液体供給装置及び液体噴射装置
【課題】チョーククリーニング時にバッファ室の可動部にかかる負荷を抑制することができる液体供給装置及び液体噴射装置を提供する。
【解決手段】プリンター11のインク供給装置20は、インクカートリッジ15側となる上流側から液体噴射ヘッド19側となる下流側に向けてインクを供給するための液体供給路27と、ポンプ29と、液体供給路27においてポンプ29の下流側に設けられ、ポンプ29から吐出されたインクを一時貯留するとともに、一時貯留したインクを液体噴射ヘッド19側に向けて加圧供給するための可動部を有するバッファ30と、液体供給路27においてバッファ30と液体噴射ヘッド19との間に設けられ、バッファ30側となる上流側の加圧力よりも液体噴射ヘッド19側となる下流側の負圧力が大きくなった場合に閉弁して液体供給路27を閉塞するチョーク弁33と、を備える。
【解決手段】プリンター11のインク供給装置20は、インクカートリッジ15側となる上流側から液体噴射ヘッド19側となる下流側に向けてインクを供給するための液体供給路27と、ポンプ29と、液体供給路27においてポンプ29の下流側に設けられ、ポンプ29から吐出されたインクを一時貯留するとともに、一時貯留したインクを液体噴射ヘッド19側に向けて加圧供給するための可動部を有するバッファ30と、液体供給路27においてバッファ30と液体噴射ヘッド19との間に設けられ、バッファ30側となる上流側の加圧力よりも液体噴射ヘッド19側となる下流側の負圧力が大きくなった場合に閉弁して液体供給路27を閉塞するチョーク弁33と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばインクなどの液体を供給するための液体供給装置及び該液体供給装置を備える液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
用紙などのターゲットに対して液体を噴射させる液体噴射装置として、インクジェット式プリンター(以下、「プリンター」と略す場合もある。)が広く知られている。従来、こうしたプリンターには、インク(液体)を噴射する液体噴射ヘッドにインクを供給するために、ダイアフラム式ポンプ等の脈動型のポンプを用いた液体供給装置を備えるものがある(例えば、特許文献1)。
【0003】
なお、脈動型のポンプは、インクカートリッジなどの液体供給源からインクを吸引する吸引動作と、吸引動作によって吸引したインクを液体噴射ヘッド側に向けて吐出する吐出動作とを交互に実行するため、吸引動作を行う間、インクの供給が一時的に停止されることになる。そのため、特許文献1の液体供給装置においては、吸引動作を行う間にもインクを液体噴射ヘッド側に向けて供給するために、ポンプから吐出されたインクを貯留するバッファ室が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−160912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1のプリンターにおいては、液体噴射ヘッドのメンテナンスとしてチョーククリーニングを行うために、ポンプから液体噴射ヘッドにインクを供給するインク流路を閉塞するためのチョーク弁(差圧弁)が設けられている。そして、チョーククリーニングを行う場合には、インクを噴射するために液体噴射ヘッドに設けられたノズルの開口側から付与される負圧力によってチョーク弁が閉弁してインク流路を閉塞するようになっている。
【0006】
ここで、特許文献1のプリンターにおいてチョーク弁はポンプとバッファ室との間に配置されているため、チョーク弁が閉弁してインク流路を閉塞するときには、バッファ室内も負圧になる。また、バッファ室には、貯留容量を変化させて貯留したインクを加圧するために、可撓性を有するフィルム部材等からなる可動壁などの可動部が設けられることがある。そのため、バッファ室の可動部はチョーククリーニングの都度、貯留容量を減少させる方向に強く引き寄せられることになり、可動部に大きな負荷がかかってしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、チョーククリーニング時にバッファ室の可動部にかかる負荷を抑制することができる液体供給装置及び液体噴射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の液体供給装置は、液体を収容した液体収容体側となる上流側から前記液体を噴射する液体噴射ヘッド側となる下流側に向けて前記液体を供給するための液体供給路と、前記液体収容体に収容された前記液体を吸引する吸引動作と吸引した前記液体を前記液体噴射ヘッド側に向けて吐出する吐出動作とを行うポンプと、前記液体供給路において前記ポンプの下流側に設けられ、前記ポンプから吐出された前記液体を一時貯留するとともに、一時貯留した前記液体を前記液体噴射ヘッド側に向けて加圧供給するための可動部を有するバッファ室と、前記液体供給路において前記バッファ室と前記液体噴射ヘッドとの間に設けられ、前記バッファ室側となる上流側の加圧力よりも前記液体噴射ヘッド側となる下流側の負圧力が大きくなった場合に閉弁して前記液体供給路を閉塞する差圧弁と、を備える。
【0009】
この構成によれば、差圧弁がバッファ室と液体噴射ヘッドとの間、すなわちバッファ室の下流側に設けられているので、チョーククリーニング時にはバッファ室の下流側で液体供給路が閉塞される。したがって、チョーククリーニング時にバッファ室に及ぶ負圧を低減し、可動部にかかる負荷を抑制することができる。
【0010】
本発明の液体供給装置は、前記液体供給路において前記液体収容体と前記ポンプとの間に設けられ、前記ポンプの前記吸引動作に伴って開弁するとともに前記ポンプの前記吐出動作に伴って閉弁する吸引側一方向弁と、前記液体供給路において前記ポンプと前記バッファ室との間に設けられ、前記ポンプの前記吸引動作に伴って閉弁するとともに前記ポンプの前記吐出動作に伴って開弁する吐出側一方向弁と、をさらに備え、該吐出側一方向弁は、前記ポンプ側となる上流側と前記バッファ室側となる下流側との圧力差に応じて変位することで前記液体供給路を閉塞及び開放する吐出側弁体を有する。
【0011】
この構成によれば、吐出側弁体は上流側と下流側との圧力差によって変位することで液体供給路を閉塞及び開放するので、微少な圧力差によっても液体供給路の開放を効率よく行うことができる。
【0012】
本発明の液体供給装置において、前記吸引側一方向弁は、前記液体供給路を閉塞可能な吸引側弁体と、前記液体供給路を閉塞する方向に前記吸引側弁体を付勢する付勢部材と、を有する。
【0013】
この構成によれば、吸引側一方向弁は吸引側弁体を付勢する付勢部材を有するので、付勢部材を有さない場合と比較して、下流側から上流側に向かう液体の流れをより確実に抑制することができる。
【0014】
本発明の液体供給装置において、前記吸引側弁体の前記液体供給路における受圧面積は、前記吐出側弁体の前記液体供給路における受圧面積よりも大きい。
この構成によれば、液体供給路において、吸引側弁体の受圧面積は吐出側弁体の受圧面積よりも大きいので、吸引側一方向弁はポンプが吸引動作を行う場合に付勢部材の付勢力に抗して液体供給路を開放することができる。
【0015】
本発明の液体供給装置において、前記吸引側一方向弁と前記ポンプとの間の前記液体供給路の長さは、前記ポンプと前記吐出側一方向弁との間の前記液体供給路の長さよりも長い。
【0016】
この構成によれば、吸引側一方向弁とポンプとの間の液体供給路の長さはポンプと吐出側一方向弁との間の液体供給路の長さよりも長いので、吸引側一方向弁とポンプとの間の流路抵抗はポンプと吐出側一方向弁との間よりも大きくなる。これにより、ポンプから液体収容体側に向かう液体の流れをより確実に抑制することができる。
【0017】
本発明の液体供給装置において、前記ポンプは、板状をなす流路形成部材の第1面に設けられたポンプ用凹部と、該ポンプ用凹部の開口部を覆蓋することでポンプ室を囲み形成するダイアフラムとを有するダイアフラム式ポンプであり、前記吐出側一方向弁は前記流路形成部材の前記第1面とは反対側の第2面に設けられた吐出側凹部と該吐出側凹部の開口部を覆蓋するように前記流路形成部材に取り付けられた可撓性部材とによって囲み形成される吐出側弁室を有し、前記ポンプ用凹部と前記吐出側凹部とは上下方向において重複するように設けられるとともに、前記ポンプ用凹部と前記吐出側凹部とを連通するように前記流路形成部材に設けられた貫通孔によって前記液体供給路が構成されている。
【0018】
この構成によれば、ポンプ用凹部と吐出側一方向弁の吐出側凹部とは上下方向において重複するように流路形成部材に設けられているので、液体供給装置の高さを低減することができる。また、ポンプ用凹部と吐出側凹部とを連通する貫通孔を液体供給路とすることで、ポンプと吐出側一方向弁との間の液体供給路の長さを短くして、流路抵抗を小さくすることができる。
【0019】
上記目的を達成するために、本発明の液体噴射装置は、液体を噴射する液体噴射ヘッドと、上記液体供給装置と、を備える。
この構成によれば、上記液体供給装置と同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明にかかる液体噴射装置を背面側からみた断面図。
【図2】本発明にかかる液体供給装置の前側部分の分解斜視図。
【図3】本発明にかかる液体供給装置の後側部分の分解斜視図。
【図4】流路形成部材の背面図。
【図5】流路形成部材の正面図。
【図6】ポンプの構成を説明するための分解斜視図。
【図7】吐出側一方向弁の構成を説明するための分解斜視図。
【図8】吸引側一方向弁の構成を説明するための分解斜視図。
【図9】ポンプの吸引動作を説明するための断面図。
【図10】ポンプの吐出動作を説明するための断面図。
【図11】バッファの構成を説明するための断面図。
【図12】(a)は開弁時のチョーク弁を示す断面図で、(b)は閉弁時のチョーク弁を示す断面図。
【図13】吐出側弁体の変形例を示す正面図。
【図14】吐出側弁体の変形例を示す正面図。
【図15】吐出側弁体の変形例を示す正面図。
【図16】吐出側弁体の変形例を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明にかかる液体噴射装置をインクジェット式プリンターに具体化した実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、「前後方向」、「左右方向」、「上下方向」をいう場合は、各図中に矢印で示した方向を基準として示すものとする。また、図面中の上方向、右方向及び前方向を示す矢印において、丸印の中に点が記載されたもの(矢の先端を前から見た図)は紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、丸印の中にバツが記載されたもの(矢の羽根を後ろから見た図)は紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
【0022】
図1に示すように、本実施形態のプリンター11においては、フレーム12内に配設された支持部材13上に、フレーム12の長手方向となる主走査方向X及び上下方向Zと交差する搬送方向(本実施形態では前後方向)に沿って用紙Pが搬送される。
【0023】
フレーム12の長手方向における第1端側(図1では左端側)に配設された液体収容体ホルダーの一例としてのカートリッジホルダー14には、液体の一例としてのインクを収容する液体収容体の一例としての複数のインクカートリッジ15(15B,15C)が着脱可能に装着される。なお、本実施形態においては、ブラックインクを収容する1つのブラック用インクカートリッジ15B及び互いに異なる色のカラーインクを収容する3つのカラー用インクカートリッジ15Cがカートリッジホルダー14に装着されるようになっている。
【0024】
フレーム12内には上下方向Zと交差する主走査方向Xに延びるガイド軸16が架設されているとともに、このガイド軸16にはキャリッジ17が摺動可能に支持されている。キャリッジ17は、図示しないキャリッジモーターの駆動によりガイド軸16に沿って主走査方向Xに往復移動されるようになっている。
【0025】
キャリッジ17の下面側には、インクを噴射する複数のノズル18が設けられた液体噴射ヘッド19が支持されている。なお、搬送方向に並ぶ複数のノズル18は同じ色のインクを噴射するノズル列を構成する。また、液体噴射ヘッド19には異なる色のインクに対応するノズル列が主走査方向Xに沿って複数(本実施形態では4列)配列されている。
【0026】
カートリッジホルダー14の背面側には、各インクカートリッジ15に収容されたインクを液体噴射ヘッド19に供給するための液体供給装置20が配置されている。また、液体供給装置20には接続部21が設けられているとともに、液体供給装置20の接続部21には可撓性を有するインク供給チューブ22の上流端が接続されている。そして、各インクカートリッジ15は、液体供給装置20及びインク供給チューブ22を介して液体噴射ヘッド19と接続されている。
【0027】
すなわち、プリンター11は、フレーム12側に設けられたインクカートリッジ15からキャリッジ17に搭載された液体噴射ヘッド19にインクを供給する所謂オフキャリッジタイプのプリンターである。そして、プリンター11は、液体噴射ヘッド19内に設けられた図示しない圧電素子の駆動によってノズル18から用紙Pに対してインクを噴射することで、用紙Pに印刷処理を施すようになっている。
【0028】
フレーム12内においてキャリッジ17の主走査方向Xに沿う移動範囲における第2端側(図1では右端側)はホーム位置HPとなっている。そして、フレーム12内においてホーム位置HPと対応する位置には、液体噴射ヘッド19に対して各種メンテナンス処理を行うためのメンテナンス装置23が配設されている。
【0029】
メンテナンス装置23は、液体噴射ヘッド19に対応する大きさに形成された有底箱状のキャップ24と、キャップ24を昇降移動させるための昇降機構25と、キャップ24内を吸引するための吸引ポンプ26とを備えている。
【0030】
キャップ24は、上昇移動してホーム位置HPに配置された液体噴射ヘッド19のインクを噴射するノズル18の開口を囲うように液体噴射ヘッド19に当接することにより、液体噴射ヘッド19のノズル18が開口する下面側との間に閉空間域を囲み形成する。そして、この状態で吸引ポンプ26を駆動することにより、閉空間域に負圧を発生させ、ノズル18を通じて液体噴射ヘッド19内のインクを排出させる吸引クリーニングが実行されるようになっている。
