説明

液体トナーの液量検知装置および湿式画像形成装置

【課題】液体トナーの液量を適切に検知することができる液体トナーの液量検知装置および湿式画像形成装置を提供すること。
【解決手段】貯留量の検知は、電源オン時に行われる。この実施形態では、貯留量の検知の前に、シャフト40を貯留量検知時とは逆方向(矢印56の方向)に回転させ、回転体43により、液体トナー内を攪拌する。液体トナーを長期間放置して、互いに分離していたトナー成分とキャリア液とが混同する。液体トナーが攪拌された後に、シャフト40を正方向に回転させて、下限量の液体トナーが貯留されているか否かを検知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液体トナーの液量検知装置、および、この液体トナーの液量検知装置が備えられた湿式画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置においては、粉体トナーを用いて、感光体ドラムの静電潜像の転写を行うことが主流であるが、濃縮トナー液をキャリア液で希釈した液体トナーを用いて、静電潜像を現像する液体現像装置が提案されている(たとえば特許文献1)。
液体現像装置には、収容容器に液体トナーが貯留されている。液体トナーは静電潜像の現像に用いるためのものであるから、収容容器の液体トナーの貯留量が下限量以下にならないように監視しておかなければならない。このため、収容容器の液体トナーの貯留量が下限量に達していることを検知する必要がある。
【0003】
容器内に貯留されている液体の量を検知する方法として、特許文献2に示すように、液面にフロートを浮かべ、液量の変化に伴って上下動するフロートの位置を検出することで液量検知を行うものが知られている。
【特許文献1】特開2005−315948号公報
【特許文献2】特公平6−23898号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、液体トナーの媒体であるキャリア液は、流動パラフィンやシリコーンオイル等の高粘度の液体である。高粘度の液体ではフロートの動きが悪く、フロートがキャリア液の液面の上下動にうまく連動しない。したがって、フロートを用いた液量検知は、液体トナーの液量検知には適していない。
また、光学センサを用いた液面検出により液位を検知することも考えられるが、液体トナーのトナー粒子が検出面に付着してしまうことにより、液体の液位を正確に検知することができないおそれもある。
【0005】
加えて、液体トナーを長期間放置しておくと、トナー成分が沈降し、トナー成分とキャリア液とが分離してしまうことがある。かかる場合は、比重が異なるために、液量を適切に検知することができないおそれもある。
この発明は、かかる背景のもとになされたもので、液体トナーの液量を適切に検知することができる液体トナーの液量検知装置を提供することを目的とする。
【0006】
また、この発明は、液体トナーのトナー成分とキャリア液とが分離した場合でも適切に液量を検知することができる液体トナーの液量検知装置を提供することを他の目的とする。
さらに、この発明は、良好な画像を安定的に得ることができる湿式画像形成装置を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、収容容器(27)に貯留された液体トナーの貯留量が所定量に達していることを検知するための液体トナーの液量検知装置(100)であって、上記収容容器内に略鉛直方向に延びて、回転可能に設けられたシャフト(40)と、シャフトを回転駆動する駆動モータ(42)と、シャフトの所定方向への回転にともなって回転して浮力を生じ、液体トナー内を上昇する回転体(43)と、回転体が上昇したことに基づいて、所定量の液体トナーが貯留されていることを検出する検出手段(44、45)と、所定量の液体トナーが貯留されていることを検知するために、上記シャフトが上記所定の方向に予め定める回転速度で回転するように上記駆動モータを駆動する液量検知制御手段(60)と、この液量検知制御手段による液量検知前に、液体トナー内を攪拌するために、上記シャフトが液量検知時とは異なる態様で回転するように上記駆動モータを駆動する攪拌制御手段(60)とを含むことを特徴とする液体トナーの液量検知装置である。
【0008】
なお、括弧内の数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じ。
請求項2記載の発明は、上記駆動モータは正逆回転可能であり、上記攪拌制御手段は、上記シャフトが上記所定方向とは逆の方向に回転するように、上記駆動モータを駆動することを特徴とする請求項1記載の液体トナーの液量検知装置である。
【0009】
