0℃)と約90°F(32℃)の間の温度で前記液体を前記プリフォーム内に送出することを含む、請求項23に記載の容器の形成および充填を同時に行う方法。
【請求項27】
前記チャンバから前記液体を送出することが、前記プリフォーム内に前記液体を送出することを含み、前記プリフォームが、約190°F(88℃)と約250°F(121℃)の間の温度に加熱される、請求項23に記載の容器の形成および充填を同時に行う方法。
【請求項28】
前記金型キャビティ内に前記プリフォームを配置することが、約250°F(93℃)と約350°F(177℃)の間の温度に加熱された金型キャビティ内に前記プリフォームを配置することを含む、請求項23に記載の容器の形成および充填を同時に行う方法。
【請求項29】
前記チャンバから前記液体を送出することが、約100PSIと約600PSIの間の圧力で前記プリフォーム内に前記液体を送出することを含む、請求項23に記載の容器の形成および充填を同時に行う方法。
【請求項30】
前記プリフォーム内に延伸ロッドを前進させ、それにより前記プリフォーム内に前記液体が押し出される前に前記プリフォームを機械的に延伸させることを含む、請求項23に記載の容器の形成および充填を同時に行う方法。
【請求項31】
前記プリフォーム内に前記延伸ロッドを前進させることが、前記延伸ロッド内に形成された通路を通して前記プリフォーム内の残留空気を排気することを含む、請求項30に記載の容器の形成および充填を同時に行う方法。
【請求項32】
前記チャンバから前記液体を送出することが、
最初に第1の圧力で前記液体を送出することと、
その後に第2の圧力で前記液体を送出することと、
を含み、前記第2の圧力が前記第1の圧力より大きい、請求項29に記載の容器の形成および充填を同時に行う方法。
【請求項33】
前記第1の圧力が約100PSIと約150PSIの間であり、前記第2の圧力が約500PSIと約600PSIの間である、請求項32に記載の容器の形成および充填を同時に行う方法。
【請求項34】
前記第1の圧力が第1のピストン状デバイスから発生し、前記第2の圧力が第2のピストン状デバイスから発生する、請求項33に記載の容器の形成および充填を同時に行う方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−506130(P2011−506130A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−536939(P2010−536939)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【国際出願番号】PCT/US2008/013429
【国際公開番号】WO2009/075791
【国際公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(510156594)アムコー リミテッド (6)
【Fターム(参考)】