【0031】
次に、液体供給装置20の概略構成について説明する。
図1の部分拡大図に示すように、液体供給装置20には、インクカートリッジ15側となる上流側から液体噴射ヘッド19側となる下流側に向けてインクを供給するための液体供給路27がインクの色毎に設けられている。また、各液体供給路27の上流端は、それぞれ対応する色のインクカートリッジ15内に挿入される接続部28となっている。また、各液体供給路27の下流端は、それぞれ対応する色のインク供給チューブ22の上流端が接続された接続部21となっている。
【0032】
各液体供給路27の途中には、インクカートリッジ15に収容されたインクを吸引する吸引動作と吸引したインクを液体噴射ヘッド19側に向けて吐出する吐出動作とを行うダイアフラム式のポンプ29がそれぞれ設けられている。また、各液体供給路27においてポンプ29の下流側には、ポンプ29から吐出されたインクを一時貯留するバッファ30(30B,30C)がそれぞれ設けられている。すなわち、本実施形態において、液体供給装置20にはそれぞれ4つずつポンプ29及びバッファ30が設けられている。
【0033】
ブラックインクを貯留するためのバッファ30であるブラック用バッファ30Bは、カラーインクを貯留するためのバッファ30であるカラー用バッファ30Cよりも貯留容量が大きくなっている。また、ブラック用バッファ30Bはカラー用バッファ30Cの上方に配置されているとともに、複数(本実施形態では3つ)のカラー用バッファ30Cは主走査方向Xに並ぶように配置されている。
【0034】
各液体供給路27においてインクカートリッジ15につながる接続部28とポンプ29との間には、ポンプ29が吸引動作を行う場合に開弁するとともにポンプ29が吐出動作を行う場合に閉弁する吸引側一方向弁31が設けられている。また、各液体供給路27においてポンプ29とバッファ30との間には、ポンプ29が吸引動作を行う場合に閉弁するとともにポンプが吐出動作を行う場合に開弁する吐出側一方向弁32が設けられている。なお、吸引側一方向弁31とポンプ29とは、液体供給路27を構成する第1流路27aを通じて連通している。また、吐出側一方向弁32とバッファ30とは、液体供給路27を構成する第2流路27bを通じて連通している。
【0035】
さらに、各液体供給路27においてバッファ30と液体噴射ヘッド19につながるインク供給チューブ22との間には差圧弁の一例としてのチョーク弁33が設けられている。チョーク弁33は、バッファ30側となる上流側の加圧力よりも液体噴射ヘッド19側となる下流側の負圧力が大きくなった場合に閉弁して液体供給路27を閉塞するようになっている。なお、バッファ30とチョーク弁33とは液体供給路27を構成する第3流路27cを通じて連通しているとともに、チョーク弁33と接続部21とは液体供給路27を構成する第4流路27dを通じて連通している。
【0036】
したがって、吸引クリーニングが実行されると、チョーク弁33の下流側において負圧が高まることによってチョーク弁33が閉弁する。また、閉弁したチョーク弁33によって液体供給路27が閉塞された状態でさらに吸引クリーニングが継続されることで、液体噴射ヘッド19内の負圧が高まる。そしてその後、ポンプ29が吐出動作を行うと、チョーク弁33の上流側の圧力が上昇し、チョーク弁33が開弁する。これにより、ポンプ29によって吐出されたインクとともに液体噴射ヘッド19内に滞留している気泡や増粘したインクなどがノズル18を通じて勢いよく排出されるようになっている。すなわち、メンテナンス装置23及びチョーク弁33によって、排出クリーニングの一種であるチョーククリーニングが実行されるようになっている。
【0037】
なお、カートリッジホルダー14は、主走査方向Xに沿うキャリッジ17の移動領域と対応する位置(詳しくは、移動領域の左端側の上方)に配置されている。また、ポンプ29、吸引側一方向弁31、吐出側一方向弁32及びチョーク弁33は、主走査方向X及び上下方向Zと交差する装置の奥行き方向(本実施形態では前後方向)においてカートリッジホルダー14と並ぶように、カートリッジホルダー14の背面側となる第1領域34Lに配置されている。一方、各バッファ30は、主走査方向Xにおいてカートリッジホルダー14と並ぶように、第1領域34Lの右側に位置する第2領域34Rに配置されている。
【0038】
次に、液体供給装置20の構造について説明する。
図2に示すように、液体供給装置20は、主走査方向X及び上下方向Zと交差(本実施形態では直交)する装置の奥行き方向Y(搬送方向)において、カートリッジホルダー14の後方に配置される板状をなす流路形成部材35を備えている。
【0039】
流路形成部材35の第1面(本実施形態では前面)には、第1領域34Lと対応する位置に、溝状をなす1本の流体流路形成凹部37と、溝状をなす4本の第2流路形成凹部38と、平面視略円状をなす4つのポンプ用凹部39と、平面視略円状をなす4つのチョーク弁用凹部40とが、上側から下側に向けて並ぶように形成されている。また、各チョーク弁用凹部40の上端付近には溝状の導入凹部40aの下流端がそれぞれ接続されている。なお、各4つのポンプ用凹部39及びチョーク弁用凹部40は、それぞれ主走査方向Xに並ぶように配置されている。
【0040】
また、流路形成部材35の前面において第2領域34Rと対応する位置には、第1領域34Lから続く溝状の第2流路形成凹部38と、同じく溝状をなす4本の第3流路形成凹部41とが形成されている。
【0041】
流路形成部材35の前面からは、上下方向Zにおいてポンプ用凹部39とチョーク弁用凹部40との間となる位置から円筒形状をなす4つの接続部28が主走査方向Xに並ぶように突設されている。また、流路形成部材35の前面において各ポンプ用凹部39の開口の外周部にあたる位置には、前方に向けて突設される位置決め突起39a,39bがそれぞれ形成されている。
【0042】
流路形成部材35の前面側には、流体流路形成凹部37、第2流路形成凹部38及び第3流路形成凹部41を覆うように第1フィルム部材42が溶着される。そして、第2流路形成凹部38及び第1フィルム部材42によって第2流路27b(図1参照)が囲み形成されるとともに、第3流路形成凹部41及び第1フィルム部材42によって第3流路27c(図1参照)の上流側部分が囲み形成される。
【0043】
また、流路形成部材35の前面側には、チョーク弁用凹部40及び導入凹部40aを覆うように第2フィルム部材43が溶着される。さらに、流路形成部材35の左下部分からは、下方に向けて延設部35bが延設されているとともに、延設部35bの先端側には接続部21が前方に向けて突設されている。
【0044】
流路形成部材35とカートリッジホルダー14との間において各ポンプ用凹部39と対応する位置には、平面視略円状をなすダイアフラム45と、略円筒形状をなすばね座46と、第1コイルばね47とが、後側から前側に向けて並ぶようにそれぞれ設けられている。なお、各ダイアフラム45の前面側において中央付近からは突部48が突設されている。そして、この突部48とばね座46の内周面とが係合するとともに、ばね座46の外周面と第1コイルばね47とが係合するようになっている。
【0045】
各ダイアフラム45の外縁部には、流路形成部材35の位置決め突起39a,39bにそれぞれ対応する位置決め孔45a,45bが形成されている。また、各ダイアフラム45の外縁部において位置決め孔45aの近くには、それぞれ貫通孔45cが形成されている。そして、ダイアフラム45は、流路形成部材35の位置決め突起39a,39bに位置決め孔45a,45bが挿通されて位置決めがなされた場合に、ポンプ用凹部39を覆蓋する態様となる。
【0046】
図3に示すように、流路形成部材35の第1面とは反対側の第2面(本実施形態では後面)において第1領域34Lと対応する位置には、溝状をなす流体流路形成凹部49と、平面視略円状をなす4つの吐出側凹部50とが形成されている。また、流路形成部材35の後面において吐出側凹部50の下方には、溝状をなす4本の第1流路形成凹部51と、平面視略円状をなす4つの吸引側凹部52と、溝状をなす4本の第3流路形成凹部53とが、上側から下側に向けて並ぶように形成されている。なお、各4つの吐出側凹部50、第1流路形成凹部51及び吸引側凹部52は、それぞれ主走査方向Xに並ぶように配置されている。
【0047】
また、流路形成部材35の後面において第2領域34Rと対応する位置には、第1領域34Lから続く溝状の第3流路形成凹部53と、平面視略円状をなす4つのバッファ用凹部54(54B,54C)とが形成されている。なお、カラーインクに対応する3つのバッファ用凹部54Cは主走査方向Xに並ぶように配置されているとともに、ブラックインクに対応する1つのバッファ用凹部54Bはバッファ用凹部54Cの上方に配置されている。そして、バッファ用凹部54Bの開口面積は、3つのバッファ用凹部54Cの開口面積よりも大きくなっている。
【0048】
流路形成部材35の後面において左上部分からは、流路形成部材35の背面側から前面側に向けて空気などの流体を供給するための1本の供給部35aが後方に向けて突設されている。また、流路形成部材35の後面において左下部分には、延設部35bに向かって延びる4本の溝状をなす接続流路形成凹部35cが形成されている。
【0049】
流路形成部材35の後面側には、流体流路形成凹部49、吐出側凹部50、第1流路形成凹部51、吸引側凹部52、第3流路形成凹部53及び接続流路形成凹部35cを覆うように可撓性部材の一例としての第3フィルム部材55が溶着される。また、流路形成部材35の後面側には、バッファ用凹部54(54B,54C)を覆うように、それぞれ第4フィルム部材56(56B,56C)が溶着される。
【0050】
そして、第1流路形成凹部51及び第3フィルム部材55によって第1流路27a(図1参照)が囲み形成されるとともに、第3流路形成凹部53及び第3フィルム部材55によって第3流路27c(図1参照)の下流側部分が囲み形成される。また、接続流路形成凹部35c及び第3フィルム部材55によって第4流路27d(図1参照)が囲み形成される。
【0051】
流路形成部材35と第3フィルム部材55との間において各吐出側凹部50と対応する位置には、平面視略円状をなす吐出側弁体57と略円盤形状の第1固定部材58とが前側から後側に向けて並ぶようにそれぞれ設けられている。
【0052】
また、流路形成部材35と第3フィルム部材55との間において各吸引側凹部52と対応する位置には、吸引側凹部52を覆蓋する吸引側弁体59と、付勢部材の一例としての第2コイルばね60と、略円盤形状の第2固定部材61とが、前側から後側に向けて並ぶようにそれぞれ設けられている。そして、各第2コイルばね60は前端が吸引側弁体59に当接する一方で後端が第2固定部材61に当接することで、対応する吸引側弁体59を吸引側凹部52の内底面側に向けて付勢するようになっている。
【0053】
流路形成部材35の後面側において第2領域34Rと対応する位置には、間に第4フィルム部材56を挟むようにカバー部材62が組み付けられる。そして、第4フィルム部材56とカバー部材62との間には、バッファ用凹部54(54B,54C)とそれぞれ対応する位置に配置される受圧部材63(63B,63C)と第3コイルばね64(64B,64C)とが、前側から後側に向けて並ぶように設けられている。
【0054】
各受圧部材63の前側は平面状に形成されて、それぞれ対応する第4フィルム部材56の後面側における中央付近に固定される。また、各受圧部材63(63B,63C)の中央付近からは後方に向けて係止部65(65B,65C)が突設されている。そして、この係止部65(65B,65C)に第3コイルばね64(64B,64C)が係止されるようになっている。また、各第3コイルばね64は前端が受圧部材63に当接する一方で後端がカバー部材62に当接することで、対応する第4フィルム部材56をバッファ用凹部54の内底面側に向けて付勢するようになっている。
【0055】
図4に示すように、流路形成部材35において各吸引側凹部52の内底面には、それぞれ接続部28と対応する位置に貫通孔66が形成されている。また、流路形成部材35において、各ポンプ用凹部39の下端付近と対応する位置にはそれぞれ貫通孔67が形成されているとともに、各ポンプ用凹部39の上端付近と対応する位置にはそれぞれ貫通孔68が形成されている。そして、第1流路形成凹部51の上流端は吸引側凹部52の上端部分に接続されているとともに、第1流路形成凹部51の下流端は貫通孔67と連通している。なお、流路形成部材35において、ポンプ用凹部39と吐出側凹部50とは上下方向において重複するように設けられるとともに、貫通孔68はポンプ用凹部39と吐出側凹部50とを連通するように、吐出側凹部50の内底面の中央付近に設けられている。
【0056】
流路形成部材35において各吐出側凹部50の上端付近にはそれぞれ貫通孔69が形成されている。また、流路形成部材35において、各バッファ用凹部54の下端付近にはそれぞれ貫通孔70が形成されているとともに、各バッファ用凹部54の上端付近にはそれぞれ貫通孔71が形成されている。
【0057】
さらに、流路形成部材35には各吐出側凹部50と並ぶ位置に、それぞれ流体流路形成凹部49の下流端と連通する貫通孔72が形成されているとともに、流路形成部材35の左上部分には流体流路形成凹部49の上流端と連通する1つの貫通孔73が形成されている。
【0058】
図5に示すように、流路形成部材35の前面において、第2流路形成凹部38の上流端は貫通孔69と連通しているとともに、第2流路形成凹部38の下流端は貫通孔70と連通している。また、第3流路形成凹部41の上流端は貫通孔71と連通している。
【0059】
流路形成部材35において各第3流路形成凹部41の下流端と対応する位置には、第3流路形成凹部41の下流端と第3流路形成凹部53の上流端とを連通させるための貫通孔76がそれぞれ形成されている。また、流路形成部材35において各導入凹部40aの上流端と連通する位置には、それぞれ貫通孔77が形成されている。そして、第3流路形成凹部53の上流端は貫通孔76と連通しているとともに、第3流路形成凹部53の下流端は貫通孔77と連通している。
【0060】