請求項3記載の発明は、上記駆動モータは回転速度が可変可能であり、上記攪拌制御手段は、上記シャフトが上記予め定める回転速度よりも遅い速度で回転するように、上記駆動モータを回転駆動することを特徴とする請求項1記載の液体トナーの液量検知装置である。
請求項4記載の発明は、上記シャフトは、平面視で上記収容容器の中央部に配置されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の液体トナーの液量検知装置である。
【0010】
請求項5記載の発明は、感光体ドラム(2C、2M、2Y)と、液体トナーを用いて静電潜像を可視化するための液体現像装置(6C、6M、6Y)とを含み、液体現像装置には液体トナーを収容する収容容器が備えられており、この収容容器に請求項1ないし4のいずれかに記載の液体トナーの液量検知装置が設けられていることを特徴とする湿式画像形成装置(1)である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、シャフトが一定速度で回転させると、回転体は上下方向のある高さ位置で浮力と重力とが釣り合うが、この釣り合い位置が予め定める高さ位置に達しているか否かを検出することで、収容容器に貯留された液体トナーが所定量に達しているか否かが検知される。駆動モータの回転駆動力を用いて回転体を上昇させるため、液体トナーのように粘度が高い液体内においても、回転体をスムーズに上下動させることができる。これにより、液体トナーの貯留量が所定量に達しているか否かを適切に検知することができる。
【0012】
また、液体トナーを長期間放置しておくと、トナー成分が沈降し、トナー成分とキャリア液とが分離してしまうことがあるが、請求項1記載の発明では、液量検知を行う前に、回転体を用いて液体トナー内を攪拌するので、トナー成分とキャリア液とを混合してから液量検知を行うこととなり、これにより、液量を適切に検知することができる。
請求項2記載の発明によれば、シャフトを、回転体に浮力を生じさせる方向と逆の方向に回転させるので、液体トナー内を十分に攪拌することができる。これにより、液量をより適切に検知することができる。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、シャフトを回転体に浮力を生じさせる方向よりも遅い速度で回転させるので、回転体が液体検知の場合よりも低い位置、つまりは液体トナー内で、上下方向に変位しなくなる。したがって、回転体を用いて液体トナー内を十分に攪拌することができ、これにより、液量をより適切に検知することができる。
請求項4記載の発明によれば、回転体が収容容器の中央部で回転するので、液体トナー内を隔たりなく攪拌することができる。
【0014】
請求項5記載の発明では、請求項1ないし4記載の液体トナーの液量検知装置が採用されているから、トナー切れを起こすことなく、液体トナーが感光体ドラムに与えられる。これにより、良好な画像を安定的に得ることができる湿式画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下では、図面を参照して、この発明の実施形態を、具体的に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る湿式画像形成装置の構成を示す概略図である。
湿式画像形成装置1は、カラー画像を形成するものであり、第1の画像形成機構11、第2の画像形成機構12および第3の画像形成機構13を備えている。湿式画像形成装置1は、各画像形成機構11〜13は、図1において上から順にシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)用として構成され、ほぼ共通した構成のユニットからなっている。なお、図1ではブラック(BK)の画像形成機構は図示されていないが、湿式画像形成装置1にブラック(BK)の画像形成機構が含められていてもよい。
【0016】
各画像形成機構11〜13は、円筒状の感光体ドラム2C,2M,2Yと、感光体ドラム2C〜2Yの表面を帯電させるための帯電器3C,3M,3Yと、帯電器3C〜3Yにより帯電された感光体ドラム2C〜2Yの表面を、作成する画像に対応して露光するための露光器4C,4M,4Yと、感光体ドラム2C〜2Yの表面に各色の液体トナーを供給して、露光により形成された静電潜像を現像する液体現像装置6C,6M,6Yと、トナー画像が中間転写ベルト10C,10M,10Yに転写された後の感光体ドラム2C〜2Yの表面に残留する液体トナーを除去するためのクリーニング装置7C,7M,7Yと、トナー画像が転写された後の感光体ドラム2の表面を除電するための除電器8C,8M,8Yと、を備えている。
【0017】