流路形成部材35において各チョーク弁用凹部40の内底面の中央付近にはそれぞれ貫通孔78が形成されている。また、流路形成部材35において接続部21と対応する位置には、上下方向に並ぶ4つの貫通孔79が形成されている。そして、接続流路形成凹部35cの上流端は貫通孔78と連通しているとともに、接続流路形成凹部35cの下流端は貫通孔79と連通している。
【0061】
なお、本実施形態において、貫通孔66〜71,76〜79は液体供給路27(図1参照)を構成する。また、貫通孔67は第1流路27a(図1参照)を構成するとともに、貫通孔69,70は第2流路27b(図1参照)を構成する。また、貫通孔71,76,77及び導入凹部40aは第3流路27c(図1参照)を構成するとともに、貫通孔78,79は第4流路27d(図1参照)を構成する。
【0062】
また、各貫通孔72は、流路形成部材35の前面においてはポンプ用凹部39の開口の外周部であって位置決め突起39aの近くに位置している。さらに、流体流路形成凹部37の上流端は供給部35aと連通しているとともに、流体流路形成凹部37の下流端は貫通孔73と連通している。
【0063】
図6に示すように、カートリッジホルダー14の後面には、複数(本実施形態では4つ)の流体室用凹部82が主走査方向Xに並ぶように形成されているとともに、各流体室用凹部82と接する位置にはそれぞれ流体導入部82aが設けられている。なお、ばね座46及び第1コイルばね47は、ダイアフラム45とポンプ用凹部39とによって囲み形成される空間域に収容されるようになっている。
【0064】
そして、ダイアフラム45に形成された貫通孔45c及びカートリッジホルダー14の後面に形成された流体導入部82a、並びに、流路形成部材35に形成された供給部35a、流体流路形成凹部37、貫通孔73、流体流路形成凹部49及び貫通孔72によって、流体流路83が構成されている。
【0065】
図7に示すように、吐出側一方向弁32を構成する吐出側弁体57の中央付近は撓み変位可能な当接部57aになっているとともに、当接部57aの周囲には正面視略円弧状の2つの連通孔57bが形成されている。また、吐出側一方向弁32を構成する第1固定部材58の吐出側弁体57側となる前面側には、円柱状の第1突部58aと正面視略円弧状の2つの第2突部58bとが形成されている。そして、第1固定部材58の第2突部58bが吐出側弁体57の外縁部分に当接することで、吐出側弁体57が固定されるようになっている。
【0066】
図8に示すように、吸引側一方向弁31を構成する吸引側弁体59の中央には正面視円状の貫通孔59aが形成されている。また、吸引側弁体59には貫通孔59aを囲むように前側に向けて突出する環状突部59bが形成されている。
【0067】
吸引側一方向弁31を構成する第2固定部材61の中央には正面視円状の連通孔61aが形成されているとともに、連通孔61aの左方、右方及び下方には正面視略矩形状の連通孔61bが形成されている。また、第2固定部材61の外縁部からは、前方に向けて環状突部61cが突設されているとともに、後方に向けて環状突部61dが突設されている。
【0068】
第2固定部材61において連通孔61aの上方には環状突部61dの一部を切り欠くような態様で連通孔61eが形成されている。そして、第2固定部材61の環状突部61cが吸引側弁体59の外縁部分に当接することで、吸引側弁体59が固定されるようになっている。
【0069】
次に、ポンプ29の構成及び動作について説明する。
図9に示すように、ポンプ29は、ダイアフラム45、ばね座46及び第1コイルばね47を備えている。また、ポンプ29は、カートリッジホルダー14の後面に形成された流体室用凹部82とダイアフラム45とによって囲み形成される作動流体室84を備えている。また、ポンプ29は、流路形成部材35の前面に形成されたポンプ用凹部39とポンプ用凹部39の開口部を覆蓋するように流路形成部材35に取り付けられたダイアフラム45とによって囲み形成されるポンプ室85を備えている。なお、ポンプ室85は液体供給路27の一部を構成する。
【0070】
作動流体室84には、ダイアフラム45をポンプ室85側に向けて付勢する第1コイルばね47と、第1コイルばね47とダイアフラム45との間に配置されるばね座46とが収容されている。また、作動流体室84には、流体流路83を通じて減圧ポンプ等からなる圧力調整装置(図示略)及び大気開放機構(図示略)が接続されている。圧力調整装置は作動流体室84内に負圧を発生させ得るように構成されているとともに、大気開放機構は作動流体室84内を大気に開放して負圧状態を解消するように構成されている。
【0071】
そして、圧力調整装置の駆動に伴って作動流体室84内に負圧が発生すると、ダイアフラム45が第1コイルばね47の付勢力に抗してポンプ室85の容積を拡大する方向(本実施形態では前方)に変位することで、ポンプ29が吸引動作を行う。また、吸引動作の後に大気開放機構が駆動して作動流体室84内を大気に開放すると、図10に示すようにダイアフラム45が第1コイルばね47の付勢力によってポンプ室85の容積を縮小する方向(本実施形態では後方)に変位することで、ポンプ29が吐出動作を行う。
【0072】
次に、吸引側一方向弁31の構成及び動作について説明する。
吸引側一方向弁31は、吸引側弁体59、第2コイルばね60及び第2固定部材61を備えている。また、吸引側一方向弁31は、流路形成部材35の後面に形成された吸引側凹部52と第3フィルム部材55とによって囲み形成される吸引側弁室86を備えている。なお、吸引側弁室86は液体供給路27の一部を構成する。吸引側弁室86は、液体供給路27を閉塞可能な吸引側弁体59によって上流側部分(本実施形態では前側)と中央部分とに区画されているとともに、第2固定部材61によって中央部分と下流側部分(本実施形態では後側)とに区画されている。
【0073】
吸引側弁室86の区画された上流側部分と中央部分とは吸引側弁体59に形成された貫通孔59aを通じて連通可能となっているとともに、吸引側弁室86の区画された中央部分と下流側部分とは第2固定部材61に形成された連通孔61a,61b,61eを通じて連通可能となっている。なお、第2コイルばね60は前後方向において吸引側弁体59と第2固定部材61との間に配置されて、環状突部59bが吸引側凹部52の内底面に当接して吸引側弁室86の上流側部分と中央部分とが連通不能となるように、すなわち液体供給路27を閉塞する方向に吸引側弁体59を付勢している。
【0074】
そして、ポンプ29が吸引動作を行うと、第1流路27aを通じて吸引側弁室86内のインクがポンプ室85内に吸引されて吸引側弁室86内に負圧が生じる。すると、図9に示すように吸引側弁体59の環状突部59bが第2コイルばね60の付勢力に抗して吸引側凹部52の内底面から離間し、吸引側弁室86の上流側部分と中央部分とが連通する。すなわち、吸引側一方向弁31が開弁して液体供給路27を開放する。これにより、接続部28を通じてインクカートリッジ15内のインクがポンプ室85側に向けて供給される。
【0075】
一方、ポンプ29が吐出動作を行うと、第1流路27aを通じてポンプ室85内のインクが吸引側弁室86内に流入する。これにより、吸引側弁室86内の負圧が解消されて、図10に示すように吸引側弁体59の環状突部59bが第2コイルばね60の付勢力によって吸引側凹部52の内底面に当接する。すなわち、吸引側一方向弁31が閉弁して液体供給路27を閉塞する。
【0076】
次に、吐出側一方向弁32の構成及び動作について説明する。
吐出側一方向弁32は、吐出側弁体57及び第1固定部材58を備えている。また、吐出側一方向弁32は、流路形成部材35の後面に形成された吐出側凹部50と吐出側凹部50の開口部を覆蓋するように流路形成部材35に取り付けられた第3フィルム部材55とによって囲み形成される吐出側弁室87を備えている。なお、吐出側弁室87は液体供給路27の一部を構成する。
【0077】
吐出側弁室87とポンプ室85とは貫通孔68を通じて連通可能となっているが、貫通孔68の吐出側弁室87に対する開口は、常時は吐出側弁体57の当接部57aによって閉塞されている。また、吐出側弁体57の当接部57aは、ポンプ29側となる上流側とバッファ30側となる下流側との圧力差に応じて変位することで液体供給路27を構成する貫通孔68を閉塞及び開放する。
【0078】
具体的には、ポンプ29が吐出動作を行うと、貫通孔68を通じてポンプ室85内のインクが加圧状態で吐出されるので、このインクの加圧力によって当接部57aが第1固定部材58側に変位する。すなわち、吐出側一方向弁32が開弁して液体供給路27を開放する。すると、連通孔57bを通じて吐出側弁室87内にインクが流入するとともに、流入したインクが第2流路27bを通じて下流側に位置するバッファ30に供給される。
【0079】
一方、ポンプ29が吸引動作を行うと、貫通孔68を通じて吐出側弁室87内のインクがポンプ室85側に吸引されるので、図9に示すように当接部57aが貫通孔68側に変位して貫通孔68を閉塞する。すなわち、吐出側一方向弁32が閉弁して液体供給路27を閉塞する。
【0080】
次に、バッファ30の構成及び動作について説明する。
図11に示すように、ブラック用バッファ30Bは、受圧部材63B及び第3コイルばね64Bを備えている。また、ブラック用バッファ30Bは、流路形成部材35の後面に形成されたバッファ用凹部54Bと第4フィルム部材56Bとによって囲み形成されるバッファ室88(ブラック用バッファ室88B)を備えている。なお、各バッファ室88は液体供給路27の一部を構成する。
【0081】
受圧部材63Bは第4フィルム部材56Bの後面に固定されているとともに、第3コイルばね64Bは受圧部材63Bとカバー部材62との間に配置されている。そして、第4フィルム部材56Bは第3コイルばね64Bの付勢力によってブラック用バッファ室88Bの容積を減少させる方向(本実施形態では前方)に付勢されている。
【0082】
カラー用バッファ30Cは、受圧部材63C及び第3コイルばね64Cを備えている。また、カラー用バッファ30Cは、流路形成部材35の後面に形成されたバッファ用凹部54Cと第4フィルム部材56Cとによって囲み形成されるバッファ室88(カラー用バッファ室88C)を備えている。
【0083】
受圧部材63Cは第4フィルム部材56Cの後面側に配置されているとともに、第3コイルばね64Cは受圧部材63Cとカバー部材62との間に配置されている。そして、第4フィルム部材56Cは第3コイルばね64Cの付勢力によってカラー用バッファ室88Cの容積を減少させる方向(本実施形態では前方)に付勢されている。
【0084】
ポンプ29の吐出動作時には、加圧されたインクが第2流路27bを通じて各バッファ室88に流入する。そして、各第3コイルばね64の付勢力は、ポンプ29の吐出動作に伴って流入するインクの加圧力よりも小さくなるように設定されている。そのため、ポンプ29の吐出動作時には、インクの加圧力によって第4フィルム部材56が第3コイルばね64の付勢力に抗してバッファ室88の容積を拡大する方向(本実施形態では後方)に変位するとともに、第3流路27cを通じてチョーク弁33側に向けてインクが加圧供給される。なお、受圧部材63、第3コイルばね64及び第4フィルム部材56は、バッファ室88に一時貯留されたインクを加圧供給するための可動部として機能する。また、第4フィルム部材56は、バッファ室88の容積を変化させるための可動壁として機能する。
【0085】
一方、ポンプ29の吸引動作時には、吐出側一方向弁32が閉弁してポンプ29側からのインクの供給が停止される。その間には、第4フィルム部材56が第3コイルばね64の付勢力によってバッファ室88の容積を減少させる方向(本実施形態では前方)に変位して、第3流路27cを通じてチョーク弁33側に向けてインクを加圧供給する。
【0086】
次に、チョーク弁33の構成及び動作について説明する。
図12(a)に示すように、チョーク弁33は、流路形成部材35の前面に形成されたチョーク弁用凹部40と第2フィルム部材43とによって囲み形成される差圧弁室89を備えている。なお、差圧弁室89は液体供給路27の一部を構成する。
【0087】
ポンプ29の駆動時には、第3流路27cを通じて差圧弁室89に対して連続的にインクが加圧供給される。具体的には、ポンプ29の吐出動作時にはポンプ29の吐出力によって、また、ポンプ29の吸引動作時にはバッファ30の加圧力によって、インクが供給される。そして、インクが供給されると差圧弁室89内は正圧となるので、第2フィルム部材43は貫通孔78の開口部から離間した状態に保持され、第4流路27dを通じて液体噴射ヘッド19側に向けてインクが供給される。
【0088】
一方、吸引クリーニングの実行時には、液体噴射ヘッド19内のインクが排出されるのに伴って差圧弁室89内のインクが第4流路27dを通じて流出し、差圧弁室89内が負圧になる。すると、図12(b)に示すように第2フィルム部材43が差圧弁室89の容積を減少させる方向(本実施形態においては後方)に変位して貫通孔78の開口部に当接する。すなわち、チョーク弁33が閉弁して液体供給路27を閉塞する。また、この状態でポンプ29が吐出動作を行うと、差圧弁室89内にインクが供給されて負圧が解消され、第2フィルム部材43が貫通孔78の開口部から離間する。すなわち、チョーク弁33が開弁して液体供給路27を開放する。
【0089】
次に、液体供給装置20の作用について説明する。
バッファ30を構成するバッファ室88は、一時貯留したインクを液体噴射ヘッド19側に向けて加圧供給するために、その壁面の一部を構成する第3フィルム部材55を可動部として有している。
【0090】
そして、第3フィルム部材55は、その可撓性を確保するために撓みを有した状態で流路形成部材35に溶着される。例えば、バッファ用凹部54の形状に沿う押圧部材(図示略)によってバッファ用凹部54内に第3フィルム部材55を押し込むような態様でバッファ用凹部54の外縁部分に対して熱溶着される。
【0091】
そのため、第3フィルム部材55の撓み変位する可動部分は、押し込みによってやや伸張された状態となって溶着前と比較して薄くなるので、過度な負荷をかけるのは好ましくない。その点、本実施形態のプリンター11においてチョーク弁33はバッファ室88の下流側に設けられているので、チョーククリーニング時にはチョーク弁33が閉弁することで、バッファ室88内に過度な負圧が及ぶことがない。したがって、バッファ室88の可動部を構成する第3フィルム部材55に過度な負荷がかかることが抑制される。
【0092】
また、液体供給装置20において、ブラック用バッファ室88Bの貯留容量はカラー用バッファ室88Cよりも大きくなっているため、プリンター11がモノクロ印刷に多用される場合にも、多くのブラックインクを効率よく供給することができる。なお、ブラック用バッファ室88Bはカラー用バッファ室88Cの上方に配置されることによってブラックインクを高い位置から供給することができるので、液体噴射ヘッド19との水頭差を大きくして、ブラックインクの供給を補助することができる。
【0093】
これに対して、複数のカラー用バッファ室88Cが主走査方向Xに並ぶように配置されるので、複数のカラー用バッファ室88Cが上下方向Zに並ぶように配置される場合と比較して、液体供給装置20及びプリンター11の高さが低減される。
【0094】
なお、ポンプ29、吸引側一方向弁31、吐出側一方向弁32及びチョーク弁33は流路形成部材35の第1領域34Lに配置されているのに対して、各バッファ室88は主走査方向Xにおいて第1領域34Lと並ぶように配置された第2領域34Rに配置されている。そのため、液体供給装置20やプリンター11の高さを増すことなく、ブラック用バッファ室88Bの貯留容量を従来よりも大きくすることができる。
【0095】
さらに、板状をなす流路形成部材35において、ポンプ用凹部39と吐出側凹部50とは上下方向Zにおいて重複するように設けられるので、その重複した高さの分、液体供給装置20及びプリンター11の高さが低減される。さらに、流路形成部材35においては、ポンプ用凹部39と吐出側凹部50とを連通するように流路形成部材35に設けられた貫通孔68によって液体供給路27が構成されている。したがって、ポンプ29と吐出側一方向弁32との間の液体供給路27の長さを流路形成部材35の厚さ程度に短くすることができる。
【0096】
これに対して、吸引側一方向弁31とポンプ29との間の液体供給路27である第1流路27aは溝状の第1流路形成凹部51によって構成されていることから、第1流路27aの長さは、ポンプ29と吐出側一方向弁32との間の液体供給路27の長さよりも長くなっている。そのため、吸引側一方向弁31とポンプ29との間の流路抵抗はポンプ29と吐出側一方向弁32との間よりも大きくなり、ポンプ29からインクカートリッジ15側へのインクの逆流が抑制される。
【0097】
また、吸引側一方向弁31の吸引側弁体59は第2コイルばね60によって閉弁する方向に付勢されているのに対して、吐出側一方向弁32の吐出側弁体57は付勢部材によって付勢されず、インクの圧力によってのみ変位するようになっている。したがって、吸引側一方向弁31においてはポンプ29からインクカートリッジ15側へのインクの逆流を抑制する一方、吐出側一方向弁32においては効率よくインクを下流側に供給することができる。
【0098】
なお、吸引側凹部52の開口面積は、吐出側凹部50の開口面積よりも大きく形成されている。その結果、吸引側凹部52を覆蓋する吸引側弁体59の液体供給路27における受圧面積は、吐出側凹部50を覆蓋する吐出側弁体57の液体供給路27における受圧面積よりも大きくなっている。したがって、吸引側一方向弁31において、吸引側弁体59は第2コイルばね60の付勢力に抗して液体供給路27を開放することができるようになっている。
【0099】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)バッファ室88は上下方向Zと交差する主走査方向Xにおいてポンプ29と並ぶように配置されるので、ポンプ29とバッファ室88とが上下方向Zに並ぶように配置される場合と比較して、装置の高さを低減することができる。
【0100】
(2)ブラック用バッファ室88Bの貯留容量がカラー用バッファ室88Cよりも大きいため、単位時間あたりのブラックインクの最大供給量を大きくすることができる。これにより、モノクロ印刷を行う場合など、単位時間あたりのブラックインクの消費量が増大する場合にも、ブラックインクの供給不足を抑制することができる。
【0101】
(3)カートリッジホルダー14及び各バッファ室88はキャリッジ17の移動領域の上方に配置されるので、各バッファ室88と液体噴射ヘッド19との水頭差によって、液体噴射ヘッド19へのインクの供給を補助することができる。さらに、ブラック用バッファ室88Bはカラー用バッファ室88Cの上方に配置されるので、カラー用バッファ室88Cよりも液体噴射ヘッド19との水頭差が大きくなる。これにより、モノクロ印刷を行う場合など、単位時間あたりのブラックインクの消費量が増大する場合にも、大きな水頭差によってブラックインクを効率よく供給することができる。
【0102】
(4)複数のカラー用バッファ室88Cが主走査方向Xに並ぶように配置されるので、複数のカラー用バッファ室88Cが上下方向Zに並ぶように配置される場合と比較して、装置の高さを低減することができる。
【0103】
(5)チョーク弁33がバッファ室88と液体噴射ヘッド19との間、すなわちバッファ室88の下流側に設けられているので、チョーククリーニング時にはバッファ室88の下流側で液体供給路27が閉塞される。したがって、チョーククリーニング時にバッファ室88に及ぶ負圧を低減し、第4フィルム部材56にかかる負荷を抑制することができる。
【0104】
(6)吐出側弁体57は上流側と下流側との圧力差によって変位することで液体供給路27を閉塞及び開放するので、微少な圧力差によっても液体供給路27の開放を効率よく行うことができる。
【0105】
(7)吸引側一方向弁31は吸引側弁体59を付勢する第2コイルばね60を有するので、第2コイルばね60を有さない場合と比較して、下流側から上流側に向かうインクの流れをより確実に抑制することができる。
【0106】
(8)液体供給路27において、吸引側弁体59の受圧面積は吐出側弁体57の受圧面積よりも大きいので、吸引側一方向弁31はポンプ29が吸引動作を行う場合に第2コイルばね60の付勢力に抗して液体供給路27を開放することができる。
【0107】
(9)吸引側一方向弁31とポンプ29との間の液体供給路27の長さはポンプ29と吐出側一方向弁32との間の液体供給路27の長さよりも長いので、吸引側一方向弁31とポンプ29との間の流路抵抗はポンプ29と吐出側一方向弁32との間よりも大きくなる。これにより、ポンプ29からインクカートリッジ15側に向かうインクの流れをより確実に抑制することができる。
【0108】
(10)ポンプ用凹部39と吐出側一方向弁32の吐出側凹部50とは上下方向Zにおいて重複するように流路形成部材35に設けられているので、液体供給装置20の高さを低減することができる。また、ポンプ用凹部39と吐出側凹部50とを連通する貫通孔68を液体供給路27とすることで、ポンプ29と吐出側一方向弁32との間の液体供給路27の長さを短くして、流路抵抗を小さくすることができる。
【0109】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・吐出側一方向弁32の吐出側弁体は、図13〜図16のように変更してもよい。具体的には、図13に示すように、吐出側弁体100が正面視略円状の当接部100aと正面視円弧形状の1つの連通孔100bを有してもよい。または、図14に示すように、吐出側弁体101が外縁側から中央に向けて略等幅で延びるとともに先端側が平面視半円状をなす当接部101aと正面視略円弧形状の1つの連通孔101bを有してもよい。または、図15に示すように、吐出側弁体102が正面視略円状の当接部102aと正面視略円弧形状の4つの連通孔102bを有してもよい。なお、同図において、正面視略円状の当接部を囲むように配置される連通孔の数は、3つや5つ以上など、任意に変更することができる。または、図16に示すように、吐出側弁体103が正面視円弧形状の1つの切り込み103aによって変位可能となる当接部103bを有してもよい。
【0110】
・第2領域34Rにおいて、各色に対応するバッファ30の大きさや配置を変更してもよい。例えば、特定の色や種類の液体を多く使用する場合には、その液体の貯留容量が大きくなるようにバッファ室88の容積を変更することができる。また、使用するインクの色や液体の種類に応じてバッファ30の数を任意に変更してもよいし、複数のバッファ30が1つの色や種類の液体に対応するようにしてもよい。
【0111】
・第2領域34Rは、第1領域34Lの左側に配置してもよい。
・液体供給装置20とメンテナンス装置23とがフレーム12の長手方向における同じ端部側に配置されるようにしてもよい。
【0112】
・吸引側一方向弁31とポンプ29との間の液体供給路27の長さや、ポンプ29と吐出側一方向弁32との間の液体供給路27の長さは任意に変更することができる。また、第1領域34Lにおいて、ポンプ29、吸引側一方向弁31、吐出側一方向弁32及びチョーク弁33の配置や大きさを変更してもよい。
【0113】
・チョーク弁33は、上流側と下流側との圧力差に応じて開閉する差圧弁に限らず、任意のタイミングで開閉操作を行うことができる電磁弁等の開閉弁としてもよい。
・バッファ30の可動壁はフィルム部材に限らず、ピストン等の部材によって構成するようにしてもよい。
【0114】
・プリンターは、インクカートリッジ15がキャリッジ17上に搭載されるオンキャリッジタイプであってもよい。あるいは、キャリッジ17が主走査方向Xに移動するシリアル式のプリンターに限らず、液体噴射ヘッド19を固定したままでも用紙最大幅範囲の印字が可能なラインヘッド式やラテラル式のプリンターであってもよい。さらに、インクジェット式のラベルプリンター、バーコードプリンターや発券装置などであってもよい。
【0115】
・液体噴射装置はプリンターに限らず、FAX装置、コピー装置あるいはこれら複数機能を備えた複合機などであってもよい。さらに、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体噴射装置を採用してもよく、微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体噴射装置に流用可能である。なお、液滴とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状態、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルタの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置であってもよい。また、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサ等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置を採用してもよい。
【符号の説明】
【0116】
11…液体噴射装置の一例としてのプリンター、14…液体収容体ホルダーの一例としてのカートリッジホルダー、15…液体収容体の一例としてのインクカートリッジ、15B…ブラック用インクカートリッジ、15C…カラー用インクカートリッジ、17…キャリッジ、19…液体噴射ヘッド、20…液体供給装置、27…液体供給路、29…ポンプ、31…吸引側一方向弁、32…吐出側一方向弁、33…差圧弁の一例としてのチョーク弁、35…流路形成部材、39…ポンプ用凹部、45…ダイアフラム、50…吐出側凹部、55…可撓性部材の一例としての第3フィルム部材、56…可動部として機能する第4フィルム部材、57,100,101,102,103…吐出側弁体、59…吸引側弁体、60…付勢部材の一例としての第2コイルばね、68…貫通孔、85…ポンプ室、87…吐出側弁室、88…バッファ室、88B…ブラック用バッファ室、88C…カラー用バッファ室、X…主走査方向、Y…奥行き方向、Z…上下方向。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばインクなどの液体を供給するための液体供給装置及び該液体供給装置を備える液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
用紙などのターゲットに対して液体を噴射させる液体噴射装置として、インクジェット式プリンター(以下、「プリンター」と略す場合もある。)が広く知られている。従来、こうしたプリンターには、インク(液体)を噴射する液体噴射ヘッドにインクを供給するために、ダイアフラム式ポンプ等の脈動型のポンプを用いた液体供給装置を備えるものがある(例えば、特許文献1)。
【0003】
なお、脈動型のポンプは、インクカートリッジなどの液体供給源からインクを吸引する吸引動作と、吸引動作によって吸引したインクを液体噴射ヘッド側に向けて吐出する吐出動作とを交互に実行するため、吸引動作を行う間、インクの供給が一時的に停止されることになる。そのため、特許文献1の液体供給装置においては、吸引動作を行う間にもインクを液体噴射ヘッド側に向けて供給するために、ポンプから吐出されたインクを貯留するバッファ室が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−160912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1のプリンターにおいては、液体噴射ヘッドのメンテナンスとしてチョーククリーニングを行うために、ポンプから液体噴射ヘッドにインクを供給するインク流路を閉塞するためのチョーク弁(差圧弁)が設けられている。そして、チョーククリーニングを行う場合には、インクを噴射するために液体噴射ヘッドに設けられたノズルの開口側から付与される負圧力によってチョーク弁が閉弁してインク流路を閉塞するようになっている。
【0006】