感光体ドラム2C〜2Yの表面に現像された各色のトナー画像が無端状の中間転写ベルト10C,10M,10Yに一時的に転写され、図示しない二次転写ローラによってトナー画像が用紙に転写される。トナー画像が転写された用紙は、図示しない定着装置によって加熱および加圧され、これによって、フルカラーのトナー画像が用紙上に定着される。
各液体現像装置6C〜6Yは互いにほぼ共通した構成を有しているが、シアン用の液体現像装置6Cを例にとって説明し、他の液体現像装置6M、6Yの構成については説明を省略する。
【0018】
液体現像装置6Cは、液体トナーが貯留された供給ポット20と、供給ポット20から液体トナーを汲み取る供給ローラ21と、供給ローラ21の周面と接触して、供給ローラ21によって汲み取られた液体トナーを現像ローラ23の周面に塗布する塗布ローラ22と、感光体ドラム2の表面に接触して、液体トナーを感光体ドラム2に供給する液体トナー担持体としての現像ローラ23とを備えている。
【0019】
供給ローラ21は、供給ポット20内に入り込んで、供給ポット20に貯留された液体トナーに浸されている。供給ポット20内の液体トナーは濡れ性が大きく、このため、液体トナーは供給ローラ21の回転によって汲み取られ、塗布ローラ22および現像ローラ23を介して、感光体ドラム2の表面に与えられる。現像ローラ23には、感光体ドラム2の表面に画像を形成した後の現像ローラ23の表面に残留する液体トナーを掻き取るクリーニングブレード24が配置されている。
【0020】
さらに、液体現像装置6Cは、供給ポット20に供給するための液体トナーを適正範囲の粒子濃度に調整しつつ貯留する調合ポット26と、調合ポット26に供給される液体トナーを貯留するトナーポット27と、クリーニングブレード24によって掻き取られて回収された液体トナーを貯留する回収ポット28とを備えている。
調合ポット26には、トナーポット27から搬送経路29を通って液体トナーが供給されるようになっている。液体トナーは粉体トナーをキャリア液に分散させたものであるが、キャリア液として高粘度のものが用いられており、このため液体トナーも粘度が高くなっている。搬送経路29には弁30が介装されており、この弁30を開成することにより、液体トナーがトナーポット27から調合ポット26に付与される。
【0021】
この液体現像装置6Cでは、回収済みの液体トナーは再度現像に用いられており、調合ポット26には、搬送経路31を介して回収ポット28から液体トナーが供給されるようになっている。搬送経路31には弁32が介装されており、この弁32が開成されると、回収ポット28の液体トナーは調合ポット26に付与される。
また、調合ポット26には、キャリア液搬送経路33および分岐路33Cを介してキャリア液タンク34が接続されている。キャリア液タンク34には、液体トナーを希釈するための透明のキャリア液が貯留されている。キャリア液として、流動パラフィンやシリコーンオイル等の高粘度のものが用いられている。
【0022】
調合ポット26の底部には液体トナーを攪拌する攪拌羽根36が設置されている。トナーポット27から供給された液体トナー、回収ポット28から与えられた液体トナーおよびキャリア液タンク34から与えられたキャリア液が攪拌羽根36で攪拌され互いに混ざり合った状態で貯留されている。調合ポット26には液体トナーの粒子濃度を測定する濃度センサ37が取り付けられている。調合ポット26の液体トナーの粒子濃度は監視されており、フィードバック制御にて、適正範囲に保たれている。
【0023】
調合ポット26は搬送経路38を介して供給ポット20に接続されている。搬送経路38の途中部には弁39が介装されており、弁39が開成されることにより、適正濃度に調整された液体トナーが供給ポット20に対して供給される。
上述のキャリア液タンク34は全ての液体現像装置6C〜6Yの調合ポット26に対してキャリア液を供給しており、キャリア液タンク34に接続されたキャリア液搬送経路33から分岐した各色用の分岐路33C、33M、33Yを通してキャリア液が各液体現像装置6C〜6Yの調合ポット26に供給される。シアン用の分岐路33Cには弁35Cが介装されており、弁35Cが開成されるとキャリア液が液体現像装置6Cの調合ポット26に対して供給される。また、マゼンタ用の分岐路33Mには弁35Mが介装されており、弁35Mが開成されるとキャリア液が液体現像装置6Mの調合ポット26に対して供給される。さらに、イエロー用の分岐路33Mには弁35Yが介装されており、弁35Yが開成されるとキャリア液が液体現像装置6Yの調合ポット26に対して供給される。
【0024】
トナーポット27に貯留されている液体トナーは下限量(たとえば200ml)を下回ってはならない。トナーポット27には、トナーポット27に貯留されている液体トナーが下限量に達しているか否かを検知するための液量検知装置100が設けられている。