ここで、特許文献1のプリンターにおいてチョーク弁はポンプとバッファ室との間に配置されているため、チョーク弁が閉弁してインク流路を閉塞するときには、バッファ室内も負圧になる。また、バッファ室には、貯留容量を変化させて貯留したインクを加圧するために、可撓性を有するフィルム部材等からなる可動壁などの可動部が設けられることがある。そのため、バッファ室の可動部はチョーククリーニングの都度、貯留容量を減少させる方向に強く引き寄せられることになり、可動部に大きな負荷がかかってしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、チョーククリーニング時にバッファ室の可動部にかかる負荷を抑制することができる液体供給装置及び液体噴射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の液体供給装置は、液体を収容した液体収容体側となる上流側から前記液体を噴射する液体噴射ヘッド側となる下流側に向けて前記液体を供給するための液体供給路と、前記液体収容体に収容された前記液体を吸引する吸引動作と吸引した前記液体を前記液体噴射ヘッド側に向けて吐出する吐出動作とを行うポンプと、前記液体供給路において前記ポンプの下流側に設けられ、前記ポンプから吐出された前記液体を一時貯留するとともに、一時貯留した前記液体を前記液体噴射ヘッド側に向けて加圧供給するための可動部を有するバッファ室と、前記液体供給路において前記バッファ室と前記液体噴射ヘッドとの間に設けられ、前記バッファ室側となる上流側の加圧力よりも前記液体噴射ヘッド側となる下流側の負圧力が大きくなった場合に閉弁して前記液体供給路を閉塞する差圧弁と、を備える。
【0009】
この構成によれば、差圧弁がバッファ室と液体噴射ヘッドとの間、すなわちバッファ室の下流側に設けられているので、チョーククリーニング時にはバッファ室の下流側で液体供給路が閉塞される。したがって、チョーククリーニング時にバッファ室に及ぶ負圧を低減し、可動部にかかる負荷を抑制することができる。
【0010】
本発明の液体供給装置は、前記液体供給路において前記液体収容体と前記ポンプとの間に設けられ、前記ポンプの前記吸引動作に伴って開弁するとともに前記ポンプの前記吐出動作に伴って閉弁する吸引側一方向弁と、前記液体供給路において前記ポンプと前記バッファ室との間に設けられ、前記ポンプの前記吸引動作に伴って閉弁するとともに前記ポンプの前記吐出動作に伴って開弁する吐出側一方向弁と、をさらに備え、該吐出側一方向弁は、前記ポンプ側となる上流側と前記バッファ室側となる下流側との圧力差に応じて変位することで前記液体供給路を閉塞及び開放する吐出側弁体を有する。
【0011】
この構成によれば、吐出側弁体は上流側と下流側との圧力差によって変位することで液体供給路を閉塞及び開放するので、微少な圧力差によっても液体供給路の開放を効率よく行うことができる。
【0012】
本発明の液体供給装置において、前記吸引側一方向弁は、前記液体供給路を閉塞可能な吸引側弁体と、前記液体供給路を閉塞する方向に前記吸引側弁体を付勢する付勢部材と、を有する。
【0013】
この構成によれば、吸引側一方向弁は吸引側弁体を付勢する付勢部材を有するので、付勢部材を有さない場合と比較して、下流側から上流側に向かう液体の流れをより確実に抑制することができる。
【0014】
本発明の液体供給装置において、前記吸引側弁体の前記液体供給路における受圧面積は、前記吐出側弁体の前記液体供給路における受圧面積よりも大きい。
この構成によれば、液体供給路において、吸引側弁体の受圧面積は吐出側弁体の受圧面積よりも大きいので、吸引側一方向弁はポンプが吸引動作を行う場合に付勢部材の付勢力に抗して液体供給路を開放することができる。
【0015】
本発明の液体供給装置において、前記吸引側一方向弁と前記ポンプとの間の前記液体供給路の長さは、前記ポンプと前記吐出側一方向弁との間の前記液体供給路の長さよりも長い。
【0016】
この構成によれば、吸引側一方向弁とポンプとの間の液体供給路の長さはポンプと吐出側一方向弁との間の液体供給路の長さよりも長いので、吸引側一方向弁とポンプとの間の流路抵抗はポンプと吐出側一方向弁との間よりも大きくなる。これにより、ポンプから液体収容体側に向かう液体の流れをより確実に抑制することができる。
【0017】
本発明の液体供給装置において、前記ポンプは、板状をなす流路形成部材の第1面に設けられたポンプ用凹部と、該ポンプ用凹部の開口部を覆蓋することでポンプ室を囲み形成するダイアフラムとを有するダイアフラム式ポンプであり、前記吐出側一方向弁は前記流路形成部材の前記第1面とは反対側の第2面に設けられた吐出側凹部と該吐出側凹部の開口部を覆蓋するように前記流路形成部材に取り付けられた可撓性部材とによって囲み形成される吐出側弁室を有し、前記ポンプ用凹部と前記吐出側凹部とは上下方向において重複するように設けられるとともに、前記ポンプ用凹部と前記吐出側凹部とを連通するように前記流路形成部材に設けられた貫通孔によって前記液体供給路が構成されている。
【0018】
この構成によれば、ポンプ用凹部と吐出側一方向弁の吐出側凹部とは上下方向において重複するように流路形成部材に設けられているので、液体供給装置の高さを低減することができる。また、ポンプ用凹部と吐出側凹部とを連通する貫通孔を液体供給路とすることで、ポンプと吐出側一方向弁との間の液体供給路の長さを短くして、流路抵抗を小さくすることができる。
【0019】
上記目的を達成するために、本発明の液体噴射装置は、液体を噴射する液体噴射ヘッドと、上記液体供給装置と、を備える。
この構成によれば、上記液体供給装置と同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明にかかる液体噴射装置を背面側からみた断面図。
【図2】本発明にかかる液体供給装置の前側部分の分解斜視図。
【図3】本発明にかかる液体供給装置の後側部分の分解斜視図。
【図4】流路形成部材の背面図。
【図5】流路形成部材の正面図。
【図6】ポンプの構成を説明するための分解斜視図。
【図7】吐出側一方向弁の構成を説明するための分解斜視図。
【図8】吸引側一方向弁の構成を説明するための分解斜視図。
【図9】ポンプの吸引動作を説明するための断面図。
【図10】ポンプの吐出動作を説明するための断面図。
【図11】バッファの構成を説明するための断面図。
【図12】(a)は開弁時のチョーク弁を示す断面図で、(b)は閉弁時のチョーク弁を示す断面図。
【図13】吐出側弁体の変形例を示す正面図。
【図14】吐出側弁体の変形例を示す正面図。
【図15】吐出側弁体の変形例を示す正面図。
【図16】吐出側弁体の変形例を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明にかかる液体噴射装置をインクジェット式プリンターに具体化した実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、「前後方向」、「左右方向」、「上下方向」をいう場合は、各図中に矢印で示した方向を基準として示すものとする。また、図面中の上方向、右方向及び前方向を示す矢印において、丸印の中に点が記載されたもの(矢の先端を前から見た図)は紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、丸印の中にバツが記載されたもの(矢の羽根を後ろから見た図)は紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
【0022】
図1に示すように、本実施形態のプリンター11においては、フレーム12内に配設された支持部材13上に、フレーム12の長手方向となる主走査方向X及び上下方向Zと交差する搬送方向(本実施形態では前後方向)に沿って用紙Pが搬送される。
【0023】
フレーム12の長手方向における第1端側(図1では左端側)に配設された液体収容体ホルダーの一例としてのカートリッジホルダー14には、液体の一例としてのインクを収容する液体収容体の一例としての複数のインクカートリッジ15(15B,15C)が着脱可能に装着される。なお、本実施形態においては、ブラックインクを収容する1つのブラック用インクカートリッジ15B及び互いに異なる色のカラーインクを収容する3つのカラー用インクカートリッジ15Cがカートリッジホルダー14に装着されるようになっている。
【0024】
フレーム12内には上下方向Zと交差する主走査方向Xに延びるガイド軸16が架設されているとともに、このガイド軸16にはキャリッジ17が摺動可能に支持されている。キャリッジ17は、図示しないキャリッジモーターの駆動によりガイド軸16に沿って主走査方向Xに往復移動されるようになっている。
【0025】
キャリッジ17の下面側には、インクを噴射する複数のノズル18が設けられた液体噴射ヘッド19が支持されている。なお、搬送方向に並ぶ複数のノズル18は同じ色のインクを噴射するノズル列を構成する。また、液体噴射ヘッド19には異なる色のインクに対応するノズル列が主走査方向Xに沿って複数(本実施形態では4列)配列されている。
【0026】
カートリッジホルダー14の背面側には、各インクカートリッジ15に収容されたインクを液体噴射ヘッド19に供給するための液体供給装置20が配置されている。また、液体供給装置20には接続部21が設けられているとともに、液体供給装置20の接続部21には可撓性を有するインク供給チューブ22の上流端が接続されている。そして、各インクカートリッジ15は、液体供給装置20及びインク供給チューブ22を介して液体噴射ヘッド19と接続されている。
【0027】
すなわち、プリンター11は、フレーム12側に設けられたインクカートリッジ15からキャリッジ17に搭載された液体噴射ヘッド19にインクを供給する所謂オフキャリッジタイプのプリンターである。そして、プリンター11は、液体噴射ヘッド19内に設けられた図示しない圧電素子の駆動によってノズル18から用紙Pに対してインクを噴射することで、用紙Pに印刷処理を施すようになっている。
【0028】
フレーム12内においてキャリッジ17の主走査方向Xに沿う移動範囲における第2端側(図1では右端側)はホーム位置HPとなっている。そして、フレーム12内においてホーム位置HPと対応する位置には、液体噴射ヘッド19に対して各種メンテナンス処理を行うためのメンテナンス装置23が配設されている。
【0029】
メンテナンス装置23は、液体噴射ヘッド19に対応する大きさに形成された有底箱状のキャップ24と、キャップ24を昇降移動させるための昇降機構25と、キャップ24内を吸引するための吸引ポンプ26とを備えている。
【0030】
キャップ24は、上昇移動してホーム位置HPに配置された液体噴射ヘッド19のインクを噴射するノズル18の開口を囲うように液体噴射ヘッド19に当接することにより、液体噴射ヘッド19のノズル18が開口する下面側との間に閉空間域を囲み形成する。そして、この状態で吸引ポンプ26を駆動することにより、閉空間域に負圧を発生させ、ノズル18を通じて液体噴射ヘッド19内のインクを排出させる吸引クリーニングが実行されるようになっている。
【0031】
次に、液体供給装置20の概略構成について説明する。
図1の部分拡大図に示すように、液体供給装置20には、インクカートリッジ15側となる上流側から液体噴射ヘッド19側となる下流側に向けてインクを供給するための液体供給路27がインクの色毎に設けられている。また、各液体供給路27の上流端は、それぞれ対応する色のインクカートリッジ15内に挿入される接続部28となっている。また、各液体供給路27の下流端は、それぞれ対応する色のインク供給チューブ22の上流端が接続された接続部21となっている。
【0032】
各液体供給路27の途中には、インクカートリッジ15に収容されたインクを吸引する吸引動作と吸引したインクを液体噴射ヘッド19側に向けて吐出する吐出動作とを行うダイアフラム式のポンプ29がそれぞれ設けられている。また、各液体供給路27においてポンプ29の下流側には、ポンプ29から吐出されたインクを一時貯留するバッファ30(30B,30C)がそれぞれ設けられている。すなわち、本実施形態において、液体供給装置20にはそれぞれ4つずつポンプ29及びバッファ30が設けられている。
【0033】
ブラックインクを貯留するためのバッファ30であるブラック用バッファ30Bは、カラーインクを貯留するためのバッファ30であるカラー用バッファ30Cよりも貯留容量が大きくなっている。また、ブラック用バッファ30Bはカラー用バッファ30Cの上方に配置されているとともに、複数(本実施形態では3つ)のカラー用バッファ30Cは主走査方向Xに並ぶように配置されている。
【0034】
各液体供給路27においてインクカートリッジ15につながる接続部28とポンプ29との間には、ポンプ29が吸引動作を行う場合に開弁するとともにポンプ29が吐出動作を行う場合に閉弁する吸引側一方向弁31が設けられている。また、各液体供給路27においてポンプ29とバッファ30との間には、ポンプ29が吸引動作を行う場合に閉弁するとともにポンプが吐出動作を行う場合に開弁する吐出側一方向弁32が設けられている。なお、吸引側一方向弁31とポンプ29とは、液体供給路27を構成する第1流路27aを通じて連通している。また、吐出側一方向弁32とバッファ30とは、液体供給路27を構成する第2流路27bを通じて連通している。
【0035】
さらに、各液体供給路27においてバッファ30と液体噴射ヘッド19につながるインク供給チューブ22との間には差圧弁の一例としてのチョーク弁33が設けられている。チョーク弁33は、バッファ30側となる上流側の加圧力よりも液体噴射ヘッド19側となる下流側の負圧力が大きくなった場合に閉弁して液体供給路27を閉塞するようになっている。なお、バッファ30とチョーク弁33とは液体供給路27を構成する第3流路27cを通じて連通しているとともに、チョーク弁33と接続部21とは液体供給路27を構成する第4流路27dを通じて連通している。
【0036】
したがって、吸引クリーニングが実行されると、チョーク弁33の下流側において負圧が高まることによってチョーク弁33が閉弁する。また、閉弁したチョーク弁33によって液体供給路27が閉塞された状態でさらに吸引クリーニングが継続されることで、液体噴射ヘッド19内の負圧が高まる。そしてその後、ポンプ29が吐出動作を行うと、チョーク弁33の上流側の圧力が上昇し、チョーク弁33が開弁する。これにより、ポンプ29によって吐出されたインクとともに液体噴射ヘッド19内に滞留している気泡や増粘したインクなどがノズル18を通じて勢いよく排出されるようになっている。すなわち、メンテナンス装置23及びチョーク弁33によって、排出クリーニングの一種であるチョーククリーニングが実行されるようになっている。
【0037】
なお、カートリッジホルダー14は、主走査方向Xに沿うキャリッジ17の移動領域と対応する位置(詳しくは、移動領域の左端側の上方)に配置されている。また、ポンプ29、吸引側一方向弁31、吐出側一方向弁32及びチョーク弁33は、主走査方向X及び上下方向Zと交差する装置の奥行き方向(本実施形態では前後方向)においてカートリッジホルダー14と並ぶように、カートリッジホルダー14の背面側となる第1領域34Lに配置されている。一方、各バッファ30は、主走査方向Xにおいてカートリッジホルダー14と並ぶように、第1領域34Lの右側に位置する第2領域34Rに配置されている。
【0038】
次に、液体供給装置20の構造について説明する。
図2に示すように、液体供給装置20は、主走査方向X及び上下方向Zと交差(本実施形態では直交)する装置の奥行き方向Y(搬送方向)において、カートリッジホルダー14の後方に配置される板状をなす流路形成部材35を備えている。
【0039】
流路形成部材35の第1面(本実施形態では前面)には、第1領域34Lと対応する位置に、溝状をなす1本の流体流路形成凹部37と、溝状をなす4本の第2流路形成凹部38と、平面視略円状をなす4つのポンプ用凹部39と、平面視略円状をなす4つのチョーク弁用凹部40とが、上側から下側に向けて並ぶように形成されている。また、各チョーク弁用凹部40の上端付近には溝状の導入凹部40aの下流端がそれぞれ接続されている。なお、各4つのポンプ用凹部39及びチョーク弁用凹部40は、それぞれ主走査方向Xに並ぶように配置されている。
【0040】
また、流路形成部材35の前面において第2領域34Rと対応する位置には、第1領域34Lから続く溝状の第2流路形成凹部38と、同じく溝状をなす4本の第3流路形成凹部41とが形成されている。
【0041】
流路形成部材35の前面からは、上下方向Zにおいてポンプ用凹部39とチョーク弁用凹部40との間となる位置から円筒形状をなす4つの接続部28が主走査方向Xに並ぶように突設されている。また、流路形成部材35の前面において各ポンプ用凹部39の開口の外周部にあたる位置には、前方に向けて突設される位置決め突起39a,39bがそれぞれ形成されている。
【0042】
流路形成部材35の前面側には、流体流路形成凹部37、第2流路形成凹部38及び第3流路形成凹部41を覆うように第1フィルム部材42が溶着される。そして、第2流路形成凹部38及び第1フィルム部材42によって第2流路27b(図1参照)が囲み形成されるとともに、第3流路形成凹部41及び第1フィルム部材42によって第3流路27c(図1参照)の上流側部分が囲み形成される。
【0043】
また、流路形成部材35の前面側には、チョーク弁用凹部40及び導入凹部40aを覆うように第2フィルム部材43が溶着される。さらに、流路形成部材35の左下部分からは、下方に向けて延設部35bが延設されているとともに、延設部35bの先端側には接続部21が前方に向けて突設されている。
【0044】
流路形成部材35とカートリッジホルダー14との間において各ポンプ用凹部39と対応する位置には、平面視略円状をなすダイアフラム45と、略円筒形状をなすばね座46と、第1コイルばね47とが、後側から前側に向けて並ぶようにそれぞれ設けられている。なお、各ダイアフラム45の前面側において中央付近からは突部48が突設されている。そして、この突部48とばね座46の内周面とが係合するとともに、ばね座46の外周面と第1コイルばね47とが係合するようになっている。
【0045】
各ダイアフラム45の外縁部には、流路形成部材35の位置決め突起39a,39bにそれぞれ対応する位置決め孔45a,45bが形成されている。また、各ダイアフラム45の外縁部において位置決め孔45aの近くには、それぞれ貫通孔45cが形成されている。そして、ダイアフラム45は、流路形成部材35の位置決め突起39a,39bに位置決め孔45a,45bが挿通されて位置決めがなされた場合に、ポンプ用凹部39を覆蓋する態様となる。
【0046】
図3に示すように、流路形成部材35の第1面とは反対側の第2面(本実施形態では後面)において第1領域34Lと対応する位置には、溝状をなす流体流路形成凹部49と、平面視略円状をなす4つの吐出側凹部50とが形成されている。また、流路形成部材35の後面において吐出側凹部50の下方には、溝状をなす4本の第1流路形成凹部51と、平面視略円状をなす4つの吸引側凹部52と、溝状をなす4本の第3流路形成凹部53とが、上側から下側に向けて並ぶように形成されている。なお、各4つの吐出側凹部50、第1流路形成凹部51及び吸引側凹部52は、それぞれ主走査方向Xに並ぶように配置されている。
【0047】
また、流路形成部材35の後面において第2領域34Rと対応する位置には、第1領域34Lから続く溝状の第3流路形成凹部53と、平面視略円状をなす4つのバッファ用凹部54(54B,54C)とが形成されている。なお、カラーインクに対応する3つのバッファ用凹部54Cは主走査方向Xに並ぶように配置されているとともに、ブラックインクに対応する1つのバッファ用凹部54Bはバッファ用凹部54Cの上方に配置されている。そして、バッファ用凹部54Bの開口面積は、3つのバッファ用凹部54Cの開口面積よりも大きくなっている。
【0048】
流路形成部材35の後面において左上部分からは、流路形成部材35の背面側から前面側に向けて空気などの流体を供給するための1本の供給部35aが後方に向けて突設されている。また、流路形成部材35の後面において左下部分には、延設部35bに向かって延びる4本の溝状をなす接続流路形成凹部35cが形成されている。
【0049】
流路形成部材35の後面側には、流体流路形成凹部49、吐出側凹部50、第1流路形成凹部51、吸引側凹部52、第3流路形成凹部53及び接続流路形成凹部35cを覆うように可撓性部材の一例としての第3フィルム部材55が溶着される。また、流路形成部材35の後面側には、バッファ用凹部54(54B,54C)を覆うように、それぞれ第4フィルム部材56(56B,56C)が溶着される。
【0050】
そして、第1流路形成凹部51及び第3フィルム部材55によって第1流路27a(図1参照)が囲み形成されるとともに、第3流路形成凹部53及び第3フィルム部材55によって第3流路27c(図1参照)の下流側部分が囲み形成される。また、接続流路形成凹部35c及び第3フィルム部材55によって第4流路27d(図1参照)が囲み形成される。
【0051】
流路形成部材35と第3フィルム部材55との間において各吐出側凹部50と対応する位置には、平面視略円状をなす吐出側弁体57と略円盤形状の第1固定部材58とが前側から後側に向けて並ぶようにそれぞれ設けられている。
【0052】
また、流路形成部材35と第3フィルム部材55との間において各吸引側凹部52と対応する位置には、吸引側凹部52を覆蓋する吸引側弁体59と、付勢部材の一例としての第2コイルばね60と、略円盤形状の第2固定部材61とが、前側から後側に向けて並ぶようにそれぞれ設けられている。そして、各第2コイルばね60は前端が吸引側弁体59に当接する一方で後端が第2固定部材61に当接することで、対応する吸引側弁体59を吸引側凹部52の内底面側に向けて付勢するようになっている。
【0053】
流路形成部材35の後面側において第2領域34Rと対応する位置には、間に第4フィルム部材56を挟むようにカバー部材62が組み付けられる。そして、第4フィルム部材56とカバー部材62との間には、バッファ用凹部54(54B,54C)とそれぞれ対応する位置に配置される受圧部材63(63B,63C)と第3コイルばね64(64B,64C)とが、前側から後側に向けて並ぶように設けられている。
【0054】
各受圧部材63の前側は平面状に形成されて、それぞれ対応する第4フィルム部材56の後面側における中央付近に固定される。また、各受圧部材63(63B,63C)の中央付近からは後方に向けて係止部65(65B,65C)が突設されている。そして、この係止部65(65B,65C)に第3コイルばね64(64B,64C)が係止されるようになっている。また、各第3コイルばね64は前端が受圧部材63に当接する一方で後端がカバー部材62に当接することで、対応する第4フィルム部材56をバッファ用凹部54の内底面側に向けて付勢するようになっている。
【0055】
図4に示すように、流路形成部材35において各吸引側凹部52の内底面には、それぞれ接続部28と対応する位置に貫通孔66が形成されている。また、流路形成部材35において、各ポンプ用凹部39の下端付近と対応する位置にはそれぞれ貫通孔67が形成されているとともに、各ポンプ用凹部39の上端付近と対応する位置にはそれぞれ貫通孔68が形成されている。そして、第1流路形成凹部51の上流端は吸引側凹部52の上端部分に接続されているとともに、第1流路形成凹部51の下流端は貫通孔67と連通している。なお、流路形成部材35において、ポンプ用凹部39と吐出側凹部50とは上下方向において重複するように設けられるとともに、貫通孔68はポンプ用凹部39と吐出側凹部50とを連通するように、吐出側凹部50の内底面の中央付近に設けられている。
【0056】
流路形成部材35において各吐出側凹部50の上端付近にはそれぞれ貫通孔69が形成されている。また、流路形成部材35において、各バッファ用凹部54の下端付近にはそれぞれ貫通孔70が形成されているとともに、各バッファ用凹部54の上端付近にはそれぞれ貫通孔71が形成されている。
【0057】
さらに、流路形成部材35には各吐出側凹部50と並ぶ位置に、それぞれ流体流路形成凹部49の下流端と連通する貫通孔72が形成されているとともに、流路形成部材35の左上部分には流体流路形成凹部49の上流端と連通する1つの貫通孔73が形成されている。
【0058】
図5に示すように、流路形成部材35の前面において、第2流路形成凹部38の上流端は貫通孔69と連通しているとともに、第2流路形成凹部38の下流端は貫通孔70と連通している。また、第3流路形成凹部41の上流端は貫通孔71と連通している。
【0059】
流路形成部材35において各第3流路形成凹部41の下流端と対応する位置には、第3流路形成凹部41の下流端と第3流路形成凹部53の上流端とを連通させるための貫通孔76がそれぞれ形成されている。また、流路形成部材35において各導入凹部40aの上流端と連通する位置には、それぞれ貫通孔77が形成されている。そして、第3流路形成凹部53の上流端は貫通孔76と連通しているとともに、第3流路形成凹部53の下流端は貫通孔77と連通している。
【0060】
流路形成部材35において各チョーク弁用凹部40の内底面の中央付近にはそれぞれ貫通孔78が形成されている。また、流路形成部材35において接続部21と対応する位置には、上下方向に並ぶ4つの貫通孔79が形成されている。そして、接続流路形成凹部35cの上流端は貫通孔78と連通しているとともに、接続流路形成凹部35cの下流端は貫通孔79と連通している。
【0061】
なお、本実施形態において、貫通孔66〜71,76〜79は液体供給路27(図1参照)を構成する。また、貫通孔67は第1流路27a(図1参照)を構成するとともに、貫通孔69,70は第2流路27b(図1参照)を構成する。また、貫通孔71,76,77及び導入凹部40aは第3流路27c(図1参照)を構成するとともに、貫通孔78,79は第4流路27d(図1参照)を構成する。
【0062】
また、各貫通孔72は、流路形成部材35の前面においてはポンプ用凹部39の開口の外周部であって位置決め突起39aの近くに位置している。さらに、流体流路形成凹部37の上流端は供給部35aと連通しているとともに、流体流路形成凹部37の下流端は貫通孔73と連通している。
【0063】
図6に示すように、カートリッジホルダー14の後面には、複数(本実施形態では4つ)の流体室用凹部82が主走査方向Xに並ぶように形成されているとともに、各流体室用凹部82と接する位置にはそれぞれ流体導入部82aが設けられている。なお、ばね座46及び第1コイルばね47は、ダイアフラム45とポンプ用凹部39とによって囲み形成される空間域に収容されるようになっている。
【0064】
そして、ダイアフラム45に形成された貫通孔45c及びカートリッジホルダー14の後面に形成された流体導入部82a、並びに、流路形成部材35に形成された供給部35a、流体流路形成凹部37、貫通孔73、流体流路形成凹部49及び貫通孔72によって、流体流路83が構成されている。
【0065】
図7に示すように、吐出側一方向弁32を構成する吐出側弁体57の中央付近は撓み変位可能な当接部57aになっているとともに、当接部57aの周囲には正面視略円弧状の2つの連通孔57bが形成されている。また、吐出側一方向弁32を構成する第1固定部材58の吐出側弁体57側となる前面側には、円柱状の第1突部58aと正面視略円弧状の2つの第2突部58bとが形成されている。そして、第1固定部材58の第2突部58bが吐出側弁体57の外縁部分に当接することで、吐出側弁体57が固定されるようになっている。
【0066】
図8に示すように、吸引側一方向弁31を構成する吸引側弁体59の中央には正面視円状の貫通孔59aが形成されている。また、吸引側弁体59には貫通孔59aを囲むように前側に向けて突出する環状突部59bが形成されている。
【0067】
吸引側一方向弁31を構成する第2固定部材61の中央には正面視円状の連通孔61aが形成されているとともに、連通孔61aの左方、右方及び下方には正面視略矩形状の連通孔61bが形成されている。また、第2固定部材61の外縁部からは、前方に向けて環状突部61cが突設されているとともに、後方に向けて環状突部61dが突設されている。
【0068】
第2固定部材61において連通孔61aの上方には環状突部61dの一部を切り欠くような態様で連通孔61eが形成されている。そして、第2固定部材61の環状突部61cが吸引側弁体59の外縁部分に当接することで、吸引側弁体59が固定されるようになっている。
【0069】
次に、ポンプ29の構成及び動作について説明する。
図9に示すように、ポンプ29は、ダイアフラム45、ばね座46及び第1コイルばね47を備えている。また、ポンプ29は、カートリッジホルダー14の後面に形成された流体室用凹部82とダイアフラム45とによって囲み形成される作動流体室84を備えている。また、ポンプ29は、流路形成部材35の前面に形成されたポンプ用凹部39とポンプ用凹部39の開口部を覆蓋するように流路形成部材35に取り付けられたダイアフラム45とによって囲み形成されるポンプ室85を備えている。なお、ポンプ室85は液体供給路27の一部を構成する。
【0070】