図2は、液量検知装置の構成を示す模式図である。説明の便宜のため、トナーポット27を一部切り欠いて図示している。
【0025】
トナーポット27の底面27Aの中央部(図の前後方向および左右方向の中央位置)には、略鉛直方向に延びたシャフト40が立設されている。このシャフト40は、トナーポット27の底面27Aに対して、図中の矢印41の方向に回転可能に取り付けられている。
シャフト40の上方には駆動モータ42が配置されている。駆動モータ42は、トナーポット27外の図示しない壁等に固定されており、出力軸(図示しない)がシャフト10と一体回転可能に連結されている。駆動モータ42は正逆回転可能であり、その回転速度も可変可能とされている。駆動モータ42は制御部60に接続され、駆動モータ42の駆動力により、シャフト40はたとえば図中の矢印41の方向や矢印56の方向に回転するようになっている。
【0026】
シャフト40の外周には円筒状の回転体43が上下動自在に嵌められている。シャフト40が矢印41の方向に回転すると、それに伴って回転体43には浮力が生じ、この浮力の働きによって、回転体43が液体トナー内を上昇するようになっている。回転体43の上方には、被検出体44が配置されている。被検出体44は回転体43の上方に載置されていて、被検出体44は回転体43の上下動にともなって上下動する。
【0027】
また、シャフト40には被検出体44の上方には、位置センサ45が配置されている。この位置センサ45は、被検出体44が後述する予め定める高さ位置に達したときその旨を制御部60に対して出力するものである。
制御部60は、CPU、RAM、ROMなどによって構成されている。制御部60は、画像形成装置1の主制御部と別に設けられていてもよいし、主制御部内に含められていてもよい。
【0028】
図3は、回転体の構成を説明するための正面図である。図3を参照して、回転体43はシャフト40の外周を覆うように嵌められた円筒46と、円筒46の下端部46Aに設けられたスクリュー47とを備えている。スクリュー47は、円筒46の周囲に配置された例えば6枚の羽根48、48、…を含んでいる。スクリュー47は、円筒46の回転にともなって回転する。円筒46が図の矢印41の方向に回転すると、スクリュー47の回転により回転体43に浮力が発生し、回転体43は上昇する。一方で、回転体43が逆方向に回転すると、回転体43には浮力は発生しないが、スクリュー47が回転することにより周囲の液体トナーを攪拌する働きをする。
【0029】
円筒46には、互いに相離反する位置に一対の長孔49、49(図3では一方のみ図示)が形成されている。各長孔49はシャフト40の延びる方向に沿って延びており、この長孔49の長さは円筒46の長さの2/3程度の長さに設定されている。一方、シャフト40の外周面40Aには互いに相離反する位置に一対のピン50、50が突設されている。シャフト40の各ピン50が各記長孔49に嵌り合っている。このため、回転体43はシャフト40に対して、軸方向への移動は許容されているが、回転方向への移動は許容されていない。このため、シャフト40が回転すると回転体43も連動して回転する。
【0030】
図4は、被検出体およびセンサの構成を説明するための要部斜視図である。被検出体44は、シャフト40の外周面40Aを囲う円筒部51と、円筒部51から径方向外方に向けて張り出した板状の被検出板52とを含んでいる。図2では省略しているが、トナーポット27の底面27Aには、略鉛直方向に延びるコ字状のガイドレール53が立設されている。ガイドレール53は、シャフト40と対向して配置されている。ガイドレール53は、被検出体44の被検出板52と当接して被検出体44の回転を規制しつつ、被検出体44の上下動を許容するものである。ガイドレール53の予め定める高さ位置に位置センサ45が取り付けられている。
【0031】
位置センサ45は公知の透過型光学式センサである。位置センサ45は、互いに対向する発光部54と受光部55とを備え、発光部54から発せられた光が受光部55に受光されるようになっている。位置センサ45は、ガイドレール53に外側から跨るように取り付けられている。被検出体44の被検出板52を検出すると、制御部60にその旨が出力される。
【0032】
図5は、貯留量検知制御を示すフローチャートである。貯留量の検知は、電源オン時に行われる(ステップS1)。この実施形態では、貯留量の検知の前に、シャフト40を上記矢印41の回転方向(図2、図3参照)とは逆方向に回転させて、液体トナー内を攪拌する。液体トナーが攪拌された後に、シャフト40を矢印41の方向に回転させて、下限量の液体トナーが貯留されているか否かを検知する。