作動流体室84には、ダイアフラム45をポンプ室85側に向けて付勢する第1コイルばね47と、第1コイルばね47とダイアフラム45との間に配置されるばね座46とが収容されている。また、作動流体室84には、流体流路83を通じて減圧ポンプ等からなる圧力調整装置(図示略)及び大気開放機構(図示略)が接続されている。圧力調整装置は作動流体室84内に負圧を発生させ得るように構成されているとともに、大気開放機構は作動流体室84内を大気に開放して負圧状態を解消するように構成されている。
【0071】
そして、圧力調整装置の駆動に伴って作動流体室84内に負圧が発生すると、ダイアフラム45が第1コイルばね47の付勢力に抗してポンプ室85の容積を拡大する方向(本実施形態では前方)に変位することで、ポンプ29が吸引動作を行う。また、吸引動作の後に大気開放機構が駆動して作動流体室84内を大気に開放すると、図10に示すようにダイアフラム45が第1コイルばね47の付勢力によってポンプ室85の容積を縮小する方向(本実施形態では後方)に変位することで、ポンプ29が吐出動作を行う。
【0072】
次に、吸引側一方向弁31の構成及び動作について説明する。
吸引側一方向弁31は、吸引側弁体59、第2コイルばね60及び第2固定部材61を備えている。また、吸引側一方向弁31は、流路形成部材35の後面に形成された吸引側凹部52と第3フィルム部材55とによって囲み形成される吸引側弁室86を備えている。なお、吸引側弁室86は液体供給路27の一部を構成する。吸引側弁室86は、液体供給路27を閉塞可能な吸引側弁体59によって上流側部分(本実施形態では前側)と中央部分とに区画されているとともに、第2固定部材61によって中央部分と下流側部分(本実施形態では後側)とに区画されている。
【0073】
吸引側弁室86の区画された上流側部分と中央部分とは吸引側弁体59に形成された貫通孔59aを通じて連通可能となっているとともに、吸引側弁室86の区画された中央部分と下流側部分とは第2固定部材61に形成された連通孔61a,61b,61eを通じて連通可能となっている。なお、第2コイルばね60は前後方向において吸引側弁体59と第2固定部材61との間に配置されて、環状突部59bが吸引側凹部52の内底面に当接して吸引側弁室86の上流側部分と中央部分とが連通不能となるように、すなわち液体供給路27を閉塞する方向に吸引側弁体59を付勢している。
【0074】
そして、ポンプ29が吸引動作を行うと、第1流路27aを通じて吸引側弁室86内のインクがポンプ室85内に吸引されて吸引側弁室86内に負圧が生じる。すると、図9に示すように吸引側弁体59の環状突部59bが第2コイルばね60の付勢力に抗して吸引側凹部52の内底面から離間し、吸引側弁室86の上流側部分と中央部分とが連通する。すなわち、吸引側一方向弁31が開弁して液体供給路27を開放する。これにより、接続部28を通じてインクカートリッジ15内のインクがポンプ室85側に向けて供給される。
【0075】
一方、ポンプ29が吐出動作を行うと、第1流路27aを通じてポンプ室85内のインクが吸引側弁室86内に流入する。これにより、吸引側弁室86内の負圧が解消されて、図10に示すように吸引側弁体59の環状突部59bが第2コイルばね60の付勢力によって吸引側凹部52の内底面に当接する。すなわち、吸引側一方向弁31が閉弁して液体供給路27を閉塞する。
【0076】
次に、吐出側一方向弁32の構成及び動作について説明する。
吐出側一方向弁32は、吐出側弁体57及び第1固定部材58を備えている。また、吐出側一方向弁32は、流路形成部材35の後面に形成された吐出側凹部50と吐出側凹部50の開口部を覆蓋するように流路形成部材35に取り付けられた第3フィルム部材55とによって囲み形成される吐出側弁室87を備えている。なお、吐出側弁室87は液体供給路27の一部を構成する。
【0077】
吐出側弁室87とポンプ室85とは貫通孔68を通じて連通可能となっているが、貫通孔68の吐出側弁室87に対する開口は、常時は吐出側弁体57の当接部57aによって閉塞されている。また、吐出側弁体57の当接部57aは、ポンプ29側となる上流側とバッファ30側となる下流側との圧力差に応じて変位することで液体供給路27を構成する貫通孔68を閉塞及び開放する。
【0078】
具体的には、ポンプ29が吐出動作を行うと、貫通孔68を通じてポンプ室85内のインクが加圧状態で吐出されるので、このインクの加圧力によって当接部57aが第1固定部材58側に変位する。すなわち、吐出側一方向弁32が開弁して液体供給路27を開放する。すると、連通孔57bを通じて吐出側弁室87内にインクが流入するとともに、流入したインクが第2流路27bを通じて下流側に位置するバッファ30に供給される。
【0079】
一方、ポンプ29が吸引動作を行うと、貫通孔68を通じて吐出側弁室87内のインクがポンプ室85側に吸引されるので、図9に示すように当接部57aが貫通孔68側に変位して貫通孔68を閉塞する。すなわち、吐出側一方向弁32が閉弁して液体供給路27を閉塞する。
【0080】
次に、バッファ30の構成及び動作について説明する。
図11に示すように、ブラック用バッファ30Bは、受圧部材63B及び第3コイルばね64Bを備えている。また、ブラック用バッファ30Bは、流路形成部材35の後面に形成されたバッファ用凹部54Bと第4フィルム部材56Bとによって囲み形成されるバッファ室88(ブラック用バッファ室88B)を備えている。なお、各バッファ室88は液体供給路27の一部を構成する。
【0081】
受圧部材63Bは第4フィルム部材56Bの後面に固定されているとともに、第3コイルばね64Bは受圧部材63Bとカバー部材62との間に配置されている。そして、第4フィルム部材56Bは第3コイルばね64Bの付勢力によってブラック用バッファ室88Bの容積を減少させる方向(本実施形態では前方)に付勢されている。
【0082】
カラー用バッファ30Cは、受圧部材63C及び第3コイルばね64Cを備えている。また、カラー用バッファ30Cは、流路形成部材35の後面に形成されたバッファ用凹部54Cと第4フィルム部材56Cとによって囲み形成されるバッファ室88(カラー用バッファ室88C)を備えている。
【0083】
受圧部材63Cは第4フィルム部材56Cの後面側に配置されているとともに、第3コイルばね64Cは受圧部材63Cとカバー部材62との間に配置されている。そして、第4フィルム部材56Cは第3コイルばね64Cの付勢力によってカラー用バッファ室88Cの容積を減少させる方向(本実施形態では前方)に付勢されている。
【0084】
ポンプ29の吐出動作時には、加圧されたインクが第2流路27bを通じて各バッファ室88に流入する。そして、各第3コイルばね64の付勢力は、ポンプ29の吐出動作に伴って流入するインクの加圧力よりも小さくなるように設定されている。そのため、ポンプ29の吐出動作時には、インクの加圧力によって第4フィルム部材56が第3コイルばね64の付勢力に抗してバッファ室88の容積を拡大する方向(本実施形態では後方)に変位するとともに、第3流路27cを通じてチョーク弁33側に向けてインクが加圧供給される。なお、受圧部材63、第3コイルばね64及び第4フィルム部材56は、バッファ室88に一時貯留されたインクを加圧供給するための可動部として機能する。また、第4フィルム部材56は、バッファ室88の容積を変化させるための可動壁として機能する。
【0085】
一方、ポンプ29の吸引動作時には、吐出側一方向弁32が閉弁してポンプ29側からのインクの供給が停止される。その間には、第4フィルム部材56が第3コイルばね64の付勢力によってバッファ室88の容積を減少させる方向(本実施形態では前方)に変位して、第3流路27cを通じてチョーク弁33側に向けてインクを加圧供給する。
【0086】
次に、チョーク弁33の構成及び動作について説明する。
図12(a)に示すように、チョーク弁33は、流路形成部材35の前面に形成されたチョーク弁用凹部40と第2フィルム部材43とによって囲み形成される差圧弁室89を備えている。なお、差圧弁室89は液体供給路27の一部を構成する。
【0087】
ポンプ29の駆動時には、第3流路27cを通じて差圧弁室89に対して連続的にインクが加圧供給される。具体的には、ポンプ29の吐出動作時にはポンプ29の吐出力によって、また、ポンプ29の吸引動作時にはバッファ30の加圧力によって、インクが供給される。そして、インクが供給されると差圧弁室89内は正圧となるので、第2フィルム部材43は貫通孔78の開口部から離間した状態に保持され、第4流路27dを通じて液体噴射ヘッド19側に向けてインクが供給される。
【0088】
一方、吸引クリーニングの実行時には、液体噴射ヘッド19内のインクが排出されるのに伴って差圧弁室89内のインクが第4流路27dを通じて流出し、差圧弁室89内が負圧になる。すると、図12(b)に示すように第2フィルム部材43が差圧弁室89の容積を減少させる方向(本実施形態においては後方)に変位して貫通孔78の開口部に当接する。すなわち、チョーク弁33が閉弁して液体供給路27を閉塞する。また、この状態でポンプ29が吐出動作を行うと、差圧弁室89内にインクが供給されて負圧が解消され、第2フィルム部材43が貫通孔78の開口部から離間する。すなわち、チョーク弁33が開弁して液体供給路27を開放する。
【0089】
次に、液体供給装置20の作用について説明する。
バッファ30を構成するバッファ室88は、一時貯留したインクを液体噴射ヘッド19側に向けて加圧供給するために、その壁面の一部を構成する第3フィルム部材55を可動部として有している。
【0090】
そして、第3フィルム部材55は、その可撓性を確保するために撓みを有した状態で流路形成部材35に溶着される。例えば、バッファ用凹部54の形状に沿う押圧部材(図示略)によってバッファ用凹部54内に第3フィルム部材55を押し込むような態様でバッファ用凹部54の外縁部分に対して熱溶着される。
【0091】
そのため、第3フィルム部材55の撓み変位する可動部分は、押し込みによってやや伸張された状態となって溶着前と比較して薄くなるので、過度な負荷をかけるのは好ましくない。その点、本実施形態のプリンター11においてチョーク弁33はバッファ室88の下流側に設けられているので、チョーククリーニング時にはチョーク弁33が閉弁することで、バッファ室88内に過度な負圧が及ぶことがない。したがって、バッファ室88の可動部を構成する第3フィルム部材55に過度な負荷がかかることが抑制される。
【0092】
また、液体供給装置20において、ブラック用バッファ室88Bの貯留容量はカラー用バッファ室88Cよりも大きくなっているため、プリンター11がモノクロ印刷に多用される場合にも、多くのブラックインクを効率よく供給することができる。なお、ブラック用バッファ室88Bはカラー用バッファ室88Cの上方に配置されることによってブラックインクを高い位置から供給することができるので、液体噴射ヘッド19との水頭差を大きくして、ブラックインクの供給を補助することができる。
【0093】
これに対して、複数のカラー用バッファ室88Cが主走査方向Xに並ぶように配置されるので、複数のカラー用バッファ室88Cが上下方向Zに並ぶように配置される場合と比較して、液体供給装置20及びプリンター11の高さが低減される。
【0094】
なお、ポンプ29、吸引側一方向弁31、吐出側一方向弁32及びチョーク弁33は流路形成部材35の第1領域34Lに配置されているのに対して、各バッファ室88は主走査方向Xにおいて第1領域34Lと並ぶように配置された第2領域34Rに配置されている。そのため、液体供給装置20やプリンター11の高さを増すことなく、ブラック用バッファ室88Bの貯留容量を従来よりも大きくすることができる。
【0095】
さらに、板状をなす流路形成部材35において、ポンプ用凹部39と吐出側凹部50とは上下方向Zにおいて重複するように設けられるので、その重複した高さの分、液体供給装置20及びプリンター11の高さが低減される。さらに、流路形成部材35においては、ポンプ用凹部39と吐出側凹部50とを連通するように流路形成部材35に設けられた貫通孔68によって液体供給路27が構成されている。したがって、ポンプ29と吐出側一方向弁32との間の液体供給路27の長さを流路形成部材35の厚さ程度に短くすることができる。
【0096】
これに対して、吸引側一方向弁31とポンプ29との間の液体供給路27である第1流路27aは溝状の第1流路形成凹部51によって構成されていることから、第1流路27aの長さは、ポンプ29と吐出側一方向弁32との間の液体供給路27の長さよりも長くなっている。そのため、吸引側一方向弁31とポンプ29との間の流路抵抗はポンプ29と吐出側一方向弁32との間よりも大きくなり、ポンプ29からインクカートリッジ15側へのインクの逆流が抑制される。
【0097】
また、吸引側一方向弁31の吸引側弁体59は第2コイルばね60によって閉弁する方向に付勢されているのに対して、吐出側一方向弁32の吐出側弁体57は付勢部材によって付勢されず、インクの圧力によってのみ変位するようになっている。したがって、吸引側一方向弁31においてはポンプ29からインクカートリッジ15側へのインクの逆流を抑制する一方、吐出側一方向弁32においては効率よくインクを下流側に供給することができる。
【0098】
なお、吸引側凹部52の開口面積は、吐出側凹部50の開口面積よりも大きく形成されている。その結果、吸引側凹部52を覆蓋する吸引側弁体59の液体供給路27における受圧面積は、吐出側凹部50を覆蓋する吐出側弁体57の液体供給路27における受圧面積よりも大きくなっている。したがって、吸引側一方向弁31において、吸引側弁体59は第2コイルばね60の付勢力に抗して液体供給路27を開放することができるようになっている。
【0099】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)バッファ室88は上下方向Zと交差する主走査方向Xにおいてポンプ29と並ぶように配置されるので、ポンプ29とバッファ室88とが上下方向Zに並ぶように配置される場合と比較して、装置の高さを低減することができる。
【0100】
(2)ブラック用バッファ室88Bの貯留容量がカラー用バッファ室88Cよりも大きいため、単位時間あたりのブラックインクの最大供給量を大きくすることができる。これにより、モノクロ印刷を行う場合など、単位時間あたりのブラックインクの消費量が増大する場合にも、ブラックインクの供給不足を抑制することができる。
【0101】
(3)カートリッジホルダー14及び各バッファ室88はキャリッジ17の移動領域の上方に配置されるので、各バッファ室88と液体噴射ヘッド19との水頭差によって、液体噴射ヘッド19へのインクの供給を補助することができる。さらに、ブラック用バッファ室88Bはカラー用バッファ室88Cの上方に配置されるので、カラー用バッファ室88Cよりも液体噴射ヘッド19との水頭差が大きくなる。これにより、モノクロ印刷を行う場合など、単位時間あたりのブラックインクの消費量が増大する場合にも、大きな水頭差によってブラックインクを効率よく供給することができる。
【0102】
(4)複数のカラー用バッファ室88Cが主走査方向Xに並ぶように配置されるので、複数のカラー用バッファ室88Cが上下方向Zに並ぶように配置される場合と比較して、装置の高さを低減することができる。
【0103】
(5)チョーク弁33がバッファ室88と液体噴射ヘッド19との間、すなわちバッファ室88の下流側に設けられているので、チョーククリーニング時にはバッファ室88の下流側で液体供給路27が閉塞される。したがって、チョーククリーニング時にバッファ室88に及ぶ負圧を低減し、第4フィルム部材56にかかる負荷を抑制することができる。
【0104】
(6)吐出側弁体57は上流側と下流側との圧力差によって変位することで液体供給路27を閉塞及び開放するので、微少な圧力差によっても液体供給路27の開放を効率よく行うことができる。
【0105】
(7)吸引側一方向弁31は吸引側弁体59を付勢する第2コイルばね60を有するので、第2コイルばね60を有さない場合と比較して、下流側から上流側に向かうインクの流れをより確実に抑制することができる。
【0106】
(8)液体供給路27において、吸引側弁体59の受圧面積は吐出側弁体57の受圧面積よりも大きいので、吸引側一方向弁31はポンプ29が吸引動作を行う場合に第2コイルばね60の付勢力に抗して液体供給路27を開放することができる。
【0107】
(9)吸引側一方向弁31とポンプ29との間の液体供給路27の長さはポンプ29と吐出側一方向弁32との間の液体供給路27の長さよりも長いので、吸引側一方向弁31とポンプ29との間の流路抵抗はポンプ29と吐出側一方向弁32との間よりも大きくなる。これにより、ポンプ29からインクカートリッジ15側に向かうインクの流れをより確実に抑制することができる。
【0108】
(10)ポンプ用凹部39と吐出側一方向弁32の吐出側凹部50とは上下方向Zにおいて重複するように流路形成部材35に設けられているので、液体供給装置20の高さを低減することができる。また、ポンプ用凹部39と吐出側凹部50とを連通する貫通孔68を液体供給路27とすることで、ポンプ29と吐出側一方向弁32との間の液体供給路27の長さを短くして、流路抵抗を小さくすることができる。
【0109】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・吐出側一方向弁32の吐出側弁体は、図13〜図16のように変更してもよい。具体的には、図13に示すように、吐出側弁体100が正面視略円状の当接部100aと正面視円弧形状の1つの連通孔100bを有してもよい。または、図14に示すように、吐出側弁体101が外縁側から中央に向けて略等幅で延びるとともに先端側が平面視半円状をなす当接部101aと正面視略円弧形状の1つの連通孔101bを有してもよい。または、図15に示すように、吐出側弁体102が正面視略円状の当接部102aと正面視略円弧形状の4つの連通孔102bを有してもよい。なお、同図において、正面視略円状の当接部を囲むように配置される連通孔の数は、3つや5つ以上など、任意に変更することができる。または、図16に示すように、吐出側弁体103が正面視円弧形状の1つの切り込み103aによって変位可能となる当接部103bを有してもよい。
【0110】
・第2領域34Rにおいて、各色に対応するバッファ30の大きさや配置を変更してもよい。例えば、特定の色や種類の液体を多く使用する場合には、その液体の貯留容量が大きくなるようにバッファ室88の容積を変更することができる。また、使用するインクの色や液体の種類に応じてバッファ30の数を任意に変更してもよいし、複数のバッファ30が1つの色や種類の液体に対応するようにしてもよい。
【0111】
・第2領域34Rは、第1領域34Lの左側に配置してもよい。
・液体供給装置20とメンテナンス装置23とがフレーム12の長手方向における同じ端部側に配置されるようにしてもよい。
【0112】
・吸引側一方向弁31とポンプ29との間の液体供給路27の長さや、ポンプ29と吐出側一方向弁32との間の液体供給路27の長さは任意に変更することができる。また、第1領域34Lにおいて、ポンプ29、吸引側一方向弁31、吐出側一方向弁32及びチョーク弁33の配置や大きさを変更してもよい。
【0113】
・チョーク弁33は、上流側と下流側との圧力差に応じて開閉する差圧弁に限らず、任意のタイミングで開閉操作を行うことができる電磁弁等の開閉弁としてもよい。
・バッファ30の可動壁はフィルム部材に限らず、ピストン等の部材によって構成するようにしてもよい。
【0114】
・プリンターは、インクカートリッジ15がキャリッジ17上に搭載されるオンキャリッジタイプであってもよい。あるいは、キャリッジ17が主走査方向Xに移動するシリアル式のプリンターに限らず、液体噴射ヘッド19を固定したままでも用紙最大幅範囲の印字が可能なラインヘッド式やラテラル式のプリンターであってもよい。さらに、インクジェット式のラベルプリンター、バーコードプリンターや発券装置などであってもよい。
【0115】
・液体噴射装置はプリンターに限らず、FAX装置、コピー装置あるいはこれら複数機能を備えた複合機などであってもよい。さらに、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体噴射装置を採用してもよく、微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体噴射装置に流用可能である。なお、液滴とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状態、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルタの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置であってもよい。また、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサ等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置を採用してもよい。
【符号の説明】
【0116】
11…液体噴射装置の一例としてのプリンター、14…液体収容体ホルダーの一例としてのカートリッジホルダー、15…液体収容体の一例としてのインクカートリッジ、15B…ブラック用インクカートリッジ、15C…カラー用インクカートリッジ、17…キャリッジ、19…液体噴射ヘッド、20…液体供給装置、27…液体供給路、29…ポンプ、31…吸引側一方向弁、32…吐出側一方向弁、33…差圧弁の一例としてのチョーク弁、35…流路形成部材、39…ポンプ用凹部、45…ダイアフラム、50…吐出側凹部、55…可撓性部材の一例としての第3フィルム部材、56…可動部として機能する第4フィルム部材、57,100,101,102,103…吐出側弁体、59…吸引側弁体、60…付勢部材の一例としての第2コイルばね、68…貫通孔、85…ポンプ室、87…吐出側弁室、88…バッファ室、88B…ブラック用バッファ室、88C…カラー用バッファ室、X…主走査方向、Y…奥行き方向、Z…上下方向。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容した液体収容体側となる上流側から前記液体を噴射する液体噴射ヘッド側となる下流側に向けて前記液体を供給するための液体供給路と、
前記液体収容体に収容された前記液体を吸引する吸引動作と吸引した前記液体を前記液体噴射ヘッド側に向けて吐出する吐出動作とを行うポンプと、
前記液体供給路において前記ポンプの下流側に設けられ、前記ポンプから吐出された前記液体を一時貯留するとともに、一時貯留した前記液体を前記液体噴射ヘッド側に向けて加圧供給するための可動部を有するバッファ室と、
前記液体供給路において前記バッファ室と前記液体噴射ヘッドとの間に設けられ、前記バッファ室側となる上流側の加圧力よりも前記液体噴射ヘッド側となる下流側の負圧力が大きくなった場合に閉弁して前記液体供給路を閉塞する差圧弁と、を備えることを特徴とする液体供給装置。
【請求項2】
前記液体供給路において前記液体収容体と前記ポンプとの間に設けられ、前記ポンプの前記吸引動作に伴って開弁するとともに前記ポンプの前記吐出動作に伴って閉弁する吸引側一方向弁と、
前記液体供給路において前記ポンプと前記バッファ室との間に設けられ、前記ポンプの前記吸引動作に伴って閉弁するとともに前記ポンプの前記吐出動作に伴って開弁する吐出側一方向弁と、をさらに備え、
該吐出側一方向弁は、前記ポンプ側となる上流側と前記バッファ室側となる下流側との圧力差に応じて変位することで前記液体供給路を閉塞及び開放する吐出側弁体を有することを特徴とする請求項1に記載の液体供給装置。
【請求項3】
前記吸引側一方向弁は、前記液体供給路を閉塞可能な吸引側弁体と、前記液体供給路を閉塞する方向に前記吸引側弁体を付勢する付勢部材と、を有することを特徴とする請求項2に記載の液体供給装置。
【請求項4】
前記吸引側弁体の前記液体供給路における受圧面積は、前記吐出側弁体の前記液体供給路における受圧面積よりも大きいことを特徴とする請求項3に記載の液体供給装置。
【請求項5】
前記吸引側一方向弁と前記ポンプとの間の前記液体供給路の長さは、前記ポンプと前記吐出側一方向弁との間の前記液体供給路の長さよりも長いことを特徴とする請求項2〜請求項4のうち何れか一項に記載の液体供給装置。
【請求項6】
前記ポンプは、板状をなす流路形成部材の第1面に設けられたポンプ用凹部と、該ポンプ用凹部の開口部を覆蓋することでポンプ室を囲み形成するダイアフラムとを有するダイアフラム式ポンプであり、
前記吐出側一方向弁は前記流路形成部材の前記第1面とは反対側の第2面に設けられた吐出側凹部と該吐出側凹部の開口部を覆蓋するように前記流路形成部材に取り付けられた可撓性部材とによって囲み形成される吐出側弁室を有し、
前記ポンプ用凹部と前記吐出側凹部とは上下方向において重複するように設けられるとともに、前記ポンプ用凹部と前記吐出側凹部とを連通するように前記流路形成部材に設けられた貫通孔によって前記液体供給路が構成されていることを特徴とする請求項2〜請求項5のうち何れか一項に記載の液体供給装置。
【請求項7】
液体を噴射する液体噴射ヘッドと、
請求項1〜請求項6のうち何れか一項に記載の液体供給装置と、を備えることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項1】
液体を収容した液体収容体側となる上流側から前記液体を噴射する液体噴射ヘッド側となる下流側に向けて前記液体を供給するための液体供給路と、
前記液体収容体に収容された前記液体を吸引する吸引動作と吸引した前記液体を前記液体噴射ヘッド側に向けて吐出する吐出動作とを行うポンプと、
前記液体供給路において前記ポンプの下流側に設けられ、前記ポンプから吐出された前記液体を一時貯留するとともに、一時貯留した前記液体を前記液体噴射ヘッド側に向けて加圧供給するための可動部を有するバッファ室と、
前記液体供給路において前記バッファ室と前記液体噴射ヘッドとの間に設けられ、前記バッファ室側となる上流側の加圧力よりも前記液体噴射ヘッド側となる下流側の負圧力が大きくなった場合に閉弁して前記液体供給路を閉塞する差圧弁と、を備えることを特徴とする液体供給装置。
【請求項2】
前記液体供給路において前記液体収容体と前記ポンプとの間に設けられ、前記ポンプの前記吸引動作に伴って開弁するとともに前記ポンプの前記吐出動作に伴って閉弁する吸引側一方向弁と、
前記液体供給路において前記ポンプと前記バッファ室との間に設けられ、前記ポンプの前記吸引動作に伴って閉弁するとともに前記ポンプの前記吐出動作に伴って開弁する吐出側一方向弁と、をさらに備え、
該吐出側一方向弁は、前記ポンプ側となる上流側と前記バッファ室側となる下流側との圧力差に応じて変位することで前記液体供給路を閉塞及び開放する吐出側弁体を有することを特徴とする請求項1に記載の液体供給装置。
【請求項3】
前記吸引側一方向弁は、前記液体供給路を閉塞可能な吸引側弁体と、前記液体供給路を閉塞する方向に前記吸引側弁体を付勢する付勢部材と、を有することを特徴とする請求項2に記載の液体供給装置。
【請求項4】
前記吸引側弁体の前記液体供給路における受圧面積は、前記吐出側弁体の前記液体供給路における受圧面積よりも大きいことを特徴とする請求項3に記載の液体供給装置。
【請求項5】
前記吸引側一方向弁と前記ポンプとの間の前記液体供給路の長さは、前記ポンプと前記吐出側一方向弁との間の前記液体供給路の長さよりも長いことを特徴とする請求項2〜請求項4のうち何れか一項に記載の液体供給装置。
【請求項6】
前記ポンプは、板状をなす流路形成部材の第1面に設けられたポンプ用凹部と、該ポンプ用凹部の開口部を覆蓋することでポンプ室を囲み形成するダイアフラムとを有するダイアフラム式ポンプであり、
前記吐出側一方向弁は前記流路形成部材の前記第1面とは反対側の第2面に設けられた吐出側凹部と該吐出側凹部の開口部を覆蓋するように前記流路形成部材に取り付けられた可撓性部材とによって囲み形成される吐出側弁室を有し、
前記ポンプ用凹部と前記吐出側凹部とは上下方向において重複するように設けられるとともに、前記ポンプ用凹部と前記吐出側凹部とを連通するように前記流路形成部材に設けられた貫通孔によって前記液体供給路が構成されていることを特徴とする請求項2〜請求項5のうち何れか一項に記載の液体供給装置。
【請求項7】
液体を噴射する液体噴射ヘッドと、
請求項1〜請求項6のうち何れか一項に記載の液体供給装置と、を備えることを特徴とする液体噴射装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−166474(P2012−166474A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−29957(P2011−29957)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]