【0033】
図6は、攪拌時の回転体の動きを表す模式図である。液体トナーを長期間放置しておくと、トナー成分が沈降し、トナー成分とキャリア液とが分離してしまう。図5および図6を参照して、電源オン時には(ステップS1でYes)、駆動モータ42を駆動して、シャフト40を図6の矢印56の方向に60r/minの回転速度で回転させる。(ステップS2)。回転体43は最も下部(回転体43の下端43Aが底面27Aに接した状態)に位置している。シャフト40の矢印56の方向への回転により、周囲の液体トナーが攪拌され、沈降していたトナー成分が舞い上がる。この攪拌制御は、30秒間継続する。これにより、トナー成分とキャリア液とが十分に混合される。
【0034】
攪拌制御終了後、駆動モータ42をそれまでとは反対の方向(正方向)に回転駆動して、シャフト40を矢印41の方向に60r/minの回転速度で回転させる。駆動モータ42によりシャフトを回転させると、シャフト40に連動して回転体43も回転し、スクリュー47の回転によって回転体43に浮力が生じ、回転体43は上昇する。回転体43にともなって、被検出体44も上昇する。シャフト40はたとえば30秒間回転される(ステップS4、S5)。
【0035】
図7は、貯留量検知時の回転体の動きを表す模式図である。図7を参照して、シャフト40を一定速度で回転させ続け、回転体43の下端43Aが液面S近くに達すると、回転体43に働く重力と回転体43に働く浮力が釣り合い、回転体43が上下方向に変位しなくなる。遅くとも、シャフト40の回転開始から30秒経過時には、回転体43が上下方向に変位しない状態となる。位置センサ45が被検出体44を検出すると、液体トナーの貯留量が下限量に達していると判断される。
【0036】
回転体43の釣り合い位置と液面Sの高さH1との間には一定の相関関係があり、同様に、釣り合い状態における被検出体44の高さ位置H2と液体トナーの貯留量との間にも一定の相関関係がある。
位置センサ45の高さ位置H0は、液体トナーの貯留量が下限量のときの被検出体44のH2の高さに設定されている。したがって、被検出体44が位置センサ45に検出されるときは、トナーポット27の液体トナーの貯留量が下限量以上であることがわかる。これにより、液体トナーの貯留量が下限量に達しているか否かの検知を行うことができる。
【0037】
回転体43の釣り合い位置は、シャフト40の回転速度に依存している。したがって、位置センサ45の高さ位置H0も、シャフト40の回転速度に基づいて決定される。一方で、上述のように、液体トナーは高粘度の流体であり、このため、シャフト40の回転速度は、トナーポット27に貯留されている液体トナーの粘度や比重に基づいて、最適な回転速度に設定される。
【0038】
図5を参照して、被検出体44が位置センサ45に検出されたときは(ステップS6でYes)、制御部60は、トナーポット27の液体トナーの量が下限量に達していると判断する(ステップS7)。一方、図6に示すように、液体トナーの貯留量が下限量に達していないときは、回転体43が釣り合い位置にあるときに被検出体44の高さ位置H2が位置センサ45の高さ位置H0に達しない。30秒経過しても被検出体44が位置センサ45に検出されないときは(ステップS6でNo)、制御部60は、トナーポット27に溜められた液体トナーの量が下限量に達していない、すなわち貯留量不足と判断する(ステップS8)。この場合、トナーポット27に接続された図示しないトナーカートリッジから新たなトナー液がトナーポット27に流入し、トナーポット27に貯留されている液体トナーの貯留量が増やされる。
【0039】
この実施形態によれば、駆動モータ42の駆動力を用いて回転体43を上昇させるため、液体トナーのように粘度が高い液体内においても、回転体43をスムーズに上下動させることができる。これにより、液体トナーの貯留量が下限量に達しているか否かを適切に検知することができる。
また、貯留量の検知を行う前に、回転体43を用いて液体トナー内を攪拌し、トナー成分とキャリア液とを混合してから貯留量検知を行うので、貯留量を適切に検知することができる。
【0040】
さらに、シャフト40がトナーポット27の底面27Aの中央部に立設されているので、液体トナー内を隔たりなく攪拌することができる。
この発明は、以上説明した実施形態に限定されない。図9は、この発明の他の実施形態に係る回転体の動きを表す模式図である。
図9の実施形態が、上述の実施形態と相違する点は、攪拌制御時において、シャフト40の回転方向は矢印41の方向であり、シャフト40の回転速度を上記貯留量の検知時の半分の速度である30r/minとする点である。かかる場合は、回転体43は、貯留量検知の場合よりも低い液体トナー内の位置で上下方向に変位しなくなる。したがって、回転体43を用いて液体トナー内を十分に攪拌することができ、これにより、貯留量が適切に検知される。
【0041】
上述の各実施形態では、攪拌のためのシャフト40の回転時間は30秒間としたが、30秒間に限られず、30秒間から2分までの範囲で適宜定めることができる。
また、位置センサ45は光学式センサであるとして説明したが、センサとしてアクチュエータを用いることもできる。
さらに、湿式画像形成装置1の電源オン時に貯留量検知を行うものとして説明したが、貯留量検知は予め定める画像形成枚数(たとえば10000枚)ごとに行うものであってもよい。
【0042】
また、液量検知装置100はトナーポット27に設けるものとして説明したが、調合ポット26や供給ポット20、さらには回収ポット28に設けることもできる。
その他、請求項記載の範囲において種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】この発明の一実施形態に係る湿式画像形成装置の構成を示す概略図である。
【図2】液量検知装置の構成を示す模式図である。
【図3】回転体の構成を説明するための正面図である。
【図4】被検出体およびセンサの構成を説明するための要部斜視図である。
【図5】貯留量検知制御を示すフローチャートである。
【図6】攪拌時の回転体の動きを表す模式図である。
【図7】貯留量検知時の回転体の動きを表す模式図である。
【図8】貯留量不足の場合における回転体の動きを表す模式図である。
【図9】この発明の他の実施形態に係る回転体の動きを表す模式図である。
【符号の説明】
【0044】
1 湿式画像形成装置
100 液量検知装置
2C、2M、2Y 感光体ドラム
6C、6M、6Y 液体現像装置
11、12、13 現像形成機構
40 シャフト
42 駆動モータ
43 回転体
44 被検出体(被検出部)
45 位置センサ(センサ)
46 円筒
48 スクリュー
60 制御部(液量検知制御手段、攪拌制御手段)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容容器に貯留された液体トナーの貯留量が所定量に達していることを検知するための液体トナーの液量検知装置であって、
上記収容容器内に略鉛直方向に延びて、回転可能に設けられたシャフトと、
シャフトを回転駆動する駆動モータと、
シャフトの所定方向への回転にともなって回転して浮力を生じ、液体トナー内を上昇する回転体と、
回転体が上昇したことに基づいて、所定量の液体トナーが貯留されていることを検出する検出手段と、
所定量の液体トナーが貯留されていることを検知するために、上記シャフトが上記所定の方向に予め定める回転速度で回転するように上記駆動モータを駆動する液量検知制御手段と、
この液量検知制御手段による液量検知前に、液体トナー内を攪拌するために、上記シャフトが液量検知時とは異なる態様で回転するように上記駆動モータを駆動する攪拌制御手段と
を含むことを特徴とする液体トナーの液量検知装置。
【請求項2】
上記駆動モータは正逆回転可能であり、
上記攪拌制御手段は、上記シャフトが上記所定方向とは逆の方向に回転するように、上記駆動モータを駆動することを特徴とする請求項1記載の液体トナーの液量検知装置。
【請求項3】
上記駆動モータは回転速度が可変可能であり、
上記攪拌制御手段は、上記シャフトが上記予め定める回転速度よりも遅い速度で回転するように、上記駆動モータを駆動することを特徴とする請求項1記載の液体トナーの液量検知装置。
【請求項4】
上記シャフトは、平面視で上記収容容器の中央部に配置されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の液体トナーの液量検知装置。
【請求項5】
感光体ドラムと、
液体トナーを用いて静電潜像を可視化するための液体現像装置とを含み、
液体現像装置には液体トナーを収容する収容容器が備えられており、この収容容器に請求項1ないし4のいずれかに記載の液体トナーの液量検知装置が設けられていることを特徴とする湿式画像形成装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図6】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−322530(P2007−322530A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−150219(P2006−150219)
【出願日】平成18年5月30日(2006.5.30)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】